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【赤】 会社員 雷恩[物語には悲劇も存在する。 たとえば王子を助ける為にその身を犠牲にし 泡となった人魚姫。 彼女の死を持って閉じた物語の外で、 王子は別の女と結ばれる。 王子はきっと人魚姫の犠牲を悼んで苦しむことはない。 その死を美しいと称えるのは当事者ではない 外部の読者だけだ。 犠牲を払ってでも傍にいることを望んだのに 報われず死んだ彼女の人生は何だったのか。 死で終わる物語なんてくそくらえだという感覚は 幼い頃からある。] (*0) 2024/05/11(Sat) 1:14:35 |
【赤】 会社員 雷恩[そんな変わらない価値観もある中、 成長で変わった部分も勿論ある。 ルミと会った頃には知らなかった恋の味。 深い場所の体温。 別離の痛みと――それもいつか薄れるという経験。 過去だけを望むなら、身体を繋げようとするのは 矛盾している。 過去を持ったまま大人になっている自分だって 心のどこかで受け入れてもらえていると自惚れた。] (*1) 2024/05/11(Sat) 1:15:11 |
【赤】 会社員 雷恩[起き上がるには十分回復していたが、 急な姿勢の変化は少し眩暈を引き起こして 僅か顔を歪めた。 窘める声に「はは」と苦笑する。 まだ瞳が困っている。 冷静になって言葉の意味を反芻される前に顔を寄せ。] (*2) 2024/05/11(Sat) 1:17:14 |
【赤】 会社員 雷恩……未来も? はは、食いしん坊。 [同じおまじないが返ってくる。 昔の約束通り、大きくなった彼女が 嬉しそうに顔を綻ばせて。] 縛られて痛いって思ったら、それもルミが 食べてくれるんだろ? [あの頃よりも低くなった声が笑う。 脅すように向けられた執着を微塵も厭わない響きで。] (*3) 2024/05/11(Sat) 1:17:44 |
【赤】 会社員 雷恩……ところで、続き、する? [下肢は晒されたままだ。 摩擦がなくなり萎れたそこが纏っていた水分も乾くだけの 時間が経ったが。] 俺のことが好きでセックスしようとしてた割に、 最初は濡れてなかったけど。 本当は好きじゃない? [痛かっただろ、と強引に陰茎を飲み込んだ媚肉の傷を 確かめるように、背を支えた手で退路を断ちつつ 反対の手を下方に滑らせた。**] (*4) 2024/05/11(Sat) 1:18:44 |
【赤】 従業員 ルミ[ 覗き込んだ彼の顔が僅かに歪んでいたから、 尚のこと声には窘める色が増した。 そもそも元凶は自分が盛った薬なのだけれど。 過去を搦めとることを望みながら、 いま大人になった彼を体を繋げようとしたのは 目的だけを考えればおかしな話だ。 ──閉じ込めて脅して洗脳でもする方が確実なのに。 心が駄目なら体だけでも、なんて有名で陳腐なフレーズ。 結局わたしは、過去だけ欲しかったんじゃなくて 今の自分の恋すら叶えてしまいたかった。 ] (*5) 2024/05/11(Sat) 8:40:39 |
【赤】 従業員 ルミ……だって、そうでしょ ずっと傷を抉って、死ぬまで覚えててくれるなら 未来も一緒にいられるんでしょう? [ だから全部、わたしのものだ。 過去も今も未来も貴方の全てを食べてしまって、 毒に依存して一緒にいようよ。 二人で死の幕が閉じるまで。 ] うん! わたしが食べる! だからずっと痛がってね、お兄さん。 ────他の人で痛くなくなったりしないでね。 [ あの頃よりも低い声。 もっと聞きたい、と欲が顔を覗かせる。 ] (*6) 2024/05/11(Sat) 8:40:44 |
