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【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク共犯者にだけ話したことがある。 ニエカワを救助まで生かしたいなら、 全員分の食糧を掻き集めなければならないと。 薬だけで病は治らない。 それには体力が必要で、その体力を維持させるには食糧が必要だ。 「……言わせんですか、それを」 言わなければ。 肯定しなければ。 「…………そう、ですよ」 絞り出すような声で、漸く、一言呟いた。 天秤が傾いた方を優先した。 ただ、それだけ。 技師が亡き今、自分が一番年嵩だ。 たとえ大人と呼べる歳だろうと、 貴方だって男からすれば子供である。 あの少年一人の未来と命は。 貴方達全員の未来と命より、ずっと軽かった。 (-84) 2021/07/09(Fri) 11:26:02 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「あンな死に方選んだ訳を聞いてンだが―― ……。…………、―― ぇ、? 」初め、囁かれたそれこそが答えだとは思わなかった。 だから変わらぬ調子で言葉を紡いで、不意に途切れて。 沈黙の末、小さな声が口から洩れた。 半ば呆然とした様体で、死んだ男の顔を見る。 左の耳朶、光る飾りは妙に浮いていて。 ――死人ってのは、 死んだときの恰好で現れる決まりなんだろか。 そんな場違いな事を片隅で考え乍ら、 よく回る筈の口は、短く。問い掛けの形に動いていた。 こと 「……そンな理由で?」 (-87) 2021/07/09(Fri) 14:26:51 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「はい。 無駄な、足掻きでしたね、思いついた頃には。 誰かが誰かのために望む死が他にあるのならば、 あなたは残る可能性がありました。 今となっては、わかりませんが。 私は、生きるよりも大切なことはあると学びましたから。 あなたが望んだことどおりに運ぶ可能性もありました。 私は、あなたが望んだ通り、 子供たちのために死ぬ大人ができたと思っています。 取引通り、食事と一緒に。 他の荷物は渡せませんでしたから、遠くへやりました。 まだ、疑問がありますか。 生前からいっていたとおりです」 問いかけを繰り返している自覚がある。 死因に関しては、自分は一切関わっていなかったから、……それを気にしているのだろうか? 「首を切り落とされていたことに関してですか? ……、……。 あれは、痛いのも、苦しむのも嫌でしたから」 本当は、理由はたくさんある。 あえて告げていないものもある。 それを生きている目の前の青年に言うべきかを迷い、呟いた。 二度と会えないはずだったのだから。どうせならば。 ▼ (-89) 2021/07/09(Fri) 15:03:17 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「死にたく、ありませんでした。 一人で、……自分の意思で死ぬのが怖くなりました。 このままでは取引ができなくなると思い、 死に方を教わって、手伝ってもらいました。 私の飢えは空腹ではありませんでしたから。 このままでは約束を違えて、生かそうとしたでしょう。 だから、殺されました、殺してもらいました。 最後にほしかったものも、あなたから貰えましたから。 後悔は、ありません」 (-90) 2021/07/09(Fri) 15:05:07 |
【秘】 遊惰 ロク → 諦念 セナハラ「……そうかい」 突き飛ばす様に胸元から手を離す。 沈黙の長さ、答える語調。 何より雄弁なそれらを前にして、虚しさが胸に広がる。 これは、余談だけれども。 女の医者――技師と、話をした時のこと。 男は、薬が足りてンなら大丈夫だなァ、と思った。 食う人数を減らすことをとうに決めて、行動に移していたから。 それで足りると、愚かにも信じていた。 その間違いは正されず、今もまだ、信じた儘でいる。 ダラリと手を下ろして、独り言ちる。 熱を失ったあの子との会話。尽きぬ悔恨。 「……おれァ、あの子に。 自分の分まで生きてくれなんて、言われたくなかった。 自分のこと、……ッ、“食料”なんて、 そンなひでェこと、……言わせたかなかった」▼ (-95) 2021/07/09(Fri) 18:08:55 |
