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【秘】 愚者 フィオレロ → Niente ラウラ「そうか。ここまで来てそう思えるなら本物だね」 零れた彼女の呟きに答える術を持たない男は、 何も肯定も否定もせず、ただ一度だけ相槌のように頷いた。 もしその言葉に反応できる人がいたとして。 それはきっと自分ではない。そう思ったから。 「……だと思うよ。欲望が、自分には過ぎたものだとか、 思われる価値がないとか考えた先の自我の芽生えなら── ある意味、聖書などに謳われる"人間"にようやくなれたのかもしれない」 あなたの視線につられたのか、感傷が勝ったのか。 空に見えるそれを見上げて、その相手が誰だったのならと少し無粋な思案を仕掛けたのを止めた。 「"何か"でよかった。死を望むほどでなくて」 (-56) 2022/08/24(Wed) 18:44:34 |
【独】 ノッテの魔女 ストレガ「なあ。なんでその猫は死んだんだろうな?」 知るかよ、と返す口をガムテープで塞ぐ。 口元から、後頭部。また口元。4周ほどして、止める。 「そう考えてた時、小耳にはさんだんだよ。 『猫を殺した奴がいる』って」 ちり、ちり、赤熱しつつあるはんだごてを見下ろしながら、 黒ずんだ指先に軍手を嵌めていく。 「あんたからさあ」 「するんだよ」 「 ねこのちのにおいが 」熱し切っていないはんだごての先端を、 金庫に挟まれた腕に押し当てた。 (-57) 2022/08/24(Wed) 18:49:35 |
【秘】 愚者 フィオレロ → デッド・ベッド ヴェネリオ「……ああ、そうなんですか。テンゴさんが。 最初からテンゴさんに任せていればよかったのでは?」 シノギみたいなものなら猶更と。 最も生きていた頃だと余りいい顔のしなかった提案だ。 なんせ、そちらの世話を比較的楽しそうに焼いていたの だからその機会が減るのは目に見えていたので。 「残念です。ご愁傷さまです。 いやあ、なんだか死に血肉沸き立つみたいな心地で 当時も会話されていた気がしましたので。 俺も死ぬつもりはなかったですよ本当に。 ……まあ、許されなかったって事ですかね」 せめて継げていればな、と未練だけを零す。 (-58) 2022/08/24(Wed) 18:50:02 |
【人】 ガット・リベロ ルチア【路地裏】>>9 リカルド 「──あなたは、ちがう」 この声を聴いたことがある。 『おいで』と呼ばれ、『あちらへ』と促された。 あの人と同じ、優しさを持っていた。 同じ、同じ。そうだよ。同じなんだ。 「ああ。ああ。ああ──」 (11) 2022/08/24(Wed) 18:52:43 |
【人】 ガット・リベロ ルチア (12) 2022/08/24(Wed) 18:55:06 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 愚者 フィオレロ「あいつはよそ者だし、死ぬ覚悟ができすぎていた」 コンシリエーレをよそ者扱いする幹部は非常に多い。 だからあいつはあの地位になったのだ、いきさつをよく知っている男は何でもないように友をこき下ろす。 「ああ。できればできるだけ殺して、無事ですみたかった。 だが敵の数も知れないからな。 最悪のことを考えるだけ考えて……、 大人しい行動をするに至らないのが俺だっただけだ」 もっといきたかったような、死ねてせいせいしたような。 後悔はないのだと、上司であった男は溢した。 後悔を作らずに常に生きていこうとしていた男は、それはもう何処かからは死にたがりに見えていたようだったが。 「いつも残酷だよな運命ってやつは、お前誰にやられてたんだ。 最後までわからなかったぞ、身内か?」 (-60) 2022/08/24(Wed) 18:56:55 |
【独】 ノッテの魔女 ストレガ「なあ」 封じられた身体をうねらせる男の、腕を焼き続ける。 「あの子は、暗殺者だったよ。 正直言って、最近までどんな子か知らなかった。 工房に来るでもなし、会話が得意でもない。お互いね」 はんだごてを離して、灼けた痕を眺める。 「いざ会話してみれば、かっわいくない子でさあ」 ガムテープ越しに、ゆっくり押し付けて脛を灼く。 くぐもった呻きが、暴れる向こうから聞こえてくる。 「でもね」 「あの子は、……いい子だったと、あたいは思ってる。 はは、聞かれたら『馬鹿ね。』って言われそ」 似てない声マネを、男は聞けていただろうか。 金属を溶かす熱に、腿の裏を服の繊維ごと灼かれながら。 「あーあ」 (-59) 2022/08/24(Wed) 18:57:58 |
