人狼物語 三日月国


227 【身内RP】une jeune sorcière【R18】

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【憑】 虹色カンタビレ サアヤ

 
「──何か願いが叶うとしたら
 君は何を願うのかな。
 でも、リッコーリスは自分を犠牲にしたら
 絶対怒るし、許さないと思うよ。
 自分はやるくせにね。
 
 これは、君に託していく。
 ささやかな願いくらいならきっと大丈夫。」

 
 
きっと、正しく使ってくれると信じて。
ボクはそれを置いて、ベアトリスに行こうと促した。
院内を歩いていくなら橋本彩綾の姿に戻ってね。
 
(15) 2023/10/28(Sat) 10:17:03

【憑】 虹色カンタビレ サアヤ

 
そして、何処かで二人きりになれたなら。
 
 
「ベアトリス…。
 ボクはね、イーリスの守護者になったみたい。
 君にもらった名前。その二つ名。
 虹色カンタビレ──虹を歌うように豊かにと
 光輝かせる、希望の篝火エスポワなんだ。
 
 ベアトリス。
 だから、ボクらは追われるかもしれない。
 姫様やユスターシュはあの国を締め出されるか
 それとも逆に乗っ取るかはわからないけど
 ボクたちはどうしよう?
 
 …ボクを、切り捨てたりしないでしょ?」

 
 
ニッ、と口角をあげて笑って見せる。
切り捨てられたら?なんて考えてやらないんだ。
人間らしからぬ傲慢さがそこにある。
 
彼女の手を取り、ボクの胸元に添えさせた。**
 
(16) 2023/10/28(Sat) 10:17:25

【人】 気紛れ飼猫 クロ

 
何処からか現れた黒猫。
にゃあんと一声。かちりと首輪が外れて、そのまま去っていった。
そこにきらりと光る虹色の宝石。
首輪は宙に浮かび、緩やかに色と形を変えて──今度はエスポワの首元に巻きついた。
彼女の衣装に合うように、白いリボンの装飾となって。**
 
(17) 2023/10/28(Sat) 10:19:54

【見】 不良少年 滝沢啓介

里津子はまだ話せる状態ではなかった。酸素マスクを装着、心音を測られている状態だ。

傍らの椅子に座り啓介はその手に手を添えるぐらいしか出来ない。

不甲斐ない自分を悔いても仕方ないが、その念はどうしても強かった。男は女の子を護りたいものだ、彼女が戦士、闘いのプロフェッショナルであろうとも。

エスポワの「もし願いが叶うなら」という問いに、啓介は少し黙り込んでから答えた。

真っ直ぐに顔を上げて。

 「願いは自分で努力して叶える。
 誰かに叶えて貰うもんはねえよ。
 里津子はきっと元気になる。
 俺は信じて傍にいるから。」

里津子の胸元に置かれた小さな宝石を見つめたが、啓介自身はそこに何も願いはしなかった。

傍にいる。待つ。
それが啓介に出来ることである。*
(@2) 2023/10/28(Sat) 15:22:26

【人】 焔の魔術師 ベアトリス

病室を出て、廊下の片隅にて。
エスポワと二人で向き合う。

彼女の言葉にベアトリスこと華夜は笑みを浮かべる。
確かに困難が待ち受けているだろう。しかし、華夜は彼女とならば乗り越えていけると信じていた。

 「切り棄てる?馬鹿なことを。
 あり得ないわ。私はもう、貴女以外はいらないの。
 でも、そうね……ドローイグやミュジークがまだ、
 イーリスを欲するならば逃亡生活に
 なるのかしら?愛の逃避行ってやつ?」

