【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠シオン・グレイヴズが返答を寄越すまで数秒間があった。 「のみものほしい」 声がしんでる。 (-18) 2021/11/04(Thu) 21:50:40 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠シオンの住んでいるアパート。ひょっとしたら、あなたにとってはもう慣れてきた道のりかもしれない。 チャイムを鳴らしても返答がなく、誰も玄関の戸が開くこともないが、鍵は空いている。 居間のあたり、冷蔵庫から少し離れた場所で、Tシャツ1枚の姿のままでシオンが倒れている。近くには麦茶が入っていたピッチャーが転がっていて、あたりは水浸しだ。 倒れた時にどこかで打ったのか、額には血が滲んでいる。 「 しぬ……まじで…… 」呻いている。 (-31) 2021/11/04(Thu) 22:32:39 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠「 おぇ…… 」持ち上げれば、じっとり濡れた感触がするだろう。麦茶を吸って濡れたらしい。当人はといえば、えずくような声をあげている。 布団が敷かれたままになっているので、そこに運ばれたのだろう。 固く目を閉じて御旗のいない方向へ首を動かした。 「お茶……。キッチンにてきとうに、ふきん、あるから、それで……」 開けっ放しになっていた冷蔵庫がけたたましく鳴り出した。忙しない。 (-40) 2021/11/04(Thu) 22:55:30 |
シオン・グレイヴズは、発熱で欠席ということになっている。自分で学校へそう連絡した。 (c16) 2021/11/04(Thu) 23:41:41 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親玄関の扉が開くまで、かなり時間があった。 室内で呻くような声と物音の後、シオンが顔を出す。よろよろとドアノブを掴んで、ドアにもたれ掛かるようにして。 ぶかぶかの男物のTシャツ(胸元にデカデカと荒々しい筆致で『Hold up!!』と書かれている)1枚着ているのみで、他には額にガーゼを貼り付けて、 細長い布で目隠しをしている という、なんとも言いがたい姿で。「あ゛〜……その声。ハイエナの……いらっしゃい……」 声に覇気がない。生気がない。死んでいる。 (-56) 2021/11/05(Fri) 0:30:02 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「でむかえ……? あ、これのことか……。ほけんてきな……。いのう、が変なことになってて、見ただけではつどうする、とかなってたら……めんどくさい」 目元の布に軽く触れながら答える。 「てか、何しに来たん……やば むり、しんど…… 」その場に崩れ落ちた。発熱があるのは確からしい。 (-60) 2021/11/05(Fri) 0:39:27 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「立ってるだけでキツいんだって……。あれ、薬。おまえとおんなじやつじゃね……」 着ているものは男物で、喋り方も一般的には男のものとされるそれでも、触れた感触や軽さは確かに女子の体だと伝えてくるだろう。 「はいどーぞ入って……なんもない家ですが」 玄関から入ってすぐ、居間もキッチンも見通せるような狭い部屋だ。 居間の中心のちゃぶ台の、すぐ横にまだ熱の残る布団が敷いてある。 居間の隅には小さなテレビとテレビ台と据え置きゲーム機。 学習机の横には男物の服が畳まれて重ねられている。下着すら男物。 (-65) 2021/11/05(Fri) 0:55:24 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「……ぁい」 全然動揺されないのも面白くないな、だとか助けてくれている相手に思うことではない事を考えていたが、ダルさによって声にはならなかった。 「あー気持ちい……」 ひどく緩慢に体を動かして濡れたハンカチを受け取ると、雑に喉に乗せた。 枕元には、ペットボトル飲料がビニール袋に入ったまま置かれている。お茶とはちみつレモンと生姜湯。 「……感情の向く先は、たぶんちがうのに、よくもまあ……せわやきが、おおいよな」 独り言のように呟いた。 (-118) 2021/11/05(Fri) 9:07:59 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「……好かれてはいないよ。アイツは……何だろうな、俺も知らん。あっちも世話焼きが身にしみてるだけかもな」 上半身を起こしてはちみつレモンに口をつけて、この場にいない人のことを少し、話して。 「今朝から、おかしいんだよな。……俺じゃない誰かの、いろんなもんが入り込んできて、情報過多で頭が痛い。お前が言ってた、俺の“共感”の逆、になってるっぽい。 こん中にお前のもあんのかね……」 唐突に語り始める。薬の効果は強化のみならず、異能を変質させているらしい。 (-123) 2021/11/05(Fri) 11:02:37 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「いや」 口角が上がる。頬に差す朱の色は発熱のみによるものだろうか。目元こそ隠れているが、恍惚としているようにも見える。 「治したくない。 今まででいちばん……みたされてる、自分がここに存在してるって、気がする。胸の中いっぱいに、ギチギチに詰め込まれて、ズタズタに引き裂かれて溢れて、締め付けられるみたいな……。 でも俺のじゃない。薬の効果が切れたら、ひとつも俺の中には残らない」 は、と力ない笑いと吐息の中間のような声が漏れた。 「交換できればさぁ……よかったよな。“共感”じゃなくてさぁ……」 片や激情を求めて、片や空虚に安らぎを見て。ままならないものだと自らも含めて嘲笑した。 (-130) 2021/11/05(Fri) 14:50:03 |
シオン・グレイヴズは、熱のせいで妙な夢を見た。2足歩行の天馬が大勢でタップダンスをしている。 (c26) 2021/11/05(Fri) 15:17:50 |
