医者 ノーヴァは、メモを貼った。 (a5) 2022/11/07(Mon) 16:44:27 |
【秘】 住職 チグサ → 医者 ノーヴァ(……さぁ。邪魔な婆さんと思われているお方も多いですよ。 必要以上に私のことを大切に思ってしまうのは、私自身です。) [聞こえた言葉に、返事をする元気まではありませんでした。>>0:95 誰もが、「我」という存在をこの世界で最も尊いと信じている。 誰もがその病から逃れることはできない。 私もまた。 私が捨てきれないもの。大切に思っているものは何でしょうか。 慈厳寺 の歴史や威厳が、私を大きく見せてくれる 。お弟子さん達 を育てたという傲慢な自負 。ご本尊様 を私の代で途絶えさせる羞恥 。老いの果てに、私自身の智慧が喪われ、耄碌してしまうこと。 私には、御大層に抱え込んだものが多すぎる。 ほうげじゃく 放下着。そんな下らぬ自我は全て、放り捨ててしまえ。 全ての執着を捨て去ることが、私の最期の修行なのでしょう。] (-6) 2022/11/07(Mon) 21:14:47 |
医者 ノーヴァは、メモを貼った。 (a12) 2022/11/08(Tue) 2:32:54 |
医者 ノーヴァは、メモを貼った。 (a20) 2022/11/09(Wed) 4:06:53 |
【人】 医者 ノーヴァ「死にたいけれど、死ねないの。 私は彼らにとって大事な人なんだって」 [ひどい風邪を拗らせ入院した──自分と同じく尖った耳の、オッドアイの少女は自嘲的にそう言った。 口や鼻、排泄孔──穴という穴から花を吐き出す彼女は、3ヶ月前にこの島に連れてこられた“標本”のひとつ。普段であれば水晶宮に留まらなければならない存在。 常日頃から蝶よ花よと大切に守られてきた異色の瞳は、輝きを失い濁っていた。] 「自由になりたい。」 [うまくここを抜け出せたらどこへ行きたい? なんとなく差し出した問いに、少女は明るく「海に入ってみたい」と答えた。 生まれつき虚弱で、ろくに外にも出してもらえない彼女の願いは、きっと叶わないだろう。 …………“今のまま”では。] (102) 2022/11/09(Wed) 22:59:15 |
【人】 医者 ノーヴァ 「先生はいいな。 自由にお外に行けるんだもの。 好きなものを食べられて、好きなものが着れて。」 「ただそれだけの事だよ。 少しばかりの自由を与えられているだけで、 全体的に見れば僕だって、不自由ばっかりだ」 「でも、立派な肩書きを持っているじゃない。 それも全部、かりそめだっていうことなの?」 「さあ、どうだろう。 君がもっと賢くなれば、視界がもっと広がれば、 わかることもあるかもしれない。」 [慈しむように、愛おしむように、研究者たちがそうするように。 そこに秘められた可能性を理解する。 そこに込められた欲望等を理解する。 ……彼女に傷一つつけないように、と釘を差した彼等の気持ちは大切にしなくてはならないから。 齢16の彼女の頬を細い指先で撫ぜた後、ゆっくり視線を重ねるように、額をぴったりと重ね合わせて─────、] (103) 2022/11/09(Wed) 22:59:57 |
【人】 医者 ノーヴァ 「 この島には、大切なものと 大切にするものしかいない。 “標本” ……僕は君と同類のようなものだからね。 」 ( 君の望むように扱ってあげられる。 ……だから、安心してお 眠 りなさい。 ) (104) 2022/11/09(Wed) 23:00:40 |
【人】 医者 ノーヴァ [数日後、少女は心臓麻痺で息を引き取った。 「ただの風邪ではなかったのか?」 「今後の研究はどうなる!」 「資産が…研究費用が…」 「何もかも終わりだ…」 「上になんと言えば、」 行き場を無くした怒りは、 やがては無意味な絶望となる。 大切なものを無くした水晶宮の担当職員は 身体の螺子が外れたように震え、呆然としていた。 その瞳には何も映さず、感情も消えている。] [予想外のアクシデントに見舞われた、 大切な患者を救うことができなかった。 そんな悲痛な表情を必死に装い続けながら、 かりそめの謝罪で頭を下げたその瞬間。 ───目が、瞳孔が、頭の中が勢いよく開かれるような、 そんな奇妙な快感を抱く。] (105) 2022/11/09(Wed) 23:00:55 |
【人】 医者 ノーヴァ[彼女の哀れみなんかより、 解放させた充足感より、 その力の抜けた表情が、冷や汗で濡れた額が、 何よりも興味深く、愛おしいものに見えたから。 悲観にくれて顔を覆う振りをして、指の隙間から覗き見る。] きっと最初から狂っていた 「 僕は間違っていなかった!! 」 [人生ではじめてのヴァンダリズムは、まるで麻薬のように。 ひた隠しにした己の歪んだかんばせには、まるで道化師の化粧を施したような、不格好で美しい刻印が浮かび上がっていた。] (106) 2022/11/09(Wed) 23:01:10 |
【人】 医者 ノーヴァ[魔人の中には、最大限迄力を発揮した時、激しい感情を抱いた瞬間、顔に特定の刻印が刻まれることがある。 代々医療に役立つ自身の血脈が病院長としてこの島に“収納”されていたのも、その美しさ故だったのかもしれない。 母が異常に“破壊行為”を厳しく躾けようとしたのも、ただやんちゃなだけの息子には縁のなさそうな異常者の話をしたのも……或いは────…… 嗤っているのに、頬に描かれた涙の印は興奮の裏に隠された悲哀だったのかのか、今はもうわからない。 再び学者たちの前に現れた時には、そのかんばせからは何もかも消え去っていたから。*] (107) 2022/11/09(Wed) 23:01:27 |
