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【秘】 雷鳴 バット → 半分の仮面 リアン上級生から見た高等部の青年は、いつもぼんやりしたふうだった。 喋り方は間延びしていないまでもとぎれとぎれに呼吸が挟まりがちで、 大きな体の落ち着いた動作と相俟って大型の草食獣めいた感触だったかもしれない。 貴方の言葉を受け、なるほど、みたいな感じで頷いた。 遠慮しいに遠目に見ているそれとは、実情は違うものなのだろう。 漠然と今更ながらの印象を得て、認識を改めてみて。 「もしも未だ見つからずなら」「また、声を掛けるかも」 「また、いずれ」「食堂でも会うことだし」 そう言って別れたのは、今より遡って数日前のこと。 その後日と月の巡りを経てその言葉が覆ることがあるとは思っていなかった頃。 いずれを経たいつかの時に、互いが同じ顔をして会えるかは――わからない。 (-69) 2022/05/03(Tue) 11:43:26 |
エルナトは、黙々と作業をするトットをちらりと見て、目を細めてる。偉いね。ちゃんと進んでるかな? (a10) 2022/05/03(Tue) 11:51:36 |
【秘】 雷鳴 バット → 月鏡 アオツキお茶の時間が始まる前、問診が終わるまでのうち。 貴方の優しい言葉を受けた青年がいつものように、 『大丈夫』『頑張るね』といった旨のそれを返して。 ベリーやカシス、華やかで魅惑的な甘い香りをした、 真っ赤なお茶を冷める前に賞味した温かな時間を経て。 それでもやっぱり、青年は夜には森へと向かった。 或いは別の場所かもしれないけれど、こっそりと貴方に告げずに向かう場所など、 それ以外にあるわけでは、少なくともこの刻まではないことだった。 そしてその足音はいつものように夜更けにも朝ぼらけの内にも戻らずに、 部屋に戻ったのはきっと、昼間の太陽を迎えて以後のことだった。 その理由は、教師陣が青年を拘束した理由は。 青年が病気であったから、のみに非ず。 そこには異端に向けた侮蔑と畏怖が、少なからずあっただろう。 (-70) 2022/05/03(Tue) 11:55:33 |
【秘】 司書 エルナト → 童心 クロノ図書室。 人がいない時は紙が焼けないようにカーテンを閉ざしているその部屋は、今はろうそくの灯りとカーテンの隙間から漏れる僅かな光のみに照らされている。 図書室の主である少年は、机に置いた蝋燭の下、小説を読んでいるところだった。 「おや……クロノさん。」 「うん、僕で良ければ、喜んで。」 前の話か、それとも別か。 いずれにせよ柔らかく微笑んで、君に席に座るよう促した。 (-71) 2022/05/03(Tue) 11:56:11 |
【秘】 雷鳴 バット → 月鏡 アオツキ/* 日跨ぎになりましたが秘話お付き合いありがとうございました! どういう状況で戻ったかは狼側の方々と軽くすり合わせた後参りますので、 夕方以降にまた会うかもしれないし次の日になるかもな〜くらいで、 スナック感覚の考慮でお待ちいただければ幸いです。 さまざまなご交友を……楽しんで……! 時間押しの展開になってしまい申し訳ない、 &お話いただけて嬉しいです。ありがとう……ありがとう…… (-72) 2022/05/03(Tue) 11:58:29 |
【秘】 雷鳴 バット → 神経質 フィウクスふたつ年上の貴方から見た青年の姿は、なんとも不器用なものだった。 言葉はやっとのこと選んだ単語を繋ぐように途切れ途切れで、 食事一つ選ぶのにも時間をかけるのは、小等部の頃からずうっとそうだった。 かつてからどれほど貴方が気にかけたことがあったかはわからないけれど、 ただでさえ目立つ青年の言動は、他の問題児から見れば隠れ蓑のようにさえ思えていたかもしれない。 そうした周囲の目を気にしているのかどうかも曖昧な乏しい表情は、 貴方の一声を受けてぱちぱちと瞬きをすることでやっと少しの変化を見せた。 いくばくか、貴方の言葉を咀嚼して呑み込むまでの間があった。 時間はかかりはしたものの、それを大きく違えることはない。 「……いいの?」「そうか」 「フィウクスがいいなら」「明日から、使わせてもらう」 「なるべく汚さないように」「掃除もしておくから」 「ありがとう」 「優しいきみ」 了解の返事からずいぶん遅れて背中に投げかけられた感謝の言葉は、 果たして素っ気ないように振る舞っている貴方の背中にきちんと当たったのだろうかな。 ともかく貴方がいなくなれば青年は食事を再開し、 そしてまた次の日になったなら―― とも、そう上手くはいかず。 人の立ち入った気配が貴方の指定した部屋に残るのは、 朝も午前も超えて昼より後になってのことだっただろう。 (-73) 2022/05/03(Tue) 12:16:52 |
