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【秘】 幕の中で イレネオ → 暗雲の陰に ニーノ男の求めを拒否するのであれば。 その頬に平手が飛ぶだろう。片手を半ば固定された状態では避けることも難しいかもしれない。 難しいだけだ、努力すれば或いは。 「言え。」 「どれだ。」 「マウリツィオ・ベトゥッラか。」 「ネロか。」 「あの女か?」 男は、何も掴んではいない。 だから出来ることは、貴方を痛めつけることだけ。 そうして貴方が根負けして、囀るのを待つことだけ。 (-350) 2023/09/25(Mon) 14:03:11 |
【秘】 corposant ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ「おう頼むぞ、パンパワーなら多分お前の方が上だわ。 きっとより良いパンが生まれる」 そんな風に軽口を合わせて笑う。 こんな内容じゃ、看守だって目くじらを立てないだろう。 久々のこんな会話が心地よかった。 早く皆解放されたらいいのに。 こんな場所に捕まってやる義理、一つだってないのだから。 「うん。約束」 「絶対」 差し出された小指を、自分の小指と絡めた。 しっかりと結んで、ゆびきりげんまん。 「いつか言わなきゃと思ってた。いい機会だ」 そうぢて貴方がそれでも受け入れてくれたなら、 ちゃんと隠していたことを謝ろう。 それからまた、家族でいよう。友人でいよう。 ──貴方がパンを食べ終わる頃、ロメオはまた口を開く。 「絶対に助けは来る。絶対だ」 「それまでもう少し辛抱してて。オレ、待ってる」 (-351) 2023/09/25(Mon) 14:04:37 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 法の下に イレネオ平手が飛べばぎゅっと目を瞑った。 ペン先で抉られるのとは違う鋭い痛みが走る。 こわい。 湧いたそれを抑え付ける、不要だ。「……っいわない、っていってるだろ!」 「アンタ、知ったらぜってぇ碌なことしないじゃん!」 「ケホッ」 いきなりの大声は乾いた喉には刺激だった。 咳き込みながらも睨みつける瞳は変わらないまま。 熱がどっと上がる心地がした、頭がぐらつく。 「家族に、こんなことされて堪るか……ッ!」 (-358) 2023/09/25(Mon) 14:28:32 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 暗雲の陰に ニーノ家族、と聞いて。 男は。 口の端を、歪めるように。 笑った。 これまでで一番歪な笑みだ。 「────お前たちが」 手がペンを離れる。貴方の首に伸びる。 正確には襟首だ。何も殺す気はない。 「お前たちのようなものが」 逃げられないならそのまま掴む。 ぐ、と強く力を込めて。 乾いた喉は更に詰まるだろう。 「家族を語るな」 否定。 強い、強い。強い、否定だ。 何がそれほど男の逆鱗に触れたのか。 それはこれまでで一番強い感情。憎悪に似た瞳の炎。 貴方の息を詰めた男は、追い打ちをかけるようにその頭を、揺さぶる。 (-365) 2023/09/25(Mon) 14:46:37 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 路地の花 フィオレ熱い指先に触れる雫は冷たくて、胸が痛む心地がした。 頬に流れるそれを拭えない代わりに、忘れないように。 指先が離れる頃にはぎゅうと掌を握り込む。 「……ねえさん」 するから、という言葉が引っかかる。 けれど今この場で深く踏み込むことは難しいし、恐らく危険だ。 無理に浮かべてくれようとした笑みに少しばかり眉を下げながらも。 「…………無理は、しないで」 「おねがい」 言えることといえばそれぐらいしかなくて、それでもそれしかないから形にする。 去って行く後ろ姿を見送った、牢の奥。 今ここにいるのが己で良かったと。 貴方が去ってくれて良かったと。 肌に冷たさを教える涙を裏切ってしまうような安堵を抱く。 この地獄の淵に夜明けはあるのだろうか。 今はまだ、何も分からないけれど。 ……でも、なんとなく気が付いている。 朝が来たとしてきっと、多くが変わるのだろう。 貴方も、自分も。 