人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【秘】 リヴィオ → 暗雲の陰に ニーノ



その日の夜、
男は友人の静止も聞かずいつもの徘徊を行っていた。

だって家にひとり、退屈は紛れない。
それなら晴れた外を歩く方が余程男の頭も冴えるというもの。
余計なことばかり考えてしまう時間は何より苦痛だ。

昼の活気を失い、落ち着いた夜の街を歩きながら、
ふと、足は人気のない路地へと迷い込むように曲がる。

暫く歩けば、猫の鳴き声。
ふ、と……海にも似た翠がそちらへと向かう。
向いたのは、猫の鳴き声がするからではない、けど。

「………おや、ニーノ。こんばんは」

右腕をつつかれながら笑みを浮かべて、
君と猫を交互に見やる。

「…いや、何。俺を呼ぶ可愛いの声がしてね。
 呼ばれてしまったならどんな格好でも出歩くしかない」

「……というのは勿論嘘で、こんな格好だからこそだよ。
 目立つだろう?両手が自由じゃないってのはさ」

だからといって出歩かない選択はないし、
医者に怒鳴られながらも入院は断固拒否した。
こういう所は強情だ、
な予感がするのだから仕方がない。
(-153) 2023/09/29(Fri) 1:54:33

【秘】 幕の中で イレネオ → アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

がちん。

それは男が自分の歯を打ち鳴らした音。噛み締めるだけでは足りずに、威嚇でもするように強く噛み合わせた音だ。
音を立てて沸騰するのは貴方の笑いだけではない。高温でぐらぐらと煮立っているのはこれもそうだった。比にならない怒り。不快や不愉快では片付かない圧倒的な憤怒。激情。心火が理性を薪にして燃え上がる。

ばきん。


横面を蹴飛ばした。
貴方が避けないなら、の話。


だん。


心臓の上を踏みにじる。
それも避けないなら、の話。


衝動的に、酷く冷静に、机の上に放ったペンを引っ掴んだ。
それも邪魔されないなら、の話だ。


「爺さんはな」「逃げてない」
「お前たちに愛想を尽かしたんだよ」

長身が遮る室内灯。
逆光の中でも歪んだ表情はよく見える。
貴方が結局そのままでいるのなら、男はそのまま馬乗りに体重を掛けるのだ。ウェイトではそちらに分があるのだから、この行動はやはり賢いとは言えない。
(-154) 2023/09/29(Fri) 1:54:48

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → favorire アリーチェ

「噂のルーカスさん、ははっおもしれえ言われようだな。
 好きに呼んでいい、歳もそこまで変わらん、テオドロの一つ上でリヴィオと一緒だ」

さらりと貴方の同僚達と仲がいい旨も告げる、年齢はわざわざ聞いたものではなく調べたものだが。
それぐらいは気にするような者達ではないだろうし、歳を知っているという情報も巧妙に隠しているつもりだ。

「ヴィットーレが拷問?
 あいつ、自分の店が燃えて警察に捕まったと思ったらそんなことになってたのか。
 仕方ないな……あー、……ん−?」
「……、
すまんヴィットーレやらかした


どうやら名を挙げた彼とも知り合いではあるらしく、同時に何かを謝罪した。疚しいことでもあったのだろうか。

「よし、今から何でもしてやる。奴には特上の個室を寄越そう。
 お嬢さんも付き添いだけじゃあなくて一緒に診察は受けてくれ。
 こんな悪環境で何か病気を貰っていてもおかしくない、
 同じ病院でかかれるように手配してやる」

「そんなところか、運ぶのは今すぐしよう」

電話を手にして部下に車を手配させた。
そうして踵を返せば、彼の牢屋までの長くない道のり、貴方を連れてその道を行く。

「あんたはヴィットーレがなんの罪で捕まったか知ってるかあ?
 俺はな、少しだけ。それが悪い事かどうかは知らんが。
 お嬢さんはどう思う、取締法で捕まったやつらのことや
 ――罪もないのに捕まえられたこと。
 こんな可憐なお嬢さんが冤罪以外で連れてこられることなんてないだろう?」
(-155) 2023/09/29(Fri) 2:03:24

