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【人】 中等部 バラニ今日も日課のように食堂にいる生徒の数を数える。 足りない人数は昨日までは一人、今日は……四人。 「まさか、ね……」 独り言のような呟きを零してから。 頭を振って、悪い考えを振り払うように。 「……こんな日でも朝食は、しっかりと食べないと。 私も配膳をする珍しい機会かもしれないけれど…… 誰か、他には手伝ってくれる良い子はいないかね?」 なんて声を掛けながら、いつもならばテラがする仕事をやり始めた。 (3) 2022/05/02(Mon) 21:28:49 |
【人】 中等部 バラニ「ありがとう、クロノくん」 配膳を手伝ってくれる下級生に優しく感謝の言葉を。 不安がっているのなんてその表情を見ればすぐにわかったから。 少しでもそれを和らげることができたらと思って、明るく振る舞って見せる。 (6) 2022/05/02(Mon) 21:43:16 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニトレイの上のスープが、ミルクが冷めてゆく。 少女の表情もまた、不安げに沈んで。 「……う、ん」 「ロッテも、気を付けて探してみるね」 掠れた声は、気落ちしていつもより更に。 それでも、あなたがそうやって気遣ってくれるから。 少女はぎこちなくもどうにか笑顔を作り、朝食の片付けを済ませたところで、あなたと別れた。 (-7) 2022/05/02(Mon) 21:47:01 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテあなたがクラスメイトに視線を向ければ。 明るく振る舞ってはいるものの、ふとした瞬間には不安そうな様子を垣間見せていた。 視線には気が付かないまま、配膳の仕事や下級生の様子を見るのに精いっぱいになっていたが。 ちょうど、浮かない表情をしているときにこちらを見つめる視線に気が付いて、なんとか励ますように微笑みを浮かべてみるのだった。 (-14) 2022/05/02(Mon) 22:28:20 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ不安なのだ、あなたも。 いつも気遣ってくれて、元気付けてくれて。みんなを引っ張ってくれて。 それでもあなただって、少女と同じ年頃の男の子。 それでも懸命に、率先して前に立ってくれている。 そうやってじっと見つめていたら、ようやく、目が合って。 あなたが微笑んでくれたから、ぎゅっと胸が苦しくなった。 刹那。 日常に影を落とす異変への不安とは、別の感情で。 どうしてか、泣きそうになってしまった。 きゅ、と。眉が歪む。 ▼ (-21) 2022/05/02(Mon) 23:18:16 |
【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ「アオツキ先生」 どこか重苦しい空気を漂わせながらの朝食も終わった。 その中で姿の見えないテラの代わりに配膳係を買って出ていたバラニが、こっそりとあなたに近寄ってきた声を掛けてくる。 「少し、伺いたいことが……神隠しのことなのですけども。 以前からここに居た先生なら、何かご存知ではありませんか?」 (-24) 2022/05/02(Mon) 23:22:58 |
バラニは、トットに「気を付けたまえよ」と言葉をかけて、見送った。 (a5) 2022/05/02(Mon) 23:32:55 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「あらあら〜 バラニくん?」 「ええ、――噂についてはよおく知ってますよ」 アオツキには実習生として一つのルールがあった。 自分からは積極的に生徒に話しかけない。 勉強のこと、仕事のこと、頼まれ事があるときのみ対応をする。 そして、嘘をつかないことだ。 「神隠しは、昔から伝わる出鱈目です」 やわらかな話し方と、あまり表情のない固い顔。 ちぐはぐだが、イシュカと対比すれば愛想は良い方なアオツキは普段通りに答えた。 「根も葉もある、夜の森で人が怪我をしないようにさせる 大切な噂です。ちょっと怖がる子が多いのは難点ですが、 おかげで目立った事故は少ないと聞いていますね〜。 ……他に聞きたいことがありますか?」 こんな答えが欲しいわけではないだろう、だが模範的な答えを返さなければいけない立場だ。 「知っている事であれば答えられますよ〜。 例えば、今日顔を店に来なかった彼らは神隠しで消えていなくなったわけではない、とか」 (-29) 2022/05/03(Tue) 0:17:45 |
