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【赤】 灯守り 芒種[ かくして金に物を言わせた静かな攻防が始まった。 何と何を争うかなんて決まっている。 あのあと一歩なにかがずれた絶妙なセンスの数々と、だ。 父の事は許す許さないのはなしではないが 父のあれだけはどうしても許せなかった。 父を選んだ彼女は彼女自身の選択なのだから何も言わない。 けれどまだ何も自分で選べないあの赤子に 独特の感覚を刷り込むのは どうしても、どうしても耐え難かったから。 なんて。 そんなのきっと、ただの口実のひとつだった。 温かく出迎えてくれることはわかっていても あと一歩勇気が出なかったから。 実際、その後何度も繰り返し もういちどあそびにいく、いい口実として使われた。 ] (*6) 2022/01/21(Fri) 5:20:23 |
【赤】 灯守り 芒種[ 小さな赤子が言葉を覚えるのはあっという間で 自分がどういう立ち位置になるべきかなりたいか 決めるより先に『姉』の役割が与えられた。 『目上の女性』も『ねぇね』なので 否定も訂正もしないままでいたら気付いたときには すっかり彼女に『自分の姉』として認識されていた。 きっと訂正する機会はいくらでもあったのに。 どうなりたいかどうなるべきか 答えがでないのを言い訳に先延ばしにした。 はじめて、わたしと家族でいてくれる相手ができたようで 家族でありたいと願ってくれる相手ができたようで どうしても、手放すことができなかった。 ] (*7) 2022/01/21(Fri) 5:21:51 |
【赤】 灯守り 芒種[ 子供らしい甘え方の正しい解は随分と遅れて知った。 小さな子供と接する機会がなかったから。 自分が子供らしい遊びを知らなかったことも、知った。 ] ええと、……まってね? どうするのが正しいのか考えるから。 ……、……とってもおいしそう!ね? 茉莉ちゃんはお料理が上手ね。 ママに似たのね…… ええと、その……いただき、ます……? たべる?のよね?きっと、 ……え、たべ…る……、……? [ はじめて知る遊びにいつも戸惑ってしまって 子供の遊びすら上手くできないわたしを それでも懲りずに何度も遊びに誘ってくれるのが また失敗するのが怖くて、けれど嬉しくて うれしくて。 最初はへたくそだった絵本の読み聞かせも 後継としての教育以上に熱心に取り組んだ。 自分が贈った絵本を選んでくれた時に機嫌が良くなるの事に 幼い彼女が気付いた上で絵本を選んでいると気付いたときは いろんな感情がごちゃまぜになって どれが正解か悩んで軽く知恵熱をだしたりもした。 ] (*8) 2022/01/21(Fri) 5:25:20 |
【赤】 灯守り 芒種[ いつの間にかあの子がわたしの世界の中心になっていて あの子にはなんでも与えてやりたくなっていた。 例えば、そう。 わたしには与えられなかった『自由』だとか。 ] (*9) 2022/01/21(Fri) 5:25:56 |
【赤】 灯守り 芒種[ 真面目にやったところでわたしの出来は頗る悪く 何をやらせても不器用で、伸び代は早々に尽きて。 それでも父の…祖母の血筋を諦めきれない先代は 『もうひとりの娘』に目をつけた。 まだ諦めきれないわたしに競い合わせようと目論んで わたしにも、わかるように。 是が非でも退場していただこう。 たとえ今のわたしに芒種が務まらなかったとしても 知ったことではない。 そう決めるのに時間はかからず、 そう動き出すことに迷いはなかった。 幸い、芒種を失落させたい味方はたくさんいた。 みんな自分に都合のいい誰かや自分を次の芒種にしたくて その為には、今の芒種は邪魔なひとが沢山いたから…… *] (*10) 2022/01/21(Fri) 5:27:08 |