そうだとしても、ひとつ、ずっと変わらないもの。 心の内に咲き続ける、貴方が植えた愛の花弁を。 確かめ、なぞるように瞼を落とした。 (-385) 2023/09/25(Mon) 16:47:33 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → corposant ロメオ「より良いパンを生む〜」 同じ軽さの言葉が返ってくるのがこちらも心地よかった。 此処が牢獄の中だなんて一瞬、忘れてしまいそうになる程。 底にばかり落ちていた心が普段の暖かさをふと思い出した頃。 差し出した小指に返る、同じぐらいの体温に瞳を細めた。 ゆびきりげんまん。 「……うれしい」 どうか覚えていてくれたらいい。 きれいじゃなくても構わないのだと伝えたこと。 貴方のお陰で直にお腹は膨れて、そうして終わりが近いと分かればどうにも。 ……さみしいな、でも。 「……うん」 「待ってて、それまでちゃんと折れずに、がんばるから」 子どもじゃないから駄々は捏ねない、こくりと頷く。 それでも貴方が居なくなってしまう前に。 すこしだけ間を開けてから、不意に尋ねた。 「あのさ」 「……困ったことがあったら言いな、のやつ」 「有効期限ある……?」 何やらいつかの言葉を掘り返してはそんな聞き方をする。 まるでその内それがあるのが分かってるみたいに。 (-396) 2023/09/25(Mon) 17:29:50 |
【墓】 暗雲の陰に ニーノ>>+63 黒眼鏡 「あるだろ」 あるだろ。即座にツッコんだ。 色恋から離れて生きてきた男は、兄との価値観の違いを痛感して呆れた様子で溜息を吐いた。 「そうやって結論付けたら何でも良いと思ってない……?」 「つーかフィオねえ泣かせておいて (※仮定です) めんどくせえじゃねえ」 どん。 手が離れた辺りで軽く肩に頭突きして、また溜息。 まあでも大分と、そう。 いつも通りの会話ができた気がして安心した。 自分の移動もそろそろ近いだろうから、よいしょと立ち上がりながら。 「…………」 「……なあ、にいさん」 最後にと、貴方を見下ろしてひとつ尋ねる。 「クロスタータ、嬉しかった?」 #収容所 (+64) 2023/09/25(Mon) 17:30:25 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 幕の中で イレネオ歪む笑みを認めた、次の瞬間には。 「ッ、ぁ」 襟首を掴まれる。 喉が更に詰まる。 強い、強い力で。 「ぅえ、ゃ、め、っ」 脳が揺れてきもちわるい。 はきそうだ。 まともに物を捉えられない視界がそれでも一瞬。 強い感情に揺らめく炎を見た。 認められない何かがあるのだと知る。 だとして、それだけは。 それだけは、否定されて堪るものか。 自由になった両腕を動かす。 痛むのを構わず両の手を握り込む。 そうしてぶんと振るい、その頬を横殴ろうとした。 ……その結果、もし解放されたとて。 ぐらつく視界に耐え切れず、椅子から転げ落ち崩れるだけだが。 (-398) 2023/09/25(Mon) 17:39:36 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 暗雲の陰に ニーノ余程侮っていたか、油断していたか。 或いはそれだけ頭に血が上っていたのか。 貴方の一発を男は食らった。素の威力。引くことの体力の低下と痛み、手錠の不自由さ。足すことの、手錠そのものの硬さによる衝撃。 結果として威力はそれなりのものになっていただろう。 実際、大きな音がしたはずだ。貴方にとっては小気味いいものだったかもしれないし、違ったかもしれない。 それでも。 男は貴方を離さなかった。 ぎり、と歯を食いしばり。口の中が切れたのか、血交じりの唾をぺっと吐いて。 それでも目を逸らさない。それでも貴方を離さない。 「奪ったのはお前たちだ」 「壊したのはお前たちだ」 「それが家族だと? 反吐が出る」 それは、貴方の知らない話。 あなたには知りようがない話。 この国の、50年前の話。 さて。 軌道の圧迫による酸欠。 加えて激昂による血の巡り。 更に元からの体調不良。 くらりと視界が強く傾くかもしれない。 さもなくば────そうなるまで、男は、離さない。 (-402) 2023/09/25(Mon) 17:56:30 |
