【人】 世界の中心 アーサー[ エスコートと言ったって、淑女の其れさえ慣れない身。 真白までの道筋を辿ったかと思えば、 手持ち無沙汰に すとん と 重力に添う。] ──僕だって“ふつう”を知らないよ。 夢デートならそれでも良いかな。 体力だって、保つだろうし。 (160) 2020/05/25(Mon) 20:48:01 |
【人】 世界の中心 アーサー* [ そうだ、この赤ワインは不味い。 改めて口を付け、まじまじとグラスを眺めている。 味が分かっているのか、の確かめか、 どうせ味などわかっていないだろう、なのか、 あの執事の仕掛けたことに違いなかった。 普段なら香りで気付いていそうな其れでもあった。 承知しない。] (161) 2020/05/25(Mon) 20:50:26 |
【人】 世界の中心 アーサー[ なにより、はじめてのひとくちがこれになってしまった、 “経験”そのものがゆるせなかった。 今度は最高に美味い奴を用意させてやる。 ──味がわかるようになった、そのことより、 別のことが気になっているのだから、 噂も立とうもの。] (162) 2020/05/25(Mon) 20:50:57 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 1人用のソファに沈み、 オットマンに両脚を投げ出して。 そりゃあ気が抜けている。 この数日無かったような光景だ。 不機嫌って事はなくても、 ワイングラスばかりを幾分か険しく見つめ、 木製のスツールに置いてしまった。椅子だというのに。] (163) 2020/05/25(Mon) 20:51:24 |
【人】 世界の中心 アーサー[ この男は、酒に強い。 …無様を嫌う性質、というのも あれど、 リドルの家系が、そうさせている。 どれだけの深酒をしたところで、 ゆめから逃げることはできない。 ──そういうことだろう。 ふわふわした声だって、 ほんのすこしの赤色で起こったものだと、 すぐには気付くこともなく。 それでもごく、普通に 頁を手繰る指を認めている。] (164) 2020/05/25(Mon) 20:51:54 |
【人】 世界の中心 アーサー[ へびのよにのたうつ文字に、再びの苦笑。 本当に読ませるための字じゃあない。 己のものであるからわかるような、そんなものだ。 ──読み上げるような、ものでもなかった。 誰かへの 怨嗟みたいなものだ。 “だれか”への。] (166) 2020/05/25(Mon) 20:52:44 |
【人】 世界の中心 アーサー僕は君を送り出すだけで、 君を守る事は できないからね。 ──危なくないだろう、って ある程度確信のある案件だけ頼んでるんだけど ほら、時々 読み違えるから。 (167) 2020/05/25(Mon) 20:53:05 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 酔わない、とは言え。 多少ばかり舌の周りが良いのは否めない。 未来視のうらがわを、ほんの少し語りつつ 赤の代わりに、薔薇の香る透明色を、 なめた。] (168) 2020/05/25(Mon) 20:53:49 |
【人】 世界の中心 アーサー[ ──嗚呼、きっと、 誰よりも“大事”にしていると、 そんな自負があったとしても。 この男はこの屋敷から出る事はないし、 探しに行く事だってないんだろう。 自分のせい、で さえ、 有っても。] (209) 2020/05/25(Mon) 22:41:18 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 唯 ひとつだけ。自負ではない自信がある。 ──そのときこそ 彼女のゆめを、 ことわりなんてなく、占拠している。] (210) 2020/05/25(Mon) 22:42:44 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 帰ってこいなんて言わない。 きっと 見つめるばかりの、居心地の悪いゆめだ。 どこかの男の陰険さを表すみたいに。 ……そんなときだって、笑っていたら良い。]. (211) 2020/05/25(Mon) 22:43:37 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 冷たく聞こえていたら、それでいいと思う。 それこそ、男の中では割り切り、と言えるのか。 抱え込んだ理由なんて、未だ分かっちゃいないし、 誰にも説明できやしない、“偶々”の 何かだ。 ひとつの 鉄砲玉のよに、使い切る気にならないだけで。 有象無象の だれか みたく、 死んでいく未来を 見たくないだけの話、 で。] (213) 2020/05/25(Mon) 22:44:49 |
【教】 世界の中心 アーサー( ──よく わからない。 執着なんだろうか。 “死にたくない”という、己の欲さえ 理由もわからずしがみ付いている。 ) (/9) 2020/05/25(Mon) 22:46:13 |
【人】 世界の中心 アーサー* [ 結局、寝たのだったか。 まあるく、真白の真ん中に沈んだ彼女を 動かす気にもならず、 ソファに背中を沈めてしまったまま、 その横顔を眺めていた。 いつのまにか、カーテンの向こうは明るく、 使用人の動き出した気配もある。 すこしくらい意識が飛んでいたのでは無いか とは 記憶のないうち、思うけれど。] (214) 2020/05/25(Mon) 22:47:08 |
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