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【人】 神社の娘 カグラ一体何処に行ってしまったのかしら…… [杖を握る手に力が籠る。 年始と同様に人の出入りが増える今日は 頼りにしている耳が役立たずとなってしまう。] あのう、其処な人…… もし良かったら 助けて下さらないかしら……? [もう暫くすれば祭りが始まる時刻。 縁日の準備に忙しい人々の手を 借りるのが難しいことは心得ていた。 それでも、何度断られようとも、 目が不自由な娘は 手当たり次第に声を掛けるのだった。*] (1) 2024/04/01(Mon) 17:17:11 |
【人】 男装 時雨[ 僕には生まれつき、頬に花のような痣がある。 それはあやかしのめじるしだ、と 村のオオババ様がおっしゃったそうだ。 すぐに娘を山奥へ捨ててこい。 痣を目印に、妖どもが村へと入り込んでくるのだと。] (6) 2024/04/02(Tue) 1:51:44 |
【人】 男装 時雨[ 母は言う通りにした。 山には入った。一度は山奥の誰もいない社に 子供を一度置いてきた。 けれど、捨てることは出来なかった。 だから。 (7) 2024/04/02(Tue) 1:53:16 |
【人】 男装 時雨『 小夜 』は捨ててきた。 ここに居るのは『 時雨 』だけだと。 双子で産まれてきたことを良い事に 二人の人間を、1人のニンゲンとして育てることを 母は決めたのだ。 (8) 2024/04/02(Tue) 1:53:41 |
【人】 男装 時雨[ 僕と弟は、ふたりとも『時雨』として生きていた。 顔はよく似ていた。 違うのは、僕には痣があること。 外へ出るのはどちらか片方だけ、 入れ替わりながら外へ出る。 痣は化粧でうまく隠した。 ] (9) 2024/04/02(Tue) 1:57:30 |
【人】 男装 時雨[ 苦しくも弟は体があまり丈夫ではなく 外出するのは僕であるほうが多かった。 双子は本当に、よく似ていた。 けれど月日は確実に双子を別のものに変えていく。 弟は声が低くなり、背も少し高くなった。 姉の体は少しずつ丸みをおびてゆく。 ごまかしがきかなくなるのも、 もう時間の問題だろう。 ] (10) 2024/04/02(Tue) 1:59:09 |
【人】 男装 時雨[ 今日はお祭りの日。 僕にとっては最後の外出かもしれない。 お祭りの日は別の村や集落からも人が来る。 村のニンゲンに交じって知らない者がいたって きっとなんにも 変ではないはずだ だから。] (12) 2024/04/02(Tue) 2:02:21 |
【人】 時雨[ ――― 化粧で痣は隠した。 最後くらい 僕は僕として外に出てみたい。 誰とも話さなければいい。 一回りして、弟への土産を買って いつもとおなじ 僕はまた『時雨』になる。 それでいい。 窮屈に締め付けていた胸のさらしを取り払えば だれもきっと 僕が時雨であることは わからない ] (13) 2024/04/02(Tue) 2:11:03 |
【人】 時雨どうかされましたか? 僕でよければ、あなたの力になれますか? [ ――目が見えないのだろうか。 いきなり触れては驚かせてしまうかもしれない。 ずっと弟の真似をして生きていた。 声の出し方も低めの音が通常になった。 だからできるだけ、話す声色だけは 優し気に聞こえるように。 ――話しかけちゃいけない、でも ほっては おけないよ ]** (16) 2024/04/02(Tue) 2:26:01 |
【人】 神社の娘 カグラ[娘は鳥居の下に捨てられていた。 盲は子に感染るとされ嫁ぎ先が見つかるものではなく 田畑を碌に手伝えもせぬ穀潰しともなれば詮無いこと。 それでも──あの子よりはずっと良い。 娘は村の中で拾って貰えた。 実の子のように育てて貰えた。 食べるものにも着るものにも困らぬ。 手伝いがあれば好きに出歩くことだって叶う。 神主である父すら頭が上がらぬ オオババ様の言いつけで 山奥に捨てられてしまったあの子より、ずっと良い。] (17) 2024/04/02(Tue) 19:20:38 |
【人】 神社の娘 カグラ……お願い、しますね [朝からずっと声を掛けていた人々は、 はぁ、見つけたら教えますよ、などと 答えてはくれるものの、 探しに行ってくれる気配は一つとてなく、 娘もそれ以上は言えなかった。 仕方がない。 今日は大切なけもの祭りの日だもの。 神様と縁を深めることの方が大切だわ。 仕方がない。 神社の娘とはいえ、 元が捨て子だったことはみんな知っている。 蔑ろにしたって罰は当たらないわ。] (18) 2024/04/02(Tue) 19:20:59 |
【人】 神社の娘 カグラ[──そう何度となく自分を納得させていたが。 はじめてきちんと立ち止まって 応じてくれるひとがいた。] あの……っ これ位ちいさな白い犬……コマっていうの 見えない私の目の代わりになってくれる 大切な家族なんですけれども 今朝戸の隙間から飛び出して行ったきり 戻ってきていないんです そう遠くへは行ってないと思うんだけれど とっても臆病な子だから、知らない人が沢山いると 驚いて逃げ隠れようとしてしまう性質で…… いまもきっとどこかで怯えているわ…… [僕、というと男性だろうか。 娘は不要な情報まで話してしまった気がしたが 彼の声がそうさせてくれたように感じていた。 透明で落ち着いた、優しい声。] (19) 2024/04/02(Tue) 19:22:24 |
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