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【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優「不穏、かな。分からないんだよ。 かなしいかどうか。つらいかどうか。 そんな事考えるより、もっと建設的なことがあるような気さえして」 分からないから前を向く。 見て見ぬふりは意識的に行わずとも身についていた。 僕は、自分のことには酷く 無頓着 だ。「……そう。見てたの。 でも元気でよかったって思ってくれるんだ。 あれだけ人に迷惑かけ続けたのにね、僕」 見て見ぬふりは、ただ事実をありのまま受け止める。 「怖かったでしょ。 近寄らないのは正解だよ。 あの時は、他人を気遣う余裕なんてなかったから」 (-158) 2021/11/05(Fri) 19:55:59 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「あ、引いたな今」 くつくつと笑っている。そこに理解が得られないことは、そう気にしていない。 「ま……最初からそんな“少し違ってた”異能だったら、こんな奴にはなってなかったんじゃないの。俺も、お前も。 ……てか、なにか用事とかあったんじゃ? まさか、本当に見舞いにだけ来たってことはないよな」 あなたがただ様子見に来ただけ、とは思っていない。あなたにそこまでされる理由がシオンはわかっていない。 (-161) 2021/11/05(Fri) 20:30:20 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「そりゃそうだね。 結局このクソ異能も僕の一部だし。 無い物ねだりしてないで、精々役立てる方法探すしかないんだと思うよ」 受け売りの言葉を、僕は告げる。 「──ああ、何だっけ。 そうだ、連絡先くらい交換しようと思ったんだっけ」 僕はスマートフォンを取り出す。 部活の連絡と、その他細々とした形でしか使われたことのないメッセージアプリを開いて。 「ついでに見舞いに来た感じ。 迷惑なら、別にいいけど」 (-163) 2021/11/05(Fri) 20:42:17 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「……ごめん。今朝スマホ、水没した」 重苦しい口調で切り出されたのはそんな言葉だった。 「麦茶飲もうとして、あのアレ……ピッチャーっていうの……?アレ持ったまま倒れて気絶して……フタ外れて水浸しになって、そのまま……。 で、でんわばんごうなら教えれる。家の固定電話」 (-165) 2021/11/05(Fri) 20:46:08 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「……水没。 いや、今どき固定電話とかあるんだ……」 僕の実家はとうの昔に契約を解除していたように思う。 「そっちでもいいけどさ。 でもそれなら、スマホ修理したあとまた交換する方がいいな。それより……」 周囲を見回した。 ピッチャーで麦茶が溢れた後、あるだろうか。 目が覚めた時自分で片付けたのか、こいつ。災難だな……。 (-166) 2021/11/05(Fri) 20:54:39 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「……? あ、いや御旗が甲斐甲斐しく片付けてくれたから大丈夫。じゃあ、うん、修理したら声かける」 流し台の横に洗いたてのピッチャーが置いてあるとか、濡れた布巾が干してあったりとか、そういった痕跡は残っているかも。 (-168) 2021/11/05(Fri) 21:01:05 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「……御旗?ああ、仲良いんだっけ?」 よく知らないけど。 何せもともと人と関わるつもりがなかった。 異能がバレた今、その必要もないだけで。 スマホについてはよろしく、とだけ言った。 (-170) 2021/11/05(Fri) 21:05:34 |
【秘】 俺 シオン・グレイヴズ → 朝日元親「たぶん……?」 なんとも要領を得ない返答だがさておき。 「……まあいろいろ、たすかった。帰り気をつけろよ」 と見送るのだろう。 (-171) 2021/11/05(Fri) 21:07:47 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「……?」 本当に要領を得ない。 まあいいか、と僕は思う。 あんまり関係ない事だし。 「ああ、それじゃあ。ゆっくり休めよ」 急に部屋に来た僕が言うことでもないけど。 まあ、薬の作用ということならそのうち落ち着くんだろう。 ────シオンにとって、それがいい事かはさておき。 そんな事を薄ぼんやりと思いながら、僕はシオンの家を離れていった。 (-172) 2021/11/05(Fri) 21:21:03 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「自分のことを大事にすることの、何が不毛なんですか。 自分がどう思ったのか、今何をしたいのか…… 大事にしてくださいよ」 痛みを当たり前としてしまえば、いずれ歪みが生じる。 どのような形であっても。 「……正直言うと、怖かったです。 異能を使えば先輩を怪我させずに落ち着かせられるかと思ったけど、近寄ることすらできなかった」 「先輩は……あの騒ぎで、何かを得られたんですか。 それだけ教えてください」 怖い思いを(勝手に)した者としての要求です、と続けた。 (-174) 2021/11/05(Fri) 21:28:57 |
