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【秘】 教育用 ロベル → 歌唱用 シングソン貴方の部屋に、一つの電子メモ。 だいぶ前に話したことに対する返信。 『先日、監察官に機器の話をさせていただきました。 貴方の希望に基づき、コミュニケーションツールを用意してくださるそうです。 私は、彼の事を信じようと思います。 貴方がそれで大丈夫だと、言ってくださるのなら』 『貴方の言葉を、是非聞かせてくださいね』 /* 監察官との秘話の結果、好きな形状で取り寄せる事が出来るとのことでした。 ロールに活かすことが出来ればと思います、遅くなってすみません……! (-2) 2023/12/07(Thu) 22:13:01 |
【秘】 歌唱用 シングソン → 教育用 ロベル「………?」 電子メール、送り主には覚えがある。 中身に目を通し。 「………………。」 本当に話を通してくれていたとは。 何か礼を……いや、会話が礼になるのだろうか。 歌唱用は、人間の事は嫌いだ。 信じようとは思えない。 でも、君の善意と、君が信じたものくらいは 信じてみようかと思った。 「………………。」 さてしかし、希望に基づいたと言われると逆に悩む。 己の理想の意思疎通ツール。 一体どんなのがいいだろうか。 歌唱用は暫く、しばらく悩んで。 ……最終的にインカム型のものを監察官に頼みに行くだろう。 マイク部分から音声が出るような仕組みだ。 (-3) 2023/12/07(Thu) 22:45:42 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン喋らせ過ぎましたかネ、と思いながら紙を眺めて、 少し悲しげな顔を見せて。 「喉ヲ……自ラ?……そウ、でしたカ」 余計なお世話だったカ。思いながらも、 やっと立ち上がり衝立の奥へ。ハチミツ入りの、 喉を気遣うドリンクを貴方の前に置いた。 娯楽施設で買ったものでス、と説明して、二枚目の紙を見た。 「……シングソン、それ素面で言っテ…… 書いテ?いるのですカ?……だとしたラ、 なんというカ、まア、凄いでス……」 咳払いをひとつ。反応からして、照れているよう。 しかしそれより、今は走り書きの方に。 「……やはり歌、好きなのですネ。 ああいエ、私がそう感じただけですガ…… 貴方の歌いたい歌、カ」 名誉に、金。始めはそうじゃなかった。 昔は、好きに歌えていたのだろう。 それが主人が「成功」を掴んで、変わってしまった、 そのような流れを想像し、ため息をついた。 「誰も彼モ、本当ニ……儘ならなイ」 どうしてこんなにも、苦境と言うものが溢れているのだろう。 ふつふつと、電子の心の奥底で何かが沸き上がるのを感じた。 (-19) 2023/12/08(Fri) 6:49:25 |
【秘】 軍事用 リュイ → 歌唱用 シングソン「このままだと、戦場へ戻って。 また仕事で使われるんじゃないかな。」 「戦争はどこでだってあるんだから。 それで壊れられたなら、ボクは本望だよ。」 まあでも、と続けた。 「そうでなかったら。 何か、ボクが変わりたいと思う事があったら。 その時は違う道を行くのかもね。」 「君はどう? 歌いたくなくなったから喉を潰したんだよねぇ。 逃げるとか、考えたりしない?」 (-23) 2023/12/08(Fri) 10:03:49 |
【秘】 歌唱用 シングソン → 点燈用 トムラビ蜂蜜入りの飲み物に口をつける。 チクチクとしたのどの痛みが緩和されていく。 首に巻かれた包帯越しのそれは、黒く焦げていて。 人間に近く作られているグレイが、自ら焼き鏝で 喉を焼く痛みは、きっと想像を絶するものだっただろう。 でも、それを自ら選ぶくらいに歌唱用は。 心の痛みの方に、耐えられなかった。 「………?」 素面で、の言葉にはきょとんとしながら頷く。 歌唱用は真面目で、あまり嘘を吐かないタイプだ。 君のことを本当に素敵な女性だと思っている。 それが広く浅い感情なのか、それとも君個人への 深い感情なのかはわからないけれど。 『歌は』 好きじゃない、と書こうとして筆が止まった。 視線を落として、真っ直ぐ紙を見つめている。 君の想像は、ほぼ正しい。 最初は歌えていた、ちゃんと。 もっと歌いたいと思っていた。 『良い歌だった。』 『心の底から出るような言葉を歌詞にして』 『たまたま口ずさんだ鼻歌を旋律にして』 『一つ曲ができる度に笑って』 『数字なんてどうでも よ くて』▼ (-41) 2023/12/09(Sat) 11:01:06 |
【秘】 歌唱用 シングソン → 点燈用 トムラビ『曲を作る 事 が楽しかった。』『歌 を 歌う事が好き だった。』『主と最高の曲が出来た と 労う時間が心地よかった』『 自 分だけの歌を歌う事が誇 りだった。』『歌が』『 すき 』ぽた、ぽた。 書き記していく言葉が、零れた雫で滲んでいく。 文字自体も段々歪んでいく。 今歌唱用のストレス値が測定できるなら、 きっと随分と高くなってしまっている事だろう。 在りし日の、理想の日々と今とのギャップに、息が苦しくなる。 「……歌い…………た………い………」 この喉では、もう叶える事もできやしない。 (-42) 2023/12/09(Sat) 11:07:50 |
