人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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ロメオは、「オレの事拾ってくれて、ありがと」
(a40) 2023/10/01(Sun) 11:45:18

【秘】 L’ancora ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「こんな色男に拾われて幸せだよ、オレ」
「首輪でも付ける? アハハ……」

くい、と貴方の手を引いた。
もう少しこの海辺を歩いていたかった。
ロメオはどこか吹っ切れたような、晴れ晴れとした顔をしていた。
この空には不釣り合いに澄んだ気持ちだった。
波の音。遠くに響く鴻鵠の声。
二人分の足跡は、じきに波に攫われ消えるんだろう。

共に結んだ約束だけは、
ずっと消えないように掴んでいようと思った。
いずれ来る最期の日まで。

#ReFantasma
(-384) 2023/10/01(Sun) 11:46:28

【鳴】 夜明の先へ ニーノ

貴方が見せたいものがあるのならそれだけを見続けているのも良かっただろうか。
だけれどだいすきだと思うからこそ、全部知っていたいとも思ってしまう。
何かあったときも足元を揺らがせることなく、同じ言葉を紡げるように。

弱弱しく名を呼ぶ声に戸惑っているなと感じながら。
それでも嫌がられているわけではないから、抱きしめたままだ。

「……うれし」

貴方を甘やかしたいし、こうすることで自分だって甘えている。
柔らかな髪を幾度も撫でてはここに在る愛情を伝えるように。

「他はぁ……ええっとさ、街出ようと思ってて。
 オレ、ニーノって子の代わりしてただけなんだけど、死んだことになったから。
 死人歩いてちゃだめでしょ、だからそう……出るんだけど……」

「……それまでの家がないです。
 野宿でもしようと思ったんだけど」

お金はたくさんあるとはいえ有限だ。
節約するべきところは節約しようかと考えていたが。
抱きしめていた腕を少し緩めて、そぅと貴方の瞳を見つめた。

「街出る準備できるまで……ろーにいの家に泊まっちゃダメ?」
(=14) 2023/10/01(Sun) 11:49:35

【人】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

>>121

眼前を血しぶきが舞う。鈍くえぐれた傷口は鮮やかな肉を垣間見せ、直に赤を滲ませた。
段々と温む拳と襟首がその凄惨さと、負ったダメージを物語っていた。
休みの一つも挟まない連打は徐々に勢いは鈍っていく、故に仕切り直しの蹴りを放ったのだ。
持っていけなかったのなら足は弾むように引き戻されて地面を叩く。
その勢いのままに体は沈み込み、肩より下まで降りた。
幸いであったか不幸であったか、予測による行動が拳の当たる先を決めた。

「ぐ、」

ジャブは傷ついた右目の端を掠めた――正確には掠めただけで十分だった。
瞼の横手を叩いた拳は元よりあった傷を広げ、こめかみまで薄い肉を切開した。
潰れて瞼の中に溜まっていた、眼球だったのだろうものがどろりと頬を落ちる。

沈んだ体はナイフを握った左手を回すように後方まで引き絞らせる。
胴を狙うか、脚を狙うか。選んだのはそれ以外だった。
顎下を見上げられるくらいまで沈み込んだ姿勢から焦点を合わせる。
アッパーカットの要領で、逆手に構えたナイフを腹部から頭部まで駆け上がるように振り上げた。
深く当たれば骨に当たって止まる。浅ければ傷は広がる。
逆手に持ったのは射程を腕の長さより外へと伸ばすためだ。

今の状況において表情を緩めていられるほど余裕があるわけではない、というのは、
筋肉を緊張させておく必要があるからだ。そうでなきゃ、笑っていた。
これが楽しくない筈がない。

#BlackAndWhiteMovie
(122) 2023/10/01(Sun) 12:10:40

【秘】 夜明の先へ ニーノ → 路地の花 フィオレ

「……甘えてよ。
 恩返しさせて、ねえさんがいたから生きてこられた」

大袈裟に言っているわけでは決してない。
貴方が居ないと本当に、生きてはこられなかっただろう。
早々に命を落としていただろうし、今も自分を見失っていた筈だ。
そんな大切な家族に少しでも返せるものがあるのなら。
躊躇うことなく差し出したいと強く願う。

