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【人】 ★中学生★ 五十鈴 雨音[ それからは、 私が目覚めた事で病室が慌ただしくなった。 精密検査だなんだ、って。 ちょっと幸せだったから このままひと眠りしたかったのに 数日後に出た検査結果は " 異状なし " 医師が言うには、頭からアスファルトに落下した為 脳の障害から意識が戻らなかったとの事で? 身体の方はとっくに完治しているらしく。 リハビリで筋肉を取り戻しながら 約一ヶ月ぐらいで退院できるでしょう、だって。 自粛してたり入院してたり ─── ]私って卒業できるのかな。登校日数少なすぎな気が。 (63) 2020/05/28(Thu) 0:13:57 |
【人】 ★中学生★ 五十鈴 雨音…… 私ね、交換日記してたの [ そんな話題を振ってみたのは、 退院も間近に迫り 彼がお見舞いに来た或る日の事。 日記を書きながら あれほど強く願った" 伝えたい事 "も 結局はタイミングを逃したまま、未だ伝えられてなくて そもそも、どこまでが夢だったのか ─── だから何気なく、何気なーく話を振ってみた。 ベッドのパイプ部分に取り付けた パンジーのキーホルダーを指で揺らしながら。 ] (64) 2020/05/28(Thu) 0:14:00 |
【秘】 ★中学生★ 五十鈴 雨音 → ☆中学生☆ 相星 雪也[ ちなみに ───── 今、交換日記のノートを開いてみても 全てが白紙になっているでしょう 想いを通わせ合った日記は役目を終え 真っ新なノートに戻り、また新たな書き手を待つ そんな不可思議な理屈は 私も彼も 知る由も無いままでしょうけど 私が手に取った時に白紙だったって事は このノートで想いを通わせ合った 誰かと誰かが 以前に居たのかもしれないね ]** (-78) 2020/05/28(Thu) 0:14:02 |
【人】 軍医 ルーク[ 脚部に走る強い衝撃に、痛みはない。 けれども、武装でもなければ機能にも劣る義足の何処かが、 ばきりと嫌な音を立て、何かが砕ける感触が伝わる。 片足からかくりと力が抜け、揺らぎかけた身体を、 咄嗟に手近なドアの枠に手をついて支えた。] 少し考えれば分かるだろう、 もしわたしが天の向こうとの内通者で、 そのせいで研究所の事故が起こったとするなら、 上が放っておくはずがない。 前線送りで済むどころか 即処刑がいいところだ。 [ そう、男が疑っているのはそういうことだろう。 “自分が機獣から回収された部品の扱いを誤り、 事故を起こしたという噂” ――真相を隠すため、意図的に広められたそれではなく。 どこからか、カイキリアの存在を嗅ぎ付けて。 自分が彼女とかかわりがあったことを知り、 爆破事故に結びつけたに違いない。] (65) 2020/05/28(Thu) 1:37:57 |
【人】 軍医 ルーク『だったら説明をしてもらおうか? 研究班の奴らが言っていたな、 お前は、誰も知らない、知りようがない 機獣の通信機を、一度の捜索で見つけてきたと。 それにな、見張り台で不審な動きをしていたお前を 見かけた見張りがいるんだよ。 大穴の調査? 確認したが、お前にそんな任務はないはずだ。 そのとき、一体何をしていた?』 [ その問いに―― 一瞬のこと、口を噤む。 通信機を見つけることが出来たのは、 嘗て研究所で同じ部品を見たことがあったと、 そう話すことも出来ただろう。 けれどもその一瞬のうちに、どうしても、 それを本当に見つけたのが“誰”であるかを このような男に知られてはならないと、そう過ったから。 見張り台でのことを問われたなら、 懐に大事に抱えたままの赤い袋に、指が伸びる。 その一瞬の沈黙をどう捕らえたか、 男が再び引き金に指をかけようとした、そのとき。] (66) 2020/05/28(Thu) 1:38:35 |
