人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → favorire アリーチェ

>>-33

「……! やぁ、アリーチェ。
 私服のキミもなかなかだね」

ベッドに横たわったまま、顔をそちらを向けて笑みを浮かべる。
いつもなら手の一つも上げるのだが、あいにく今はそれができそうもない。
肩から胴にかけてがちがちにギプスと包帯で固められ、逆手には何本もの点滴が繋がっているからだ。

署で話を聞いていたなら、あなたは病状を動脈損傷による大量出血と肩関節損傷だということを知っているだろう。

「……うん。まぁ……テオドロと約束したからね」
「キミ達が皆無事に釈放されたみたいで安心したよ」

署からも感謝の言葉は何度か聞いた。
改めてあなたからも告げられると、むず痒さが出ていけない。
だから挨拶もそこそこに礼を言われれば、少しだけ困ったような笑みに変わる。
この怪我がなければ格好もつけれたんだけどねと、そんな事を言いたいようだ。
(-34) 2023/09/27(Wed) 20:28:51

【人】 黒眼鏡

──真昼のこと。
海沿いの開けた道に面して建てられた、トラックがまるまる入ってしまいそうなスチール・ガレージを改装して作られた店舗。
それなりに古びていて潮による錆も無視できないが、そこは短パンとサンダル姿で表をぶらぶら出歩けるくらいには気ままなの城だった。

──ごり、ごり、ごり。


Mazzettoマツェット】という味気のない店名。
今その店頭に、看板は置かれていない。
入り口の脇にたてかけられたその看板には、そこの主に似合わない小さな花がセロテープで張り付けてあった。


──ごり、ごり、ごり。



店内は照明が落とされて、黎明に照らされた海の底のようにじっとりと薄暗い。
そんな中で黒い眼鏡をかけた怪しげな男が、カウンターの奥でコーヒーミルを回している。
男はむっつりと口をへの字に曲げて、額からぽたりと汗を垂らしながら重たいハンドルに力を込めた。

──ごり。


硬く、重い。金属質な音が部屋の奥底まで響き渡り、波に運ばれた石のようにカウンターの裏を埋めてしまいそうになるころ、

「兄貴?」


──店の扉をがちゃり、と開く音がした。

#AlisonCampanello
(40) 2023/09/27(Wed) 20:30:53

【人】 黒眼鏡

>>40
路面と海面が反射する太陽の光を背負って、
一瞬影となったその男が店内に足を踏み入れる。

「黒眼鏡の兄貴、よかった、ちゃあんと釈放されてるじゃねぇか!」


ガイオと呼ばれるそのマフィアは、観光案内所の役付き者だ──表向きは。
実際にはノッテ・ファミリーの一員として、観光客を相手にスリや詐欺、置き引き、恐喝などを働く、外貨・・獲得部門を取り仕切っている。

「おう、ガイオ。
 お前も出てこれたのか」
「部下たちもな、兄貴も早いじゃねえか。
 あんなネタが出たんだ、もう少し絞られるかと思ってたぜ。運がいいな」


気安く笑いながら、意外と丁寧に掃除されている床を踏みカウンターに肘をつく。
アレッサンドロもまたコーヒーミルから手を話し、かちゃかちゃとコップを用意しながら立ち上がった。

「ソウ、裏切者のアレッサンドロです。
 いいのか、こんなとこに来て。俺の処分はうやむやになってるだけだぞ」
「とぼけんなよ、『プラン』だろ?
 何言ってんのかと思ったら、こういうことだったとは。
 最初はびっくりしたが、すぐに失効したし、今なら取り返すのはなんとかなる。
 …そんでもってこの機会に恩を返したら、高ぇ利息を取れるんじゃないかと思ってね」

ははは。アレッサンドロがにやりと笑って、ガイオの肩をぱんと叩く。

「抜け目のねえやつだな。ま、わざわざ呼ぶ手間が省けたよ」
「あんたにしごかれたからな。今度またうちに来てくれよ、フィーコも寂しがってる」

「ああ、あの犬」
(41) 2023/09/27(Wed) 20:32:59

【人】 黒眼鏡

>>41

ガイオがスツールを軋ませて腰を下ろす。
アレッサンドロは何か思い出すように視線をあげながら、
ポットに入っていた珈琲をカップに注ぎ、カウンターの上にかちゃり、と置いた。
手をタオルで拭って、自分の分のカップも取ってガイオの隣の席に座る。

