人狼物語 三日月国


145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】

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視点:


【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ

このところ、意識が向くことが増えた森。
定まらない行き先をそれとなく誘導して、外からの風が頬を撫でる場所に。
換気というのは気分転換に丁度いい。

「………」

掠れた声で吐露される、周囲への心配。
今はその唇から歌が紡がれることはなくて、少し寂しい。
少女もきっと悩みを抱えているのに、他の生徒を案じる言葉が先に出てくるのは確かな優しさなのだろう。
日常を保とうとする努力が生む効果はよくわかっていた。

声を掛けられたら良かったのだけれど、この喉から漏れるのは音にもならない空気だけ。
だから代わりに、黒板が線を引く音を声にする。

『これは私がそう思うだけなのですが』
『私は、いつも通りじゃない時があっても良いと思います』
『全部が元通りでなくても、問題はいつか解決するときが来るから』

(-110) 2022/05/03(Tue) 20:43:00

【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ

『皆の前で頑張る人が、報われてほしいと思います』
『だから私の前では少しくらい、いつも通りじゃないシャルロッテちゃんでも良いんですよ』

眉を下げた笑顔に後輩への心配と慈愛が混ざる。
自分の喉元をとん、と指先で叩いた。
それがあなたの喉のことを示しているのは伝わっただろうか。

『私では役に立てないことも多いかもしれませんが』
『いつでも相談してください。頼ってください』
『それだけ覚えておいてほしかったんです』

あなたが抱える気持ちを受け止められる先輩でいたかった。
その背に頼るか、頼らないか。
それはあなた自身の自由だ。

この小さな上級生が伝えたいことはそれが全て。
だから後は勉強会の話だとか、明日の日替わりメニューの話だとかを話してもいいし、もっと違う話をしてもいい。
ここから立ち去るかどうかも委ねられている。
(-111) 2022/05/03(Tue) 20:43:28

【秘】 充溢 バレンタイン → 夢見る乙女 シャルロッテ

「僕は、あまり僕に自信を持てていないからさ。
 皆に迷惑をかけるのはそこまでじゃないけど……
 病気で情けないところを見せるのは少し嫌かな」

つらつらと、不安以外の言葉を選んで。
幸い一度飲み込んだものだから、押さえつける物はないけど、
溢れ出てしまう心配もそれなりに少なくなっているみたいだ。

「かといって、閉じ籠るのも気が進まないし。
 少しでもダメだなって思ったらすぐ帰る……とか、いいのか?」

歩ける時に歩いておかなければ、
治るものも治らないだろう、頑張ってみるのもたまにはいい。
(-134) 2022/05/03(Tue) 23:19:55

【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ

そんなことない、と言おうとして、口を噤む。
少女にとってあなたは、とても目映い素敵な男の子。
けれど、家族お父さんに出来損ないを詰られる気持ちは、少しだけわかる。
『シャルロッテ』はそうじゃない、と何度も言われたから。

けれど、少女がそうやってまごついている間に、あなたは。

やっぱりまぶしいな、と思う。

まっすぐな言葉。
誘惑に縋らない強い心。
あなたはちゃんと、大切なことを知っている。

(-163) 2022/05/04(Wed) 2:03:04

【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ

ちらと視線を落とす。
その先には、隣を歩くあなたの手。
少女は勇気を出して、そっと、その手を取った。

「……うん」
「バラニが家を継ぎたいなら、そのために病気を治すことが必要なら、ロッテも早く治ればいいなって思う」
「でも」
「病気さえ治れば上手くいく訳じゃないって、それだけではだめだって言えるバラニは、とっても強い」

「きっとね、バラニが立派な大人になったとき。
いろんなことを勉強して、今よりもっと素敵になったとき。
そのときには、病気もよくなってるんだと思う」

それは、もう少しこのままでいたいという少女の身勝手な願いかもしれなかった。
それでも。
特効薬のようなもので一足飛びに解決するより、今、ふたりで歩いているみたいに、ゆっくりと変わっていけばいいと思った。
(-164) 2022/05/04(Wed) 2:04:06

【独】 夢見る乙女 シャルロッテ

/*
>まだ治らなくていい

アア〜〜〜〜〜〜〜!!!!!でもお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!
治療されちゃう!!!!!!!!!アア!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ヤ゛゛゛ダ゛゛゛゛゛゛ウウ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
(-165) 2022/05/04(Wed) 2:05:35