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ

「お前…その顔は自分の両手を見てから言えよなぁ…」

どう見ても両手が無事じゃないし、なんなら耳もちょっぴり。
不思議そうな顔をしてもダメなのだ。

「おーう…悪い。ちょっと足と腕がこれなの忘れてた。
あと、俺の目的が達成されてないんでやっぱ待ってくれ。」

片手で何とか、戻ろうと藻掻いて。
体の大半をベッドに乗せる事に成功するだろう。

そしてベッドに戻るついでに
ちゃっかり貴方の袖を掴んで引っ張ろうとしている。
行かないで欲しい、とそちらを見るだろうか。
(-156) 2023/09/29(Fri) 2:05:02

【秘】 路地の花 フィオレ → 幕の中で イレネオ

げほ、げほ、と咳き込んでいれば。
少しだけの間を置いて、砂埃が女を襲う。
口の中がざらつき、目に入らぬよう瞑った目を両腕でかばって。
あなたの思惑通り、大きな隙が出来る。

が、っ!
う……ぐぇ……っ」

靴先が、女の腹に突き刺さる。
一瞬浮いた体は、もう一度壁に思い切りぶつけられて。
再び地に落ちた。まるでボールのような扱いだ。
膝で圧迫されていた時とは比べ物にならないくらい、抉るような衝撃が内臓を襲って。
その場に胃の中のものが吐き出される。
つんとした匂いが鼻を刺激して、口の中がきもちわるい。

その衝撃で、ポケットから
注射器
が転がり落ちる。
中身こそ空になっているが、使用された形跡のあるもの。
疑心暗鬼になっているあなたは、これをどう取るだろうか。

「っ、ぐ……あ、は」
「どう、おも、う?」

青い顔で、しかし。
負けるわけには、いかなかったものだから。
(-157) 2023/09/29(Fri) 2:05:05

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ

>>-145
「そうだな、俺は正直者なんで怪我をしていたら言う」

流石にその表情と言葉に申し訳なさを感じたのか、
しっかりと自分に被害があるわけではないことを告げた。多分。
少なくとも物理的被害はその血の汚れだけだ。

「なんだ、俺が悪いのか? ちゃんと仕留めようとしたんだ」
「これでも頑……」

言葉を止めたのは決して褒めて欲しいわけでもなんでもなく、
今思えば完全に自分の事情でファミリーを撃ったことであり、
むしろあまり良くないことであるとわかりつつ、
怪我の理由も痴情のもつれにジャンル分けされるのかと思うと一瞬で気分が悪くなったからだ。
自分から見ても他人から見てもそうかもしれない。

最近猫と自分が入り込んだその座席にもぐりこむ。
出来る限り汚さぬように気を使いながら、投げられた濡れタオルで手を清め一息ついた。
服の問題がある、日が暮れゆく世界の中であれば目立たないがそのままもよくはない。
だがそれ以上に、もう動きたくもなかった。

「……服は、外で脱ぐ羽目にならなければどうでもいい」
「海に嫌な思い出は、ない」
「多分、泳ぎは微妙」「見るのが好きだ」

#ReFantasma
(-158) 2023/09/29(Fri) 2:08:00

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ

>>-106

「おう、改めておはようさん幸せ者」

「悪いがゆっくりは寝れんのだ。
 目は瞑っていいが寝るな、しばらくしたら俺が運んでやる。
 ……それとリヴィオ、お前医者嫌いだろー、顔に描いてある」

どうするんだその怪我と、ため息を吐いて医者に出張してきてもらおうかだとかぶつぶつ聞こえてくる。
金の力でどうにかする算段を独り言で呟いていれば漸く貴方の方に意識を向けて。