「…………へへ。
 ちゃんと伝えられてよかった。
 オレもありがとう、言葉、受け取ってくれて」

「ずっと会えないわけじゃないよ。
 たまには帰って来ようって思ってるし……
 どこに行くか決めたら、ちゃんと伝えるし!」

まだ決まっていないけれど決まったその時には。
真っ先に貴方に伝えて、手紙を送り合ったりしてもいい。
会いに行ける距離なら遊びに来てもらったり、とか。
今はまだ見えていない先のことを思いながらも。

[1/2]
(-385) 2023/10/01(Sun) 12:17:06

【秘】 夜明の先へ ニーノ → 路地の花 フィオレ

「此処を出る前にはまた挨拶しに行く。
 あ、だから今日住んでるところ教えてね」

何を偽ることもなくよかった。
これからも、貴方の前ではずっと本当のままでいられることを安堵して。
圧し掛かっていた重荷が軽くなった心と共に笑い、そっと手を引き立ち上がるだろうか。

「……夜遅くに来てくれてありがとう。
 ええっと、送るよ、……ボディガード?うん。
 もうちょっと話したいし」

こんな夜道を一人で帰らせるわけにはいかないからと言葉を添える。
にいさんにだって、色々と任されたしなと頭の隅。
近くでずっと支えるのは難しそうだが、自分なりにできることをこれからも貴方へと贈っていきたい。
そんな考えは今は一先ず胸の内に秘め、貴方が了承してくれるのなら仲良く手を繋いだままに歩き始めることだろうか。
輝く月と瞬く星だけが、寄り添う姉弟の暖かな絆を見守っていた。


──例え、立つ場所がこれから先も違うところにあったとして。
それでも男は家族を、あなたを、愛している。
不変などないのが世の常だとして、
そんなもの関係ないって笑い飛ばせるぐらい。
この感情だけはいつか最期を迎えるそのときまで変わったりしない。

いつの日か貴方という花が教えてくれた愛の強さを胸に抱き。
男はこの先も塞ぐことのない瞳に世界を映し──生きていく。


[2/2]
(-386) 2023/10/01(Sun) 12:18:51

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>122

「ッダ、…っあぁ゙あ!!」

振り上げられたナイフに対し、踏み込んだのは本能的な反射行動だった。
刃ではなく、それを握る腕を止める。
それもガードと呼べるものではなく、飛び込み、胸板で受けるだけ。
どんという衝撃が肺を貫き呼吸を止めるが、
構わず、かじりつくようにナイフごと腕を抱き込みひっつかむ。

「……
っラ、
ぁ゙!!」

命を振り絞るような格闘戦では、ぱたた、と水音が響くものだ。
それは汗か涎か、血か、あるいは髄に近いものか。
生命の雫が撒き散らされていくように
二人の足元になにかが飛沫く。
笑顔はない。
だが高揚し、滾り、燃えていた。
その勢いのままに大きく体を捻り、
砲弾のようなストレートが放たれる。
技巧も戦術も殴り合いの中に消えていき、
あるのはただ肉と骨を叩きつけるような気迫だけ。

#BlackAndWhiteMovie
(123) 2023/10/01(Sun) 12:19:44

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ



"同じじゃない"。
男はそう口にする君の顔を見て、翠を瞬かせる。

「……そうか、違うのか」

腕が自由なら、その手は口元を覆い
考えるような仕草をとっていたはずだ。

「………あまり、期待はしないで欲しい、が。
 ……メール一通くらいは送る、かもしれない」

約束は出来ない。約束にはしたくない。
その日がいつ来るかなんて、男にも分からないから。
くるりと身を反転させ、君に背を向ける。
そのまま扉まで歩いて、
来た時とは違い器用に扉を開いてから。