「そうそう…ってふざっけんなあんたが押し付けたんだろ!
 だが実際飼ってみるとかわいくてな、
 ただでさえ家を空けちまったんだ。
 早く帰ってやらねえと」

「ガイオ」

ん? と顔を向けたガイオに、
アレッサンドロが体を重ねるようにもたれかかって、

――
ぐ。


#AlisonCampanello
(42) 2023/09/27(Wed) 20:36:07

【人】 黒眼鏡

>>42

「兄  貴、…
は? …ぇ、

「ガイオ。犬の世話は、俺からお前の部下に頼んどく。
 引き取り先も探すよ」
「……ぁ、……っ、……」


ぼた、ぼた。

綺麗に磨かれた床に、赤い雫がぼたぼたと落ちる。
体ごとぶつかるように突き込まれたナイフの先端は狭い肋骨の間をすり抜けて、
ちょうどガイオの肝臓に達していた。
太い血管がいくつも同時に切断され、ごぼり、と大量の血が傷跡から零れ落ちる。
ナイフを握ったままのアレッサンドロの手が一瞬で赤に染まって、受け皿にもなりきれず、零れた血液はばちゃばちゃと床をまだらに汚していった。
──そのまま。固く握りしめられたナイフの柄が、ぐるんと捻り捻じ込まれる。
ぶぢぶぢと、さらにいくつもの血管が引きちぎられる音が響いた。

#AlisonCampanello
(43) 2023/09/27(Wed) 20:38:48

【人】 黒眼鏡

>>43

「……あに、……ぃ、
 なん、……で、」


「お前、10年前に観光客ひとりひっかけただろ」

「………、……」


それ・・だ。お前ほんと、引き運悪いよな」

「………」



「悪い」


ぽん、ぽん。
まるで幼子をあやすように、血に染まった手がガイオの背中を叩く。
出血性ショックで既に気を失ったその体は、男の手に支えられながらゆっくりと傾ぎ、倒れる。
それを抱き留めて、まるで気遣うように優しく床に横たえると、

「バカラの続き、できなくて残念だ」

アレッサンドロはいつもの、酒の席で別れる時にかける調子のまま、そう声をかけた。

#AlisonCampanello
(44) 2023/09/27(Wed) 20:39:48

【人】 黒眼鏡

>>44

ぼた、ぼた。
返り血がカウンターの上に数滴飛ぶのも構わず、アレッサンドロは立ち上がった。
血に染まったスウェットを脱ぎ捨てて、扉の隙間から差し込む潮風をも追い越すような早足で、店の廊下を歩いていく。
まだらに赤く染まったトランクスをひっつかんで引き下ろし、サンダルを放り捨て、裸足で全裸のまま私室の扉を蹴り開けた。
みしり、と音がして蝶番が歪み、中途半端に傾いた扉。
それを振り返ることもなく、乱雑にかけられた黒いシャツをとスーツをひっつかむ。

下着、肌着、シャツ、スーツ。
次々と脚と腕を通していって、ボタンが捻じ込まれるように止まる。
その一挙手一投足が鳴り響く開演のベルのように耳に響いて、
アレッサンドロの全身を流れる血流がどくどくと脈打った。
その高ぶりを鎮めるように一度、ぱちんと頬を叩いて。


「うし」

──すっかり準備を終えてから、壁際に据え付けられた鏡を見る。
ふーー、と吹きだした息は、まるで火が舌なめずりをしたかのよう。
ぎらぎらと燃え盛る堅炭の瞳がひび割れて、ごう、と熱が渦を巻く。
自分でその顔を見て、ふ、と笑い。

「確かに、こりゃ。
 人相が悪い」

#AlisonCampanello
(45) 2023/09/27(Wed) 20:40:45
黒眼鏡は、ポケットに突っ込まれていたサングラスをぴんと指先で弾き、つるを伸ばす。#AlisonCampanello
(a10) 2023/09/27(Wed) 20:41:18