【人】 灯守り 芒種[ >>1:105いつもわたしを信じきって体重を預けてくる。 この子のことすら微塵も信じられないわたしには 決して真似できないその振る舞いは心にずっしりと重たい。 裏切りたくない、期待されるまま、或いはそれ以上に 彼女の望む立派な姉でありたい。出来もしないくせに。 願望と現実の差なんてもう嫌と言うくらい 理解しきっているはずなのに、 何度でも新たに絶望する。 ] 長い移動だったからお着物が着崩れてしまっていないか 少し鏡を見ていただけよ。 ああ、けれど……ふふっ、今また崩れてしまったかも。 暫く見ない間に、あなたがすっかり大人になっていたら どうしようかと少しだけ期待と…… たくさん心配をしていたのだけれど。 相変わらず茉莉は甘えん坊さんのままね。 (14) 2022/01/21(Fri) 5:30:03 |
【人】 灯守り 芒種[ 無邪気な笑顔は子犬みたいな愛らしさがあって 悩んでいること全部が一瞬なにもかもどうでもよくなる。 守りたいこの笑顔。 可愛さの化身か。かわいいがすぎる。 今日も妹が尊い。もはや世界遺産。 妹しか勝たん。 限界オタクと化し死んだ語彙と情緒を立て直す作業だけは プロ級なので、天使かな?とか余韻で考えつつも 一瞬たりとも表情筋が崩れることはない。 供給過多な脳内麻薬でちょっと逝ってる頭のまま 推しに蕩かされてうっとりと溢す熱っぽい吐息を、 「安心したわ」なんて取って付けた言葉で 安堵の溜息に非常に雑に擬態させておいた。 ] (15) 2022/01/21(Fri) 5:30:31 |
【人】 灯守り 芒種[ 姉の挙動がいつでもだいたいおかしいことには 一切動じることがないくせに ふと、体調ばかりを慮ろうとする心配性の気配を察した。 『助けること』が出来るようになってからは 特に顕著な気がするその癖を矯正してやりたい。 そんな自分勝手な昏い願望を胸の内に押し込めて 確かめるように重ねられた手のひらに指を絡め 指の間の温い体温を此方から奪い取りに行く。 過ぎたものを与えようかと彼女が悩むより先に 必要で充分な分だけを譲り受けるために。 ] あら、冷たかったかしら。 そうね……ここはいつでも少し肌寒いかも。 普段が普段だから、どうしても、ね。 茉莉はいつでも暖かいわね。 幾つまでこのままでいてくれるのかしら。 (16) 2022/01/21(Fri) 5:32:36 |
【人】 灯守り 芒種[ 彼女には自由を。 彼女のしたいことの邪魔はしない。 今頃立春ではなく芒種になっていたかもしれない未来を 自分が望んで、毟り取った時に決めたことだ。 今更違えるわけには行かない。 自己犠牲なんて一番選んで欲しくない能力だった。 それでも刷り込まれ押し付けられた感性でなく 体験から見つけた望みを選び取った結果なのだから 否定はしたくない。物分りのいい顔をしたい。 理解者であるような、いい顔をしていたい。 彼女のためではなく自分自身のために。 けれどそれが正解なのか、わからなくて。 どうするのが正解なのか、 幾ら悩んでも未だ答えは出ないままだった。 ] (17) 2022/01/21(Fri) 5:33:59 |
【人】 灯守り 芒種あら、もうそんな時間? 呼びにきてくれて助かったわ。 あら……こんなことで良ければ、幾らでも。 もし、誰かになにか言われたら わたしの手が冷たかったから温めていたって言えばいいわ。 本当のことだもの。 [ 時間に死ぬほどルーズな姉を意識せずフォローする 神対応に圧倒的感謝しかない。 顔がいい上に性格もよくて軽率に推せる。 しかも甘え方が可愛くてしんどい。最高オブ最高。 姉の顔は崩さずに頭の中だけで静かに発狂する。 元より離す気のない手をぎゅっと握り締められて 変な呻き声が溢れそうになったがギリギリで喘ぐのは堪えた。 手を引かれるまま歩き出す。 昔は逆だったのに頼もしくな……ったとか言いたいが 何時だって引かれる側だ。 歩幅で勝てるうちに手ぐらい引いて歩けば良かった。 実に惜しいことをした。 そんな阿呆なことを考えているなんて なぜだか妹には特に不思議と伝わらない。 ] (18) 2022/01/21(Fri) 5:34:50 |
【人】 灯守り 芒種いいわね。 一緒にお風呂に入るなんて何時振りかしら。 [ 度々軽率に暴かれ、毎度それを雑に隠すものだから。 帯を解くと家で待っている猫の機嫌を損ねるのだけれど。 推しの裸及び成長の成果を合法的に拝み 推しの浸かったお湯を浴びる魅力の前には その程度の面倒、無力でしかなかった。 「断られるかも」なんて懸念を 妹が抱いているかもしれないと、姉は考えることがない。 彼女はいつだってわたしにならなんでも叶えて貰えると 信じきっているはずだと疑っていなかったし 当たり前にそういう思考になるくらいに いつだってなんでも望まれるまま 叶えられる限り叶えてきたつもりでいたから。 *] (19) 2022/01/21(Fri) 5:37:21 |