くすり、と唇に丸みを乗せた時であった。何処からか虹色の光が降り注ぎ、エスポワの首元を覆う。

それは首輪を象った。白い首輪に虹色の宝石がついている。

イーリスだ。

だが、不思議な現象はそれで終わりはしなかった。
何処から、声がしたのだ。

今まで聞いたこともない、男性とも女性ともわからぬ声が。
(18) 2023/10/28(Sat) 15:22:58

【人】 焔の魔術師 ベアトリス

 『私はドリーム。六大精霊の力を統括する精霊王である。』

 「精霊王?!まさかーー」

宝石が放つ神々しい光に華夜は思わずひれ伏す。
声は続ける。

 『私は今までイーリスの中に息づいて、人の願いを叶えてきた。
 その代償をエネルギーとして。

 何年も、何十年も。
 永劫なる時の中で、人と精霊全てを
 見守ってきた。
 
 そんな私ではあるが、
 一度も叶えたことがない願いがある。

 それは、私自身の願いだ。』

 「精霊王の願い……?」

キラリとエスポワの首元の宝石が光る。

 『ゆっくり眠りたい。もう大きな願いは叶えずに。
 微睡みの中で小さな願い程度を聞くのは良いが、もう。
 ーー休みたいのだ。』

 
(19) 2023/10/28(Sat) 15:26:48

【人】 焔の魔術師 ベアトリス

 『人の願いを叶えれば、人と精霊の
 橋渡しになると考えた。
 しかしイーリスと私の力を巡り、
 人と精霊は相対してしまった。
 もう二度と悲劇を繰り返さぬ為に。
 私は眠る。この少女の首元を安住の地として。

 ーーそれが私の願いだ。
 私は、私の願いを叶え、代償として
 二度と目覚めないであろう。』

ドリームの宣言に華夜は息を呑んだ。イーリスが願いを叶える力を失えば確かにーー人々が争うことはなくなる。ドローイグやミュジークが醜い闘いを繰り広げることも終わるであろう。

 『エスポワよ。イーリスを頼む。
 どうか三日に一度は宝石の表面を磨いておくれ。
 ーー柔らかな布でね。』

最後に七色を放つと、声は聴こえなくなった。
恐らく、エスポワが分け与えた小さな宝石以外はまだ願いを叶える力を持っているが、イーリス本体はその力を失ったのだろう。

 「……これで良かったのかもしれないわ。

 なんでも願えば叶うなんて間違っているし。
 代償もあるのだから。

 私達は私達の力で未来を歩んで行きましょう。

 ーードローイグに一度戻り報告をするわ。
 貴女も来るわよね?」*
(20) 2023/10/28(Sat) 15:27:19

【人】 水の魔騎士 ユスターシュ

この胸に彼女を抱くことが出来る誉れ、歓び。
先行きには不安はあれど、それ以上の幸福は今は望むまい。

譲は彼女の細身をしっかりと支え、広い胸板にて受け止めた。
彼女の溢す涙すら、一滴足りも逃さぬように。

傍に寄り添う。

 「チアキローズ……千秋。
 貴女の想いさえあれば、俺は。
 他の全ては贅沢に思えるが。

 どうか生涯俺の傍にいて欲しい。
 ーー妻となって欲しい。

 それが俺の願いだ。」

問題はそれを国に帰り叶えるのか、此方の世界にて叶えるのか、かもしれない。*
(21) 2023/10/28(Sat) 15:51:16

【人】 爽快ブラスト チアキ


「ユスターシュ様…。
 どうか、二人きりの時にはチアキローズと。
 そうお呼びください。
 私も貴方の隣に居られればそれで…。」
 
 
それで、何処でも生きていける。そう思うのです。
これからを姫宮千秋として生きるのか、チアキローズとして生きるのかはわかりません。またはその両方として。
ただ隣に貴方が居てくだされば。
だから、彼のプロポーズに一瞬目見開いた後、私は嬉しくて微笑むのでした。
 
(22) 2023/10/29(Sun) 8:23:53

【人】 爽快ブラスト チアキ

 
「嬉しいです、ユスターシュ様。
 私は貴方の妻として…これから生きていきます。

 …こちらの世界でも叶うのでしょうか?」
 
 
ふふ、と笑ってしまったのは、有馬千秋になるには年齢が足りないかもしれないからです。
それにはおそらく後二年要りますね。
でも、そんな事を言えるくらいに心が穏やかになって。
私は彼を見上げて、そっと目を閉じながら少しだけ背伸びをしました。*
 
(23) 2023/10/29(Sun) 8:24:07

【憑】 虹色カンタビレ サアヤ


信じる、か。
信じるだけじゃダメかもしれないけど、これがコイツの性格なんだろうから黙っとく。
好ましいものではあるしね。愚かしいとも思ってしまうのは、ボクが人間ではなくなったからかも?
 