「なあリヴィオ。今どんな夢見てたか覚えているか。
 ……話せるんなら話せ、体より口が今一番動かせるだろう」

改めて訪ねるということを、教えてくれと頼むことは自分にとっても久しぶりであった。
幼馴染にも、友人にも、上司にも。知りたいと言って調べることはしてきた。
だが、その場で教わりたいとちゃんと言うのはそれはそれで勇気もいる者で。
決して自分勝手に関わりたいわけじゃあない、貴方のその口から聞いてみたいことだってあるのだ。
(-159) 2023/09/29(Fri) 2:15:59

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



「………ぅ、ぐ………は…はは…………ッ」

止まることなく感じる負荷に、やはり笑いは途絶えない。
呻きもあれど、この取調室に響く声は
そちら
が多めだ。

「あは…、………は、ぁッ…………は、」

まずは、ずり、と床に顔を擦ろうが、
男は君に顔を見せぬよう煮えた瞳から視線を逸らす。

「な、ぁ……イレ…ネオ……………君、たのし……かぁ?」

そうして、声を発さぬ君とは反対に、問う。
問いかける。既に制圧は完了しているはずの人間に、
こう
することは楽しいのかと問うている。

「いや、…な、に………つい、口が滑って、な……ァ、」

痛みに藻掻くように指先を跳ねさせながらも語り続け、

「わる………か、…………ふ、……はぁ、はッ」

荒い呼吸で体を上下させながら、
抵抗もなく、その行いを
受け入れ続けた


(-160) 2023/09/29(Fri) 2:26:40

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



「…………
゛」


日常ではあまり聞かない音とともに漏れた声は、
より一層強く跳ねた指先とともに静かさを君に届けるが…。

それでも尚、「ふ、」と笑う声が聞こえるのだから
君は、この男がまだ落ちていないのだと理解出来る。

痛みには、慣れている。
だけどやっぱり、痛みがない訳ではない。

叫びそうになった声は口内に広がる血とともに飲み込んで、
長い苦痛で生理的に零れかけた涙は、
逸らした視線のまま目を閉じることでせき止めた。

だからきっと、安心するように
吐かれた息はより強く感じられたのだろう。
(-161) 2023/09/29(Fri) 2:30:47
リヴィオは、まだ、笑っている。
(a15) 2023/09/29(Fri) 2:32:39

【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロ

押し問答だ。
貴方は正しい。けれど男は肯わない。
その言葉をあくまで否定する。男にとって、これは正義の行いだった。

正当な手続きを踏んでいる・・・・・・・・・・・・。」

その通り、踏んでいる。
机の上の書類こそその証拠。貴方の名前とその嫌疑、何をもってしても自供させよと令の刻まれたその紙面。
これは男の勝手な判断ではなく、
趣味や高揚を得る手段でもなく、
飼い主に下賜された仕事だった。

男の骨の抵抗。それがぐいと引き攣って僅かに薄れる感触。治る傷だ・・・・問題ない・・・・
けれど、だからこそほぼ同時。ほんの少しだけの時差での攻撃は避けきれず。
右頬に攻撃を食らえばぐるん! と顔が横向いた。ぐら、と視界が揺れてたたらを踏んだ。追撃がないのならそれは運よく踏み込みに変わるだろうか。必然的に低い姿勢、下から顎を狙って肘を振り上げる。命中すれば、そちらの視界もまっすぐなままではいられない。
(-162) 2023/09/29(Fri) 2:37:59

【秘】 法の下に イレネオ → 路地の花 フィオレ

びちゃ。

きっとそういう音。濡れた音が地面に散った。
同時にすえた臭いが立ち上り、男は厭うように距離を取ったろう。誰だって汚物で衣服が汚れるのは嫌だ。

────それでもきっと、
ここにいたのが貴方ではなく一般市民であれば、
迷いなく助け起こそうとしたはずだ。


潰れた蛙のような声を上げて身を震わせる貴方を、視線で見下して男は眺めていた。
月色の目を丸くして見ていた。そうしてひとつ、静かに息を吐いた。ぱち、ぱち。瞬きは油断の合図であり、転換の印。