【人】 軍医 ルーク[ そして、外壁の“もう一か所” 三体の前方からの進撃に紛れるように、 周りこんで後方へと迫っていた “もう一体” が遂に行動を開始する。>>3:298 迷彩を施した鱗に覆われたその体躯は、 例えるなら蛇に似ているだろう。 それは基地の側面に迫り、鎌首を擡げ、 蟲型が破壊されると同時に、その巨大な口を開く。 放たれた砲弾が、外壁の一画へと直撃した。 外壁の上部、見張り台が傾ぐ。 がらがらと崩れ落ちてゆく石壁、 ひとなど容易く押しつぶしてしまう程に巨大な瓦礫が、 中庭に雨のように降り注ぐ。 最後に、ずん、と音を立て、 見張り台の残骸が、地に突き立った。 そして、間を置かずに次の攻撃が放たれる。 基地内部の建物へと砲撃が撃ちだされるその寸前、 防衛部隊の反撃が蛇の横腹に突き立ち、 その軌道が逸らされた。] (68) 2020/05/28(Thu) 1:41:35 |
【人】 軍医 ルーク [ 砲弾が、炸裂する ] [ 音も、視界も、すべてが真っ白に染まる。 すべての瞬間が、ひどく引き伸ばされるようだった。 目の前にいた男が振りむこうとしている、 その動きがひどくゆっくりと見える。 ぱきり、と、 砕け散る窓ガラスの最初の罅すら、 見えるほどの一瞬だった。 咄嗟に、身体が動いた。 まだ動く片足、両腕、その全部を使って、 ぺんぎんを掻っ攫うように抱きしめ、 手をついていたドアの枠の内側へと滑り込む。 全てが飲み込まれて行くような、真っ白い一瞬の中で、 全身で抗いながら、手を伸ばしてくる死から逃れようと。] (69) 2020/05/28(Thu) 1:42:40 |
【人】 軍医 ルーク[ 考えていたことは、ひとつだけ。 絶対に死なない、死ぬものか、 ここで待ってるって約束したんだ、 これから何が起こるとしても、何処に行くとしても、 決して離れない、君の手を離さないって。 そうだ、わたしは――… ] (70) 2020/05/28(Thu) 1:43:20 |
【人】 軍医 ルーク[ 銃を突き付けられ、兵士たちに拘束され、その少女は] 『――、 あーあ、ばれちゃったか。 折角上手く行くと思ってたのに』 [ くすり、あざ笑うように笑った。] 『本当にね、“案内ご苦労”―― わたしも、もう少し警戒するべきだったかなあ。 こんな甘い子を一人で担当にして、 泳がされてるに違いない、って』 [ 彼女は、別人のような眼差しを向ける。 その視線に、ぞくりと背筋が泡立つ。 まるで機械のように、虫のように、 感情のないまなざし。 上司の男は彼女を見下ろす。] (72) 2020/05/28(Thu) 1:44:45 |
【人】 軍医 ルーク『機獣とともに此奴が回収されたのは僥倖だったな、 戦闘要員というよりは、情報を集めるために 人に取り入る術を叩きこまれた諜報員だろう。 病原菌のようなものだよ、 放っておいては酷い被害が出ていたに違いない。 さて、君らの処分はまた考えねばならないとして―― これが通信機か? 記録が残っているなら、これは役に立つな、 十分な成果だ』 [ 次の瞬間だった。 彼女――カイキリアが、息を呑む。 顔色を失い、目を見開き、 自分に銃を突きつける兵士たちの“向こう側”にある ひとつの部品を凝視して。 彼女の視線を追い、気づく。 その部品に、赤いランプが灯っている。 ちか、ちか、と規則正しく点滅しながら。] (73) 2020/05/28(Thu) 1:46:03 |