【赤】 従業員 ルミ────約束だから、ね。 [ 本当は誰かと飲みに行くのも許したくないし、 何だったら仕事を辞めて貰いたいくらいなのだが。 朝から働く一般的な社会人の彼と、 会社員の退勤後から働く自分のすれ違いを思えば。 幸いなことに客はたくさんついているし ここに住んでもらえば生活に不自由はさせない。 考えれば考える程名案のような気がしてきて、 思考を割いている間に。 「ところで」と変わった話題へ一瞬ついていけず ぱちぱちと目を瞬かせる。 ] (*7) 2024/05/11(Sat) 8:40:50 |
【赤】 従業員 ルミ続き? [ 実際に腕を切る実演でも…? などとあらぬ誤解をしそうになったけれども、 その意味はすぐに理解出来た。 ] す、好きだもん! 好き、大好き、 嘘じゃない……ッ [ 本当は好きじゃない?という言葉に首を横へ振り、 縋りつくように彼の服を握り締める。 とんでもないあらぬ誤解だ。 女は好きな人とセックスさえ出来れば 無条件に興奮して濡れるタイプの性格ではない。 それ以前に、 ] (*8) 2024/05/11(Sat) 8:40:59 |
【赤】 従業員 ルミ……セックスって、濡れないのが普通じゃないの? いきなり挿れたがる人以外は 確かにローションとか使って慣らしてたけど……。 [ でもこの家には用意がない。 即物的なセックスなら無くてもいい、と思って。 けれど、今の彼と自分は、こいびとというやつで ──後ろ暗さも無くなった今 続きをしたい気持ちはあるのだけれども。 ] (*9) 2024/05/11(Sat) 8:41:13 |
【赤】 従業員 ルミちょっと痛かったけど……今はもう痛くないよ。 慣れてるから平気。 お兄さん、は? [ 背を支える手は、自分が不意に倒れないようにと 気遣ってくれているだけだと信じている。 もう片方の手が下肢へ滑らされる感覚に、 少しくすぐったいような、そわそわするような。 視線を彷徨わせて息を吐く。 ローションがないから、痛かったなら今日は出来ないと あくまで彼を気遣うトーンで。** ] (*10) 2024/05/11(Sat) 8:45:43 |
【赤】 会社員 雷恩[過去の恋心には存在しなかっただろう身体の繋がり。 会わない間もルミは自分をどこかから見ていた。 恋心はルミに知識がつき身体が変化するにつれ 過去のものとは変質していたのだ。 男としてはそれで良かったと思う。 少女の初恋の形のままを望まれたら、 大人の自分には決して返してやれないから。] (*11) 2024/05/11(Sat) 21:20:59 |
【赤】 会社員 雷恩[窘める視線に「ごめん」と許される前提の謝罪を。 間近で見るルミの顔は、表情こそ面影があるが、 綺麗に化粧が施され大人の色香を放っている。] おー。 痛くすんのも痛くなくすんのもルミにだけ やらせてやるよ。 [とはいえどんな痛みになるのか 想像出来ていない部分もあるのだろうが。 自分の住処を変えようとしていることとか 仕事のこととか。 このあたりはこの後話すことになるだろう。 男にだって、彼女が夜に他の男にチヤホヤされる仕事を 良しとしない感覚はあるのだ。] (*12) 2024/05/11(Sat) 21:21:49 |
【赤】 会社員 雷恩[目的語を抜かしていたことに、必死なルミの様子を見て 初めて気づく。] ?あー、「セックスが」って言わなかったか俺。 俺への気持ちは疑ってなかったけど…… くく、慌てて「好きだもん」って、かっわいーの、 [目的語を補完してからの予想は 当たっていたと言うべきか。 処女ではないことは挿入した段階でわかっていたが] うんわかった、そっからか。 そーだよな、好きな相手と気持ちいいセックスっての 知ってたら、俺に執着するこたなかったよな。 [下方に向かった手は秘所を解すに至らないまま止まった。 もう一度上に向かい、両手で背を抱き締める。] (*13) 2024/05/11(Sat) 21:22:25 |
