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【赤】 従業員 ルミ[ 虐げられるのが好きなら最初から喜んでいるだろう。 さすがの自分でも、まさか被虐趣味かと疑ってはいない。 いや、もしそうなら受け止めるつもりではあるが、 SNSも現実の彼もそんな片鱗は見えないので。 許されるつもりなどないまま、毒林檎を手向けた。 ふたりを結ぶのはもう過ぎた過去の青さでも、 陽だまりの柔さでもないと知っていたから。 呪って縛って、 血よりも赤い糸で彼と自分の世界を繋ぐ。 ] …… [ わたし以外の誰のものにもならないで、と祈るのも愛で わたしを忘れられないくらい傷付いて、と呪うのも愛で わたしとずっと一緒の地獄にいようよ、と願うのも愛だ 日常の色に紛れた呪いは愛の顔をしている。 ] (*113) 2024/05/14(Tue) 23:02:46 |
【赤】 従業員 ルミ[ 大人になっただけのただの男女ではなく、 恋人よりも強く結びついた唯一の関係というのは 傍目に見れば正しいものではないのだろう。 正しくないことを「おかしい」と糾弾するのは簡単だ。 自覚している。理解だってしている。 けれど、" おかしい "からなんだと言うのか。 わたしは狡いから、きっと許したくないと言う。 傷を主張すればずっと償わせて傍に置けるから。 過去のふたりも、捨てたくないから。 ] (*114) 2024/05/14(Tue) 23:02:51 |
【赤】 従業員 ルミ[ イミテーションの愛はもう飽きてしまった。 どれだけ与えられても満たされない。 求めた本物のひかりをいつか素直に受け入れられたら、 きっと、縋り続けた偽りだって手離せるのだろう。 愛される存在を演じて、そして向けられた愛は 手離す間もなくやがて朽ちるかもしれないが。 ] ────ん。 お兄さんの今の言葉、忘れないでね。 何かある度に突き付けてやるんだから。 [ その度に腕を切って脅すことも躊躇いがないのだ。 都度罪悪感で転げ回って欲しい。 彼となら初めても、それを越えたあとだって どんなことも特別ないろになる。 ──雪は何色にだって染まるものだ。 ] (*115) 2024/05/14(Tue) 23:02:55 |
【赤】 従業員 ルミ…………? りんごあめ食べ切れなかったのはおにいさ、 ────ンむ、 [ なるほど……と神妙な顔で頷こうとしたが、 思い返さなくてもりんご飴ギブアップは彼ではないか? わたし泣いたことないもん、と 異議を申し立てようとするより先にキスが降る。 ────まあ、いいか。 途端に思考を溶かして目を閉じる。 薬が抜けきったなら、交わる体液にも影響はない。 白雪姫はキスで目が醒めたのに、 今はまるで真逆のような。 ] (*116) 2024/05/14(Tue) 23:02:59 |
【赤】 従業員 ルミ[ 喉が鳴る音が近くから聞こえるのが居た堪れなくて、 まるで幼い頃に戻るように戯れを重ねた。 したいと言った思いに嘘はないのに 許容量を越えそうな現実が、判断を鈍らせる。 ] えっ、えと、じゅう……? [ 十秒しか猶予がない遊びだったか、あれは。 今この場では至極どうでもいい二人のルールを、 必死に思い出そうと海馬に潜る。 いや三十秒だったじゃん!などと言ったとしても、 どのみち時間制限があることに変わりないのだが。 ] (*117) 2024/05/14(Tue) 23:03:04 |
【赤】 従業員 ルミ……あぅ……。 [ 恥ずかしいからといって反射で動かなければよかった。 着実に進み続けるカウントダウンに、 むしろその時を意識してしまう。 今更やめた、など通用しない空気になってしまった。 身を守っていたショーツが横に避けられ、 もう意味も無い可愛いだけの布一枚になる。 触れられる距離にいるのに、触れられない。 お預けに似たことをしたのは自分なのに そのくせ落ち着かない気持ちになりながら。 律儀に数え続ける彼へ、つい昔の影を── ] (*118) 2024/05/14(Tue) 23:03:12 |
【赤】 従業員 ルミ────ッは、反則……! [ 見なかった。 素直な少年は狡い大人になり、早口でカウントを終え 面影を辿る時間を奪っていく。 そのまま彼の手が自分の手に重なって熱を帯びる。 幼子のじゃれあいのようなやり取りは終わって、 ここにあるのは、体温を融かしあう二人の男女だけ。 ] (*119) 2024/05/14(Tue) 23:03:17 |
【赤】 従業員 ルミ[ 息を吐く。 少しの間忘れられていた腹部の熱が重く疼いて、 そろりと彼の目から手を離した。 見つかってしまったら、鬼は交代。 ────けれど今回に限っては、 ありきたりなルールは返上になるだろうか。 ] ……みつかっちゃった。 ふふ、懐かしい 昔はよくこうして遊んでた、けど。 [ 今と全く同じ言葉を紡いで、 彼を見つける側に回ったものだった。 夜の匂いなど無かった頃の話。 ] (*120) 2024/05/14(Tue) 23:03:23 |
【赤】 従業員 ルミ…………ああもう、…だめかも。 はずかしいと、わたし、言葉が多くなっちゃう。 ……お兄さん。 あのね、……しゃべれないくらい、きもちよくして。 [ ぎゅ、と彼に再び抱きついた。 そのまま首へ吸い付いて痕を残そうとしたけれど、 経験が足りないのか、上手く赤がつかなくて。 代わりにかぷりと首筋を噛む。 ふふんと笑って、「浮気防止」と呟いた。* ] (*121) 2024/05/14(Tue) 23:05:41 |
【赤】 会社員 雷恩[ルミが自分を見つめてくれていないまま 再会していたら、傷つけろと迫る自分を被虐趣味だと 勘違いされただろうか。 恐らく意味のない仮定だ。 ルミが頑張って見続けてくれていなければ、 自分達の道は交わることはなかった。 ふつうの家庭に生まれた少年と 家庭環境に恵まれていない5歳下の少女が あの公園で知り合えたことも奇跡だった。 それを運命にしたのはルミの力で、 その運命の糸を赤く染め続ける為に自分の力を足したいと願っている。 他の誰かに繋がっているかもしれない糸よりも赤く。] (*122) 2024/05/14(Tue) 23:59:11 |
【赤】 会社員 雷恩[自分が得ていた愛は偽物だとは言えない。 壊れた愛でも確かに愛だった。 その経験があるから、重ねて来たものがあるから、 ルミに対して偽物ではないものを渡せるのだ。] 録音しとく? 何なら着信音に設定しようか。 周りが聞いたらドン引きしそうだな。 [何かなくても反芻してくれれば良い。 ルミだけ。 染まりやすい色だからこそ、 他の何にも染まらないように、 降りかかる余計な色を焼く雷でありたい。] (*123) 2024/05/14(Tue) 23:59:39 |
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