「………代わりに、その約束は叶えてもいい。
 そのために精々ルチアーノ友人を口説いてみてくれ」

「それじゃあ、ニコ──
また
ね」

ひらひらと、君に向け振る手はない。
それでも確かに未来の約束を結んで、君にまたを告げよう。

好きも嫌いも、愛も恋も分からない。
だけど君の気持ちは嬉しいと感じられたから、暫くは君と、
その関係を楽しんでいくのも悪くはないだろう。
(-387) 2023/10/01(Sun) 12:33:54

【人】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

>>123

ぎ、と歯ぎしりをする音が鳴る。肩を砕かれている左腕を固められれば、
どうしたって押し引きに依る力の均衡は負傷した部位に集められる。
呼吸が乱されれば攻防のリズムも自然と崩れる。

掴まれた腕を引いて振りほどこうとして、軸足に体重を掛けた、
その瞬間に破裂音じみたものが響いた。
体重の乗った一撃は頬を殴りつけ、ぐらりと首から上を揺らした。
まともに食らえば隙を生じる。ふ、と体から力が一瞬抜けた。
それしきで降参なんてつもりはないが、一手分の空隙を晒すには十分だった。

密着した体の間で、からんとナイフが地面に落ちる。
一瞬吹き飛んだ頭の中身を引き戻して攻め手を考えるにしたって、
どうしたところで相手の次撃が先になる。

#BlackAndWhiteMovie
(124) 2023/10/01(Sun) 12:43:24

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



見開かれた双眸から落ちていく一粒を、
空に浮かぶ星々よりも綺麗だと感じたのは
君が君だからこそなんだろう。

「…あぁ──…一緒に居よう」

そうっと、大事な宝物に手を伸ばすみたいに
右手を伸ばして、君を軽く引き寄せようとする。

もしも君が拒まずにいるならきっと
間の子猫はにゃあと鳴いて、まぁるい瞳をこちらに向ける。
だから男は、少しだけ許して欲しいなと子猫に微笑んで、
夜空の下、二人と一匹で熱を分け合うのだ。

「哀しい時は泣いていい。苦しい時は吐き出していい。
 俺に抱えられるものはきっとそう多くもないけど」

「俺の前では大丈夫じゃなくて隠さずに甘えていいんだよ」

ほら、シンデレラも時間になれば魔法は解けるだろう?
おまじない魔法はあくまでおまじない魔法で、
『永遠』に続く万能さを持つものじゃあない。

しゃんとして、着飾っているのも悪くはないけど、
ひとりの人間である俺達は、本当ありのままであっていいんだ。
 
(-388) 2023/10/01(Sun) 13:31:45

【置】 きみのとなり リヴィオ


好きも嫌いも、愛も恋も多くのものを知らないまま。
それでも、誰かを、何かを大切に出来る心はあった。

それは、こんな自分を慕ってくれた君やエル、
こんな自分に何となくでも贈り物をくれたダニエラ君、
こんな自分でも友人になってくれたルチアーノや、
同じ立場で、落ちる前に手を掴んでくれたニコのおかげだ。

破滅願望消えない思いはあるけど、
それでも、生きているうちくらいは前を向いていよう。

俺はもう、ただのリヴィオひとりの人間なのだから。
 
(L3) 2023/10/01(Sun) 13:33:26
公開: 2023/10/01(Sun) 13:35:00

【秘】 きみのとなり リヴィオ → マスター エリカ



向けられた瞳を感じながら
皿の中身がなくなるまでは、ただ、静かに。

君の、貴方の変わらない態度が確かな救いだった。
友人でもない、時折寄る店のマスターである貴方に、
俺は、確かに救われていたんだ。

そんな話、この先誰かに話すこともないだろうが。
抱いた思いは偽物じゃなく、ずっと確かなもの本物だった。


やがて、皿の中身がなくなる頃。
手にしていたスプーンを置いて、両の手を合わせる。

「ご馳走様でした」

その一言に含まれるものが僅かな感謝ではなく、
今までの全てを含むことを知っているのは、男だけ。
だけどそれでいい。これは男の、勝手な思いなのだから。


「……それじゃあエリカさんマスター、落ち着いたら、また」

そう言って立ち上がり、
きっちり値段分のお金を君に渡して扉に手をかける。
そうしてそのままその場を後にする──のではなく、
「…あ」と何かを思い出したように振り返り。