それにまさか精霊王が喋るとは思わなかったな。ほら、ベアトリスひれ伏しちゃったじゃん!
首元のイーリスを撫でながらボクは苦笑い。
まあ良いけどね、ボクにしてるように見えてボクにしてるんじゃないんだし。
ちゃんとイーリスのお世話だってするつもりだし、ボクはイーリスに分け与えられた力は好きにさせてもらうつもりだしね。
 
(24) 2023/10/29(Sun) 8:33:26

【憑】 虹色カンタビレ サアヤ

 
「勿論。ボクはベアトリスについていくよ。
 でもベアトリスがドローイグで辛い目に遭うなら
 さっさとドローイグを滅ぼすか、
 ベアトリスを攫って逃げるからね。
 今のボクは人間とも精霊とも判断基準が違う。
 根っからの、じゃないから
 どちらの感覚もあるだけでさ?」
 
 
彼女に絡みついて頬を擦り寄せる。
くすくす笑って、でもね。
 
 
「…イーリスじゃないけどさ。
 3日に一度は抱いてよね。
 その時だけ生やせるようにする?」
 
 
君と繋がるのは気持ちよかったんだ。
まぁ今度生やすとしたら、君の魔力自身でどうにかできるようにしたいけど。
えへ、大好き。**
 
(25) 2023/10/29(Sun) 8:33:44

【人】 純真アンサンブル リッコ


エスポワとなったサアヤたちが去って、数時間後。
もう翌朝になってしまったのかな。
わたしは胸元に虹色の宝石を置かれたままで懇々と眠りについていた。
瞼を震わせ、そっと瞳を開ける。
全身が痛い。体に力が入らない。
視線をだけで辺りを探ると、啓介の姿が見えた。良かった、生きてた。
 
 
「啓介…。」
 
 
良かった。生きていてくれた。
それが嬉しくて涙を滲ませてしまう。
その後、生きての再会はどうなったのかな?
虹色の宝石はイーリスのようで、少し違う。
それを握りしめながら、わたしは診察を受けることになるだろう。
わたしは詳しいことはわからないけれど全身が失血したような症状を起こしていて、今後歩くことは難しいかもしれないと診断された。
診断されたその時、啓介は横にいたのかな。
それとも、わたしから伝えることになったのかな。
確かに両脚の感覚がない。
──死ぬかと思っていたから、生きているだけありがたいけれど。
 
(26) 2023/10/29(Sun) 8:42:59

【人】 純真アンサンブル リッコ

 
「…ありがとう。それと、ごめんね。」
 
 
巻き込んでしまって。
戦わせてしまって。
 
好きだと言ってくれたのに、こんな状態になってしまって。
 
二人きりになれた時。
ベッドの上か、車椅子で何処かにいたか。
ぽつりとそんな呟きを。**
 
(27) 2023/10/29(Sun) 8:43:19

【人】 水の魔騎士 ユスターシュ

チアキローズとユスターシュ。
千秋と譲。

どちらの世界においても共に生きていく。共に寄り添って歩むと約束を胸に刻んだ。

彼女はプロポーズを快く受け入れてくれる。
艶やかな睫毛が伏せられ、ピンクの唇が譲を待っていた。

 「チアキローズ。貴女を必ず幸せにする。」

身を屈めて触れ合わせる誓い。
それは婚儀の場でなくとも神聖なもの。

二人はこうして、多くの苦難を乗り越えたのちーー婚約者としてではなく、互いを選び結ばれたのであった……。**
(28) 2023/10/29(Sun) 16:25:58