【人】 黒眼鏡

>>45

拳銃に弾倉マガジンを装填する時のようにもったいぶって、かちゃり、と顔にひっかけて。



  
「──久しぶりの喧嘩だ。
   楽しくなってきたよなあ、おい」




に、と口許が、牙をむくように暴力をにじませて笑う。
その様相は馬鹿みたいに荒々しく、
気さくで飄々としたカポ・レジームの面影はもうどこにも残っていない。

──アレッサンドロ・ルカーニア。


それはかつて十四にしてスラム街の一角を暴力で纏め上げ、
その喧嘩の腕と狂暴性だけでファミリーへと拾い上げられた
喧嘩屋の小僧・・・・・・の顔だった。

#AlisonCampanello
(46) 2023/09/27(Wed) 20:42:25

【人】 黒眼鏡

>>46

そいつは格好をつけて黒眼鏡をかけると、またずかずかと店の方へ脚を進め、
折りたたまれた看板を片手で持ち上げる。
CHIUSO閉店】の面を向けて店先に放り出す。

潮風がごう、と吹く。
風に流された雲が太陽を覆い隠して、
三日月島の名物である太陽に照らされた海面はほどほどにしか光っていない。

それでもかまわない、と男は、革靴に包まれた脚をがつんと前にだした。
くるくると指先で回す、革細工のキーリング。
かちゃりかちゃりと音を手てて、愛車――フィアット500の鍵が音を立てる。

そんな音では、足りはしない。
そんな音では、贖えない。

10年を費やした弔いが、今日この時に結実する。
そんな風に喧嘩をしたことがないから、男にとってそれは最初で最後の、
──最初で最後の、

ことだった。

「負ける事考えて喧嘩するやつが、いるもんかい」


だから、彼は勝つつもりだ。
だから、彼は笑っている。

#AlisonCampanello
(47) 2023/09/27(Wed) 20:45:26

【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

>>47

潮風がごう、と吹く。
地を照らさぬ太陽の代わり、差別主義者・・・・・の神の代わりに、
俺がやる。
アレッサンドロ・ルカーニアはそういう風に生きて来て、
だから最後までそういう風にやるつもりだった。


「──さあて。」



──さあて、鳴らそう。
アリソンに捧ぐ鐘Alison campanelloを。


#AlisonCampanello
(48) 2023/09/27(Wed) 20:47:29

【秘】 favorire アリーチェ → オネエ ヴィットーレ

 
きっと病院についた頃には貴方を見つけ、
付き添っていたであろう女はずっと青白い顔で、
手術の時間、ひたすら神に祈りながら、
ある種の永遠とも思うような時間を耐え忍んでいた。

命に別状はなかったとしても、その怪我の深さに見かけた時は酷く取り乱したかもしれない。

それでもこうして病室へと移された後は少し落ち着いた様子で、ベッドの傍の椅子に静かに座っていた。

「ヴィットーレ、大丈夫?
 やっぱり、ズキズキ痛んだりする?
 ……少しでも、その痛みが分けて貰えたらいいのに」

この台詞も何回目だろうか、と思うくらい、
余りにも状況は目まぐるしく変わり、自分達を苛んで。
3回目にもなる台詞では、前回2回と違って取り乱した様子もなく、あの混乱を終えた後は少しだけ大人びても見える程だ。

「……ようやく、崩れたね。トランプタワー」

#病室
(-35) 2023/09/27(Wed) 20:56:29

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 幕の中で イレネオ

――治療。と。
聞いて女がまず感じたのは、今まさに感じる自分の肩の痛みだった。

「……。」

ざわと粟立つような思考を鎮める。
笑って。隠して。悟られず。ずっとそうしてきたように。
あは、と声。
笑っている間は堪えられる。だから女は、まだ囀る。
女にはそれしかないだけで、決して余裕を誇示するつもりはなかったが。きっと、それは、皮肉と呼べる。


