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【人】 土地神 リン[ 特別に言葉を交わさなくとも 音が、空気が、人の気配を伝えてくれる 物音一つ、それだけで 傍らの人の挙動が伝わるよう 無言でも、無音ではない時間 それがなんとも愛おしくて 焦って言葉を紡ぐこともなく 暮れ行く空をぼんやりと眺めながら ゆっくりと噛み締めるように夕食を味わって ] ──旨い、な [ こくり、喉がなる 食べずとも平気な食事は けれど、食べ始めれば箸が止まらない 飢えを感じはしないけれど 食事にか、人との関わりにか 己はたしかに飢えていたのだろう 小さくなっていく鰻の身 惜しむように少しずつ解していきながら ] (2) 2021/06/25(Fri) 21:04:38 |
【妖】 土地神 リン[ 四つあると言われた儀式の四つ目 最後の一つは、最初でもあるらしい それでは全部で五つではないのかと 屁理屈を捏ねようと唇を開けば ] あぁ、言葉──か それはたしかに、無ければ困る と、なるとだな──── 言葉は大福の皮のようなものか 先に挙げた儀式も大切だが 言葉で包まなければ始まらん [ ふむ、と自分で言って納得する そうした以上、屁理屈を捏ねることはできず 鰻の身を箸で挟み、誤魔化すように口へ運び ] 物語は一人では紡げないもの、か それならな、ここには我がいる 我が消えてもその先にもきっと [ だから思う存分に紡げばよい 鰻の身と米を箸でそっとすくいあげ ] ($2) 2021/06/25(Fri) 21:05:01 |
【妖】 土地神 リンふふっ、おや? まだ虜にはなっておらぬか ──緋扇も蘇芳も 我から目が離せんと云っていたが [ ころり鈴の音のような笑いが漏れる 笑顔のままつん、と肘で冥桜をつつき ] 好きになれそうなら、よかった で、な。それはそれとして これは、さっきの返しよ ──ほら、口を開け? [ 箸の先にはいっとう大きな鰻の身 からかうような調子で言いながら その口が開くのを待った* ] ($3) 2021/06/25(Fri) 21:05:21 |
【妖】 土地神 リンそれなら、ただの大福ではなく 豆大福のほうがよほど近しいか お前の冗談は塩豆だな ごろっとしてすぐに気がつく上 あちこちに混ざっているからな [ ただの大福より、クセのあるほう そちらの方がこの嫁には近いと思う より多く噛まなければ飲み込めない 噛んだ分だけ塩辛さと甘さが混じる 我ながらちょうどよい例えをしたと 少しばかり得意げに背筋を伸ばし ] 我が消えれば 我とお前の物語は終い、か 寂しいがそれもよいな 終わらない語は始まってすらおらぬ 始まりのない物語もまた、終らぬ [ 言葉で遊ぶよう 口にしながら、彼の表情を伺い ] ($8) 2021/06/25(Fri) 23:31:48 |
【妖】 土地神 リン[ 餌付けを試みたそのあとは 箸の先に半分に減った鰻の身 嫁の口が動くのを満足そうに見届けて 己も残りの半分を口へ入れ ] たしかに我にとって食は道楽 とはいえ身が大きかったのは お前が緋扇分けた分、その礼よ 緋扇からの礼と我の礼 だからな、大きくて当たり前 そしてそれを半分にしたのなら── [ 緋扇から分けられたのと同じ そんな理屈付けをして鰻の身を噛めば 塩の味がさっきよりもきいてるようで ] 米がもっとあれば…… 今度は鰻が足りなくなる もう少し食べたいが我慢して ──ごちそうさま、だ [ 食べ終わり食器を重ね、手に持つ 気が付けば空には白い星も見えていて ] ($9) 2021/06/25(Fri) 23:32:08 |
