人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>126
がつがつと頭蓋骨を殴りつける拳が、恐らくは指としての機能を失いつつある。
だとしてもそれは打突部位として、最後までそこに在る。

だったら、十分だ。

いつのまにか取り落としてしまった車のキーは、もう見当たらない。
苦し紛れのように腕時計を外して、それを握り込み、
僅かに重みを増した拳を何度も何度も叩きつける。
油断は、しない。慢心も、しない。
このまま殺しきるつもりで打ち、殴り、叩き、蹴る。
呼吸することすら忘れ繰り返す打擲の末、

「っ、お」

先ほどナイフを握る掌を受けた時の、逆回しか。
蹴りが威力を発揮する前に受け止められ、
ぐわんと体が持ち上がる。不味い、と体を引く――

より
、も、
そんなことよりも。


「…っがッ!!!」

一撃入れる・・・・・ことばかりが、脳を焼く。
持ち上げられた肩口に重心を預けて、倒れるに任せて。咄嗟に跳ね上げた軸足を折りたたみ、

  ――顔面に、膝を叩き込む。

踏みとどまるつもりは、なかった。もろともに海へと叩き込むその狭間に、がづん、と。
#BlackAndWhiteMovie
(127) 2023/10/01(Sun) 18:56:14

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 幕の中で イレネオ

「ッは、どの口が言って、やが、る。」

呼吸をする度に、胸が痛む。
けれどその口も、貴方の行動によって
苦痛の悲鳴で彩られるのだ。

足首か、脛か。
兎も角、金属の面が骨を殴打する感覚が伝わる。
ボキ、ゴキン、バキ、グチャ。
嫌な音が響いて、激痛で頭が真っ白になって。

男が離れた時にはもう
足の感覚なんて残っていなかった。
残るのは、足だったものだけだ。

「あ、ぐ、ぅう…はぁ、っ…」

骨が砕けて、筋が潰れて。
皮膚が裂ければ、熱が零れていくのも感じる。

先程のように抵抗する気力も無ければ
激痛のショックと、抵抗する際に殴られた為に
意識すらも朦朧としているだろう。

尋問を続けることが出来るのかも、怪しいだろうか。
(-407) 2023/10/01(Sun) 18:59:06

【鳴】 L’ancora ロメオ

「え。街出んの? 近場?
 てか今そんな事になってんの? 難儀だな……。
 遠かったらやだな……会いに行けなくなる」

街を離れる事については、素直に寂しそうな顔をした。
きっとパン屋で会える事も今よりずっと少なくなるかもしれない。
死人が歩いていちゃあいけない理屈は分かっているけれど。

腕が緩まれば距離は少しだけ離れる。
何を言うつもりなのだろうかと見上げればきっと目が合って。

「………………」
「なんだ。オレが断ると思ってんの?」

にま、と笑った。
そういう事ならお安い御用だ。むしろ嬉しくもある。
いつか話していたお泊り会が、
ちょっと長めに開催されるようなもの。
ロメオはそのまま身体を起こして、今度は貴方に手を伸ばす。
叶うならそのまま、むぎゅっと抱きしめて。

「いいよ。泊まりなよ、オレの家は自由に使いな。
 鍵も渡しとくかな……あ、落とすなよ。色んな意味で危ない」
「あと夜帰り遅かったりとか……他の人が来ても良いタイプ?
 多分たまに来たりすると思うから……」

そうやって撫でくりまわしながら、注意事項の確認。
(=15) 2023/10/01(Sun) 19:04:28

【人】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

>>127

血の絡んだ髪が引きちぎられて頭皮が飛び、切れた瞼の下からは白い骨が見える。
鼻骨は折れて元の面影を残す面は少しずつ削られて尚、スカイブルーが貴方を見ていた。
しっかり組み付き切った膝は肩でホールドしたまま。
脚が地面を蹴る。二人分の重さが急に重力を失ったようにふっと軽くなって、
きらきらと海面の光る水の上へと投げ出された。

