人狼物語 三日月国


145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】

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【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

血の塩気を求めるように舌が動く。
日常から剥離した味を吸い上げる内に次第に、頭ははっきりとして。
ある時やっとはっとしたように目を上げた、けど。

「……」

貴方の手が優しかったから。これでいいのかな、なんて。
受け入れられたのかと状況を違えたまま、貴方の手を掴んで話さない。
退けられなかった口先はちると、自分でつけた傷に口づける。

どれだけ時間がたったのか。ごく短いものだったかもしれない。
肉食獣のそれのようにざらついた舌が、肉を削るかすかないやな感触。
この場所であれば些細なことかもしれないけれど、それでも。
手首を引き寄せる力をどうするかを決めるのは、貴方の自由だ。
(-169) 2022/05/08(Sun) 18:17:59

【秘】 雷鳴 バット → 月鏡 アオツキ

まだ、昼の頃か。
眠たい目をしぱしぱとさせる様子はいつもどおり。
そればっかりは治療が行われたのだろう前後で変わることもなく、
成果が出たとは思えないような話。

午後の授業を控えてうとうとと準備をすすめるうちに、
投げかけれれた問いを受けてしばし考えた。

「……」「食べ」「……る」

粗熱のとれたそれを手に、ふかふかとつまむ。
手に余るもののようにつまみ上げたようすは、ちょっと不思議なものだ。
午後の授業までのおやつに、といった感じで持ち出せる形に包む。
まだほんのりあたたかな麺麭は香ばしい匂いを漂わせている。

「……」

投げかけられた問い。口を開いてから、また閉じた。
貴方の目を見て、自分が口にすべきことを考える。
教員としての貴方の、求める答えは。

「たぶん」「家に帰るよ」

もたもたとした授業の準備の中に、あたたかい麺麭は紛れていく。
午後の眠たい時間は、それぞれにすごすのだろう、そして。
(-170) 2022/05/08(Sun) 18:28:32

【独】 雷鳴 バット

気づけば、心の底からの言葉というのはあまり彼には差し出せなくなっていた。
昨今のやり取りから、模範的でない言葉は彼を傷つけるのだろうとわかってしまったから。

家に自分の居場所はない。だからここに連れられたのだ。
高い金を払ってでも、体裁を保って家から遠ざけさせたかったのだ。
実際、青年は"病気"を持っているのだから、間違った対応でもないのだけど。

食べられない麺麭を手に抱えて、目を細める。
鳥にでもあげればいいのだろうか、けれど。
それが誠実でないことは知っている。
けれども青年の身体は、植物の繊維をうまく受け付け消化することもできない。
不実を避けるのならば、受け取らなければよかったのだろうか。

とても、彼の行いを否定する気にはなれない。
彼は、かわいそうだから。
(-171) 2022/05/08(Sun) 18:32:57

【秘】 夢の終わり シャルロッテ → 哀れな子羊 バラニ

「——————」

あなたが目を逸らすから、何もかも終わってしまったのだとすぐにわかった。
伝えてみるまでわからないというのはただの希望的観測で、やっぱり、蓋を開けてみれば、こんな風に。
あなたは何に謝罪しているのだろう。
もしかしたらと有りもしない期待に縋ってしまったのは、少年が浅はかだったから。
それでも瞬きの拍子に一粒、色のない雫が頬を滑り落ちていった。
いつかおしまいになってしまうことを知っていて、自分でおしまいの瞬間を選んで、それなのに。
酷く胸が痛かった。息が苦しかった。
幽鬼の如くふらりと、少年は立ち上がる。

