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【人】 春山宮 霞[花枝はとうしただろう。 手を取るかどうか…ともかく、来てくれるなら歩きだす。 離れの渡り廊下を本館に向けて戻り、玄関から外に出よう。 相変わらず雪は降り続いていて、空は完全に白一色だ。 小さな街並みの中央には川が流れ、少し遠くの岩場からは湯気が立ち上っている。] あちらの方に、天然の露天風呂が大量にあるんですよ。 中には宿で管理している貸切のところも。 木の足場をずっと渡っていくと奥に洞穴があって、 そこが一番の見所なのですが… (1) 2023/12/23(Sat) 13:01:44 |
【人】 春山宮 霞[歩きながら、花枝の方に視線を向ける。] 案内とはいえ、私ばかり話していてもいけないですよね。 お姉さんの話、聞かせてくれませんか。 いえ、なんでも。 仕事とか住んでいる場所のこととか、家族とか。 そういう事を聞きたいな、と。 [下駄を鳴らしつつ、問いかける*] (2) 2023/12/23(Sat) 13:04:24 |
【人】 看護婦 清水 花枝「ええ、火鉢って思ってるより暖かいのね。 お布団もフカフカでぐっすり眠れたわ。」 かみさま。 そう思うと緊張してしまいそうになるから、私はあくまで 霞くん として、同年代少し年下の男の子と接するようにしてみる。>>0:56それは、名前ではなくて"お姉さん"と呼んでくる霞くんの呼び方にも起因していた。 そちらの方が彼もやりやすいんじゃ無いかしら、なんて。 もしかしたらかみさまなりの気遣いかもしれないから、敬意だけは忘れないようにするけどね。 >>0:57言われたように少し分厚い羽織に袖を通して外に出る。足元は履き慣れないけれど足袋と草履。外に出るなら足先を守る履き物が良いかもしれないけれど、今借りているのはこれだけだ。 ──もっと言えば下着も腰巻きだったからちょっと下半身が心許ない。後で布を頂けたら針と糸を借りて簡易的な下着を作ろうと思う。胸は諦めるにしても、ショーツもないのは心許ないにも程があるから。 差し出された手に一瞬戸惑い目を瞬かせた。 けど、そっとその手を取る。 あくまで緩く、振り払えば外されてしまうくらいに柔い力なのは、それなりに異性と手を繋ぐことに抵抗があったからだ。 (3) 2023/12/24(Sun) 9:59:36 |
【人】 看護婦 清水 花枝抵抗というより、照れと言ったほうが正確だけど。 「貸切の温泉、…家族風呂みたいなもの? 露天風呂も風情があって良いわね。 あ、お猿さんが入ってたりもするのかしら?」 人間の姿が少ないけれど、野生の動物は共存しているのだろうか。 雪国では有名なあの光景を思い出してつい口にする。 洞穴の方へと視線を向けた。 一番の見どころ。それなら、機会があれば帰る前に見てみるのも良いかもしれない。 (4) 2023/12/24(Sun) 9:59:52 |
【人】 看護婦 清水 花枝「見所…、洞穴の中に何があるの?」 この周囲を歩くだけでもかなり幻想的に思えるのに。 雪に包まれ、人里離れた田舎よりもさらにシンと静まりかえる空気は冷涼さも伴って静謐さすら感じさせる。 雪は全てを覆い隠してくれる。良いことも悪いことも全て。そんな物語の一節を思い出していたけれど…。 問われた事に少し俯いた。 繋いだその手に少しだけ力を込める。 (5) 2023/12/24(Sun) 10:00:07 |
【人】 看護婦 清水 花枝「来るときに着ていた制服の通り… と言っても、こちらでは一般的ではないのかしら。 看護師として働き始めて一年目です。 家族はいません。だいぶ前に、事故で。 田舎の小さな診療所で働いていて 来るのは高齢の方ばかりだけど のんびりして居心地の良い場所でしたね。 恋人もいないから、お見合い話されるのだけは ちょっと辟易してたけど…。」 うちの息子に、いやいやうちの息子にと。 若い看護婦は仕事上つらく当たるわけにもいかないから、その表面上の優しさや穏やかさ、献身さから田舎の高齢者のそう言った標的になり易いとは聞いたことがある。 それを思い出して少しだけ苦く笑った。 (6) 2023/12/24(Sun) 10:00:23 |
