【秘】 勝利への渇望 御旗栄悠 → 俺 シオン・グレイヴズ着信拒否に入れたかったが、事情を考えて受けることにした。 「詐欺なら間に合ってるけど」 (-17) 2021/11/04(Thu) 21:48:11 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠シオン・グレイヴズが返答を寄越すまで数秒間があった。 「のみものほしい」 声がしんでる。 (-18) 2021/11/04(Thu) 21:50:40 |
【秘】 勝利への渇望 御旗栄悠 → 俺 シオン・グレイヴズはあ、というため息のあと。 「喉を刺激しなさそうなもんいくつか買ってく」 結局世話を焼いてしまうのだ。 (-22) 2021/11/04(Thu) 22:04:13 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠シオンの住んでいるアパート。ひょっとしたら、あなたにとってはもう慣れてきた道のりかもしれない。 チャイムを鳴らしても返答がなく、誰も玄関の戸が開くこともないが、鍵は空いている。 居間のあたり、冷蔵庫から少し離れた場所で、Tシャツ1枚の姿のままでシオンが倒れている。近くには麦茶が入っていたピッチャーが転がっていて、あたりは水浸しだ。 倒れた時にどこかで打ったのか、額には血が滲んでいる。 「 しぬ……まじで…… 」呻いている。 (-31) 2021/11/04(Thu) 22:32:39 |
【秘】 勝利への渇望 御旗栄悠 → 俺 シオン・グレイヴズ「シオっ……ああもう、無理すんなって」 有無を言わず抱え上げて、寝床らしいとこがあればそこまで運ぶ。妹と暮らしてんだこっちはこの程度余裕だコンチクショウ。中身の性別は変だしよ。 素肌の質感、温度。余りにも無防備な出でたち。そこから視線を大きく逸らして。ちょっと前まではそれなりに真面目な学生してたはずなのにどうしてこんなことに…… 「お茶、はちみつレモン、生姜湯買ってきたから、好きなもん選んで飲め……っていうか飲めるか?零した麦茶も拭いておきたいんだけど」 (-35) 2021/11/04(Thu) 22:46:14 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠「 おぇ…… 」持ち上げれば、じっとり濡れた感触がするだろう。麦茶を吸って濡れたらしい。当人はといえば、えずくような声をあげている。 布団が敷かれたままになっているので、そこに運ばれたのだろう。 固く目を閉じて御旗のいない方向へ首を動かした。 「お茶……。キッチンにてきとうに、ふきん、あるから、それで……」 開けっ放しになっていた冷蔵庫がけたたましく鳴り出した。忙しない。 (-40) 2021/11/04(Thu) 22:55:30 |
シオン・グレイヴズは、発熱で欠席ということになっている。自分で学校へそう連絡した。 (c16) 2021/11/04(Thu) 23:41:41 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「……休み?」 2-Cを訪れた僕は、シオンの欠席を知ることになる。 別に大した用事はないけど。 折角だから連絡先でも交換しようと思った矢先だ。 あの日はそれを思いつく余裕もなかったから。 シオンの学友から、シオンが一人暮らしだと聞いた。 様子見でも、行くか。足を運ぶことにする。 放課後だかどこか、シオンの家を訪れた。 「朝日だけど」 インターホンを鳴らして、応答を待つ。 (-51) 2021/11/05(Fri) 0:19:27 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親玄関の扉が開くまで、かなり時間があった。 室内で呻くような声と物音の後、シオンが顔を出す。よろよろとドアノブを掴んで、ドアにもたれ掛かるようにして。 ぶかぶかの男物のTシャツ(胸元にデカデカと荒々しい筆致で『Hold up!!』と書かれている)1枚着ているのみで、他には額にガーゼを貼り付けて、 細長い布で目隠しをしている という、なんとも言いがたい姿で。「あ゛〜……その声。ハイエナの……いらっしゃい……」 声に覇気がない。生気がない。死んでいる。 (-56) 2021/11/05(Fri) 0:30:02 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「……………………」 病欠って聞いたんだけどな。 「ハイエナの、はやめてくれないかな。朝日だよ」 男物の制服を着てたし、こいつ男物しか持ってないのか? いやその前にその布はなんだ? いろいろと思うところはあったけど、全て脇に置いて僕は苦言を呈した。 「………何してるの?」 気になるから、聞きはするけど。 (-57) 2021/11/05(Fri) 0:33:39 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「でむかえ……? あ、これのことか……。ほけんてきな……。いのう、が変なことになってて、見ただけではつどうする、とかなってたら……めんどくさい」 目元の布に軽く触れながら答える。 「てか、何しに来たん……やば むり、しんど…… 」その場に崩れ落ちた。発熱があるのは確からしい。 (-60) 2021/11/05(Fri) 0:39:27 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「異能が変……? いや、ちょっと待って。こんなとこで寝ないで」 大丈夫?なんて気の利いた言葉が出ない辺り、僕の性格だと思う。 崩れ落ちそうなシオンを僕は支える。 ハイエナの前腕は、発達していて力がある。 