「今度は、具沢山のシチューを食べに来るよ」
 
(-389) 2023/10/01(Sun) 14:44:54
リヴィオは、貴方の作る料理を大層、気に入っている。
(a41) 2023/10/01(Sun) 14:45:57

リヴィオは、柔らかに微笑んでから店を後にする。それは──5日目の午後のことだった。
(a42) 2023/10/01(Sun) 14:47:07

【秘】 幕の中で イレネオ → きみのとなり リヴィオ

熱い身体だ。
一人、いたな。そういうのが。
彼は治療を受けただろうか、と脳裏を過った。
受けたのなら、近くまた会う・・こともあるかもしれない。


歪む表情。
無敵・・とは程遠いその様子。
けれどそれを崩し切らないあたりが、この男の趣味の悪いところを擽った。
湿って熱い吐息が好かった。形のいい唇が引き攣るのが好かった。

ああ。
いいな。


片手は貴方の顎に。もう片手は転がしておいた器具に伸びる。
合わせた額はまるで慈しむような優しさでいて、愛情の発露のように鼻先が擦り寄せられる。
金色が海の底を微かに映している。
そして、そのまま。
貴方の震えを食らうように男の唇が押し付けられた。
丁寧さも何もない。欲情の荒っぽさもない。秘密を引きずり出そうとする求めもない。ただそれは、この男が、昼飯を食う時にするような仕草。
食に拘りのない獣が、食べられるものを見つけたから口をつけた。それだけの仕草だった。

(-390) 2023/10/01(Sun) 14:54:09

【秘】 幕の中で イレネオ → きみのとなり リヴィオ

可哀想に・・・・。」

哀れむ声には愉快さが滲む。
もう一度軽く口づけて至近に寄せた。それからようやく身を離し、場違いな恭しさでその手を取った。
口を開く。閉じる。弧を描いた。もう一度、開く。

「ダニエラが」「心配ですか」
「それなら」
「貴方が頑張れば」
ましになる・・・・・かもしれませんね。」

嘘だ。
彼女の責めは、もう終わっている。
(-391) 2023/10/01(Sun) 14:54:24
エリカは、柔らかに笑んで、店を後にする彼を見送った。──ある日の午後の出来事。
(a43) 2023/10/01(Sun) 14:58:28

【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ


「……えっ、ぅ……う…………」


貴方の言葉が魔法を解いてしまったから。
涙と嗚咽は堰を切ったように。
溢れてやまない、いろんな感情が。

 とうさま、本当は抱きしめて欲しかった。
 かあさま、本当はオレを見て欲しかった。
 叶うことなら最期まで、ずっと一緒にいたかった。


浮かび上がる多くの言葉は声にはならず。
ただ大きな背に手を回し、肩を震わせるだけ。

 不安だよ、不安でしかたないんだ。
 これからなにをしたらいいのかな。
 探しても本当に、オレはオレの道を見つけられるかな。


誰かに言いたくて、でも誰に言えばいいかもわからなかった。
心配をかけたくなくて、あなたたちを大切に想えば想うほど。
寝台上の笑顔に平気だと笑った、あの癖がずっと抜けなくて。

 ひとりになりたくない。
 だれかといっしょにいたい。
 でも何を返せるかな、オレなんにもないんだ。
 後悔しない? ねえ、せんぱい。


やっぱり自信なんて全然持てないんだ、自分に。
だけどもうどうにも、ぬくもりから離れられそうにはなかった。

[1/2]
(-392) 2023/10/01(Sun) 15:15:58

【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ


────ずび。


「………………」

涙が落ち着いた頃、鼻を啜って。
あまりに泣きじゃくりすぎて頭がぼんやりしている。
落ちてくる涙になんだこれとなっていた子猫もまた瞼を落としていて。
その姿をぼんやりと眺めた後、ゆるゆると顔を上げた。