——ブーツの踵が、床に転がる鋏を蹴った。

(-172) 2022/05/08(Sun) 18:41:52

【秘】 夢の終わり シャルロッテ → 哀れな子羊 バラニ

「……ううん、いいの」
「こうなることは、最初からわかってたんだから」

今更もう、何もかも遅いけれど。
少年は自らを受け入れられなくなってしまった。

「それでも、だいすきだよ」

(-173) 2022/05/08(Sun) 18:42:27

【秘】 夢の終わり シャルロッテ → 哀れな子羊 バラニ

少年は震える指先で鋏を拾い上げる。
それは酷く冷たくて、重くて。






————しゃき。しゃきん。
じょき。






白いドロワーズを裂く。
それから。
それから。
それから。
皮膚を裂く音。肉を断つ音。
ぼたぼたと赤い液体が滴る。
上手く切れない。鋏ではだめかもしれない。


ふらついた足音。錠を上げる音。扉の開く音。閉まる音。
この部屋にはもう、あなたしかいない。



机の上のホットミルクは、冷めてしまった。
(-174) 2022/05/08(Sun) 18:43:25

【秘】 神経質 フィウクス → 王 リアン


「………どうだかな」

溜息混じりの言葉。
あなたを信用していない、というわけではないけれど。
必要に迫られれば、その限りでもない人種だと認識してもいる。

そういう所は嫌いだ。
病によって歪められた感情ではなく、ただ純粋に嫌いだ。


「言われずとも勝手にするつもりだ。
 本来の予定とは随分違う形にはなるが、……」

この場所の真実と改めて向き合う事も。
心にもない態度を取って、都合の良い人間で居る事も。
きっと負荷にはなるけれど、必要な事だからまだ我慢が利く。
全てを怒りに任せるにはまだ早い。

「もう行くのか」

フィウクスは、誰にだって、一度も遠慮をした覚えはない。
あなたにだって、今もそうだ。
だからいつも通り無愛想に、そっけなく片手を差し出した。
(-175) 2022/05/08(Sun) 18:44:53
シャルロッテは、廊下に赤い線を引き、当て所なく歩く。
(a40) 2022/05/08(Sun) 18:45:54

シャルロッテは、そのうちに、医務室へと運ばれるだろう。
(a41) 2022/05/08(Sun) 18:46:11

【秘】 雷鳴 バット → 神経質 フィウクス

貴方は、あと一年。自分は、あと三年。
それにも足らない期間を過ごして、この外へと羽ばたいていく。
ひょっとすればもっと長い時間を掛けてもらうことも出来るのかもしれないけれど、
ほとんどのケースにおいてそれは保証されるものでもない。
"実習生"になったなら、別の話かもしれないが。

「フィウクスは」「……」
「自分のことを決められて」「えらい、な」

声に混じったのは羨望だった。
青年には、貴方と同じことが出来るだけの頭もなければ、手立てもない。
そしてそれが無かったとしても踏み出せるだけの、精神もない。
実際に見上げるに値するかどうかなんてのは、他人がはかること。
青年にとっては少なくとも、貴方は眩しく感じる雄姿の者だ。

手渡すべき返答なんてものは、青年は持ってはいない。
少なくとも今、対等な答えを出せるほどには、未来なんてものは見えてもいなかった。

「もう」「僕も、食べ終えるから」
「あとはもう食べられない」「もの、ばかりだから」
「……また」「教室で」

残されたほとんど丸のままの麺麭、果実。
誰かに見られたりしたら、好き嫌いしないと怒られそうな残り物。
今日は勇気を出して、隠して持ち出したありふれた食料品。
仕方がないからそれらは破棄してしまう、或いは飼育小屋のものたちにでもあげよう。
幸い彼らが口にしても構わないもの、構わない量しかもちだしてはいない。

出て行きかけの貴方を止めるわけでもなく、これが今生の別れでもない。
また、すぐにでも顔を合わせることができる、……はずだ。
(-176) 2022/05/08(Sun) 18:46:49

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

ざりざりと肉が削れるような感覚がして身体が強張る。
頭の奥で痛みが警鐘を鳴らす。
まだ自分には生身の部分が残っているんだ、なんて当たり前で余計なことに思考を巡らせた。

一連の行動を経て、漸くあの夜の姿と青年が重なる。
それは戯れにじゃれついて小動物を害してしまう獣のように思えた。

「………、」

青年を拒むことはしたくなかったけれど、自分の指がどうにかなっては流石に困る。
それこそ噛み千切られて生身が無くなったら本末転倒だ。
頭に置いていた手を、少し顔の方にずらす。
額のあたりをぐい、と軽く押して離そうと試みた。
(-177) 2022/05/08(Sun) 19:01:45

