人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【秘】 渡りに船 ロメオ → コピーキャット ペネロペ

「一般人の人らも休日が増えてハッピーですもんね。
 そう聞くとやっぱりいい案かもしれないな……」

こんな話をされているとは所長代理も思っていなかろう。
それともそれも覚悟の上で行ったことならば……
いや、立派でもないか。

「器用さと手の速さだけが売りなもんで。
 平行三つで流石に限界ですけど」

「ええ? そうなんだ……」

それには少々面食らったような顔をして、
その後の発言でなぜかほっとしたような顔になった。
通常逆である。

「よし……やる気出てきたな。働きます」

真面目に言っているのか冗談で言っているのか
分からないトーンで気合を入れ直した。
ついでにまた食べたくなったので、ピザを一切れ。
(-39) 2023/09/24(Sun) 0:28:50

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 渡りに船 ロメオ

「だから、なんで……」

底が見えない。
どうしてそんなに無償の献身があるのだろう。
どうして嫌なぐらいに都合がいいのだろう。
気味が悪いのに、焦がれて仕方ない。

「俺に本当にどっかに行ってほしくないなら首輪がいるぞ……」

ふ、と押さえていた手を離した。
そのまま力なく自分の腕も放り投げる。
わからないのに、今だけは自分に注がれるその柔らかな刺激を無碍に出来るわけもなかった。

「は、……まったく」

もっと、と喉は改めて鳴らされる。
疲れ切った身体と精神にあなたの言葉とその手は酷くこたえた。
自分自身に言い訳を考える、疲れていたんだ本当に。
眼の前の男に甘えたいわけでもない、ただ都合がよかった。

「お前は、……危ないやつだなあ……?
 俺は何処かに連れて行かれたら帰らないのはお前だと思う。
 だってそうだろ、……行かないでくれ……ロメオ」

甘えるように微睡む姿はまるで猫のよう、その上であまり言わない不安そうな声を貴方に届けさせた。
男は昔、人でありながらもその身へと従順に、甘やかに、
『何もできなくなるような』教育が施されていた。
男本人はそんな自覚はない、彼をこのようにした目的は教え込んだ本人しか知らないだろう。
事実施した元凶も怠惰を染み込ませていた習慣も、五年前にいなくなっているのだから本来ならすっかり息を潜めていたはずなのだ。
(-42) 2023/09/24(Sun) 0:41:24

【秘】 コピーキャット ペネロペ → 渡りに船 ロメオ


「俺ぁファミリー限定の博愛主義だからな。
 誰にも別け隔てなく平等に、捕まりゃ悲しいし
 出来の良い奴は褒めるし。
 喜んでりゃよかったなと思うし、飲める奴ぁ歓迎だ」

自分で言うと途端に怪しくなる自称博愛主義。
通常は逆であるはずの百面相には何だそりゃという顔をし、
フライドポテトを一つ、ふたつ、抓んで。

「あ"あ〜……しゃあねえ、俺も色々始末して来るか」

二本目のビールを空にした所で、
取り繕う気ゼロのおっさん臭い声と共に席を立って。
空き缶や空いた容器等の片付けもしつつ、
この突発飲み会もぼちぼち解散と相成った。
(-44) 2023/09/24(Sun) 0:44:04

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

──貴方の過去を聞きながら、思考している。
確かにそうだ。
まっとうな言葉では、後ろ暗くない立場では、
綺麗な金では救えない者がいる。
法律で悪を裁く間に、弱い者が何人救われずに死ぬ?
裁判所でギャベルを打つよりそこらへんでクズを撃つ方が、
よっぽど人の救いになる事があるのだ。

「……責任感があるんだな」
「それじゃあ、甘ったれてちゃあならないな。
 これから色々知らない仕事も任されるだろうけど、
 なんでもやって視野を広く持てればいいな」

「そうやって色々分かるようになれば自信が付く。
 自信が付いたら余裕が生まれる。実績も出る。
 そうすれば部下が出来て、余裕が生まれる」

「……そしたら、あんたもあんたみたいな奴を
 助けられるようになるかもしれないしな」

「……だから、目を背けたり、逃げたりしない。
 信用できる奴は選べ。足元掬ってくる奴もいるから」

言葉が上手くまとまらなくて、
首を傾げながらぼそぼそと話している。
これ、アドバイスになってるかなあ。
(-46) 2023/09/24(Sun) 0:49:31