【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優「……大事に、か」 嫌いな異能と共にある自分を大事にできる気は余りしない。 ずっとそうだったし、そう簡単に変えられる気もしないと思う。 それにそれ以上に、自分を押し殺して以外の生き方を僕は知らない。 自分のしたいこと、なんて言われても直ぐには思いつかないものだ。 「得られたものなんかないよ。 自棄になってもいい事なんかないな、とは思うけど。 ……って、思ってたんだけどな」 僕は短く息を吐くと、また空を見上げた。 同じ動物なら、鳥になれた方がずっと良かったのに。 「案外さ、僕が思う以上に人は異能で人のことを見ていないんだなって思った。 気味悪いとか、そんな風に思われるとばかり思ってたから」 死肉を漁るハイエナ。 そして、牛丸さんを怖がらせるくらいには、制御を手放すと危険な異能でもある。 それでも誰も、そのようにはしなかった。 異能を隠していてばかりでは、知ることのなかったことだ。 「それにこの異能だから出来ることもある。 クソ喰らえって思うけどね。 でも、使えるものは使ってやらないと」 「……って、ここ数日で。 思うことができるようには、なったかな」 (-180) 2021/11/05(Fri) 21:59:08 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「急にああしろこうしろって言われても難しいのは……まあ、そうですね。 手始めに好きなおやつを食べてお昼寝することをおすすめします」 提示するのは雑な解決法だ。 いつかの自分は、そうして長い夜の先を――朝を待ったものだった。 「異能は先輩の一部だけど先輩の全てじゃない。 そりゃあ制御を失っていた時は怖かったけど、そんなの他の人だって同じことです。 私の異能だって、暴走したら人をばったばった眠らせて事故を誘発したりするかもしれない。 ……なんだ、ちゃんとわかってるんじゃないですか」 他人からどう思われているのか。 つまりはあなたはきちんと大事に思われていて、それに自負を持つべきなのだ。 それを伝えたいのに、言葉というものはややこしくてもどかしい。 「悪いことばっかりじゃないですよ。 生きてたら、いいことあります」 (-190) 2021/11/05(Fri) 22:55:55 |
【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優「好きなおやつ、ね。やってみてもいい、けと。 特にないんだよね。オススメとかある?」 何せ廃棄パンで食費を浮かせていた僕だ。 ちなみに浮かせた食費は何に使うかも分からない、雑多なジャンルのデザインの本に消えている。 「やっとわかるようになった、って感じかな。 わかる前と後じゃ、大違いだよ」 この異能のことは、好きにはなれない。 それは変わらない。 でも少しくらい、異能と僕が同一でないとは思うことができるようにはなったつもりだ。 「そう思うんなら牛丸さんも薬には気を付けてね。 僕はそう言われても自分で飲んだ馬鹿だけど。 ……どうやら今日も、何だか騒がしいみたいだから」 嘆息した僕は、空を見上げる。 ああいうのは、治験なんかに手を出さずに市販品になってから手を出すくらいで丁度いい気さえした。 青い空を雲が流れていく。 ぼんやりと見つめた僕は、囁かな声で一言だけ漏らした。 「 ……生きていたら、か 」その言葉に、見て見ぬふりの一番底、蓋をするように封じ込めた何かが疼いたような気がした。 (-193) 2021/11/05(Fri) 23:14:41 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「 え……好きなおやつがない……? え、ええと、牛乳とカステラとかどうですかね。 意外と合うんですよこれが」 本当に今までで一番信じられないものを見る目をした。 運動部とはご飯食べるのが大好きな生き物なのだ。ちょっと嘘。 「本当はね、最初のうちは薬のうわさ聞いて……飲んでみたいなって思ってたんです。興味本位で。 先輩の暴走騒ぎを見て、ああこれは本当に怖いものなんだってよく身に染みたので。 もし持ちかけられたとしても全力で逃げてみせますよ」 空を見上げるあなたの隣で牛丸もまた空を見上げる。 鳥はいつだって自由に飛んでいく。 羨ましいことに。 「先輩にもいいことありますよ。 明日くらいに」 何の根拠もない言葉だった。 そうなればいいな、と思っている。 (-201) 2021/11/06(Sat) 0:01:58 |
【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優「 そんなに驚くこと? 牛乳とカステラか……まあ、試してみるよ。 聞いといて試さないのも何だし」 釈然とはしないけど。 残り物、別に美味しくはないから味にこだわりはないんだよね。 「ああ、そう。 それはよかった。僕としては複雑だけどね。 まあ、暴れた甲斐も少しはあったのかな」 反面教師にされた僕は、昨日2回目を口にしたわけだけど。 カッとなると後先考えないんだよね。 「余計な責任なんて、負わない方がいいに決まってるしね」 それでも2回目については後悔していない。 そもそも牛丸さんは、そんなものが存在することだって知らないだろうけど。 「いい事、か。 ……あるといいけど。」 波風立たない平穏な生活が今の僕の望みだ。 それくらいには暫くのことで疲れきった自覚もある。 心休まる場所を見つけられた事は、そんな中でもかなりいい事に近かったけど。 「それなら、まあ。明日を楽しみに、していようかな」 (-205) 2021/11/06(Sat) 0:20:33 |