【墓】 雷鳴 バット誰のものでもないその部屋に、誰かの気配が残り香のようにある。 湿った、背筋の凍るような、神経に不快感を及ぼす何か。 しっかりと清掃され清潔であるように保つ努力を経てもなお、 言い様のない警鐘の残滓が僅かに空気に染み付いている。 それは朝も午前も超えて、白日が名月へと交代するほんの間際の頃だった。 そこにはもう誰もいない。 (+1) 2022/05/03(Tue) 12:20:08 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニあなたに励ましてもらうばかりではいけない。 自分だって、しっかりしなければ。 それは不安を覆い隠そうとする笑顔ではあったけれど、きっと。 無理矢理にでもそうすることが、『いつも通り』を取り戻してくれると信じたかった。 いつもあなたがそうであるように、誰かの、あなたの支えになれると信じたかった。 座り込んでしまいそうになるのを、どうにか留めてくれると信じていた。 それでも食欲は湧かなくて、いつもより少ない食事を摂って。 それからしばらく。 あなたに名前を呼ばれると、少女は振り返った。 ▼ (-74) 2022/05/03(Tue) 12:30:53 |
【秘】 雷鳴 バット → 充溢 バレンタイン「そうか。……病気については聞かないほうがいい? 僕もあまり人に言いたくない。どんなふうに思われるかわからないから。 けれどみな、言ってほしそうにしたがるし。 聞いておいたほうがいいなら、聞くし、誰にも話さない」 理解は示した上で、探られていいものなのかも含めて確認すべきだろうと青年は判断した。 誰もが悩みを抱えているが、抱きかかえ方は誰もが同じではない。 現に青年自身についても、自分で述べた通りの姿勢だ。 ひとまずはどうしてほしいか、については了解を示して、森の中を先へ行く。 進むごとに深くなる森の中を、青年は迷いもなく歩いて行く。 まるで昼間の太陽の下にあるみたいに周囲が見えているみたいだ。 獣道にも劣る足場の悪さは、やすやす歩けるものでない。 かろうじて青年の背中を追うのであれば、背の高い下生えを踏まずに済む程度。 ふ、と手を伸べて貴方を制しながら立ち止まって、周辺から距離を置かせる。 腕を伸ばして地べたの近くを探り当てると、なにやら薄っすら木漏れの光を反射する、 頼りなく細いものを拾い上げた。それは、細い輪郭をしていた。 「……よかった。 罠に間違えて掛かったわけではなさそうだ 」青年が指先で揺らしたのは、針金で作った丁寧な細工。 木々の間に巧妙に隠されてしまって、ふつうであれば見つけられない。 かり、と手袋の先でつついたそれは、まるで小動物でも捕まえるみたいなもの。 「もしお化けや……大人に捕まったなら、いや、でも。 ジャステシアはおとなしい子だから、抵抗もせず捕まったのかな。 踏み荒らした跡でもあれば、僕の目ならわかるのに」 (-75) 2022/05/03(Tue) 12:31:24 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ「ううん、いつでも何でも率先してくれるのは、バラニだよ。 だからみんな真似して動けるし、ロッテも手伝えるの。 ありがとう」 やわらかく笑み、あなたを見つめる。 次いで行われた提案にも、嫌な顔などする筈もない。 「うん、もちろん。 みんな、早く顔を見たいな……」 「今朝、先生と話してなかった? なにか言ってた? 先生も、知らないのかな……」 これまでの反応や、今日はその先生の片方も姿が見えないこと。 それらから、望みは薄いとわかっていても、なにかを口にせずにいられないといった様子で。 (-76) 2022/05/03(Tue) 12:31:36 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピスあなたの姿をみとめると、少女はふわりと微笑んだ。 「ラピス、どうしたの」なんて声をかけ、黒板へ視線を落とす。 「うん、大丈夫だよ」 「……心配、かけた?」 赤い視線が移ろって、黒板から、あなたへ。 (-77) 2022/05/03(Tue) 13:16:58 |