「ふふ。いいえぇ。」
「気になっただけですけどお。」

「それにしても」
「決めつけるんですねえ、庇い合い…。」
「取締法、そんなに信用できますかあ?おもしろおい。」
「あたしが自首するまで、あたしのことも捕まえられなかったくせにい」

「こんなことなら、自首なんかしないでもっと引っ掻き回せばよかったあ。」

くす。
きっと女の目論見は、大半にして成功していた。
聞かれたくないことには答えず、この法案がどれだけ
悪用
しやすいかを説く。
あとはこの笑顔を絶やさず堪えるだけ。頭のおかしな愉快犯が、単独でこれを行ったのだ。



女は笑う。笑う。笑い続ける。
何があろうと、仮令――その大事なマリーゴールドが、摘み取られようと。
(-36) 2023/09/27(Wed) 21:00:23

【独】 歌い続ける カンターミネ

とあるひとりの女性警官が姿を消した。
バカ騒ぎの中で消え去ったひとりの姿は、
喧騒の内にうやむやになり。

ある者は出ていった者達が抱えていった、
それも下着以外の全てを剥かれて、なんてことを口にしたが。
結局それも噂の内。今必要なのは人手でしかないから、
そんな噂もやがて消え失せてしまった。

「お疲れ様で〜す」

巡回の警官が笑いながらすれ違う。
……あんな奴居たか?そう疑問を持った者もまた、
やがて忙殺に思考をもみ消された。
なにせ特徴の薄い警官だったから。
長くも短くもない茶髪が揺れる、小柄な警官だったから。

これは、どこかで事が動き始める前の事。
準備を始めた、『ケーサツ』の話。
鼻歌混じりに廊下を歩き、消えた人間のデスクを漁り。
書類を書き込むと、ポケットに捻じ込んで、
また署内のどこかへと姿を消した。
(-37) 2023/09/27(Wed) 21:02:45
カンターミネは、情報チームに連絡した。もうすぐ帰る予定だ、と。
(a11) 2023/09/27(Wed) 21:06:16

【秘】 favorire アリーチェ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-34
「もう、褒めても大したものは出ないわよ。
 ……エルヴィーノは……」

なかなかに、重症だ。一周回って感嘆しそうになるほど、
手術の痕が色濃い様子に、おもわず溜息が零れた。

「男の人はみんな無理し過ぎよ、もう。
 女の人も勿論しているんだろうけど、
 私の耳に入ってきたのは殿方ばかりだったわ」

ベッド脇の椅子にそっと腰掛けながら、病室を眺める。
花瓶にもし花が活けられているならば、
水替えを手伝いながら話の続きを始めるだろう。

「テオと約束?
 まさか、こんな危険な事をする約束を?」

もう、信じられない……と呟きながら少し拗ねたように頬を膨らませて、テオもテオよ。と若干飛び火した怒りが見える。
(-38) 2023/09/27(Wed) 21:06:37

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → favorire アリーチェ

>>-38

「意地を張らなきゃいけないときもある……ってとこかな」
「いや、僕もまさかこんな事になるとは思わなかったんだけど……
 テオドロは応援してくれただけだから、怒らないでやってほしいな」

普段の自分なら無理に行動をおこしたりなどはせず、当たり障りなく行動してたはずだ。
それでも動いたのは、テオドロとの約束もそうだが。
一番は、牢に入ってしまった友人たちを釈放させたかったからで。

「悪いね、……この状態では自分で何も出来やしないから助かる」

花瓶の水換えをしてくれるあなたに、申し訳無さそうに礼を告げて、息をつく。
自分の腕は、きっともう、以前のように動きはしないことを宣告されている。
リハビリをすればある程度までは回復する見込みはあるが、肩の可動は狭くなるし、反動の大きい銃は握れないに違いない。
それは、警察としてはかなりのハンデとなる話で……。
(-39) 2023/09/27(Wed) 21:18:10

【秘】 オネエ ヴィットーレ → favorire アリーチェ

「大丈夫よ、アリーチェ。
 もう痛くはないわ。」

何度も言ってきた"大丈夫"の言葉。
病院に運ばれるその時ですら、うわ言の様に
貴方に呟き続けていた言葉。
……今はしっかりとした意識で、安心できる声色で、
きちんとそれを伝える。
少なくとも、眉根を顰めるような激しい痛みは今はない。