【赤】 会社員 雷恩アソコが痛いのに慣れてるなんて もう絶対言わせない。 痛い内は俺も痛いから挿れない。 つまり、ルミが気持ちいいってなったら 挿れたいってこと。 [ルミの肩に顎を乗せた。 首筋に軽く口接けを落とす。 背をゆっくりと撫でながら、痕がつかない位の弱さで 何度も首筋や耳を啄んだ。 剥き出しの性器は再び兆していたが、それを殊更 誇示したりはしない。*] (*14) 2024/05/11(Sat) 21:24:19 |
【赤】 従業員 ルミ[ 痛みも傷も他人には決して見えない。 どれほど交わってもどんなに近付いても、 言葉にし難いものだってあるのだろう。 経験していないことを警戒出来ないように 得たことのないものは想像出来ない。 ] …うん、わたしだけ。 [ 満足げにふにゃ、と頬を緩めて頷いた。 後は住居や仕事のことを決められれば完璧だ。 ──この後今後について話し合うことになれば、 必然的に自分の" 夜のカフェ "も話すことになるか。 さすがに恋人には胸を張って言える気はしないので 店の詳細がバレないことを祈るのみである。 ] (*15) 2024/05/11(Sat) 22:14:51 |
【赤】 従業員 ルミ[ ここにきて好意を疑われているのかと思ったけれど、 自分の思い違いだったらしい。 縋りついていた指先から力を抜いて、息を吐く。 ] よ、よかった…… セックスは別に、好きじゃない。 でもお兄さんとならしたいって思うよ。 [ 処女ならあんな凶行には流石に及べなかっただろう。 客とは決してそんな関係になったことはないが それ以外の男とは何度かしたこともある。 内臓を押し上げられるような、妙な感覚だった。 ああそういえばシフト載せてないなあとか 次の自撮りどうしよう、と考える余裕があるほどに。 " 好きな人とするもの "だという知識はあった。 自分には適用されなかった言説だが。 ] (*16) 2024/05/11(Sat) 22:14:56 |
【赤】 従業員 ルミ[ ところで今、彼はかわいいと言ったか。 今まで飽きる程に聞いてきたその言葉が鮮明に聞こえて なにも言えず、聞こえなかったふりをする。 頬がじわりと熱を持った。 平常を保とうとして、今度は両腕で背を抱き締められ 否が応でも体がぴしりと固まる。 なんだこれは。夢を見ているのかもしれない。 毎日見ていた叶う筈もない夢が現実になって 雨のように降っている。 ] ……お兄さんもさっき、痛かった? ご、ごめんね……。 でも今までわたし、気持ちいいってなったことないし たぶん、不感症……とか…… [ しかしそれでは彼が一生セックスをしてくれないのか。 自分が気持ちよくなったら挿れたいと言われても、 そんな経験は一度も──── ] (*17) 2024/05/11(Sat) 22:15:01 |
【赤】 従業員 ルミッひゃぅ、 [ 肩に心地いい重みが乗っかって、 次に首筋へ彼の唇が軽く触れ、くすぐったさに声を零す。 背中を撫でられるのは好きだ。 けれど、何にも守られていない首筋や耳を啄まれると なんだか背筋や体がそわそわする。 ] ん、ふふ、 くすぐったいよ、お兄さん… [ 大型犬が甘えているように見えて、 思わずやわい皮膚を啄む彼の頭をふわりと撫でた。 えっちなことが出来ないから甘えているのかと 勘違いをしたまま、こそばゆさに身体が跳ねる。 少し身じろいで、目が瞬いた。 ] (*18) 2024/05/11(Sat) 22:15:05 |
【赤】 従業員 ルミ…………お、お兄さん、って わたしで勃ってくれるんだ……。 [ 決して押し付けられたりしたわけではないが 当たってしまえばさすがに気付く。 動揺を露にして、反射的にそう零した。 てっきり刺激しなければ兆さないと思っていたのに、 触れなくても固くなっていることに驚いて。* ] (*19) 2024/05/11(Sat) 22:16:13 |
