【人】 軍医 ルーク[ 少しばかり前のことだ。 人の波に逆行して外壁へと向かおうとしていた自分に、 ぺたぺたと駆け寄って来る足音がある。 先に足を止めたのは、一緒に歩いていたぺんぎん。 視線を向ければ、一羽のぺんぎんが此方に向かってくる。 抱えているのは、あの赤い袋。 それを見た瞬間、心臓が一歩、早足のように打つ。 ぺんぎんはぺんぎんに袋を渡し、 きゅいきゅいと鳴き交わしていた。] 預かってきてくれたのか。 [ 軽く屈みこみ、ぱたぱた手を振る二羽の頭を軽く撫でた。 袋を受け取り、落とさないよう大事に抱えて外壁を上る。 それまでよりも、少しばかり早足で。 何が記されているのか、直ぐにでも開きたくてたまらない。 一歩の歩みごとに名前のつかない感情が噴き出して、 次の一歩でその正体に名前を付ける。 一体の襲撃ですら食い止められる保証もなかった戦線に、 数も知れない敵が押し寄せようとしている。 それを、先頭に立って迎え撃つのは。] (274) 2020/05/26(Tue) 20:59:15 |
【人】 軍医 ルーク[ 石造りの階段を上がる脚は、思うようには動かない。 漸く外壁の上へと昇り切れば、 袋を開き、タブレットを取り出す。 ノートには、また新しいページが付け加えられていた。 今までのように、日付から始まる日記ではない。 それは確かに、この自分に向けて綴られた言葉だ。 食い入るように最後まで読んで、読み切って、 じいっと此方を見上げていたぺんぎんに、振り返る。] ……莫迦なこと、たくさん書いてた、 あの莫迦。 [ それは、いつかの防衛線で、義手が放った光を見た後に、 自分が言った言葉と、似ている。 けれど、その声も、その表情も、 何一つ比べ物にならないほどに違った色合いを帯びて。 底にある感情は、やはりどこかしら繋がるものだった。] (275) 2020/05/26(Tue) 21:00:31 |
【人】 軍医 ルーク総司令に直接? それは確かに、このタイミングで君に何かをする程、 戦局が見えてない人じゃないけれど。 [ 声に滲み出るのは、どうしようもないもどかしさだ。 彼が自身を身を危険に晒しているとき、 自分は何も出来ずにいる。 今も、だ。 後方にいて、黙って待っていることしか出来ていない。 眠れていることは安心したけれど、 あの頭痛は今も彼を蝕んでいる。 けれど、声に滲むのはそれだけではなくて。 表面の硝子に、そっと掌で触れる。 そこに綴られたいくつもの言葉たちに、 いま、ここにはいないその人に、 せめて、想いだけでも触れようとするかのように。] (276) 2020/05/26(Tue) 21:01:37 |
【人】 軍医 ルークしかも、そのやり方…… ええ、反動とか…? いや、確かに理屈なら出来るとは思うけれど、 ああ、いや待て、少し考える。 他にも方法はあるはずだ。 [ そんな風にぶつぶつと独り言を言いながら、 指は自然と、タブレットを滑り出した。]* (277) 2020/05/26(Tue) 21:01:56 |
【妖】 軍医 ルークシュゼットへ 君が君でいてくれることを、伝えてくれてありがとう。 何より、本当にほっとしてる。 総司令に話をしに行ったのは博打だったけれど、 確かな判断だったと思う。 皆が生き残るために、 機獣の情報はとても重要なものだったはずだから。 そのときも、いまも、 君が危険な目に遭っているとき、同じ場所に居られないことが 何より悔しいし、辛い。 でも、総司令は今は何もしてこないという読みは正しい。 あの人は、理屈で考える人だから。 名前のことも。 君が見たという写真のうさぎのことも。 聞かせてくれて、ありがとう。 見たこともないはずなのに、 わたしにも、その写真が見えるような気がした。 ―― その写真を見ている、君のことも。 ($11) 2020/05/26(Tue) 21:03:16 |
【妖】 軍医 ルークほら、感じていた通りだった。 君は、自分が本当に優しい人なのかは分からないって、 前に書いていたけれど。 そこに生きていた誰かが残した写真を見て、 兎の姿を見て、 大事な人の笑顔を守る、そんな兎になりたいと願った君を、 優しい、という以外に、例える言葉をわたしは知らない。 黙っている事だって出来るのに、 皆が生きるために総司令に自分が知っていることを 伝えにいった君を―― ああ、でも、 見ていて危なっかしくて、少しでも近くに居たいと思ったり、 心配が過ぎて時々こう、 とびっきり苦いものを飲ませてやりたくなったりするのは、 さすがに許してほしいと思う。 放っておいたらどこに飛び込んでいくか分からないんだ、君。 ($12) 2020/05/26(Tue) 21:05:16 |
【妖】 軍医 ルーク隣にいる子供を守っているようだった、そのうさぎ。 でも、わたしは、きっとその子供だって うさぎを守りたかったに違いないと思う。 想像することしかできないけれど――… 彼らがせめて、最後まで一緒にいられたならと、そう思う。 君がそうして、皆を守ろうとしてくれているのなら。 君のことは、わたしが守りたい。 前からずっと、思っていたから。 例えば、食堂で君の部下の人たちが 楽しそうにしているのを見ているその背中は、>>0:69 彼らと一緒にいて、守っていても、 誰が守ってくれるのだろうと。 弱くて、一緒に戦いにいけないことが悔しいけれど。 わたしも、わたしが出来ることを探すから。 一人きりで、旅をして。 世界の何処かにひとが生きていられる場所を夢見た君の心が、 今ここに居て、皆を守ろうとしている君の心が、 いまの私には、何よりも、大切なものに思えてる。 寂しい思いなんて、決してしないように。 だから、最後まで見守っていてほしいと、 そう言ってくれることが嬉しい。 ($13) 2020/05/26(Tue) 21:07:58 |
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