一度目の暗転の後、瞳はまだ貴方を見ていた。
二度目の明転の後、瞳は転がる注射器に向いた。

男が手を伸ばす。貴方が奪い取らないのであればそれを拾い上げるだろう。しゃがみこんで、針先を見つめて。

「使ったのか?」

誰に、と言わなかった。
むしろそれは、自分ではないと確信した落ち着きだ。
逸っていた鼓動は今は収まっている。体温の上昇や低下、発汗等もない。それに針を刺された感覚はなかったし、液状なら──思い出したくもないが──口づけで仕込むのも不可能だろう。
だからこそ。
だからこそ問う。

無辜の民を犠牲にしたかと問う。答えの見えた問いだ。
見えているから、畳みかけて問い質す準備は出来ている。
(-163) 2023/09/29(Fri) 2:55:48

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 幕の中で イレネオ

「だったらその飼い主がクソって、事だな…っぐ…
この場合は、署長代理殿か?」

腕が軋む。
骨が、筋が圧迫で押しつぶされ、嫌な音がした。
同時に拳で感じる、確かな感触。

「あ、がッ…!」

そして次の瞬間には、貴方の肘が顎を撃ち抜いて
自分の脳が揺らされていた。

同じように、たたらを踏んで
一歩、二歩と下がり、首を横に振る。
お互いにほんの僅かな隙となる、かもしれない。

「そんなくそ野郎に従ってたら
お前だけじゃねえ。家族も大事な奴も何もかも。
全て地の底へと落とされることになるぞ。」

言葉を紡ぎながら
次の一手へと構える。

顎を打ち据えた貴方の肘を狙って、蹴りを一つ見舞おうと。
足を振り上げた。
(-164) 2023/09/29(Fri) 2:56:57

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

楽しいか、と問うたなら。
かかる力は強くなったことだろう。それは男にとって侮辱だった。
暴力を好む野蛮人。そう評されることを、男は好まない。
だから一層静かになった。
淡々と、粛々と、機械のように。貴方の身体を、悪いとも思わず痛めつけて。

そうして一際大きくなった声に嘆息した後、
男は、その頭に手を伸ばした。

金糸の髪に指を通す。
その下の頭皮に指を添わせる。無理矢理こちらを向けと首を回させる。
青い瞳は未だ閉じているだろうか。
閉じているならそれを無理矢理開かせることはしなかった。
男は自身の欲求を知覚していない。

浅い金色。月の色に似た瞳が、やや遠巻いて貴方のかんばせを眺めてから。

「楽しいわけがないでしょう。」

さて。
そう言った男は、どんな顔をしていただろう。
(-165) 2023/09/29(Fri) 3:10:21

【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ



「はは、なんの事だか分からないな」

左腕は治療すれば治るし、指先は動く。
右手も同じ。…いや、こちらは動かすのは辛いが。
左耳は半分もいかないくらい削がれただけだ。
人間の体というのは便利で、きっと何とかなる。
ということにしている。医者にも見せているので。


戻ろうと藻掻く君の体重を片足で受け止め、
笑顔は徐々に引き攣りを増す。
ようやく戻り離れようとする頃には、

「…………だから、近付きたくなかったんだ」

掴まれている。ついでに引っ張られている。
やれやれというように
首を横に振るのはさて、何を思ってか。

「…それで、目的ってのは何だい?
 もしかしてお見舞い品のことかな?
 それなら両手が塞がっていてね、俺としたことが」

「あー……。……… やめよう、まずは素直に聞くから
 とりあえずその手を離すのとその目はやめよう」

個室の中、閉まった扉は外との隔たりで。
貼り付けていた笑みをふっと落とし、
ひとつ、大きなため息を吐き出すのだった。
(-166) 2023/09/29(Fri) 4:08:49