【秘】 雷鳴 バット → ライアー イシュカ

貴方が正しい立場でそうした言葉を向けているのだということは、
鈍い頭をした青年にもよくわかっていることのようだった。
痛む心臓を抑えるみたいに、思わず胸に手を当てる。

「……わかった」
「そう、しなくてもいい方法」
「大人が見つけるって」「言ってくれたから」
「もう、起こることはない、よ」

少なくとも貴方の憂慮すべき自体は、今後は起こることもない。
だから、大丈夫だ。だから、安心だ。
それを境に、飼育小屋からも足は遠のき、近づくことはないだろう。
逃げるように後ずさる足は、そのまま貴方の視界からも離れていった。

ひょっとしたなら、明日にでも。
貴方の願う通りに、鍵の行方は渡ってくるかもしれない。
(-178) 2022/05/08(Sun) 19:06:01

【秘】 はなわずらいの トット → 司書 エルナト

「……えへ」「んふ ふふふ」

「は、あは、ははは! 
、ひ、っは、あは」
「ッ、あ……そ〜お? そおかなっ? あはっ、ははは」


美味しい、大好き、食べちゃいたい。なんて素敵な言葉だろう!
しあわせ、しあわせだ。しあわせ。しあわせ。


貴方のその言葉で、トットは自身の身体を抱く。
けれどその仕草は全く恐怖からではなく、……過ぎた幸福感から。

泣くなって言われていたのに、トットの身体に収まりきらなかった幸せが涙となって転げ落ちて。
そこからまた、花が咲いた。

「エルナト」
「エルナトっ、おれあげる」「もっとあげる」「もっと」

「でも、ぜんぶはあげられないし」「じぶんのうでってじぶんできったらだめなんだって」

「だからね、えっと」

「……あった! ハイ!」


貴方にもう一つ、潤む瞳を向けて差し出した。

(-179) 2022/05/08(Sun) 19:08:51

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

鈍く動きの悪い頭は、ただ。
ひた隠しに抱えていたものが他に受け入れられたことが嬉しくて。
それが良くないことだと理解したのは、貴方の小さな手で押しのけられてから。
ぱっと顔をあげて口を離す。しばらく、様子を伺うように薄い色の目が貴方を見た。

「……」
「……ご」
「め、ん」

唇の皺には血が濃く滲み、啜った血と唾液が混ざったものが顎まで垂れていた。
自分がしたことに対してどんな言い訳を吐けばいいのか。
頭の回らないまま視線は消極的に下がっていって、うつむいた。

「戻って、いい……よ。
 まだ僕は戻らないから、……森にはいかない、大丈夫」

共に歩いて帰るのは、こんなことをしてしまった後では厳しいだろうと。
指を押さえつける手はなく、貴方に縋りつくだけの指もなく。
いつでもあなたは、自分の好きな時に逃げられる状態だ。
(-180) 2022/05/08(Sun) 19:14:30

【秘】 寄りかかる リアン → 神経質 フィウクス

「努力はするよ。もし踏み外しそうだったら殴ってでも止めてくれ。他人を心配させたり、悲しませたりするのは嫌なんだ」

そういった判断はなるべく自分でもするつもりはあるのだけれど。
自分の判断が誤りでないとも限らないし、君は目敏いだろうから。

「頼んだ。何を以てして治療とするのか、自分の身で確かめる事にはなるが―――周囲の事は、一旦君に任せるからな」

君の負荷を分散させるのは、"治療"が行われた後になるだろう。だから、それまでの間。君に一人で無理をさせてしまうかもしれないな。

差し出された手を取って、立ち上がる。
ふらり、まだ顔は白いし。息も上がっているけれど、君の力を借りれば何とか歩けそうだ。

(-181) 2022/05/08(Sun) 19:15:25

【秘】 年相応の リアン → 神経質 フィウクス

歩きながら。
ふと、思いついたように。

「……なあ。僕達、今まで何年も相部屋で。
 これからも一緒に過ごすことになるんだろう?