【妖】 土地神 リンお前から見た四季と送る音か 奏でるならばどこにする? 緋扇の傍か、縁側か 風呂──はむりだな 三味線が持ち込めない [ 楽しみであるはずなのに どこか心に隙間風が吹いたよう それが、食後の片付け物のせいなのか はたまた縁側に吹く夜風のせいなのか 自分でもわからぬまま 寒さを避けるよう、一層彼に身を寄せて ] 中へ、もどろう すこし寒いから [ 片付けに行こうとかけた声 冥桜が動けば中へ、炊事場へと戻り 使った食器の片付けをしようか* ] ($10) 2021/06/25(Fri) 23:34:56 |
【妖】 土地神 リンさぁ、それはどうだか 粒や漉しでなく、鶯餡かも知れん [ 得意げに述べた屁理屈を すんなり受け入れられれば困り顔 反論されれば腹が立つ かといって何もなしは物足りない 餡に準えられた理由には思い至らず 二の句、三の句を思うままに継ぎ返し ] 茶で流すのはもったいない 食してなお甘味が残る それこそ大福の良いところ 我ならば味が消えるまで 茶など飲まずに楽しむが [ 余韻の楽しみ方もそれぞれ違う かといって、どちらが良いとも決められない 受け手により無数の捉え方が存在する それこそが物語の楽しみでもあるようで ] ($14) 2021/06/26(Sat) 16:04:34 |
【妖】 土地神 リン[ けれど、蘇芳と緋扇のこと 余韻と云われれば、はて?と返事に困り ] ──そも余韻とは 終わった後を指すもの だから、あの二人の物語は [ 余韻ではなく、続いている 言い返そうとして、言葉に詰まる もう長いこと、紡がれていない物語 呼びかけに応えることもなく 止まったままのそれを 続いているとは言い切れずに ] ……んや、考えるのはやめておく 鰻の日がなぜ年に二度かは知らんが 三度でも四度でもあれば良いのにな [ かちゃりと食器が音立てる 運ぶのは彼に任せ 己は差し出された手に手を重ね ] ($15) 2021/06/26(Sat) 16:05:04 |
【妖】 土地神 リン[ 伏せられた茶碗を二つ箸を二膳 布巾で拭き、棚の隅へと並べて戻す そうして彼が三味線を持ったなら こくりと一つ頷いて ] 緋扇の横にしておこう ながく放っておかれては あれも寂しいだろうから [ 橙の明かりの灯った部屋の中 手を引かれるまま、男の膝の上に腰下ろす 前の嫁の前で新しい嫁の膝に乗る それは、いままでの己なら 決してしなかったことであり── ] ……なぁ、冥桜 はよう、物語を [ 慣れ親しんだ場所なのに なぜだか、ここは酷く寒い 温もりを分けてもらおうと いっそう強く体を寄せ、物語を促して* ] ($16) 2021/06/26(Sat) 16:05:58 |
【妖】 土地神 リン[ 膝の上、冥桜の物語る声を聴く 手指の動き一つ唇の動き一つ それだけで彩られていく世界を想いながら 身動ぎすらせず、温もりに身を寄せて ] ────…… [ 何かを言うことはない 心の中全てが音に塗りつぶされたよう 鳴り響く音が、声だけが ただひたすらに己の中にしみていく 撥を動かし三味線を弾く その姿は一心不乱に筆を動かすのに似ている ふと、そんなことを思った ──その間にも音は続いていく 音により作られた世界は季節を移し 年を巡らせていき ] ($21) 2021/06/26(Sat) 20:38:46 |
【妖】 土地神 リン[ この音の終わりを惜しめば 次の音を聞くことは叶わない 惜しんだ音も、次の音も同じほど 深く心を奪っていく 鰻の日が多ければ多いほど 他の楽しみが減ると云う先の言葉 こんな理屈かと口元に淡い笑みが浮かび ] あぁ…… [ 深く、ため息が漏れる 黴臭い部屋の中 最後の音の名残が薄れていき ] ……そうだな、冥桜 緋扇も蘇芳も、旅立っても 我が語る限りお前と我の中に [ 目の痛みに初めて 己が泣いていたことを知る いつの間に泣いていたのだろう 手の甲で頬を拭おうとすれば、きつく抱きしめられ ] ($22) 2021/06/26(Sat) 20:39:13 |
【妖】 土地神 リン顔が汚れてべたりとする お前も汗臭くてかなわん だから、なぁ 風呂へ行こう? [ 涙の跡を見られぬように顔を下へ向け* ] ($23) 2021/06/26(Sat) 20:39:28 |