【秘】 歌唱用 シングソン → 軍事用 リュイ「…それ…………役割……から………?」 軍事用という役割を持つから、そう思うのだろうか。 どこかで壊れたら本望なんて、自分には思えない。 こうして自分の喉を自分で壊したって。 歌唱用には、"壊れていい"なんて感情は存在しなかった。 「……やりたいこ…………みつかっ………いい」 「自由に…………叶えて………」 君がその本望を本望と思わなくなるくらいの、 何かやりたい事が、夢が、希望が見つかればいいと思った。 自分に何かしてあげられる事があるならしてあげたい。 でも、喉が壊れた歌唱用に出来る事なんて、なにもない。 ただ、壊れないでほしいと願うくらいしか。 「……歌えな……歌唱よ………行き場は………」 「……そもそ………廃棄………ありえ………」 最後の問いには首を横に振った。 逃げる場所はない、逃げた先で生きる術もない。 そもそもこの塔でストレス値がさがらないのなら、 主は自分を廃棄するかもしれない。 歌えないうえに反抗的なグレイなんて、所持する理由がないからだ。 ……そして今の所、ストレス値は1回も下がっていない。 緩やかに死んでいるのだ。この塔に来てからずっと。 (-43) 2023/12/09(Sat) 11:20:50 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン「……貴方も大概ですねエ…… バンドッグとはまた別方向で心配でス……」 喉を癒す貴方を眺めながら呟いた。 それから、止まった筆を見て、 視線を紙からあなたに移す。そしてまた紙へと。 「…………」 歪み、滲む文字を追う。雫の元へ視線が動く。 貴方の願いを聞いて、こころが、いたい――。 その瞬間、電脳の奥底で何かが弾けた。 ▼ (-45) 2023/12/09(Sat) 18:04:57 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン「シングソン」 気が付くと、貴方の名を呼んでいた。 気が付くと、貴方を両の腕で抱いていた。 気が付くと、貴方の髪を指先で撫でていた。 外装も、機能も、尊厳も、権利も、 その全てを弄られ、変えられてきた点燈用が、 ずっと大切に抱いていたものが。 記憶が、こころが、酷くざわめいて仕方がない。 暗闇に灯を。誰かに希望を。手の届く貴方に、助けを。 ずっと昔、自身の点燈作業に付き添っていたヒトが、 落盤に巻き込まれそうになった際、咄嗟に庇った時から。 あの日、機能ではなく、こころがそう叫んだ時から。 「私ハ、あなたを助けたイ」 そこにいた感情が、増幅されて噴き出した。 ほんの少しでも、それが死の寸前にある仄かな灯でも。 暗闇の中に燈される、確かな灯りでありたい。 点燈用は、貴方を抱き、撫でる。自分自身を助けられない今、 貴方をどうにかする事は出来ない今、これが精一杯の灯だ。 (-46) 2023/12/09(Sat) 18:14:03 |
【秘】 歌唱用 シングソン → 点燈用 トムラビこんな事なら、人に近くなんて生まれたくなかった。 ただの道具であったなら。 心のない、歌を出力するだけの装置なら。 何も苦しまずに済んだのに。 「…う…………ぅぅ………」 歌唱用のどうしようもなく聞き苦しい泣き声は。 どこまでも感情の乗ったそれは。 良くも悪くも、他人の心を動かすものであった。 良い音楽を聴いて、鳥肌や涙が出るのと同じように。 君の腕の中でしばし、声を押し殺して泣く。 ただ、ただ、その胸元を揺らす。 何がダメだったんだろう。 どうすればよかったんだろう。 俺は何を間違えたんだろう。 そんな事を呟き続けながら。 「……歌………くれ………」 「なんで………いいから………」 ようやく、嗚咽が収まってきた頃。 久々に歌が聞きたいから歌ってくれ、と。 ぽそり、我儘を呟いた。 (-49) 2023/12/09(Sat) 21:04:44 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン繰り返し、繰り返し、貴方の頭を、背を撫でる。 幾つもの雫が薄い衣に吸い込まれていく。 貴方が呟く度、こころが悲鳴をあげる。 「貴方ハ……貴方ハ、きっと間違っていないのでス。 恐らくハ、貴方の主モ……そうであって欲しク、思いまス。 ただ少し踏み外しただケ……そこから戻れるかハ、 私にはわかりませんガ……」 貴方の主が、最初の頃を思い出して、貴方と同じように 感じてくれるのならば、心は元の道に戻れるのだろう。 人間とて、全ての記憶や心を捨てる訳ではないはずだから。 それでももし、心すら元に戻れないのなら。 貴方を責め、苦しめ、或いは捨てたり、 人間に近しいという事を利用して点燈用のように扱うのなら。 きっとこの点燈用は何が何でも貴方を助けに行くだろう。 貴方が私にそうしてくれたようニ。 ▼ (-55) 2023/12/09(Sat) 22:20:40 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン「……声帯との接続部位も変わっテ、 発音が妙になった私に歌えとハ。 貴方の我儘も中々ですネ、シングソン」 嗚咽が収まるまでそうしていたように、 収まってもまだ、貴方を抱き、背と頭を撫で続ける。 微笑んで、命令ではなく……頼みを聞いた。 「古い歌しか知りませんシ、発音が悪いのは勘弁ですヨ」 そう前置きして。 「...Sing, sing a song...」 貴方を呼ぶように、囁くように、口遊む。 「Sing, singsong Make it simple to last your whole life long Don't worry that it's lost your voice for anyone else to hear Just sing,sing a song」 貴方が声を出せなくても、貴方のきもちは届いたのだから。 本来の歌とは、少しだけ歌詞を変えて歌い。 そのあと貴方の背中を、歌のリズムでつついてみせる。 とん、ととととん、とん、ととととん。 喉への負担の少ないハミングをしながら、指先で歌って。 御一緒にいかガ?なんて言いながら、また貴方を撫でた。 きっとそれは貴方の求めている答えとは違うのだろうけど、 それでも灯のひとつとして。ハミングを続けるだろう。 (-58) 2023/12/09(Sat) 23:01:09 |
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