【秘】 渡りに船 ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「在り方ですよ、ルチアーノさん」

「オレは
こう
じゃないと生きられない。
 誰かに使われてないと無理なんだ。存在できない」

とうの昔に用済みになって、放り出されたスクラップ。
見捨てないでと人間に縋る、ひとのかたちをしたガラクタ。
しかしそれでも自分はいきものらしかった。
本当に、全く、不思議な話だ。


「そう思えばwin-winじゃないですか。そうでしょ」

解放された手は、また一つ、さり、と頭を撫で。

「どうして。オレの帰る場所はノッテ以外無い。
 オレは家族以外に尻尾振るつもりはない。
 どうせなら好きな人に使われたい。あんたみたいなね」

「オレは居ますよ。どこかに行くのはあんたでしょうに」

頭に無い方の片の手は、貴方の手を握った。
これは貴方の過去の真相を知らない。性質を知らない。
だから、加減も何もない。

今この場所で、貴方にとって一番都合が良いいきもの。


「逃げませんから。好きにして」

そうしてまた、頭を撫でるのだ。
(-53) 2023/09/24(Sun) 1:24:03

【秘】 渡りに船 ロメオ → コピーキャット ペネロペ

「……オレ、あんたのそういう所が好きですよ。
 安心できるし、信頼できる。
 やっぱ持つべきは博愛主義のセンパイっすね〜」

自分も缶を握り潰して片付け始める。
素直な言葉は本心だ。間違いなく、あなた宛ての。

「応援してます。オレも色々やる事やってきますかね」

ごちそうさまでした、と挨拶をして、
立つ鳥跡を濁さず、周囲が綺麗になればまた持ち場へと。

……この時はまだ、話題に上った後輩が
近い未来に逮捕される事を知らなかった。
(-55) 2023/09/24(Sun) 1:30:09

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → corposant ロメオ

/*
こんばんは!4日目秘話に〆を返そうかと思ったのですが、あんまりにも綺麗な終わり方だったのでロメオさんからのもので〆とさせていただければ幸いです。
こちらのご連絡と大好きがいっぱいになってしまったのでこれも伝えさせてください、ありがとうございました……大好きです……
(-61) 2023/09/24(Sun) 1:42:00
corposant ロメオ(匿名)は、メモを貼った。
2023/09/24(Sun) 1:51:46

corposant ロメオは、メモを貼った。
(a10) 2023/09/24(Sun) 1:56:45

【秘】 corposant ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

/*
こんばんは!かしこまりました!
長い間お付き合いいただき本当にありがとうございました!
おかげで宝物みたいな秘話になりました。嬉しいです。
こちらからも大好きとありがとうを伝えさせてください。

そして一つご相談なのですが、
もしそちらの状況に余裕がございましたら、
ロメオがそちらへ面会に行きたいな〜と思っております!
もし大丈夫そうなのであれば向かい、
キャパが厳しい!などございましたら、
墓下方面へ負けないでの旗を振ろうかと思います。
どうでしょうか? 長さ的には短い秘話を想定していますので、
それも合わせてご検討頂ければ幸いです。
(-64) 2023/09/24(Sun) 2:02:16

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ

「……そんな人間いてたまるか」

未完成品は、呆れたような声を出した。

その手に指が絡んだ瞬間、ぞくりと背筋が震え息を呑む。
恐怖に近いようなそれは己の理性が溶けかけているのを知らせたが、甘えると決めてしまった体はもう止まることができなかった。

人差し指から小指まで、最期は親指を添えるように、一本ずつ絡めれば握り返してくれる温もりがそこにはある。
そのまま手首を口元へと寄せれば甘く歯を立て口づけを落とす。
しばらく続けていたが離す頃には熱い息を溢し両の手でそれを抱えていた。

この手が欲しい、己に委ねるくせに無遠慮に押し入った温もりが。
後ぐされも何もない、ただじゃれ合ってるだけの行為が誰かにとっては過激に映るだけ。
誰の愛も、恋も、好きも嫌いも簡単には信じていない。
故に自分を暴き縛ろうとする存在など誰だってよかった。
しかしそれが好いている人間ならどれほど心地よいものか、この身をもって知っている。


