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【人】 鬼 紅鉄坊[ 芽の内に踏み躙られ、歪み伸びた枯れかけの植物が もしも正しく育まれていたのなら どんな色の蕾をどのように美しく開かせたのかなど。 躙った者は思い描きもしないだろう。 己の行いも忘れ、醜いと容易に引き抜こうとするだけだ。 つまりはそういうことなのだと、鬼は考える。 ] (392) 2021/06/19(Sat) 1:20:56 |
【人】 鬼 紅鉄坊同族に虐げられる人間を村から救いたいと、 山の鬼が思うことが厚顔無恥だと感じているのなら、 不快に感じたのなら謝ろう [ 反応を愉しもうとするような皮肉の棘にも、鬼は真っ直ぐに返す。 それでいて改めてはいない。 ] 私はかつて、お前の母をよく知っていた どんな夢を抱き、どんな苦しみで胸を痛めたのかも 恋い慕った男、つまりお前の父親への想いもまた 選び救おうとした理由はそこにあるのだ…… [ 続けようとした言葉は音に乗らず、僅かな話の間が空いた。 これ以上母親について語り聞かせても きっと興味を示さないだろう、示せないのだろうから。 ] (393) 2021/06/19(Sat) 1:21:15 |
【人】 鬼 紅鉄坊千太郎がどのように思わされていても、 ここにいるのが人の子を救う権利のない物怪だとしても お前を牢の中で飼い殺すことが正しいとは、私には思えん [ 表情も感情も覗い難い顔の人外であったが、 そう言い切る声は穏やかにも力強く。揺らぎなく。 想いに隠すものは一つもなく、歪んだ花嫁に全てを伝えきった。 ] (394) 2021/06/19(Sat) 1:21:31 |
【人】 鬼 紅鉄坊……さて。一つ、聞いてもいいか 花嫁と扱われる生活に、男児として思うことはないのだな [ 男であると知った時からの疑問。 今まで問わなかったのは、振る舞いを見れば答えは明白だからだ。 故に口調にも既に理解していることは表れている。 ] ならば、望むままに扱おう。私の花嫁よ [ 「選んだ」 「役目」 「相応に」 哀しい花嫁たちを妖怪達の元に送り届ける役目の鬼が、 人里で穏やかに暮らし、家庭を築く夫婦のことなどを その言葉から想起する筈はない。していい訳がない。 何を言われているのか理解しながら、態と口にした。 花嫁という肩書きの元に、「せん」を選び求める。 そんなものは助け出す為の口実でしかなかったが── 少しばかり身を引いて、立ち上がる。 ] (395) 2021/06/19(Sat) 1:21:47 |
【人】 鬼 紅鉄坊まずは共に散歩にでも行くとするか 千太郎の身体では敷地の外は難しいが…… 気分が変わるかも知れないぞ [ 未だその言葉は役目を終えてはいないのかもしれない。 屈みながら手を差し出しつつ、鬼はそう考えていた。 ] (396) 2021/06/19(Sat) 1:22:17 |
【人】 鬼 紅鉄坊── 外へ ── 昨夜は雨が降っていたから 止んだ時にはきっと、強く香っていただろうな ……ほら、六枚の弁のこの花のことだ 毎年、決まってこの時期に咲く [ 差し出した手に重なるものがあっても、拒まれても。 今繋いではいないことに変わりはない。 気遣ってしようとしたことだが、身の丈が違いすぎた。 腕を持ち上げられ続けるのは、筋肉の無い身には辛かろう。 行き過ぎては止まり、また繰り返し。共に歩くことも難儀だ。 時間を掛けて近づいたのは 昨日暮れ始めた空の下で白く咲き誇っていた花々。 あの美しい純白は、今は薄く黄色を混ぜたように色を変えていた。 ] (397) 2021/06/19(Sat) 1:22:38 |
【人】 鬼 紅鉄坊秋の終わりに実を結ぶ、それは薬の材料になる 私は実を、門の前までやって来る村の薬屋と取り引きして…… [ 語り聞かせる話がはたと止まる。 薬屋の娘を昨日、同胞の寝蔵へ届けたことを思い出したのだ。 その姉もまた昨年、花嫁となりもういないことも。 ] ……傷薬を得ているから、怪我をしたら隠さずに言うといい [ 何事も無かったように続きを語る。 あの薬屋の主には、千太郎を会わせないほうがいいだろう。 きっと辛い思いをしているから。 ]** (398) 2021/06/19(Sat) 1:22:52 |
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