【独】 夢見る乙女 シャルロッテ

/*
バラニが先に死んでくれるのうれしかったけど、どんどんヤになってきたな……ヤッ……
(-166) 2022/05/04(Wed) 2:06:24

【人】 夢見る乙女 シャルロッテ

>>30 リアン
「ううん、ロッテはまだだめ」
「だって、思いつかなかったもの」

準備に手間取っていると小さい子たちはすぐに気が逸れてしまうとか。
宿題は自分でできても、もっと先のことを勉強したいとか。
まだまだ、あなたたち上級生のようにはいかない。
少女はすこしばつが悪そうに眉を下げた。

「あ……じろじろ見てごめんなさい」
「でも、そう、リアンの仮面。
いつもは反対側じゃなかったかなって、思って……」
(39) 2022/05/04(Wed) 2:47:33

【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピス

ふらふらと当てどなく歩く足は、不安の元凶と思しきものへと吸い寄せられそうで。
けれど、あなたが正してくれるから、今は、怖いもののないところへ。
心地よい風が駆けてゆく。
かすかに聞こえる固い音は、あなたが声を上げていることのしるし。

いつも通りじゃなくてもいいこと。
頼らせてくれること。

役に立てないだなんてとんでもない。
それだけは否定したくてかぶりを振った。
そうしてあなたの優しさに触れ、少女の口からぽつりとこぼれ落ちるのは。

「――バラニが」
「いつもロッテのことを助けてくれる」
「でも、バラニだって不安なの」
「だから、」

『みんな』ではなくて。
みんなの前で頑張る、あのとびきりまぶしい男の子の支えになりたかった。
けれど、それはきっと、『シャルロッテ』が口にしてはいけない言葉だ。
(-171) 2022/05/04(Wed) 2:48:29
2022/05/04(Wed) 2:49:11

【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 充溢 バレンタイン

なるほど。それなら人前はよくないかも、と聞きながら思う。
けれど、かと言って閉じこもる気分でもないらしい。
ふむ、と口を開きかけたところで、あなたの口から答えが導かれる。

「うん、ロッテもそれがいいと思う」
「途中で抜けたって、きっと平気。
無理して留まっても、宿題は進まないもん」

そういえば、朝食もよく噛んでくれていたように見えた。
頑張ろうとしてくれていることが、なんだかうれしい。

「それじゃ、部屋に必要なものを取りに行こう。
筆記用具とか、肝心の宿題とか」
(-172) 2022/05/04(Wed) 2:50:27

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

「シャ、シャルロッテくん……!?」

不意に手を取られて、驚いたようにそちらに向いた。

どきどきと、胸が高鳴っているのが否応なくわかる。
こうしてみたいと願うことはあったけれど、心の準備ができていない内にそうなってしまうと緊張ばかりを感じてしまう。

「すっ、すまないね! 大きな声を出してしまって……
 ええと、うむ、ありがとう……嬉しいよ……とっても」

言いたいこと、伝えたい気持ちはたくさんあるのだけど、出てくるものはその切れ端ばかり。
顔がとても熱くて、熱に浮かされているのようだと、これこそ病のようではないかと思って。

このまま、まっすぐに君の顔を見ることも難しいとも、思うのだけれど。

(-173) 2022/05/04(Wed) 3:06:44

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

「…………」

まだひとつ。こんな幸せがあっても、幸せだからこそ、拭いきれぬ不安がある。
慎重に言葉を選んで話をした、まだ言ってはいないこと、不確かなことだけど。

「シャルロッテくん」

「今から私の言うことは……まだ、本当かどうかもわからないことだから……」
「全部信じなくてもいい、私もわからないし、そうかもしれないというだけで」

曖昧な言葉とは裏腹な険しい顔をしながら、君をしっかりと見つめて。

「……昔の話だけど、神隠しに遭ったと言われる子は病気の治療のために……
 酷いことをされていた、らしい。それで、結果的には病気は治るのだけれど
 それは、今でも続いている……かもしれない、まだ本当かわからないのだが」