【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ



「…そうかい、それは残念だ。
 もう少し、いい夢を見続けていたかったものだが……」

医者嫌いと言われれば、
否定しない代わりに小さく笑みを零す音。
概ね正解だが、"医者"自体は『きらい』じゃない。

何やら聞こえる呟きに耳を傾けながら、
掴んだ君の手を軽くふにふにと摘んでみたり。
しかし、夢の話を問われればその動きを止め、
悩むように少しの間を置いた後。

「………ひとつだけ、聞かせてくれ。
 俺の可愛い後輩達は、無事、外に出られた……かな」

それは、今一番確かめるべき事柄で。
それを聞かねば自分のことを考えられそうにもなかった。
助けを求めたのは、確かな事実なのだけども。
ロクに回らない頭でも、考えずにはいられなかった。

そうして答えがどうあれ、一度頷いてから。

「…何、大したことじゃない。いつもの夢だ。
 ……『要らない』『死んでしまえ』と
 存在を否定されるだけの、くだらない、夢だ」

そんな夢に、もう何十年も囚われ続けている。
だから男は、要らない者、だった。
(-167) 2023/09/29(Fri) 4:42:54

【秘】 オネエ ヴィットーレ → favorire アリーチェ

腕に痣、と聞けばすこし悲しそうに顔を歪めるけれど、
でも、尾を引くものじゃないと分かれば安心したように。
きちんと座り直して、大したことじゃないわ、と笑う
ヴィットーレは、昔からずっと変わらない、
貴方の、みんなのお兄さんのまま。
名を言い直した貴方には少し首を傾げたりしつつ。

「……それでもアタシは、貴方にマフィアには
なってほしくないわ。それは、マフィアという職業が
危ないからというのもそうだけれど……
…もし何かがあった時、何かをする時、
同じ視点であるよりも、それぞれが違う視点を
持っていた方が、対応幅が広がると思うの。
……人探しという面でも。」

同じ立場では、同じ手段しか取れない。
もしもの時に手が届かない、守る手段がない、
そうなってしまう可能性がないとも限らない。
今回の件だってきっと、マフィアか警察、
どちらかだけではこんなに早く解決しなかっただろう。
貴方を側で守りたい、という気持ちはあるけれど…でも。
やっぱり貴方には、法に守られた場所で。
今までの仲間と共に過ごしてほしい、そう思う。

「……それでも不安なら、そうね……」

ヴィットーレはそう呟いて、少し思案して。
それから顔を上げて。
(-168) 2023/09/29(Fri) 6:07:20

【秘】 オネエ ヴィットーレ → favorire アリーチェ



「……一緒に住む?それなら少しは安心かしら。」


孤児院で、他の家族と住むのと同じような、
そんな気軽な口調で。
そう言ってのけた。
(-169) 2023/09/29(Fri) 6:08:46

【秘】 摘まれた花 ダニエラ → 歌い続ける カンターミネ

>>-143

背から髪、耳、頬へ。
流れる指先に、くすぐったそうに身じろいで。
邪魔だなんて言い方は、ひと仕事した茶色髪に本当に悪いのだけれど、やっぱりこの鮮やかな色が女は好きで、好きで。

―――うん。


殆ど音だけで頷いて、微かな距離すら埋めていく。
欲しがり屋さんのお姫様が、その瞳を見て堪えれるはずもなかったのだ。
啄むように、1度2度。…後はもう、満足いくまで深くまで。
寂しかった分。怖かった分。そして、今の不安を塗り潰す分。

既に知っていること。察したこと。
潜入任務は完全に終わりになったこと。
脱獄は自分が手を貸せずとも成功したこと。
その上でなにか良くないことが起きたのだということ。
そしてそれが、あなた若しくはアレッサンドロ・ルカーニアに関わる何かであるということ。

それかもう、それすら関係ないくらいの世界の終焉か。
これすら絶妙に間違いでないのはきっと最終的に幸いすることになる。



いづれその覚悟ができた頃。
ゆっくりと顔を離して女は訊ねることとなる。

「…ミネ。」
「何があったか。聞かせて」

含んだ緊張の分、声が強ばった。
(-170) 2023/09/29(Fri) 7:02:07

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



意識を落としてしまえたなら、楽だったんだろう。
しかしそうならないからまだ続く。
しかし抵抗する気力もないほどに、弱っているのは確かだ。


目を閉じ、顔を逸らす男では伸ばされる手に気付けない。
最も気付いていたとしてもその手を避けることはなかった。
君の指先が己の髪に触れ、頭皮を添い、
君に与えるのは、熱や苦痛による汗ばんだその感触で。