「……いっぱい……泣いちゃって、ごめんなさい……」


とりあえず謝罪と、あと。

「あの……誘ってもらえたの、ほんと、うれしくて。
 だから、えっと……一緒、ぜひさせてください」

改めてお願いしてから、あと。

「いろいろ決めることあるよね。
 でもとりあえず、せんぱいの身体落ち着いてからかな。
 ……あ、しばらくって言ってたけれど、どれくらい?」

先程溢れた感情に引っ張られてできなかった確認をいくつか。
泣いて縋って、いたくなかったかな。
今更のように思えばそっと貴方の腕を撫でたりもしていた。

[2/2]
(-393) 2023/10/01(Sun) 15:17:10

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → きみのとなり リヴィオ

「ん、分かった。
アイツのことだ、すぐ乗るだろ。」

不測の事態になったらそれはそれ
男も飲み込むんだろう。
そこまでは、貴方に強制するつもりは無いと頷いた。

「ああ、またな、リヴィ。」

手を振れない貴方と反対に
此方は無事な方の手を振るだろう。

この関係にまだ名前は付けられないけれど
いつかきっと、素敵な未来につながると信じて
男は前を向いて歩くのを決めるのだった。
(-394) 2023/10/01(Sun) 15:36:21

【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロ

貴方が悪いんですよ・・・・・・・・・。」

────なんて無責任な言葉!
厚顔無恥とはこのことだろう。男はあくまで正義を歌う。悪はそちらと貴方に押し付ける。

ぱん。ぱん、と小気味いい音が繰り返し立った。その間にも視線は貴方の下肢を這った。
品定めの視線。吊るされた肉を解体する肉屋の視線。作業ではなく、あくまで真剣に効率を求める目だった。

大腿骨は太い。肉も多いから難しい。
同様にふくらはぎも難しい。叩くなら脛か、足首か。ぱんひゅん。音が空気を裂く。
的は大きい方がいい。

穴から蛇を引きずり出すようにして、男は貴方の足を伸ばさせた。
抵抗するなら叩く。
叩く。
敬意も尊重もない。貴方は気遣いに値しない。
男にはもうひとつ予定・・があり、貴方と過ごす時間は着々と終わりに近づいている。

腿の上に腰を下ろして固定した。
貴方の言葉も制止も聞く気はなかった。
一番手慣れた無骨な武器を男は振り下ろした。

(-395) 2023/10/01(Sun) 15:44:59

【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロ

 
がきん。ひとつ。
がきん。ふたつ。
がきん。
みっつ。
がきん。
よっつ。


がきん。 
(-396) 2023/10/01(Sun) 15:45:59

【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロ

こんなもの、尋問どころか拷問ですらない。

繰り返される真っ直ぐな暴力。
男はそれを仕事だと思い込んでいる。
貴方が悲鳴をあげる度に口角を上げた。
貴方が床を叩いて逃れようとする度に喉を震わせた。
それでもこれは楽しみのためになされているものではない。
あくまで。
あくまで、真摯に。

これは次の仕事のための布石。
次貴方と話す・・時の為の準備。

そうして金属面への抵抗が変わった・・・・頃。
貴方の様子を気にすることもない。男は最寄りでバスを降りるような身軽さで、貴方の上から退いた。
(-397) 2023/10/01(Sun) 15:46:30

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 法の下に イレネオ



合わせた額も、擦り寄せられる鼻先も。
己を映す金も……顔を歪める要因ではあれど、
動揺を誘うような何かはなかった。

ただ、そこから先が
良くなかった


「……………ん、ッ」

押し付けられた唇の感触に男は目を見開き、
瞳をより一層強く揺らす。

それはきっと、長い時間ではないのだろう。
だとして、この男にとってはそうではなくて、
落ちた右手をまた持ち上げ、
君の体にその手を当て
弱々しく
押し返そうとする。