【人】 医者 ノーヴァ ───現在・路上─── [それは、まるで静寂に忍び寄る病魔のようだった。 普段から薬剤を嗅ぎ分けていた医師の鼻孔は、澄んだ空気の場所には似合わぬ腐臭を確かに感じ取る。 腐った卵のような、誰かが嘔吐したような、はたまた■臭を詰め込んだような────、 人一倍敏感な感覚器官は、慣れないそれに対応出来ずに麻痺を起こす。激しい眩暈に襲われて、思わず眉間を押さえて下を向いた。 思わず沈みそうな意識をどうにか繋げば、軽い足取りは水を含んだみたいに重くなる。様々な感情が噴き出て、表現すべき言葉が分らなくなった。 ────きっと、背後から声がかからなければ、その場で倒れていたかもしれない。] (115) 2022/11/09(Wed) 23:58:22 |
【人】 医者 ノーヴァ 「 …………ッ !先生ッ! 」 [はっと我に返って顔を上げれば、退勤した筈のジェインが息を切らして駆けよってくるのが見えた。 彼女の自宅は此処より南の方角のせいか、異常事態には未だ気づいていなかったのかもしれない。 「夫が……彼と連絡がつかなくて。 周りの様子も異常に静かでなんだか変で。 北の方で煙が見えて……なんだか、おかしいです! 私、不安で不安で仕方なくって……」 身重なりに外の世界を確認しようとしたのは看護助手としての使命感だったのだろうか。落ち着かなそうに片手はひっきりなしに膨らんだ腹を摩っている。 漸く知り合いを見つけたというのに、男の様子は呆然としていてなんだか身が引き締まっていなかったから。「先生?」と彼女はもう一度呼びかける。一定の距離を保ったまま。] (116) 2022/11/09(Wed) 23:58:29 |
【人】 医者 ノーヴァ─────噫、 ごめんごめん。寝不足で。 然し、それは本当かい? 怪我人が出ていないか心配になるな………… [呼びかけに応じるように目の焦点が戻ってこれば、その声色は“いつも通り”の穏やかな響きを帯びていた。 眼鏡の奥底に見える瞳は焦燥感が浮かんでおり、状況を飲み込めていない一般市民のようにも見えた。 困り眉の儘、ジェインは安心したかのように小さな笑みを取り戻す。] 「……もう!しっかりしてくださいよ! ただでさえおかしい状況なのに、 先生迄おかしくなったら大変ですよ!」 あはは……ごめんごめん。 一緒に様子を見に行かなくちゃね。 でもその身体じゃ遠くまで歩くのは大変だろう? 僕が支えてあげよう。さあ、此方に。 [妊婦を気遣い、手を差し伸べる。 その誘導も、自然な動作も、全てにおいて“彼らしく”“違和感がない”。何より精神が弱く、守るべき我が子を抱えた女にとって孤独から救ってくれるような存在のようにも見えたから。 呆気なく警戒心を解いた女は言われるがままに男のプライベート・ゾーンに入り込み────、] (117) 2022/11/09(Wed) 23:58:44 |
【人】 医者 ノーヴァ[湿った呻き声を上げて、彼女は身体をくの字に曲げる。膨らんだ腹には、男の左足の革靴がめり込んでいた。 ゆとりのあるマタニティウェアから足が離れれば、くっきりと残った靴底を目印にするように……今度は靴先を捻るように叩きつける。 肉の潰れるような音と共に、吐血した彼女は倒れ込む。痙攣しながらやっとの思いで掌を子宮に添えた時、宿った命を失ったことを理解する。徐々に光の消えていく視界、朦朧とする意識。 「 ………ぁ、う、 どうして 、 せんせ、 」 鉄の味しかしない舌先は、答えをもらえない問いを繰り返すばかり。 見える世界がフェードアウトする直前、蔓延り始めた腐敗臭と優しく微笑んだ彼の顔。美しく刻まれた刻印を、彼女は初めて認めたのだ。 それは、普段通りのようで明らかにおかしい。 酷くアンバランスな構図の絵画を眺めるような 不安感さえ覚える美しさだった。 ぐじゅ 、と響いた三発目。それから先のことはm] (119) 2022/11/09(Wed) 23:58:49 |
【人】 医者 ノーヴァ[足を再び上げれば、動かなくなった看護助手の腕をそっと引き上げる。意識はないが、呼吸はしていることを確認した。 今度はこちらが安堵したように息を吐く。 医者は命を守るべき存在なのだと知っているから。] ……大丈夫かい?もう歩けないか。 おぶってあげよう。なに、安心するといい。 ちゃんと治してあげるからね。 [心の底から心配するような声色を滲ませ、懐から薬剤の入った注射針を取り出し脈に刺す。 アキネトン注射液。許容量を上回ったそれは、副作用に記憶障害を引き起こす代物だ。 大切なものを忘れてしまえば、それはもう治したも同然だと思うのだけれど。 “治療”が終われば今度こそ彼女を背中に抱いて、ゆっくりと市街地に向って歩き出す。] [よく口が回り、小言の多い女だが、 いうことは決して間違ってなどいなかった。 これは恨みなどから来る行為ではない。 彼女の違う顔を見てみたい。 絶望に満ちた歪んだ顔は、 予想以上に美しく、甘美で愛おしかった。] (120) 2022/11/09(Wed) 23:58:52 |
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