「……ロメオ」

本当に嫌なほど信頼があった。
貴方は少なくとも今だけは一番都合がよい。

「今だけは、
 おれを欲しがってくれ」
(-70) 2023/09/24(Sun) 2:48:25

【秘】 門を潜り ダヴィード → corposant ロメオ

甘ったれてちゃあならない、の言葉にわずかに肩を揺らす。
自覚はあるらしい。

「……はい。今は分からないこと、知らないことだらけで。
 これから勉強していければと思います」

とは言うものの、部下を持ったり出世したりだのの話は遠い未来のことのように聞こえた。
生まれてからずっと先の未来なんて、永遠にやってこないような気さえする。

「……責任は怖いです。重いです。
 でも、逃げる方がもっと怖い……」

生きるための逃げはありだ。でもこれは茫漠とした未来に怯えているだけ。
その認識ができているから、そこから逃げようとは思わない。
それから続く言葉にはっとして。

「俺、ロメオさんに俺を信じてって言いましたね……!?
 いや、騙したりとかそんなことしませんからね」

わたわた。おろおろ。
そんな擬音が似合う狼狽えっぷりに、貴方のことを疑っている様子は微塵もなかった。
(-123) 2023/09/24(Sun) 9:05:04

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → corposant ロメオ

/*
ありがとうございます、嬉しいです!
そして面会についても問題ありません。
来ていただけるのならとてもとても嬉しいので墓の下でお待ちしております!
どうぞまたよろしくお願いいたします。
(-129) 2023/09/24(Sun) 9:58:26

【秘】 corposant ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

/*
面会やったー!ありがとうございます!!
それではこちらの方から尋ねさせていただこうと思います。
こちらこそまたよろしくお願いくださいませね。
(-161) 2023/09/24(Sun) 15:12:58

【秘】 corposant ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「オレもわかんね〜事ばっか。同じだね。
 あんたは若いからさ、多分機会も経験も色々あるよ。
 そういう風に志がある時点で、のうのうと口を開けて
 時間を浪費している人間たちとは差がついてますからね〜」

だからあんたなら大丈夫だよ、と背を押す。
こうしている間にも、確実に、少しずつ時間は進む。
どうせならそれまでにデカい存在になって欲しいのだ。

「うん。怖くて重たくて持ちたくない。
 だからそれが持てたら十分大人だよ。
 ケジメがつけられる男はカッコいいぞ」

逃げれば背を向ける事になる。
背を向けた光景の先で、取り返しのつかない事が
起こることだってあるかもしれない。
逃げる方が怖いのは、ロメオも同感だった。

「アハハ。知ってるよ。
 ダヴィードくんはいい子だもんな。
 おつかいもちゃんとできるし」

散々アドバイスしたのに、結局は子ども扱いして笑った。
わざとだ。
悪意が無いことは、貴方には伝わっているだろうけど。
(-165) 2023/09/24(Sun) 15:27:38

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「はい。
 だから、オレは別に人間じゃないんだと思います」

ひとのかたちは笑った。特に何の感情も無い笑みだった。

引き寄せられるその手首に、甘やかな痛み未満の痛みが走る。
口付けを重ねる毎に手にかかる吐息の熱さが増していく気がした。その最中に頬に手を添える事もしたかもしれない。
甘えられている。求められている。
貴方の普段の姿を知っている。
それでもこれは何を言うことも無かった。
穏やかにそれを見つめて、ゆっくり、頭を撫でて。

「……え?」

それに少しばかりの驚きの色が乗るのは一瞬だけ。

(-174) 2023/09/24(Sun) 16:04:29

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「───あんたの事、欲しがっていいんですか?」
「嬉しいな……ハハ」

少しの思考の間を置いて、たちまちこれは喜色を見せた。
貴方から感じる熱をそっくり映したみたいに、
穏やかだった瞳は柔らかさを変えている。
清潔な、くすくすとした小さい笑い声。