【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ「出鱈目……」 ならばここ数日、生徒がいなくなっているのは神隠しの仕業ではないということ。 あなたの語って聞かせた内容は、小さな子供たちを守るためにあるいかにもなもので、バラニもどこかで似たような話を聞いた覚えもあった。 「ほ、本当ですか? ならば……どうしてみんなは姿を見せないのですか、神隠しでないのなら、何故……」 食い入るようにあなたに問いかける。 まるで餌を与えられた動物のようにいとも簡単に。 (-33) 2022/05/03(Tue) 0:43:11 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ不安なのを隠すように笑う……お互いに。 その笑顔は綺麗だと思うけれど、本当に見たいのはそんな無理してつくるものではなくて。 感じる義務感以上に、その笑顔はこの状況を何とかしたいと思わせるには充分なもので。 ちっぽけな決意をひとつ、胸に抱きながら。 朝食の場では苦しみを隠すような笑顔を向け合ってから、しっかりと朝食を摂っていた。 そして朝食のすぐ後、バラニはその場にもいた教育実習生に何やら尋ねているようだったが。 ▼ (-42) 2022/05/03(Tue) 1:26:59 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「シャルロッテくん」 それからしばらく時間は経ち、バラニはあなたの姿を見つけて名前を呼んで。 「先程はありがとう、配膳を手伝ってくれて…… 君やクロノくんのお陰で、皆に早く食事を行き届けることができたよ」 「ええと……少し、私の散歩に付き合ってはくれないかな。 まだ姿が見えない子たちを探すのも兼ねて、なのだが……」 断られてしまったらどうしようかと、内心では少し緊張しながらも尋ねる。 姿が見えない子を探すと言うのも本当で一緒にいたいというのも本当。 良い答えが返って来てくれることを祈りながら、あなたの返事を待っている。 (-43) 2022/05/03(Tue) 1:27:30 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「何故…… それは 誰かと大切なお話をしている、らしいですよ」 池の中に石を投げ込むように、波紋を作る。 「ですが私も経験したこともなければ、 同級生の皆に聞いても同じ答えが返ってきたことがないんです。 だから気になったら帰ってきた子達に聞いてみるのが一番です。 私は実習生として、先生に近い存在ですが 全てを知っているわけじゃありません。 不確定な情報を告げて、君たちを不安にさせたくもないんです。 半日もすれば戻って来ていたと思いますが……、 噂に尾びれがついて神隠しと言われるようになったんでしょう。 大丈夫ですよ。落ち込んでいたり、様子が変わっていたりして 姿を見せてくれないことが多いですけれど、 居なくなって消えてしまうわけじゃありませんから」 嘘はついていない、事実だ。 ただ、どうして皆は姿を見せないのか。 その答えは明確には出していない、だって、"知らない"のだから。 → (-45) 2022/05/03(Tue) 1:44:14 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「それでも、――聞いてみたいですか?」 「昔神隠しに遭ったと言われた子達が何をされて戻ってきたのか」 「聞いたら怖くなって泣いてしまうかも知れませんよ〜」 (-46) 2022/05/03(Tue) 1:44:44 |
【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ「大切な話……?」 疑問は尽きない。 いったい誰と、そんな朝食に参加できないほどなのだろうか。 不確定な情報で自分たちを不安にさせたくないと言う気持ちもわかる。 けれど、このまま何もわからないまま不安でいることのほうが、バラニにとっては耐えがたいことだった。 「……だ、大丈夫なものですか! 落ち込んでいることも、様子が変わっていることも……! 居なくならなかったからよかったなんて、そんなもの……」 憤る感情を滲ませるも、それをぶつけるべき相手はあなたでもない。 そのまま行き場のない感情を握った拳を開いて、逃がしながら。 ▼ (-47) 2022/05/03(Tue) 2:10:48 |
