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【徒】 一年 黒沢誉別に興味が全くない聖人ではないし。 一人部屋でもなくて兄も妹もよくくっついてくるから、 できるだけその手の方向に考えを持っていかないように 抑えておく習性があるくらいだった。 「なんかゴネるとこありました?」 今だって表にはあまり出ない。 「そうすね。 学年別になるか消去法でこうなるかって感じだったし…… ……まあ大丈夫か」 一人明確に機嫌の悪かった先輩を思い返して、 ちょっと申し訳なくはなったが。 「飯すか。何食おうかな……」 メニューがわかりやすいやつならいいな、と思いながら 移動するならついていく。 (.1) 2021/08/16(Mon) 13:04:34 |
【徒】 一年 黒沢誉「いや……そもそもねえっしょ。俺に声かけるようなの」 大多数からは対象外と認識している。 言われなくてもたぶんそうなる。 「何かと甘いすからね、先輩ら……」 自分もだいぶ甘い。棚に上げている。 「あー。無難なもん選びがちっつか…… どこで食ってもハズレなさそうな……?」 選んだのはたぬきそば。 揚げ玉をのせたそばを想定して押したが、 関西圏だと別のものが出てくるとされています。 どこでも座れそうな食堂で、 向かいなり隣なりに陣取って食べ始める。 (.3) 2021/08/16(Mon) 16:01:22 |
【徒】 一年 黒沢誉「すんませんね。妹の横で虫除けしかしてなかったんで」 「…………。ちゃんと断りますけど。嫌だし」 わざわざ妬かせて喜ぶ趣味はない。素直。 そうして出てきたそばは微妙に見覚えのないタイプ。 『京風』を見落としたのかもしれない。 「? あんかけだあ……」 細かく切ったおあげと長ねぎが乗ったあんかけそば。 特に困らないので食べはする。 「特に聞いて……ねえすね。そういや。 現地解散じゃあねえと思ってたんすけど」 (.5) 2021/08/16(Mon) 17:35:47 |
【徒】 一年 黒沢誉「ねえすわ。 …………なんで想像して勝手に腹立ててんすか。 ねえっつってんのに……」 本当にないか、回りくどい言い方をされて 何が言いたいのか問い詰めて逃げられたとか。 わかっていないだけかもしれない。 「思ってたのと違えけど、ハズレじゃねえんでいいっす。 手元にねえとか? ……長風呂なんすかね」 (.7) 2021/08/16(Mon) 18:54:17 |
【徒】 一年 黒沢誉「何が……?」 恥ずかしがるポイントがわからなかった。 鈍感系後輩。 「どこのたぬきなんすかね。…………」 「……。 明らか様子変ならバレんじゃねえすか。 気まずくなりたかねえんで抑えて欲しいんすけど」 「そこそこしぶといつもりすけどね。 体力だけなら、まあ」 (.9) 2021/08/16(Mon) 19:28:07 |
【徒】 一年 黒沢誉「何……?」 主人公ではないが。 鈍いと言われたのはまあわからないでもない。 主人公ではないが…… ちょうどれんげであんをすくって口に入れかけたところで、 噴き出しかけてむせた。 「どこで何見てんだ……」 「……準備。いるんすか。めんどくせえなあ〜人体……」 れんげを置いてスマホを気軽に取り上げた。 下準備のあたりを無言で読んで、 「結構時間食いますね」 返す。 (.11) 2021/08/16(Mon) 20:05:59 |
【徒】 一年 黒沢誉「イチャイチャ」 「……まず想像できねえ……かな……」 そもそもこんな感じになることすら不明だったので。 機嫌良く女の子と並んで歩く図が想像できない。 返してから淡々と椀を空にし始める。 健啖ぶりは相変わらず。 「できねえってことはねえすわ。 揃えてもらってんならそれ使うんで。後で借ります」 「そんくらい先輩だって待てんでしょ?」 (.13) 2021/08/16(Mon) 21:34:10 |
【徒】 一年 黒沢誉「誰にでも声かける方じゃねえっしょ。 そうだったら……見境ねえなあ〜〜って思う」 妬くより呆れが勝つのはなんというか。 甘い。甘いのだ。 それで済ませられるくらい。 「ごっそさん。……今持ってねえすよね。 渡してもらったら」 「…………。済んだら部屋ァ行くんで」 トレイを持って返却口の方へさっさと歩いていく。 (.15) 2021/08/16(Mon) 22:09:03 |