視線を貴方から外して、反対側にある窓の方へ。

「……そうね。耐えてたかいがあったわ。
 ……アタシたちの勝ちね。良かった……本当に……」

少なくとも、自分にとって大切な人々は皆大なり小なり怪我こそすれど生きている。捕まらずに済んだ子達も大勢いる。
……腕一本失った対価としては、申し分ない結果だ。

「……退院出来たら、お店を立て直しながら……
 ……あの子達のこと、ちゃんと探さないとね。」
(-40) 2023/09/27(Wed) 21:25:13

【秘】 路地の花 フィオレ → 幕の中で イレネオ

この男が何を言っているのか、女には理解が及ばない。当たり前だ。

「バカ、ね」
私たちマフィア、ほど、っ…繋がりを尊重、するところ…ないわよ…っ」

少なくとも、あんたよりはずっと。と口角を上げて。

は、と熱い息を吐く。下腹部が疼いて、喘ぎ混じりの声が小さくこぼれる。
場違いのようにも思えるその反応に、あなたが顔を近付けたのなら。
そこはハニートラップを生業とする、彼女のテリトリーだ。

「っ、ふ……
捕まえた


自由な腕が、あなたの首に回されて。
ぐ、と彼女の方へ引き寄せられる。
あなたの唇に、女の唇が合わせられた。そのまま、抵抗の暇すら与えず 唇を舌でこじ開けてやる。
マフィアを毛嫌いしている様子のあなたなら、嫌悪から身体が離されるはずだと踏んで。
吐き気と快楽が迫り上がるのに耐えながら、あなたの口内を犯そうと舌を蠢かせた。

花の棘には毒があるの。
気安く触れると、痛い目を見るわよ。
(-41) 2023/09/27(Wed) 21:34:50

【秘】 Il Ritorno di Ulisse ペネロペ → 門を潜り ダヴィード


あなたをどこぞで拾って車内に詰め込んで。
それからアジトを離れ、
隠れていろと言われた手前隠れ家の一つへと。

そんな移動中の車内でのこと。

「見ないうちにずいぶん
男前
になったなあ?ダヴィード」

腫れた頬を横目に見て、不意に。

「こういう生き方をするって事がどういう事かわかったろ」

「お前は今岐路に居る。
 そのツラ見るにどうしたいかも、もう腹が決まってんだろ」

どうするかではなく、どうしたいか。
マフィアとして生きていくか、それとも違う道を選ぶか。

頬を腫らして、けれどどこか晴れ晴れとした顔で。
あなたは確かにそうしていた。
ならばきっと、答えは決まっているのだろう。

ちらりと横目に見た端末の中では、
情報チームの頭がようやくお帰りになるとの事だった。
(-42) 2023/09/27(Wed) 21:37:55

【秘】 favorire アリーチェ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-39
「それで偉業を成しちゃうんだから。男の人ってずるいわ。
 ……心配だって、怒れなくなるもの」

「テオは応援しただけ…?それなら……」

それなら、いいのだろうか。
うーんと唸って、OKの結論が出たらしい。
すっきりした表情に戻った。

「……エルヴィーノも、腕、動かないの?
 じゃあ、警察を続けるのは、難しくなる?
 ……ああ、わたしが落ち込み過ぎても、だめね」

警察として、いや、どの道を選んでも腕がうまく動かないとは苦難の道となるはずだ。それを心配しないはずがない。

「うん、未来の話をしましょう。
 余計に朝ごはん食べたりするの、面倒臭くならない?
 ……やっぱり、皆で交代でご飯持ってこようか?」

先日も考えた案をぽつり、困ったように漏らす。
(-43) 2023/09/27(Wed) 21:58:58

【秘】 favorire アリーチェ → オネエ ヴィットーレ

「……よかった。ヴィットーレ、全然大丈夫に見えない時も
 いつも大丈夫って言ってくれるから…
 ……もう、痛い時は痛いって言っていいのに」

心から安堵したように肩の力を抜いて、深呼吸する。
よかった、とようやく"大丈夫"が心に届いたかのように、
安堵感が押し寄せ、つい頬も安心したかのように緩む。

「ヴィットーレの言うことを信じて耐えてよかった。
 ……あの時、焦って動く事が最も悪手だっただろうから」

「って、言っても、私も牢に捕まっちゃったんだけどね」

なんて、ぼそぼそと目を逸らしながら少し引きつった笑い。
それでも捕まった理由は無暗やたらに動いていたせいではないから、これは不可抗力だと言い聞かせるように頷いた。