【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ「……泣いてしまうかも知れないほど、恐ろしいと言うのならば」 「私はそれから逃げずに向き合い、乗り越えなくてはならないさ」 呟く言葉には、強い使命感のようなものが籠る。 何か理由があるのか、バラニは不安や恐怖のようなものに抗おうとする姿勢をよく見せる。 それは、まさしく今のような状況に変わりはなくて。 「……聞かせてください。 不確定だとしても、先生が知っていることで構わないので」 (-48) 2022/05/03(Tue) 2:14:40 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「あら〜 そうですか。 それなら教えてあげましょう、彼らがなんと言っていたのか」 「内緒ですよ?」 「帰ってきた彼らの、殆どは言っていました。 彼らのおかげで抱えていた不安や病が治ったのだと」 「いいことで、よかったですね」 → (-50) 2022/05/03(Tue) 3:04:01 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「『そのために撫でるだけでは足りなかったのでしょうか? 一部では無理矢理押さえつけながら、薬を打ちました。 精神に対して訴えかける術をかける為、何時間にも渡り 身も心も溶かすように干渉し続けました。 他人との会話をさせないための隔離などもしたそうです。 具体的ではないって? 体験したことはありませんからね。 でも、自分がまるで変わってしまうようだったと聞きました。 それは、確かに必要なことだったのでしょう。 事実彼らは以前と変わらず、あるいはそれ以上に安定した生活を取り戻したからです』」 「昔の話ですよ、全員が全員ではありません。 現に私が知りませんからね〜。 それは、闘病する上で必要な辛いこととされていました。 今はどうなったのかわかりません。 ただ"大切な話"をしていると、聞かされていますから。 私は信じていますよ? 無事に彼らが戻ってくることを」 相変わらず、穏やかな口調に抑揚のない声。 淡々とというにはあまりに違和感のある音は、望んでいた。 無事に彼らが戻ってくることを信じて、最悪を恐れずに、 今起っていることを正しく見極めようとしていた。 (-51) 2022/05/03(Tue) 3:14:20 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニあなたに励ましてもらうばかりではいけない。 自分だって、しっかりしなければ。 それは不安を覆い隠そうとする笑顔ではあったけれど、きっと。 無理矢理にでもそうすることが、『いつも通り』を取り戻してくれると信じたかった。 いつもあなたがそうであるように、誰かの、あなたの支えになれると信じたかった。 座り込んでしまいそうになるのを、どうにか留めてくれると信じていた。 それでも食欲は湧かなくて、いつもより少ない食事を摂って。 それからしばらく。 あなたに名前を呼ばれると、少女は振り返った。 ▼ (-74) 2022/05/03(Tue) 12:30:53 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ「ううん、いつでも何でも率先してくれるのは、バラニだよ。 だからみんな真似して動けるし、ロッテも手伝えるの。 ありがとう」 やわらかく笑み、あなたを見つめる。 次いで行われた提案にも、嫌な顔などする筈もない。 「うん、もちろん。 みんな、早く顔を見たいな……」 「今朝、先生と話してなかった? なにか言ってた? 先生も、知らないのかな……」 これまでの反応や、今日はその先生の片方も姿が見えないこと。 それらから、望みは薄いとわかっていても、なにかを口にせずにいられないといった様子で。 (-76) 2022/05/03(Tue) 12:31:36 |
【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ「…………」 あなたの話を静かに黙って聞いている。 何事かを考えているのか、それとも言葉を失ってしまっているのか。 いずれにせよ、その話はあなたが恐ろしくて泣いてしまうかもしれないと称するに値するものだと、バラニは自分でもすんなりと受け入れることができたのだが。 「もしも、今でもそれが続いていたとしたら…… 先生はそれを、受け入れることができるのですか? ……不安や病気が取り除かれるとは言っても、それは」 僅かに目を潤ませながら、じっとあなたを見つめて問う。 不安や病がなくなるのは喜ばしいことだ。 それでも、落ち込んでいたり様子がおかしくなって帰ってくることになるのは、どうにも飲み込み難いものがあった。 病気が治ったのなら、本当はその事をしっかりと喜べないといけないはずだと。 (-80) 2022/05/03(Tue) 14:11:08 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「そ、そうかね……? 私も……君や、皆がいるからこそ動けているのもあるのだから。 ありがとう、こちらこそね……」 こちらに向けられる笑みが、気分を和らげてくれるようだった。 