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【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ奇妙だった。 だって……普通、首に手を掛けられて。 こんなにも平静さを保っているやつなんて、居るだろうか。 リーパーは、そんなどこか常人離れしたあなたが怖い。 こんなことをして、尚受け入れようとしてくれるあなたが怖い。 怖いから、厭だ。厭だから、 「これから? 知る? どうやって?」 「オマエに明日なんて訪れない!」 「オマエはここで……死ぬんだよ!!」 ──殺す。 あなたの首を力の入らない手で絞めつける。 押し倒すように力を加え、そのままバルコニーに突進する。 もう刺殺じゃなくったっていい! こいつを黙らせたい!! さあ、あなたはこの状況をどうにかできるか? (-13) 2021/10/24(Sun) 10:17:37 |
【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ今のリーパーはめちゃくちゃだった。 何がいいのかどうしたいのか分からなくて、 どうにかされたくて、でも全部うまくできなくて! 怒ることしかできない。 暴走、その形容が正しい。 それは決して善なる行動ではない。罰されるべき所業だ。 でも、……何もかもを受け入れ、考察する、あなたなら。 もしかしたら。 そんな希望を、胸の奥で。身勝手に、秘めている。 (-14) 2021/10/24(Sun) 10:18:38 |
【人】 死神 ゲイザー>>4:72 ゾズマ 「だろ〜?」 ”同じ”。その言葉に上機嫌さの滲んだ声色で返した。 今にもハイタッチしそうなくらいだ。 パイを食べながらなので、実際には行わないのだが、 そしてその上機嫌さは、 あなたが気弱さを露呈させても変わらない。 一度殺しかけたのだが、見事に手のひらを返している。 あるいは喜怒哀楽が激しいといっても良い。 「……そうだよ。バケモノに人格ごと食わせたんだ! 因果応報だろ? ……でも、オマエは違う。 オマエはちゃんと覚えてる。ちゃんと大事にしてくれてる」 ……イマジナリーフレンド。 小さなころだけの、頭の中のお友達。 きっとそれは、いつかお別れしなければならない存在。 あなたが、ゾズマの仮面をかぶることをやめたように。 「そうだ! 意趣返しをしてやる。 なァオマエ、ゾズマだっけ? オレの友達になれよ!」 殺人鬼はにっかりと笑った。 (1) 2021/10/24(Sun) 10:33:30 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 死神 ゲイザー首にかけられた手に力が加わる。 背中をバルコニーのフェンスでしたたか打ち付けて、わたしは僅かに息を詰まらせた。 「っ……」 押し倒されるように、バルコニーから半ば身を乗り出すような形になりながら首を締められていたわたしだったけど、やっぱり何故か、不思議とこわいとは思わなかった。 懐かしい匂いがする。 わたしの手が、あなたの手に触れる。 この手にはいま、 ぬくもり が宿っている。きっと、とてもあたたかい。 そしてそれだけじゃなかった。 (-20) 2021/10/24(Sun) 11:53:55 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 死神 ゲイザー多くをあたためる 篝火 に。そう導かれたわたしは、そうなりたいと思ったから、その道筋を肯定した。 必要なのは、考えること。 ──ねえ、怒ってばかりは疲れるでしょう? それはわたしの常識で道徳だ。 でもあなただって本当はそうじゃないかと思った。 他者の気持ちを想像しろと白い鴉は言っていた。 だからわたしは、わたしの道徳であなたの気持ちを想像する。 「 こわがらないで 」締められる首で、掠れた声で私は言う。 わたしは聖女じゃない。 でも、許すことは誰にでもできる。 それが、わたしの道徳。 白い鴉に導かれ、賢者に1歩近づいた、わたしの道徳。 (-21) 2021/10/24(Sun) 11:54:29 |
【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラああ、ムカつくムカつくムカつく!!! 何でもかんでも知ったふうなあの顔が!! 怖がってなんて、…………、オレをコケにしているのか!? アイツはあんな顔をしたか? あの、腹を空かせて常に眉を下げていたアイツが! 何がアイツを変えた……!? 「怖がってなんか──ない!」 それを証明するためにリーパーは、 そのままあなたをバルコニーから突き落とそうとし── ずるりと、チャンドラを抱えたまま手摺から落下した。 ⇒ (-69) 2021/10/25(Mon) 1:04:04 |
【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ「……っ」 夜の風が真下から吹いてくる。 中庭に留まる名も知れぬ鳥が飛び立つ。 「ぁ……」 幾多の人間の命を手折った殺人鬼は その時、茫然としていた。 「(死──、)」 「(ぬ)」 (-70) 2021/10/25(Mon) 1:05:17 |
