【人】 絵描き 要隠したはずの、感情を読み取られて 悔しいような、嬉しいような 複雑な気持ちがおしよせる。 僕にだって、少しくらい、カッコつけさせてくれればいいのに、なんて口を尖らせる。 でも何を言っても格好がつかない気がして。 まあ先輩だから仕方ないんだけど。 仕方ないんだけど。 「タピオカ、待ってる」 一度、飲んでみたかったけど、行列が怖くて飲めなかったんだ、なんて 付け加えて、彼を見送る* (229) 2020/06/19(Fri) 19:00:30 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 体育館はまださっきまでの興奮で、 むっとする熱気に包まれている。 息苦しいような気さえするその場所で、 不思議に落ち着いている自分は、 ちょっと場違いな感じがした。 機材がまだ残るステージ上ではスタッフが 慌ただしく動き回り、上手では ひっこんでいたピアノを役員と先生で動かして、 セッティングしてくれている。 幕裏でそれを眺めて時を待つ。 跳ね回りそうな心臓をなんとか宥めていると 演奏を終えたTwo winsのメンバーが 見えたりしただろうか。 頭ひとつ飛び出した、友人の姿も。 もし、見えていたら、 すげぇ、かっこよかった。と、 声を出さずに口を動かして。 左手で、 親指を立てるだろう。 ] * (230) 2020/06/19(Fri) 19:08:42 |
【人】 美術部 雨蓮 しずく― ぽつんと― …… [ しずくは、ハンカチが見つからなかったことに気が大きく沈んでいた。 ] (けど、絵は描かなきゃ…) [ 須藤要に出会ったしずくは久しぶりに前向きになれた。 学校で人と会話をしたのが部長いらい本当に久しぶりだったのだ。 楽しい会話も久しぶり。だから、前を向くために絵を描き切ると決めたのだ…。 足は自然と美術室へ 向かっていた…]* (231) 2020/06/19(Fri) 19:10:34 |
美術部 雨蓮 しずくは、メモを貼った。 (a29) 2020/06/19(Fri) 19:11:44 |
【人】 転校生 矢川 誠壱 ──ライブ── [ 3曲目。 観客からのコールのあるこの曲。 簡単に呼びかけて練習する。 声を出して一緒に楽しんでほしい、と 言い出したのもボーカルの祐樹だった。 突拍子もないことを言い出すのはいつだって メインボーカルだった。それを理性的に とめつつも叶えるのがギター。 穏やかに見守るのがドラム。 バランスの良いチームだと思う。 祐樹が言い出した提案に、 ならこの曲はと挙げられたそれは、 満場一致で決まった。 ボーカルの右手が挙がる。 それを合図にコールが始まる。 はじめは小さなそれも、煽ると だんだんと大きくなっていく。 最高潮で二度、三度、繰り返したらば、 そこにドラムが、ギターが加わり、 重なる音に、ボーカルの声が足されて、 がなった。 そして、吠える。] (232) 2020/06/19(Fri) 19:27:03 |
【人】 転校生 矢川 誠壱[ 白旗だと呼ばれても掲げたその旗を、 揺れる船の上からでも切り開く。 負け犬と呼ばれたって、 この曲の主人公はきっと、 挫けることなどないのだろう。 確かな強さを感じる。 ステージの上からでもわかる。 やはり、このバンドはかっこいい。 クールで、熱くて、強い。 今この場所に立てていることが、 本当に誇りだとおもった。] (233) 2020/06/19(Fri) 19:27:24 |
【人】 転校生 矢川 誠壱[ そして、4曲目。 はっきりとしたメッセージの響く、 この曲もまたきっと、誰かへの応援歌。 ありのままの己を認める、 それがどれだけ難しいことか そんなことわかり切っているけど。 指の間をすり抜けていくように、 人生がうまく掴めないときだって。 間違いごと誇りに思って、 自分自身を愛してあげることが。 ───俺も、出来てるとは思えないな。 わかってたって、怖いじゃないか。] (234) 2020/06/19(Fri) 19:27:54 |