【人】 焔の魔術師 ベアトリス

人間でもない、精霊でもない。
それはすなわち、人間でもあり精霊でもある、という事だ。

しかもイーリスを彼女は身に付けた。エスポワの得た力を考えるならば、ベアトリスはずっとひれ伏してもおかしくはなかったろう。

しかし、彼女と自分は対等であり、パートナーとなったことをベアトリスは知っていた。

たとえサラマンダーが使役できなくなろうと、彼女がいたら千人力だろう。

 「ドローイグを滅ぼすですって?
 過激ねえ。
 私はね、貴女と静かに暮らせたら
 それで満足なんだけど。」

見た目はこんなに愛らしい少女なのにエスポワったら!
でもそこがまた彼女の魅力かもしれない。

 「三日に一度じゃ私が足りなくて疼いてしまうわ?
 毎日、毎晩愛でたい。
 貴女の隅々を。ね?」

触れている柔らかな頬も、輝くような色の髪も、悪戯に光る瞳も、スレンダーなボディも、全部私のもの、とほくそ笑む。

それは大好き、と同義であろう。
(29) 2023/10/29(Sun) 16:26:27

【人】 焔の魔術師 ベアトリス

その世界の人々は、精霊の力を借りて豊かな反映を遂げた。

ドローイグ帝国は絵画の力により、色彩鮮やかな精霊を友として。

国のあちこちの石壁には、子供たちが描いた絵がたくさん残っている。それは落書きと忌み嫌われたりはせず、街を彩るもの、というのがドローイグの認識だ。

 「私はね、この貧しい街に生まれたの。」

ベアトリスはエスポワを伴い、貧民街を訪れている。
生家は燃えて失くなってしまったが、町並みはあまり変わってはいなかった。

子供たちが絵の具を使い夢中に壁に絵を描いている。
自由で愉しそうだ。

 「確かこっち……あったわ。ほらこれ。
 私が描いた絵なの。」

それは弟ユスターシュと手を繋ぎ並ぶベアトリスの絵である。
小さな二人ではなく、大人になった姿を想像で描いたのだ。
マント姿のユスターシュと、ドレスのベアトリスが並んでいる。

ベアトリスはふ、と目を細めてそこに人物を描き足した。
勿論それはエスポワである。
(30) 2023/10/29(Sun) 16:27:02

【人】 焔の魔術師 ベアトリス

 「それにしても、ドローイグの王は
 情けなかったわねえ。」

実は二人は貧民街に来る前に王に謁見していた。宮廷魔術師であるベアトリスの使命はイーリス奪還であった。そして、ベアトリスはイーリスを首につけたエスポワと帰還した訳である。
これが王にはどう見えたか。

 『え、エスポワ様!平に、平に〜!』

なんでも願いを叶える宝石を手にする少女は、さながら紋所を手にする水戸黄門といったところか。

その脅威にただただ平伏する王がベアトリスに何か文句を言うなどあり得なかったのである。

二人は王宮に住まいを得たし、望むならいつでも異世界に行く事も。諸国漫遊していた光國と似たようなものだ。
(31) 2023/10/29(Sun) 16:27:25

【人】 焔の魔術師 ベアトリス

 『りっこちゃんは恋人がいるから向こうの世界に
 残るのよね。

 まあ、私達は行き来出来るから
 いつでも逢えるけど。

 そう言えば、チアキローズ姫はどうするの?
 あの二人はーー結婚するのよね?』

姫と結ばれた弟を案ずる。しかしきっと二人も道を歩んでいくのだろう。

エスポワに身を寄せ、ベアトリスは小さな手を握る。

その姿は壁に描かれた絵ととてもよく似ているのだった。**
(32) 2023/10/29(Sun) 16:28:02

【見】 不良少年 滝沢啓介

里津子が眠りについている間、啓介はずっとベッドの傍らにいて手を握っていた。

夜中付き添っていたかったが親族ではない、未成年という理由で泊まりは許されず仕方なく家に帰る。

両親と弟、家は無事であった。事情を知らない家族たちは自然災害がいっぺんに起きたのだと思い込んでいる。

本当は精霊の暴走で、魔法少女たちが命をかけて食い止めたのだが、その魔法少女が恋人だなんて説明は……あまりに長いし信じて貰えるかわからないから控えた。

みんなで元気な事を喜んだ後、
啓介は家族に告げた。

 「俺、恋人が出来たんだ。同じクラスの
 女の子。
 だけど今回の事に巻き込まれて大怪我を負って…。
 入院したから、治る迄出来るだけ
 傍にいてやりたい。」

そんな言葉を聞いて弟が笑った。
(@3) 2023/10/29(Sun) 18:06:22

【見】 不良少年 滝沢啓介

 『兄ちゃん、また気にしてるんだろ。
 その子を護れなかった、て。
 俺が怪我した時にすんごい気にしてたもんな。
 でもさ、兄ちゃんはいつも精一杯で一生懸命じゃん?
 兄ちゃんが護りたい人はさ、
 その気持ちだけで嬉しいんだよ。』

兄ちゃん、大好きと言って無邪気に啓介に抱きつく弟。
そんな様子に父は。

 『どんなに頑張っても人間には
 出来ないこともある。
 起こった事はどうしようもない。
 だが、出来ることもあるんだ。
 お前に出来ることをやりなさい。
 彼女さんはきっと、お前がついていることを
 きっと喜ぶだろう。』