それはこれの心からの反応だろうか。
それともこれの機構が相応しい反応を見せているのだろうか。


「欲しがってるのはあんたでしょう」
「……なんて意地悪な事は言いませんよ。無粋ですから……」

また貴方の顔に手を添える。実に愛おしそうに触れて見せる。
抱えられている手も解いて。温かい手のひらは両の頬に。

「ね、何をしてほしいんですかあ」
「好きにしろって言うんなら好きに。
 ああ、キスはしていいんですか? オレ、好きなんです」

さり、さり、と今度は親指が貴方の頬を撫でている。
欲しがるように。
(-175) 2023/09/24(Sun) 16:05:11

【秘】 路地の花 フィオレ → corposant ロメオ

首に腕を回したまま、うーんと少し考えるような素振り。
普段は注射器やら小さなナイフやらで、懐に入って目立たないように殺すばかりだったから。
それじゃあ、つまらないだろう。
あの子達を殺したことと釣り合わない。

「……拳銃、とか」
「ちゃんと自分の手で殺したって、思いたいから」

基礎の基礎くらいは教わったけれど、結局活かせずにいる拳銃の技術。
どこを狙うべきなのか、そういったところから教わることになるのだろう。
ただでさえ対格差のある相手だから、知識はあって損はないのだ。

「正義とか悪とか、結局」
「その人の中だけの価値観だものね」

押し付けるものでもなし、だからそれを大義名分にしているような人は苦手だ。
自分の為と割り切っている人間の方がよっぽど信頼できる。
自分がそうしたいから、自分がそうありたいから。そういった考え。

「それに、誰にも見えないところで死んでもらっても困るもの」
「ちゃんと死んだことが分からないと、子供たちを安心させてあげられないわ」

「早く、解放されるといいわね」
(-184) 2023/09/24(Sun) 16:55:16

【秘】 門を潜り ダヴィード → corposant ロメオ

「そうだといいんですけど……」

口では格好いいことを言って、本当に自分がそうあれるのか分からない。そうなりたいと思った分だけ、理想の自分と今の自分はかけ離れていく。
でも、背を押してくれる貴方の期待を裏切りたくはないから、前に進むしかないのだ。

「うう。そう言われたらもう……
 カッコよくなるしか道がないじゃないですか。
 これが終わったら……頑張らないとなあ」

勿論、そのための相談だったのだから貴方は何も間違っていない。
この一連の事件が片付けば、組織内も一気に騒がしくなるだろう。食い付いて、責任を引き受けるに相応しい立場に上り詰めることだってできるかもしれない。
それはきっと茨の道だろう。

「……もう!
 そりゃあいい子ですけれどね、俺は。
 そうじゃなくてですね、……も〜」

子ども扱いが嬉しかった。後輩として可愛がってくれることが嬉しかった。
いつかこういった一面は弱さとして淘汰されていくのだとしても、一緒に笑いあう時間はとても幸せなものだった。
(-187) 2023/09/24(Sun) 17:07:04

【秘】 corposant ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

底の固いショートブーツが留置所の廊下を鳴らす。
一つに括った髪を揺らしながら、
瓶底眼鏡は並ぶ牢屋を一つ一つぼーっと眺めていた。

がつ、がつ、

がつ。

そうして大股ののんびりとした足音は、
貴方の牢の前で止まった。

「ニーノ」

牢の中にあるだろう貴方の姿に、
極めていつも通りの声を掛ける。
返答はあるだろうか。
(-189) 2023/09/24(Sun) 17:08:25

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → corposant ロメオ

昨日までは毛布に包まって蹲っていた男は、それでも今日になれば起き上がることも増えていた。
身体を冷やすのはあまりよくないから、今日も毛布に包まってはいたが。
ただ起き上がってもすることがあるわけではない。
壁に凭れ上手く動かない右手を、それでも動かせないかと無理に震わせていたところ。

「……ぇ」


不意に名を呼ばれて目を丸くして、そちらを見る。
ねえさん、が来ることまではまだ予測できたのだ。
けれど、貴方が来ることまでは予測できなかった。

「……ろ、ろーにい」
「なんで……?」

こうなる少し前、結局最後はそこに落ち着いた呼び名を口にしながら。
慌てた様子で駆け寄ればその顔を見上げる。
外傷はあまりなかった。異様に腫れて、甲に抉られたような傷口が開いた右手以外は。
(-204) 2023/09/24(Sun) 18:33:24