無理やりに向かされるその行いまでを感じてから
閉じていた海にも似た翠眼を僅かに開いて。

「………そうか」

たった一言。どんな表情であれその一言だけを返し、
汗に濡れる額を、張り付いた髪を、火照る頬を、
涙の滲む瞳を、唾液に濡れた唇を君に向け、
小さく吐息を零しながら緩やかに、微笑んでみせるのだ。

苦痛に歪む顔など、そこにはない。
ただぼんやりと両手が自由でない不便さと、
君の表情についてだけを考えている。

そうして再び、どこか気怠そうにも見える緩慢さで
もう一度、翠を閉じていこうとする。

ここに君が望む答えはない。
あるのは無駄な時間と、意味のない暴力だけだ。
答えられることなど何もない男は、ただ、笑っている。
(-171) 2023/09/29(Fri) 7:20:03

【秘】 Commedia ダヴィード → Il Ritorno di Ulisse ペネロペ

>>-147

『世界が終わったような』気分になったって腹は減るし眠くもなる。
そんな当たり前に傷つく歳ではなかったが、代わりに両親のことを少しだけ想起した。何故だろうか。

「うーん、その通り。
 ごはんだけでもって聞いて行きたかったんですけど。
 もう……すぐにはちゃめちゃになっちゃったし」

忙しかったのは本当。迷惑を避けて近寄らなかった面もあるだろうが、わざわざ言うほどではない。
いつぞやに三人で話した時は、まだいつも通りが続いていたから、いつだって行けると思っていた。

「あ〜〜、シチューいいなあ。俺シチュー好きです。
 お手製さいこーだしあったかいし、うれしくなるし……」

外で貴方と二人で歩いているというのに、子どもの口調はいつもより砕けたもののままだった。
会話の中身も無に等しい。
口も足もちゃんと動く。
生きている。
貴方と食事に行けるのは嬉しい。
貴方の企みはしっかりと効果を発揮したようで、当たり前がひとつずつ取り戻されていく。
(-172) 2023/09/29(Fri) 7:52:38

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-124

貴方が病院の中庭に辿り着いた頃、ベンチに見慣れた男のシルエットがあった。
その男は誰かの見舞いであろう病院の前にはない店の紙袋を下げながら暖かな日差しの下で眠っている。
他人の視線や居場所を関係なく眠っている。
時々身じろぎしては丸まって器用に長い脚を収めている。

貴方は彼を放置することも出来るし、声をかけて起こすことも出来るだろう。
(-173) 2023/09/29(Fri) 7:54:05

【人】 Commedia ダヴィード

>>62 ペネロペ

一人であれば少し気後れしそうな隠れ家だ。一緒に来てくれる先輩がいてよかった。
……いや、自分達は隠れ家から歩いてきたのだから正しくは隠れ家「風」か。
とりとめのないことを思うし、いくらかは口から出てきたかもしれない。

促されるままに着席するが貴方の頼んでいるカクテルが何なのかもわからない。
大人しく椅子に座って店内を見回しているうちに提供された一皿は、一日以上何も食べていない人間にとって魅力的すぎた。

「本当に……めちゃくちゃ美味しそうですね。
 え、これ、ねえもう食べていいですか?」

なので、我慢ができるはずもなく。
煮込まれても素材の食感を失わず、シチューの味をしっかり吸い込んだ具材たち。
ほどよくあたためられたパンを浸せば、しっとりと口の中の傷に障らない美味しさが口の中に広がる。
合間に口にしたカクテルはやさしい甘酸っぱさが特徴で、貴方がこれを選んでくれたのがじんわりと嬉しかった。