【人】 死神 ゲイザー>>27 ゾズマ 「もごッ」 手を握られて、少年は慌ててパイの欠片つきのフォークを咥える。 すこし行儀は悪い。 そのままぶんぶんとでも振られたのだろうか。 握る手に金属質の冷たさは無くて。暖かくて。 それはきっと善の一言で形容できるものではないだろう。 パイをもぐもぐと咀嚼しながら、飲み込んで。言葉を吐く。 「あー? ふたつも名前有んなんてややこしいな。 オレはリーパーだけど! じゃあ……ZosmaとAlice。 オマエの名前は”ザラ”だ!!」 それは、夜明けの意味を持つ名。 少年はふたりを粗雑な仕草で合体させ、 「ザラだザラ!」と連呼する。 それから、あなたにそのままハイタッチ。 「ああ。ただいまから、ザラとリーパーは友達になりました!」 (31) 2021/10/25(Mon) 1:20:51 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 死神 ゲイザー「────」 高いバルコニーの上。 わたしの足から地面の感覚がなくなった。 だけどわたしはやっぱりこわくなんてなかったわ。 (-75) 2021/10/25(Mon) 3:28:29 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 死神 ゲイザー何がわたしを変えたのか。 忠告の言葉。ビスケットの味。 あたためてくれた手。草原の思い出。 あなたの1番最初のお友達。 あなたにとって皮肉なことに。 同じ色 の声を持つあなたの協力者。そして、何より─── ──日が沈む。月が昇る。 待宵館に、夜がくる。 わたしたちの時間。 わたしたちは夜ならば、 何だって、できる 。 (-76) 2021/10/25(Mon) 3:29:03 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 死神 ゲイザーどんなに衝撃を覚悟しようとも、しなくとも。 あなたの身体は地面に叩きつけられることはない。 わたしがそうはさせないから。 きらきらと、月の灯りを纏いながら。 あなたの身体は重力を忘れる。 わたしがそうさせるから。 「こわがらないで」 わたしはあなたにもう一度告げる。 月の灯りを身に纏っては、あなたの手を取りながら。 ──空を飛んだこと。あなたはあったかしら? 蜂蜜色の髪が、大好きな、大好きな、夜風に揺れる。 (-77) 2021/10/25(Mon) 3:29:38 |
【神】 死神 ゲイザー──夜明け前。 キエにぽいと投げ出されたゲイザーは、 再び自身の器の中に戻っていた。 そうしてリーパーに気付かれぬよう息をひそめ、 虎視眈々と顔を出すタイミングを伺っていたのだ。 ゲイザーは。 自分たちが、これから神隠しに遭うことを予感していた。 悪夢が、終わる。 神隠し。それは精神と器の境界が暈け、 透明人間みたいに存在を亡くしてしまう館の魔法。 ゲイザーはキエにより、人格を摘出しまた戻すという 通常成し得ない所業を経験したおかげか── 神隠しされた今、 ゲイザーはゲイザー。リーパーはリーパー。 それぞれはそれぞれに分割され、個々の体を得ていた。 ⇒ (G0) 2021/10/25(Mon) 9:18:22 |
【神】 死神 ゲイザー「 クソがあああああああああああ!!!!! オレは報われなきゃならないのに! 」この世の不条理に反抗する権利が、オレにも有る筈だ! ゲイザーをそのまま男にしたような、垢ぬけない風貌の。 14にも満たない少年は。地面を踏み鳴らし、 苛立ちを幼稚に発散する。 「誰だ!? 誰がオレをやった!? あの吟遊詩人か!? そいつはあぶりだして殺す、 ハラワタ引き摺りだして凄惨に殺す、──」 そんな彼を、ゲイザーは見ていた。 自分を守ってくれた彼を、その為に暴走した彼を見ていた。 彼女はもう、決意している。 もう泣き虫じゃない。 きっと、ミズガネが、ユピテルが、 チャンドラが、キエが──変えてくれた。 この館での日々は、特別だった。 ⇒ (G1) 2021/10/25(Mon) 9:20:17 |
【神】 死神 ゲイザーゲイザーは暴れる小さな肩を、そっと抱く。 態度よりもうんとか細い肩だった。 「あたしの為に、ずっとずっと怒ってくれてありがとう」 「あたしを守ってくれて、ありがとう」 「テメェっ、ノロマ女!! 離せよ、気色わりィんだよ!!」 「それなのに、あたし忘れちゃった。 あなたを居ないものにしてしまった」 「何にも返せなくて、ごめんね」 「……今更…………ッッ! 黙って消えてろよ!! 申し訳なさそうなふりだけして、何にも寄越さねえ癖に!」 「うん。だから、だからね。あなたに対価をあげる」 「あたしをあげる」 ⇒ (G2) 2021/10/25(Mon) 9:23:21 |
【神】 死神 ゲイザー「ッ、…………」 「もう怒らなくても良いの。 身から湧き出る怒りのために、誰かを殺す必要もない」 「ねえ。あたし達、ひとつになろうよ」 ⇒ (G3) 2021/10/25(Mon) 9:24:04 |