【秘】 corposant ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「心配だから来た」
「遅くなってごめん。もう少し早く来る予定だったんだけど」

声を聞けばほっとしたような表情で、
少し屈んで目線を合わせた。
仕事の合間に面会に来たのだとロメオは言った。

「ここって物の受け渡しは可能?
 うちの店のパン持ってきたんだけど、食えるかな」

「……………聞きたい事もあるし」

そう言って目を細め、右手の甲の有様を見る。

「お前が捕まったって聞いてびっくりしたんだ。
 ホントにろくでもねえ法律だよ」
(-218) 2023/09/24(Sun) 20:22:44

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ

頬を撫でられる度に蕩けた視線を送り喉を鳴らす。
すっかりいつもの威厳とプライドは落としてきているようだ。

「何って……お前が、欲しい……。
 好きにして、いいぞ……?」

ゆっくりとわざとらしく告げるのはいつもの何でも良いとはワケが違うからだ。
今は受け身ばかりで甘えてはいるが、この身はいくらでも慣れている。
いざというときも、貴方が止めたいのなら好きに止めれば良い。
そんな意味を込めつつ、ここで理性を取り戻したくもなくて貴方の喜色に目を細めた。

――普段の姿も、今のこれもきっと貴方なのだろうと。

「好きにして、良いが…………キス、は」

今時生娘のようにキスを特別視しているわけでもなければ、唯一視をしているわけでもない。
それでも、敢えてしないという選択肢を常に採っていたのは、何故だったか。
……された覚えがほぼないからで。
まともな愛情を受けたことがない人間は愛情の伝え方が分からないという。
不器用な物を受けて正しく歪んで受け取っている、その分バランスが悪くこんな風に体調を崩すのだ。

「……付き合ってる人間もいない、から、問題はない……」

いないよなと一度目を閉じ考えて、浮気をできない人間は頷いた。
それにしても目の前の男はキスをたくさんしてきたのだろうか。
それは…………何処か言葉にできない感情がよぎって考えるのを止めた。
(-219) 2023/09/24(Sun) 20:27:33

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → corposant ロメオ

「謝ること、べつに……」

ないよ、と。
伝えながらもなんだかこわかった。
自分と関わりがあるところを見られて、貴方まで捕まってしまうんじゃないかということが。
そう恐れているくせに、どうにも。

「……パン」


ぐう、とお腹が鳴った。身体はどうにも素直なものだ。
恥ずかしくて若干視線を逸らしつつ。

「いいと思う……。
 あ、でも、その、格子越しでいいから。
 忙しくなかったら、あれ……あーんしてほしい。
 手、これだから……」

左を動かせば右も動く仕様になっているので、もれなく何をしても痛む。
どうにもスプーンが上手く持てずに、食事が碌に取れていないゆえの空腹だった。

「オレが捕まったのは……あはは。
 いると、都合悪かったんだろうな」
「ろーにいはだいじょうぶ?大変なこと起きてない?」
(-224) 2023/09/24(Sun) 21:02:31

【秘】 corposant ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「大丈夫だよ。不安のデカさは伸びしろのデカさだ」

手伝いならいくらでもするからさ、と
いつもみたいな事も言った。
過度な期待を寄せているわけじゃない。
けれど可愛い後輩を応援してやりたい気持ちは強いのだ。

「応援してるぜ〜。
 オレもな〜んかまだやる事多くなりそうな気がするし……
 負けてらんねえなあ」

とはいえこちらに出世欲というものは殆どなく、
現状維持に努めるばかりだが。
回って来る仕事をこなすうちに昇格の知らせでも届こうものなら、露骨に嫌な顔をするのはこの男くらいなものだろう。

「アーハハ。お使いありがとさん。
 たまには頼む側の感覚も思い出しとかなきゃあな」
「……さて、そろそろ行くかな。
 今日は仕事しながら遊ぶんだ」

半分ほどになったコーラのペットボトルを持って踵を返す。

「またなんか美味いもんあったら持って来るわ〜」

そう言って、後ろ手にふらふらと手を振った。
呼び止めなければそのままどこかへ行くだろう。
(-226) 2023/09/24(Sun) 21:13:41

【秘】 corposant ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「だってもっと早く来たかった。
 心細い思いさせるかと思って……」