#バー:アマラント
(63) 2023/09/29(Fri) 7:54:29

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-173

流石に歩くのがつらくなってきた散歩の最中。
中庭のベンチにでも座ろうかと視線を投げれば、何故か見知った男がベンチに寝ている。

「……いや、なんで?」

浮かんだ疑問は言葉になって呟かれ、きょとん、と小首を傾げた。
あの日のようなあどけなさのある寝顔は、何も警戒してないようにも見える。
部屋やホテルとは違うのに、なんとも無用心だ。

「誰かの見舞いにでも来たのかな……」

あの強制的な逮捕の裏で拷問などもあったらしいから、怪我人もきっと多いだろう。
部下を沢山もつマフィアは大変だな、なんて思いながら、連なる隣のベンチに腰を下ろした。
そろりと、動く方の左手を伸ばして。
柔らかな髪に触れてみる。

いつも気持ちよさそうに眠るから、起きないだろうなんて思いながら、その頭をゆっくり撫でて表情を緩めた。
暫く休憩したら、そっと立ち去ろうと思いながら。
(-174) 2023/09/29(Fri) 8:38:24

【秘】 路地の花 フィオレ → 幕の中で イレネオ

暫く、まともに声を出すことすら叶わないだろう。
身を丸めて、痛みを逃すのに精一杯で。

転がった注射器を拾う手を、止めることは出来なかった。
中身は空であるし、仮に女の体を調べたところで元の液体を持ち歩いているわけでない。それが何であるかまではここではわからないだろうが。

「……どう、かしら…使ったか、どうかくらい……見れば、わかるでしょ」

時間稼ぎにもなるか怪しい返答だ。
使用されていること自体は明白だから、否定する意味もない。
痛みを堪えながら、片手を身につけておきあがろうとしている。
もう片方の手は腹にあてて。ぐ、と力を入れる。
動きは緩慢で、簡単に妨害できてしまうだろう。
(-175) 2023/09/29(Fri) 8:45:36

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-174

「ん」

ぱちくり、と、少しだけ時間をかけて瞼を開くと視線だけ隣のベンチに座る貴方へと向ける。
そのまま戻して、つまり結局微動だにせず口を開いた。

「なんで撃たれてるんだお前」

調べたらすぐに分からなくもなかったことを敢えて見ずにやってきた。
貴方が今何処にいてどうなっているかだけを男は知ってきたのだから。
(-176) 2023/09/29(Fri) 8:46:08

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-176

「うわ、起きた」

少し驚いたものだから、呻くような言葉が、思わず口をついてでてしまった。

「ごめん、気持ちよさそうに眠ってたからつい……」
「あー……えっと……」

あの騒動を引き起こしたのは、何もあなたのためだけではなかった。
まさかギリギリになってあなたまで捕まると思っていなかったし、自分に出来ることを友との約束を果たすためにやったことで。
彼らを釈放させるためにやったことで。
でも……、あなたが捕まったことでその必死さに拍車がかかったことまた、事実で。

騒動のことくらい情報通のあなたなら知ってそうなことなのにと、言い倦ねて、それからぽつり。

「…………代理逮捕の時の騒動の首謀者だったから…………かな……」

事実、あの時僕が死ねば、証拠を持つ問題で自体はややこしくなってたはずだ。
とはいえ、まさかあんな所にノッテのボスが潜んでいて援護射撃をしてくれるなどとは思ってもなかったのだが。