「アオツキ先生に、そう、教えて貰ったのだ……内緒だと、言われていたけど」
「君には……どうしても、伝えて置きたい理由があって……」

内緒だと言われていたにも関わらず、声を震わせながら自分の知りうることを伝える。
不確かな情報しかないけれど、その可能性があることにバラニは耐えられない理由があった。

「わ、私は──」

(-174) 2022/05/04(Wed) 3:07:28

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

「──君が、好きなんだ……!」


「友人ではなくひとりの
女性
として……君を、愛おしいと思っている!」

ああ、言ってしまった。
こんな不安から逃れるような告白など、彼女の言ってくれた立派な大人には程遠いのに。

「だからこそ、だからこそ……君には、酷い目に遭って欲しくないんだ……」
「君が酷い目に遭わないように……私が、君を……守ってあげたいんだ……」

私は今どのような顔をしているだろう。
せめて、涙を流すような酷い顔をしていないといいのだけれど。

このままずっと、君の顔を見てなんていられなかったから、俯いて隠してしまう。
(-175) 2022/05/04(Wed) 3:08:09

【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ

「……」

心地よい風が、あなたの心も軽くしてくれたら良い。
"だから"の先に、本当の願いが微かに見えた気がした。

『確かにバラニくんは頑張っていますね』

ジャステシアが居なくなったとき、彼は空いた時間を縫って探し回っていた。
朝の食堂でも配膳を手伝い年少の子達の面倒を見ている。
それは間違いなく称賛されるべき献身だった。
けれど、あなたの口からその先が語られなかったことが疑問に思えて。

『自分を助けてくれる誰かの力になりたい気持ちは、胸を張って良いことではないですか?』

何が躊躇わせているのだろう。
少女の口を塞ぐものの正体を捉えたくて、夜空のような瞳が向けられた。
(-182) 2022/05/04(Wed) 8:20:48

【秘】 充溢 バレンタイン → 夢見る乙女 シャルロッテ


「宿題が終わらなくて、
 多少怒られても……僕は気にしねえけど、
 まあ……だめなものはだめだからな……」

邪険に思われようが愛想を尽かされようが、
それ自体は不安でもないから特に気にはしないらしく。
病や薬の影響化になければ、この少年は、
基本的にマイペースで己の一歩一歩を行くような生徒だ。

「うん、じゃあいくか。
 勉強に集中できたら……あるいは眠くなったら……
 不安な事考えなくて済むしな」
(-188) 2022/05/04(Wed) 11:33:52

【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ

嫌だったかな、と不安がよぎる。
あなたは優しいから、きっと、振り払うことはできない。
慌てるあなたを見る。
けれど、どうやらそうではないらしい。
うれしいと言ってもらえると、少女もまた、うれしくなって。
——はにかむように笑んだのも、束の間のこと。

(-189) 2022/05/04(Wed) 12:26:40

【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ

『神隠しに遭った子供は治療のために酷いことをされる』
『今でも続いているかもしれない』


『あなたは“女の子”の“シャルロッテ”が好き』


(-190) 2022/05/04(Wed) 12:27:09

【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ

胸が軋む。
掠れた呼気が漏れる。
この喉は今、変声期を迎えている。
それはいずれ自然と治るもので、けれど。
そのとき、かつてのようなソプラノの声は永久に喪われるだろう。


あなたの愛する『少女』の寿命は、もう、幾許も無い。


少■は眉を歪めた。
あなたは絶対に『少女』を守ることができない。
恐ろしい治療からではなく、時の流れから。成長の痛みから。

「…………バラニ、」

——あなたに愛される資格を得るためには、どうすれば。
それはきっと、『シャルロッテ』が願ってはいけないことだ。
『シャルロッテ』は『お母さん』にならなければならない。
『シャルロッテ』は『お母さん』お父さんのお嫁さんにならなければならない。
見ないふりをした呪縛に足を掴まれる。それなのに。それでも。
少■は震える声をこぼした。

「…………わ、たし、は」
「……バラニのことが、」

好きになってしまった。
あいしている。
けれどそれを今ここで告げるのは、あなたを騙すのとおんなじだ。
息が詰まる。……どうすれば。

(-191) 2022/05/04(Wed) 12:28:39

【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ

「————ぁ、……お、」
先生お父さんは、酷いことなんて、しないよ」

「『お父さん』は、いつでも正しい」


初めて繋いだ手は、呆気なく離れてしまった。
少■が離した。
嘘をつき通す勇気も、本当のことここにある歪みを伝える勇気もなかったからだ。
じりじりと後退り、そのまま、背を向けて駆けてゆくだろう。
(-192) 2022/05/04(Wed) 12:29:19
シャルロッテは、バラニに恋をしている。
(a16) 2022/05/04(Wed) 12:29:38

