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【秘】 0043 榊 潤 → 3839 南波 靖史「……大人共に呼ばれているんだ、30秒で返すぞ」 ため息をついた。たとえ話としては理解が出来る。 道具扱いをされていたのか、何なのか。 価値観の定義も暮らしで訪れた価値観も違う。 だから、言える、だから押しつけられる。 限りなくエゴイズムを、お前にたたき付ける。 それが人間である証だ。 たとえ、お前が人でないとして。 言うことはきっと同じなのだが。 「はさみを作った人間は、そのはさみが使われることを願った。捨てるためにつくったわけじゃない。 もし捨てるためにつくられたのであれば、――そのはさみは使われることを願ってもいい。それが淘汰されるかどうかなど、他人次第だ。モノがきめるもんじゃない」 「幸福を押しつける前に。 その"はさみ"は使って欲しいなら、声を上げろ。"口が付いてる"はさみなんだから、馬鹿かお前は……汚いモノでも好む者はいるさ、この場に居なくともな。せいぜい60になってから、決めつけろ」 それではご機嫌よう。そういって背を向ければあなたの元から彼は去った。希望を持たせる残酷な言葉で。根拠もない幸福を論じて。 (-242) 2021/09/27(Mon) 0:32:45 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人「ンぐっ、……っ……」 自分よりも体格の良い男の太い指。それで上顎を擦られる度に息苦しさから声が溢れ、舌を指で嬲られる度に、吐息混じりの言葉を封じられた音が漏れる。 でも、まだ。 まだ、やだ。してくれないなら、 甘く飲ませてくれないなら、 ほら、早く破りなよ。『ただしい子』を。 面倒だと喉奥に突っ込めばいい。 飲まないお前が悪いと無理やりすればいい。 できないのかな、模範囚さん。 それほどまでに、 早くここを出たい何かがあるのかい? 貴方の視線に目を細めて、抵抗の意思を緩めない視線を交わす。苛立ちか、愉悦か、その瞳に映る感情がどちらかだけなら、今くらい花を持たせてやろうとも思ったが。 そんな目をされたら、自分で飲む気なんて消え失せた。意地でも君に判断させる為に。……あは、錠剤。結構溶けて頭回ってるのかも。でもそれは相手も同じだろうから、その選択を心待ちにする昂りは、薬のせいにしていいかな。 (-272) 2021/09/27(Mon) 2:51:29 |
【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史 形を崩した錠剤を飲み込んで、舌を打つ。指に力が籠る。 自然、舌をぐ、と下顎に押し付け……不意に脱力し、引き抜く。銀糸が指先と唇を繋ぎ、ぷつんと切れた。 かくんと手首を曲げ、胸の高さ、中途半端な位置に置く。唾液を纏い、てらてらと光る指が緩く伸ばされている。そうして、溜息。 「……飲みたくないのなら、始めからそう言え」 呆れたような素振りで嗜める。 そうではないことを薄々分かっていながら、見当外れを口にした。 (-283) 2021/09/27(Mon) 4:21:11 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤「──そうやって。 また、空想上の『誰か』に押し付けて、 勝手に良い事を言った風にして、美談にするんだ」 「ほんと人間、面白いよね。 やってる事の本当に意味に気付いてないんだもん。 それで生きろって言ってるつもり?」 「──とどめさしてきた奴が、そう言うんだよなぁ」 曇っていた気持ちが、どこか晴れやかな気がする。 守護者を名乗り続けて、死の宣告をされることは想定外ではあったけれど。思ったよりは、何も変わらなかった。 相手が去るのを見送ってから、踵を返す。 もうここには何もない。 (-290) 2021/09/27(Mon) 12:48:28 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤数日後。 適当にその辺を歩いてるのを見つければ捕まえて、 淡々と律儀に宣言だけしにやってくる。 「あー、今日の襲撃、潤くんになったから」 (-291) 2021/09/27(Mon) 12:50:19 |
【神】 3839 南波 靖史睨まれまではいかないが、見られてしまった。 へらっと手を振り返している。 「面白いから彰人くんと対決でも俺は全然構わないけどね? ま、別に全部俺に入って来たら〜撮影と小道具役に徹して適当な誰か撮ろうかな」 物騒な事を呟いた。 (G16) 2021/09/27(Mon) 12:56:28 |
【赤】 3839 南波 靖史「……アレの言葉を借りるなら」 「『人格』とは、人に存在するものでしょう」 「ならば多重人格でも何でもない。 私は、 本当の『南波靖史』は最初から私しかいない。 「──アレは、 貴方達がずっと『南波靖史』と認識し続け、この舞台上で話し続け、人を『幸せ』にしようとし続けていたあの存在は、」 「名付けいわく本名は、」 ネウロパストゥム・パトロヌス 「neuropastum patronus」 (操り人形の守護者) 「──自我が芽生えた、私の『異能そのもの』です」 だから、多重人格と言うのはおかしい。 経緯を知らない人間なら、最早それは『寄生』にも聞こえるような話。ただ、この『本人』はただ諦観しか見せていないが。 (*3) 2021/09/27(Mon) 13:46:41 |