【徒】 一年 黒沢誉「俺ァ怪我させてえ訳じゃねえんすよ。嫌だし」 「…………なんで持ち歩くんすか…………」 どこかに置いておくタイミングもないといえばない。 部屋へ置いてそうならなかった時に見られる心配もない。 ないが。 「どーも。……勢喜先輩でも緊張するんすね」 戻ってきて、特に表情を変えず受け取った。 ビニール袋のがさがさした音がやけに響く。 「じゃ。また後で」 (.17) 2021/08/16(Mon) 22:36:27 |
【神】 一年 黒沢誉そのへんのカプセル筐体を回していた、 限定ホウカくんピンズ(全8種)。 「変に出来いいのはなんなんだよ」 適当にジャージのポケットに突っ込んですたすた歩く。 館内探索かなにかを続けるのかも。 (G21) 2021/08/16(Mon) 23:15:17 |
【独】 一年 黒沢誉「落ち着く訳ゃねンだよな」 いくら飲んでも食っても冷めないし、 『そういうこと』への知識なんかほぼ皆無だ。 あんまり待たせても悪いから。 見た通りの準備くらいはちゃんとやるけど。 「…………」 (-5) 2021/08/16(Mon) 23:18:46 |
【独】 一年 黒沢誉「食う前に聞いといて さっさと準備した方がよかったんじゃねえのこれ」 基本的に効率を考える方。 わざわざ吐くまではしない。さすがに。 (-6) 2021/08/16(Mon) 23:27:53 |
【徒】 一年 黒沢誉三十分。一時間。 焦れて探しに行かずには済むくらい待たせて、 ようやくノックの音がする。 「先輩」 声変わりはとっくに終わっている。 抑えた小声でも響く。 (.19) 2021/08/16(Mon) 23:40:51 |
【徒】 一年 黒沢誉「疲れたっつーか、手間かかんだなあって感じすね。 まあ大丈夫すけど」 首にかけていたタオルは見当たらないし、 上まで閉めていたジャージは暑いのか開けっぱなしだ。 中に着たややいかつい和柄のTシャツが見えている。 「……広」 物珍しげに部屋を眺める。 修学旅行で泊まるような二段ベッドを想像していた。 (.21) 2021/08/16(Mon) 23:50:18 |
【徒】 一年 黒沢誉「爺ちゃんの趣味すわ。 そろそろ着る齢じゃねえからって主に俺に」 そこで頓着しないのも怖がられる要因ではある。 「へえ。……財布、わりと多めに持ってきたつもりすけど。 そんだけ安くなんならありがてえかな……」 敷かれたビニールシートの存在が目に留まった。 「…………殺人前の仕込み?」 ふと刑事ドラマ方面に考えが脱線した。 意味がわからない訳ではない。つい口をついた。 (.23) 2021/08/17(Tue) 0:06:15 |
【徒】 一年 黒沢誉「……や。どうなるかわかんねえか。 気ぃ使って困るこたねえ………… 想定されてそうな気もするんすけど。まあ」 敷かれた方のベッドへ何気なく座った。 「自分で買わねえんすよ。選べねえから。 先輩が選んでくれんならついてきますけど」 (.26) 2021/08/17(Tue) 0:41:43 |
【徒】 一年 黒沢誉「そりゃあもう、付き合うとかじゃなくて」 「…………」 「……言ったなあ。そういや。 いや……別に嘘じゃあねえし。本気すけど」 撫でられるのが好きだ。 小さく唸る。 「ちったあ加減して欲しいんすけどね。 べっつに……今日だけってこともねえんだし……」 待たせた間も下がらなかった体温はあつい。 (.30) 2021/08/17(Tue) 1:19:55 |
【徒】 一年 黒沢誉「く すぐってえ…………」 唸る。 握りしめた拳を解く。息を吐く。 この距離まで近付かれたら顔狙いで距離を取れ、も ナメた態度は潰せ、も喧嘩の頭だ。振り払う。 一番近いものに誤認するのは経験がないせいだ。 迷って、手をついて、代わりにシーツを握った。 少なくとも反応できない速度では手が出ないように。 「…………」 「ベッ……ドより先に、服。 どうにかした方が……よくねえすか。…………」 (.32) 2021/08/17(Tue) 1:50:58 |