それでも尚視界に迫る膝を見て咄嗟に出来たことと言ったら。
勢いをつけた殴打は手段としては取れない。
基点となっている肘をぐるりと回して、指が伸べられたのは、
包帯で塞がれた、傷ついた眼窩の内側だった。

どっちが有効打であったのかが判明するよりも早くに、
スローモーションで動く秋の海の冷たさが迫ってきていた。

#BlackAndWhiteMovie

(128) 2023/10/01(Sun) 19:11:27

【人】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

>>127

――続きは。

「海の底で、やるか」

これで決着がついたとは思わない。相打ちだとも思わない。
だったらこれから先の予定なんてのも決まっている。
それを未だ楽しみだと思えることにか、まだ互いを付き合わせていけることにか。
着水の瞬間、ようやく頬を緩めた。

果ては地獄の底でさえあっても。

#BlackAndWhiteMovie
(129) 2023/10/01(Sun) 19:11:38

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 幕の中で イレネオ



煽るつもりなど、この男には微塵もなかった。
思考の乱れた頭では考えようもなかった。
ただ逃げたいと思う心が、そこにあっただけだ。

冷たい金属の音が響く。

何をされるかなんてもうとっくに、理解しているのだ。
こんなのはもう、取調という枠から外れていることだって。
最初から、そうではなかったことだって。
理解していて尚、逃れることは出来なかった。
君に、正しさを教えることなんて叶わなかった。


虚ろな瞳は天井に向いて、
合わさる額と金の瞳をぼんやりと眺めてから
離れていく君の影を見送った。

それでも、最後の抵抗だと言わんばかりに
君が居る方から視線を逸らし、その表情を隠そうとする。
引き結んだ口は不器用な笑みを懲りずに浮かべて、
宛てがわれた金属の感触を、指先に感じた。

痛みには、慣れている──けれど。


(-408) 2023/10/01(Sun) 19:13:27

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 幕の中で イレネオ



、ッ……
あ゛
あ゛
あ゛
ッ゛
ッ゛〜〜〜!!」


絶叫。ここまで出来る限り笑顔に隠して、
それで、苦痛さえも閉じ込めていたけれど。
どうしたって、抗えないものはある。

体が跳ねる、左手の指先が床を掻く。
足は
ダンッ
と床を叩いて、
右手の指先が君の手に縋るようにきゅうっと力が入る。
目を見開いて、流れる汗は床へと落ちて。
そうして、めいっぱい開いた翠から一粒の雫も落ちていく。

「ぅ、あ゛あ゛…ヒュッ、は………っふ、……あっ、あ゛」


泣けるような男ではなかった。
泣き方なんてとっくに忘れてしまった。
それでも、それは生理的なもので、止めようがない。

落ち着けようと大きく吸った息は、
カヒュッと男の喉から詰まるような音を鳴らした。

既に異常とも言えるほどに、堪えてきた痛みもあった。
だから、それら全てが集約し、爆ぜて。

そこから先はもう止められない。
それでも、君へと頷いた以上嘘には出来ない。
男は、真面目だった。それでいて、愚かだった。
(-409) 2023/10/01(Sun) 19:15:21