【秘】 0043 榊 潤 → 3839 南波 靖史「……俺が?」 想像をあまりしていなかった、少なくとも舞台にあがろうとしていたもののつもりだったから。所詮は淘汰される演者の役を突きつけられていただけなのかもしれないが。 「そうか、……そうなるのか。 お前たちとしばらくいたかったんだが。――都合が悪く、お前たちの話も聞けずじまいだったしな、それで?」 一度目を伏せて、そのままま片目はあなたの瞳を捉えようとする。 「どうやって、連れて行くんだ今回は」 (-306) 2021/09/27(Mon) 15:25:37 |
【赤】 3839 南波 靖史「へぇ。珍しい事を言いますね。非なるとは散々言われましたが、 “似てる”が入っているのは初めてです。どう言う事ですか?」 気だるげな顔から少しだけ疲れが消える。 少し前に期待して、また落胆する羽目になったから止めようと思ったのだが。これは期待とは少し違う、同類の可能性への興味だからいいだろう。 「別に“お前”でいいですよ。気付かれたくないって言いましたし。 下手に名前をつけると、アレにバレると困ります。 ……アレの中では私、もう消えた事になってるので。 思い出すと暴走しかねませんから。私の事大好きすぎるので、あの子」 最後の最後、気を抜いたせいか、 今までの声色と違って少し苦笑に近いものが零れた。 (*5) 2021/09/27(Mon) 18:36:41 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤「俺は人の思考は知らないからわかんないね」 嘘。 少なくとも、相方と相談はしていた。 適当でも、指示を受けた訳でもない。 この男は納得しない限り、選ばない。意外にも意固地だから。 「別に?潤くん、元々俺たち側だったし。 特別なにか思い知らせてやるー。とかそう言うのもないでしょ。 だから俺、伝えに来ただけ。後でビデオカメラ持たされるだろうから、頑張ってね。ってさ」 それじゃ、と。何時もより早口でそう伝えて、何か呼び止めなり制止がないなら立ち去ろうとするだろう。 (-329) 2021/09/27(Mon) 19:10:10 |
【赤】 3839 南波 靖史「成程。私の場合は、一時期は半共存のような形でしたが。 そちらはそもそも“別個体”として存在は出来るんですね。 それ、アレが知ると喜ぶから教えてあげるとどうですか? 最も私が見ていない際に、そう言う会話は出ていたかもしれませんが。あくまで私は“本元”ですし、近いのはアレの方でしょうから」 別段、今の『南波靖史』をしている異能は、自分が人ない事を隠してはいない。話に流れがあれば、容易に話していた。 それでもまさか“自分と同じ異能そのもの”が居たとは想像だにしていなかっただろうから、知ると喜ぶのはそうだろう。 ▼ (*8) 2021/09/27(Mon) 19:56:36 |
【赤】 3839 南波 靖史「そうですか」 貴方の気にする先を、視線の先を薄ら確認する。 この状況で、全てを正直に話す気がない──そもそも不可能な事も勘付いている。 本当に貴方の言う相手が『父親』なのか、違う存在なのか。気にはなったが確かめられる状況ではないけれど、どちらにしてもその声色だけで少しだけ慰められた気分になった。 ……自身の異能に対しての罪悪感は、0ではないから。 「中身や記憶が同一なのかは、気になるし本当はお話したかったのですが。……もうあまり時間もないでしょうし、それは“全部終わった”後に。気が向いたらアレに話してあげて下さい」 この演劇が終演を迎えた時、ここまで監視も盗聴も厳重じゃない──個人の会話同士くらい、誰にも聞かれない時間が生まれる。それは、この役職についてる自分だからこそ、知っていた。 ▼ (*9) 2021/09/27(Mon) 19:58:49 |
【赤】 3839 南波 靖史「──この現代社会における、」 「“ただしい好き”と言う感情を、持って生まれませんでした」 それを指す対象は、これを語る『本人』か『自我のある異能』か。或いは──『両方』なのか。そのどれかは、語らない。 「どう好いたんだ」の問いに、ただ。 「うまれつき他者の事を正しく愛せなかった」 と、付け加えた。曖昧な言葉のそれは、少なくとも『ただしさ』を重視する社会では、許される方向性の愛ではなかった事は理解できるだろう。 (*10) 2021/09/27(Mon) 20:02:51 |
【秘】 0043 榊 潤 → 3839 南波 靖史「……結局、その程度か」 誰に対しての言葉だったか。 あなたに対してにしては、少し空虚で。 自分のことにしては、他人事のような声色。 「……お前、あの異能は、はじめから使えたんだよな。 この、趣味が悪い企画が始まってから。 ……俺は使えるようにならなかった。 ……なぁ、俺の研いだものの方が必要とされていないと思わないか?」 本当に使われていないハサミはどこの誰だろうな。 「それではごきげんよう、いい写りは期待するな」 (-331) 2021/09/27(Mon) 20:24:59 |
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