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【独】 終焉の獣 リヴァイ/* 江頭2:50みたいな声出た。明日もなんやかんやで行かなきゃなので書くけどタイムオーバーしたらごめんなさい。 もうなるはやで行こう。私も頑張るマン。殺しちゃうよォ〜ん………(死) (-68) 2020/12/09(Wed) 1:23:52 |
【秘】 終焉の獣 リヴァイ → 征伐者 ヴィルヘルム(奥底に注ぎ込まれる生命の液が、暖かくて心地がいい。 ゆっくりと注ぎ込まれる度に、心が満たされていく。 自分を求めて名を呼ぶ声も、掻き抱かれる感触も、 孤独に身を浸していた獣には離れがたいものだった。) ─────はぁ 、 ぁ ッ……… 、 [熱い吐息をとろかしながら、懇願に応じるように腕を伸ばして、相手を優しく抱きしめる。 誰にも愛されなかった子供を包んで暖めるように肌を寄せ、凍り付いた心を溶かそうとする。 そこに誰かを重ねていようがなかろうが、そうして身を捧げてしまうのが自分の本質でもあった。 ……そうやって、熱が落ち着くまで抱き合って互いの存在を感じていた。] (-72) 2020/12/09(Wed) 12:20:40 |
【秘】 終焉の獣 リヴァイ → 征伐者 ヴィルヘルム[全てを受け止め、繋ぎとめる役目を終えた尾は今度こそ効力が切れたように力を失う。身じろぎひとつで寝台の淵から滑り落ち、床を這うだけの装飾品へと変わっていった。何れ朝日と共に塵のように消えていくのだろう。 硬度はなくなれど、未だに図体の大きい一物を引き抜く刺激に軽く呻きを上げたものの、今は中に出された暖かな感覚の余韻に溺れていたかった。 強制されようとも相手を受け入れたのは自分で、最後を促したのも自分だ。破廉恥な過去に気づかなくとも、抗議をする気は起きなかった。 相手と自分の二重苦の拘束から解き放たれて、熱された肺に冷たい酸素が一気に吹き込まれれば、長時間重力に耐えて呼吸に苦しんでいたことを理解する。 ■しくて、 それでも未だに離れがたくて、くびれに添えられた手に縋るように相手に寄り添いその胸に触れる。どこまでも恋人の真似事のように。] ……馬鹿か。 お前が待っていると言ったんだろ。 それに───あんな餞別を受けて忘れる筈もない。 いつまでもあのきな臭い国にも滞在できんし、 (もうどこにも行けなくなったから。 そう言いかけて、やめた。) [一瞬、切なそうに眼を細めてから相手の顔を見上げようとした。 落とされた問いかけに応えようとして、ずれた包帯から露出した肌が視界に入る。呪いの如く刻み込まれた禍々しい文様に思わず瞬いた。] (-73) 2020/12/09(Wed) 12:20:47 |
【秘】 終焉の獣 リヴァイ → 征伐者 ヴィルヘルム(何れは来るべき定めなのだと分かっている。 傾いてしまった砂時計は半分を切り、 互いの寿命が残り少ない事実だってとっくのとうに。 後悔なんて微塵もしていない筈なのに この胸に刺さる痛みはなんだ。……どうして。) ……私なんかはどうだっていい。 何れ痛みなんぞ感じる身体じゃなくなる。 ─────お前は、 [一度身体を重ねたくらいでなにかが変わったわけでもないのに。 ぼろぼろの身体に触れたくて、労わりたくて仕方がなかった。 鋭さを失った指先が優しく胸のシギルをなぞる。 込み上げてくるのは苛立ちと悲しみ。 自分の獲物だとさんざ叫んできたものの、何れは此奴も離れていってしまうんじゃないか。そんな無駄な不安感が心を襲う。 暫く眉を下げた儘無意識に触れ続け───不意に胸板に額を押し付けて目を閉じた。] (-74) 2020/12/09(Wed) 12:20:52 |
【秘】 終焉の獣 リヴァイ → 征伐者 ヴィルヘルム(今はまだ、此処にいる。 傍にいる。 ……一人じゃない。 微かに聞こえる鼓動と体温に乱される心を落ち着かせる。 らしくもないが今夜だけは誰かと寄り添いたいから。) …………暫く、こうさせていてくれないか。 [相手の返事を聞く前に、意識が溶けて闇に沈んでいく。 あの日の夜を想起しそうな光景であるが、自分の意思で身を寄せたのはこれが初めてだった。 何れ微かな寝息がそこで聞こえてくるのだろうが───見る夢はきっと心地のいいモノなんかじゃない筈だから、縋れる存在があってほしい。 我儘な夜の魔法が朝日に解けてしまうまで。 …… 皇帝の自室に呼び掛ける従者の声に、昔よりも弱弱しいケンタウロスの咆哮を轟かせるまで。*] (-75) 2020/12/09(Wed) 12:20:56 |
