【赤】 よろず屋 シラサワ沙華の張りつめた言動に海眼を細める。 まあ、その驚愕が見れただけしてやったり、 といったところかもしれない。 「確かにそうか、 二匹の"子狼"のお守りはちょっとな。」 道化を言いつけられた自分には 荷の重い話だ。 神狼は呼び起こす。 人間の根底に澱む衝動を、 飽くなき飢えと渇きを、引き摺り出す。 戸隠の歩みは止まらないだろう。 まるで祠に導かれるように、呼ばれるように。 見えるだろう? 灯をもった、飢えた同胞達が。 匂うだろう? 印に焼き付けられた、熟れた果実の匂いが。 「…可哀想に。忘れられたらいいのにな。」 戸隠を見て零した。 歩みを彼に合わせるように再開する。 (*24) 2021/07/21(Wed) 16:32:30 |
【赤】 右方舞 戸隠 ずりずり、ずりずり。 足を引きずっているのか、 体が引きずられているのか、 だんだんと分からなくなってくる。 灯りがあかるいのか、 灯りがくらいのかもわからない。 甘い匂いが漂っているのか、 甘い匂いに引き寄せられているのかもわからない。 ただ、ずりずり、と歩いた。 気が付けば、いつの間にか目をつむっていて。 漂う匂いのするほうに、ただ歩いていた。 「……なんだ、……これ、さ」 うわごとのように、呟く。 おまじないが解けてしまうことも構わずに。 「……狼、の……遠吠え……?」 なんにも聞こえない、はずだけれど。 (*25) 2021/07/21(Wed) 16:38:33 |
【人】 書生 シキ>>31 一ツ目覗かす男の声に当てられれば 手に持つ黒赤色の本を胸へと当てる。 万屋の言葉と薬屋の表情に意識を向けつつ ちらりと揺れた視線でユヅルを一瞥すれば それまで重く噤んでいた口を、小さく開く。 「ええ、こんにちは。 ……怖がらすようなことを言うのですね? 心配せずとも、今から跳んで這って 逃げ出すような真似はしませんよ」 掛けられた言葉の意図には、相応の程度を以て。 どこか貴方の親しさに応えるような声色で しかし、未だ釈然としなさげな面持ちのままに。 「あの人、最初に選ばれなかったというだけで あんなに心を乱して、嘆いていらっしゃる。 そういう祭り なのでしょう、これは」神の肉、神の臓。 左方の舞子が嘯くそれは、 はたしてただの言葉遊びか、それとも。 「俺は、『先生』の言い付けでここに来ただけです。 何があっても、許される分は俺の勝手にします」 付け足した言葉は、仄かな苦みを帯びていた。 (40) 2021/07/21(Wed) 16:41:45 |
【鳴】 左方舞 五十鈴「そっかぁ。 否定でも肯定でもない、かぁ〜。 まーそーだよね、長く続いた伝統をさー、どうにかすんのフツーじゃ無理だよね。 でも僕は神狼の心臓食べてやりたいな。 そうすればこの島もさ、平和になるはずじゃん?」 (=5) 2021/07/21(Wed) 17:13:16 |
【赤】 よろず屋 シラサワ「ひとつ"喰えば"、まずは治まるさ。」 道化の男は謳う。 それは五十鈴が求める林檎のよう。 禁断の果実。楽園の知恵の実。 一度齧れば、追放者の出来上がり。 最早楽園には、二度と戻れない。 (*26) 2021/07/21(Wed) 17:56:11 |
【赤】 右方舞 戸隠 祠とやらについたのか、ついていないのかももうわからなかった。 ざわざわと喧騒。 視界がぼやけて、 唸るような耳鳴。 ばくばく、ばくばくと心臓が脈打つ。 体の内側全てが、太い太い血管になってしまったかのように。 酒に酔った時とも、 熱中症になった時ともまた違う、 脳味噌の芯の芯からかぁと熱くなるような感覚。 「……っ、、あ、……ぅ、」 もう、意味のある音は口から出てこない。 つぅと、口の端から涎が伝う。 幽鬼のような顔で、ただ灯りと香りが示す奥へ、奥へと歩いて行った。 (*27) 2021/07/21(Wed) 18:25:06 |
【人】 左方舞 五十鈴振り返ると書生らしい格好の男が目に入った。 「ふうん、アレも”輪付き”かぁ。 いい顔してんじゃん。 さぞかしいい家に飼われてんのかな?」 不躾な目を向ける。 (43) 2021/07/21(Wed) 18:33:24 |
【秘】 右方舞 戸隠 → 左方舞 五十鈴 あなたに声をかけられれば、驚いたように肩を震わせる。 しばし悩んで、懐から取り出したメモ帳に何かを記し、 あなたに突き出した。 『しゃべれはする しゃべらないだけ』 見た目の印象よりは、乱雑な字だった。 (-45) 2021/07/21(Wed) 19:26:37 |
【人】 よろず屋 シラサワ>>32 モクレン >>33 沙華 >>36 ユヅル 「隠したかて、いつかバレるもんやろ? 神狼はんに直接問えるとは思わんけど…。」 情報は大切な"商品"だ。 言葉を紡ごう、経済を回し流通させるように。 遠くに居たモノは近くに。会話を始めたシキと五十鈴。 良い傾向なのではないだろうか? 商人とはこういうモノだ。周りを煽り、動かそう。 言葉という資金の循環を回そうではないか。 …島外の子かて、せめて覚悟ぐらい出来た方がええやろ? モクレンはんもユヅルはんも分かっとるみたいやな。 「ユヅルはんはやっぱええこやな…。 ちょっとぐらい反抗期起きてもええんやで?」 (46) 2021/07/21(Wed) 19:48:09 |