【独】 ノッテの魔女 ストレガ「なあ」 ガムテープに押し付けた熱が、少しずつ男の頬を灼く。 ビニールの溶ける匂いが、肉を焦がす臭いに変わる。 「あたいは、あんたを苦しめたい。 けど、そんな事してもあの子は帰ってきやしない」 ぱっ、と、はんだごてを離してやる。 電源を抜いて、コードを纏めて。 「だから、代わりにあの子を弔いたいんだ。 なあ、あんた。手伝ってくれるよな?」 痛みに涙を流しながらも、男はガムテープの向こうで イタリア語のスラングを幾つも幾つも垂れ流していた。 「ああ。ありがとう。じゃあ、頼むよ」 ぽんぽん、と男の頭を軍手越しに軽く撫でる。 そして、魔女は二階へ姿を消した。 (-62) 2022/08/24(Wed) 19:04:38 |
ストレガは、時計塔の歯車を撫でた。それは、別れの挨拶のよう。 (a15) 2022/08/24(Wed) 19:06:16 |
【秘】 愚者 フィオレロ → デッド・ベッド ヴェネリオ「まあ、それはもう。考えてみたら…… それこそ俺が更なる交代先探す羽目になってましたね。 その癖、あの人だけ生き残ってるんですよ。 あれだけ覚悟もできてるのに理不尽なんだかなんなんだか。 せめてどっちも死ぬか、どっちも生きるにしておいてください」 この発言こそ理不尽の極みである。 あなたほど彼に詳しいわけではないけれど、それでもあなたと彼の親しさは当然のように知っている。 だからその言葉に不満もなければ、乗っかるくらいである。 「やんちゃですねぇ。 後悔がないって言いきれる人が多いの本当に不思議ですよ。 俺なんて後悔の塊なのに。 ……まあ。ノッテの家族がそう思う人たち ばかりなのは俺にとっても幸福なんでしょう」 前向きにとらえるか、後ろ向きにとらえるかの差だろうか。 こんな場所に来て男は議論する気もないため苦笑でとどめたが。 「……一年前のアルバとの件が気に食わない、 幹部の誰かと思っていましたが。その様子ですと違いましたか」 (-63) 2022/08/24(Wed) 19:07:36 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 愚者 フィオレロ「へえ。憧れて?」 君の言葉を聞いて、気になる単語を掴みあげる。それはある意味センシティブな問いだったかもしれないが、男が臆することはなかった。 「ああ、」 君に注がれていた視線が手元の花へと移動する。わざとらしく逸らしたのではなく、単純に話題のきっかけへと目が向いただけらしかった。その証拠に先程まで花屋と向き合っていた男の身体は今、開け放ち、受け入れるように既に君の方へと向いている。 「そうだね。月並みだけど」 男の口元が笑みを形作る。愛する者を思って、自然に零れたのだろうか。 「生まれた子が男の子なんだ。ベイビーブルー、男の子のラッキーカラーだよ」 「それから花言葉は幸福な愛……だっけ。ほら、この青。マドンナのヴェールの色をしているだろう」 そこで、もう一度視線をあげる。 弧を描く口元、やや眇られた瞳。いたずらっぽい笑いがそこにあった。 「……なんてね?」 「こんなこと、君も知ってるんだろ? わざわざオキシペタルムなんていうんだもの、ブルースターじゃなくてさ」 (-64) 2022/08/24(Wed) 19:11:25 |