「……ふ、……………」

動揺で思考がぐちゃぐちゃだ。
自分がどのような表情をしているかさえ分からない。

ただ、目の前の君だけを感じることしか出来なくて、
自らが零す声にどうしようもなく弱さを感じて、
そんな自分がとても、とても、
嫌で堪らなかった。


(-398) 2023/10/01(Sun) 15:55:39

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 法の下に イレネオ



やがて一度目が終わる頃、何かを言おうと開いた口は
二度目によって音もなくまた、閉じられてしまう。

体が失った酸素を求めて、激しく上下する。
自分は知らぬうちに息を止めていたのか。
そんなことをぼんやりとした思考の中、考えて。
取られた手を、僅かに虚ろな瞳が追いかける。

あぁ、心配だよ。だって俺が連れてきたんだ。
友人に任されたこともあるけど、俺自身が彼女を心配で。
ここはいい場所とは言えないが、それでも。
彼女には少し、少しでも──休んで、ほしくて。


ぐず、と……胸の奥で何かが渦巻いた。

愉快そうな声も、弧を描くその唇も。何もかもが
信用に値せず、提案に乗っていいことがあるとも思えない。
それでも、欠片でもそれが"本当"であるなら、

「………………わかっ、た」

首を、縦に振る以外に出来ることはなかった。

せめて彼女の左手の小指大切なものにだけは触れないでくれと、
愚かな男は愉しげに笑う君に──願いを乞うた。

宝物のように大切に撫でるあの仕草が深く、印象に残っていて。
あんな風に何かを大切に思う気持ちは──彼女から、貰ったものだったから。
(-399) 2023/10/01(Sun) 15:57:58

【秘】 法の下に イレネオ → 路地の花 フィオレ

路地裏を知り尽くしている程度では貴方に分があった。
それでも“このあたり”に限ればおそらく互角だった。

だから男は油断した。
だから男は隙を見せた。
自負があったから、思考が鈍った。
鼠程度捕まえられると思っていた。

窮鼠は猫を噛むのだ。
投げつけられた砂はさしてダメージにならなかった。
それでも物体が迫れば目を守ろうとするのは反射の動作だ。
立ち止まった隙に貴方は角を曲がったかもしれない。最後の力を振り絞って走ったかもしれない。それだけの時間はきっとあった。
入り組んだ路地は分かれ道が多く、そのひとつひとつを確認するだけで時間を取る。

貴方は逃げた。
男は追った。
貴方は逃げるためだけに走った。
男は、貴方が自分から逃げている・・・・・・・・・のだと思った。
街に出るという選択肢を失念している。



だから。
男は貴方を見失ったのだろう。
建物の向こうから車の出る音だけが聞こえて、
ようやく気付いたころには遅かったのだ。
(-400) 2023/10/01(Sun) 16:11:56

【秘】 幕の中で イレネオ → きみのとなり リヴィオ

半端な抵抗はこれを煽るだけだ。
弱りを強調するだけの手はむしろこちらの勝利・・を知らせた。
取った手の熱さが愉快だった。冷たいよりよっぽどよかった。
命を甚振ることを、この男は楽しんでいる。


からん。音がして器具を床から攫った。
高尚な道具なんてない。手にした器具は飾り気のないペンチ。
貴方が耐えなければ、彼女の整えられた爪が、こんなもので台無しにされることになる。
もう終わったことだ。

従順な様を褒めてやりたくて、けれど空いている手がない。
仕方なくもう一度額を合わせてから、ゆっくりまばたきをした。
本当なんてここにはない。
提供された聴取内容も。
貴方が吐かされる“真実”も。
傍から見れば慈愛か、情欲に見えそうな男の態度も。
本当なんてひとつもない。ここにあるのは偽物ばかり
────痛みを除いて。


