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【人】 雨宮 瀬里「 ……あの。 蓮司さん?に、会うことはできますか 」 私はまっすぐに紅い瞳を見つめて問う。 やっぱりこの紅い瞳は私の心をざわつかせる。 会ってもわからないかもしれない。 会っても思い出せないかもしれない。 思い出しても、何の意味もないのかもしれない だけど手紙のそのひとは、私に会いたいと望んでいた それが、そのひとと記憶にない私が望んだことならば せめて叶えるくらいは、……そう願って。 * (42) 2022/05/28(Sat) 10:07:02 |
【人】 雨宮 瀬里広げられた大きな翼 同族の証 が畳まれる残ったのは紅い瞳のそのひとだけ。 「 それは…… 」 会ってどうする?の問いには言葉を詰まらせる 話しがしたいという気持ちもないし 会っても知らない人だろう、という想いは強い 赤の他人になった、そう告げる老人の声は、 まぎれもなく事実だった。 それは今の私にとって≠サの通りの意味を持つ だけど前までの私≠ノとっては? (45) 2022/05/28(Sat) 11:32:10 |
【人】 雨宮 瀬里手紙が残っていたことと、 手紙にお見合いと書かれていたこと 恋に対する忌避感がないこと。 それらは確かに私に恋人≠ェいたのだろう事実を 浮かび上がらせる。 老人や、この手紙の主が嘘を吐く理由もない…筈だ。 老人が渋っているのもそれが真実だからだろう。 そして老人にも、私が戸惑っている様子は そのまま伝わるに違いない。 (46) 2022/05/28(Sat) 11:32:22 |
【人】 雨宮 瀬里「 ……だけど、 会わないのは、後悔すると、思うから。 多分記憶が混乱する前の私だったら、 会いたい、って願うような、そんな気がするんです 」 そのひとの気持ちはわからない。 今の私の気持ちでもない。 だけど今までの雨宮瀬里≠セったら。 そうしたい、と望むだろうから。 気の強い、私のことだから。 20年以上この心で生きてきた。 記憶がなくても、私のことくらいはわかる。 朝食を食べろという声には頷いて、 私は蓮司≠フ意向を、老人の答えを、待つことにする (47) 2022/05/28(Sat) 11:33:31 |
【人】 雨宮 瀬里恋人だった人との記憶はないけれど 私が確かに変わった、という事実だけは、 私の中に薄ぼんやりと残っている 以前のような洋服を着なくなったこと 母親とはそれでも良好な関係を築いていること 家を出て、陶芸の道に私が進んだこと それは蓮司≠ニ関係ない部分だから 記憶の混乱が起きていないのだろうか それでもその変化≠キるきっかけは思い出せないから それをくれたのは、まぎれもない、その人なのだろう。 * (48) 2022/05/28(Sat) 11:33:57 |
【人】 雨宮 瀬里昼よりも前のころ、 空には高く陽が昇り、木々の緑を美しく照らす 案内された庭には洋装の男性がひとり佇んでいる 私は白のブラウスと赤紫のスカートを纏って その人のほうへ近寄っていく それはいつ手に入れたものなのか 私は、憶えていない。 そこにも貴方との記憶があるのだろう その人の背中を後ろから見たとき、 会うのが怖い、と思ってしまった 怖い、という感情が、 いつかの感情に重なった気がしたけれど それはいつのことだったのかわからない (51) 2022/05/28(Sat) 13:43:51 |
【人】 雨宮 瀬里「 ………こんにちは、蓮司さん? 」 名前を口にして、 どこか違和感があったのは何故だろうか もしかしたら蓮司さん≠ネどと 私は、呼んでいなかったのかもしれない (52) 2022/05/28(Sat) 13:44:12 |
【人】 雨宮 瀬里その人がこちらを振り向く。 二色の瞳がとてもきれいで、だけど、私は、 「 ……?? 」 何かが、とても違和感で。 「 目、大丈夫、なんですか 」 陽の光の下 、美しく煌めく二色の瞳に、何が大丈夫じゃない≠アとがあるというのか それもわからないまま、私は本能的に、 そんな言葉を、口にしていた。 * (53) 2022/05/28(Sat) 13:44:53 |
【人】 雨宮 瀬里きっと私はその人に瀬里≠ニ呼ばれていたのだろう その呼び方はどこかしっくりときて私は縦に首を振る それと同時になにかデジャブのような違和感を感じて 心の奥底がほんのわずかに軋む 「 ……そうですね、かっこいいですよ 」 ほらまただ。 少し戯けて掛けられた言葉、 何も文脈としておかしくはないのに、 なにか、なにかが、ひっかかる。 (57) 2022/05/28(Sat) 16:01:41 |