 共謀者という肩書だけでは、味気なくないか。僕は、君の事をこれから知っていきたいと思っているし 気を張らなくて良い相手になりたいと思っている。
 それに君を、庇護すべき民と定義したくないんだ。だから―――」

友人
、と呼びたいと思う」

どうだろうか、と。
隣の君を横目で見ている。
(-182) 2022/05/08(Sun) 19:17:06

【秘】 はなわずらいの トット → 司書 エルナト


差し出したのは カッターナイフだ。



「ね」
「エルナトがさかせて」「エルナトがおれをさかせて」

「おれじゅーぶんしあわせだしさー もうさかなくていっかなっておもってたけど」
「でもほしいならあげたいじゃん?」

「あ。おれおもいだしちゃった」
「うしやぶたといっしょっていわれたことあんの! おれこんなんだし」
「ほんとにくいものになってる ふふ んふふ」
「でもおたがいきもちよくておいしいならいいよね?」


新品の、よく切れそうなカッターナイフ。
ナイフが取られてしまったから、こっそりしまってあったのを卸した。

この薄っぺらな刃一枚で、互いが満たされるかもしれない。


トットはそう思っている。

「おれのぜんぶはあげられないけど」

「エルナトのすきなときに、すきなよーに」

「おれのこと さかせていーよっていったら どーする?」
(-183) 2022/05/08(Sun) 19:18:52

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

「………」

身動きが取れるようになったけれど、
視線を下げている姿が、
それこそ捨て置かれた子どものように見えてしまったから。

まずはポケットからハンカチを取り出して、血が垂れた口元を拭おうとする。
避けられなければ、お返しとばかりにぐしぐしと少し乱暴に拭かれるだろう。
この際汚れても良いかと割り切って。
それから折り畳んで、きれいな面を傷に当てて結んだ。
深刻な傷ではないと思うけれど、念の為。

手当が済めば立ち上がる。
でも一人で立ち去ることはせずに、あなたの腕をぐい、と引っ張った。
大きな身体は、自分の力だけでは動かせない。
青年の意思でついてきてもらわなければ。

『一緒に帰りましょう』

自由になった両手で、黒板にそう書いた。
(-184) 2022/05/08(Sun) 19:31:33

【秘】 神経質 フィウクス → ライアー イシュカ


「建前だけの真似事が長続きすると思うか?」

これもまた、否。
その場しのぎの真似事だけをしても、
結局のところは自分にとっては悪影響しか無いのであれば。
もう少し建設的な事に時間を割きたいのは当然の事。

「この場所に必要な人材が教師ばかりとも限らない。
 それに気付けない奴が多いのは、
 知らないから、教えられていないから──
 誰からも選択肢が提示されていないからだ。」

このギムナジウムは当然ただの教育施設という事もなく、
病の治療、及び研究施設としての側面もある。
その全ての要件を満たせる人材はそう居るものではなく、
つまり実際は大人達の主とする分野もそれぞれなのだろう。
(-185) 2022/05/08(Sun) 19:32:11

【秘】 司書 エルナト → はなわずらいの トット

一方でこちらも、多幸感に満たされていた。
食べられる、満たされる。
食べられるものをいくらでも、いくらでも。
それがどれだけ、嬉しい事か。


花が咲いた瞬間をみれば、それが皿の上に載せられた
最高級の料理のようにも思えて。
だからもう、我慢なんてできなくて。

顔を近づけて。

咲いた花を直接齧って、引きちぎる。



「あぁぁぁ………っ!」



嬌声にも似た声をあげて、満たされる胃袋をさすって。
取り出されたものに、視線を動かして。

(-186) 2022/05/08(Sun) 19:34:10

【秘】 神経質 フィウクス → ライアー イシュカ


「……提示されたところで、選べるかは別の話だろうが。
 まあいい、
 
戻れないなら
連絡の一つでも寄越せと言いたい所だが
 その様子じゃあんたには酷な話だろう」

だから期待せず待っててやる


ラットの姉妹をケージへと帰して、扉を閉めた。
そうして、ケージを持ち上げる為にもう一度手を掛ける。
これもそろそろお開きのようだから。

実際は、生まれてこの方一度も期待なんてした事はない。
この病は人へのそれさえも歪めてしまうから。
つまり期待していないという事は、いつも通りという事だ。
いつも通り、ただそれを覚えておくだけだ。
(-187) 2022/05/08(Sun) 19:34:28

【秘】 司書 エルナト → はなわずらいの トット

「………いいの?」


指を絡めるようにして、その薄い刃を取る。
手が震える。
恐怖じゃなくて、………過ぎた幸福感から。

「いいの?」


荒くなる呼吸。
まるで、ソフトクリーム食べ放題の機械の前に立たされた子供みたいに。
好きなものを、好きな時に、好きなだけ。
それより幸せなことがあるだろうか?