【秘】 遊惰 ロク → 諦念 セナハラ ベッドの上、シーツに包まれた死人を見下ろす。 眼前の医者を詰る言葉は―― そっくりその儘、この男自身にだって言える事だった。 手酷いエゴだ。 己が望んだ男の死体を前にして、 その死を弔うより先に、喪われた別の生を悼んでいる。 「――“仕方なかった”だってよ、お医者サン」 目を逸らす様に、雨戸の閉まった窓を見る。 雨の音が、ひどく煩い。 「仕方なかったンだと。長くはねェのわかってて、 どうせ死ぬなら、みんなが助かる方がいいってさ」 誰の言葉とも明言せず、そう告げた。 あの子は恨んじゃいない、なんて真っ直ぐには。 恨み言を吐き散らした口では到底、伝えられなかった。 (-96) 2021/07/09(Fri) 18:15:09 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロクその言葉に顔を歪め、強く首を振った。 まるで死者から直接聞いたかのような言葉が、心の傷口を開けていく。 「──……ぁあ、五月蝿い 五月蝿い!! 作り話なら結構だ!さっさと出て行け!!」 肯定されるのが何よりも苦しい。 自分が殺した人々が、最初から存在しなかったように思えてしまう。 否定され、人でなしと罵られる方が何倍も良かった。 男はずっとそう言われながら、これまで生きてきたのだから。 (-99) 2021/07/09(Fri) 18:50:52 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク 目を逸らしていたそれを正面から突き付けられて。 指の先から心の臓まで、余さず冷え切っていく心地がした。 ――そりゃァそうだろう。 、、、 好き好んで死ぬ程――文字通り、死ぬ程―― 怖い思いをしたい人間なんて、そうそう居はしまい。 「……なンで、そこまでして」 なのに眼前の男は、それでも死んだと言う。 死ぬ事より反故にする事の方が重かったとでもいうのか。 あんなの所詮はただの口約束で、 舌先三寸、幾らでもカンタンに破れたろうに。 ――おれが死ぬとこ見たくねェって、 死んでほしくねェって、なんでそんなこと言うんだろ。 ぐるぐると糖の足りない頭の中で渦巻いて、巡らして、 考えるからクラリと眩暈がする。▼ (-106) 2021/07/09(Fri) 20:36:57 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「――だれに、手伝ってもらったんだ? あの医者ではなさそうだったけども。 そンで空腹じゃねェ飢えって、なんのことかねェ。 ……生かそうとしたって、だれのことを? “だから”って、なにがどう、“だから”なんだ? そンで。まるで見当がつかねェんだけども、 ――お前サンのほしかったものって、なんだろ」 “あれナニこれナニどうなってンの”と 五月蝿い子どもみたいに、尽きない問いを幾つも重ねた。 (-107) 2021/07/09(Fri) 20:37:33 |
【秘】 遊惰 ロク → 諦念 セナハラ「……だよなァ」 チラリとそちらへ視線を向けて、それから又逸らす。 そのまま、淡々と語りかける。 「作りバナシじゃねェって言っても聞かねェんだろ。 お前サン、耳塞いじまってスグには無理なンだろうよ」 知った口を効きながら、右手は無意識のうちに耳を擦る。 過去、幾つも声を聞いた。 それらに耳を塞いできた。 死人は優しいことばかりを口にする。 男はそれを知っている。 だからずっと只の幻覚だと言い聞かせてきた。 愈々それじゃ片付けられなくなったのは、あの子と話をしたからだ。 「あの子、お前サンのこと嫌いじゃねェってよ。 そんくらいは覚えててやンな。 ……そうじゃねェと、浮かばれねェや」 踵を返す間際、一度だけベッドの上へ目を遣って。 そンじゃこれにて。ヒラリと手を振り部屋を出て行った。 (-111) 2021/07/09(Fri) 23:32:44 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロクそうして部屋に静けさが戻る。 肩で息をする男が、一人残された。 「……嫌いじゃないってねえ、言われても」 「好かれる様に笑ってるんだから、当然でしょうよ……」 吐き捨てる様に呟き、作業を再開する。 