【妖】 土地神 リン世界は美しい──か そうだな、在り方は変わらぬ ただヒトにより捉え方 見え方が変わるだけ [ 何処かへ旅立った嫁達 二人の瞳にはこの世界は どのように見えていたのだろう 限られたこの空間が 少しでも美しく見えていたら良い 祈るよう、涙で沁みる目蓋を閉じ ] 格好の良いことをと思ったが 最後のそれは些か余分だぞ [ 締め括る言葉に、ふっと笑いが漏れる 汗臭いと言われたのが不本意なのか ぽふりと胸元に顔を埋めさせられたなら わざと手足をジタバタさせたりもして ] ($26) 2021/06/27(Sun) 0:11:31 |
【妖】 土地神 リンわ、ぷっ…… 茶碗か何かのように云うでない [ 文句を言いつつも、逃げる気は毛頭ない 抱き締める腕の力が弱まってなお 頑なに冥桜の胸元に顔を埋めたまま 運ばれるままに風呂場へ、脱衣所へ── そうして、短い旅の先 脱衣所の床へトンと下されたなら ] ふ、ふんっ それぐらい自分で出来る──が [ 勿論出来はする そも、着替えられなければ 風呂はおろか日常生活にも障りがある ここは一つ手際良く脱いで見せようかと 帯に手をかけ、はたと思いとどまり ] ($27) 2021/06/27(Sun) 0:11:52 |
【妖】 土地神 リンお前が世話をしたいなら 脱がせてもらっても構わんぞ ──ただし、くすぐりは無しだ [ 両手を挙げ万歳の格好 はよ脱がせろとばかりに相手を見る* ] ($28) 2021/06/27(Sun) 0:12:14 |
【妖】 土地神 リンそうなのか? そのわりには楽しそうだが [ 疑いの眼差しを作り冥桜へ向ける とはいえ己の世話をしたいなどと 本気で思っているわけではない いまひとつ捉え所のないあの嫁のこと 大方、己が断るか騒ぐか恥じらうか いずれにせよ、そのような反応を 期待していたのは予想するに難くない よって、受け入れたのは 意趣返しのつもりでもあったのだが── ] なぁ、冥桜 我は皮剥き前の大根ではないぞ 桂剥きみたいにされては目が回る [ かといって、丁寧に脱がされついで くすぐられてもまた困るのだが 不満に口を尖らせたまま 云われるままに甚平の紐へと手をかけ ] ($30) 2021/06/27(Sun) 13:34:06 |
【妖】 土地神 リン[ よいしょと、細い紐を解いていく 次いで布地を引っ張り肌を露出させ 甚平を脱がせていき── ] ここから先がわからん 脱がすにはどうやれば良い? 蘇芳が我を洗う時などは これ以上脱ぐことはなかったからな [ 甚平を脱がせることはまでは出来た けれどそれ以上は己にはわからない むぅ。と小さく唸り、爪先で床をほじくった* ] ($31) 2021/06/27(Sun) 13:34:29 |
【妖】 土地神 リンむ、ぐ……。たしかに 緋扇は花よ蝶よしたがったが 山盛り衣装を持ってきてな 髪もあれがいいこれがいい。と 動けば怒るし、寝転ぶなと云うし ……あれは遠慮したいものだ [ 緋扇の時でさえそうであったもの この嫁では何をされるかがわからない それなら、今のままの方が安心というもので ] そりゃあまぁ、初めて……だな 蘇芳はいつも我を洗った後 風呂へは一人で入っておったし べ、別にそれくらい我にも出来るぞ これを、こうか?────えいっ [ 教わった通り布に触れ端を探していく ぺたりと腰回りを指が辿り、一周二周 ようやく目当てを見つければ 掛け声と共に勢いよく引っぱれば ] ($33) 2021/06/27(Sun) 19:17:08 |
【妖】 土地神 リンなぁ、冥桜 それは邪魔ではないのか? うつ伏せに寝たら 潰れてじゃまそうだが [ 自分にはないものの姿に目をぱちくり 不思議そうに見つめ、素直な感想を漏らす* ] ($34) 2021/06/27(Sun) 19:17:33 |