「取り敢えず布団、運ぶから。 入るよ。いいね?」 (-62) 2021/11/05(Fri) 0:43:29 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「立ってるだけでキツいんだって……。あれ、薬。おまえとおんなじやつじゃね……」 着ているものは男物で、喋り方も一般的には男のものとされるそれでも、触れた感触や軽さは確かに女子の体だと伝えてくるだろう。 「はいどーぞ入って……なんもない家ですが」 玄関から入ってすぐ、居間もキッチンも見通せるような狭い部屋だ。 居間の中心のちゃぶ台の、すぐ横にまだ熱の残る布団が敷いてある。 居間の隅には小さなテレビとテレビ台と据え置きゲーム機。 学習机の横には男物の服が畳まれて重ねられている。下着すら男物。 (-65) 2021/11/05(Fri) 0:55:24 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「…………」 薬。またか……。 ついそんな事を思ってしまったのも仕方がないと思う。 僕はここ数日、それで散々な目に遭いっぱなしだ。 猫背を丸めて肩を貸し、シオンを運ぶ。 発熱した腕に女性らしい柔らかさ。 だからどうということもない。僕の疎さは筋金入りだ。 「取り敢えず、寝て」 布団にシオンを運ぶとそう言って寝かしつける。 あの日と逆だ。 いや、発熱してる分、あの日の僕より酷くないか? 「訪ねたタイミングが本当にまずかったな……。 少し、待ってて。水道借りるよ」 許可が出ても出なくても、拒否されない限り僕はキッチンへ向かう。 ポケットから取り出したハンカチを濡らしてよく絞り、首でも頬でも冷やせとシオンの手に触れさせるだろう。 (-66) 2021/11/05(Fri) 1:13:47 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「……ぁい」 全然動揺されないのも面白くないな、だとか助けてくれている相手に思うことではない事を考えていたが、ダルさによって声にはならなかった。 「あー気持ちい……」 ひどく緩慢に体を動かして濡れたハンカチを受け取ると、雑に喉に乗せた。 枕元には、ペットボトル飲料がビニール袋に入ったまま置かれている。お茶とはちみつレモンと生姜湯。 「……感情の向く先は、たぶんちがうのに、よくもまあ……せわやきが、おおいよな」 独り言のように呟いた。 (-118) 2021/11/05(Fri) 9:07:59 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「僕の他にも誰か来た? よかったね。好かれてんだよ、あんた」 まあ良くないだろうけど。 親愛程度の感情で、満足するような奴とも思っていない。 「まあ、僕は例外かな。 流石に目の前で倒れられたら世話を焼かずに居られないだけで。 恩知らずにもなりたくはないしね」 枕元の袋に気付くと中を取り出した。 飲んだ方がいいよ、とはちみつレモンを見せる。 (-120) 2021/11/05(Fri) 10:11:36 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「……好かれてはいないよ。アイツは……何だろうな、俺も知らん。あっちも世話焼きが身にしみてるだけかもな」 上半身を起こしてはちみつレモンに口をつけて、この場にいない人のことを少し、話して。 「今朝から、おかしいんだよな。……俺じゃない誰かの、いろんなもんが入り込んできて、情報過多で頭が痛い。お前が言ってた、俺の“共感”の逆、になってるっぽい。 こん中にお前のもあんのかね……」 唐突に語り始める。薬の効果は強化のみならず、異能を変質させているらしい。 (-123) 2021/11/05(Fri) 11:02:37 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「でも別に嫌われてるわけじゃないだろ。 僕だって、嫌いな奴が熱で寝込んでても────」 世話を焼かないと、言い張れるか? 「……前言撤回。相手によるな」 嘆息しながら、傾くペットボトルを見ていた。 「触れてなくても、見つめてなくても? ……困ったね。それは。 市販の異能抑制剤なら持ってはいるけど」 効くかどうか、と僕は肩を竦める。 色んな人の感情が流れ込んで、きっとシオンの頭の中は地獄の釜のようだろう。 僕の頭の中もいつもそんなもんだから、そう思った。 絶望も希望も諦観も不屈も癒しも痛みも、何もかも全て矛盾しながら僕の中にある。 だから僕は余程でないと表に感情は出さない。出せない。 そして激情なんかより、シオンの中の凪に安らぎを覚えた。 (-126) 2021/11/05(Fri) 13:53:08 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「いや」 口角が上がる。頬に差す朱の色は発熱のみによるものだろうか。目元こそ隠れているが、恍惚としているようにも見える。 「治したくない。 今まででいちばん……みたされてる、自分がここに存在してるって、気がする。胸の中いっぱいに、ギチギチに詰め込まれて、ズタズタに引き裂かれて溢れて、締め付けられるみたいな……。 でも俺のじゃない。薬の効果が切れたら、ひとつも俺の中には残らない」 は、と力ない笑いと吐息の中間のような声が漏れた。 「交換できればさぁ……よかったよな。“共感”じゃなくてさぁ……」 片や激情を求めて、片や空虚に安らぎを見て。ままならないものだと自らも含めて嘲笑した。 (-130) 2021/11/05(Fri) 14:50:03 |