【秘】 corposant ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ結んだ小指は離れる。 まさかここに自分も入るわけにも行かないのだから、 自分は帰らなければならなかった。 大丈夫。自分は覚えている。 どんな自分でも貴方はきっと受け入れてくれる。 名残惜しさは残るが……やる事がある。 「よし。それじゃあお互い頑張ろうぜ。 もうひと踏ん張りだから」 そう言って、立ち去ろうと背を伸ばし。 「……無期限。回数無制限」 「いつでも言いな。」 ふ、と笑って爪先を廊下の向こうへ向ける。 引き留められなければそのまま歩きだすだろう。 (-404) 2023/09/25(Mon) 18:12:11 |
【秘】 favorire アリーチェ → 暗雲の陰に ニーノ「……そんなことないわ。 ちゃんと真実を受け止められる力が弱いって事で…… ……でも、共感してもらえるのは、嬉しいな」 頼りない先輩でごめんね、と、撫でられる手に僅かに力を入れて、苦笑する。 あまり元気はなかったけれど、貴方の言葉一つ一つを大切に聞いていく内、とある言葉にハッと顔を上げる。 「……優しさで、騙す。良い夢……」 それは大切な人がよく自分達に使ってくれていた手法で。 何かの糸が繋がったかのように意識が明瞭になり、続く貴方の言葉もわかりやすく、聞き取れる。 「……そう、そうね。表面上の行為だけを見て、目を逸らしていたら、大切な物は何一つ見えてこない、わよね……」 「騙されて嵌められた事から目を逸らしていたら、そこに込められた感情さえも蔑ろにしてしまう……」 「ありがとう、ニーノ。わたし、全然大事なものが見えてなかったみたい。でも……もう、大丈夫。幼稚な感情で自分の目に蓋をして、全部見ないようにするのは、やめるわ」 それで傷付かないのは、結局自分だもんね。 心からの感謝を貴方に告げた。 「あっ、ニーノも無理はだめよっ、 痛い?痛かったよね、よしよし……」 傷口に触れて痛くないように親指の付け根あたりをそっと摩って。 「……本当にありがとう。このまま牢に戻されてたら、ずっとこの事ばっかり考えていたかと思うから、ニーノに話せてよかったわ。……何か相談事があればいつでも呼んでね。私も少しでも力になりたいから……」 勿論、今でも。と、笑う。 (-410) 2023/09/25(Mon) 18:50:29 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 暗雲の陰に ニーノ「後で無理やりにでも会える機会作ってみるか? 無駄に集まれそうな場所があるなら、……まー。 起きてたら姿見せてやるよ」 誰か程ではないが。誰か以上かもしれないが。 男は酷く無気力で動かなくなるタイミングがある、そのときは頑張れないかもしれない。 いい男を見せられる時と見せられないとがあると、これもまた正直に告げた。 「ずっと格好つけれるやつなんて早々居ないってことだな。 ニーノも頼ったり甘えるのは悪いことじゃあない。 ……バランス良く、いざという時に駆けつけられる男になればいいさ」 身分も気にせずやりたいことを貫けるようなそんな奴になって欲しい。 最後の一口だと言いながら差し出したスプーンも特に遠慮なく。 自称甘ったれは少しでも貴方が元気である時間が続けばそれで良いと思った。 落ち込んだらまた見に来ればいいだろうから。 (-423) 2023/09/25(Mon) 20:56:28 |
【秘】 リヴィオ → 暗雲の陰に ニーノ死んでしまえと声がする。要らないものだと声がする。 ずっと呪いのように見続ける夢の中で女の声が響いてた。 本当の自分は要らないもので、嘘の自分にも疲れきって。 全てを壊して、楽になりたかったんだ。 本当は全てが終わったその時に、 終わらせよう と考えていた。だから君との未来の約束は、果たされないはずだった。 ▼ (-456) 2023/09/25(Mon) 23:40:24 |