【神】 死神 ゲイザー少女は焼きたての朝食──スターゲイジーパイをつつきながら、 目下の悩みについて考えていた。 今なら、ありありと思い出せる。 人の内臓を裂く感触、失われていく熱。 自分は、殺人鬼だった。 その自覚は無くても。 常識的に考えれば、死刑だ。 「(罪は償うべきよ。 だって、亡くなった人々が、あまりに報われないもの)」 「(……でも、そのどれもに自覚も由縁もないんだろ? いやァヤったのはそうなんだけどさ! でも死んで、それで良いわけ? 自覚もないまま?)」 夢から覚めるか、否か。 選択の時は近い。もろもろとパイを戴く。 ⇒ (G7) 2021/10/25(Mon) 9:35:01 |
【神】 死神 ゲイザー「うわっ、何だ何だ。すごい形相で、すごいパイ食べてる」 その時、ゲイザーは知らない男に声を掛けられた。 ミズガネのような恰好で、風来坊のような風体の金髪の男。 「君、ここの招待客?」 それから話は膨らんだ。二人は暫し歓談をして── 少女はあまりに悩んでいたから、 思わずぽろりと自らについて話してしまった。 すると男は、”ああ!”と呑気な声で返す。 「君もここで働いたらどうだい」 #ソロール了 (G8) 2021/10/25(Mon) 9:36:17 |
【鳴】 死神 ゲイザー「わ、わぁわぁわぁわぁ!」 ゲイザーは思わず声を あの、頭がわななくような不思議な感覚。 共鳴による力。──久々だった。ミズガネの声だ。 「……ミズガネさん……っ! ごめんなさい、あたし、あなたを──」 首を振る。まずは質問に答えよう。 「あ、あたしですっ。ゲイザーもリーパーも、ここにいますっ。 あたしたち、ひとつになったんです!」 (=1) 2021/10/25(Mon) 9:39:11 |
【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ「(ああ、終わる)」 「(こんなにも、呆気なく)」 「(馬鹿げた生涯は──……)」 「……──?」 逆さまの地面に見えたのは、 チープな灯りで彩られた造り物の空──ではなく。 正真正銘の夜空だ。 リーパーのの視界が一回転する。 畏ろしいほどに大きな、まんまるの月がカットインする。 同じいろの光が散らされたあなたの瞳が、リーパーを見ていた。 「……っ、空? 飛んでるッ……?」 リーパーは少女の身ならぬ膂力を持つけれど、 魔法なんか使えない。それはおとぎ話の中にあるもので。⇒ (-89) 2021/10/25(Mon) 21:45:21 |
【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ……ならばきっと、今。少年は、おとぎの国に居た。 あなたと空を泳いでいる。 夜を舞い、滑って、 いつかゲイザーが焦がれたワルツを踊るように。 (-90) 2021/10/25(Mon) 21:46:00 |
【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラいつも興奮状態にあるリーパーは、 混乱すれば、一周まわってひどく冷静になっていた。 空を飛ぶだなんて。 これじゃ、敗走することもできやしない。 夜の匂いがする。 「……なんで……、」 「なんで助けてるんだよ」 「オマエを殺そうとしたオレなんかを……」 (-91) 2021/10/25(Mon) 21:46:56 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 死神 ゲイザー「………ふふっ」 驚くあなたの声を聞いたわたしは笑っている。 ──空を飛んだこと、なかったわね。 やっぱり普通はそんなに経験しないことなのかも。 昼の民はみんな、昼は空を飛んでいるのかもなんて思ったこともあったのだけれど。 箱入りの、そんな考えを改めたわたしは、今もあなたの手を引いている。 それなら少し、お散歩しましょう。 せっかくだもの。ふたりで夜空を踊りましょう。 (-96) 2021/10/25(Mon) 22:38:19 |
【鳴】 死神 ゲイザー「ハッ! オマエのはらわた、 死人みたいに冷たくて……もごごご」 「す、すみませんっ!! まだうまく、 お互いの人格が馴染んでいないみたいです」 喧嘩はしているようだけれど。 なんとかうまくやっていけてるのは、きっと伝わるだろう。 これで大団円のハッピーエンドという程、 話は簡単では無いのだけれど。 何せ、元・殺人鬼だ。 ⇒ (=3) 2021/10/25(Mon) 22:38:32 |
【秘】 夜の一族 チャンドラ → 死神 ゲイザー結果としてそれは、あなたの敗走を遅らせる要因になるのかもしれない。 でもわたしはそんなこと、知らないもの。 だからもう少し、星と月の照らす夜を滑る。 「……なんで?」 その言葉にわたしはまたくすりと笑う。 そう、殺そうとしたわね。 でもだからって見殺しにするものでもないでしょう? それに──── (-97) 2021/10/25(Mon) 22:39:13 |
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