ともあれ、あなたとの約束を破って危険な行動にでたことは確かなので、申し訳無さそうに眉を下げた。
(-177) 2023/09/29(Fri) 8:57:19

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ

まるでその様は大型犬のようだったかもしれない。
貴方が仮面をかぶる手を少し緩めたのが見えたら
ようやっと、手は離して。

「俺が見舞い品を強請る為にわざわざ引き止める
がめつい男に見えるか?」

可笑しそうに笑いながら、けれどとても嬉しそうなのだった。

「ずっと会いたかったんだ。
一人にしちまったし、手が届かない場所に居るのって
こんなに不安なんだなって初めて思った。」

自分が受けた時点で
拷問を貴方が受ける事自体は想定内だった。

だけど、離れている以上
知らない間に何処か遠くへ行ってしまう可能性を
ほんのちょっぴりだけ考えると心配で。

会いたかったし、こうして会いに来てくれて
本当に心の底から安堵したし、嬉しかったのだ。

「リヴィが生きててくれて良かった。
終わったな、俺たちの“仕事”。」

本音を言えば、拷問を受けている間、牢に居る間は
酷く心細くて、気を張り詰めていて。
貴方の前でくらい、抜いても良いだろうか、と思うけれど。
つい、兄貴面をしてしまいそうになるのは、性だろう。
(-178) 2023/09/29(Fri) 9:25:48

【人】 暗雲の陰に ニーノ

>>61 ルチアーノ

その距離は普段なら恐れを抱くものであったのに。
声を望んだ今はどんなものより安堵を渡してくれた。
たったそれだけでよかった、一人で呟くよりもずっと。

見つめる真っ直ぐな眼差しが差し出してくれるのは、勇気と信頼。
それがいつかの夜と重なって喉奥が詰まる心地がして。

「……うん」

貴方の手に指先を重ねて、返す。


「オレは、"大丈夫"」


そうしてようやく、揺らめいていた水面が静寂を得た。

おまじないが無くても立てる強さが在れば本当はよかった。
だけど今はそれは叶わないから、あなたの手を借りさせて。
それでもいつかの先には自分がだれかに、それを与えられる人になれるように。


[1/2]

#BlackAndWhiteMovie
(64) 2023/09/29(Fri) 9:28:31

【人】 暗雲の陰に ニーノ

>>61 >>64 ルチアーノ

続いた沈黙は二呼吸分。
直に貴方の指先を離した男は、一歩後退ってやっと笑えた。

「……へへ。
 ありがとう、ルチアーノさん」
「すっごく助かった、どうにかなっちゃいそうだったから。
 オレさ、ちゃんと答えを見つけて……言いたいことを伝えられるようになるから」

姿に気づいてこちらに駆け寄ってくるのは年嵩の女性だ。
"坊ちゃん"と呼ぶ声にひらりと左手を振って、最後に貴方へと向き直る。

「──おまじない、大事にする!」
「今度はもっと落ち着いたところで話そうね。
 ……ヴィトーさんのこと、よろしくおねがいします」

もう一度だけ『ありがとう』を繰り返せば、じゃあとそのまま女性の元へと歩いて行く。
親し気に彼女へと声を掛けた男の姿は道脇に止められていた車の助手席の中へと消えて、車体もまた遠ざかっていくことだろう。

すれば今度こそ残るのは人々の賑やかな声と、時折宙を舞う鮮やかなリボンと花だけ。
其処に在った凶行など誰も知らないまま、晴天の元を白い鳩が一羽横切って行った。

[2/2]

#BlackAndWhiteMovie
(65) 2023/09/29(Fri) 9:30:31

【人】 暗雲の陰に ニーノ


「──坊ちゃん。
 ……旦那さまが夜、お帰りの後に話があると」

窓の外で流れ行く景色を見ている。
先程の光景は未だ瞼の裏に張り付いて離れはしなかったけれど。
心は、彼のお陰で幾分か落ち着きを取り戻している。

「……うん」

大丈夫……大丈夫だ。

沈黙が長く続いた車内で瞼を伏せ続ける。
口をようやく開いたのは信号待ちの時間。

ひとつを尋ねた、『かあさまはもう長くないの』。

声はない、それでも髪を優しく撫でる指先を感じた。
薄々勘付いていた現実の答えだ。
ならばこれは相応な時で、これ以上にない機なのだろう。

不思議と悲しさはなかった。
それよりも安堵が勝る。
その事実こそが何よりも苦しかった。

#SottoIlSole
(66) 2023/09/29(Fri) 9:50:47

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