嫌な顔もせず快諾してくれたことに安堵しながら、再びお礼の言葉を述べて。 さっそく行こう、と他愛もない会話を続けながらゆっくり歩みを進める。 「うむ、アオツキ先生と少しね…… 私も気になって聞いてみたのだ、何か知らないかと」 そこで一度、言葉は止まって。 続けるかどうか、少しばかり悩むような素振りを見せてから。 「……皆が姿を見せないのは、神隠しとは無関係だと……先生が」 (-81) 2022/05/03(Tue) 14:24:52 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ互いに支え合うことができているなら、それが何よりだ。 少女はあなたに気遣ってもらうことの方が多いように思うけれど――これからはもっと、助けになれるといい。 こんな風に、不安なときだからこそ。 あなたに促され、少女も歩き出す。 「……そっ、か。 神隠しって、ただの噂、だもんね……」 とは、答えても。 ただの噂と断ずるには。 「……でも」 「神隠しじゃなくても」 「こんな風に大勢の姿が見えなくなるのは、へん」 (-87) 2022/05/03(Tue) 15:49:39 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「……そうだね、君の言う通りだ」 「誰かと大切な話をしている、らしい……とも聞いた。 先生も、何でも知っているわけじゃないと言っていたから…… 本当のことかどうかは……私にもわからないけれども」 ひとつひとつ、先生から聞いたことを慎重に伝えていく。 その様子はいつもとは同じようでいて、少し違ってもいる。 いずれにせよこの恋心とは無関係とも言い難いものだった。 「シャルロッテくんは…… 何か方法があれば、いますぐにでも自分の病気を治したいと思うかね」 不意に、そのような事を尋ねる。 この学び舎にいる子供は、誰しも何かしらの事情を抱えている。 それを取り除くためにこうして生徒同士のふれあいを通してじっくり向き合っていくのが、このギムナジウムの姿だけれど。 バラニの言葉は、まるでその以外に夢のような特効薬があるかのよう。 (-92) 2022/05/03(Tue) 16:32:16 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ大切な話。 ここで誰かと大切な話をするというなら、実習生の先生よりももっと上の――それこそ、大人の先生だろうか。 わからないなりに思考を巡らせていると、ふと。 あなたが口にしたのは、唐突にも思える言葉。 「…………病気」 ぽつりと繰り返す。 ここにいるこどもたちは、誰しも事情を抱えている。 それは、少女も例外ではない。 けれど。 「ロッテはね、いいこになるためにここに来たの。 大人の先生たちにいろんなことを教わって、いいこになって、家族のところに帰らなきゃ」 「でもそれは、すぐにはできないよ。 勉強すること、たくさんあるもん」 ――少女は、自身の病状を理解していない。 それに、『病気』だと言われたから、あなたとおしゃべりができるのだ。 「……バラニは?」 「バラニは、すぐに治りたい?」 けれど、例えばルームメイトのように。 神経質な上級生のように。 苦しいことがあるのなら、治るのはきっと、いいことだ。 (-99) 2022/05/03(Tue) 18:28:09 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「……治るものなら、治したいと思うよ」 「この病がある限り…… 私は、家督を継ぐ者としては不適当な軟弱者だと。 生涯消えない烙印を押され続けることになってしまうのだから」 いつもは明朗なその調子にも、わかりやすく不安の色が滲む。 それは、貴族の子であるからこその悩み。 本来ならば、このギムナジウムにいることなどなかっただろうバラニがここにいる理由。 バラニの抱える事情は、とある貴族の跡取りとなるにあたり酷く不都合なものだった。 病気を治すことを彼だけでなく、彼の家族も強く望んでいる。 そしてその想いは、ある意味バラニを蝕む圧力のひとつでもあったが。 ▼ (-101) 2022/05/03(Tue) 19:27:22 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「……けれど、病気を治す……それだけではいけないのだ」 「ただ病気を取り除くだけでなくて…… 何者に負けないような強い勇気を持つ、跡継ぎに相応しい男に」 「真にならなければならないのだと、私は思っている……」 簡単な道を選んで得たものは、すぐに失われてしまうものだ。 勇気ある挑戦の先にこそ、本当に大切なものを得ることができる。 バラニが特別好む物語から得た教訓、少年に勇気を与えてくれる教え。 病気を治すことが目的ではない、心の弱さこそがその原因なのだから。 「私にも、しなければならないことはたくさんある……! 勉強も、皆の為になることも……だから、まだ治らなくていい」 その分だけ、君とも一緒にいられるだろうから。 病気を治さなければならない跡取りとしては間違いだとしても、バラニの気持ちとしてはそう思ってしまうところもあった。 (-102) 2022/05/03(Tue) 19:30:00 |