朝日元親は、そう言うならね、と言ってほんの僅かに笑った。 (c31) 2021/11/06(Sat) 0:21:44 |
【墓】 朝日元親>>+40 守屋 「……無茶言わないでください」 隣に並んだ姿を見て、短く息を吐く。 まあ、元気そうで何よりだ。 早いところ、頭のガーゼも取れてくれれば尚いいんだけど。 もう一度、窓の外を見る。 グラウンドに、数日前の自分を幻視した。 それそのものをもうどうにか思うことはない。 良い気もしなければ、悪い気もしなくなった程度には昇華したつもりだ。 「それじゃ、僕は行きますよ。 次は目を覚ました時、僕以外の人がいるといいですね」 なんだ、なんて言うくらいだし。 先輩の返事も聞かず、窓際から離れた僕は談話室を出る。 体育祭を楽しみにする、その呟きには触れなかった。 台無しにするような言葉しか、僕は吐けそうになかったから。 (+41) 2021/11/06(Sat) 2:31:11 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「 めちゃくちゃびっくりしました…… じゃあ、これからたくさん試せますね。 いろんなおやつ食べて一番が決まったら教えてください」 牛丸は食べるのが好きだし、皆と好物を交換するのも好きだ。 いつか先輩のおやつをとっておきのおやつと交換してやろうと企んでいる。 「荒療治にもほどがありますけど。 私も先輩も、それで何かが変わったということで手を打ちましょう」 勝手に反面教師にしてしまったことは少し申し訳なく思う。 それでもこれ以上嘘をつくのも嫌で、素直に話すことにした。 「ありますよ。あるったらあるんです。 なかったらそれはチャージ期間なんで」 明日が楽しみだ。明後日もその次の日も。 やさしい人たちにたくさんいいことが起きるといい。 そんなことを考えながら、お昼寝スポットの穏やかな時間は過ぎていく。 (-247) 2021/11/06(Sat) 7:15:24 |
【秘】 朝日元親 → 牛丸紗優「ん、その時はまた、ここに来るよ」 おやつを持ってね、と軽く笑う。 そんなものが見つかるかは分からないけど、見つかるといいとも思う。 「チャージ期間はずるいな。 もうなんでもありじゃないか」 肩を竦めた僕だったけど、こういう軽口は嫌いじゃない。 結局僕も、この場所で牛丸さんと話す時間は結構好きらしい。 長閑な時間が過ぎていく。 暴走騒ぎなんて、まるで嘘みたいに。 でも、嘘なんかじゃないことは僕こそよく知っている。 だからこそ、この長閑さに安らぎを覚えるんだろう。 (-261) 2021/11/06(Sat) 9:40:13 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜『そうだ、先輩』 『今日少し部活遅れます』 談話室を去った後、短な業務連絡を送る。 流石にこれ以上部活に穴を開ける気はないから、遅刻してでも部活には顔を出すつもりだった。 (-275) 2021/11/06(Sat) 12:34:01 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜『見舞いです』 『病欠してる奴がいるらしいんで』 『まあ、すぐ戻りますよ』 長居するつもりはない。 その通りに大した遅刻もせずに放送室に現れることになる。 (-277) 2021/11/06(Sat) 12:50:09 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜放課後、見舞いを終えたあと。 「お疲れ様です」 静かに部室の戸を開けて、先輩の姿を確認した僕は、手提げのビニル袋の音を立てながら適当な椅子に座る。 ビニル袋の中に、リットルの牛乳が入っているのは外から見ても分かるだろう。 「……」 台本読みの邪魔をするのもなと思った僕は、それ以上の声をかけずにいる。 無意識に、深々とした溜息が毀れた。 (-282) 2021/11/06(Sat) 13:57:56 |
【秘】 牛丸紗優 → 朝日元親「その時はこっちもとっておきを用意しておきます。 びっくりするくらいおいしいやつを」 先輩が和菓子派か洋菓子派か、はたまたスナック菓子に走るのか。 いつか来るその時は、もっと笑ってくれるといいな。 「なんでもありでいいんですよ。 こういうのは言ったもん勝ちで、いいことがあるって言い続けることが大事なんです」 あなたがお腹いっぱいご飯を食べて、布団をかぶって眠って、それがつつがなく為されるように誰かが気にかけてくれて、幸せであれるように。 いつだっていいことがありますように、と。 暴走騒ぎはまだ終わっていない。 この長閑な時間だって休み時間が過ぎれば終わってしまう。 そんな今だからこそ、穏やかに笑いあえたことが嬉しかった。 (-288) 2021/11/06(Sat) 15:28:26 |
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