【独】 摘まれた花 ダニエラ

>>-403 >>-404

ことり、と。
窺うような表情に、女は首を傾ける。

「…んー。」
「……んー…。」

言葉を受けて、少しして。
えへ…と力なく笑った。
作り笑顔にしては下手くそすぎるそれは、きっと
いつもの
と少し違う。

「ミネはあ。」
「ふふ。あたしを甘やかすのがあ、じょおず」

額をこつんと、あなたに寄せて。

「…あんねえ。…あたし」
「こわいんだあ。」

甘やかな声。

「お母さんみたいに」
「アレッサンドロさん、いなくなるんだあって」
「…でも」

「ずっと、勝手な上司さんだったしい」
「今更だなあって思うのも、あってねえ」

重ねた手が僅かに、ぴくんと震えた。
(-410) 2023/10/01(Sun) 19:17:20

【独】 摘まれた花 ダニエラ

>>-403 >>-404 >>-410

「だから」
「今1番こわいのは、そのことじゃなくて、ねえ」

ゆっくり、手を返して。握り返す。

「…聞きたいこと、あるんだけどお」
「間に合わなかったり、いやな返事きたら、いやだなあって」
「……そんだけえ。」

ゆっくりと、額を離して。
またへにゃりと。そして。

「だからあ」
「もしそおなったら、…ミーネ」

もう一度。甘えた声。

「いっぱい、いっぱい」
「慰めてねえ。」

困ったような笑顔と一緒に。
…やだなあ。逃げないのって。本当に、やだ。
(-411) 2023/10/01(Sun) 19:18:14

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>128

「てめえ」

口を大きく開いて、
    赤い飛沫が白波を横切り、
橙の燦光が瞼を過り、
    視界と天空が回転する。

「なあ」

がづん、がづん、がづん、がづん。
   肉と骨が打ち合う衝撃が、今も続いているのか、
それともずきずきと鈍く残る残響なのかもわからないまま。
  誰も逃れられぬ運命のごとく、
                重力が追いついてきて、

 

    「──ふざ」







#BlackAndWhiteMovie

(130) 2023/10/01(Sun) 19:18:23

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡



   音も衝撃も、感じなかった。

   気が付いた時には、全身に泡がまとわりついていた。

   どちらが漏らしたものかもわからない
   気泡が全身を覆って、
   海面で乱反射する夕日が薄暗く差し込んで、


がぼ。



この泡は、自分の口から出たものだ。
それだけを自覚しながら、

  ごぼ  ごぼぼ。

  ――握り締めた拳を、そ
の顔面に
叩き




#BlackAndWhiteMovie

(131) 2023/10/01(Sun) 19:19:32

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>130 >>131


      
ごぼ。





(132) 2023/10/01(Sun) 19:20:01

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

(133) 2023/10/01(Sun) 19:20:32

【赤】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>133



    
「――ねえ。
     三日月島の夕日が見たいんだ。
     連れて行ってよ。

     …珈琲の恩が、あるでしょう?」




#AlisonWaterston

(*0) 2023/10/01(Sun) 19:22:31

【赤】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>*0



「悪い。
 一人で見に行ってくれ」



#AlisonWaterston

(*1) 2023/10/01(Sun) 19:23:04

【赤】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>*1


くそヴィト・・・・・に、
 もう一発くれてやる」



#AlisonWaterston

(*2) 2023/10/01(Sun) 19:23:43

【人】 黒眼鏡

>>133 >>*2



   
ばぎん、と。

   海中で一発、その鼻面に拳が届いて。





#BlackAndWhiteMovie
(134) 2023/10/01(Sun) 19:25:01
黒眼鏡は、ヴィンセンツィオとケリをつけた。 #BlackAndWhiteMovie
(a44) 2023/10/01(Sun) 19:25:35

【独】 歌うのが怖くとも カンターミネ

>>-410 >>-411

額を合わせて言葉を聞けば、常とは逆に。
今度は、こちらが笑顔を張り付かせた。
あなたほどは上手くない。眉は八の字だし、口角だって
上を向いたり、下を向いたり。震えてすらいる。
本当を言えば、あなたの真似は無理だと確信している。

だって、そんな本音が現実になる予感だって消えてない。
信じてはいる、きっと間に合う、あの男がそんな、
と思ってはいるが。保証がないのは、どちらの可能性も同じ。

「……」

お喋りが静かになる。なんとか笑顔を作らないと。
『お姫様の王子様』らしく。せめて、この件が終わるまでは。
(-412) 2023/10/01(Sun) 19:28:08

【独】 歌うのが怖くとも カンターミネ

>>-410 >>-411 >>412

「……任せとけよ、エリー。
 その為に俺がいるんだ」

そう言って、手を取って、車を出た。
その先には、――きっともう、誰もいなかったんだけれど。

後には血の跡さっきまでそこにいた証だとか、壊れた赤い車その結末を暗示するような物だとかばっかりで。
きっとそこには、ここにいた男と、もう一人の誰か以外、
誰の入る余地もなかったんだから、しょうがない。