「……うん。3人の事を探す、と、
 ちょっと関係ある事なんだけど……」

視線がゆらゆらと揺れている。
次に発する言葉は間違いなく貴方には否定される。
そう思えても、ずっと隠し続けるのは"誠実"ではないからと、
彷徨わせていた視線を上げて、
貴方の視線の先、窓の外に向ける。

「あのね、ヴィットーレ。わたしね、
 実は……マフィアに入ろうか、ずっと悩んでるの」
(-44) 2023/09/27(Wed) 22:15:00

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → favorire アリーチェ

>>-43

「今回が特別だよ。
 こんな事はもうないと願いたいとこだけど」

そう何度もあってはたまらない。
こんなヒーローまがいな事は、自分には決して似合わないのだから。
それに、アニメや漫画と違って、こういうのはそう簡単に治るものでもないから、次の話では元通り!とはいかないのだ。

「……そう、だね。
 医者からはリハビリ次第とは言われてるけど、関節が壊れてるらしいから……以前と同じレベルをとはいかなさそうだ」

神経が切れたわけではないから、麻酔が切れればきっとすごく痛いんだろうね。なんて軽く話しては笑う。
落ち込まれてしまったらどうしようかと思ったが、あなたがその様子なら大丈夫かとホッと胸をなでおろした。
身内になってしまった人間で女性なのはあなたくらい。
どうあがいても、あなたには甘くなってしまうらしい。

「警察辞める事も考えたけ………ど、って、ええ?
 それ、退院してからの話かい? 朝ごはんはそもそも食べないんだけど……昼だけで勘弁ならない?」

とはいえ、胃についてはご覧の通り。
そう簡単に大きくなるようなことも、なかった。
(-45) 2023/09/27(Wed) 22:28:06

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

「……はあ、まったく……」

このあと直ぐにタートルネックを部下に持ってこさせた男は、あまり目立たせることなく監獄を過ごせることにはなる。
差し入れも、もしその時が来るのであれば助かったのだろうが。

「おー……まあ。少しでも寝られたか。
 ついてやるとも言ったのに……こんなことして」

「おう、戻れ戻れ。ああだがちょっと最後に聞かせろ」

「お前にこの入れ知恵をしたのは誰だ? 絶対居るだろ。
 そして……本当にそいつがここまでするように指示したのか」

ここまで、というのには首についた歯型を指している。
随分な見た目になったし、正直貴方がここまでやるとは思わなかったと返して。
(-46) 2023/09/27(Wed) 22:34:45

【秘】 Commedia ダヴィード → Il Ritorno di Ulisse ペネロペ

乗れと貴方に言われれば何処へと問うまでもなく、息をつく暇もなく。
とりあえず乗り込んでそれからどこに行くんだろうと考える。
男はいつだってそういう風に生きてきた。

「ええ。勲章・・が似合うようになったでしょう?」

こういう生き方。
暴力と血に塗れたいずれ必ず地獄へと至る道。
男は神に祈らないが、それでも己の生き方が神の愛に背く生き方であることは理解していた。

「俺はノッテファミリーのダヴィードです。
 これまでそう生きてきたし、死ぬまでそう生きる」

――ああ、やっと伝えられた。
だからそれは「こうありたい」という希望ではなく、「そう生きる」という決意として表された。
いつか貴方に頭を下げ、アジトの門を潜った日に、捨てた希望だったのに。
こうして言葉に出来るようになるまでには短くない時間が必要だった。
(-47) 2023/09/27(Wed) 22:46:52