そう言うロメオに怖がっているような様子は見えなかった。
看守を気にする素振りも無く堂々としていた。

「や、そうだろうな。待ってろ」

そう言って取り出したのは塩バターのフォカッチャだ。ベーコンも入ってるから腹に溜まるだろうと思い、バイト先のパン屋でちゃんと買ってきたものだ。

「ほら。あーん」

一口サイズに千切って、貴方の口へ運ぶ。そちらの咀嚼に合わせてそれを続けるだろう。
水分はパックジュースを持ってきたので、牢の間から差し込むからストローを吸ってくれればいい。

「ったくよお。いい加減にしてほしいよな。
 もう警察やめちまえよ、お前」
「オレん周りもバタバタしてるよ。何とかやってるけど」

「……その手さ」

そうして、気になる事を尋ねようと。

「やられたろ。尋問か、拷問か……」「……同僚に」

「イレネオ。イレネオ・デ・マリアって奴か?」


──潜めた声で少し踏み込んだ質問をした。
自分の持っている情報と嫌な予感を掛け合わせて、
知っている名前を一つ挙げ。
(-229) 2023/09/24(Sun) 21:30:54

【秘】 corposant ロメオ → 路地の花 フィオレ

「拳銃か、いいね。それじゃあそうしよう。
 防がれる心配も無いし近接より反撃の可能性も低い。
 隙さえつけば相手が銃持ってても抜かせないで済む」

頷いて、いい選択だと。

「OK、使い方は流石に分かるな?
 ちゃんと狙いを定められるようにしなきゃあなあ……。
 後は……いいものが欲しけりゃ手配できる。
 ちっとばかしコネがあんだ、サイレンサーだってあるぞ」

万が一仕留めきれずに、なんてもやもやすることは避けたい。
それならば威力のあるものを選んで、
確実さを求めるのもいいだろう。

「そういう事さ。人による」

やりたい事をやるためのカッコつけた理由付けでしかない。
正義だ悪だとのたまう奴は、決まって言い訳がましいのだ。
好きにしたいなら、何も言わずに好きにしたらいい。

「それなら死体はわざと残すか?
 うっかり人目に付くのは避けたいが、
 それは人払いでも頼めば済む話だしな」

「悪党の数だけ眠れない夜の数があるだろうよ。
 安心させてやりてえよな〜」

……自分たちも悪党である事には変わりないが。
(-230) 2023/09/24(Sun) 21:53:35

【秘】 門を潜り ダヴィード → corposant ロメオ

「ロメオさん、言いましたからね。
 応援して、困ったら手伝ってくださいね」

いちいち言質を取るような言動をする。
これはただ嬉しくて、貴方の言葉を反芻している状態に近い。

先輩が嫌がることを変わるのも後輩の務めだと言う。
貴方が面倒で無理な仕事を無茶苦茶に詰め込められるのを見ていられないから、代わりに上に行って文句を言う。
そういう原動力もあってもいいのかもしれない、とふと思った。

「ム、……他に必要なものあれば、また送ってください。
 良い子の後輩が何でも買ってきますよ、先輩!」

あと俺、いつでもお腹空いてる奴だと思われてないだろうか。
あんまり間違っていない気がするのがちょっぴり情けない。
そんなことを思いながら、貴方の背を見送った。
(-232) 2023/09/24(Sun) 22:17:51

【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「へえ。好きにしていいんですか?
 それならオレ、嫌んなる程優しくしますね。
 人の事甘やかすのが好きで……いっぱいあげますよ、うん」
「あんたってかわいい人なんですね。アハ……」

すっかり蕩けたその様子が、これの目には良く映ったらしい。
身を委ねられるというのは悪い気はしない。
気を良くしてまたぐしゃりと頭を撫でて。
キスをしていいと聞けば、「やった」と素直に喜んだ。

