人狼物語 三日月国


45 【R18】雲を泳ぐラッコ

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【赤】 在原 治人

  
[そうして、どのくらい経った頃だったか。

 瞼がぴくりと動いて、
 いつの間にか
 祈るように組み合わせてしまっていた両手を
 慌てて解いて身を乗り出した。

 覗き込む俺の前で
 モルフォ蝶なんかより
 もっと美しい青い宝石が輝きを取り戻す。>>*13

 かかる吐息は
 
あたたかい
だけじゃなくて
 どうしてだか、
感じられて

 こく…と喉を鳴らしてしまっていた。]
 
(*17) 2020/10/07(Wed) 18:36:32

【赤】 在原 治人

 
[さらに表情が綻び
 惹かれて止まない微笑が浮かんだ。>>*13

 疲れの陰が薄れたからだろうか?
 輪をかけて増した魅力に
 囚われて
 身じろぎひとつ出来ずに固まった。]



   …… っ、



[再び動きを取り戻せたのは
 ほっそりとした指先が、頬に届いた時だ。

 妬ましいけれど
 貴方が選び抜いただろう揃いのレース素材の品は
 美しさを確かに引き立たせていたから
 外さず、そのままにしていたのだが
 自ら脱ぎ去って、直に触れてくれた。>>*14
 
(*18) 2020/10/07(Wed) 18:39:27

【赤】 在原 治人

 
[そこに、届く言葉。>>*15

 
幸せの洪水だ、──────溺れる。


 けど濁流ではなくて、清らかで、温かくて、
 つま先から頭のてっぺんまで
 とぷんと包み込まれて。

 嬉しすぎて、まるで言葉が出てこないから
 空気を求めるみたいに
 はくはくと唇を動かしてから漸く]



   … ほんとう、に?

         ああ、……絶対に離さない、



[ぎこちないながらも
 喜びが色濃く滲んだ声を響かせた。]
 
(*19) 2020/10/07(Wed) 18:41:05

【赤】 在原 治人

 
[撫でてくれる親指も
 堪らなく気持ちよくて
 眼鏡の奥の目を細めて享受していると、
 今度は自宅に誘われた。>>*16



   勿論 行く!

    …
じゃ、なくて、
 お邪魔させてもらうよ  



[ほぼ即答に近い形で応えてから
 己のあまりの食いつきっぷりに
 少しはにかんだ。]
 
(*20) 2020/10/07(Wed) 18:43:24

【赤】 在原 治人

 
[今朝、ネットで必死に調べて
 ドイツにある会社の代表だということは
 もう知っている。
 きっと、家もそっちの方に在るのだろう。

 確実に2日以上
 自宅を開けることになるだろうから
 綺麗な子たち>>2:*38とはまた別の
 飼育中のカッコいい奴らを
 どうするか、考えなければいけない。

 昨日まで、あの家は
 俺の世界の全てだったが、

 でも、もう、
 それは些細なことになっていた。

 貴方の城に伺うということは
 いっしょに居られる上に
 貴方のことを
 もっと、もっと、知れるということだから。]
 
(*21) 2020/10/07(Wed) 18:54:07

【赤】 在原 治人

 
[なんだか、ものすごく
 気持ちが急いて仕方なくなって]



   なら、帰り支度をしないとな



[輪郭に添わされた掌に
 名残りを惜しむように頬を擦り付けてから 
 立ち上がる。

 傷を消毒できるエタノールなどを
 鞄の中から取り出すと、
 貴方の許可を得て
 針を抜き、手当てを済ませ
 衣服を身につける手伝いを積極的にした。]
 
(*22) 2020/10/07(Wed) 19:14:23

【赤】 在原 治人

 
[まだ、扉が開かないと知れば
 張り詰めていた気が
 ぷつんと切れて
 今度は俺の方が眠り込んでしまっただろう。

 なにしろ、7週間もの間
 浅い眠りの中で
 貴方を捕まえようとして出来なくて
 飛び起きてばかりだったから

 やっと、手に入れた存在を
 離すまいと指を絡め、ぎゅっと握ったまま────…。]**
 
(*23) 2020/10/07(Wed) 19:16:07

【人】 二年生 小林 友




  「どうしたの?!もう夜も遅いのよ?!」


[驚いた様子の母さんを押し退けるように
 俺は家の外へと飛び出した。

 青い蝶は一匹残らず、
 大きな月へと旅立ってしまった。
 泣いても、叫んでも、
 ただ慣れた顔のご近所さんが
 窓からひょっこり顔を出すだけ。

 頬を伝う涙が口へと流れ込んで
 まるで、海に溺れたみたいに塩辛い。]


  
なつきィィィィーっ!!!