【独】 ノッテの魔女 ストレガ「待たせたね」 魔女は、少しして降りてきた。 両手には旅行鞄を1つずつ。 きっと、その中には止まった時計と、動いている時計。 そして、この魔女の得意とする爆弾が満載で。 けれどそのいずれも、ここで使う気はないようで。 旅行鞄を抱えて、工具の入ったリュックも背負って。 最後に、欠けた頬と耳から血を流しながら、 男に近づいて微笑んで。 「なあ。あんたみたいな野郎でも、息子はいるだろ」 痛みに血走った目を向ける男は、狂った女め、 という視線しか返さない。実際男に家族がいるか? そんな事は、この魔女にとってはどうでもよかった。 魔女は、釘打ち機を取り出して。 (-65) 2022/08/24(Wed) 19:15:56 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → 愚者 フィオレロ「正直俺もお前をやったのはあいつらかと……。 それでも荒立てるわけにはいかなかったから、言わなかった。 全部終わったらテンゴが片付けてくれるだろ。 あいつもただじゃ死ねない男だ、いつか追っかけてこっちに来てくれるさ」 ひと欠伸しながら思い出すのは、生きていた頃の貴方たちの姿と家族たちの姿。やりたいことはあったが、そこまで顔は歪めるに至らず。 「若いなあ、お前は。 あー、例の件だが。すまんな改めて死んだ人間を俺は嫁にとれん。 だがめいいっぱい甘やかしてやる。 抱きつくだの何でもしてこい。どうせ忘れるし泡になって消える思い出かもしれんが、この瞬間だけ俺が叶えてやったことにさせてくれ。部下を褒めなすぎていたのは気にしていたんだ」 (-66) 2022/08/24(Wed) 19:17:37 |
【独】 ノッテの魔女 ストレガ「Voi e i vostri figli soffrirete per il resto della vostra vita.」 男の股間へ押し当てて、制止の声が出る前に、 きっちり3発。男を、床材と縫い付けた。 (-67) 2022/08/24(Wed) 19:20:33 |
ストレガは、釘打ち機をしまうと、「Addio.」と呟いて時計塔を出た。 (a16) 2022/08/24(Wed) 19:20:53 |
【秘】 Niente ラウラ → 愚者 フィオレロ本物か、偽物か。本当のところは分からない。 ただきっと、分からないなりに考えたこの答えは。 ラウラという一人の人間を、己を救うだろう。 「……ずっと、過ぎたものだとは 思っていました。 ラウラは、役立つだけが価値だと 思っていました」 死ぬことに恐怖も後悔も抱かず。 終わり行くことだけが生きていく道だと。 けれど今は。……今は、貴方の言うように。 確かな"人間"として、答えが出せた。 「死は、望みません。 ラウラは──生きて、幸せを"知りたかった"のですから」 菫色に映る空は眩しくて、少し目を細め 息を吐き出した。 「…………フィオレロ様、話を聞いてくださり。 ありがとうございます ね」 (-68) 2022/08/24(Wed) 19:26:54 |
【秘】 天使の子供 ソニー → 無風 マウロ一方的に責め立てるわけでなく、相手から歩み寄りがあるのならばそれを受け入れる。 唇の合間に割り入れた舌は相手の舌を追って、不意に相手の方から触れ合わされたなら喉を鳴らした。 鼻の天井を抜けるような声は弱々しく、僅かに下瞼が強張って与えられた快を甘受する。 耳の後を抜ける感覚にそろそろと息を吐いて、甘えた生き物みたいに鼻筋を擦り寄せた。 「誰も来やしないよ、それに。 今から二人でどこかに入るトコ見られるより、いい」 祭りの後、夜も深くに指を絡ませて落ち着ける場所に入る、なんて。 これから何をするのかを店員なり受付なりに報せるようなものだ。なんてのは、詭弁だけど。 服を脱いで全身の肌を擦り合わせるのとは違う感覚が走る。 密やかで、まだ日常から離れきれていないような妙にそわついたものがじんわりと広がる。 腹筋の起伏を指の腹で辿って、前に戻った指がベルトと内掛け釦を緩める。 下腹部にほんの僅かに気流が流れ込んで、ひやと違和感が臍の下を走った。 互いに前を寛げる。まだ下着越しのそれがなんとも頼りない砦のようで。 ちら、とすぐ傍にある顔を見上げてから、掌を張り付けるように触れた。 一歩前に出て、爪先同士が交差するように並ぶ。下着越しに、普段他人には見せないような肌が触れ合った。 青年のほうは緩やかな興奮の為に、下衣の中の性器は張り詰めはじめている。 もどかしい感覚を混じり合わせるように、腰を寄せて相手のものへと擦り付けた。 (-69) 2022/08/24(Wed) 19:28:01 |