しょうがないけど、しょうがないけれど、
(-413) 2023/10/01(Sun) 19:34:39

【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ


貴方が嫌がる顔は想像していなかったけれど。
変わらず微笑んでくれていることにはやっぱり安堵してしまった。
だから泣いたばかりの顔は無理に隠したりしないまま。
ひとつひとつ返る答えには頷いたり、相槌を打ったり。
思っているよりも早くその日は来るのかなとか考えたり。

していたところ、最後の期間については少しだけきょとんと瞬いた。
何かの想定があるからの暫く、だったのかと思ったけれど。
そういうわけじゃなかったらしい、なんだ、なるほど。
それからもう少し瞬きを繰り返した後、唐突に。

「……あはは、それじゃあ」

声を揺らし笑えば、腕を撫でる手を止めて。
貴方の瞳をじぃと見つめて、笑って。

[1/2]
(-414) 2023/10/01(Sun) 19:34:42

【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ


「オレが大丈夫じゃないままなら、
 ずっと一緒にいてくれるんだ?」

「…………なんて」

なんて。
そんなのきっと困っちゃうだろうな、わかってる。
目を細めてからもう一度、貴方の肩へ額をとんと押し当てた。

「……じょ〜だん」「…………でも、ほんとかも」
「オレって甘えたらしいから、気を付けてね」


勿論貴方が大切な人と共に生きていきたいと、
望むような日が来るなら止めたりはしないのだけれど。
そんな言い方をされたら、そんな風に返したくなってしまった。
だってオレ今、一人で歩ける未来なんてうまく想像できないから。

みゃあ、と目を覚ました子猫が鳴く。
ちょっとずるい顔しているのバレたかな、内緒だよ。
そう伝えるみたいにちいさな額を指先で撫ぜて。

「じゃあ、今日はとりあえず帰ろっか。
 落ち着いてからじゃないっていっても、ちょっとでも早く身体治して欲しいから」

「家まで送るよ、せんぱい、……
 …………リヴィオさん?」

そうしてぱ、と顔を上げた頃、濡れた瞳はそのままに。
変わらず微笑みを浮かべていたことだろう、うれしげに。
 
[2/2]
(-415) 2023/10/01(Sun) 19:35:32

【独】 歌うのが怖くとも カンターミネ

>>-410 >>-411 >>-412 >>-413

「……ッの……」


ほんのひと時、ざわりと逆立ったライムグリーンは、
きっと父親のように思っていたからこそ、

達の話くらい聞いて死ねよ、クソバカオヤジーーーーーッ!!!!」


夕陽が去るのと一緒に黒くなっていく、
海に向かってそう叫んだ。

ぜえ、はあ、と息を切らして、……そこでやめた。
空撮ドローンの音がする。間もなくここは
夕陽の代わりに、ドローンの投射光で照らされるだろう。

或いは、それが何かされた物を照らす事も、あるのかもしれない。
(-416) 2023/10/01(Sun) 19:40:20

【魂】 指先からこぼれ落ちたのは エルヴィーノ

「……心配? 大丈夫、ルチアが良いって言うまでここにいるよ」

入院は思ってたよりも長期間に及んだ。
元々一人暮らしをしていた関係上、関節の損傷という怪我の具合もあったが、加えて動脈をやられていたことと、精神も病んでいると診断されたことが理由として大きかったようだ。
本人は早く退院したかったが、幼馴染が最大限病院を利用しろと言うので素直に従ったらしい。

容態が安定してからは精神的な病気の方が厄介で、男はとにかく眠らないと、病院関係者も頭を悩ませていた。
幼馴染が来てくれた時だけはぐっすり眠れているのも確認されていて、薬が効かないから助かると思われていたに違いない。
また、同期の二人や先輩も時々顔を見せてくれていたから、病院で問題行動を起こす……なんてことは起こらないから、扱いやすいおとなしい患者の一人であったことは間違いない。

