厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a71) 2023/03/06(Mon) 19:24:30 |
【人】 厨房担当 ゲイザー― 今夜、空港にて ― [電車を乗り継いで辿り着いた先、国内線の出発ロビーで思い返す。 『うさぎ』のロッカーに置いてきた右前のピーコートの代わりに、フォーマルの黒のジャケットを羽織って。 そのジャケットと入れ替えるように、オレンジのイヤーマフをスーツケースに押し込んで。] ( チエ、 ) [最後まで言い切れないまま、呼びかける声があった>>349。 その人のいつも通りの、「ケイちゃん」と呼ぼうとしている声だった。] ( シャミー、 ) [やはり、途中で霞んでしまったような呼び声もあった>>273 それはいつもの「ゲイザー」ではない、けい、の名を呼ぶ声だった。] (554) 2023/03/06(Mon) 20:06:54 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[あの時場を同じくしていた誰もが、速崎が起こしたこの騒動に気づいていたか否か、それは速崎には分からない。 同じキッチンにいた瑞野なら、流石にこの退出には気付いただろうと思えども。 何か呼び掛けるような声が聞こえたわけではない>>309。 はっきりとした記憶には残らなかった栗花落の挨拶と同様に、貝沢の声>>283はほとんど聞こえていない。 神田に何か言われたような記憶もない>>372。 それでも、なんとなく覚えてはいるのだ。 ふたり分の手で手掛けたクッキーを楽しみにしてくれた「カッチ」の声があり>>267、 作り手ですら綴れない程の細やかな言葉で綴られる「カンちゃん」の評があったのだ>>334、と。 バックヤードで御堂とすれ違った記憶は未だ飛んだままだったが、記憶が飛んでいるなりに、想像はできる。 申告済みの早退なれど、その帰り方がこんな有様では。 間違いなく、ヘルプ出動以上の心配をかけさせていると>>419。] (555) 2023/03/06(Mon) 20:07:06 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[速崎は客に対してのみならず、スタッフの素性に対してもあまり深入りしてこなかった節がある。 履歴書を覗き込みでもすれば>>0:307判ることもあろうが、そういうことも、自分からはあまりしてこなかった。 だからあの場で、自分が栗栖に零した言葉で、他に傷つけてしまった人がいたかもしれない。 そこまで速崎の思考と想像力が回るようになったのは、飛行機を待つロビーで身を落ち着けられたその時になってから。 それでも、「なんで」の後に何の言葉が続けられようとしていたのか、そこまでの想像は速崎にはできなかった。 できなかったなりに、やっと一歩進めたのに二歩後ろに戻されたような、そんな余韻ばかりが残る。] (561) 2023/03/06(Mon) 20:07:44 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[ロビー内にアナウンスが響く中、速崎はスマートフォンでショートメッセージを送信する。 宛先は、御堂宛ての電話番号。] 『心配おかけしてると思います。ごめんなさい。 明後日にはうさぎに戻ります。必ず、戻ってきます。 速崎』 [搭乗に追われる形で急いで送ったメッセージは拙い文章だったけれども、早くに伝わるならそれに越したことはないと。] (562) 2023/03/06(Mon) 20:08:00 |
【人】 厨房担当 ゲイザー( みんなに、心配かけさせてる。 ハヅキ、さんだって、待ってるって言ってくれた。 それに、戻らなきゃ、 クリス、さんにも、マシロ、にも、謝れない。 ) [こうして速崎璥は、飛行機で星空の下を飛んでいく。] (563) 2023/03/06(Mon) 20:09:44 |
【人】 厨房担当 ゲイザー[ 「ゲイザーの誕生日」のメニューの話まで出て来て あれだけ盛り上がった、いつかの賄いの夜の騒がしさは、 夜の最終便の機内の静寂の中、どこか、遠い。 **] (565) 2023/03/06(Mon) 20:13:12 |
厨房担当 ゲイザーは、メモを貼った。 (a74) 2023/03/06(Mon) 20:17:48 |
(a75) 2023/03/06(Mon) 20:17:59 |