【人】 看護婦 清水 花枝「恋人や結婚とか、興味がないわけじゃないけど 今までは両親がいないのもあって 早く自立するためにと勉強を頑張ってきて 今はまだ仕事一辺倒…と思っていたけれど。 こうして、のんびりと空白の時間があると …他に何かしたい事があるかしら。 趣味もほとんど無かったなあ、なんて。 霞くんは、のんびりする時は何を?」 自分でも薄っぺらい人間だなあと思う。 でも叔父の家は居心地が悪くて、早く自立したくて。 ──叔父の舐めるような視線、いつ一線を越えられてしまうか肝を冷やしよく眠れなかった過去を思い出したくなくて、無理矢理に話を彼に振った。 だって、私の話は掘り下げればくだらないし本当に真面目に頑張るしか無かったから。 それよりは、彼は何を好きかのか聞きたかったけれど。 (7) 2023/12/24(Sun) 10:00:42 |
【人】 看護婦 清水 花枝「──あ。」 ふと。対価のことを思い出す。 矢張り私が話したほうが良いのかなと思い直して、けふん、と下手な咳払いをした。 (8) 2023/12/24(Sun) 10:01:05 |
【人】 看護婦 清水 花枝「最近は、のんびりするイコール寝るになるけど…。 昔は本を読むことも好きだったし 折り紙も好きだったのよ。 今は鶴と手裏剣と蓮の花しか折れないけど。」 本を読めば、作り方を教えて貰えば折れるけれど。 それ以外の作り方は忘れてしまったなあ、と眉を下げて笑った。 遠い遠い、子供の頃の記憶。 それはまだ両親が生きていた頃の。** (9) 2023/12/24(Sun) 10:01:21 |
【人】 春山宮 霞そうでしょう? あまり人の使う文明の利器はありませんが、 不自由を感じられることはないと思います。 後は、お姉さんにとって退屈でなければ良いんですが… [花枝さん、ではなくお姉さん、と呼ぶのは意図的だ。 その理由はさておき、こうして年下相手のように気をおかず話してくれる方がやりやすいのは確かだった。 足袋と草履に羽織姿、古風だがとても良く似合う。ごく緩やかに手を繋いでも伝わるのはその手の柔らかさだけ、痛みはない。 こちらからは少ししっかり握り返して外に出る。何か少し動きにぎこちなさを感じたから。…下着の代わりに腰巻きを付けているせいだとは気づかなかったけれど。] (10) 2023/12/24(Sun) 13:51:14 |
【人】 春山宮 霞ええ、貸切は気のおけない間柄だけで入る時に。 家族…ではどんなもんなんでしょうね。 確かに私にも家族はいたはずなんですが。 あ、猿は入りに来ますよ。現に、ほら。 [指さした向こう、湯気の中、露天の湯に浸かっている猿が数匹見えるだろう。街並みは時間が止まったように静かだ。町並みを巡り、その足は湯気の立ち込める露天の湯の方に下っていく。そのさらに先、桟道状の足場を歩いていった先の洞穴の中に向けて] なに、やっぱりそこも温泉ですよ。 ただ、露天風呂や昨日の湯殿よりも見応えがあるので。 大体、ここに来た客は一度は入っていくんです。 入る云々は別にして見てもらえたらな、と。 [そんな話の中、花枝が自分の話をしてくれるならじっと聞こう。繋いだ手に少し力がこもったら、瞬いてふとそちらを見た。] (11) 2023/12/24(Sun) 14:08:09 |
【人】 春山宮 霞看護婦…ですか。いや、わかります。 田舎の診療所とはいえ、一年目なら随分覚えることも多くて気は抜けないでしょうね。 恋人もなければ、年配者にそう言われることもあるんでしょうね。悪気はないのだと思いますが。 [その苦い笑い方からすると、ありがた迷惑という感じなのだろうか。しかし、それより気になったのはやはり家族がいないということ。] 事故、ですか。 いえ、すみません。…話したくないことは話さなくて構いませんから。 ……随分頑張ってきたんですね。 [どう返したものか、少しの間下駄の音だけを鳴らせてから、やがてそうとだけ呟いた。] (12) 2023/12/24(Sun) 14:19:01 |