(-401) 2023/10/01(Sun) 17:33:43

【秘】 幕の中で イレネオ → きみのとなり リヴィオ

はじめは右の小指・・から。
そこは彼女の宝物にもっとも遠い。

指先に単純なつくりの金属が宛がわれる。
塗り上げられた黒の表面がぐ、とひしゃげさせられる。

そして。





一気に、引き剥ぐ。
(-402) 2023/10/01(Sun) 17:34:49

【独】 歌うのが怖くとも カンターミネ

>>-374
ずっと傍にいた女は、静かなあなたを見ていたけれど。
ふと、端末の時間を見てああ、と声を上げた。

「……エーコ、肩の鎮痛薬そろそろ切れるから。
 新しい軟膏使うな?脱ぐの大変だろうし
 勝手に手ぇ突っ込むから、痛かったら――」

固まったように。1秒か、もう少し。空白のあと、口を開く。

「――我慢せずに、言ってくれ」

それが、女にとって今一番口から出て欲しかった言葉、なのかもしれない。襟の辺りからそうっと、震える手を入れる。なんだか、悪い事を言ってしまった子供のように、あなたの表情を窺った。
それで肩になるべく負担のないように留めていたガーゼを少しだけ捲って、一度抜いて。それから軟膏を指にとって、また入れて……。無言のままに、治療を施した。

それから、目的地に到着する前の頃までは、
あなたの手を握ったまま、端末からの報告を読んでいた。
中身はまるで頭に入って来なかったが。


そうしてふと、口火を切る。

「……エリー。ひとつ「お願い」があるんだけどさ」

切り出した一言は、長年の付き合いでも珍しい言葉だった。
(-403) 2023/10/01(Sun) 18:00:26

【独】 歌うのが怖くとも カンターミネ

>>-374 >>-403

「もう何も、一切、全部、
我慢しないでほしい
ん、だけど……」

言葉尻を濁すのもまた、珍しいもので。

「いやその……伝わり辛いよな、えーっと……なんて言ったらいいんだろ……エリーさ、脱獄の時とかそうだったけどちゃんと……そう、わがままっていうか、自分の言いたい事?やだとか、一緒にいて、ってのを言ってくれたじゃんか。俺、あれすっげー嬉しくて……だから、えーと……他のさ。例えば痛いとか、辛いとか、やだとか怖いとかお仕事休みたいとか、そういう細かいのもデッカイのもぜーんぶ、……言ってくれたらなー、とか、思ってたり、するん、だ……よな」

とつとつと語る。ちらと顔を盗み見るような仕草。
やっぱり、悪い事をした子供のように。

「……いや、突然言われても難しいし、『今?』って感じだよな、ごめん。……でもほら、真面目な話って中々しないだろ?それに……その、今の内に少しでも言いたい事を言う練習が出来たら、って思ってたんだけど……」

窓の外を見やる。夕陽が創る海上の赤い世界が揺れていた。

「……まあ、なんだ。俺の為だと思ってさ。言いたい事あったら、言ってよ。なんでも……それこそ、夜ごはん何がいいとか……あー……そう、結婚式いつがいいとか、あればさ」

場を和ませるため、とばかりにそんな事を言って。
言っている内に、車は緩やかに停車する。

「……練習、してくか?その……俺で。
 何か言いたい事とか……我慢してる事とか……」

今言った、お願いの内容を。これからする、『お話』を前に。
口を滑らかにする作業は必要だろうか?
あなたからの返事があればそのようにしたあとで。
ないのなら、少し待ってから。
わかった、と口にして、車を降りる事だろう。
(-404) 2023/10/01(Sun) 18:03:42

