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【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音[ 初詣や夏祭りでいったことのある山の上の神社ではなく、 その裏側の、殆ど人も通らないはずの森の中へ。 どうしてそこへ向かおうと思ったのか、 今でもよくわからない。 いつだったか、 「森の中に小屋があったからそこを秘密基地にした」と 同級生の男子たちが話していたのを なんとなく、思い出していたからかもしれない。 知ったところでどうということはないし、 何より、今となっては確かめようもないことではあるけれど] (D9) 2022/09/20(Tue) 16:33:10 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音[ やがて道の舗装も街灯も途切れて、 森の中に入ったときは、ほぼほぼ真っ暗だったはずなのに。 不思議と、怖いとか恐ろしいと そういう気持ちにならなかったのは 季節外れの蛍がゆらりゆらりと周囲を舞って あたりを照らしていたからかもしれない。 あるいは、息を整えようと立ち止まったところで 先程切った額の痛みが急に戻って来たからか。>>D5 痛みが戻ってくるのと同時に、 先程の悲しみもまた戻ってきて。 堪らず、その場に蹲ると大きな声を上げて泣いた。 誰もいないと思ったから、 いつもより大きな声で思い切り泣いた。 ] (D10) 2022/09/20(Tue) 16:34:47 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音……っ、……だぁれ? [ しゃくりあげながら、涙にぬれた目元と頬を拭って 聞こえてきた鈴の音へと首を巡らす。 妖や獣の類だとは思わなかった。 だって、この村と山々は村の長老や偉い大人たちが 厳重に結界を張って守っているのだから。 人間にとって危険な獣は勿論、並みの妖だって そうやすやすと、村の領域に入り込むことはできないと 大人たちは村の子供たちにそう何度も話していたのだから。 それになにより――今考えれば不思議なほどに――このとき、 わたしはその鈴の音を怖いとは思わなかった。 遠く森の奥から聞こえてくる鈴の音も、 わたしの優しく照らす蛍たちのことも。 ] (D12) 2022/09/20(Tue) 16:36:59 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音…。 [ ポケットに入れていたハンカチで涙と、 それから額の血を拭ってから、 意を決して森の奥へと歩を進めた。 そうして辿り着いた先にあったのは洞窟だった。 只の洞窟ではなくて、 ものすごく大きな岩を削り出して作ったような其処に 重そうな黒鉄の扉と何重もの注連縄で封された 如何にもな様子の洞窟だった。 ] ―――……。 [ 怖い気持ちが、ないわけじゃなかった。 それでも、意を決して其処へ向かおうと思ったのは。 鈴の音のように聞こえていた其れが、 …どこか、嗚咽に似ていると気づいてしまったから。] (D13) 2022/09/20(Tue) 16:37:49 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音……だれか、いるの? [ 黒鉄の扉の前に近づけば、 鈴のような嗚咽はよりいっそう近くなる。 そうして一言声をかけたところで ―――ぴたりと、それまであたりに聞こえていた音が止む。 同時に、周囲の空気が変わったのも伝わって。 ] だれか、いるんだよね? [ 問いかけに返答はなかった。 それでも、きっとここには誰かがいると そんな確信めいた想いと共に、そっと扉に手をかける。 ギィィ、と。重く、頑丈そうなそれは 此方が拍子抜けするほどあっさりと開かれた。 ] (D14) 2022/09/20(Tue) 16:39:00 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音……。 [ おそるおそる扉の向こう、洞窟の奥を覗きこむ。 ―――そこにはただ、真っ暗な闇があった。 ] …ねえ、だれも [ ―――いないの、と。 