【赤】 会社員 雷恩[物語なら、一区切りがついた後の会話や 諸々の手続きは飛ばしてしまえるが、現実にいる二人が 約束通り「ずっと一緒」にいる為には 様々な条件をクリアする必要がある。 たとえば「道端で偶然ルミが転ぶのに居合わせて 自宅まで送っていくことになった」というメールの続報。 そのまま実家に連絡がなければ異変が起きたと すぐに動くのが笹倉の家族だ。 たとえば住居の問題。 関連して服や生活用品、通勤の扱い。 たとえば踏み込まずにいたルミ自身のこと。 ――その性を商品とする仕事に就いているなら 正直抵抗があると伝えざるを得ない。 それから、それから。] (*20) 2024/05/11(Sat) 23:04:00 |
【赤】 会社員 雷恩[監禁して薬を盛るまで思い詰めたルミが 少なくとも今晩この部屋でひとりでいられるとは 思えない。 そうした話し合いが必要であるということは 頭で計算済みではあるが、今ここには 上等なソファの上でセックスを中断して性器を晒した ままの男女がいる訳で。] (*21) 2024/05/11(Sat) 23:04:48 |
【赤】 会社員 雷恩好きじゃないなら無理するなって思うけど、 俺とならしたいって思ってくれてんのは嬉しい。 [好きじゃないと評するまでに一体何度誰かのものを 受け容れてきたのだろう。 大切に扱われた経験に乏しいことは口ぶりからわかる。 経験していないことへの当事者意識が薄く、 経験したことがスタンダードだと思い込みがちなのが人間だから、 セックスによってその相手のもの扱いをされた場合、 セックスによって相手を所有することを求めても可笑しくない。] つまり、「したい」って思ったのは俺が初めてって ことで合ってる? [好きじゃなくても自傷目的でしたいと思う場合もあるかも しれないが、男にはその価値観は頭にない。] (*22) 2024/05/11(Sat) 23:05:20 |
【赤】 会社員 雷恩痛くしたかったんだろ? そういう意味の「痛い」を狙ったんじゃなきゃ、 さっきのやり方は痛いって知らなかったってことで、 謝ったらルミが長いこと頑張って今日をつくったのも 否定することになるから謝んな。 [これだけの容姿で「かわいい」が言われ慣れていないことは ありえないだろうが、少々バグっているようなぎこちなさが 現れる。 そこもまた可愛いと思った。 口に出ていたかもしれない。] 気持ち好さを知らないんなら好都合かな。 俺の為に取っといたって思っとけ。 [くすぐったがる様子に目を細める。 不感症が身体機能から来るものならこんな軽い触れ合いで 反応することはないだろう。 今までの相手がロクに愛撫をしなかったのもあるだろうが 精神的な理由で感じなかったというのもありそうだ。] (*23) 2024/05/11(Sat) 23:06:36 |
【赤】 会社員 雷恩右はくすぐったい、と。 左は? ……首よりやっぱ耳の方が好さそう。 [顔を収める頭を反対の肩に置いて、ちゅ、と音を立て始める。 耳にその音が届くように。 そうやって身動ぎをしていると、図らずも 又坐の変化に気づかれたようで。] (*24) 2024/05/11(Sat) 23:07:13 |
【赤】 会社員 雷恩さっきは擦られたから充血して 俺の意思関係なく勃起したけど、 今のは純粋にルミに反応してる。 [ばつが悪そうに一瞬目を逸らしたが、 指摘を受けても萎むどころか質量を増していく。 首と耳を啄むことで分泌された唾液が、 喋る時に興奮で粘性の糸を引いたのは、 ルミに見えているだろうか。 背を撫でている手は感情の赴くままに動いているのではなく ルミのツボを探している。 肩甲骨の内側から、尾骶骨、脇腹と動く手は 最早支える目的を果たせていない。**] (*25) 2024/05/11(Sat) 23:08:29 |
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