夏至は、ここまで読んだ。 2022/01/21(Fri) 5:44:26 |
灯守り 立秋は、メモを貼った。 (a10) 2022/01/21(Fri) 7:37:42 |
【赤】 灯守り 雨水 ― ぼくのお話3 ― [先代の雨水に連れられて、外に出た時 外の光が眩しい事を久しぶりに思い出していた。] 雨水さまって 変。 こうけいしゃってやっぱり蛍っていうのからえらぶものじゃないの? きぼうしゃはいなかった? [外に出て、あれこれ知識を付けていく内にいかに先代が変な事をしているかわかるようになっていた。 先代はそれでも笑っていた。] 「蛍ねぇ、まいるやつはそれでいいんだろうけど 後継者争いになるとドロドロするって話もあるぞ〜? 希望というか……ま、その辺はな。 俺がいい、と思ったやつにするって言ってたし」 [頭をぐしゃぐしゃされた。意味がわからなかった。] (*11) 2022/01/21(Fri) 8:47:34 |
灯守り 立夏は、メモを貼った。 (a11) 2022/01/21(Fri) 12:31:10 |
【人】 “小雪” 篠花ーー現在ーー [会議で見るのは初めて顔ではあるけれど、白露の席に座っているなら白露の君なのでしょう。 そんな殆ど確信に近い目星を付けて声をかけたけど、正解だったようだ。 個人的にはーーどうかしら。 ]先の霜降の君である紫明とは仲良くさせてもらっていたから。 遊びに行ったときにもしかしたら、見かけたことはあったかも。 いきなりで驚いたかしら? ごめんなさいね。 [皿を落としかけたのを見てしまったから謝って。] 灯守り二十 小雪よ。 [初参加なのであればわからないかも、と名乗ってみましょう。] (22) 2022/01/21(Fri) 14:19:40 |
【人】 “小雪” 篠花? 何かしら? [声は聞こえたけれど、何を言ったのかまで聞き取れなくて。 聞き返そうとしたら出されたスケッチブック。 とてもシャイな子なのかしらね。] おすすめの料理……そうねぇ……。 逆に聞くけれど、苦手なものとかある? [おすすめして嫌いなものが入っていたら困る。 そんな親切心を働かせてみたわけだ。**] (23) 2022/01/21(Fri) 14:20:11 |
“小雪” 篠花は、メモを貼った。 (a12) 2022/01/21(Fri) 14:22:33 |
【赤】 灯守り“霜降” 月輪 [ ──あなたが目を覚まし、名を尋ねられた時。 何と名乗ったのでしょうか。 もし名乗らなかったり、難色を示したり、 分からない素振りを見せれば 紫明様が仮の名を名付け、私もそう呼んだでしょう。 あなたが来てくれて、私はとても嬉しかったのです。 目を覚ましたあなたは、予想通りとても可愛い子で。 その微笑みに、心を奪われてしまいそうになるくらいに。 この時は、覚醒の喜びにお人形さんのつくった 可愛い笑みの違和感に、気付かなかったですが>>*1:3。 だって、あのぼろぼろの状態で発見されて>>1:48 目覚めて動揺も見せずに笑顔を振りまくなんて。 共に笑い、学びながら過ごした日々。 お仕事で忙しい紫明様や蛍の皆様よりも、 私と触れる機会が多いのもあり、私によく懐いてくれました。 可愛い声で「お姉ちゃん」と呼んでくれて 一緒に街へとお出かけもしましたね。 この服が似合いそう、とひらひらフリルつきの パステルピンクのワンピースを眺めたり。 私の好物である、イチゴ尽くしのクレープをおすすめすれば 嬉しそうに食べてくれたり。 妹であり、友達であり、灯守りと蛍として。 あなたとの日々は、いつでもいつまでも 消えることのない、思い出です。] (*13) 2022/01/21(Fri) 18:24:53 |