「いいの?」

エルナトは、人が家畜にしか見えない。
だって、全てが自分の餌を生み出す存在だから。
だから。
家畜からご飯を得ることに、何の躊躇を持つことも無くて。


「いいの?」


だから、そんな事を言われてしまったら、もう。
……我慢なんてできない。



君の肩口に刃を宛がって。
思いっきり、引き裂いた。


そうして、君を抱きしめたまま、かぶりつくだろう。
(-188) 2022/05/08(Sun) 19:40:06

【置】 司書 エルナト

大人達に連れられて、どこかに連れてこられた。
園芸部の管理する場所の一つ。

「…………はい、僕がやりました。」

ぼや騒ぎも。
初等部の子への悪質な悪戯も。
2名への
常軌を逸した加害行為
も。

「…だって、ただの家畜じゃないですか。」
「あの子達も、貴方達も。」
「ただのご飯じゃないですか。」

ご飯を得るために行動をして、何が悪いのか。
エルナトはまるっきりわからなかった。
エルナトは歪んでいる。

エルナトは、人間を家畜にしか見れないから。
エルナトは、人に、家畜に思う以上の感情を抱けない。

大人達が溜息をつくのを、不思議そうに眺めた。

フゴフゴ、という音が聞こえた。
(L4) 2022/05/08(Sun) 19:45:19
公開: 2022/05/08(Sun) 20:45:00

【置】 司書 エルナト

───家畜と人が違うという事を、学びなさい。

大人達がそう言って、部屋を出て行った。
意味が分からなかった。
ようやく暗闇に視界が慣れてきて、
ここが豚の飼育小屋である事に気付いた。

「………気持ち悪い。」


エルナトにとって、人が家畜であるならば。
本来の家畜は、何一つの益ももたらさらない、
ただの気持ち悪い生物でしかなかった。
臭いし、不味いし、可愛くないし。
人はあんなに可愛いのに、なんでこいつらはこんなに
気持ち悪いのだろう、と常々思っていた。

「……?な、なに……?」

豚たちが自分に擦り寄ってくるのを見て、壁際に後ずさった。
(L5) 2022/05/08(Sun) 19:49:00
公開: 2022/05/08(Sun) 20:50:00

【秘】 無理解 フィウクス → 年相応の リアン


「………俺はお前のそれには応えられない
 どうしたってお前のそれと同じものを返せはしない。」

全ては患った病によるものだとしても。
心では友人としての親しみも抱けもしないのに、
口でだけあなたを友人と呼ぶ事はできなかった。
けれどこの病を捨ててしまう事もできなかった。


「俺にはわからないんだよ」

「誰かを好きになるって感覚も、
 誰かと居て嬉しいだとか楽しいだとか落ち着くだとか、
 誰かと一緒に居たいだとか、何も」

「生まれてこの方、
一度も思えたためしが無い
。」

決して幸せを感じられない事も。
決して誰を愛せもしない事も。
そんな自分のままで居る事を、誰かに許してほしかった。
(-189) 2022/05/08(Sun) 19:49:54

【秘】 対等 フィウクス → 年相応の リアン


「それでもお前がただそうしたいってなら。」

勝手にすればいいさ

 俺は勝手にする。お前のそれを否定はしない。
 要りもしない意地を張られて、
 上からものを言われるよりはずっと良いからな」

「それだけだ」
(-190) 2022/05/08(Sun) 19:50:16
フィウクスは、あなたがそう思うなら、きっとあなたの友人だ。
(a42) 2022/05/08(Sun) 19:50:36