【独】 終焉の獣 リヴァイ/* ただでさえ遅いのでもう少し情事書きたかったけど最低限の拾いになったごめんご!!!!!!!!!! こっちもラストに言いたいことは決まってるからそこだけ書いておきます。 ア!さすがに間に合う予感がしないので延長希望してもいいですか……すみませ…… (-71) 2020/12/09(Wed) 12:22:48 |
【秘】 征伐者 ヴィルヘルム → 終焉の獣 リヴァイ[些細な机仕事を終えて眠る筈だった身体は消耗に飲まれ、深く寝台に沈み込みながら、散らばった黒髪をすくい上げては眠りやすい方向に纏めてやっていた。 垂れ下がった尾の生え際までを何度か撫で下ろすのは、どんな姿であっても恐れを抱かない心の表れ。 怪物、犯罪者と呼ばれ続けた彼女の人ならざる形を愛でるように触れ──── 其処に在ったのは、同じ“人殺し”であるからという妙な安心感だったのかも知れない。 二人は運命に翻弄され、見知った顔を幾度となく手に掛け、臨終の場所のみを選んだ愚かなコヨーテ。 褥を共にしながら心の奥底までは通わせず、答えに気付けぬまま即物的な充足感に身を委ねるからこそ相応しく。] そうか。ならばおまえにも解らんのだろうな。 待ち遠しくも口惜しい、此の想いの出処は…… [その視線の向かう先を悟ってこそいたが、快方へ傾く事の無い病の様な呪いに負の感情を抱かれるのは不可抗力。 生い立ちや運命を呪った事はなかったが、それでさえ操作された思考なのではないか────と、今なら思える。 継承した先祖の記憶は既に抜け落ちて、今や歴代夫人の名も幾つかは忘れてしまった。 ベストラ公を滅亡させた瞬間から始まった緩やかな終末に、残忍さと薄情さを覚えたのは言うまでもない。] [其れを施した人間も、この手で葬り、見送ってしまった。] (-101) 2020/12/10(Thu) 8:20:10 |
【秘】 征伐者 ヴィルヘルム → 終焉の獣 リヴァイ[学生時代より一回りは分厚くなった胸の上に乗る柔らかな重みが心地好く、目を閉じたのを視線で追えば、片腕で傍らの敷妙をそっと引き寄せた。 続く言葉を推理出来るほどの気力もなく、抗い難い睡魔が直ぐに襲い来る。全身を苛んでいた異様な熱は去りつつあり、自分より少し低い体温だけが傍にある。 更に深く脚を絡めれば、今度は此方が逃がさない様に。其れこそが返答の代わり。] ( 何処にも行かない。 ) [偶然にも浮かべたのは、不安げに触れた手付きへの純粋な想い。そして……] (-102) 2020/12/10(Thu) 8:20:44 |
【秘】 征伐者 ヴィルヘルム → 終焉の獣 リヴァイ( ────神にさえ奪わせはしない ) [一本道の途中で漸く見付けられた暖かな夜の色を、 自分と共に終わらせる。必ず一緒に連れていく。 其れは敬愛か、執着か?] (-103) 2020/12/10(Thu) 8:21:24 |
【秘】 征伐者 ヴィルヘルム → 終焉の獣 リヴァイ[後先考えずに交合った夜を咎める者は此処にはない。 生まれた土地を捨て、国境を越えたからには。 暖炉から漏れる光が寝台の影を壁に映し出す。少し弱まった火では肌寒いから、温もりを逃がすまいと掛け衾を被った。 眠りにつくのを見守る前に、 瞼も意識を連れ降りて行った。 宿業は果たされ、禁術が少しずつ解けていく。 もう誰を恨む事もなければ、復讐鬼でもない。 唯の男に成りつつある魂は安らぎに満たされて、 産まれた儘の姿で無防備に睡る。 月のない夜、相変わらず降り頻る雫が窓を叩いていた。 もうじき雪に変わるであろう、冷たい雨が。] (-104) 2020/12/10(Thu) 8:21:55 |