【徒】 一年 黒沢誉我慢できるからこうなっている。 皮膚の薄いところを何度も触れられる不快感より くすぐったさが勝つ時点で、根本的に気を許してはいた。 「…………」 「着……替え、あんま、持ってきてねえんで……」 シャツはやや湿って重たく手にはりついてくる。 明言するらしい否定と違って肯定は回りくどい。 伝わるだろうと信用しているのかもしれないが。 (.34) 2021/08/17(Tue) 2:12:15 |
【徒】 一年 黒沢誉ぞわぞわする。 うまく拾えるほど感覚は育っていない。 「まだ。大丈夫、なんで」 少し考えて、裾を軽く引く。 服が伸びない程度。 「……先輩は?」 自分一人恥ずかしいから、というよりは。 当然汚れるんじゃないか、の心配が強い。 視線は見上げも見下ろしもせずまっすぐだ。 (.36) 2021/08/17(Tue) 3:20:12 |
【徒】 一年 黒沢誉「んん゛……」 「良かァねえなあ。ちったあ自制してもらわねえと」 腕が伸びる。 やや汗ばんだ硬い掌が頬に当てられ、そのまま上へ滑って 自分よりか長い髪をくしゃりと撫でた。 「怪我させたかねえんだって。跡なんか残ったらもったいねえし」 「な。先輩」 (.38) 2021/08/17(Tue) 11:58:09 |
【徒】 一年 黒沢誉「せっかく気に入ってんでしょ。その顔」 撫でる。まだ撫でる。 「ぅ゛」 口を塞がれると頭に置いたまま固まった。 抑えてこれかと言いたげなやや渋い顔。 息苦しさが勝てば振り払うところを、 手は爪も立てずにそのまま。 「…………」 (.41) 2021/08/17(Tue) 12:33:21 |
【徒】 一年 黒沢誉多少なりと息を整えて、 返事を考えたところでまた塞がれたので、 ぐ、と力を込めて引き剥がした。 「聞くなら待てよもう十秒くらい」 またべたべたと濡れている。 「この距離で見てて困んねえくらいには好きですけど。 ……文句ァねえでしょ」 よしとでも言うように、剥がしたまま抑えていた手を離した。 (.43) 2021/08/17(Tue) 13:17:12 |
【徒】 一年 黒沢誉「犬じゃねえんだから……」 一旦は受け止めてから、後ろに倒れ込んだ。 ぼふんとマットレスの柔らかい感触がする。 「重い」 自分の方が多少体重があったとしても、 同じくらいの人間にのしかかられれば重い。 試しにそうさせてみたのは自分だが。 「……着ててもこれじゃあダメなんじゃねえすか。先輩」 (.45) 2021/08/17(Tue) 14:02:03 |
【徒】 一年 黒沢誉困ったなあ、と思っている。 さんざっぱら撫でられて、機嫌そのものはずいぶんいい。 いつもより人を甘やかしてもいいくらいに上向きだった。 あんまりこのまま甘やかしてもよくないが、 あんまりしっかり抑えすぎても反動がまずそうだ。 だから、困ったなあ、と思っている。 困っているのだが。 今度はやけにふわふわしてくる。 元から我慢できる程度にしか苦しくもなかったけれども。 背中の方へ腕を回して、あやすように軽く叩く。 もうほとんど犬か子供にするようなことをしているので、 これでいいのかやっぱり困ってもいる。 (.47) 2021/08/17(Tue) 14:46:08 |
【徒】 一年 黒沢誉「……。そりゃ良かった」 ため息が深い。 「何が? ……いや、大丈夫なんじゃねえすか」 体力以上にやたらと精神的に疲れている気はするが、 目を瞑っていい範疇だ。 「勢喜先輩は?」 確認する必要もなさそうだが一応聞き返す。 好き勝手していた方が疲れるかどうか、 というのはよくわからない。 まだぽすぽすと背を叩いている。 (.50) 2021/08/17(Tue) 15:50:06 |
【徒】 一年 黒沢誉「ああそう……」 とうとう聞きもせずに脱がせにかかってきたので、 片方の膝を立てるようにして腰を浮かせた。 寝転んでいるままよりは楽におろせる、はずだ。 「ん」 (.52) 2021/08/17(Tue) 16:49:23 |
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