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

「……」

いいのか、と見上げる目。
貴方は声は出ないのだから、青年が黙ってしまうと何の音も交わせないまま。
ぱちぱちと、目を瞬くまま見上げる時間があった。

「いいの?」

何に関しての問いかというのは、なんともあやふやなままだ。
日のない内は十分に言葉も話せるだろうに、声に成ったのはそれだけ。
言葉を尽くさねばわからないことさえ、足りないままの小さな言葉。

惑うような沈黙が流れたのは、そう長い時間ではなかっただろう。
それでも焦れて、勿体ぶっているように感じられるには十分なもの。
立ち上がった貴方よりも視線の低い、しゃがんだ身体はようやっと、
ちらちらと辺りに振れる目をひとつに留めて、立ち上がった。

きゅ、と握った手は頼りなく、無事なほうの手を握りつぶしてしまうことのないように。
指の先をちょっとひっかけただけの、とてもささやかなもの。

「……」
「ラピスが、いい」

何が。なんてのはやっぱり、言葉足らずの飾り気のないもの、
貴方が手を引いてくれるなら、貴方の足に合わせて寮への道を歩く。
(-191) 2022/05/08(Sun) 19:51:07

【置】 形容矛盾 フィウクス


おかしくたって、それでいい。

これが自分の在り方だ。

そんな自分の、自分達の居場所を作ると。

あの時確かにそう約束したのだ。
(L6) 2022/05/08(Sun) 19:54:04
公開: 2022/05/08(Sun) 20:30:00

【置】 形容矛盾 フィウクス


きっと途方も無い時間が掛かる事だろう。

望む全てが手に入るとも限らないだろう。

けれど行動を起こさなければ何も始まらない。

その場に留まり続けるには歩き続けなければならない。


この場所の在り方が気に食わないから望む形に作り変える。

患う病を自己の一部と受け入れるような人間を否定しない。

一人でも多くの誰かが暗い顔をせずに済むような。

いつかそんな場所になるように。
(L7) 2022/05/08(Sun) 19:54:38
公開: 2022/05/08(Sun) 20:30:00

【置】 悲憤慷慨 フィウクス


この病がある限り、心折れる事は無いけれど。

どうせ一人でも為すのなら、誰の手を取ったっていいだろう。

さあ、これから新しく始めよう。

誰かが生きていく為のこの場所を。
(L8) 2022/05/08(Sun) 19:55:15
公開: 2022/05/08(Sun) 20:30:00

【置】 司書 エルナト

ガン!
と強く体当たりされて、つい尻餅をつく。
そこに、自分よりずっと重い生き物が、覆いかぶさる。

「さ、触らないでよ、きもちわる………っ!?」

なんて、悪態をつき終わる間もなく。
視界に入ったものをみて、ひっと小さく喉から声が出た。

「や、やだっやだやだやだ!!なにするの!?!」
「や、えっやめて!僕はお前と同じじゃない!」
「きっ気持ち悪い……!やだっ!やめろ!!」

おかしいと思った。
此処に入る前に、服を脱がされたことも。
何かを体に塗られたことも。
今、こいつらが興奮していることも。
その興奮の象徴を、大きく主張していることも。

人が家畜を食べ、少年が人を食べ、家畜が少年を食べる。



「い”っ…!痛いいたいいたいいたいイタイ!!!
 ぐっぎ、………ぃぃいいい!!!」



叫び声も、ミチミチと何かが無理に広がる音も。
獣が獣らしく動く音も、それに合わせて出る苦悶の声も。

どこにも聞こえることはなかった。
少年は、人と家畜の違いを知れた。
(L9) 2022/05/08(Sun) 19:56:10
公開: 2022/05/08(Sun) 20:55:00

【置】 悲憤慷慨 フィウクス


宵の明星が上る頃。

それを見上げる者の姿は何処にも無く。

今はただ崩れ行くこの星と共に行こう。



「──この病に治療は必要ありません。」
「病を自らの一部と受け入れ生きて行く事も一つの道でしょう。」
「その代わりに、
約束通り

「これから先もこの場所に留め置いてくださるなら、それで──」
(L10) 2022/05/08(Sun) 19:56:17
公開: 2022/05/08(Sun) 20:30:00