【秘】 リヴィオ → 暗雲の陰に ニーノ本音を言った後、やっぱり少しだけ後悔した。 後悔したけど、同時に伝えられたことに安心した。 きっと最初に 彼 が肯定しなければ、ここにはいなかった。ルチアーノやダニエラ君にも嘘を吐き続けていただろう。 何となく、教えてやるのは癪なので伝える気はないが。 君の安堵した声に強ばっていた肩の力を少しだけ抜く。 抜き切るのは、全てが終わってからじゃないと崩れてしまうから。 それでもまだ、一歩を詰めようとしなかった男は、 君が左手を伸ばし、痛みに声が詰まる様子に 本当に思わず、思わず体が動いてしまった。 少し焦った声で君の名を呼んだのも、きっと気のせいじゃない。 伸ばされた左手に触れるように、こちらも左手を伸ばした。 開いていたはずの距離は、たった今、消えた。 「……っ、俺は、君に……君に……………」 だいすきだと言われる資格がないのに。 どうして、誰も彼も信頼を捨てず、 そう 言ってくれるのか。「……………俺も、会えて……………良かった」 下手な笑顔で詰まるように言葉を並べ、視線をさ迷わせながら、 しかし確かに君への思いを、本音を口にする。 好きや嫌い愛や恋は分からない、それでも、 君の言葉がとても──嬉しいものだと感じられたんだ。 (-457) 2023/09/25(Mon) 23:41:02 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 幕の中で イレネオ一撃は確かに貴方の頬を捉えた筈だった。 されど──首元の圧迫感は変わらぬまま。 「────ッ」 ならばその手を離そうかと指先を動かそうとしたところで。 あ、だめだ、 先程の一撃で痛みが酷く言うことを効かない。足掻こうとした最中にも真っ直ぐとぶつけられる。 所以の分からない激情が、憎悪が、怒りが。 その理由を知りたいと望んだところで……もう、遅いのだろう。 ────くらり。 「…………ぁ、」 大した音は漏れなかった。 ぷつんと電源が切れたみたいに。 男の身体から力が抜ける。 がくんと首が傾く。 先に限界を迎えたのはこちらの意識だった。 名を呼ばれても、痛みを与えても。 しばらくはぴくりとも反応しない。 気を失った男は、ただの物同然となることだろう。 全てを手放すその前。 怒りと敵意の渦巻く奥底に未だ見る。 あなたの隣人で居たかった、などと。 悲しみを抱く弱さは、 矢張り警官に向くものではないのかもしれない。 (-524) 2023/09/26(Tue) 9:52:56 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → corposant ロメオ「うん、……」 もうひと踏ん張り。 終わりが近いと分かっているかのような言葉は、少し不思議な心地がした。 立ち上がる表情は既に何か次の目的を定めているように思えて。 ほんの少し遠く感じた、指先をまた伸ばしかける、のを。 「…………」 言葉と笑みを見つめて留める。 なんだかなあ、パン屋の店員さんとして眺めていた時はそんなに思わなかったのに。 うっかりありがとうもまたねも伝えるのを忘れて背を眺め、見送った後。 「…………かっこいい」 一人零した声は拗ねたみたいになってしまった。 だってなんだかずるかったから。 膨れた腹と喉に満たされた心地を感じながら、そこでようやく。 誰も居ないのに「ありがとう」を零したのだった。 (-525) 2023/09/26(Tue) 10:04:59 |
【墓】 暗雲の陰に ニーノ>>+65 黒眼鏡 「疑うのって〜難しくて〜……」 賢いだなんて自分で思ったことは無い。 それでも貴方にそういわれると背を押してもらえたような心地になる。 とは思いつつももちゃもちゃと文句は垂れていたわけだが。 「…………オレはその辺にツッコまないからな」 小声で言われたことにはジト目を返した。 男は"そういう"話題にはいつだって一歩引くのはご存じの通り。 兄と姉のそれについても同様だ、とりあえず泣かせていないならいいのだが。 はあ、と溜息。たぶんこれで最後。 それから見上げた貴方が贈ってくれる全てには。 「……ん」 #収容所 [1/2] (+71) 2023/09/26(Tue) 10:21:41 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → favorire アリーチェそんなことないよ、と苦笑する貴方に安堵させるような微笑みを返す。 頼りないだなんて思ったことは、本当に一度も無いのだ。 貴方の言葉も行動もいつだって誰かを暖かく思う気持ちが表れているから。 