【人】 神置 穂村[駅から数分の上、宅地に囲まれているし 単一楽部の音楽大学というのもあって 大学の敷地としては広い方ではない筈だ しかし、通路で繋がれた複数の棟が密集し 古今東西数多の楽器を展示貯蔵する博物館 入手困難どころか絶版されて久しい 数世紀前の楽譜を保管してる図書館 小さいながらも学食や売店も学内にあり 所狭しと建っている程度の面積は有している] (173) 2020/05/19(Tue) 21:00:33 |
【人】 神置 穂村見たことあるような顔があるところは 作曲家の名前がついたホールだからな 突然、ブロンズの首とか見て驚くなよ? 確かベートーヴェン、バッハ、モーツァルト それ以外にもロマン派とかの首が 廊下にも並んでいたな [自分の楽器を置いてる練習室の場所まで 出来るだけショートカットはしてはいても その道すがら、ずらりと紙が貼られた掲示板や 他の棟の練習室を通らねばならず 見慣れない者には、珍しい光景には違いない] (174) 2020/05/19(Tue) 21:02:59 |
【人】 神置 穂村[既に慣れてしまったとはいえ 音大とは多くの楽器やひとの声が齎す 数えきれない音楽が流れる建物なのである 街中ならカラオケボックスの廊下 それと同じ現象ではあるとは思うが ほぼ全てが前世紀以前までの音楽や 作られた楽器の音ともなれば なかなか希有な空間なのかも知れない] (175) 2020/05/19(Tue) 21:04:10 |
【人】 神置 穂村そこ覗くのアウトだかんな レッスン室だしピアノの音がするから 絶対誰かがレッスン中だわ 目が合ったら…かなり、気まずい (176) 2020/05/19(Tue) 21:06:15 |
【人】 神置 穂村[楽器のレッスンでも心臓によろしくないが 声楽では大きな口を開けてる場合が大半で 余程肝の据わった学生でもなければ かなりの確率でやばい事故となってしまう もちろん見てる側ではなく、見られてる側の] (177) 2020/05/19(Tue) 21:08:07 |
【人】 神置 穂村[階段状に座席がる大教室棟に到着すると 教室の出入口とは逆方向、裏側に向かう まるで、小さな路地裏みたいな うなぎの寝床の入り口がそこにあり 中に入ると長屋よろしく複数のドア並ぶ そのひとつひとつが練習室ではあるが 他の棟の練習室にはあるピアノはない 弦楽器は自分でチューニングできるため ピアノは不要というのが、その理由と聞くがさて] (178) 2020/05/19(Tue) 21:09:03 |
【人】 神置 穂村[弦楽器専用の練習室、通称「弦練」は 弦楽器専攻の学生の溜まり場でもあった ピアノや声楽と比べたら 元々、母数は少なく縦横でもほぼ顔見知り 講義の時間中で人は少ないとはいえ 誰かしらはいる場所でもある] …ちょっとここで待っててくれ この奥の方にある部屋行ってくるから [それほど弦練は広い通路でもないし 色々と面倒になりそうとも思い うなぎの寝床の入り口付近の廊下にある 長椅子に座ってくれと、指差した] (179) 2020/05/19(Tue) 21:09:57 |
【人】 神置 穂村[ふと、昔を思い出してしまったのは きっとただの感傷だろう 一番奥にある部屋で 自分のケースを持って出る前に 思わずスマホを取り出して ユージンにメッセージを送ったのも ただの感傷に違いない] (180) 2020/05/19(Tue) 21:11:49 |
【人】 世界の中心 アーサー[ きっと紙幣を散らそうと、 金を遠くへ投げようと、 薔薇の血の通う限り 逃れられない牙だった。 ──今此処に生きているのだって、 唯、奇跡のようなもの。 …あの夜の夢も、大概酷かった。 背中に残る傷を背負い、獣の唸りを耳元に聞く。 そりゃあ良い夢なんか見られようはずも無い。] (183) 2020/05/19(Tue) 21:40:09 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 薔薇ばかりの咲き誇る、中庭。 外からは見えないし、滅多に邪魔の入らない、 男にとっては、第二の私室のようであった。 散りばめられたベンチにも、座るのなぞひとりくらいで 中央に座すガゼボには、ラタンの家具が詰め込まれ… “第一”の私室に比べて、だいぶごちゃごちゃしていた。 本棚のラインナップも、 随分と“大衆向け”に変わっていた。] (185) 2020/05/19(Tue) 21:43:20 |
【人】 世界の中心 アーサー( ほとんど客を通すことのない、 そういった部屋だ。 良く知る執事も、ホットミルクを置いて 直ぐ、何も言わずに消えている。 ) (186) 2020/05/19(Tue) 21:44:03 |
【人】 世界の中心 アーサーふふ、 彼らももう諦めているよ。 君を“連れ込む”のも、僕が外に出ないのも。 それとも、もっと好待遇が良いのかい? (187) 2020/05/19(Tue) 21:44:25 |
【人】 世界の中心 アーサー[ ──先ずはドレスを着るところからだな。 ソファに沈み込みながら、マグに口を付ける。 微かにブランデーの香り。 アルコールなんかとうに飛んでいるけれど、 温かさに解れた舌はさらりと 悪態を受け流していた。 見上げれば、まあるい月。 燭台の明かりなど、必要もないかもしれない。 すこぅしずつ、 頬にも色が差していた。] (188) 2020/05/19(Tue) 21:45:27 |
【人】 世界の中心 アーサー──香りが良いだろう? 特に紅はいい。 僕の色だ。 元々百合園だったのだがね、僕は好かなかったんだ。 息苦しいような気がして── (189) 2020/05/19(Tue) 21:45:49 |
【人】 世界の中心 アーサー[ “リドル”の家の証は、百合であった。 二十年前、前“リドル”が死んだ時まで、 薔薇の咲き誇る屋敷になったのは、つい最近のこと。 ──知らない、というのが、 心地良いときだって ある。 外に出ない以上、新しい景色を見ることもない そんな男にとって 目の前の彼女は、 ──確かに、目であるのだろう。 碧の、 未来以外を映す、 ] (190) 2020/05/19(Tue) 21:46:32 |
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