【赤】 灯守り“霜降” 月輪[ 『“白露”の灯守りが居なくなった!』 嘘のような事実話は、秋の領域から徐々に広がりました。 灯守りというものは、突然消えることも少なくないらしい。 まことしやかに聞く噂を思い出します。 ──紫明様も、引退すると告げて去るまで ひと月もありませんでしたからね。 この時私は、新たな白露の候補が居ない場合、 新たな灯守り候補として、あの子を白露に推薦したのです。 思えば、何故この時推薦したのでしょうか。 ]振り返れば、見切り発車過ぎたと私自身も思います。 (*14) 2022/01/21(Fri) 18:29:12 |
【赤】 灯守り“霜降” 月輪[ 既に蛍としての仕事も慣れてきた頃であり この子に新しい世界、季節を見て貰いたい願い。 灯守りになれば、私と同じ立場になる。 紫明様、私と二代で手塩にかけて育てた愛しい子、妹が 一人前となる晴れ姿を見たい。 この子なら出来る、やれる、と信じてるから。 ……でも、後で思い出したのです。 ]あなたの想いを、慮ることが出来ずにいたこと。 (*15) 2022/01/21(Fri) 18:30:50 |
【赤】 灯守り“霜降” 月輪[ 蛍を辞め、他の灯守りになる。 「この地から出て、何も知らない地へ一人で行け」と 云っているようなものですから。 甘えん坊で、人懐っこくて、でも人見知りな子に。 あの子は承知してくれましたが、 本当は嫌だけど、拾われ育てられた子だから──と 気遣い、引き受けたのかもしれません。 勿論、厄介払いしたかったから、と邪見に思うことは ──そのような考えは、当然万に一つもありません>>1:52。 「いつでも私を頼ってね」と門出を見送ったとき あなたはどのような表情をしていたのでしょう。 いつもの、お人形さんのように可愛らしい笑顔でしょうか。 別離を悲しむ様子は、見えたでしょうか。 専ら私といえば、途中から言葉にもならない程に ずっと泣きじゃくっていたのですが。] (*17) 2022/01/21(Fri) 18:33:12 |
【赤】 灯守り“霜降” 月輪[ それ以降も、最低月に一度、何度か会ってはいるのですが さすがに毎日毎週とまでにはいきません。 会う度に笑顔で抱き合い、灯守りとして成長を続ける姿を見て 嬉しくあるのは当然です。 ──────、 誰もいない楓蔦黄の席。 疲れた羽を癒すべく、いつ戻って来てもいいように、 なんて理由でしばらく開けていたけれども。 ……妹離れ出来ていないのは、私のようでした。 蛍の席があっても無くても いつでもあなたは私の“妹”だから あなたのお部屋もそのまま置いてあるのだから。 たまには帰って、元気な姿も見たいけれども。 ────……。] (*18) 2022/01/21(Fri) 18:36:43 |
【人】 灯守り“霜降” 月輪そのことは忘れてくれてもいいのよ? もうっ、恥ずかしい……。 [ 自分で言っておきながら。 あの時のあなたは、私の落ち込みぶりを見て 驚いていたでしょうか。 でも、日に日に見せる笑みにも、自然さが見えるように思えて あなたが笑ってくれるなら、ドレス代も安いものでした。] ローザ、一緒に行きましょうか。 [ 別室に移動する際、付き添いのように彼女の傍に寄り 手を引きました>>1:177。 何せ初の会合なのですから。 彼女の元主が付き添いなのは、不思議ではないですよね、 ドレス姿が似合うのは言うまでもありません。 会合立派に答弁、報告する姿を見ると泣いてしまうかもです。 茉莉の初会合の時も、自分のことのように心配して ]いざ私の発言時に頭が真っ白になり、 しばらく硬直したことがあるのです。 (24) 2022/01/21(Fri) 18:39:55 |
【人】 灯守り“霜降” 月輪[ いざ会合が始まり、途中ちらちらと視線を送ると、 きりっと美しい姿勢が見えて>>1:179。 内心旗を持ち、応援したくて仕方がありませんでした。 >>1:178途中で考えている内容など露知らず。 途中からパーティーのお食事を考えていた私と、 ある意味意味似ているかもですね。 ……姉妹にして育ての親のようなものだから、 これも定めなのかもしれません。]* (25) 2022/01/21(Fri) 18:41:04 |
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