【秘】 終焉の獣 リヴァイ → 征伐者 ヴィルヘルム[明らかに自分のものではない血を浴びすぎた身体はどんなに雨に打たれようと死臭だけは隠し切れない筈なのに、自分を撫でる手つきはどこまでも優しくて妙に擽ったい。 常人であれば恐怖しか抱かないであろう禍々しい人外の部位にまで触れられるのは初めてで、些か混乱さえ覚えたほどだ。 己を好いていた後輩でさえもその見目に恐れをなし、一斉に武器を構えるさまばかり見ていた限りではありえないその行為。 人を食った化け物を前にして随分と余裕ではないか、と呆れを抱くのはつかの間。奇妙なまでに満たされてしまう理由がわからなくて。] (……ばかな奴。 其の儘頭から喰ってしまってもおかしくないのにな。) わかるわけないだろう。 考える価値さえない……何れ終わることだ。 (……こんな無防備な獲物、 喰う気さえも起きないのだが。) [それどころか、離れがたいとさえ思ってしまう矛盾の理由を見つけ出せずにいる。 互いに狂ってしまった歯車を元に戻すなんてできやしないのに、それを願わずにはいられなかった。 自分にできる最後の救済措置が一番残酷なものしかないことなんかずっと前から知っていた癖に。 ────望まれた喪失ではなかった筈なのに絡まれる足が嬉しくて、今は穢れに焦がれていたい。] (こんな私を拒まない。こんな私から離れない。 此奴が救われることの無い末路を歩むというのなら、) (-112) 2020/12/10(Thu) 21:41:57 |
【秘】 終焉の獣 リヴァイ → 征伐者 ヴィルヘルム (────私がこの手で命を狩り取るまで。) [初心な夜に、誓いを立てよう。 罪の上に罪を重ねて、世界から否定されようとも絶対に。 獣性ではない己の意思で、最後まで征服者を演じ切ろう。 ────悪役になるだけでこの男を救えるのなら、 私はどこまでも堕ちていけるから。] [別れには相応しくない雪の華の前触れ。 いつだって冷たく凍える世界が、今だけは暖かい。] (-113) 2020/12/10(Thu) 21:42:00 |
【雲】 終焉の獣 リヴァイ ────現実の温もりは、夢想迄もを変えてくれない。 お伽噺の中の怪物はいつも独りぼっち。 眼前に現れた人影に喜び近寄ろうとすれば、 すぐさま頭に銃口を突きつけられる。 血に塗れた誰かが自分を指さし罵倒する。 臓物を吐く誰かが自分を睨みつけ続ける。 大切だった誰かが自分を拒絶し遠ざける。 「お前のやっていることは所詮自己満足だ」 「仇討ちなんて言い訳のひとつにしかならない」 「同胞さえも手に掛けたお前はもう─────」 「 唯の 人 一心に向けられる刃に心が悲鳴を上げても 居場所のない化け物に安息が与えられるわけがない。 息をすることさえも苦痛で仕方なくても 止める事さえ許されない……死が許されぬ生き地獄。 (D6) 2020/12/10(Thu) 21:42:03 |
【雲】 終焉の獣 リヴァイ 何時かの時。 苦痛の夢から救ってくれた人物の影が脳裏を過ぎる。 彼の名前を呼ぼうとして───錆び付いた喉が灼けた。 (名前が………言えない。思い出せない。 焼けた手紙と共に朽ち果てた少女の初恋は、 人間性と共に勢いよく崩れ落ちていく。 何れまともじゃいられなくなる予兆のように、 美しい思い出でさえも腕の中から消えていく。) (D7) 2020/12/10(Thu) 21:42:06 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ[…………最悪な目覚めであった。] [砦の中だということを忘れかけていたのかもしれない。 扉の向こうの他人の声に乙女には程遠い野太い悲鳴ですっぽり布団を被って震えていた。 昨夜の乱れ具合が嘘のように生まれたままの姿を隠し、朝の寒さに震え続ける。 随分昔の頃のように寝ぼけ、平然とした相手を恨めしそうに睨め付けた儘、差し出された服を震えた手つきで引っ掴む。もぞもぞとシーツの芋虫の如く蠢いた後、いつもよりも長い袖に不満を零しながら這い出てきた頃合い。 自分が窓を叩くまで彼が何をしていたのか。 知る機会がなければ、白紙の紙の内容さえも察せる筈もなく、 ……掛けられた言の葉に頬を染め、き、と睨みつけた。] (2) 2020/12/10(Thu) 21:42:11 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ(これほどまでに昨夜の不貞を呪ったことはない。 もう間違いは重ねないでおこうと誓ったのは 彼の言葉を本気で捉えたせいであろうか。) お前、本当に殺してやるからな……! [わなわなと振動する拳を振るうよりも先、昨夜散らばった衣服の残骸から見つけ出した短剣を引っ掴み、懐に放り込む。眼帯を探して拾い上げればしゅる、と傷跡が目立つ右目に括り付けた。 