陽だまりをひとつ、お裾分けしてもらえたような心地を抱いていたんだ。 「……へへ、何か伝わった? なら良かった。 オレ、こういうの話すのあんまり得意じゃないから。 ……でも、アリーせんぱいがずっと自分を責めるのは、苦しいから」 「オレもありがとう。 色んなことさ、一回全部目を塞ぎたかったん……ですけど。 アリーせんぱいがそうやって決意してくれてるの聞いてたら、ちゃんと受け止めないとなって」 そうだ、そうして結局傷付かないのは、自分だけ。 されど保身に走って大切なものを取りこぼすのは嫌だって。 ひとに伝えるなら分かっていたことを、貴方の言葉で改めて自分にも正しく置き換えることができた。 細めた瞳はその感謝を映し、手を労わる指先の温もりには少しくすぐったい感情を胸に。 「めちゃくちゃ〜痛い! ……痛いけど、よしよしでちょっと飛んでった……」 「……なんかすっげえうれしいです。 こんなところじゃ誰の力にもなれないって思ってたけれど、アリーせんぱいの元気になれて。 お菓子作りたくさん教えてもらったお返し……みたいなものだから、気にしないで?」 笑う瞳を覗き込み、伝える。 そろそろ収容所の移動も近いことだろうと看守の動きを横目で見て理解しつつ。 「……ね、アリーせんぱい、お別れの前にひとつだけ。 聞いてもいいかな」 (-528) 2023/09/26(Tue) 10:41:20 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 口に金貨を ルチアーノ「え、ほんと?ならどこかで会いたい」 一方的な感情かと思えば貴方が拾い上げてくれたのでそこに嬉しさは感じつつも。 いい男でいられるときとそうでないときがあること。 ずっと格好つけることはできないということ。 いざというときに駆け付けられる男になればいい、と。 並ぶ言葉とアドバイスには、とうとう声を出して笑った。 「ふ、……あはは」 「ねえ、ほんとうににいさんの部下なんだな。 言ってることそっくりだ、ずるい」 この牢に入る前のこと、会いに行ったその人に似たことを告げられたのを思い出した。 から、なんだかおもしろくって、それからずるいな。これは漏れてしまった。 憧れた背を追ったつもりでいたけれど、己よりもよっぽど貴方の方がと思ってしまう。 だからこそ初めて交わす言葉にこんなにも好意を抱くのだろう、とも。 差し出された最後の一口をぱくりと含み、こくんと飲み込む。 「……ありがと。 様子見に来てくれてうれしかった」 「暇になったらまた遊びに来てね。 よかったらご飯時に」 にぃと笑う男は、さて、悪いことじゃないらしいので。 十数分ほど前までは見ず知らずだった貴方へ、それでも関係ないとばかりに頼って甘えようとしていたのだった。 (-531) 2023/09/26(Tue) 10:57:40 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 暗雲の陰に ニーノ「ずるいかあ……本当モテ男だよなあ。 俺も時々、あの人と言うことが被ってることが気味が悪いんだ」 「それに俺だって……お前がうらやましいぞ。 この間高い高いをされてみたいと思いついたが、この身長と歳が許さんのだ」 この時々いい男ではなくなる男は、所々に下らない子供のような部分が残っている奇妙な男だ。 口調は真似したんだったか、もう思い出せない。 全部ガキの頃で、敬語が無くなったのはあの人のせい。 上司として、全く尊敬に値しなかったからだ。 マフィアに拾われたまだ13か4の頃、反抗期も来ない頃に面倒を見たのがあの男だった。 親子とよ言うよりは兄弟のように扱われて居たが、大体振り回されていたのについていっただけ。 こちらも十年以上追うだけをしてきた、隣にはいないが見てきた面が違ったのだろう。 男はそれを不満げに扱うが、内心喜んでいるのは言うまでもない。 「仕方ないなこの甘えたは……可愛がられるわけだ。 俺の手が無事だったら次は中で一緒に食うか!」 あんな奴の話はやめだと切り替える姿はさっぱりとしていて。 彼ら同士も独特の距離感で信頼をし合っているのが伝わるだろうか。 貴方の誘いにも満更でもなく了承すれば、踵を返し靴音を弾ませながら手を振って牢を後にしただろう。 (-533) 2023/09/26(Tue) 11:17:59 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → リヴィオ左手に触れる。 ぬくもりはあの夜と同じだった。 距離が詰まる。 近くに貴方をようやく感じられた。 笑顔は下手くそで、言葉は詰まっていて。 それは己が見てきた無敵には余りに遠い。 けど、それでよかったんだ。 「……うん」 零された声も、浮かべられた表情も。 いとおしいに違い無く、緩んだ目元はそのままに。 指先を撫ぜ、柔く握り込む。 「オレも、あなたに会えてよかった」 「……うれしいよ、ぜんぶ」 見せたそれが本物じゃなかったとしても。 貴方が抱いた祈りは本物だったんだろう。 微睡む夢に込められたのは悪意ではなく。 優しさと希望だったことを、今の貴方が教えてくれた。 [1/2] (-534) 2023/09/26(Tue) 11:33:56 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → リヴィオ「へへ、なんだか照れ臭いなぁ」 「……ねえ、今度は晴空の下で散歩しよう。 行儀悪いけれど、食べ歩きでもいいかも」 叶うのか、叶わないのかは分からない。 だとして多くの涙で赤らんだ瞳は今でも輝きを失っていない。 そうして貴方を覗き込んで小首を傾げる。 「だから、此処で待っています」 こんな場所にでもいる自分が、貴方に託せるものを。 ひととき、握る手に力を込めて、そっと告げた。 「……リヴィオせんぱいなら、きっと 大丈夫 だよ」[2/2] (-535) 2023/09/26(Tue) 11:37:12 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 暗雲の陰に ニーノこれはその後の話。 気を失った貴方の姿に、これは大きく舌を打ち。 けれどその身体を、手酷く投げ捨てるなどということはしなかった。 ゆっくりと息を吸う。 それを長く吐く。 そうして目を閉じれば、そこにあるのはいつもの顔。 冷静で生真面目で四角四面で、正義漢のイレネオ・デ・マリア。 貴方を椅子に座らせて、男は落ち着いて人を呼んだ。 やはり体調が悪い。 治療を優先するように。 男が貴方にしたことは、それきり。 きっと、もう会うこともないだろう。 男にとって、貴方は隣人であった。 それでも、しかし。 隣人を須らく愛するほどには、 男は情深い人間ではなかった。 (-559) 2023/09/26(Tue) 15:22:00 |
【秘】 favorire アリーチェ → 暗雲の陰に ニーノ「ええ、沢山、……沢山伝えて貰ったわ。 何だか少し、似ているわね、私達。 こういう事を話すのは得意じゃないけれど、 それを言葉にしないと伝わらない人がいる時、 必死に言葉を紡ごうとするところとか、近いのかも」 周囲には最初からこう言うことを話すのが得意な人たちや、 言葉にしなくても伝えるのがうまい人たちが大勢いて。 貴方がこちらを陽だまりと思ってくれているなら、 こちらは貴方を太陽のように思っている。 「本当に?……ふふ、じゃあそう思ってくれたなら猶更、 私もちゃんと受け止められるように意識していかないと。 途中で挫けそうになる事があったら、またニーノに相談させてもらうね」 こうして気兼ねなく助けあえる同僚が、仲間がいる。 それだけでも、言葉にするだけの何倍も難しい「向き合う」と言うことに挑めそうな気がして、心が温かくなる。 看守の動きをこちらも見つめながら、別れ前の最後の問いとわかれば、「うん」と頷きを一つ落とした。 (-560) 2023/09/26(Tue) 15:22:12 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 口に金貨を ルチアーノ「高い高い」 貴方の口から聞くと思ってなかった単語に、男はツボに入ったようで少しの間声を揺らして笑っていた。 そういうところを見せられるともっと好きになってしまう。 「確かに、高い高いしてもらえる身長だって考えたら悪くないかも」 してもらおうという発想は無かったけれど、貴方のそれを聞いたら今度誰かにねだってみてもいいかもしれない、とも考えていた。 これまでその足が辿ってきた路を知るにはこの時間は短すぎるけれど。 だからこそ次を求めてその軌跡を改めて話して欲しいと願ったりもして。 「やった〜。 