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【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 口に金貨を ルチアーノ「人のケツの中にさんざんご機嫌に中出ししておいて何を気取ってるんだ」 はだしの足が背中をどつく。爪先にはルージュ・カザックが煌々と彩られていた。 汗まみれのシャツに腕を通しただけの格好で、気怠げにソファにもたれかかったまま見据える。 少なくともしばらく動かなかったのはそうだし、気をやりかけわていたのもそうだ。 或いは銃口を向けられてそれが退けられるその時までは、まだ夢の中であった、そうあれていたのかもしれないが。 筋張った長い指が投げ寄越された衣類を引っ掛け、居座りすぎない程度に着衣を正し始める。 「色男ぶっているくせに、一度きりのセックスでよくもそんなに感傷的になれるもんだ。 どうやら存外、思った以上に面の皮の中身はヘタレの小僧らしい。 手前の落ち度で人を巻き込んだと、思い込めるだけはある」 声は掠れていっそう聞き取りづらく嗄れている。さんざ鳴かされたのは演技ではない。 熱っぽく赤く染まった肌が汗で冷え切ってしまう前にと、のろのろと体を起こして汚れた衣類を端にまとめる。 あんまりな物言いをつらつらと述べて、それから赤毛のまるいあたまをじっと眺めた。 → (-619) 2023/09/26(Tue) 20:40:34 |
【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 口に金貨を ルチアーノ「そんなに権利がほしいなら、そうだな。 俺の死体を見つけられたらくれてやる。 好きな場所にでも墓を作って埋めるんだな」 そんなのはなんの気休めにも成らない歩み寄りだろう。 わかっていて、人を寄せ付けないような救わせないような物言いをする。 それでも、譲歩は譲歩だった。 (-620) 2023/09/26(Tue) 20:41:04 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → favorire アリーチェ「それも一つ、人生の学びかも、なんて」 これからに活かせるといい。 何でもない話題も、そうじゃない話題も。 ひとつ踏み込む大切さも、時間は限られているという事実も。 こんなところで学べるものがあるだなんて思っていなかったそれらを心の内でなぞって大切に覚えておく。 その内に向けられる貴方の満面の笑みが、やっぱり眩しかった。 「……はい。 きっと、いつか」 「楽しみです、せんぱいの話も。 ……オレの話も、させてください」 それがいつになるかはわからないけれど。 次に教えて欲しいお菓子はもう決めてあるのだ。 小さく笑みを転がせて、そうして直に指先を離す。 「それじゃあ、また」と、ひとときの別れの挨拶を形にし。 そうして笑みを最後贈ってから牢の移動へと歩いて行く。 いつも通りを教えてくれた貴方の言葉で、見据えるべきものを見据える勇気を抱きながら。 (-621) 2023/09/26(Tue) 20:43:16 |
【秘】 法の下に イレネオ → 路地の花 フィオレ膝で貴方の身体を押さえつける。 馬乗りにはならない。強姦魔と罵られてはかなわない。 手の届かなくなるまえに携帯を掴めばそのままタップして貴方の顔に翳す。 しかしロックは解除されなかった。舌打ちをひとつしてポケットに仕舞い込む。 「何をしていた?」 「役職は。誰を呼んだ?」 「殺しか?」 「黒眼鏡と言ったな?」 体重をかける。 まだ、それだけ。 (-622) 2023/09/26(Tue) 20:44:53 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 幕の中で イレネオまた頬へ、鋭い痛み。そうしてじん、と。 触らなくとも、熱を持つのがわかった。 「だか、らぁ…っ」 ――喉の奥。生理的に零れた呻き声。 それでも女は口角を上げ。零れる声も、その色を保ったままだった。 こわくない。笑え。 「売りま、せん、よぉ…っ」 「結果を、見て、わかりま…せんかぁ?」 「――あた、しはっ」 かしゃり、手錠の鎖が鳴って。 「誰が、A.C.Aか、調べ…てえ…っ」 「その人たちを、みんな、逮捕しよおとした…んです、よおっ…」 あは、とまた喉から笑い声が落ちる。 そして。これは。 あなたの望んだ、真実だ。 (-623) 2023/09/26(Tue) 20:45:57 |
ダニエラは、真実を、自白した。 (a33) 2023/09/26(Tue) 20:46:12 |