遺体をシーツで包み終えれば、毛布でさらに覆った。 火葬もできない今、腐敗臭をなるべく広めないようにするしかない。 出来る事と言えば、これくらいだ。 「結局誰に殺して貰ったんですか、貴方」 骸にひとつ問うた後、男も部屋を後にした。 (-118) 2021/07/10(Sat) 6:33:42 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「あなたが、いったんじゃないですか。 大人は、子供を守るべきだって」 きれいに見える言葉を並べて、対面を繕って相手の気持ちに寄り添うのが商人の世渡り。 いくら無愛想でも面白い人間には寄ってくる、主人はそういった。あなたはそう言ってくれましたが、私はいつまで立ってもつまらない人間でしたよ。 「誰に。タマオさんに。 ものが触れるらしかったので、そのまま頼みました。 何のこと。 話せる相手がほしかったんですよ、それだけです。 誰のこと。 約束の子どもたち以外に、あなたを考えました。 限界とはわかりつつ、です。 なにが。 だから、子供を害しそうな私は死んでしまったほうが、 彼らのためになると思いました。 欲しかったものは……、 私だけのものですよ」 一つ一つ丁寧に答えた。 あなたが納得しないのをわかりながらそれでも、答えた。 (-119) 2021/07/10(Sat) 6:51:58 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク 一つ一つ、キッチリ返された答えを聞いて。 尚も納得とは程遠くに居る。 近づく必要が、あるんだろうか。 商人の頭の左っかし。白く光るそれを見遣り乍ら、 己の右の耳介をトンと指で叩く。 「そいつのことかい。 ……ンな大層なモンやったつもりは、なかったんだが」 叩いた指の、爪の間。 黒く澱んだ赤色が僅かに残っている。 「おれが、言ったからって。 それ律儀に守って死ねるモンなのか。 商人ってのは、……ちげェよな、損が勝ちすぎてら」 堂々巡り、千日手。 ……それよかちっとはマシだと思うが。 あと幾つ重ねれば足りるのか、サッパリ分からない。 「……お前サン、どうして死んでくれたンだろ」 (-121) 2021/07/10(Sat) 12:07:46 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「…………答えることが変わりません。 誰かから聞いてきますかね? 私の言葉は正しくないかもしれませんから」 手元の黒い毛玉を離すと、猫は廊下をかけてふっと消えてしまう。 「他に話したいことは、してほしいことはありませんか? 私先程確認しましたが、あなたの死は取引に入れてません。 あなたがそういうのでしたら、同じです。 それこそあなたも死ぬ必要なんてないんですよ。 律儀に食べないなんて、損な生き方をしていますね」 (-123) 2021/07/10(Sat) 12:25:16 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「『取引だから』『約束したから』、 それがそンなに大事なことかねェ」 駆けてった猫を目で追って、 消えた辺りを見つめ乍らポツリポツリと言葉を吐く。 「……産みの親は顔も名前も分からねェ。 上のきょうだいはいたらしいが覚えちゃいねェ。 とこ クソみてェな孤児院で何遍も盗みはたらいて、 隠すのばっかりハンパに上手になっちまったから 養子にとられてあいつらおいてく羽目になって。 銭盗って逃げても、女子ひとり迎えにいけやしねェ。 ――そンで逃げ込んだ先でガキも守れず、 手ェ汚さずに人様死なせた。 こんなロクデナシ、生きてく必要もなかろうよ」 いつかの問いのやり直し。 あの子らが生き延びて満たされて、おれも生きてる未来の話。 夢物語だと思ったから、簡単に答えられた。 男の出した本当の答えは、『そんな未来はやってこない』。 ふっと顔ごと視線を動かし、琥珀を見つめる。 紫に黒を僅かに落とした様な、暗い色した瞳で問う。 「なァ、商人サン。『取引』すりゃァ、おれのこと。 お前サンが死なせてくれんのかなァ」 (-138) 2021/07/10(Sat) 14:53:32 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「ミロクとしての生き方に、それしか有りませんから」 "ミロク"は"商人としてもらった名前"だ。 