じゃあ今度、一緒。 覚えてるからな、オレ」 ひひ、と笑う。 雨上がりの夜明けはもう近い、だからそれが叶う日は来ないのかもしれないが。 それでも頷いてもらえたのは嬉しかった、から見送る姿を機嫌よく見送った。 そうやってまた一つ貰った、前を向く力を心の内で抱きしめながら。 (-603) 2023/09/26(Tue) 19:40:04 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → favorire アリーチェ「普段はお菓子作りとか、仕事の話しかしないもんね。 シンパシー……感じるのってうれしい、です! あはは、もっと色々話しておけばよかったな」 とはいえこのような状況でもなければそう深い話をすることもない。 仕方ないといえば仕方ないのだが。 貴方の笑顔は眩しいものを見つめてくれるそれだろうか。 こちらも瞳を細める、貴方は仲間と想ってくれている。 まだ触れたままの指先を、そっとこちらからも撫で返した。 「いつでも、オレが聞けるときなら」 貴方の周囲には家族が居て、頼りになる幼馴染のせんぱいたちも居て。 だから自分がそう深く心配することもないのだろうけれど。 頼ってもらえるのはうれしい、だから次の問いはほんの少し。 口にするには苦さがあった。 「……出てから、きっと色々あると思うけど」 「また、お菓子作りって教えてもらえますか?」 それでも舌に載せて言葉にする。 眉を下げながらも笑んで尋ねるそれは、甘えだなとは頭の隅。 (-605) 2023/09/26(Tue) 19:51:05 |
【墓】 暗雲の陰に ニーノ看守たちが騒がしくしているのを聞きながら、 ようやくに包帯で固定された右手を天井に翳す。 天気予報は、どうやら当たりそうだ。 「……うん」 聞こえてきた名に心が波立てど、どこか頭の芯は冷えていて。 だから、大丈夫だ、と思った。 此処から出るときに全部が変わっていくとしても。 (+79) 2023/09/26(Tue) 19:55:54 |
ニーノは、もう目を塞がないと決めている。 (c46) 2023/09/26(Tue) 19:56:04 |
【秘】 favorire アリーチェ → 暗雲の陰に ニーノ「署内で個人的な話はなかなかできないものね…… 勿論、それ以外の話だって楽しいのだけれど、 こうなってしまうともっと色々話しておくべきだった、 そうなるのはとてもよくわかるわね」 いつでも、と答えてくれた貴方に、 ありがとう。と感謝の意を込めて頷いて。 家族や幼馴染がいるのも確かだけれど、 先程、その瞬間自分を助けてくれたのは間違いなく貴方で。 そうしてまたかけがえのない人が増えていくのだ。 「──勿論! じゃあ今度は作りながらもっとお互いの事を話そうね。 ニーノ自身の事、家族の事、もっと教えて欲しい。 ふふ、きっと素敵な日になるわ。その日が楽しみね!」 満面の笑みで、頼られたことが嬉しくて堪らないといったように破顔して。 次のお菓子は何にしようかしら、なんて、 これからの未来の展望がみえずとも、一つ増えた楽しみを大事に大事に守ろうと決意するのだった。 (-611) 2023/09/26(Tue) 20:15:34 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → favorire アリーチェ「それも一つ、人生の学びかも、なんて」 これからに活かせるといい。 何でもない話題も、そうじゃない話題も。 ひとつ踏み込む大切さも、時間は限られているという事実も。 こんなところで学べるものがあるだなんて思っていなかったそれらを心の内でなぞって大切に覚えておく。 その内に向けられる貴方の満面の笑みが、やっぱり眩しかった。 「……はい。 きっと、いつか」 「楽しみです、せんぱいの話も。 ……オレの話も、させてください」 それがいつになるかはわからないけれど。 次に教えて欲しいお菓子はもう決めてあるのだ。 小さく笑みを転がせて、そうして直に指先を離す。 「それじゃあ、また」と、ひとときの別れの挨拶を形にし。 そうして笑みを最後贈ってから牢の移動へと歩いて行く。 いつも通りを教えてくれた貴方の言葉で、見据えるべきものを見据える勇気を抱きながら。 (-621) 2023/09/26(Tue) 20:43:16 |