【墓】 よいが来ない ミズガネ帽子を深く被り直して、俯く。 熱くなる心のままに泣いてしまいそうで、表情が崩れてしまいそうで。 誰に見られるわけでもないのに、そうしたかった。 「トラヴィス……ありがとう」 (+5) 2021/10/22(Fri) 22:08:34 |
ミズガネは、暫くの間、広間に立ち尽くしていた。 (c23) 2021/10/22(Fri) 22:09:07 |
【秘】 巫女 ユピテル → よいが来ない ミズガネ「……そう。……あのね。でも心は伝わったよ。 きっと愛おしむように触れてくれたんだって。 あのね、 温かい の。きっとミズガネの心がそうだったからよ」だから平気よ、とは言い切れません。 触れあえない事が悲しいのはユピテルも同じです。 でも、本当に一切が触れられないのではなく、 恐らくは強い感情があるなら触れた様に感じられる。 話せるのは当たり前でも、触れるのは当たり前ではなかった。 それだけは、……よかった、 のでしょうか? 思考が揺れます。「……ミズガネを、殺す人がいなかったら。もっと、」 こんな数日の触れ合いだけで引き裂かれる事もなかったのかな。 まだ彼を殺した相手の事情を知りません。 本来ユピテルはその状況で殺人についての非難は行っても、 その相手自体を責める事はない娘です。娘、“でした” 過去形になるほどには、彼女の自我が強まったのか。 或いは神ばかりを見てい瞳に映す人が現れたからか。 恐らくは、その両方がその解答でしょう。 ▼ (-205) 2021/10/23(Sat) 2:48:54 |
【秘】 巫女 ユピテル → よいが来ない ミズガネ貴方が拭おうとした手に、水滴は残りません。 でも、その雫の温かさは貴方に伝わったでしょう。だって、 何かに驚いたユピテルが泣き止んだため、拭えたのか否か。 わかりませんが感触は伝わったのが表情でわかるでしょう。 それは明確に、貴方が頬を添えた時に一瞬身体が跳ねた事と。 重ねられた唇に、確かに熱が互いに分け与えられた事。 「──……」 そして、今何が起こったか察したユピテルの表情が、 それはあの日の夜に何度かみせたような 急な頬の赤さは、確かに唇を重ね合えた事を物語っていました。 「……あの、……──」 感情が動く余り、浮かばない言葉。 嬉しさと驚きと衝撃で、何かを伝えようとして。 その理由や可能性を沢山考えて、でも結局最後に出たのは。 「……──だいすき 」 己の心をずっと占めている彼への感情を表すたった一つの、 酷く単純で、けれど魔法のような温かさを持つ言葉でした。 ▼ (-208) 2021/10/23(Sat) 2:53:44 |
【秘】 巫女 ユピテル → よいが来ない ミズガネ「……ふふ。もう謝らなくてよくなったわね」 照れ隠しに、そう切り出しました。 一次的だったのか気持ちの問題なのか、まだわかりませんが。 ユピテルを、愛しいと例えてくれた人の涙は止まりました。 貴方が謝る理由なんて一つもないのです。 助けられなかったのも気付けなかったのも己ですから。 でも自分達はすぐに同じような事を考えるから 「これでおしまい」と笑います。 それから竪琴に視線を移して、素直に頷きました。 「あら、私が寂しくて勝手に抱いていただけよ。 ごめんね、名前のような物がうっかり見えちゃって。 なら、……守れてよかった。 何より貴方の事をちゃんと愛してくれていた人が、 家族に居た事が、その“証”が残っている事が。 ──きっと、まだ愛されてると思うよ。弟とお兄さんに」 (-209) 2021/10/23(Sat) 3:06:13 |
【墓】 よいが来ない ミズガネ「……トラヴィス。礼を言う。 …………前のことは一生根に持つが、この恩もまたきっと忘れないだろう」 舞台人の一挙一動を見届けて、独り言つ。 皆が同じように願ってくれるか分からないからこれは賭けだ。 でも、「願えば何かが変わるかもしれない」という予感だけは男の中でほんの少し芽生えていた。 揺蕩っていた夢の底から、少しずつ浮き上がってきているのだろう。 「リーパー。俺を殺して満足したか?神隠しに遭わせてしまえば何も出来ないと思ったか? 俺が壇上から引き摺り下ろされて大人しくしている人間だと思ったなら。 その身をもって考えを改めることだな、ご愁傷様。 自堕落に溺れる俺を動かしたのは、お前だよ」 男は身勝手な性格で、身勝手な理由で動く人間だ。 だから、どこかの宇宙服に身を包んだ男にもし問いかけられたとしても、「俺が救いたかったのは少女だから知ったことではない」と述べるだろう。 …… 少女が『彼も救いたい』と願うなら話は別かもしれないが。 今その少女は、眠りについたままだ。 「本当はお前のこと、もっと知れたのならよかったんだがな」 (+11) 2021/10/23(Sat) 4:10:39 |
【墓】 よいが来ない ミズガネ「少女の内側に潜む殺人鬼。題材としては非常に面白い。 作家はそこからミステリでも悲劇でもなんでも膨らませるだろうし、詩人ものびのびと感情を乗せて歌い上げるだろう。 でもな……」 ▽ (+12) 2021/10/23(Sat) 4:11:31 |
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