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【人】 マリィごめんなさい…… [そう呟いたのと、由人の手が アタシの手を取ったのは同時くらい。 続いて落とされる由人の呟きに 視線を彼の横顔へと移すと、 硝子越しに差し込んだ光が 彼の睫毛へ影を落としていて……] (239) 2020/09/14(Mon) 22:56:04 |
【人】 マリィ…………そう、だね。 [アタシは、由人の横顔に視線を向けたまま 漸く手を握り返せたの。 相変わらず息苦しくて 射抜くような視線を上から四方から感じてたけど 今、アタシはひとりじゃないもの。 ……情けないこの手の震えが、 由人に伝わりませんように。] (240) 2020/09/14(Mon) 22:56:21 |
【赤】 橋本 雅治[─────ああ、神様。 俺は許されたい。 あなたが許してくれなくってもいい。 地獄に落ちて焼かれたっていい。 けど、せめてこの地上で生きる間だけ この人のそばに居たいんだって この人に伝える勇気をください。] (*10) 2020/09/14(Mon) 22:56:58 |
【人】 マリィ[そうしてアール・ヌーヴォー美術館の方へ 足を運んだけれど…… 正直、「良さげなツボとか皿」以外の 感想が思い付かなくって 多分アタシはずっと黙ってたと思う。 ガイドブックの「小樽」も読めなくて 何度も由人に聞いたもの。 もう少し、頭が良くなりたかった。 ……いいえ、頭が良いとか悪いとかじゃなく もっとちゃんと勉強すれば 今日はもっと楽しかったかもしれない。 由人と暮らすまで豚肉と牛肉の違いすら 正直よく分からなかったし、 興味もそんなに持ってなかった。 もっとよく分かっていれば ちゃんと「美味しい」って言う時に 気の利いた感想が言えるかもしれない。 振り返っても、後悔ばっかり。 今更禊をしたところで 払いきれる穢れじゃないかもしれない。] (243) 2020/09/14(Mon) 22:58:19 |
【人】 マリィ[ホテルに着いた頃には 随分辺りは暗かったでしょう。 古い歴史ある造りの玄関の上に 近未来的な造形の客室がドッキングした 何だか奇妙な感じの宿だったけれど 客室温泉はあるし 海の幸溢れる夕食が絶品!とかなんとか。 でも正直、お夕飯をすぐに楽しめそうな 心持ちじゃあなくって。 通された部屋はダブル。 お行儀よく並んだふたつのベッド。 分厚いカーテンは寒さ避けのためか 全て固く閉ざされている。 アタシは手持ちのボストンバッグを、 どさり、とベッドに放り捨てると] ……ねえ、お夕飯の前に話しちゃわない? [少し、震える声で切り出した。 「どうせなら、美味しく食べたいじゃない?」 なんて笑おうとしたけど、 うまく、口角が上げられなかった。]* (244) 2020/09/14(Mon) 22:59:38 |
【人】 月森 瑛莉咲[ 風に囚われるようなすがたも その風を慈しみ口づける様子も わたしは ずっとそれをながめてた。 意味がわからなくたって ちくって刺さったりもしちゃうんだから。 虫にも妬く女は風にだって一緒なの ] (245) 2020/09/15(Tue) 0:49:05 |
【人】 月森 瑛莉咲[ 出会い頭の誘拐願望を、 否定することなく。 待ってた、って。 連れさってくれるんだって 『かみさま』は私に、手を差し伸べる。 あとは私が、手を伸ばすだけ。 足ひとつぶんの異界への境界線。 踏み込めばもう戻れない はないちもんめ ] (247) 2020/09/15(Tue) 0:53:32 |
【人】 月森 瑛莉咲[ 自分で神域がどうのいっちゃう 妖しげなお兄さんに いいようにされただけかもしれないし 本当に 『かみさま』だったとしても ……真実はどっちだって。 もう、どうだって。 ] (249) 2020/09/15(Tue) 0:55:28 |
【人】 月森 瑛莉咲……たける。 [ 私の運命は、あなた次第で変わる。 かみさまなら かみさまらしく 無遠慮にあなたのもとまで連れ去って。 魂の奥底眠るものより、 ]もっともっと つよい想いを 私の中から 奪い取って 苦しくて仕方ない鼓動に 名前をつけて (252) 2020/09/15(Tue) 0:58:03 |
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