思い出したように、転がっていた真鍮製の注射器を取り上げる。 ぶかぶかとした服の袖をたくし上げれば、狂ったように注射痕の乱れ咲いた腕が曝け出された。 いつか見た事があったであろう真紅に染まった液体を、唇を噛みしめ血管の中に注ぎ込む。 …………決心の現れを、身に刻み込むように。 殆ど手ぶら同然の彼女の支度はこれにて閉幕。] [その後浴びる視線と独り歩きする噂話は、かつての学び舎を彷彿とさせる。ポーカーフェイスの仮面を被りながら、化け物の噂は立っていないかと神経を張り巡らせていたのは内緒の話。 ────そんな余計な心配も、彼が帰路の途中で寄る場所の正体を察してからは消えてなくなるのだろうが]* (3) 2020/12/10(Thu) 21:42:14 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ[かの皇帝が信仰の熱い人物だと言う話は今まで聞いたことがなかった。 故に、教会などという場で足を止める理由が追悼以外に見つからない。無関係であるのは百も承知であるが、一歩退いた場所でその様を俯きがちに見つめていた。 刺さる視線が酷く痛い。王族に擦り寄る女にしては、随分と場違いな噂が尾鰭を付いて回っている。それが大きくなればなるほど自身の首の値など信じられぬ値段になる故──彼の判断は妥当、といったところか。 帝王学部に難癖を付けておちょくってきた学生時代、彼女のことを聞いたことも無ければ直接話したこともない。 が、時折彼の傍らにいた事実のみを思い出し───「そうか」と相槌を打った。] (とっくのとうに捨て去った筈の陽だまりが、 少しずつ確実に崩れ落ちていることを改めて理解する。 その選択を、尊い犠牲を、 自分が口を出す資格なんてあるはずがなく。) (7) 2020/12/11(Fri) 9:56:45 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ(学友のみでなく、守りたかった本心とは裏腹に、 踏み台にして国家焼却炉の燃え滓にしてしまった 嘗ての同胞たちのことが頭によぎっていた。 人権さえ奪われていた彼等が 国の土の下に眠る権利を与えられるはずもない。 殺した事実を国へ公表した手前、 満足に墓も作ってやらなかったことを思い出す。 ……彼等に罵られて当然の結果だろう。) ……お前がそう決めたのであればそうなのだろう。 特に何も言いやしないさ。 争いとは生と死によって成り立っているのだから。 お前と私も。 ……そうだろう? [声を潜めた密談に肯定とも否定とも取れぬ言葉を返したのは、 どちらの立場にも立つことができない内心があってこそ。 物憂げに睫毛を馳せて───再び上げた隻眼は、真っ直ぐな意思を持っていた。] (8) 2020/12/11(Fri) 9:57:46 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ……頽れる前に私が喰ってやるから安心しろ。 苦しませはしないさ。 (懐の中で握りしめた約束が、やけに熱かった。) [悪魔の脚本通りのつまらぬ芝居などごめんであった。 チェス盤に並べるには些か駒数が少なすぎるかもしれないが、2騎もあれば勝負はできよう。 犠牲に必要か否かを問うには既に罪を重ねすぎた思考回路を無理やり望む向きに正そうとしていた。 ……未だ彼の本心にも、託した毒が使われるのかも 気付ける予兆も感じないまま。]* (9) 2020/12/11(Fri) 9:57:51 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ[搾取ばかりを繰り返し、戦乱にあけくれ、絢爛豪華な閉鎖空間で悦を得るばかりの祖国を見てきた自分には、英雄の帰還を祝うような他国の雰囲気が少しばかり眩しく見えた。] [場違いなのだとわかっていても、飛び交う真紅に圧倒される。 君主の振る舞いに刮目し、称賛を述べられ、それに応える姿は幼い頃に夢見た理想の国の姿と重なってしまう。 (権力の全てが憎らしいとさえ思っていたが、 民主主義を声高々に掲げようとも思わないのだ。 誰も搾取されず、貧困に喘がず、差別もされず、 幸福に生きていられるのなら……それで。) 数日経てば馬の扱いにも慣れ、指定された立ち位置を保ちながら民に揉まれる元学友の姿を唖然と見つめている他無かったのだ。] (ひとつの国が長年の屈辱から解放される瞬間。 