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【人】 六鹿 稀仲居さんたちは、どうしましょう…… [ 勿論、従業員にも危険というか、 手は伸びることは目に見えている。 先輩仲居たちの中には 既婚者だっている。 彼とは偶に、 喧嘩のような状態になったこともあった。 そんなときには、大体中庭に出ていたが、 何故かふわっと風を近くに感じた。 一瞬だけのこと。 誰か、近くを通ったのだろうかと 考え始めたのは何度か経験してからのこと。 ]* (22) 2020/09/01(Tue) 18:34:11 |
【人】 六鹿 稀 [ 就職。 彼があの質問をしたのは 大学2年の冬くらいのことだった。 そのとき、稀はそこまで考えていなかった。 実家に戻って呉服屋の手伝いをすると 思っていたから。 ] どこに、とかはあまり…… ……賢斗さんと離れちゃうのかも。 [ 本心というか、可能性はあるから、 ついつい口にしてしまった。 彼といる時間は、甘くて幸せが詰まってる。 だから、もう少しだけ、と 彼をねだってねだって離したくない。 働くことは、なんだって利害関係だと 家族からは教えられてきた彼女だから、 彼の負担になるようなら別れることも 辞さないという心持ちだった。 ]* (23) 2020/09/01(Tue) 19:17:35 |
【人】 六鹿 賢斗[ 結婚してから、半年で彼女は若女将になった。 毎日、しっかりと業務をこなしたいたから 当たり前と言えば当たり前だろう。 そんな彼女に将来の経営形態を 話始めてしばらく。 勿論、喧嘩というのか話し合いというのか、 そういう時間が増えるようになった。 ] 既存のご贔屓がお泊まりになるときには、 通常の旅館として回せばいい。 毎日がそんな日だと思われても困るからね。 仲居たちには、契約書の更新をしよう。 そこで同意を得られなければ、 新しい職を提供する。 新しく雇う人間は恋人の有無も条件にする。 勿論、背徳的なことが好きな人間は こちらに責任を負わせないことを条件に。 (24) 2020/09/01(Tue) 20:11:03 |
【人】 六鹿 賢斗 [ 真剣に考えてくれているからこそ、 彼女の言葉のひとつひとつは重い。 何故、いつもの旅館経営から おかしなものにかえようとしたのか。 それは、 半分気まぐれ。 わざわざ高い金を払ってくるのだから、 どうせなら、楽しい思い出にしたい。 そして、ご贔屓を増やすなら これから先がある若い層で増やしたい。 故に。 代替わりの際には、 新しい風を入れたかった。 話せば彼女も 大方の理解を示してくれる。 だからこそ、意見の食い違いも 大切な時間だといつもおもう。 ]* (25) 2020/09/01(Tue) 20:19:51 |
【人】 六鹿 賢斗[ 就職のことはあまり考えていないらしい。 甘えてくる彼女は、誰にも見せない。 聞けば、彼女は恋人がいたことはあるけれど 関係を持つまでにはならなかったとか。 高校生だから当たり前と言えば当たり前か。 だから、初めての時は可愛かった。 ] 就職先、僕の家なんてどう? [ その一言を皮切りに、結局話してしまった。 すっごく驚いた彼女は 僕のほっぺむにむにして痛かった。 言い方が悪かったとも後から思った。 プロポーズととられても仕方がない台詞。 訂正を入れて、 いや、あんまりいれなかったような。 ]* (26) 2020/09/01(Tue) 21:30:33 |
【人】 宮野 利光[ 難しい話はわかりませんが、いつの世も 新しいことに挑もうとする者がいて、 そうして時代は変化して行くのだと思います。 不安げな様子だった彼女もいつしか その表情はきりと凛々しさを感じるほどになり、 それでいて残るあどけない少女のような 笑みから目を離せずに。 好いた女子に悪戯をするような幼子の如く ふうわりふわりと彼女の後ろをついてまわっては ちょっかいを出すのでした。 ] (27) 2020/09/01(Tue) 22:28:38 |
【人】 宮野 利光[ その季節が幾度か廻るうち、 仲の良い若夫婦である彼らにしては 珍しく、何やら宿の行末について 意見を違えるような声を 耳にすることが度々ありました。 大抵そのような喧嘩のあとは、彼女は ぼんやりと中庭に佇んでおりました。 小さく笑って隣にそっと寄れば、 絹のような髪を揺らす風が吹いたでしょう。 叶うならば、声をかけて。 心穏やかでない様子の彼女のその髪を そっと撫でてやりたいと、 いつだってそう思うのです。 ]* (28) 2020/09/01(Tue) 22:32:02 |
【人】 六鹿 稀[ 彼は、賢い。 だから、しっかり話せば事は収まる。 それでも偶に、 話していることが嫌になる。 話を切り上げて、彼と距離を取る。 勿論物理的な、距離。 ] ……なら、明日は書類作りです。 私は少し席を外しますので、 追いかけてこないでくださいね。 [ こういうと、彼は追いかけてこない。 それがわかっているから、 頭と心を落ち着かせるために、 また中庭に向かった。 ] (29) 2020/09/01(Tue) 22:45:34 |
【人】 六鹿 稀ふぅ……賢斗さんと、また喧嘩になっちゃった。 …………聞いてくださる? [ 風を感じた彼女。 誰がいるのか分からないけれど、 ぽつり、ぽつりと事の次第を話す。 彼に声を荒げて質問をしたら、 落ち着いた声で返事が返ってきた事。 そんな場面を作った自分が 子供っぽく思ってしまった事。 落ち着いたら謝ろうとは思っていることを。 ] 私、少しだけ怖いの。 まだ未熟なのに女将なんてやれるのかと。 勿論、賢斗さん含めて、大丈夫と 言ってくれるけれど…ね。 [ 誰かに話しているかのような独り言。 受け止めている人が近くにいるとは知らず。 休憩も兼ねて、彼女はもう暫く中庭に 佇むことだろう。優しい風を感じながら。 ]* (30) 2020/09/01(Tue) 22:48:49 |
【人】 宮野 利光[ ぽつりぽつりと話す彼女の瞳は こちらを向いてはおらず。 それでも独言と言うには少し不自然に 鈴の音のような澄んだ声が風に乗ります。 声を荒げても丁寧に返されたと話す彼女は 自身の幼さを恥じている様子だったけれど、 それがなんともいじらしく可愛いなどと 口の端が上がる思いが致しました。 ] …素直に謝ると言うのは良い女だ。 [ 見えてはいないでしょうが笑みを浮かべて。 ]* (31) 2020/09/01(Tue) 22:58:51 |
【人】 六鹿 稀 [ 誰に向けて話すわけでもないけれど、 誰かに向けていると思って話せば、 少しずつではあるけれど、 落ち着きを取り戻すことができる。 彼と良い旅館にしたいと思うから、 ここまで思い詰めるのだろうか。 ] 賢斗さんの考える新しい旅館、 とても良いものだとは思うの。 だって…知らない方と一夜の営みを楽しむのよ。 私は賢斗さん以外は、…… そこまで興味もないけれど、 人の中には、いるものでしょう? [ 乱交。乱れ交じること。 見ず知らずの人間と取っ替え引っ替えに。 稀は小さな声で、みてみたいわ、 なんて呟いただろうか。 ]* (32) 2020/09/01(Tue) 23:09:22 |
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