【秘】 童心 クロノ → 高等部 ラピス椅子に座って、あなたがホットミルクを入れて来るまではじっと待っている。 蜂蜜たっぷりの、甘いホットミルク。 眠れない時とかにあなたが作ってくれる、甘くて美味しいやつ。 そういえば、朝食を余り量食べれなかったなと 意識的にクッキーに手を伸ばして、小動物よろしくちまちまと齧り始める。 そして。かつかつ、チョークの音。 書き終えた文字と、固いノックの音に 口に入れたクッキーを飲み込んで、あなたをまじまじと見つめた。 「石、に?」 声に出しながらしばらく見つめて、 首元を指さす。ここは、もうそうなっているのかと。 (-78) 2022/05/03(Tue) 13:40:32 |
【秘】 童心 クロノ → 司書 エルナト「その、…………。 …………あ、あんまり、聞かれたくない話……だから……」 図書室となると、どうしても誰かが来る可能性がある。 だから邪魔されたくないから移動したいと言う様に もごもご言いながら視線を扉へと向ける。 「……い、今は無理だったら…… 後ででも、いいから……」 (-79) 2022/05/03(Tue) 13:53:05 |
【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ「…………」 あなたの話を静かに黙って聞いている。 何事かを考えているのか、それとも言葉を失ってしまっているのか。 いずれにせよ、その話はあなたが恐ろしくて泣いてしまうかもしれないと称するに値するものだと、バラニは自分でもすんなりと受け入れることができたのだが。 「もしも、今でもそれが続いていたとしたら…… 先生はそれを、受け入れることができるのですか? ……不安や病気が取り除かれるとは言っても、それは」 僅かに目を潤ませながら、じっとあなたを見つめて問う。 不安や病がなくなるのは喜ばしいことだ。 それでも、落ち込んでいたり様子がおかしくなって帰ってくることになるのは、どうにも飲み込み難いものがあった。 病気が治ったのなら、本当はその事をしっかりと喜べないといけないはずだと。 (-80) 2022/05/03(Tue) 14:11:08 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「そ、そうかね……? 私も……君や、皆がいるからこそ動けているのもあるのだから。 ありがとう、こちらこそね……」 こちらに向けられる笑みが、気分を和らげてくれるようだった。 嫌な顔もせず快諾してくれたことに安堵しながら、再びお礼の言葉を述べて。 さっそく行こう、と他愛もない会話を続けながらゆっくり歩みを進める。 「うむ、アオツキ先生と少しね…… 私も気になって聞いてみたのだ、何か知らないかと」 そこで一度、言葉は止まって。 続けるかどうか、少しばかり悩むような素振りを見せてから。 「……皆が姿を見せないのは、神隠しとは無関係だと……先生が」 (-81) 2022/05/03(Tue) 14:24:52 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット「………」 気をつけてと、言ったのに。 でも、わかっていた。 また森で。 その言葉通りに少女は夜半、再び青年と森で邂逅した。 夜の風景にそのまま溶けてしまいそうな色をした少女は、しかし同化することなくそこに居て。 命が寝静まった森の中で、二人の足音が木霊した。 時折、夜に動くもの達の気配に見送られつつ あなたの手を取り、森の奥へと誘ったことだろう。 明日、青年の部屋に誰も居なかったことが、何よりそれの証左となっていた。 (-82) 2022/05/03(Tue) 14:32:57 |
【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ赤い視線と交わって、首肯が返す。 『元気がないように見えました』 連日、いつもと違うことが起こりすぎているから。 気が滅入っても仕方がない。 食堂では年少の世話を焼いたりして気丈でいたように見えたけれど。 『私で聞けることがあれば、聞きますよ』 何か話すことで肩が軽くなるのならそうしたい、と。 (-83) 2022/05/03(Tue) 14:35:29 |
【秘】 高等部 ラピス → 童心 クロノちまちまクッキーを齧る様子が小動物らしくて微笑ましい。 自分もよくそう形容される内の一人なのだけれど。 質問に、また頷いて返す。 甘いホットミルクを一口飲む。 いつも心を落ち着けてくれる優しい味だ。 それから、ゆっくりと手袋を外した。 黒い布地の下から現れたのは、柔らかな白い肌の上を、深い青が所々覆い隠した手だった。 夜空を切り取ったその鉱石はラピスラズリによく似ている。 また手を机の上に置く。 先程よりもはっきり、硬い音が耳に届いた。 (-84) 2022/05/03(Tue) 14:45:13 |