【妖】 土地神 リンう? 何を唸っておる? [ 回っている時は楽しそうであったのに その後の反応はからは 何やら困惑した様子が見て取れる 何故だろうかとすこしばかり逡巡するも 手拭いを探すそぶりに気がつけば 目の前でひらりとさせたりなどして ] んや、お前に愛でられるのは 少し──というか、だいぶだな 遠慮したい、何より後が怖い [ 撫でられながらも、きっぱりはっきり拒否の意 己の分の手拭いも手にとり こちらはお腹へとぐるりと巻きつけ ] ($37) 2021/06/27(Sun) 20:20:46 |
【妖】 土地神 リン[ 己にはないそのモノは 男であれば誰しも持っているらしい また新たな知識を得たと興味津々 嫁の言葉に瞳を輝かせ、珍しげにそれを見て ] 小さく……と、縮むものなのか。それ? ということは空気を抜くのか いや。用を足す時につかうなら しっこをすれば縮むのか? [ 聞けば聞くほどに面白い 摩訶不思議なものだと感嘆の声が出る とはいえ、まずは風呂場までの道案内 こちらだとゆっくりと歩き出し ] すのこの道を通れば湯船よ 周りを葦簀で囲ってあるから うっかり庭に出ることもない [ すのこの板の向き通り歩いていけば 自然と湯船に着くようになっている とりあえず掛け湯でもしようかと 洗い場へ冥桜を導き、湯を入れた手桶を彼へと* ] ($38) 2021/06/27(Sun) 20:21:47 |
【妖】 土地神 リンむ、何も教えられてないわけではないぞ? 文字は書けるし、足し算引き算もできる 風呂では耳の裏まで洗うのも知っておる [ 全て教わっているわけではない けれど、日常のことに関しては 嫁が困らぬ程度習っているとむくれて言う とはいえ、他人の体に興味を示すこと 無作法と咎められても不思議はないと思うのだが この嫁に関しては怒るそぶりもないようで むしろ、面白がっているようですらある 手桶の湯、順繰りにかけられたなら 水遊びする子供のように明るい笑い声をあげ ] ($41) 2021/06/27(Sun) 22:12:44 |
【妖】 土地神 リン頭にもかけたい派だ 濡れるのは楽しい、面白い [ 勿論と答えれば、頭からかかる手桶の湯 ぽたり、水滴の落ちる前髪を手で払い上げ ] 冥桜はどうだ? 頭からかけても良いか [ 間近に嫁の顔を覗き込み、問いかけを その間にも、ざばり 手桶の湯を相手の体にかけていき 答えが是でも否でも、頭からかけるつもり* ] ($42) 2021/06/27(Sun) 22:13:13 |
【妖】 土地神 リン[ 冥桜が何を考えていたかは知らないが どうやら『まぁ良いと』結論づけられたよう そも良くなかったとして 己は与えられたものを受け入れるだけ ほかに道を選びようがないわけであり ] 何が良くて何が悪いのかはわからぬが まぁ、お前が良いならそれで良いが [ どうせ考えても仕方がないこと やるべきことは己の中にあるものの それにまつわる記憶などは己の中にない 生まれたばかりの赤子が乳を吸うのと同じ それが必要だと思うから行うだけで そして、今必要なことはといえば──── ] ($44) 2021/06/27(Sun) 23:02:47 |
【妖】 土地神 リン────っと!!! えい、やぁっ!! [ 頭からかける派だと言うから手桶を振った それは必要なことであり、迷いはなかった ──そこまでは良い、間違いはないのだが いささか己の背丈が低すぎたわけであり ] す、すま……ぬ ……ぷっく、あはは [ 怒られる予感に謝りはしたものの 面白さから堪えきれずに笑いは漏れて ] ……っぷ、あはっ……くっ か、身体を拭うものだな それっ、そこに糠袋が [ 頭から湯をかけられつつ 湯船の近くに置かれた糠袋を指し示す 鼻に水が入らぬよう笑いを堪えようとして 小刻みにふるりと体が震え* ] ($45) 2021/06/27(Sun) 23:04:44 |
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