[どれだけ叫べば届くのだろう。
 世界を隔てて、君のところまで。]
(31) 2020/10/07(Wed) 19:21:09

【人】 二年生 小林 友

[この俺の有り様を見た人は聞くんだ。

  「ともちゃん、大丈夫?」
  「死のうとしてない?」
  「ダメだったらいつでもいいなさい」


 結局、誰も何も問題解決になってない。
 
 みんな、話して解決すると思ってる。
 話せば100%受け入れてくれる?
 気持ちを分かちあって「ひとりじゃないよ」?
 それはただの慰めで、解決じゃない。

 「陰キャだから、ひとりでいるから
  なんだか死にそうに見える」?
 問題はもっと奥深いぞ。
 俺は、ただ俺自身が嫌いなだけ。]
(32) 2020/10/07(Wed) 19:21:31

【人】 二年生 小林 友


[「俺」を受け入れてくれる
 菜月のところにいきたいだけ。]

 
(33) 2020/10/07(Wed) 19:21:52

【人】 二年生 小林 友

[俺は月を見上げて叫んだ。]


  途中で奪うくらいなら、
  なんで菜月にあわせたんだよ!!
  もううんざりだ、何もかも!!

  
さびしくて、しかたがない!



[青白い月が、まっすぐ俺を見ている気がして。
 その時、母さんや近所の人たちが
 何を言っていたかも、覚えていない。

 ただ、俺は声を限りに、願った。]
(34) 2020/10/07(Wed) 19:22:22

【人】 二年生 小林 友



  どうか、この俺を消してください。
  菜月がいないのなら、
  こんなところにいたくない!
  

[それを聞いた月は、何を思ったのだろう。

 ふわり、と掬うように俺の意識は途切れて
 闇の中へと堕ちていった。]*
(35) 2020/10/07(Wed) 19:23:42

【赤】 アクスル

 
[器用な手先とは裏腹に
 不器用な口が動くのをじっと見ていた。

 今度こそきっと、心からの言葉。>>*19
 想いはひとつだと思って良い筈だ。

 考えるより先に飛び出たみたいな台詞は
 まるで子供のようだった。>>*20


   ……ふふっ
   治人は、とっても可愛い人だったんだね



[また貴方のこと、ひとつ識れた。
 それが嬉しくて……、肩が揺れるほど笑っていた。]
 
(*24) 2020/10/07(Wed) 21:42:27

【赤】 アクスル

 
[はにかむ様も、なんて愛らしいのだろう。>>*20

 貴方を中心に廻る世界は
 キラキラと輝いて、こんなにも美しい。]
 
(*25) 2020/10/07(Wed) 21:42:36

【赤】 アクスル

 
[掌に温もりを残して
 愛おしい顔が離れていく。]



   都合の良い日に飛行機を手配するね
        ……、ありがとう



[スッと立ち上がった彼が
 傷の処置をしてくれるつもりだと気づけば
 身体を起こし、シャツを捲って、彼に任せた。>>*22
 
(*26) 2020/10/07(Wed) 21:43:08

【赤】 アクスル

 
[針を抜いて貰うのも
 消毒液を掛けて貰うのも
 どうしたって痛みを感じて、息が詰まった。]


   ……っ、…………
はぁ



[だけど、苦しいだけじゃなくて――、
 身体に出来たごく小さな傷
 ほんの少し歪になった胸粒が、無性に愛おしかった。

        貴方が、刻んでくれた痕。]
 
(*27) 2020/10/07(Wed) 21:43:24

【赤】 アクスル

 
[服まで着せて貰うのは
 ちょっと気恥ずかしかったけど
 やっぱり彼に任せた。

 大切に扱って貰えるのが、嬉しかったから。

 防火扉が開くまでには
 まだまだ時間が在るようだった。

 ベンチの上に並んで座り、手を繋ぎ
 ゆったりとした時間が流れる。

 ふと肩に重みを感じれば、彼の方を見た。>>*23
 
(*28) 2020/10/07(Wed) 21:44:37

【赤】 アクスル

 
[無垢な寝顔が目の前に在って
 胸がきゅんとした。

 ……でも、じっと見ていれば
 目の下には隈が在ることに気づく。

 余り眠れていなかっただろうことが窺えて

 自分の罪を思い出した。]
 