【秘】 左方舞 五十鈴 → 右方舞 戸隠「僕、”右”君と仲良くなりたいのに、喋ってくれないの? それとも、ここで喋ったらいけないとかソトで習った? (-46) 2021/07/21(Wed) 19:53:36 |
【人】 書生 シキ>>45 五十鈴 向けられる笑みには、笑みを以て返す。 青年のそれは、ややぎこちなさがあったが。 「俺は、シキです。 成程、そういう関係だったのですね――」 そうして、慰めの言葉を添えようとした刹那。 あなたとモクレンとのやり取りが脳裏を過れば 下手な物言いを添えるのは心情に悪かろうと、言葉を慎む。 「……そうですかね、俺には他所の程度は分かりませんが。 でも『先生』は良い人ですよ、こんな時代に 貧乏家の息子1人の世話を引き受けてくれて 作家としての勉強もさせてくれるんですから」 兎にも角にも、日々妙な目移りを繰り返していた青年も その時だけは、あなたの面立ちをじっと眺めていた。 (47) 2021/07/21(Wed) 20:00:47 |
【鳴】 奉公人 ユヅル「平和を成す為に、五十鈴さまは 神を喰らおうとされるのですか? ………それは、何故でしょう。 神狼様を祀るのみでは、平和は遂げられないと? 五十鈴さまのお考えを、私は知りたく思います」 (=6) 2021/07/21(Wed) 20:02:40 |
【秘】 右方舞 戸隠 → 左方舞 五十鈴 少し首を巡らせると、顔布をばらりとめくった。 線の細い優男といった風貌。 「……おまじないだっつうてな、教授から言われてるんだわ」 だが、やっと口から滑り出たその言葉は 少しばかり─それこそ、彼の癖字のように─乱雑だった。 「この島では気を抜くな、と。 なんだかしらねえが、口を開くと効かなくなるらしい。 人気の多いとこじゃ気をつけろと、 口酸っぱくしてな」 バツが悪そうに頭をかく仕草からは、 それほど信じていなさそうな内心が見て取れた。 (-47) 2021/07/21(Wed) 20:16:54 |
【秘】 左方舞 五十鈴 → 右方舞 戸隠「なんだ、普通に喋れるんじゃん。 僕……じゃないや、私は五十鈴、よろしくね。 ふーん、ソトの学生? それがこんな島まで来て、輪っかまでつけられちゃってるんだ? この祭りのこと、どこまで知ってるの?」 (-48) 2021/07/21(Wed) 20:25:06 |
【秘】 右方舞 戸隠 → 左方舞 五十鈴「『お前は話すな、踊ってろ』とよく言われるんでね」 冗談めかして笑う。 口を開いたことでどこかあった神秘性はすっかりと剥がれ、 年相応の気安さと無作法が垣間見える。 「ああ、舞踊専攻のな。 俺あ踊りに来たんだよ。 ここの舞は独特で、勉強になると思ったから。 輪っかて、これのことか? あの、美人の巫女さんからもらったやつ」 さっきもなにさっきもなにか色々言い合っていたな、 とひとりごちて。 「いや。正直なんもしらん。 教授がいやに渋るもんだから、 なんかめんどくさい風習でもあるのかとおもったんだが、 教えてくんなくてな」 (-49) 2021/07/21(Wed) 20:32:18 |
【秘】 書生 シキ → 左方舞 五十鈴――青年の声は、 囁くような小さきものへと変わる。 「……その。 五十鈴さんは、この島の"祭り"について どういったことを知っているのですか?」 青年は、自身の手首に巻かれたブレスレットを 手にした赤暗色の本と共に小さく揺らす。 「あなたのあの様子に対して、他の大人たちの言い分。 もはや隠し事もすることも無いと来たものだ。 まぁ、"連れて往かれる"というだけで 随分と大袈裟なことをしているとは思いますが やはり物騒な感じは否めないものでしてね」 言わば自分は『巻き込まれた』側の人間なのだ。 その分、この村の祭事に対する疑念は深い。 「俺は『先生』に言われて此処に来ただけなんです。 それが、こんなことになるなんて……」 ――続く言葉は、意図の読めぬ声色に乗せられて。 (-51) 2021/07/21(Wed) 20:53:26 |
【人】 よろず屋 シラサワ>>50 「かわええ子には旅させぇ言うやないか沙華はん。」 全くもって油と水。 とことん気質が合わないのか、喧嘩するほどなのか。 まぁ、ある意味変わらないやりとりに安堵しているとも。 扇子をパチンと畳み、帽子のツバを突きあげる。 「商人は美味しいとこ摘まむもんやで。 そないな言うて…この状況で、何の責任が取れるんや。 状況としては皆同じやろ。 何知っとるか違うぐらいで。」 あの状況で不確実な断片だけで混乱させるより、 どういう状態か説明した方がマシではないか、と。 言葉と言葉で斬り合う。 「まぁ、足りんもんがあったら うちの店から出すぐらいはするけどな。」 (51) 2021/07/21(Wed) 21:30:28 |
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