シャルロッテは、でも、
(a17) 2022/05/04(Wed) 12:29:48

シャルロッテは、——————
(a18) 2022/05/04(Wed) 12:29:57

【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピス

そのことを考えると、胸がくるしい。
言葉がつかえて出てこなくなって、無意味な喘鳴だけが幾つもこぼれては、風に攫われてゆく。

「……………………でも、」


長い沈黙。
ようやく絞り出されるのは、消え入りそうな声。

「…………バラニは『女の子』の『シャルロッテ』が好きだから」


少■は、彼に愛される資格を持たない。

「…………『シャルロッテ』は『お母さん』お父さんのお嫁さんだから」


少女は、彼を愛してはいけない。
(-193) 2022/05/04(Wed) 12:31:29
夢見る乙女 シャルロッテは、メモを貼った。
(a19) 2022/05/04(Wed) 12:32:33

夢見る乙女 シャルロッテは、メモを貼った。
(a20) 2022/05/04(Wed) 12:32:55

夢見る乙女 シャルロッテは、メモを貼った。
(a21) 2022/05/04(Wed) 12:33:39

夢見る乙女 シャルロッテは、メモを貼った。
(a22) 2022/05/04(Wed) 12:34:26

【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ

風に攫われそうな声を、聞き逃さないように拾い上げる。
抱えたものに押し潰されそうな苦しげな声。
どうにか和らげてあげたくて、小さな子にするようにその背を撫でた。
胸につかえた想いが零れる間も、拾い上げた言葉を吟味する。

身体的性別が男性であることは、知っている生徒は少なくなかったと思う。
自分もそのうちの一人。
教師にお父さん、という呼称を使うことも周知であったろうか。
ただ、その後の言葉はわからなかった。『お母さん』。

何も全貌をわからないまま、不用意な言葉を掛けられない。
書けない。
だからもっとその心の中を垣間見るように、でも傷を広げすぎてしまわぬように。
一緒に悩めるように。

『バラニくんが、"女の子"の"シャルロッテちゃん"が好きだと言ったのですか?』
『先生方をお父さんと呼ぶのには、何か、あなたを縛る理由がありますか』
(-201) 2022/05/04(Wed) 14:22:02

【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 充溢 バレンタイン

「あはは、レンは結構マイペースだからね。
でも終わらなかったらそのときは、そのとき」
「うん、うん。
それもあるよね、何かに集中すれば、嫌なことをちょっとだけ忘れていられる」

だめなものはだめだけれど、不調を押してまでするものでもないのだし。
終わらせることそのものよりも、なにか、少しでも楽になればいいと思った。
二人は寮の部屋へと向かい、筆記用具などを用意するだろう。
室内のあらぬところに置かれた本を見つけては、少女は「またこんなところに置いてある」なんて笑った。
(-205) 2022/05/04(Wed) 17:58:00

【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピス

背を撫でてくれる手のぬくもりに促されるように、一粒。
赤い瞳から、色のない雫がこぼれる。
白い頬を伝い、落ちてゆく。

「……バラニはロッテが本当は男の子だって知らないの」
「知られたらきっと、嫌われちゃう」

女の子ならよかったのに。
そうすればきっと、みんなが幸せで。
ここにいる間だけでも、あの子のそばにいられたのに。
ぱち、ぱち。濡れた睫毛から雫を払うように、少■は瞬いた。
それは、あなたが不思議な言葉を続けたからでもある。

「――先生お父さんは、先生お父さんだよ、?」
(-206) 2022/05/04(Wed) 17:58:58
シャルロッテは、バレンタインとエルナトにのんびり手を振った。
(a32) 2022/05/04(Wed) 18:41:47