(*29) 2020/10/07(Wed) 21:44:45

【赤】 アクスル

 
[彼の頭にそっと自分のを載せて
 彼の体温、匂いを憶える。

 過去をなかったことには出来ない。

 だけどこの先は、極力、
 彼を傷つけることのないように。

 眠りに落ちても握られたままの手を
 少しだけ力を込めて握り返しながら

 胸中でだけ誓った。*]
 
(*30) 2020/10/07(Wed) 21:46:05

【置】 サティ家次期当主 シャーリエ

 
私の騎士 リフル


 ずいぶんと経ってしまいましたがお元気ですか。
 あなたがいない間に庭はすっかり変わりましたよ。
 背の高いシイの木に小鳥が巣を作りました。
 小鳥の家族はいつも歌っています。
 朝がにぎやかになりました。
うらやましくなります

 料理人の彼はお屋敷から出て家を買ったそうですよ。
 1人部屋が寂しくなったのでしょうか?
隣にいる人って大切ですね

 私は去年の収穫祭でサーカスを見ました。
 彼らも旅から旅へ行く身だそうです。
 どこかであなたと同じ街にいることもあるのでしょうか。
私もあなたと同じ場所に

 この国にも技師が増えました。
 私たちはいつでもあなたを歓迎します。
 どうかお元気で旅路を歩まれますように。
私はあの日に戻りたい

       
あいた
い  


―― 数年しまわれたままの手紙より ――
(L1) 2020/10/07(Wed) 22:51:53
公開: 2020/10/08(Thu) 1:00:00

【人】 アクスル

 
[外へ出て、
 別れを惜しみながら帰国して……、
 それから何日後のことだったか。

 何日であれ、この日が来ることを
 今日か今日かと心待ちにしていた。]
 
(36) 2020/10/08(Thu) 0:06:01

【人】 アクスル

 

   治人!



[空港の到着ロビーでその姿を見つければ
 軽く手を振りながら
 長い脚を動かして寄っていく。
 袖口から微かに覗くのは彼から貰った枷。]



   ……治人。元気にしてたかな?



[仮にもセレブ。屋内でもつけていた
 変装用を兼ねるサングラスを外しながら
 顔が緩んでいくのを自覚する。

 到着予定時刻の二時間も前から
 ここで待っていた……、ことは、
 SNSでの目撃情報でも見られてしまわない限り
 わからないだろう。きっと。]
 
(37) 2020/10/08(Thu) 0:06:15

【人】 アクスル

 
[大切な彼を座らせる席だ、
 当然、ファーストクラスを手配した。

 サービスは充実していた筈だが
 12時間ものフライトを終えたばかりの彼。

 お腹が空いてないか訊ね
 空腹なようならレストランで食事をしてから
 不要なようならそのまま

 自宅である古城へと連れて行こうとするだろう。
 ……運転手付きの車で。**]
 
(38) 2020/10/08(Thu) 0:06:43

【人】 花の名 リフル

― 彼の人の旅立ちの日のあと ―

[私は、庭で彼女に手招きをした。
おいでおいで、と猫なで声で彼女を誘って、
彼女が来たらその場に座って
「膝枕をしてあげる」と上目に笑った]


  いいこ、いいこね、メグ。


[優しく髪をふわふわと撫でながら、
思い切り甘やかす様な声と手付きで彼女を可愛がる。

けれど、
その感覚も、声も、存在も、徐々に薄くなってゆく。
彼女に認知されなくなってゆく]


  ………メグ、
  私の事、
忘れないで
 ね……



[声が消え行く。

私、本当はあの日>>18
「もう私の事は忘れてね」って言おうと思ってたんだ。

私の声が、消え行く。
彼女はやがて目を覚ますだろう]
(39) 2020/10/08(Thu) 5:20:14

【人】 花の名 リフル

― 帰国者のあった日の朝 ―

[私は、きっと久々に彼女の前に現れた。
にっこりと、上品ながらも満面の笑みだった。
彼女はもうすごくしっかりしてきたのに、
私の方が昔に戻った様に「ねえねえ」と子供っぽく手を振った]


  また逢えたね。


[手を伸ばして、彼女が取ってくれるのを待った。**]
(40) 2020/10/08(Thu) 5:33:37

【人】 二年生 早乙女 菜月


「せーの!」「あ、い、う、え、お!」「せーの!」「か、き、く、け、こ!」……

[グラウンドに響く声は大きい。
 ちなみに体育館では発声練習禁止です。つば飛んじゃうから屋内はちょっと。
 肺一杯に空気を詰め込んで、おなかの底から声を出していると、頭がぼうっとかすんでくる。華やかさとは裏腹に、チアは地味な反復練習が多い。頭で考えなくても動けるように、ひたすら体に覚え込ませる。何十分も同じ動きをしていると、頭が白く溶けていく。
 そういう時間が、今の私には必要だった。]