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-46
「うん、
大事な仕事
があるからね」

絶対に失敗できない仕事だ。
成功すれば、タートルネックを男が持ってくることはない。
それ以前にそんな時間は全くといっていいほどなかったのだが、それは未来の話だから割愛させてほしい。


「……?」

あなたに背を向けて牢を出ようとしたところ、かけられた言葉。
なんだろうと振り向けば、首についた歯型を指している。
これはどう返せばいいだろうか。
自問すること、数秒。
少しだけ言いづらそうにすること、数秒。

「……ええっと、ルチアをどうにかしたいならって話をしてきたのは、黒眼鏡だよ。
 首のそれは……そうしたほうが良いのかと思って……その」

自分のタートルネックの襟を、ぐいっと引っ張る。
襟の下から出てきたのは、あなたについているのと似たような、多くの歯型と鬱血痕がつらなった首輪があった。

だ、かれる、のは初めてじゃなかったから
………見様見真似で」
「あ、これは流石に黒眼鏡じゃなくて、その、…………………
後輩が


怒られるかもしれないと、あなたに忠告される前の話だったのだ、と説明を付け加えたが、
多分。時期の話はあまり関係ないだろう。
(-48) 2023/09/27(Wed) 22:52:23

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

「曲がられちゃ困る。」
「俺が聞きたいのは真っ当な真実だからな。」

言葉は平行線。
それを男もそろそろ気づき始める。
では言葉でどうにもならないのならどうすればいいのか。
それも、男は既に知っていた。
間違った解答だ。


自然な仕草で立ち上がる。これから起こすことに対する緊張も高揚もそこには存在しない。
そのまま貴方の頭部に手を伸ばす滑らかさ。逆らわれるなどと、まるで考えていない動作。
けれど。
そこから先はそうはいかない。髪をぐいと引き掴み、しっかりと動かぬように固定する。

かち。

それは。
いつの間にか手にしていたナイフの、刃を剥き出しにする音。
鈍い色は白い室内灯を弾いて光った。光ばかりが清潔だった。
貴方が抵抗しないのならばそのまま貴方の側頭に添うだろう。
酷く冷淡に、残酷に。少し動けば切り込みが入る、その位置で。

「もう一度聞く。」
「マフィアと内通していたのか。」
「渡した情報は何だ。」
(-49) 2023/09/27(Wed) 23:02:31

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → リヴィオ

異様に熱い熱は己にも覚えがあるそれだった。
言いたいことが他にも増えそうになったけれど。
だとして成し遂げたい何かが其処にあるのだろう。

緩む表情が安堵したのを見る。
貴方の心を少し、暖めることができただろうか。
ならば今は抱く心配は抑え、伝えるべきは別のもの。

「…………うれしい」

こわくなんてない、大丈夫。
幾度でもそう伝えるように、同じ言を重ねて笑う。
指先が離れなかったことも、提案を受け入れてくれたことも。
今、この瞳を真っ直ぐに見つめてくれることも。
その全てがうれしくて堪らないんだ、だから。

するりと肌を撫でた指先は直に離れることだろう。
頑張って、大丈夫、せんぱいなら。
ひとつひとつ浮き上がる気持ちを最後、選んだ一言に載せる。
見せた笑みはこの牢獄の中で浮かべた、何よりも一番のもの。


「──いってらっしゃい、リヴィオせんぱい!」


たったひとつに込める願い。
どうか、どうか。
天気予報が、当たりますように。
(-50) 2023/09/27(Wed) 23:12:03

【人】 暗雲の陰に ニーノ

>>37 ルチアーノ

呼ばれる声で白昼夢から醒めるように。
ハッと貴方へ向けられた顔は憔悴しきったように酷く青褪めていた。

「ルチアーノ、さん」


それでも目の前の人が誰かは分かる、理解できる。
鉄格子越しではない再会に伝えたいことは他にもあったはずだ。
けれどどうしたって今、震えた唇が紡ぐのは。

「…………ねえさんが、ヴィトーさんを、撃った」


先の現実をなぞらえる言葉だった。
そうしてはっきりと形にしてようやく喉奥まで飲み込めた気がして、くしゃりと顔が歪む。
泣きたくはなかったのに涙が溢れてしまいそうで。