【人】 雨宮 瀬里「 うん。初めましてでは、ないみたい でも、憶えてないんです 」 貴方もですよね、って確認するように。 貴方の声も、顔も、憶えてはいないけれど それでも、どこか、穏やかな気持ちで話せたのは。 やっぱり絆があったから、ということなのだろうか。 その人に翼はない。 だけど、手紙の中には「恋矢」が、と書いてあった 同種であることを前提に、私は話をする。 これで相手が恋天使じゃなかったら…ふと不安になって 私は背中の羽を揺らしてみせて、貴方の視線の先を確かめた。 …羽根が見えていなさそうなら、 ほんの少し、不安な顔は見せただろう。 (58) 2022/05/28(Sat) 16:02:12 |
【人】 雨宮 瀬里「 あの 」 そうして私は貴方にあの封筒を差し出す。 恐らく貴方の文字で、瀬里へと書かれた一通の封筒。 「 貴方に返すのも、なんか違うと思うんですけど でも。貴方にも、読んでもらいたくて 」 封筒には一度開けた跡があるから、 私が読んだものだということはすぐに分かるだろう それから、もうすこしだけ、貴方に近づいて 声を落として、小さくつぶやく (59) 2022/05/28(Sat) 16:02:26 |
【人】 雨宮 瀬里「 あのお爺さんが、 手違いで、恋矢が刺さって、 恋矢を抜いたのだと言っていました。 ……でもここにはお見合い、ってあるし 何より、これを書いた人の言葉が、 手違いで恋矢が刺さってた人のものだって 私、思えないんです。 たぶん。蓮司さんの字、だと思うんですけど ……読んでみて、ください。 」 手紙を読んでくれるのならば、その傍で。 言いたいこと、ってなんだったんでしょうね、って 私は困ったように笑いながら呟いた。 * (60) 2022/05/28(Sat) 16:02:38 |
【人】 雨宮 瀬里これは俺≠ェ書いたものじゃない。 その言葉にどこか落胆の気持ちを抱いてしまったのは 別に恋心を取り戻したい、とかいう動機じゃない。 じゃあ私を動かすものはなんだろう?って ふと考えたとき、一番に心に浮かんだのは 私の中に知らない私がいること それが、どうしてももやもやするのだと気づいた。 (66) 2022/05/28(Sat) 18:21:36 |
【人】 雨宮 瀬里「 いえ。 恋心を抱いていたらしい、のは ここにいる私、ではないので。 」 好きか?と聞かれて即答した。 好き嫌い、という感情はどこにもない。 昨日までの私たちはどこにもいない。 貴方と過ごしたらしい日々の様々な瞬間が 私の中からすっぽりと抜け落ちたまま、 私は、いつかの私の続きを歩いている。 (67) 2022/05/28(Sat) 18:21:49 |
【人】 雨宮 瀬里「 ありがとうございます。 ……助かります。 」 ここは一体どこなんだろう、とスマホを見る。 位置情報から、大体の場所が分かるはずだ。 ロックを外せば、私と貴方が並ぶ待ち受け画面が見えた。 (68) 2022/05/28(Sat) 18:22:01 |
【人】 雨宮 瀬里見覚えのない車。 見たことのあるような車。 躊躇することなく私の足は助手席へ向かい、 慣れた手つきでその扉を開く。 「 あの。 何か、思い出したら。 ううん、何も思い出さなくても。 また、連絡してもいいですか。 」 そう切り出したのは車が発進した後だったか。 スマホには、ご丁寧に貴方の連絡先も、 直前までのやり取りも、残っているようだった。 (69) 2022/05/28(Sat) 18:22:20 |
【人】 雨宮 瀬里「 恋心があるとか、ないとか、じゃなくて ……記憶。ないのが。嫌だなって。 」 貴方との記憶、じゃない。 私自身の記憶がないことが、嫌だなって思ったんだって 私は、貴方に伝えるだろう。 「 ……自分のこと、 なんでも自分で決めたいんです。 だから、昨日までの私が分からないのがすごく嫌。 おかしいな。 昔私そういう人じゃなかった筈なんですけど。 」 昔の私は、自分の意思を持たずに、 家族に、他人に、自分の評価も意思も委ねていた。 今の私は、すっかりそうでないと嫌だ、なんて …それが、変わった記憶はどこにもないのに。 * (70) 2022/05/28(Sat) 18:23:12 |