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>124

振り抜いた腕が、拳が、びきびきと軋む。
指がひしゃげてしまったかのような衝撃。
─構わず、再び握り込む。

「…、っ、お休みしてンじゃ、ねえぞおっ!!」

ナイフの音、体勢、隙。
それらを自覚しながら、けれどどうでもよかった。
2度。3度。その一撃一撃で殺すつもりで、
拳を叩き込みながら前に出る。

突き進む。
もつれ合うほどに飛び込んで、めちゃくちゃに殴りつける。
どちらのものかもわからない液体が飛んで、びたびたと落ちていく。

それらすべてを振り払うように足を振り上げて、
そのまま蹴倒す様な前蹴り。
姿勢を崩せば、あとは絞め殺してやるだけだと、

前へ。

#BlackAndWhiteMovie
(125) 2023/10/01(Sun) 18:22:36

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



君に手を伸ばしてしまったのは、
自分』を見てしまったからなのだろう。
多くの感情を隠し、縋れなかった先を知っている。
だから、そうなって欲しくはなくて。

君には真っ当に、真っ直ぐに、生きて欲しいと願って。
身勝手な願いのまま、
暫く
なんて半端に手を取って。
でも、後悔なんて、微塵も湧いてこなくて。

引き寄せた背を撫でながら、
逸らすことなくありのままの君を翠眼に映し出す。

誰に何を言えばいいのか分からない。
迷惑心配をかけたくない。
平気だと笑っていれば、きっと『大丈夫』だ。

本当の願い言葉を飲み込んで、
本当の不安感情を隠し続けて、
それでも『大丈夫』だと──真実を箱の中に閉じ込めた。

そんな人間を、俺はよく、知っている。
そうしてそれが"普通"ではないことも、理解している。

無敵だから『大丈夫』なんて、そんなこと、在りはしないのだ。
だけど、『何にもなかった俺空っぽでしかなかった自分』は、そうするしか選べなかった。


(-405) 2023/10/01(Sun) 18:32:03

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



涙が落ち着いて、君が顔を上げた頃。
男は君に気にしなくていいというように微笑んでいた。
謝罪にだって、首を横に振る。

涙というものはそうなのだと、知っているから。
泣かないことが強さじゃない。
だから、涙を流せるのなら我慢せず泣いたっていい。

「…勿論、一緒に行こう」

「決めることは……うん、少し友人に確認してみるよ。
 落ち着いてからだと君の暮らす場所に困るだろうし、
 それに、俺も今の家から早く移動がしたくてね」

ひとつひとつ、君の確認へ答えを返していく。
最後については少し、悩むように撫でられる腕を眺めて。

「それで期間は………そうだな、」

「…君が、一人で歩いていけるように本当に『大丈夫』になるまでかな。
 暫くとは言ったけど、あんまり詳しくは考えてないんだ」

1年か、5年か、あるいは10年か。

どれほどでそうなれるのかが分からない男は、
のんびりとした口調で、そんな答えを返すのだった。
(-406) 2023/10/01(Sun) 18:33:03

【人】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

>>125

数度に渡り拳が頭部を殴りつける。頭を上げはしない。
上げられないのは顎を打たれるのを厭んで、頭蓋の丸みで受けているからだ。
それだって苦し紛れのやり過ごしであって、ガードしたほうが良いのは確かだ。
顎を引き、狭い視界で相手の拳の動きを潜り込むように見遣る。
それでもまだ尚眼光は諦念を宿しては居なかった。
いつも日常を過ごし、他人と過ごしている時よりもよほど活き活きと殺意に燃えていた。

「っ、づきは」

攻め手を変えた動きを、見ていた。
ふらつく頭をどうにか押し戻し、屈めた姿勢は蹴り"に"立ち向かった。
傷ついた左手が脛を掌底で受け、浮き上がらせた膝の下に肩を半ば差し込む。
重心を上にずらさせながらに踏み込んだ体は右肘を前に出して滑空し、
全体重を肩から肘の上腕筋に乗せて鳩尾めがけて倒れ込むような、
頭上まで持ち上げない形のパワーボムだ。

「地獄か、――」

日の頂点の沈みつつある、海の音が近かった。
踏みとどまることが叶わなければ互いの体は、海の中へと落ちる。

#BlackAndWhiteMovie
(126) 2023/10/01(Sun) 18:47:05