【人】 軍医 ルーク『……嘘、どうして?』 [ 彼女の口から零れたその声は、 先ほどまでとは打って変わって、 凍り付いたような恐怖を露にしている。 彼女はもがき、兵士たちから逃れようとする。 がつりと殴りつけられ、顔を上げ、叫んだ。] 『爆発する…!! いやだ、やだ、 此処から逃がして、逃げないと…!!』 [ 僅かな間のこと――奇妙な静寂が、その場を支配する。 そのような馬鹿な、と、口にしかけた上司の口が、 言葉を発せず噤まれる。 ひい、と引きつるような息をしたのは、 自分たちを抑えていた兵士だ。 彼らは顔を見合わせ、銃を放り投げ、 ばらばらと勝手な方向に駆けだしてゆく。 そして、最後まで残った上司の男もまた、 彼らの後を追って走り出す。] (74) 2020/05/28(Thu) 1:46:48 |
【人】 軍医 ルーク――、 逃げるよ! [ 茫然と立ちすくむ彼女の手を取り、駆け出す。 どれだけの時間があるかは分からない、 一分? 数十秒? それとも―― 格納庫を駆けだし、あたりを見回す。 どこまで余裕があるだろう、 視線で問うた彼女の目を見て、 もう本当に猶予がないのだと知る。 背後から迫って来るそれは、確実な死だ。 限界まで足を動かして駆け抜け、 手近な部屋へと駆けこんだ。 倉庫のようだった。 少しでも奥へと、彼女の手を引いて、 物陰へと身を潜め、身体を丸める。 がたがたと指が震える。 耳も、尾も、何一つ現実味のない圧倒的な恐怖の中で、 破裂しそうに早鐘を打つ鼓動の音を聞きながら、どくどくと。] (75) 2020/05/28(Thu) 1:47:36 |
【人】 軍医 ルーク『……きらいだった、 あんたたちなんか、大っ嫌いだった、 笑ったり、怒ったりしてもいい、 悲しんだり、楽しんだり、なんでも持ってる、 当たり前みたいに、“感情”があって、 わたしに酷いことをする、あんたたちが』 [ そう言いながら、彼女は、 ――… この手を離そうとは、しなかった。 強く、固く、互いの手を握りしめる。 この手もまた、震えていた。 彼女の言葉のすべてを受け止めるように、頷く。 その憎しみは、きっと、わたしの中にもあるものだ。 天の穴の向こうに居る者たちと会ったなら、 どうして父を殺したのかと、 一片も思わずにいることが、できるだろうか。 彼女にその影を重ねようとは、思わなかったけれど。 それでもどうしても、自分たちは、 世界の外と内で殺し合う場所に立ってしまっていたのだ。] (76) 2020/05/28(Thu) 1:49:30 |
【人】 軍医 ルーク[ 視界のすべてが赤かった。 炎は消し止められたようだ。 耳音で滴る水の音に、 ああ、流れている血だなと――そう思った。 辺り一面の瓦礫の山、 吹き飛んだ天井の向こうは、一面の闇だ。 誰かの声が聞こえる、誰かの動き回る音、 瓦礫をかき分ける音。 彼らの声が、ひとつも意味を為さない。 頭の中はぐらぐらと揺さぶられて、 目に飛び込んでくる景色も一秒後には捻じれ、 水にぬれて絞られる布のような心地がした。 身をよじり、身体を動かそうとする。 けれど、からり、と手元の破片が音を立てた、それだけで。 そうだ、繋いでいた手が、あったはずだった。] (78) 2020/05/28(Thu) 1:50:36 |