「折角だから沢山可愛がりたいんです、あんたの事。
 誰もあんたをうんと甘やかさないんなら、オレがそうします」

そう言うなり、貴方の瞼にそっと口付けを落とした。
それから頬、それから鼻先に。それから額に額を合わせて、

「いっぱいあげるから、いっぱいくださいね」
「オレ、あんたの事好きなんで」

唇に、口付けた。軽く吸い付けては離れて、
拒まれなければ、次は唇の隙間から舌を差し込んで。
(-249) 2023/09/24(Sun) 23:10:41

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → corposant ロメオ

さらっと形にされたこの身と心を案じる言葉には目を瞠り。
今の状況も相まって妙に染みて、つい涙腺が緩みかけた。
どうにもここに来てから壊れてしまったように思える。
脳裏に掠めるのはバーカウンター、それから子守歌が聴こえた帰り道。
ぬくもりにふれたいな、と思った。

「……あーん」

色んな心を感じて漏れ過ぎない様に言葉を選んでいる間、気が付いたら口元にパンがやってきている。
なので大人しく口を開いて食せば知っている味だった。塩バターのフォッカチャ。シンプルでいて小麦の香りがふんわり、おいしい。
パックジュースも水分として時折、ストローからこくんと飲みつつ。

「あの、ありがと」
「警察は……あはは、本当にそうなっちゃうかもな」

全部ひっくるめての感謝を伝えた後、眉を落として笑む。
そうしていた表情が──貴方の問いかけで軽く青褪めた。
だってまさかその口から名前が出るとは思っていなくて。
すぐに答えは返らず、けれどその態度が解を示している。
思い出す、甲に走る熱い痛み、唇に触れた感触。

「……なんで、しってるの?」


そうしてようやくの言葉は、問の形を為していた。
(-255) 2023/09/24(Sun) 23:27:36

【秘】 corposant ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

口に運べば、ちゃんと食べてくれる。それで少し安心した。
物も食べられないくらい弱っていたら、
どうしようかと思っていたのだ。
食べられるなら食べてくれた方がいい。

牢の中に入れるのならば、今すぐ抱きしめてやりたい。
それでもそれは許されないから、
貴方が解放されたらうんとそうしてやろうと思った。

「いいよ。来たくて来た」
「オレんとこのパン屋で一緒に働くか?
 それとも他の職場も紹介できるところはあるけどな」

それも楽しいな、とも思う。
勿論警察のまま頑張れるなら一番だが、こんな事があったのだ。
そう出来ない事情はあっても仕方がない。

「…………はあ。ビンゴか」


重たい溜息。

「センパイが世話んなった事があるらしくてなあ。
その話を聞いて、そういやここにそいつも捕まってたと思ってな」

「イヤーな予感がしたんだよ。
 まさかとっ捕まった身で他の奴らに手は出してねぇだろうなって」

「なあ、お前だけか?
 それともここにいる奴ら、皆やられてんのか」
(-258) 2023/09/24(Sun) 23:53:34

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ

とんでもないものとの契約をしてしまった気がするがもう遅い。
緩やかに与えられはじめる刺激は擽ったく、普段自分が女相手に為すようなもので。
殆ど何をしてくれるかわかるはずではあるのに、惚けた脳が理解するのを一歩遅らせてくる。

「ぁ……っ、うっ……ん」

唇を重ねられ、慣れないのか一瞬だけ眉をしかめさせる。
息をするタイミングを実際に試しながらで伺い、次も拒むことがないからまた重ねられた。
むしろ自分から重ねにいってしまった気もしたが、もうよくわからなくなってしまった。
まるで餌を与えられるように舌を絡め口の端から唾液を溢しても貪ろうとする、身体は段々と昂ぶっていて只の甘やかしには不要の産物に溺れていく。

息継ぎのために離されれば漸くかけられた言葉を頭の中で繰り返した。
それに拒む言葉なぞついぞ出なかったが、

「……こんな、の。俺相手じゃなかったら、……刺されるぞ……」

一体何人のやつを誑かしてきたのだろう。
自分とはまた違う範囲限定の無償の愛と、悪い誘いに慣れていない人間はどうなってしまうのか。

その好きという言葉には、俺もだと、誤魔化しようもない言葉を返して。
また深く甘ったるい口付けを所望していただろう。
(-260) 2023/09/25(Mon) 0:09:18