【人】 春山宮 霞私の、のんびりする時ですか? [逆に聞かれて答えようとして、ふと詰まった。] そう言えば…用がない時は何してるんですかね、私。 ……はは。 …人の子がいうところの趣味とか、そういうものはないかもしれません。 お姉さんには想像しにくいかもしれませんが…何も無い、誰も見ていない、信仰され、願われない、そんな時の私達は 「ただ、そこに在るだけ」みたいなものなんでね。 名前すら間違って伝わっているくらいだし、いつか全く忘れ去られたら、その時は私も消えてしまうのかもしれませんが… あ、ああ大丈夫ですよ。そんなのはもしものことだし…あるとしてもずっと先ですから。 [と、気まずい話になったかというところで、花枝の咳払いもあり、話を止めた。] (13) 2023/12/24(Sun) 15:08:15 |
【人】 春山宮 霞本ですか。それはいいな、書いた人間がいなくなっても、書いたものは読みつがれていく。 お姉さんはどんな本を読むんですか。物語とか、実用的なものもあるでしょうが… 折り紙は、ずっと昔、社に飾られていましたね。 あれは鶴でしたけど、蓮花は知らないな。 紙を持ってきたら見せてくれますか? [などと話しつつ、湯煙の上る中の桟道を歩く傍ら、ふと何気なく] …お姉さんは何か願いとか叶えたいこととかあったりするんですか? [そんな事を尋ねてみた**] (14) 2023/12/24(Sun) 15:15:58 |
【秘】 看護婦 清水 花枝 → 春山宮 霞──あれは春、と言えば。 両親は信心深いとは言えないけれど社寺仏閣が好きな人で、近くの神社にはよく足を向けていたのだ。 手を合わせて、お詣りして。 千代紙で作った鶴を一緒に備えた記憶がある。 ある日。 両親とはぐれて一人泣いていた。 助けてくれたのは誰だっただろう。 それから三年も経たないうちに両親を亡くしてその神社に向かうことはなかったけれど。 優しい手が導いてくれた。 そんな気がしている。 (-0) 2023/12/24(Sun) 19:09:43 |
【人】 看護婦 清水 花枝「…いえ、確かに両親はいなかったし 養い親の叔父とは合わなかったけど それなりに生きてきましたからね。 それより、消えちゃうって。 そう言うのはどうかなあ…。 私が名前を覚えているだけでも 霞くんは信仰を得られるとか、ある?」 さて、それはそれでどうだろう? 神様は信仰をなくしたら力をなくすとはよく聞く話だけど、消えてしまうのは悲しい気がする。 何かの本にあったかな、霞と名のつく神様の話。 「まあ本は実用書?というか、勉強の本がメインで 救命とか感染症とかの本が多いかな…? 仕事に結びつきすぎだから 趣味、とも違うかもしれないけど。」 (17) 2023/12/24(Sun) 19:10:08 |
【人】 看護婦 清水 花枝今は、自分の趣味よりも彼の存在の方が気になってしまう。 >>14紙を持ってきたなら、との言葉にはもちろんと笑顔を見せたけれど。 鶴はさまざまな神社に飾られてる印象がある。 私の他にも飾った人がいたのだな、とどこかしんみりしながら。 唐突にも思えるその問いかけに瞬いた。 「…願いとか、叶えたい事? そう言えば従業員の方も言っていたけれど あんまりこれと言って…無いかもしれないわ。」 懸命に生きて。懸命に学んで働いて。 家ではこっそりと息を潜めて。 そんなふうに暮らしてきたから、生きるために学んで働いてきたから、夢らしい夢はなかったかもしれない。 看護師になったのは就職に強いからであって、立派な志があったわけじゃ無いし。 でも。 (18) 2023/12/24(Sun) 19:10:34 |
【人】 看護婦 清水 花枝うーん、と小さく唸って。 「平和に、幸せに、生きられたら良いかなあ…。 人並みに恋をして、結婚できたら さらに良いかもしれないけど…。」 ふ、と小さく吐いた息が白く染まる。 そして彼を見つめて小さく笑った。 「好きな人には。 私より先に逝ってほしく無いくらいかな。」** (19) 2023/12/24(Sun) 19:10:57 |