ただ。
たったひとつの、行動を除いては――――――――


#VerdeMare
(_11) 2023/10/01(Sun) 19:47:07

【魂】 指先からこぼれ落ちたのは エルヴィーノ

「ねぇ、ルチア。お願い」

首を噛んでほしい首輪をかけてほしい
そう言い出したのは、首についていた歯型の痕がなくなってしまった日のことだ。
幼馴染には勿論そんな趣味はない。
しないと自分で首を爪で傷つけるから、1・2回はそのお願いを聞いたかもしれないが、その後は犬用の首輪がついた。
病院の方々はさぞ不審がったに違いない。
診察の際に「人間関係を整理しては」と遠回しに幼馴染と別れることを勧めた医師もいたことだろう。
時間が経てばそういう発作みたいな衝動も少なくなってきて、首輪はチョーカーとなり、いつしかネックレスなりアクセサリーを首につけていれば安心できるようになっていた。
けれど最初の時の、あのルチアの悲しそうな顔が忘れられない。
悲しくなって、ごめんねと言って頭を何度も撫でたのを、よく覚えている。

この頃には、いつだったか。
僕が二人目に好きになった人
だったラーラが亡くなっていた。
薬の処方ミスがあったらしい。
不運なことだが、彼女には身よりもいなくて訴える人間も居ない。
あしながおじさんを続けていたけれど、その必要もなくなってしまった。
その知らせを聞いた時はまた精神的に危うくなったけれど、この時もまた、幼馴染が傍についててくれたから無事だった。

#VerdeMare
(_12) 2023/10/01(Sun) 19:48:07

【魂】 指先からこぼれ落ちたのは エルヴィーノ

月日は巡る。
リハビリを経て職場復帰を果たすころには、約2年の月日が経とうとしていて。
表面上はもう、以前と変わらなぬ笑みを浮かべ仕事に取り掛かることができていた。

だが、内面はどうだっただろうか……?


海風が薫る砂浜でひとり、遠くに輝くシーグリーンキミの瞳を見つめていた。

幼馴染ルチアは、僕を大事にしてくれる。
それはすごく、嬉しいことで、幸せなことだ。
あなたが笑ってくれるから、僕は隣で穏やかであればいい。

でも、時々すごく、寂しくなる。
ルチアは、僕を決して抱いてはくれないし、抱かせてもくれない。
愛してると告げてみても、そうだなと笑うだけ。

別に、いいのに。
僕はもう、キミだけしか見てないのに。
悲しませたくはないから、絶対に気持ちを返してほしいなんて思わないのに。
一度抱き潰された体が疼くから、沈めてほしくて。

#VerdeMare
(_13) 2023/10/01(Sun) 19:50:11

【魂】 指先からこぼれ落ちたのは エルヴィーノ

だけどそれならと、適当な人の腕をつかもうとしたら怒るから、それはせずに首輪をつけるんだ。
あなたが訪れてくれるのを待つ、忠実な犬のように。

僕は――――

もし死に方を選べるなら、
キミに殺されるのが一番いいよ。ルチア。
キミが我慢できなくなったなら。
キミが死んでしまうその前に。
僕を優しく抱いて殺してね。


指先からこぼれる愛を集めて、全部キミにあげるよ。

僕は最期まで、キミの笑った顔が、見たいから。

#VerdeMare
(_14) 2023/10/01(Sun) 19:50:49

【魂】 指先からこぼれ落ちたのは エルヴィーノ

「やぁ、はじめまして、おちびさん。
 わぁ、思った通りすごく良いね、毛並みもふわふわだ」

ある日。
腕におちびさんを抱いて、嬉しそうに笑う男が一人。付き添い一人。
医師に動物を飼う事による精神治療と生活改善を更に進めてみてはどうだろうかと勧められたから、ペットを飼うことにしたのだ。
ペットはゴールデンレトリバーの子犬。
大型犬のほうが落ち着いていて気性が優しいから、おすすめ出来ると言われたのもあるが、なんとなく、この子犬に一目惚れをしたのだ。
尻尾を振って甘える仕草が、とても可愛かったから。