【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナトそれは日が空高く登る頃か、それとも彼方に沈もうとする頃か。 いずれにせよ、ルームメイトとしてあなたと同じ部屋で過ごすひとときの出来事。 「なあ、エルナトくん……」 名前を呼んであなたに声を掛ける。 バラニにしては珍しく、どこかぼんやりとした様子のまま。 「これは……そう、例えばの話なのだが…… ものすごぉく……おいしくないけれども、 どんな病でも治る魔法のような薬があったとすれば…… 君は飲みたいと思うかね……?」 なんて、突拍子のないような問いかけをあなたにする。 その視線の先には、いつもあなたが飲んでいるような薬。 今でもそれを飲む姿には、どこか苦しそうなものがあると思っているからこそ、そんな問いかけをするのかもしれない。 (-124) 2022/05/03(Tue) 22:29:03 |
【秘】 司書 エルナト → 中等部 バラニ陽が沈みゆき、人々も寝息を立てる時間。 少年二人も、寝支度を整えて。 寝間着に着替えた状態で、互いの布団の上。 少年は施設から支給された小瓶の中の液体を、今日も飲む。 透明な時は、ほとんど何の躊躇もなく。 それが紅色や黄色がかっていた時、白色の時は、嫌そうに眉を顰める。 それでも、飲む。 飲んだ後はほう、と一息ついて。 僅かに顔を上気させる。 「なぁに、バラニ。もう寝ぼけてる?」 「そんなにぼんやりして、らしくないよ。」 なんて、かけられてる言葉には揶揄い交じりにそう言って。 小瓶をサイドデスクにことりと置いて、君を見る。 それから、言われたことに思案を走らせて。 「……うーん…………」 「…まぁ、飲むかなぁ………病によるかもしれないけど。」 「ほら、僕は普通のご飯が食べられないから。」 「それを我慢したら、美味しいご飯を食べられるようになる、と思ったら……頑張れるかも。」 異食症。 人間が通常摂取する食事から、栄養が取れなくなる病。 エルナトは、食堂に顔は出すものの、一口たりともご飯を口にすることはない。 いつも、ただ眺めるだけだ。 「君はどう?」 飲む?と首を傾げて。 (-128) 2022/05/03(Tue) 22:52:24 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「続いていたら、 どうでしょうか。 それが事実だとして、私の夢は変わらないでしょうね」 どうだっていい。否、どうすることもできない。 このときの言葉だけは特段冷たくなって。 「私が先生としてここに居続けること」 「学生の頃からの夢でした。 この場所<ギムナジウム>を、生徒達の為の空間にするって」 不安そうなその言葉に答えるように、君の頭を優しく撫でた。 (-136) 2022/05/03(Tue) 23:31:18 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 中等部 バラニ「こうして君たちがおびえるような恐ろしい噂を無くして。 病気を治したい子はできるだけ早く、 ゆっくりと向き合わなければいけない子には丁寧に。 そんな風に"ここ"を変える先生になりたいんですよ〜。 ですが、」 足を曲げて視線を合わせる。 本当に怖がら、夢を見させるだけになってしまうことが。 ただただ、空しい。 「今の私には、こうして君たちの言葉を聞いて 知っていることを言うだけしか出来ません。 何が起きていようと、苦しんでいようと――」 見ているだけしかできない。無力だ。 受け入れることを拒んでも、飲み込まされ続けるだけ。 それを不幸であると、君たちに感じて欲しくも強いたくはない。 片手で自分の服の裾を強く握りしめる。 「だからもし、 何か辛いことが起きたらこうして伝えて下さい。 私は君たちを変える先生に、まだなれていませんが、 ――君たちが喜べないことが起きたとき。 時には物言わぬ壁になって、時には言葉を返す友になります。 君が君の願うままが叶うことを"私たち"は望んでいます。 我慢をしないで下さいね、私はいつだって生徒が大事なんです」 (-137) 2022/05/03(Tue) 23:35:59 |
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