【人】 ノッテの魔女 ストレガ「あーあ」 「……。あいつ、怒るかな。 ……いや、絶対こうだな」 「『興味ないわ。』」 「はは。」 ごつ、ごつ。 時計塔から足音が離れていく。 旅行鞄を二つに、リュックサックをひとつ。 女だてらに銃器を散々振り回したから、 これくらいは持ててしまうのが恐ろしい。 それからふっと、思い出したように。 寂れた時計塔を見上げる。 天辺には、鳴る事のない大鐘が釣られていて、 時計塔の中の歯車が動いていれば、 きっと時を報せる鐘の音を、島中に響かせたのだろう。 「――なあ。中を修繕しといて、なんだけどさ。 悪い、あたいの友達の為に……」 「空のずっと向こうまで届く、盛大な花火をあげてくれ。 それから、あんたのデッカい音をさ、響かせてくれ。 あたい、グラスハープとか当分弾けないから、 それまでの代わりとしてさ」 キン、と、銀色から欠けたリングが落ちる。 頬と耳が欠けた魔女は、時計塔に瞑目して、背を向けて。 銀のスイッチを、押し込んだ。 (13) 2022/08/24(Wed) 19:29:30 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 陽炎 アベラルド男はアルバの顧問だ。 ファミリーの全てに心を砕き、配り、人となりを知り、交遊する。時にはボスの友人にすらなり、その言葉を否定すらして見せる。その立場は、概して幹部より重い。 であるというのに、男はまるで中間管理職のように熱心に動き回った。その姿はただの善人、或いは各々の兄、親、友人のようにも見えたろう。その親しげな様子を煩わしく思う者も当然いたけれど、概ね好かれている様子だった。 きっとそれは、君から見ても。そして、君も。 二人の振る舞いは思慮に欠けているのかもしれない。 それでも、止めておこうだなんて言わなかった。 「祭りで羽目を外さないなんて損だからなぁ。うっかり危ないところに踏み込まなきゃいいんだけど」 君の気遣いを、 ────それとも最後の畏れを、 男は受け取ったのかどうか。機嫌が良さそうに笑っては歩みを進めた。追いつくように、その歩調を早めて横に並ぶ。 (-70) 2022/08/24(Wed) 19:32:50 |
【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ「Buona notte.Sogni belli.」 「レヴィア」 寂れた時計塔が、基部から爆発した。 いくつも、幾重にも仕掛けられた爆弾が、 連鎖的に爆発を起こす。 背中に熱と風を感じながら、魔女は去っていく。 最後に、天辺の大鐘の真下が、特大の爆発を起こして。 カラァーーーーン、カラァーーーーン…… 大きな鐘が、何十年かぶりに、その音を天へと響かせた。 (14) 2022/08/24(Wed) 19:34:22 |
ストレガは、ため息をひとつ。猫を迎えに、あの店へ向かった。 (a17) 2022/08/24(Wed) 19:35:42 |
【秘】 愚者 フィオレロ → 家族愛 サルヴァトーレ「孤児だったものですから。 その上で幸せな"家族"を見てしまうと憧れませんか」 よくある話だろうとばかりに。もうひとつ、あなたはどうですか?を込めた笑みが貴方を見やる。 こんな花屋の店先で出す単語でも返す話題でもないにも拘らず、 気にしていないのか、あるいはそう見せているだけか。 何の躊躇もなく会話のパスを返す。 「はは、いやまあ」 最初のワードで"結婚式"を単語にも出していた時点で、元々知っていたことは明白だろう。 隠しもしない緩い笑いから、小首を傾げて貴方の目を見つめる。 貴方が変えた姿勢に無意識に敵意はないとばかりにそれとなく腕で覆っていた姿勢を、開けたものに変える。 「あなた自身にもご家族がいるように見受けましたが。さて。 それに、好きな花 についての話は幾らでも聞きたくて。 特に品のある貴婦人ならよく見かけるんですが……情に厚そうなお兄さんが知っているのを見ると、つい尋ねたくなったんですよ」 (-71) 2022/08/24(Wed) 19:40:31 |