【人】 雨宮 瀬里貴方の皮肉には素直に頷いた。 きっと、昨日までの瀬里≠セって、喜ぶはずだから。 恋をしたらどうなのか、と私は考えたりはしなかった 知らない貴方に恋をするつもりもなかった。 けれど、どうしてだろうか。 恋をしてはいけない≠フだと、 そんな気持ちが無くなっていることに、 私は気づいてはいなかった。 それは、ほんの少し貴方の状態とは違っていたのかも。 (74) 2022/05/28(Sat) 19:38:16 |
【人】 雨宮 瀬里「 clarity?知ってる、というか、」 そう。私は確かにclarityを知っている。 知っているどころか、…と言葉を紡ごうとして その先に続く言葉が見当たらないのに気付く。 多分私はスマホの履歴に「灯歌」という名前を見ても それが誰だかあまり思い出せなくなっているのだろう (75) 2022/05/28(Sat) 19:38:37 |
【人】 雨宮 瀬里「 ……ううん、なんでもない。 知っている、はず、なんだけど、 あんまり思い出せないの。 これも、貴方との記憶が関係しているのかな 」 透明な歌声が車の中に響く。 不安な人を励ますような、優しい歌声。 大丈夫だよ、って背中を押してくれるような声。 私は、その声を、確かに、どこかで、 記憶を呼び起こそうとしても、靄がかかっている だけど、記憶を探るように、探すように、 ぼんやりとした瞳で、私は貴方のことを見た。 貴方は、どうしてこのひとを知っているの? そんなことを問いかけるように。 * (76) 2022/05/28(Sat) 19:38:51 |
【人】 雨宮 瀬里ぱちん、ぱちん、と指が鳴る そのたびに、何か大切な景色が色づいていく 『 私ね、変わろうと思って 』 それは確かに私の声 変わるための後押しをしてくれたのは…? 透明な歌声、跳ねるような指の音、 月明りが照らす暗がりの中で、 明るい光が私の、 私の……? 真っ赤 ななにかが、見えた気がした (79) 2022/05/28(Sat) 20:21:27 |
【人】 雨宮 瀬里 明るい光に目線を向けようとして、 車が動く。 思考は途切れる。 「 何か、思い出せそうな気がしました 」 それだけ言って小さく笑うと、 私は手元のスマホに視線を落とす。 車の中。会話などはほとんどないはず。 (80) 2022/05/28(Sat) 20:21:48 |
【人】 雨宮 瀬里スマホに残されたメールも写真も、 どれも私の知らない雨宮瀬里だった。 たくさんの景色や、たくさんの食事や、 たくさんの笑顔が、そこには残されていた。 「 楽しそう 」 私はただの感想を呟く。 他人事だけど、本当にそれは楽しそうだったから 「 恋、してたんだなって、分かります 恋をする人間と、同じ顔、してるもの。 」 恋をしたい、だとか。 同じ感情を取り戻したい。とかじゃないけれど。 スマホに残った、二人の姿は、本当に楽しそうで ……だから、私は至極当然の質問を投げかける。 (81) 2022/05/28(Sat) 20:22:03 |
【人】 雨宮 瀬里「 どうして、恋矢を抜いてしまったんでしょうね 」 貴方は知っていること。 私は覚えていないこと。 ただの、話のきっかけにすぎない。 * (82) 2022/05/28(Sat) 20:22:14 |
【人】 雨宮 瀬里「 病? ………そう。だったんだ。 」 病によって、恋矢を抜かざるを得なかった。 そんな話は今、初めて聞いた。 ううん、瀬里≠ヘ知っていたんだろう。 知ったうえで、それを受け入れたとき 私は、どう思ったんだろう。 うらやましい、の声に私は小さく微笑んだ 「 これほど楽しそうに過ごしていたのに 恋心と記憶が消えてしまったのは…… ……きっと、悔しかっただろうな。 」 恋心が消えるときの感情なんてわからないけど でも大切にしていたものを喪わざるを得ないときの 悔しさとかなら、分かる気がするから。 (86) 2022/05/28(Sat) 22:39:03 |
【人】 雨宮 瀬里駅前で車が止まる。 私が全く知らない駅だったけれど きっと家までは帰ることはできるだろう。 「 ……うん、 」 貴方の視線がこちらへと向く ここで、私が車を降りればそれでおしまい。 時々私から連絡をするかもしれない。 だけどそれもいつ終わるかはわからない。 だからと言って何もできないし、何かしようとも ── 二つの色の違う瞳を 私のスカートとお揃いの色の左目を 私が…好きだったであろう、その瞳を、 (87) 2022/05/28(Sat) 22:39:48 |
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