「キミのお陰で、部屋も随分変わったよ。
 あ、こっちのお兄さんはルチア。よく家に来る人だから覚えようね」

犬を飼うと決めてから、同期の……特にアリーチェが犬用のグッズを買っては差し入れしてくれる。
今では子犬用のグッズで部屋が彩られ、生活感のなかった寂しい部屋が嘘のように変わっていった。
いつかは庭付きの部屋に引っ越して、外でいつでも遊べるようにしてあげたいとも思っている。

#VerdeMare
(_15) 2023/10/01(Sun) 19:52:11

【魂】 指先からこぼれ落ちたのは エルヴィーノ

「え、名前?」
「勿論決まってるよ。
 ……というより、それしか浮かばなくて」

名前を問われ、子犬に舐められくすぐったそうにしていた顔を上げて、男は頷いた。
抱いた子犬をじっと見つめ、気に入ってくれるかなと頬を緩め。
もったいぶるような間を取って、口を開く。

日に当たればきらきら輝く金の毛並みだから、それは勿論。

「キミの名前は今日から
”レオ”
だよ」

想いに想いを重ねて、僕は今日を生きる。
こぼれ落ちた愛は、全部集まったかな。

忠犬さん。
どうか僕が死ぬ殺されるその日まで、ずっと傍に居てね。

#VerdeMare
(_16) 2023/10/01(Sun) 19:52:58

【鳴】 夜明の先へ ニーノ

「近場……かなあ。
 まだ決めてない、とりあえず知り合いあんまりいないところ〜って……」

貴方があんまりにも素直に寂しそうな顔をしたので。
寂しくさせるのが自分だってわかってるのに、なんだか笑ってしまった。
嬉しかったのだ、そうやって求めてもらえることが。
なのでもう一度、いや二度ぐらい、やさしく髪を撫でてから。
にま、向けられた笑みに更にこちらも笑みを深めていれば……むぎゅっと。

「ゎ」

貴方に抱きしめられると本当にいつもすっぽり収まってしまう。
あの牢の内に居たときからそうしてほしかったと、
望む心が満たされていくのを感じて、しあわせだ、と思った。

「へへ……
 ろーにいならいいよって言ってくれると思ってた」
「はぁい、鍵は失くしません、大事にするし」
「帰り遅くなってもいいよ。
 オレ寝てておかえり言えないかもだけど……」
「誰か来るのも大丈夫、だめなときは外に居るし。
 そうじゃなかったら家の中で大人しくもできます」

注意事項にはきちんと全てに返事を返す。
だって大事なことなんだろう、そして全部大丈夫。
ぎゅっと抱きしめながらも顔だけは上げて、貴方を見上げて。

「……だから、しばらくよろしくね?ろーにい」

無職なので家事はしまーす、と。最後に付け足して笑っていた。
(=16) 2023/10/01(Sun) 19:56:33

【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロ

最後にもう一度だけ貴方の方を向いたかもしれない。
横柄に腰を折り、手を伸ばして前髪を掴んだ。

汗の浮いたかんばせ。涙は流れなかったかもしれないが、きっと滲んでいる。
濁る千草を目に映す。金が混じればまるで春のよう。色ばかりは明るく華やいで、それが酷く不似合いだった。

それで、男は満足したらしい。
最後にふっと息を吐いて笑う。次にはぱっと手を離した。貴方の頭部が床に落ちるごとんという音がしたかもしれない。
そのままやっぱり自然な仕草で​────本当に、ただの仕事を終えて休憩に出る時のような自然さで​────取調室の扉を開けて。

「救急車を。」
「少し暴れたので、手当が必要かと。」

やっぱり事も無げに、淡々と報告する声が聞こえた。
(-417) 2023/10/01(Sun) 20:12:21