そう、言いかけたとき。 覗き込む体勢を崩しかけて、咄嗟に一歩 洞窟の中に足を踏み出した。 それと同時に、固い岩場だったはずのそこは 砂のように脆く崩れて。 悲鳴をあげる間もなく、わたしは洞窟の中へと 転がり落ちていった。] (D15) 2022/09/20(Tue) 16:39:59 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音……あいたた……。 [ 尻餅をついたまま、小さく呻く。 洞窟の中はひんやりとして、ただひたすらに真っ暗で。 まるで月のない夜みたいだ、なんて そんなことを思っていれば ] (D16) 2022/09/20(Tue) 16:40:51 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音[ ぼそ、と暗闇に声が聞こえるのと同時。 周囲の闇に、 赤 い眼が浮かび上がる。それもひとつふたつではなくて。 ―――… 十 、二十 、五十 、とわたしの四方を取り囲むようにして 無数の 赤 い眼が、爛々と輝いて此方を見つめていた。―――それが、わたしと彼…辰沙との出会いだった。 ] (D18) 2022/09/20(Tue) 16:46:11 |
【人】 狩人 エドゥアルト・レイフェルス── 少し前〜 ── [ドレスやメイクがなくたって お前は最高にかわいいよ。 ……そう思う彼女がくるりと回って長い脚を晒す。>>12 オイイ!] おまっ ヘンリー! ちょっとはお淑やかにだな……! [誰も見てねぇだろうな?! とキョロキョロ。 ヘンリーの方見て鼻の下伸ばしてるオヤジが数人、 すごい形相で睨んでやったら、目を逸らされたが。 後で記憶が無くなるまでぶん殴るか……。 顔は覚えたからな。] (33) 2022/09/20(Tue) 21:42:26 |
【人】 狩人 エドゥアルト・レイフェルス[二人きりとなったあと。 さりげなくスリット側に立ち 美しい脚を隠そうとしながら話とグラスを交わした。 追い抜かれてない、と声にして貰えて どれ程ホッとしたことか。>>13 皆より苦労は、したかも知れない。>>8 それは皆と違って俺が凡才だから。 置いてかれねぇよう何倍もの努力が必要だったから。 もう鍛錬で打ち合うことは随分していない。 力でもスピードでも技術でも、 直接やりあったら勝てねぇんだ。 大らかなフリしてるだけで人としての器も アスベルの方がずっと大きい。 俺が本当は強くなくて情けねぇ人間だってこと。 隠し通せたようで、……良かった。 こんなん気にしてるのすら格好悪ィよな。] (34) 2022/09/20(Tue) 21:43:46 |
【人】 狩人 エドゥアルト・レイフェルス[好きな奴以外から言われても 嬉しくねぇかと思ってたんだが。 俺の「かわ(いい)」にも喜んでくれる ヘンリーがかわいすぎる。>>14] お、おう……そうだけど? [そんな顔見たら否定なんか出来ず 素直に認めちまった。 慣れない酒が回っている所為もある。 余計なことを言っちまいそうで 色んな意味でドキドキしてきた。] (35) 2022/09/20(Tue) 21:44:36 |
【人】 狩人 エドゥアルト・レイフェルス[晴れ姿を見届けてないのに こんなんじゃダメだよな。] あ、ありがとう [礼を言って水を受け取れば 急ぎ何口か流し込んで セレモニーの主役を見上げた。 ────アスベル。 我が弟ながら格好いいぜ。*] (36) 2022/09/20(Tue) 21:49:04 |
【独】 勇者 アスベル・レイフェルス/* あっもしかして今落としてる最中かな エドゥほんと大人だ……かっこいい…… 絶対幸せになって欲しい……なって……なろう…… (-6) 2022/09/20(Tue) 21:49:26 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス私はセシリー王女に 多くの幸せと、幸福と、愛を頂きました。 王女がいらっしゃらなければ 今、私がこの場にいることも無く 世界も不安に怯えたままだったでしょう。 世界を守った次は、愛する人を守りたいと思います。 人生を、生涯を──この命を賭して、永遠に。 もう一度……いいえ、何度でも申し上げます。 