【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット『不思議ですね』 含みなく返される言葉に、また同じく首を傾げた。 視線が自分の手に向けば、まじまじと眺める。 器用ではない青年の仕草は、どこか好ましい。 いつかは話さなければならないだろうと思っていたそれについて話すために、黒板に言葉を連ねた。 『これが病気だから です』 短くそれだけ答えて、ゆっくりと黒い布地に手をかけた。 現れた素肌は日に当たらないせいで真っ白。 ただ、それよりも異質なものがあった。 部分的に、深い青色の鉱石が肌を覆っている。 そこだけ夜空を切り取って貼りつけたような青色が、あなたの視界に入るだろう。 まるで、ラピスラズリのような。 (-10) 2022/05/06(Fri) 21:36:57 |
【墓】 充実 バレンタインやはり不安はとめどなく湧いているけれど、 それを表現する方法は今のところ奪われた。 選択肢が無くなってしまったら、 考えることが少なくなって済む。 消極的な、ポジティブ的思考だけを頼りに。 これがもたらされた治療の結果で。 バレンタインに与えられた、 “病と、ギムナジウムに対して最適な形”だ。 (+3) 2022/05/06(Fri) 21:38:00 |
【秘】 恋の呪い シャルロッテ → 中等部 バラニ扉の向こうで立つ音に、瞬きをひとつ。 誰かがいるのは間違いない。 エルナトは食堂で見かけたから、順当に考えれば、それはバラニの筈だ。 そうして思考を巡らせている間に、室内から声が返って。 「そうだよ」 「食堂にいなかったから、朝ごはんを持ってきたの」 「開けてくれる?」 何だか妙に高い声だと思った。 酷く怯えているようだから、そう聞こえるだけかもしれないけれど。 何にせよ、受け答えから、目的の人物であることは確かだろう。 そして、こんな風に動揺しているのなら、昨日の彼とは違うということだ。 『お願い』を、聞いてもらえたのかもしれない。 (-11) 2022/05/06(Fri) 21:40:39 |
【人】 童心 クロノエルナトとバットの声と、ラピスの表情にハッと顔を上げ ぶんぶんと首を横に振る。 「 な ん、」 「なんでもない、 だいじょうぶ、 なんでもない…… 」焦り調子で言いながら椅子を降りて、 ぱたぱた、食事の準備へと向かっていく。 (4) 2022/05/06(Fri) 21:41:56 |
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