「……撃った、んだ」


なんではもう声にしなかった。
理由なんてわかっているから。
でも、わかっても、……わかっただけ、だった。

「…………ふたりとも、だいすきなのに…………」


#BlackAndWhiteMovie
(49) 2023/09/27(Wed) 23:14:33

【秘】 Il Ritorno di Ulisse ペネロペ → Commedia ダヴィード

>>-47
「おう、着いたら後で箔も付けてやるよ。
 湿布と消毒液って名前のな」

泣いて後悔したって、もう引き返せやしない。

──この門を潜る者は一切の希望を捨てよ。
一度その門を潜ってしまえば、神も法も助けてくれはしない。
神も法も助けてはくれない者の居場所。

この世界には、神も法も手を差し伸べないものが、
場所があるから。だからそれがある。

「───ふうん、そう。」

返答は短いものだった。
既に決意された事に、御託は必要無いと思ったからだ。
故にこの後に続くのは、単なる確認でしかなく。

「そんなら、こないだ言った事は忘れてないだろうな?
 自分の命には、行動には、自分で責任を持て。
 これまでも、これからも、お前の命はお前のもんだ。」

「使い方を決める権利はお前だけが持ってる。その上で、
 ノッテに、ボスに、俺達に胸張って誇れる
番犬
になれ」

「わかったな、Cucciolo子犬ちゃん

曰く、男は犬が好きだった。
自分がどれだけ姿形や振る舞いを変えても、見付けてくれるいきものだから。
(-51) 2023/09/27(Wed) 23:22:52

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ

>>-49

「あぁ、そうだろうね。だから、
無駄
なんだ。
 そこに真実がないのに何──」

何を認めると言うんだ。そう口にしようとした言葉は、
君が立ち上がる動作とともに静かに消えていく。
代わりに響くのはこちらへと近づく冷たい靴音。

伸びてくる腕を、手を、避けようとする動きはない。
しかし滲む汗は、男の警戒の色を表すように額を伝う。

「……っ、………おいおい、乱暴だな」

そう長くもない髪を掴まれたことで頭皮は刺激され、
何本かはブチブチと音を立てて
君の指先へと絡まり、はらはらと床へ落ちていく。

耳元で鳴る音は早々に聞き覚えがないものだが、
触れる冷たい感覚が何であるかを凡そ理解させる。
僅かでも動けばその冷たさは己の肉を裂くのだろう。
思わず吐き捨てるような笑みが零れ出た。

「君は一体エルから、エルヴィーノから何を教わったんだ。
 この方法は間違っている。善良な警官の俺が否定しよう。
 …あぁ、いや。エルがこうしたことを教えるわけがないんだ。
 これは、こんな馬鹿げたことに目を瞑るあの
が悪いな」

(-52) 2023/09/28(Thu) 0:01:42

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ

>>-49 >>-52

「……もう一度言うが俺は、内通者なんかじゃあない。
 繋がりもないんだ、渡す情報も何もない──以上だ」

実際、こう語る人間の"嘘"を見たことがある。
痛みは何よりも相手を自白させるにいい手段かもしれない。
だがしかし、男の語るこれは"本当"で、変えようがない。
ただ真っ直ぐに訴えかけること以外に何かをしようがなかった。

さて、これらの言葉で君が止まるのならばいいが、
慣れているその手つきが違う未来を物語る。

もしもその刃を食い込ませていくというのなら、
力強く君の身に己の身をぶつけ、
僅かでも怯めば、ナイフを持つ手に噛み付こうとする。
培った危機的状況に対する反射というやつだ。
それにより切れ込みが激しくなろうが、
髪が更に数十本抜けようが、それ自体がなくなるよりはマシだ。
本当は何かをやり返すつもりなどなかったが、
それはダメだと、自分の中での警鐘が鳴り響いた。

刃が食いこんだその瞬間、
悪夢に現れる女の声が耳元で聞こえた──気がして。
(-53) 2023/09/28(Thu) 0:04:12