セシリー姫、俺は貴女を 愛しています 。[ しゃがみ込み膝を立て、セシリーの手を取り 軽く口付けを落としてから、頭を上げる。 瞳に映る愛しき人の姿は、一層美しさが際立っているが、 見慣れた澄んだ眼差しは、俺の良く知る 普段旅をしていた頃と、何ら変わらない。] (37) 2022/09/20(Tue) 22:09:08 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス俺の言うことを、何でも覚えてくれて 俺が転ぶなら、君も転ぶと告げてくれた。 どんな小さな冗談でも、軽口でも。 君が云う言葉、全てが愛おしくて仕方がないんだ。 [ 少し前の事を思い出し>>24>>25、優しく笑みを向ける。 緊張していない訳では無い。 ただ、瞬きをすることすら惜しかった。 この美しい人を、姿を、目に焼き付けたかった。] (38) 2022/09/20(Tue) 22:09:18 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス[ 間も無く、ぱちぱちぱち、と拍手が背後から起こった。 国王──セシリーの父だった。] 「皆の者、勇者の心はこの通りである! 勇者殿の人柄、我が娘への愛情は、余が保証する。 セシリーも勇者殿を愛しているならば、何ら問題は無い。 ゆくゆくは娘のセシリーと 世界を平和に導いた勇者アスベル・レイフェルスが 契りを交わすことを認めようと思っておる。 余も王として、父として、一人の人間として 心より祝福するつもりである!」 (39) 2022/09/20(Tue) 22:09:37 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス 「おめでとうございます!」 「姫様と勇者様に幸あれ!」 「新たな記念日が誕生した!」 [ 再び会場が歓声で沸き上がり 祝福の声が四方八方から響き続けていた。*] (40) 2022/09/20(Tue) 22:09:40 |
【念】 勇者 アスベル・レイフェルス[ 兄さんとヘンリ、どんな顔しているだろうか。 このことは内緒にしてきたけど、 事前に王やセシリーには話を通していた。 もう式の日程も決まっている。 兄さんや母さんに苦労を掛けさせることもない。 むしろ、良い暮らしも出来るようになる。 ヘンリは、セシリーの護衛件専属の騎士>>1:23に なれば良いだろう。 腕の立つ女性、かつセシリーとも友人同士。 ヘンリの為にある役職と言っても過言では無い。 そしたら、俺も、セシリーも安心安全で手放しで喜べる。 と思っていたのだが。] (!3) 2022/09/20(Tue) 22:09:43 |
【念】 勇者 アスベル・レイフェルス……? [ 兄さんとヘンリの姿が見えなかった。 何せこの人数だ、別の場所に移動したか、 単純に人の少ない場所に居るのかもしれない。 気にはなったが、二人はいつでも会える上 大勢に質問攻めに遭ったのもあり しばらくの間動けずににいた。 二人のリアルタイムの反応も見てみたかったが、 時間ならいくらでもある。 後で兄弟仲間水入らずで のんびり未来を語り合うのも良いだろう、と。 何も知らず、呑気に考えていた。* ] (!4) 2022/09/20(Tue) 22:09:46 |
【雲】 妖もどき 辰沙――寮から街へ―― [ 朝食の片づけを済ませて、 部屋の外で彼女の着替えが終わるのを待って。 諸々を済ませた頃には十一時前になっていたか。 寮の門を出ようとしたところで、 ちょうどすれ違うようにして顔見知りに会う。 ] 『あ、先生だ!』 [ 彼女のいうほうへ視線を向けると 此方とは反対に寮のほうへと入っていく人物。 彼にも姿が見えるよう――といっても彼のことだから 隠形していても僕の気配は察知しているだろう――実体化して 人前に姿を現す。 たまたま通りかかった学生たちの何人かが 中空から突然現れた僕の姿に驚いたような声を上げる。 それに構わず、目の前の教師に小さく目礼してみせた。 ] (D19) 2022/09/20(Tue) 22:21:59 |