【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 幕の中で イレネオ「こおんな、」 でも。 まだだ。終わらない。笑え。 「悪用しやすい、法案」 「作る方が、悪いってえ…っ」 「だから、ぁ」 「一般人も、巻き込んで、やりまし…たぁ…っ」 口が回るうちに。 …もう機会は、ないかもしれないから。 「――言ってる意味」 「…わかり、ますかぁ…?」 けた、けた。些か力なく、喉が鳴る。 そして。これは。 嘘だ。 …けれど。果たして今すぐに、それを判断することはできるだろうか。 虚実の境を、見つめることはできるだろうか。 女はいう。 自分は確かに悪人であると。 法を利用し、嘲った、 愉快犯 であるのだと。 (-624) 2023/09/26(Tue) 20:46:58 |
ダニエラは、嘘を、自白した。 (a34) 2023/09/26(Tue) 20:47:11 |
ダニエラは、笑っている。 (a35) 2023/09/26(Tue) 20:47:35 |
【秘】 黒眼鏡 → 幕の中で イレネオにやにやと笑いながら、 まるで人間のようにあなたに相対し続ける。 「俺は俺の知ってることしか知らんよ。 お前だって、自分が仕組んだことなら分かるだろ? 逆に、自分の手の及ばないところで起きたことは何も知らない」 両手を開こうとして、手錠がかちゃりと音を立てた。 「――何故か知ってる、なんてことはない。 知っているから、そこには何かがあるんだ。 サア、なんだろね」 あなたの瞳の色に、その瞳を好奇に輝かせて。 (-625) 2023/09/26(Tue) 20:47:56 |
【置】 門を潜り ダヴィード「はっ、はっ……」 夜。 痺れを切らした追跡者たちが、距離を詰めてきているのを感じた。 悲しいかな木っ端の下っ端に付いていた追跡者は一人だけで、意を決して走り出せば慌てて向こうも走り始めた。 勝手知ったる路地裏に誘い込めば逃げ切れるか、と暗く細い街路へと走り続ける。 あと少し、そう思った時のこと。 どっ、と腹に強い衝撃が走った。 勢いのまま転げて、なんとか頭を庇って縮こまる。 「さんざ走り回りやがって、このクソガキが」 「オラ手ェ出せ、手錠嵌めてやる」 待ち伏せされていたと気付いたのは罠に嵌ってから。 逃げ回って翻弄したつもりでいて、実のところは追い込まれていたの自分だったのだ。 「アハハッ、なんの根拠があって? 俺の何が悪くて、どうして逮捕されるんです? 説明し、あ"、ぎッ……」 罵声と共に降ってきたのは拳。口の中が血の味でいっぱいになる。痣が出来るだろうなあ、とぼんやり思う。 「見えるところはやめて、くだッ やめろって言ってんだ い"〜〜ッ……」 減らず口で時間を稼ぐにも限度がある。彼らだって曲がりなりにも警察官なのだ、『抵抗したから』以上の危害は加えられないだろう。 いやだ、いやだ、約束を守らないと。 嘘を吐くのはいやだ。 (L10) 2023/09/26(Tue) 20:50:44 公開: 2023/09/26(Tue) 20:55:00 |
【置】 門を潜り ダヴィード「……あ?電話? チッ、んだよ……張り込み中に電話すんなッて!誰だよ! 今いいとこなんだから邪魔すんなって! ……ア!?失効だあ!?」 ざわ、と周囲の男たちが騒がしくなる。 どうすんだよこいつ、知るかよそんなもん、とりあえず行くぞ、ここにいるのはまずい。 先ほどとは違うばたばたとした足音が引いて行けば、周囲に人の気配はなくなっていた。 「……失効……?ってことは……時間切れ? おいおい、俺偉いんじゃない? アハハッ、アハハハハッ!」 あいててて。思わず大笑いすると腹に響いて鈍い痛みが戻ってきた。 さっき聞いたことが本当なら、付け狙われていた根拠が効力を失ったというのが本当なら。 「は〜〜〜〜〜〜ぁあ」 特大のため息も漏れようというもの。 ああ、俺は約束を守れたんだろうか。 腹も顔もじんじんと熱を持っている。おそらく腫れて、痣になるかもしれない。でも生きているし、無事だ。 「使わなかったな、お前も」 懐から愛用のナイフを取り出して、鞘は払わないまま撫でてやる。 警察は嫌いだし、殴られた分はお返しを計画するだろうけれど、死んでほしいとは思わない。 暗い空を見上げて、またひとつ笑いが溢れた。 (L11) 2023/09/26(Tue) 20:51:15 公開: 2023/09/26(Tue) 20:55:00 |
【秘】 黒眼鏡 → 路地の花 フィオレ「興奮しねえ女抱いたりしねえよ」 ティッシュでいい、なんて言ってそれを拭い。 「さっさとシャワーを……」 言いかけて、寄り添ったあなたの肩を撫でる。 しばらくはそのまま、体温を分けて平準化するよう座ったままで、 「……一緒入るか」 そのままでは体が冷える、と感じ始めてようやく、 あなたの手を引いてシャワールームへと連れていった。 (-626) 2023/09/26(Tue) 20:52:15 |
ダヴィードは、「うるせえ!」と近所の窓から空き缶を投げられた。そんな。 (a36) 2023/09/26(Tue) 20:55:16 |
【教】 コピーキャット ペネロペ車のエンジンを掛け、シフトレバーを引き、 ハンドル片手にアクセルを踏む。 目的地はただひとつ。『家族』の顔を一番に見てやる為に。 (/2) 2023/09/26(Tue) 20:59:11 |