「菜月、笑顔! みんなを元気にするのがチアなんだから!」

[指摘されて、にっと口角を上げる。
 笑ったんじゃなくて、口角を、上げた。

 皆を元気に、なんて、私にできるはずがない。
 友君に勇気づけられてばっかりだったんだから。

 細くなった筋肉に、必要以上に負荷をかける。
 生まれたての小鹿みたいに、歩くたびに膝が折れる。]
(41) 2020/10/08(Thu) 5:58:07

【人】 二年生 早乙女 菜月

「ナツキ……戻ってきたのは良いけど、正直、怖いよ。
 前はもっと、休憩時間も騒いでたのに。
 今のナツキは、練習だけしに来てるみたい」


心配してくれるのはわかるけど……ってこと
  俺もよくあるよ。

 友君の言葉がいつも、頭をよぎる。

 なにそれー私すんごい熱心じゃん! なんてはやし立てる。
 笑い飛ばして、無かったことにしようとする。]

「ろくに食べてないよね。
 いくらトレーニングしても、食べなきゃ意味ないでしょう。本当にやる気あるの?」

[そう言ってきた先輩もいた。さすが上級生、よく見ている。
 ウス、先輩ご馳走してくれるんスか? ありがとうございます、なんてへらへら笑ったら、もっと怒られた。
 あーあ、失敗しちゃった。]
(42) 2020/10/08(Thu) 6:00:17

【人】 二年生 早乙女 菜月

[柔軟体操をしていると、アキナと目が合った。
 アキナは一瞬、なんとも言えない表情を浮かべると、何かを言いかける。
 けど、その言葉が出てくる前に、他の部員に話しかけて、結局何も話さなかった。
 復帰しても結局、こんな感じだ。
 あれからうまく話せていない。
 ペアも外されてしまった。

もしかしたら自分の中に
汚い気持ちがあるかもしれない、って
菜月は言うけれどもさ
少なくとも「今」の菜月は
そんなことしないだろ。


「今」の私はどうだろう。
 優しい老夫婦が人魚を売ったように、表と裏はくるくる変わる。
 きっと私もたやすく、良くも悪くも転ぶ。

 チアリーディングはスポーツだ。
 グラウンドの外の花じゃない。技を競う真剣勝負。
 勝利の証は、会場に溢れる笑顔。
 誰かを応援するために、競い、高め合う。

 だから、応援したい人を失ったら、強くなれないのは当然のことで。]
(43) 2020/10/08(Thu) 6:01:13

【人】 二年生 早乙女 菜月

[そんなことは分かっていても、私は必死にチアに打ち込む。
 そうしていないと、友君のことを思い出してしまうから。
 線路や、紅葉や、月や。
 何気ない風景を見るたびに、友君の言葉が思い浮かぶ。

俺も、絵があるのも好き。
  けど、この本は写実的っていうか……
  読んでるうちに頭の中に風景が浮かぶんだ。


 そうだね、友君。
 世界にはこんなにも、友君と拾い集めた風景が散らばっていて。
 何もしないでいると、空を眺めるだけで泣いてしまう。

 自分の体を苛め抜いて、泥のように眠る。
 だけど夢の中では、いつもあの図書室にいて。
 目を覚ませば、友君ともう会えないことを思い出して、べそべそと泣いた。]
(44) 2020/10/08(Thu) 6:02:06

【人】 二年生 早乙女 菜月

「また延長ですか」

[司書の先生が呆れたように言う。
 あれから、図書室と友君の世界は断ち切れてしまった。それでも二週間に一度は足を運ぶ。
 小川未明童話集、「赤いろうそくと人魚」。私が唯一借りた本を、何度も延長する。
 「何か月借りるつもりですか」「卒業する時に買います」「これ備品だから高いよ。アマゾンの本が安いですよ」「この本が良いんです」「もう読み飽きたでしょう」「まだ読み終わってません」
 そう、まだ私はこの本を読み終えていない。
 友君と一緒に読もうと思っていたから。

 きっと、この本を読み終えることは、無い。]**
(45) 2020/10/08(Thu) 6:03:03
 




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