【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ

背を撫でる。言葉が全て吐き出されるように。
流れる涙には、ハンカチを差し出したりして。

『バラニくんは』
『性別ひとつで誰かを嫌う人間だと
 シャルロッテちゃんは思いますか』

打ち明けてみろとは言えないし言わない。
それこそ無責任だから。
結果はこの場の誰にも断言できないから。
ただ、彼がそういう人間であると思わないのなら、考えてみる価値くらいはあるのだろう。
今のままを、続ける自由だってあるのだろう。
それはあなたが、■■■■が選択すべき決断だった。

「………」

お父さん、という呼称は実親を指して使う、或いは子どものいる母親が配偶者を指して使うものだと認識していた。
けれどシャルロッテは、全ての教師をそう呼んでいる。
バラニを愛してはいけない理由に、『お父さん』を挙げる。
どうしても結びつけがたい何かが浮かびかけている。
それらを全部押し込んで、敢えて何でもないようにチョークを走らせた。

『変なことを聞いてしまいましたか』
『お父さんというのは、一人だと思っていたので』
(-209) 2022/05/04(Wed) 18:45:08

【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピス

ハンカチを受け取り、きゅっと握る。
縋るものを見つけたみたいに。
あの子は優しいから、友達にならなってくれるかも。
少■が口を噤んでいれば、話ぐらいはできるだろうか。

「………………わ、から、ない、」

それは、告げてみるまで誰にもわからないことだった。
だからあなたも、簡単に『大丈夫』だとは言わないのだろう。
だから少■も、勇気を出せずにいる。
そして、わからないことがもうひとつ。

「……『お父さん』は、ひとり……」
「ひとりなのに……?」
「……ここに先生お父さんがいて……でも、家族お父さんのところに帰らなきゃ……」

——おかしいな。
『お父さん』がここにいるなら、一体どこへ帰るんだろう。
或いは、『お父さん』のところへ帰るなら、ここにいるのは誰なんだろう。
(-214) 2022/05/04(Wed) 19:31:17
夢見る乙女 シャルロッテは、メモを貼った。
(a33) 2022/05/04(Wed) 19:34:03

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

「っ、ま、待って、シャル────」

それ以上、声が出なかった。
手を伸ばすことができなかった。
背を向けて駆けていく君を追いかける一歩も、踏み出すことができなかった。

この手に僅かに残ったぬくもりが、空気に融けて消えていく。
伝えるべきではなかったのだろうか……この想いも、不確かな情報も。

そこに残ったものは、君との関係が修復不可能になるかもしれない不安と、とても大きな後悔の念。

「おとう、さん……」

「ひとりで舞い上がり、先走って……私は……」

溢れて零れ落ちそうになる涙を必死に堪えながら、絞り出すように独り言ちる。
あなたの背がとっくに見えなくなっても、バラニはその場に立ち尽くしていた。

歩き出せるようになったのは、それからしばらく経ってからのことだった。
(-225) 2022/05/04(Wed) 20:08:31

【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ

『そうですね』
『わからないことです』
『誰にも』

ただ一人、バラニ以外には。
まだ、考える時間が必要なのだと思った。
縋るように握られるハンカチを一瞥して、また黒板に視線を移す。

「……」

シャルロッテの言葉の端々から、錯乱のようなものが伝わってくる。
お父さんと呼ぶ人が複数人いるということは、その混乱の原因に深くその存在が関わっていることの証左ではないだろうか。
少しずつ少しずつ、問い掛けを重ねることで何かが姿を現してくる。

『お父さんは、バラニくんと仲良くするのを許してくれないでしょうか』
(-229) 2022/05/04(Wed) 20:26:48

【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピス

「………………」

何もかもがわからなくなり始めていた。
当たり前が壊れてゆく。
見ないふりをした呪縛が、足首を掴んで離さない。
ただ、あなたがこちらを案じて、慎重に言葉を投げかけてくれていることだけが。
そのやさしさだけが、今、理解できていることだった。

「…………だめ」

だめだ、それは。
問いかけに咄嗟に首を振る。

「『シャルロッテ』は『お母さん』」
「『お父さん』と『お母さん』はひとりずつ」
「だから、……だめ」

『シャルロッテ』は『お母さん』にならなければならない。
『お母さん』は『お父さん』の『お嫁さん』だ。
だから、だめ。
(-233) 2022/05/04(Wed) 20:48:54
シャルロッテは、一人で宿題に取り組んでいる。いつも通りだ。
(a41) 2022/05/04(Wed) 20:49:28