【雲】 妖もどき 辰沙…先生、今日は。 [ 真浄寺 陽仁。 この学園の教師であり、この国でも有数の現役退魔師であり、 ―――そして、幼少期に故郷を失った彼女を引き取り、 この学園に入学させた保護者でもある。 …そして、僕にとってはどうにも苦手な人だ。 ] (D20) 2022/09/20(Tue) 22:22:33 |
【雲】 妖もどき 辰沙『やぁ辰沙。 相変わらずシャイボーイだね君は。 もう少し顔の筋肉を柔らかくしないと 女の子にモテないよ?』 …。 [ もにもにと頬を不躾に摘ままれて揉まれる。 どうしてこの師弟はやることがそっくりというか、 似てほしくないところばかり似てしまうんだろう? ] 『お? 辰沙も成長してるんだなぁ。 ちゃんと考えてることが顔に出るようになったね』 『あ、先生もわかりますか!? 辰沙だって、ちゃんと成長してるんです』 [ ……やめよう? そこで僕を弄る方向で一致団結するの、本当にやめよう? 必死でぺちぺち、頬を揉む手を払ってから。 ] (D21) 2022/09/20(Tue) 22:23:40 |
【雲】 妖もどき 辰沙…それより、ここに貴方がいるのは少し珍しいのでは? 『あ、そういえばそうだね』 [ 彼は寮監ではないし、職員寮に入っているわけでもない。 郊外の住宅街に今は奥さんと一緒に暮らしている。 見たところ、彼女の様子を見に来たとか 用事があるというわけでもなさそうだ。 ] 『あー、わかっちゃった? 実はねー、ここ数日天文科のほうでちょっと色々あってね。 ゆうべは徹夜で詰めてたのさ。 で、ついさっき一段落ついたんで これから仮眠室で惰眠を貪りにいくところだよ』 (D22) 2022/09/20(Tue) 22:26:24 |
【雲】 妖もどき 辰沙…。本当に? 『ほんとだよ!?なに疑っちゃってんの? よりによって君が!!』 『んー…でも先生だものね……』 『ちょっとちょっと!! なに理音ちゃんまで先生のこと疑っちゃってるのさ?』 …。 『んーなになに? 日頃の行いが悪いからだ、って?』 [ 心外だーと言わんばかりに 僕の顔から胸元までずずず、と、舐めるように 先生が視線を走らせる。 いや、まぁ、うん。 当たらずとも遠からずですね先生。 ] (D23) 2022/09/20(Tue) 22:27:00 |
【雲】 妖もどき 辰沙『……はー。 とりあえず、先生に信用がないことはよくわかりました。 それはそれとして、二人はデートかい? なら、楽しんでおいで。 たまには人並みに羽を伸ばすことも重要だからね』 [ 言いながら、彼の大きな手が僕の頭の上へ。 一瞬身構えるものの、その手は優しく僕の頭へ載せられて わしゃわしゃと軽く頭を撫でられた。 隣にいた彼女にも同じように――彼女に対しては、 髪型が乱れないように軽く触れる程度に――頭を撫でて。 にかっと、如何にも人の悪そうな笑みを浮かべてから ひらり手を振って建物のほうへと歩いていった。 ]* (D24) 2022/09/20(Tue) 22:27:44 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音 (D25) 2022/09/20(Tue) 22:29:16 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音…ほら。難しい顔しない。 今日はこれから楽しい一日にしないと。ね? [ 彼の頬に再度、今度は包み込むように柔らかく触れる。 ] (D26) 2022/09/20(Tue) 22:29:35 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音よーし。それじゃあ最初は映画に行こう。 [ 今からバス停までダッシュすれば、 ちょうど駅前行きのバスに乗れるはずだから。 そこから駅前のシアターに行って、映画をみよう。 ] ほら、辰沙もダッシュ! せっかくだから一緒に競争ね! [ 言い終わるより前に、 勢いよく飛び出してバス停まで駆けていく。 人間のわたしと__の辰沙では 勝負にならないなんてわかりきっているけど、 そんなことはどうでもよくて。 ただ、小さくても色んな思い出を、彼と一緒に作りたいんだ。 ]* (D27) 2022/09/20(Tue) 22:30:19 |
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