【人】 転校生 矢川 誠壱[ それでもいつか、いつの日か。 全てを持って己を愛せる日が来たら、 ───誰かを特別に思えるのだろうか。 きゅ、と唇を結ぶ。 コーラスが響いた。 ドラムが鳴り、余韻のように 残ったエコーが体育館を駆けて、抜ける。 歓声と、拍手が聞こえた。 息を吐く。暑くてたまらない。 またペットボトルをひねって開け、 口に含んで、流し込んだ。 ぐい、と手のひらで前髪をあげる。 深く息を吐いた。] (235) 2020/06/19(Fri) 19:28:16 |
【人】 転校生 矢川 誠壱「以上、Two winsでしたー!って、 ほんとはなるはずだったんだけど、 実は!もう一曲演らせてもらえる ことになりました!」 [ そういって祐樹がにかっと笑うと、 観客が沸いた。裕也の方を見ると、 困ったように眉尻を下げて笑っていた。] 「ほんとに急に決まったから、 あんまり練習できてなくてさ、 まだまだ、荒削りだし、 間違えたりとかもするかもだけど それ含めて、聞いてくれたら嬉しい。 これが今のWTwo winsWだからさ。」 [ 「な?」と振り向いてこちらを見る。 ぱちり、目を瞬かせてから、数度うなずいた。 メンバー紹介はしないでくれと頼んだのは己だ。 祐樹にどんな意図があったのかはわからない。 だが、否定もしなかった。] (236) 2020/06/19(Fri) 19:28:33 |
【人】 転校生 矢川 誠壱「イチで、ほんとによかった」 [ 切ったマイクが拾わない声。 だがそれは確かに届く。 ああ、 やめてくれ。 だっておれは───] (238) 2020/06/19(Fri) 19:29:15 |
【独】 転校生 矢川 誠壱/* 雨宮くんへのエールになれば良いとおもってねじこんだ曲の歌詞が、急遽足した自PCにごりごりに刺さるというこの偶然よ いま歌詞読んでて「あああああまじかよ」ってなってた (-257) 2020/06/19(Fri) 19:35:57 |
【独】 転校生 矢川 誠壱/* あ、セトリ 全部NOISEMAKERの曲です サブスクで聴けるからよかったらきいてね Spineless Black To Live Is Flag THIS IS ME NAME (-259) 2020/06/19(Fri) 19:51:30 |
【人】 絵描き 要なんて言うか やっぱり羨ましい。 あんなに人の前に立てるのも あんなに色んな人に囲まれて 協力して、 僕の手に出来なかったものだ。 いや、捨ててきたものだ。 それでも、羨ましいけど、でも、 僕は僕で、僕にしかできないこともあるから。 それをみんなに見せつけてやって、羨ましいって 思わせてやる!!!!! (240) 2020/06/19(Fri) 19:53:31 |
【人】 絵描き 要なんて。 少し思わなくもない。 でも今の僕はそれだけじゃなくて ただ純粋に 楽しい。 心地よい。 嬉しい。 ああ、上手く言葉にならないな。 でも、こんな気分にさせてくれた 矢川先輩には後でお礼を言わなきゃな* (241) 2020/06/19(Fri) 19:58:51 |
【人】 無表情 トオル「はぁっ…はぁっ…!」 [美術室のある三階まで階段を駆け上がったトオルは、息を乱しながらゆっくりと美術室に入っていく。 美術室の窓際には、美術部員が書いたのであろう絵が、何枚も並んでいる。 トオルは一枚の絵の前で足を止めた。] 「綺麗だ…」 [その絵は、雨のしずくと光でキラキラと輝く紫陽花の絵だった。]* (242) 2020/06/19(Fri) 20:11:11 |
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