【秘】 天使の子供 ソニー → 家族愛 サルヴァトーレ子供の頭にしては重たい頭蓋。肩先までしか届かないけれど、それくらいまで届いてしまう。 腕の中で愛される時代は終わり。まやかしの安寧があるだけ、夢を見ているだけ。 それにも関わらず、貴方の優しさを利用してこうして水底のように身を沈めているのだから、 顔貌に張り付いたあどけなさとは裏腹に、十分によく物を知っている大人の筈なのだ。 柱時計のように丁寧に規則的に注がれる愛に。 値するものかどうかなんて、誰にもわからない。 「ん、……今日は大丈夫。トトーの為に、空けられる。 だからもうちょっとだけ、居られるよ」 用事はない。誰某れに命じられた用事は。自分のための用事は、捻じ曲げたって構わない。 最後にもうひとつぶんだけ、ぎゅうと胸に頭を埋めてさんざんに甘えてから。 歩きやすいように一歩離れて、二人だけの為に間借りした休憩所から出る扉に踏み出す。 その日は太陽も高いうちに二人だけの時間を過ごして、普段どおりにわかれたのだろう。 互いの人生は深く交わらない。一つのいきものになることはない。 それが本当の別れになると知っていたなら、もう少しだけでも時間を割こうとしただろうか。 いつか斜陽の日が来る。 その、少し前のことだった。 (-72) 2022/08/24(Wed) 19:43:28 |
【秘】 愚者 フィオレロ → デッド・ベッド ヴェネリオ「そうですよねぇ。まあ十中八九……でも気にしないでください。そもそも俺からすれば、そう言って貰えるだけで十分ですから」 言葉通り、誤解なんて一言で済ませられる問題でもない。 何より前ボスの判断だってあってこそだ。 己は一切の噓を語ったつもりはなくとも、こうして肩を持ってくれる人の存在がどれだけ大切だったかは理解している。続けて頭を下げた。 「いつか、かぁ。いつになりますかねぇ。 極東のハチコウとやらにならなきゃやってられないくらい待たされる気がしてなりませんよ俺は。そういうペースの人ですもん」 「若いですよ。なんたって享年23です。 若さを求められてもいましたし、それで許され……」 ません?と言い切る前に、突然流れとして出るには不自然すぎる単語を聞いて、おう。うん。とばかりに頷いた。 そも、先に単語を出したのはこの男なんだがそれはそれ。 「…………死後一番驚いたかもしれませんね。 覚えていらしたとは。てっきり俺がしくじった時点でゴミ箱に投げ込まれていたと思っていたので、今結構に動揺していますね」 していますね、と言っている顔が無表情なのが動揺に拍車をかけているのはとっくに知られていることかもしれない。 「甘やかす……甘やかされる……」と譫言のように呟いてるのは、逆に言えばこんな行動を録に起こした事がなかったのだろう。 (-73) 2022/08/24(Wed) 19:47:24 |
【秘】 金毛の仔猫 ヴェルデ → 家族愛 サルヴァトーレ「……そ」 あなたがそう言うのなら、少年にはこれ以上、重ねられる言葉はない。 口が巧くはないのだ。 それに何より、元よりそこにないものを欠けていると認識することはむずかしい。 少年自身だって、そうなのだ。 それでも今、差し出そうとしている気持ちが届いたらと。 それは、ほんのささやかな我儘だ。 「無理に食べるのもかっこよくはないだろ」 「じゃあ、ええと――おれが」 「おれがほしいから、ちょうだい」 (-74) 2022/08/24(Wed) 19:47:59 |
【秘】 陽炎 アベラルド → 家族愛 サルヴァトーレ「全くだ。ここら辺なんか、特に物騒なのにな」 そう言って、ついてきたのをちらりと見ては一つ浅く息を吐いた。 もう後戻りは出来ない。 暗く細い路地は当然と言うべきか、人の気配一つない。 夏の空気が湿気を伴って、建物の隙間に風となって緩やかに吹いていた。 転がっている何かの瓶を軽く足で横に蹴れば、 コンクリートの上を転がる硬質な音がした。 「ここでいいか」 何度か道を曲がって、進んで、待ち合わせた場所から奥まった位置に立ち止まる。そこだけはさっきまで歩いていた道より小奇麗で、ゴミも落ちちゃいなかった。 「もう少し綺麗な場所にしてやりたかったんだけど、そんなとここんな陰に無いもんな」 貴方に向き直して、気の抜けたように笑った。 その顔は酷く寂しがっているようにも見えるし、 酷く安心したようにも見えるだろうか。 「……傷は付けたくないんだ。銃もナイフも使わない」 ぱ、と顔の横で両手を上げる。 (-75) 2022/08/24(Wed) 19:54:28 |