「あなたが"目的"と"言い値の金銭"を払ってくれるのならば。 取引は出来ますよ? 私を、納得させられる目的ならば、ですが。 それがあなたに必要なことならば、 私は叶えてあげたいですね。 目的に、倫理を問いはしますが、 取引に信頼と倫理は関係ありませんから」 どうしてそう思ったのか、あなたに訪ねるでしょう。 隠し事をさせず出来る限り納得するまで問うでしょう。 その結果与えるものが凶器でも、罪でも、死でも。 取引として渡せる物ならば、私は、与えるのでしょう。 (-139) 2021/07/10(Sat) 15:23:53 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「生き方、生き方ねェ。 それ言うなら、おれァロクでもねェ生き方しか知らねェや」 上着のポケットに手を突っ込む。 体を揺すって、弾みをつけて口を開く。 「一緒に育った子らがいんだけども。 あいつら、死んでたんだ。おれがあそこを出てスグに、 火事でみィんな死んじまったんだと。 ……おれァそのこと知りもせず、他人と手紙で話してた。 二十歳になったら会いに行くって、 ハハ、そんな約束、する相手ももういなかったってのに」 空笑って、ポケットの中、見えぬそこで手を握って。 あと一年もなかったのになァ、と呟いた。▼ (-146) 2021/07/10(Sat) 17:15:54 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「たまにあいつらのことは見えてた。 おれのこと見て、心配そうな顔してんだ。 寂しくってマボロシ見てンだなァって思った。 ――あいつらが死んでたの知った日からかなァ、 これまで静かだった癖、口きく様になっちまって」 右の耳介を一度なぞる。 捨てようとした銭の代わりに色取り取りの石を選んだ理由。 “死人に強請られたから”なんて言える筈も無かろう。 「おれの頭がオカシイからだと思ってた。 ……今もちっとはそう思ってるけども」 商人の頬の辺りに伸ばした手が、空を切る。 触れられないのは本当の本当にそこに居ないからで、 全て妄想でしかない可能性だって大いにあるのだけど。▼ (-147) 2021/07/10(Sat) 17:17:16 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「でもお前サン、おれの頭ン中から 出てきたにしてはややこしいんだよなァ」 指の先、透けた耳飾りを見てヘラリと笑う。 まさかこんなものをつけて死んでいるとも、 つけた儘出てくるとも思わなかった。 「このとおり、おれには後も先もねェんだけども。 納得してくれるかねェ、お前サン」 (-148) 2021/07/10(Sat) 17:18:11 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「……触れたいのなら触れますか?」 男は青年の空を切ったあとの手を掴んだ。 体温も何も感じられない。ただの手。 確かに実在し、今だけは強く握り返された。 「気狂いと言われるぐらいの思考をしていますが、 この社会に暮らして問題のない教養はつけました。 だから、信じてくださいね。世迷言ではないと。 私は死んでいて、あなたは生きています。 今までのものが幻覚だとしても、今だけは本物です。 そして、今、 一人分の命の重さ だけで、ここにいます。わかりませんよね。 私も、こうなるまで知りませんでした。 今の私は、 誰か一人を死の世界に誘うために存在しています。 同時に、連れていけばもう、口を利く事はないのでしょう」 「私が差し出せる最後の価値です、もらっていきますか?」 (-153) 2021/07/10(Sat) 17:56:32 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク 突然掴まれた手に、ビクリと肩を震わせる。 熱を失った、冷たい手。 ジッと見つめて、確かめる様に緩く握り返す。 「……お前サンきっと、 頼んだらこの手で殺してくれんだろな」 そうしてその“最後の価値”とやらを差し出して、 跡形も無く消えてしまうのだろう。 「――もらわねェよ。ちいせェガキじゃねェんだ、 手ェ引いて連れてってもらう必要はねェや」 握られた手から力を抜いて、笑いかける。 いつものカラリとした笑い顔―― ――を作ろうとして、眉の下がってしまった様な顔。 下手くそに笑った顔の儘、質問を一つ投げかける。 「……ひとつ、言ってもらいてェことがあったんだが。 “誘う”ってのに、そいつは数えられちまうのかなァ」 殺してくれと死なせてくれは、似ている様でまるで違う。 ――欲しいのは、望むのは。 少年一人分で欠けて、広がった。理由を埋めてくれる事。 (-156) 2021/07/10(Sat) 19:19:58 |