啓介は強く頷き、父の言葉を噛み締めた。
(@4) 2023/10/29(Sun) 18:06:40

【見】 不良少年 滝沢啓介

翌朝、学校は災害の爪痕のせいで休校との知らせが来たので、啓介は朝から病院に向かった。

病室に入ると窓から日の光が差し込んでいる。
ベッドに寝そべる彼女が丁度目覚めた。

 「里津子ッ」

啓介は駆け寄る。ひし、とまた手を握った。

 「里津子ーー里津子。
 目覚めてくれて良かった……
 ごめんな、本当にごめん。
 お前の事護りきれなくて。
 いやーー俺の命を救ってくれて、
 ありがとう……すまねえ。」

想いと言葉が溢れる。それを遮ったのは看護婦の『検診です』という言葉だった。

医者がやってきて、二人に身体の状態を説明してくれる。
脚に外傷があるわけではない。神経が死んだり骨も折れてはない。が、彼女の脚は動かない状態だと告げられた。

 「……歩け、ないのか。」

啓介は青ざめた。里津子と医者を交互に見つめる。
(@5) 2023/10/29(Sun) 18:06:59

【見】 不良少年 滝沢啓介

 「先生、頼むよッなんとか治してくれッ!
 なんなら俺の脚をやるからッ」

それでどうにもならないのは啓介もわかっていたが叫ばずにはいられなかった。

医者は、少しずつリハビリをしましょうと告げて去っていく。
治るとも治らないとも言えないのを苦しそうに。

二人だけになる。広い病室は静かだ。啓介はまた、彼女の手に手を添える。

 「大丈夫、リハビリ頑張ろうぜ!
 俺、毎日学校の帰りに来るからさ?
 お前の分のノートも取っとくし!」

わざと明るい口調を作る。

 「……て。お前、さ。あっちの世界には
 帰らない、んだよな……?」

謝る里津子に啓介の胸は苦しくて堪らない。*
(@6) 2023/10/29(Sun) 18:07:58

【人】 純真アンサンブル リッコ


目が覚めた時、圭介が駆け寄って手を握ってくれた。
そのことに目を細めて微笑んで。
でも謝罪されたことに首を微かに横に振る。
 
 
「ううん、その気持ちだけで嬉しいの。
 だから謝らないで。
 こうして隣に居てくれるじゃない。」
 
 
目が覚めた時、一人きりだったらきっと泣きそうになっていたと思う。
圭介がいたから微笑むことができた。笑顔は人を明るくできると知っている。
サアヤや姫様の笑顔に救われてきたのはわたしだったから。
そして今、啓介の笑顔が見たかったけれど…。
 
診察が始まって、その結果が出て。
 
(33) 2023/10/29(Sun) 18:47:02

【人】 純真アンサンブル リッコ

 
「啓介。」
 
 
圭介の言葉に首を横に振ったのは、そんなこと願っちゃダメと思ったから。
経緯はよくわからないけれど、私の手元にある虹色の宝石──魔力を宿すこれは、イーリスのそれによく似ていた。
だからこそ、どこまで願いを
叶えてしまうか
分からない。
だから迂闊なことは言わないでほしくて。
 
そう。
この脚が動かないのはきっと、イーリスによる願いを叶えた代償の一つ。
人一人の命を掬い上げたのだ。本来は自分の命が代償になっておかしくないのを、機能一つで何とかなった。
本当にそうかも分からないのに。
 
病室に二人取り残されて。
わたしは病室──入院してる部屋、だろうか。
個人的な話をしてるから、きっと個室に戻ってたんだと思う。
 
(34) 2023/10/29(Sun) 18:47:23

【人】 純真アンサンブル リッコ

 
「私は騎士の一人だもの。
 あちらの世界に帰っても仕事はないわ。
 姫様をお護りすることもできない…。」
 
 
でも。だからと言ってこちらに残るとも言えない。
あちらの世界にとって、私の存在意義が無くなったのだとしても。
 
 
「でもこちらの世界では、わたしはただ
 脚の機能を失ってしまった一学生に過ぎないの。
 あちらに戻る理由もないけれど
 こちらに止まる理由は──。」
 
 
ジッと啓介を見る。でも、そんな重荷を背負わせたくもないの。
貴方だけを理由にはできない。
それはいけないことだと思っている。
わたしのことを好きだと言ってくれた彼だからこそ──枷になりたくないの。
じわりと滲んだ涙をそっと手で拭う。
 