シオン・グレイヴズは、異能が無軌道に変質している。アパートの下の住民が同じ夢を見た……。 (c27) 2021/11/05(Fri) 15:18:24 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠顔は壁際に向いたままで、横に来た相手に向けないままだ。 「 くだんない日常とか青春はもう気にすることも無くなった んじゃなかったの。のみものほしい、しか言ってないぜ、おれは。どういう理屈で、どういう感情で、せわやきしてるわけ?」 そんな事を告げた。生気がない以外はいつもとおんなじ調子で。 自分じゃない誰かの感情や思考、感覚が流れ込んできている。それらは部分的だったり、どこの誰かもわからないことも殆ど。その中で一部だけ“聴こえた”。 でも、だから、なんでわざわざ自分なんかの世話を焼くのかわからない。わからないことは、知りたい。 (-139) 2021/11/05(Fri) 16:35:27 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠「……わかんないのか」 「わかんないのか。みんなわかんないもんなのか。わかんないけどこれはお前のやりたいことなのか」 繰り返した言葉はシオンの中で、決定的な気付きになるには足りなかったが、目の前の相手を理解するには少しだけ足りた。 「やりたいことの中に、おれってまだいるんだ。それはちょっとわるくないな……たぶん」 今の自分は誰かの色々なものが入り込んでいる状態だから、その“わるくない”も明日になれば消えてるかもしれないけど。 (-145) 2021/11/05(Fri) 17:09:21 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠「ん……。お兄ちゃんヅラしてんなぁ……」 目は開かなかった。余計な異能の働き方をして、余計なモンがうつってしまったらめんどうだから。 額は怪我したばかりなので少し痛むかもしれないが、甘んじて御旗の手のひらを受け入れた。発熱しているので、酷く熱い。 「……もうひとつたのんでいい? その……」 珍しく歯切れが悪い。 (-147) 2021/11/05(Fri) 17:38:15 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠「ぬれてきもちわるいので、体拭いてきがえさせて欲しい……んだけど」 数秒の間。 「むりだよなぁ……」 (-149) 2021/11/05(Fri) 17:48:37 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠「だよな」 わかってた。 「着替えだけでいいや…………着替えさえ出来ればたぶん、なんとかなるしょ……」 体を拭くのは諦めるらしい。「服、あっち」と部屋に積み重ねられた服をゆるゆると指差した。 (-160) 2021/11/05(Fri) 20:05:08 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「あ、引いたな今」 くつくつと笑っている。そこに理解が得られないことは、そう気にしていない。 「ま……最初からそんな“少し違ってた”異能だったら、こんな奴にはなってなかったんじゃないの。俺も、お前も。 ……てか、なにか用事とかあったんじゃ? まさか、本当に見舞いにだけ来たってことはないよな」 あなたがただ様子見に来ただけ、とは思っていない。あなたにそこまでされる理由がシオンはわかっていない。 (-161) 2021/11/05(Fri) 20:30:20 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「……ごめん。今朝スマホ、水没した」 重苦しい口調で切り出されたのはそんな言葉だった。 「麦茶飲もうとして、あのアレ……ピッチャーっていうの……?アレ持ったまま倒れて気絶して……フタ外れて水浸しになって、そのまま……。 で、でんわばんごうなら教えれる。家の固定電話」 (-165) 2021/11/05(Fri) 20:46:08 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「……? あ、いや御旗が甲斐甲斐しく片付けてくれたから大丈夫。じゃあ、うん、修理したら声かける」 流し台の横に洗いたてのピッチャーが置いてあるとか、濡れた布巾が干してあったりとか、そういった痕跡は残っているかも。 (-168) 2021/11/05(Fri) 21:01:05 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「たぶん……?」 なんとも要領を得ない返答だがさておき。 「……まあいろいろ、たすかった。帰り気をつけろよ」 と見送るのだろう。 (-171) 2021/11/05(Fri) 21:07:47 |
シオン・グレイヴズは、今日一日だけは、ちょっとだけ、満たされている。 (c32) 2021/11/06(Sat) 0:28:15 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠着替えの為に布団の上で上半身を起こそうとして、起こして、「どぁぁ……」と謎の声を上げながら再度倒れ込んだ。 「むりだわ……。きがえ、むり。詰みですね……。のみものと片付けだけでも、たすかったし……」 諦め。 (-224) 2021/11/06(Sat) 2:31:53 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠「いだだだだえ、うお、えっ?」 こすられて赤くなった。背中の時だけ黙った。 「背中は……良いのか……やーいへたれ童貞ってあおるつもりだったのに……」 終わった時の感想。 (-317) 2021/11/06(Sat) 20:32:58 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠「あ、あぁ……うん。良識……」 あらゆる全てはクリアされた。綺麗さっぱりの体になりました。 いつの間にか開いていた目を慌てて逸らして、 「健康な時なら、起こす?とか、いつもなら言うところだったのに……。普通に無理だと思ってたから、反応、用意してなかった。ばか……ぼけ……」 布団にぐったり横たわりながらの弱々しい罵倒。 (-323) 2021/11/06(Sat) 20:46:59 |
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