【人】 神経質 フィウクス>>26 エルナト 「何の本だろうと同じ事を言うくせに」 視線を逸らして、小さく鼻を鳴らす気配。 意外だ、と言われた事が特別気に障ったわけじゃない。 どこかフラットなあなたの雰囲気は、寧ろ。 気難し屋にとって、どちらかと言えばやりやすい部類になる。 「……選んだ基準はある。 俺の病状を悪化させる要素が少ないものを、 覚えのあるものから、ただ消去法で選んだだけだ。」 ただ、あなたが以前に言った事に少し思う所があっただけ。 けれどこれが益になるかもわからない。 却って嫌なものが増えるだけかもしれない。 「それでも逆効果にならないとは限らない。 お前ほど上手く付き合えるとは限らない。 だから読む気が起きなかっただけだ」 上手く付き合える、という言葉が指す先は。 本、或いは物語というものか、それとも等しく抱える瑕疵か。 (27) 2022/05/03(Tue) 14:56:01 |
フィウクスは、静かに過ごすトットに突っ掛かるような事はしない。 (a11) 2022/05/03(Tue) 15:00:35 |
フィウクスは、勉強会には行かない。 (a12) 2022/05/03(Tue) 15:00:44 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 充溢 バレンタイン>>23 「レン?」 足取りも重くふらりふらりと彷徨うあなたの姿を見、少女は足を止めた。 大丈夫、とは言ったけれど。 日毎、異変は広がるばかり。 不安もまたじわりと蝕み、虫食い穴のように。 足早にあなたの隣へ歩を進めると、様子を窺った。 (-85) 2022/05/03(Tue) 15:05:13 |
【秘】 充溢 バレンタイン → 花信風 トットバレンタインは、自分の病気をあまり隠していない。 とはいえ聞かれなければ教えることもないし、 そんな感じで知らない生徒も多かったりするのだろう。 気遣われることが、嫌なわけでもないんだし。 「色々な薬がある、から……色々な病気が、治るんだ。 君のくれる、花も……同じ。何かに役立つ」 (-86) 2022/05/03(Tue) 15:36:28 |
【置】 神経過敏 フィウクス無人の部屋。 寮の自室ではないどこか。 今日という日の夜が深くなってしまう前には。 扉を開けて、今は誰も居ない事を確かめる。 一度鍵を閉める為に。 「…………」 病によって形成された神経質な精神性は。 そこに残るほんのごく僅かな名残に、 見て見ぬ振りをする事すらできない。 それでも、この紛れもない不快感に起因する悪感情は。 誰か特定の個人へ向けるものではない悪感情は。 理性による思考と、心の様相が相反しているよりは。 罪の無い者に苛立ちをぶつけてしまうよりは。 まだ良い方だと感じてしまう。 (L1) 2022/05/03(Tue) 15:37:21 公開: 2022/05/03(Tue) 16:00:00 |
【人】 夢見る乙女 シャルロッテ>>25 リアン 「そっか、リアンはよく見てくれてるんだね」 「ロッテも見習わなくちゃ……」 デスクの上に並ぶそれらは、きちりと整えられている。 これなら、集まればすぐに始められるだろう。 そうしてあなたの手元を追っていた視線は、ふと、あなた自身の相貌へと向けられる。 食堂で見たとき、いつもと違ったような気がしたことを思い出したから。 (28) 2022/05/03(Tue) 15:48:49 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 中等部 バラニ互いに支え合うことができているなら、それが何よりだ。 少女はあなたに気遣ってもらうことの方が多いように思うけれど――これからはもっと、助けになれるといい。 こんな風に、不安なときだからこそ。 あなたに促され、少女も歩き出す。 「……そっ、か。 神隠しって、ただの噂、だもんね……」 とは、答えても。 ただの噂と断ずるには。 「……でも」 「神隠しじゃなくても」 「こんな風に大勢の姿が見えなくなるのは、へん」 (-87) 2022/05/03(Tue) 15:49:39 |