誰もが縛られることがない。誰もが自由を喜んでいる。 誰もが不安を抱えることなく生きている。 血と断末魔を乗り越えた先に存在するエデンの証明。 こんな場所で、あの子と生きてみたかったとさえ。) (16) 2020/12/11(Fri) 21:15:49 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ(…………でも、 お前は?) [前よりもやや逞しくなった後ろ姿からでは 彼の表情なんかわかりやしないのだろうが、 彼が本当に心から笑っているのか自信が無くて、 やや俯いた表情を曇らせてしまった。 手元に残るは、引き裂くべき生命の運命。] (私が此処迄穢れる道を辿らなければ、 お前は唯、誰にも知られず孤独に燃え尽きたのか?) (17) 2020/12/11(Fri) 21:15:52 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ[まるで帰りを悲しむ輝夜姫のようだ。 道行く月を見上げては意識を遠ざける日々が続いていた。 毎晩毎晩戒めるように刺し込む注射器の数は日々減っていき、その効力も定かなのかさえわからなくなってくる。 悪夢に苛まれる時間が増え、学生の頃よりも寝不足になっていたのかもしれない。 煌びやかな衣装は元々余り惹かれる性格でもなければ、刻限が迫る時の中で侍女と話して交友を深めようとも思えない。 削れていく自我を徐々に感じながら、残った意識を手繰り寄せるように食事だけは噛みしめていた。人間以外で湧き出る涎こそが自分を自分たらしめる証拠だとでもいうように。] [声を掛けられたのは、夢遊病のように部屋を彷徨っていた時だった。 少し瞬いた後二つ返事で向かった先はどの部屋よりも広々としており、彼の権威を思い知らされる。 権力を何より嫌っていた癖に、大人しく王宮に収まる自分の今の状況に心の中で苦笑しながら席に着く。 ────随分と昔、学び舎の一室で似たようなことをしたことを思い出していた。] (18) 2020/12/11(Fri) 21:15:55 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ[日頃の彼の暴食っぷりを見ていれば、 糖質控えめのものでも少々眉を顰める要因にはなろう。 ……けれど、もう今は小言を言う気にもなれなかった。言えるような精神をしていない、と言うべきなのか。 つかの間に与えられた安らぎに浸るように言葉を紡ぎ、低体温症の身体に暖かな紅茶を流し込んでいく。 茶会の席で彼女が選んだドレスコードは、最初に与えられたものと同じ。黒を基調としたロング丈のワンピースの上に、男物の軍服。] お前と私じゃ価値観が違う。 生まれも育ちも違えば何れ突き当たる常識だな。 昔は全くもって理解出来やしなかったが、 今ならなんとなくわかる気がする。 私はお前では見ている景色が違いすぎるだけだ。 だけど……な。 (19) 2020/12/11(Fri) 21:15:58 |
【人】 終焉の獣 リヴァイ(自分の決めた道を真っ向から突き放すような言葉を吐かれ、 思わず頭に血が上り、我を忘れて相手を貶したことを思い出す。 あの時は互いに守りたいものが異なっていただけだというのに 馬鹿の一つ覚えのように傷つけあって、おかしなことだ。 ……どちらも決めた道から逸れないのだと知っていたのに。) ────そう聞かれれば、そうなのかもしれないな。 私もどうしてなのかは全くもってわからないのだが もう二度と自分の目の前で、自分以外の誰かが 相手自身のためではないことに苦しむことが 見ていられなかっただけなんだろうさ。 (自分は守られたいだなんて思っちゃいなかったのに、 守護の代わりに命を捨てる誰かの姿を思い浮かべて目を細めた。 ……相手の中に渦巻く感情を理解できてもいないから、 平然とそんなことを言っていられた。) [死刑宣告のような重みのある言葉に隻眼を軽く向け、返事は瞬きを数回。……承諾なんて声に出さなくてもいい筈だ。 その呼び出しの意味を、どうしようもなく理解できていたから。] (20) 2020/12/11(Fri) 21:16:02 |
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