【秘】 A88A― ヴィオレッタ → 坑道の金糸雀 ビアンカ>> ビアンカ 「いいえ、なんでも?」 落としたケチャップは次のオムレツで掬ってなかったことに。 愉し気な表情も、すまし顔でなかったことにして。 「えぇ、貸しにしておきます。 ですから――」 何処かへ行っても、連絡をくださいね なんて素直に言えなくて。代わりに、 「ですから、しっかり働いて返してくださいね」 などと減らず口を言って。微笑む。 できることなら、日の当たるところで 此処ではない何処か、この街の外なら。 あなたと……あの子なら。それができると思っていた。 けれど、それはあなたの矜持を貶めると知っていたから。 今は夜にしか鳴けない鳥も、 いずれは陽の光を知ると信じていたから。 ただ、あなたの話を聞いて、頷いて。 ……少しだけ眩しそうに、見つめるだけ。 [1/2] (-76) 2022/08/24(Wed) 19:58:13 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 坑道の金糸雀 ビアンカ「そう? ────君が言うなら」 やっぱり、そう。 君はあの子を渡さないし、男も結局こう言うのだ。 寂しいと言うくせに、悲しいと言うくせに。 カタギにするだとかなるだとか、そういうことに関心はないらしい。 男は言葉を尽くした。女は多くを語らない。結局は、そういう戯れを楽しんで。 戯れが稀に真実を映すこともあったろう。 沈黙は金、雄弁は銀なんて言うけれど、それだけが全てでもない。 偉そうな格言は、大抵何の役にも立ちはしない。 「身に余る光栄だ、<cc dolcezza>お姫様</cc>」 最後まで止めない。 男は模範的な客ではなかった。客を待つ娼婦と話し込むことも多かったし、顔を合わせれば大抵出かけようと誘った。酷く親しげで馴れ馴れしく、いつだって恋人を呼ぶように君を呼んだ。 男は模範的な客ではなかった。それでも乱暴だけはしなかったし、君の見せる夢に溺れることもなかった。恋人役を冷静に愉しみ、その手を引いて逃げようなんて言うこともなかった。 「僕も愛してるよ、ビアンカ」 それでもこれだけは、真実。 朗らかに笑って手を振り、踵を返す。 女は娼婦だった。男はマフィアだった。 それはきっと、ありふれた話だった。 (-77) 2022/08/24(Wed) 19:59:06 |
【秘】 A88A― ヴィオレッタ → 坑道の金糸雀 ビアンカ「そんなお世辞を…… って、さっきも言いましたね」 二度目の照れ隠しは途中で止めて小さく苦笑。 代わりにグラスのワインを流し込んで、ほぅと吐息を零した。 「……いいですよ。 えぇ、あなたが望むのなら、 私でよろしければ、いつでも」 そう言って頬杖をついて、あなたを眺める。 今日は夢に酔ってるせいか、 アルコールの回りも早い気がした。 「…… ビアンカ 」だから、普段は口にすることのない名を呼んだのも、 きっとその所為だろう。 [2/2] (-78) 2022/08/24(Wed) 19:59:33 |
【秘】 愚者 フィオレロ → Niente ラウラ「……そっか。 何もかもが過去形にばかりなったこの空間で、 一番聞けて嬉しい "だった" かもしれない、な」 果たして、例え話の人間になる事が幸せなのか。 死後にその欲望を知ってしまったが故に後悔を経験した己には、 終ぞ最後まで答えを出すことができなかったが。 「ラウラくん。君が人となったこともあるけど、それ以上に。 その答えを選んだ上で俺と違う道を歩んでくれた事が 俺が理由を言う何よりの一番の理由だ」 本当は、それこそを一番望んでいたのかもしれない。 なんて恩着せがましい言葉はそっと胸の内にしまって。 「……こちらこそありがとう。 その結末を見せてくれて」 貴方が知れた答えに、昔は祈りだったから今度は祝福を。 それから空の色を見て、何かを思案するようにして、 「夜が来る前に帰らなければならない時間だが、さて。 ──それじゃ、"また機会があったら飲もう"、か」 これからの有無を聞くよりも、きっとこの方が自分達らしくていい。 (-80) 2022/08/24(Wed) 20:03:07 |
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