【鳴】 充溢 バレンタイン言葉を音にするのでさえ手間取るものだから、 文字に書くなら当たり前のようにそれ以上の時間がかかる。 授業で言われたことを書き取るのとは訳が違うな、というのを、 手紙を書いて初めて実感することとなった。 とはいえ、新鮮な体験なので、 それなりに楽しみつつ書き連ねていけた。と思う。 『言葉を文字にするのって難しいですね。 それに、何でもと言われてしまうと、 尚更書くことに悩んでしまいました』 文字の通り、この辺りは何度も消しゴムで擦ったような、 少し煤けたみたいな跡が残っていて。 『優しい友人がいるおかげで、 この一年くらいは授業が終わっても寝過ごしたり、 朝食の時間に食べ終わるのが間に合わなかったり、 といったことは少なくなっていて助かってます。』 『それと、昨日恋愛小説を図書室から借りました。 兎と烏が、様々な障壁を乗り越えて恋をする物語。 昨日お話ししたことが何だか頭に残っていて、 それで良い夢が見られたらいいなあと読んでたり。 恋を夢みたいな話だ、と思ってるわけなんですけどね。』 (=2) 2022/05/03(Tue) 15:51:13 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピス声のない静かな言葉が、視界に映って。 笑んだ少女の相好は、口角を上げたまま、それでも。 へにゃ、と情けなく崩れた。 それは困ったような、泣き出す前のような。 「……うん」 あなたはやっぱり、みんなのお姉さん。 不安なのはきっとみんな、おんなじで。 それでも、年下の少女を気遣ってくれる。 「最近、なんだか変だから」 「やっぱり、不安になっちゃった」 じっとしていると苦しみや怖いものが追いかけてくるから、少し歩こう、と身振りで示した。 (-88) 2022/05/03(Tue) 15:54:28 |
【秘】 充溢 バレンタイン → 雷鳴 バット「僕は……あまり隠して、ない。 不安なことが、溢れて……止まらなくなる……病気。 それを和らげる薬は、眠く、なるのが副作用で…… 薬の効能とは別に、眠いと……不安をぼやけさせて。 溢れないように、押さえつけて、くれる。 別に、……誰かに話してもいい。気にしない、から」 歩いていく途中。ゆったりとした喋り方で、 睡魔の中から、言葉を探し拾い上げていくみたいに。 実にあっけなく、自分の病気のことを話し出す。 少年にとっては、溢れてしまうかそうでないかだけ。 容れ物である自分やその中身を探られても、たいして気にすることはない。 険しい道のりに、話している途中で言葉を詰まらせたり、危うくつんのめったりしていたのだが、それはまあ別の話。 「……罠……」 そんなもの仕掛けてるんだ、という僅かに苦笑したような声色。近づきすぎないように、けれど目を凝らして針金を見つめる。 「……逆にいえ、ば。自分から離れたら…… こういうのに……引っかかっても、おかしくはない、か」 何故かどことなく、安堵でもするみたいに息を吐いた。 (-89) 2022/05/03(Tue) 16:06:51 |
【秘】 充溢 バレンタイン → 夢見る乙女 シャルロッテ「シャルロッテさん」 青い瞳は僅かに伏せられてはいるが、 いつものように眠たげなそれではない。 しかし部屋などでたまに目にするような、 不安に満ちた切羽詰まった表情でもない。 どちらかといえば、少しばつの悪そうな。 「……ええと、そう……皆が、宿題!」 頭が引き戻される前に、それを音の形にする。 「宿題が何か……聞きひそびれてしまった。 から、そう。誰かに聞きに行こうとしていたところで」 (-90) 2022/05/03(Tue) 16:14:00 |
【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ身振りで促されて、共に歩き出す。 不安に追いつかれないように。 ちょこちょこ、小さな歩幅は誰かと歩くときは少し広くなったり狭くなったり。 合わせてもらうことの方がずっと多いのだけれど。 隣のあなたの様子を気にかけながら、てくてくと。 歩きながら黒板に書くのも慣れたもの。 『ジャステシアがいなくなってから、少しずつ皆が不安になっているように思います』 『シャルロッテちゃんも、何か気になることはないですか』 同室の彼のこと。食堂の片隅が定位置の彼のこと。 はたまた、あなた自身のこと。 (-91) 2022/05/03(Tue) 16:25:50 |
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