【人】 囚われ セト[ そんな国に対して、国交と和平を望む べきだと進言した己の意見など、 壮大なこの国の前ではただの平和惚けした 戯言と一笑に付されるものであっただろう。 まぁそもそもそれ以前に、 甘ちゃんな王子の綺麗事など、 利権に目が眩んだ父や幹部のものたちに 捻り潰され表に出なかったのだけれど。 ] (70) 2021/04/15(Thu) 16:32:11 |
【人】 囚われ セト[ そんな賑やかな街の喧騒とは 切り離されたようにここはしんと静か。 己の呼吸音が聞こえる。 地下室がある屋敷など珍しくもない。 ワインや食料の貯蔵に利用するだけに 飽き足らず、犬まで飼うのだから この屋敷の主は強欲なものだ。 一応血統書のついた雄犬、 媚びも諂いもしないが どうやらいたくお気に入りのよう。 物理的な暴力にも、 死刑になるような行為にも、慣れた。 いつか殺してやる変態豚野郎、と投げ付けて おまけに頬に唾を吐きかけてやった時の 主の顔といったら、 自尊心を保つには充分すぎるほど。 ] (71) 2021/04/15(Thu) 16:33:56 |
【人】 囚われ セト[ 忠犬に与えられた褒美は楽しそうな 折檻 。さっさと殺せば良いのに、 新たな犬を手に入れることもなかなか困難に なってきている昨今、好みの見目の者を 探しあてる手間を考えれば 生かさず殺さず飼い続けることを選ぶのは 合点がいく。 身体のあちこちから上がる痛みの訴えを 無視して目を閉じる。 外を歩く者達の足音でも聞こえれば良いのに、 と、静かすぎて鳴る耳に僅か眉を顰めて思う。] (72) 2021/04/15(Thu) 16:35:37 |
【人】 囚われ セト[ 四肢を投げ出して、伏せた瞼の裏は闇。 薄くなった肉の下、骨が床板にごつごつと 当たるが、体勢を変えるどころか 指を動かすことも億劫で、 ぐ、と奥歯を噛みこんで眠ろうとした。 想いを馳せるはずの祖国の風を、 もう己はすぐには思い出せない。 近しい人の顔も、愛しい者の笑む表情も。 ] (125) 2021/04/16(Fri) 15:15:50 |
【人】 囚われ セト……、 ? [ 張り詰めて剥き出しの神経が、 髪の一本ほどの違和感を捉える。 瞼を持ち上げるのにも苦労して、 くっついてしまったような睫毛を震わせた。 見上げるのは、変わらず無機質な天井。 窓がない、ここには昼も夜もない。 晴れも、雨も、ここには無い。 ─── けれどたしかに鼻腔の粘膜を擽る、 甘い匂い。 それは花のような、柔らかな空気。 ] (126) 2021/04/16(Fri) 15:17:27 |
囚われ セトは、メモを貼った。 (a21) 2021/04/16(Fri) 15:35:59 |
【人】 囚われ セトなにか、御用ですか。 あなたのような方がいらっしゃるところではない。 美しく揺れるドレスに、 醜悪な臭いが付く前に お戻りになられますよう。 [ 視線を外したまま、頭を下げて。 ]* (157) 2021/04/16(Fri) 20:38:06 |
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