(35) 2023/10/29(Sun) 18:47:42

【人】 純真アンサンブル リッコ

 
「──姫様の癒しの力が残っているのなら
 リハビリ?の助けになるかもしれない。
 だから、もし癒しの力が残っていたなら
 姫様の力を借りつつ、
 リハビリを頑張れれば良いと思っているわ。
 もし姫様の力が喪われていたのだとしたら
 リハビリを…頑張るしか、無いわね。」
 
 
その結果がどうなるのかは今の自分には分からない。
魔力が関わる疾患だからこそ、こちらの医学では対応しきれないだろうし、魔法での治癒も難しいかもしれない。
ただ、リハビリをしてみる価値もあるとは思う。
 
私に添えられている啓介の手。
ぎゅっと握りしめて、すう…と息を深く吸った。
気持ちを落ち着けて、にこりと微笑む。
 
 
「…啓介。わたし、大丈夫だよ。」
 
 
だから手を離しても大丈夫。
だから離れても大丈夫。
そんなことを言いたかった。言いたかったけど。
結局握りしめた手をわたしは離せない。
離せないまま、顔を俯けさせてしまった。
 
ぽた、と二人の繋いだ手に雫が、落ちた。**
 
(36) 2023/10/29(Sun) 18:48:00

【憑】 虹色カンタビレ サアヤ


音楽を愛でるミュジーク。絵画を愛するドローイグ。
どちらも芸術を愛する国でありながら、仲違いをしたのは大きな力のせいだったのかもしれない。
人々に指標を委ね、全てを叶えさせてしまう大きすぎる力。
──だからこそのボクだ。
希望の名前を与えられたことでその指標を明確にした、希望の篝火。願いの道標。
悪辣なもの、身勝手なものは通さない。
とは言え、イーリスそのものが願いを叶えるわけでも無い。
ボクはただ、その余波のような──まあボクに分け与えられた力を使ってる。
今のところ尽きる予定は無いけどね。
ボクが使う予定? そうだなあ、ベアトリスの肉体が朽ちる時にはボクと同じにしちゃおうかな!
イーリス…ドリームも孤独だったからね。
ボクは新生ベアトリスと永き時を生きる予定さ!
 
まあそれはずっと遠い話。
精霊の感覚だとあっという間かもしれないけど。
 
(37) 2023/10/29(Sun) 19:27:43

【憑】 虹色カンタビレ サアヤ

 
「あっ、ユスターシュの横に姫様描いてあげてよ!
 ボクは絵、からっきしだからさ。
 …ここの子達も教育が必要だね。
 日本の識字率にはびっくりしたんだ!」
 
 
ベアトリスたちの過去を思うこともできるけどさ。
ボクたちに出来ることは過去を悔んだとしてもそれを糧に生きる事。
ボクを書き足してくれたのは良いけど、姫様もね!と笑いつつ。
 
 
「ん〜、まあ、ぶっちゃけさ?
 ベアトリスに探させてたなら
 ベアトリスが横取りするとか想像の範疇?
 王様自身が探しにくればよかったのにねって
 ミュジークにも思ったけどさ。
 なーんだかんだ動かないから
 想定外のことになっちゃうんだよね、お偉いさんって。
 まあボクがこうなるのは予想外も予想外だけど!」
 
 
王のことを思い出して鼻で笑う。
確かに情けなかったねー、でもベアトリスが奪うとかまでは想像できるじゃん。
イーリスを得たボク自身がベアトリスのパートナーになるのは完全想定外だっただろうけとさ。
でも。 
 
(38) 2023/10/29(Sun) 19:28:05

【憑】 虹色カンタビレ サアヤ

 
「城の一室とは言わずさあ。
 本当なら王に取って代わっても良いんだよね。
 今のベアトリスの立場。
 ボクも平和に暮らせるなら良いけどさ。」
 
 
あえて事を荒立てたりはしないさ。
こちらに牙を剥いたら容赦しないだけで。
 
 
「リッコは…まあ、まだ時間かかるかな。
 リッコ、不器用だから。
 姫様と弟くんはね。…ふふふっ。」
 
 
さあて、二人はどうなるか?
想像して楽しくなって、ボクは笑いながらベアトリスの指に指を絡めて。
背伸びをしてキスをして、自分の方に引き寄せる。
 
ねえ、今日もお互いを愛そうよ。
それが別々の肉体を持っている者同士、繋がれる一つの方法なんだから。**
 
(39) 2023/10/29(Sun) 19:28:27