【人】 遊惰 ロク>>17 >>18 >>19 【調理室】 少年の言葉に、僅かに笑みを濁らせる。 この状況だ。言っている意味は直ぐに分かった。 「そうかい。せっかく焼いてくれたんだ、 “会いに”いくのはこれ食ってからにしようかねェ」 イタダキマス、と皿の上に手を合わせてから。 薄い肉を一切れ、口に放り込んで咀嚼する。 ――嚥下しづらいのは、込み上げる嘔吐感は。 久しぶりの食事に体が驚いたからかもしれないし、 肉の正体を思って心が拒絶していたからかもしれない。 ……どちらでも良いと思った。 この場で男が口にしたのはきっと、その一切れだけだ。 空腹を満たすための食事では無いから。 (20) 2021/07/10(Sat) 19:38:48 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「……意地悪をしました。 ロクさんがそう言ってくれると思ったので。 死んでほしくなくて。……伝わればいいと思いました」 今までよりも言葉に感情がこもってしまう。 取引に納得ができなくても、男は応じてきた。 だけどもしかしたら、やめてくれるかと思って魂を売った。 結果は……願ったとおりだった。 あなたが悲しそうな顔をしていなければ。 「数えませんよ。 ……私、その力がなくともあなたを殺せますから」 拗ねたように告げる言葉はあまりに物騒で。 きっと本当のことなのだろうと予測できた。 先程よりよっぽどわかりやすくあなたからそっぽを向いて、 聞きたくない言葉が訪れるのを恐れている。 もう隠す必要はない、ほしい言葉はもらってしまった。 一度でも、この問いに断られた事実が何よりも嬉しかった。 だから、彼が望むままに取引ができて、叶えられるのなら。 それはきっと自分にとって尊い想い出になると思った。 (-158) 2021/07/10(Sat) 19:48:51 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「……、ハ、」 端の吊りあがった口から、 笑いとも溜め息ともつかぬ吐息が洩れる。 クロスグリの瞳がグシャリと歪む。 「……、自分の分まで生きてくれってさァ、言われんだ。 恨んじゃいねェって、そればっかし、」 胸が塞がって、喉が詰まる心地がする。 らしくも無く訥々と、途切れがちに言葉を紡ぐ。 「――おれはもう、終いにしてェのに。 これ以上、生きてたって。しかたねェってのに」 死人の言葉は呪いだ。それを捻じ伏せるに足る理由も、 生きている人間が一人減る毎、薄まって―― いつの間にやら、消えてしまった。 最早これは、誰かの為の死では無くなってしまった。 ……男が死なずとも、残った子どもは生きていける。▼ (-161) 2021/07/10(Sat) 22:27:38 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク 昔々に死んだ子どもらも、ここで死んだ少年も。 優しい事ばかりを口にして、 誰一人として言ってくれはしなかった。 「 『死んじまえ』 って、言ってくれ。……頼むから、 おれのせいで死んだクセ、 “死んでほしくない”なんて、 そんな、……ッ、訳のわからねェこと、言わねェで」 たった一言で良いんだ、 楽になれる そうすりゃ全部を振り払って、漸く死ねる。 「……もう、痛いのも、苦しいのも、……いやだ……」 俯いて、左手で目元を覆う様にして。 草臥れ切った大人の様な、怯え切った子どもの様な。 消え入りそうな声で幽かに呟いた。 (-162) 2021/07/10(Sat) 22:28:33 |
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