シオン・グレイヴズは、熱のせいで妙な夢を見た。2足歩行の天馬が大勢でタップダンスをしている。 (c26) 2021/11/05(Fri) 15:17:50 |
シオン・グレイヴズは、異能が無軌道に変質している。アパートの下の住民が同じ夢を見た……。 (c27) 2021/11/05(Fri) 15:18:24 |
【秘】 勝利への渇望 御旗栄悠 → 俺 シオン・グレイヴズうるせー冷蔵庫を閉じて。 お茶を拭きまわって。 ちょっとしてから戻って来る。 「まったく、人騒がせなやつ。 多分俺が原因の一端でもありそうだけどさ」 その横とかに適当に座り込んで。 (-136) 2021/11/05(Fri) 16:05:06 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠顔は壁際に向いたままで、横に来た相手に向けないままだ。 「 くだんない日常とか青春はもう気にすることも無くなった んじゃなかったの。のみものほしい、しか言ってないぜ、おれは。どういう理屈で、どういう感情で、せわやきしてるわけ?」 そんな事を告げた。生気がない以外はいつもとおんなじ調子で。 自分じゃない誰かの感情や思考、感覚が流れ込んできている。それらは部分的だったり、どこの誰かもわからないことも殆ど。その中で一部だけ“聴こえた”。 でも、だから、なんでわざわざ自分なんかの世話を焼くのかわからない。わからないことは、知りたい。 (-139) 2021/11/05(Fri) 16:35:27 |
【秘】 勝利への渇望 御旗栄悠 → 俺 シオン・グレイヴズ「分かんないのか?」 ああそういや、コイツは。 コレでも人の気持ちには疎いんだった。 というか盗み聞きされすぎだろあそこの話。 「どうでもいいんだよ、どうでもよくなった。 何に報われてほしいとか、上手くいってほしいとか、 そーいうこと考えないようになった」 結局得た答えはそれだ。 緩やかな諦観。でも、確かに前向きなこと。 「だから やりたいことをする。 心が引かれる道を選んで、とりあえず走っていく。 それで誰が得しよう損しようと関係ないわけ。 理屈なんかない。感情も多分めちゃくちゃ単純なんだ。 なあシオン。気付いてないようだから教えとくけど」 (-142) 2021/11/05(Fri) 16:46:38 |
【秘】 勝利への渇望 御旗栄悠 → 俺 シオン・グレイヴズ「人の心ってさ、よくわかんないものなんだよ 自分のも言われなきゃ気付かないし、 他人のものなんかとても分かったもんじゃない」 浮かべた表情は。確かに、初めに見せたそれで。 名前があるとするならそれは、暗く優しい『共感』だ。 何処か投げやりで、諦めがあって、親しみも込めて。 「輝くスポットライトが向かないんだったら、 その分やりたい放題したらいい。俺はそうするんだ」 (-143) 2021/11/05(Fri) 16:50:32 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠「……わかんないのか」 「わかんないのか。みんなわかんないもんなのか。わかんないけどこれはお前のやりたいことなのか」 繰り返した言葉はシオンの中で、決定的な気付きになるには足りなかったが、目の前の相手を理解するには少しだけ足りた。 「やりたいことの中に、おれってまだいるんだ。それはちょっとわるくないな……たぶん」 今の自分は誰かの色々なものが入り込んでいる状態だから、その“わるくない”も明日になれば消えてるかもしれないけど。 (-145) 2021/11/05(Fri) 17:09:21 |
【秘】 勝利への渇望 御旗栄悠 → 俺 シオン・グレイヴズ「今はそれでいいんだよ。 お前の頭の容量余計なモンでいっぱいだろうし、 調子悪い今は尚更難しいこと考えるな」 嫌がられないだろうか、なんて思いながら。 妹にするように、そっと頭を撫でようとした。 (-146) 2021/11/05(Fri) 17:24:22 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠「ん……。お兄ちゃんヅラしてんなぁ……」 目は開かなかった。余計な異能の働き方をして、余計なモンがうつってしまったらめんどうだから。 額は怪我したばかりなので少し痛むかもしれないが、甘んじて御旗の手のひらを受け入れた。発熱しているので、酷く熱い。 「……もうひとつたのんでいい? その……」 珍しく歯切れが悪い。 (-147) 2021/11/05(Fri) 17:38:15 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 勝利への渇望 御旗栄悠「ぬれてきもちわるいので、体拭いてきがえさせて欲しい……んだけど」 数秒の間。 「むりだよなぁ……」 (-149) 2021/11/05(Fri) 17:48:37 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「……そう」 こればっかりは分からないな、と僕は静かに思う。 今共感でもしてもらえれば、その喜びでも分かるのだろうか。 ────分かっても、やっぱり理解出来る気はしなかった。 「でも、分かるよ。 自分の異能が少し違ってたら、って。 そう思うこと、あるよね」 (-157) 2021/11/05(Fri) 19:40:11 |
【秘】 勝利への渇望 御旗栄悠 → 俺 シオン・グレイヴズ「…………………………」 難しい顔して葛藤。 やっぱり、難しい様子である。 「どれくらい自分でできるかにもよる。 着替え持ってくるくらいならしてやれるけどさ」 (-159) 2021/11/05(Fri) 19:56:32 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新