【人】 軍医 ルーク[ 首を傾ける。 小さな傷だらけの手は、確かにそこにあった。 自分の右手と、つないだままだった。 ――その手“だけ”が、あった。 動いた視界の先に、大きな瓦礫がある。 その下にあるものは――ああ、位置的にはわたしの脚か、と、 他人事のように、思う。 音のすべてが遠ざかる。 けれど、鼓膜は大丈夫。 視界に問題はない、赤いのは、血が入っているから。 そんな風に淡々と分析しながら、 駆け寄ってくる誰かの足音を聞きながら、 まるで、ピアノを弾いている指の上に 蓋を思い切り閉められたように、 自分の中に『何か』が致命的に断ち切れたということに、 気づいては、いた。 そのときは、それは両脚のことだと思った。 切れてしまった糸はそれだけではなかったということを、 病室で自分を診察した医師のカルテを盗み見て、知る。 ―― そのときも、もう、何も感じなかった。] (79) 2020/05/28(Thu) 1:51:11 |
【人】 軍医 ルーク[ ――… ] [ 身を起こす。 起こそうとする。 意識なんて、あるかないかすらもう分からないけれど。 自分が確かに『生きている』ということだけは、 はっきりと、分かっている。] ……死ぬもんか、 [ そうだ、絶対にだ。 わたしは、待ってる。 君が帰って来るのを、君にまた会うのを、 そして――… これからもずっと、一緒に、いるんだ。] (80) 2020/05/28(Thu) 1:52:15 |
【人】 軍医 ルーク[ きゅいきゅいと、腕の中で声を上げる温もりがある。 額が割れ、血が流れ込んだ右目の視界が、 赤く覆われていく。 ぽたり、血が頬を伝い、床へと滴り落ちる。 少し離れた場所に、あの男がいる。 銃を落とし、意識はないが―― 見たところ、生きている、大丈夫だ。 どうやら砲撃の直撃は避けられたらしい、 だとしたら、逃げないと。少しでも遠くへ。 足に力を込めたそのとき、 がくり、引っ張られるように身体が床へと落ちる。 義足の片方――先ほど撃ちぬかれた足を、 倒れた棚が押しつぶしているのに気づいたのは、その時だ。 ぺんぎんが腕を抜け出し、必死で持ち上げようとするが、 到底動く重さではない。] (81) 2020/05/28(Thu) 1:53:21 |
【人】 軍医 ルーク――、っ。 [ 切り離してでも抜け出そう、 此処から逃げないと。 何か使えるものはないかと、 身を起こし、辺りを見渡す。] [ 建物の壁面が崩れ、中庭が見える。 ず るり、と、ひどく重い何かが、土を這う音がした。 蛇型の機獣の巨大な目が、 真っ直ぐに此方を見ていた。] (82) 2020/05/28(Thu) 1:54:59 |
【人】 軍医 ルークあ……、 [ 機獣が、口を開ける。 外壁を砕いた砲撃だ、 放たれたなら、建物はひとたまりもない、 自分たちもまた、骨一つ残さず消し飛ぶだろう。] [ 脚にどれほど力を入れて瓦礫から引き抜こうとしても、 瓦礫も、脚も、動かない、動けない。 機獣の口の中に、あかい光が灯るのが見える。 ――指先が、懐に触れる。 こつり、触れた感触は、 そうだ、此処に来る前に彼から渡された――] (83) 2020/05/28(Thu) 1:55:47 |
【人】 軍医 ルーク――… ット、 “ ルークの声は、絶対に聞き逃さないから。” シュゼット!!! [ 残されたすべての力を振り絞り、叫ぶように、 ―― その名を、呼んだ。]** (85) 2020/05/28(Thu) 1:57:37 |
【人】 数学教師 渡辺 春嗣[雨宮さんが立ち上がって、硬直する。>>5 どうやら、姪は自分が家族だと まだ伝えてなかったようだ。 校外で担任に遭遇するのは 疾しいことがなくても煩わしいだろう。 こちらとしては 二人の共通の趣味を思えば 姪の仲良しが彼女なのも納得であるし 家に遊びに来たのが彼女で ほっとしていたりするのだが。] (86) 2020/05/28(Thu) 7:49:37 |
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