【人】 春山宮 霞そう…色々と頑張らなければいけなかった、というところですかね。 ここにいる間はゆっくりしていくと良いと思います。 本来は、人の子はそうそう来られる場所ではないですから。 [まあ、猿が普通にいるのは御愛嬌か。 とはいえ、あれもさる名のある神の使いみたいなものなのだ。 微笑ましく通り過ぎる。] 私は…想像通り藤の花の神です。 山に霞みたなびく春には藤の花を咲かせ、厄、病、魔の類から人を守る加護を与える。 まあ、最近は社も少なくなり…あまり信仰されることも少なくなりましたけど。 お姉さんが住んでいた辺りに確か一つ、後はまばらに。 祀っていた村も、多くは廃村になってしまいましたけれどね。 (20) 2023/12/24(Sun) 21:27:32 |
【人】 春山宮 霞すみません、消えるとか言ってしまっては…気になりますよね。 お姉さんが私の名前をずっと覚えてくれていたら、それは間違いなく信仰の一部ですよ。 こんな風にお話したいというのは、それも大きな理由です。 誰かに覚えてもらえているうちは、私も『在る』事ができますからね。 …まあでも、もう一つ…お姉さんのような人と話してみたかったのもあります。 今の人が何を考えて、どう生きているのか。 まあ、お姉さんのことをもっと知りたいってことですね。 [趣味のこともその一つだ。まあ、でもその辺りはお互いの興味のままに。後で折り紙を用意しておこうかな、と頭に留めておいた。] (21) 2023/12/24(Sun) 21:42:45 |
【人】 春山宮 霞あっ………。 [何とはなし、しばらくその顔を見つめてから] それはとてもいい願いですね。 うん、すごくいい。素敵です。 一生分続く願いだから、叶うまでには長い時間を見ないといけないでしょうが。 でも、お姉さんは素敵な人だから… うん、少しの力添えがあればきっと大丈夫ですよ。 私ならそのためにできること、あると思います。 [ふふ、とその名にある、春のような柔らかな笑みで笑った。] (23) 2023/12/24(Sun) 21:57:26 |
【人】 春山宮 霞[湯煙の上る桟道を歩いていくと、遠くに見えていた洞穴が近づいてくる。 近づいてみれば、見た目より随分大きい鍾乳洞のような地下へと続く洞窟とわかるだろう。 入口には鳥居のような朱塗りの柱が立ち、奥へと続く桟道の先は回廊のようになっていて、天井から下がる釣燈籠が奥への道を照らしている。] ここです。ここを降りていった奥の方が洞窟ごと露天風呂になってるんですよ。ここに来た客は大体必ず訪れるとっておきです。 行ってみますか? [話の傍ら、そう問いかけた*] (24) 2023/12/24(Sun) 22:04:56 |
【人】 看護婦 清水 花枝「藤の花の神…素敵。って、私の? じゃあ子供の頃お詣りした場所かもね。」 >>20今住んでいる場所の近くにもあるかもしれない。けど、小さな神社なら行った事がなく、あえて私の存在を知っているなら…なんて思った。 神様にとっては今の私も過去の私も似たり寄ったりに見えるのかもしれないからね。 もちろん今住んでる場所の近くにもあるかもしれない。 >>21それにしてももっと私のことを知りたいだなんて。 ちょっとドキッとしてまったわ。 男性から告白されたこともない私は、恋愛もした事がないからそう言う体制は薄い。やらしい目を受けての防御はできるけど。 だけどそうよね、私は人間。神様とは違う。 霞くんは人間を知りたいだけなんだと思うのよ。 >>23だから、私がせめてもの願いを口にするとそんなことを言うのね。 素敵な人だと言いながら、その願いは人間と叶えるべきだと。それはそうよね、確かにそう。 花のように綻ぶ笑顔にきゅんとしながら、ちくり、となにかが胸に刺さる。 でもそれは当然、当たり前のこと。 神様と人間だもの。──。 (25) 2023/12/24(Sun) 22:34:30 |
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