【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「私、気が狂っていました?」 はじめて言われました、と言わんばかりの。 思い当たることはあるが、もしかしたらこれは元からの気質だ。 「もしくは、倫理観が欠如していたのでしょう」 ・・・・・ ・・・ ・ 「取引の内容は―――秘密です。 こればっかりは、信用問題に関わりますから。 彼がトウキョウに行くための、手段でした。 使われることは、なく、大切にしまわれていました。 "場所を教えて貰いました"から。 その商品と一緒に埋めに行きます。 ふふ、何処にしましょうか。 ああ、確か、小さな壺が商品に残っていました。 さーびすぐらいいいでしょう、そこに詰めて ――どこにやりましょうかね」 まるでご褒美を貰えたかのように嬉しそうに手を赤で染めれば、 用が終わったと言わんばかりに立ち去ろうとする。 男にはまだやることがある。いや、本当はこれ以上、 ここにいられなかっただけかもしれなかった。 (-207) 2021/07/07(Wed) 18:37:13 |
セナハラは、かつて父も同じ気持ちだったのだろうかと、二人の子供を見ながら考えた。 (a17) 2021/07/07(Wed) 20:36:58 |
セナハラは、広げた調理器具を片付ける。余った肉はまた明日、誰かの糧になるだろう。 (a18) 2021/07/07(Wed) 20:41:24 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク骨を手渡せば、そっとバケツに蓋をする。 静かに戸棚へ戻す手付きは、眠る赤子を扱っているようにも見えるかもしれない。 「仕事なら仕方ない、と言わざるしかないですね。 埋めるなら、うんと深く掘ってください。 その内鹿や猪が戻ってきて、掘り返してしまいます」 東京に行く為の手段と言われても、 男には一体何なのか思い当たらなかった。 物品でなんとかなるものならば、既に彼の親が買い与えているだろう。 現実主義者の男は、考えるのをやめた。 「……倫理に関しては、僕も大概ですから」 まるで逃げるように立ち去る背中を、感情の無い瞳が映していた。 (-221) 2021/07/07(Wed) 20:42:53 |
【秘】 遊惰 ロク → 諦念 セナハラ>>G6 こちらへ向けられた頭の左っかし、 死人の耳朶に光る小さな石をジッと見て。 吸い寄せられた様にそこから目を離さぬまま、 「そうだなァ」 と、相槌と肯定の合間みたいな返事をした。 それから、不意に右手を伸ばす。 開いた穴から一筋、血の流れた跡に触れ。 こびりついた赤茶色を剥がす様にカリ、と爪で掻く。 「この兄サンのモンだよ。 ……その前は、おれンだったけども」 商人は金銭以外を対価としては受け取ろうとしなかった。 いっそ、頑ななまでに。 その事は恐らく、貴方も知っているはずだ。 (-222) 2021/07/07(Wed) 20:43:22 |