人狼物語 三日月国


100 【身内RP】待宵館で月を待つ2【R18G】

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【鳴】 死神 ゲイザー

「それじゃあ。
 あ、……改めて、自己紹介をしますね」

「気弱で、すぐにいじめられちゃってたあたし、ゲイザーと。

 何も言い返せないあたしに代わって、
 怒ってくれた──話を聞いてくれていた『リーパー様!』」

「それが、あたし達です」 ⇒
(=4) 2021/10/25(Mon) 22:45:54

【鳴】 死神 ゲイザー

「今までは、あたし、
 リーパーの存在が認識できなかった」

『ひひひ、こいつ全然気づかねえんだぜ!
 夜な夜な人間を殺して回ってたのにさあ……。
 もごごご。もうしない、もうしないって!』

「──でも。こんなふうに、
 お互い意思疎通できるようになったんです」 ⇒
(=5) 2021/10/25(Mon) 22:48:05

【鳴】 死神 ゲイザー

「こうなったのは、べつに大した理由じゃない。
 過去に特別なトラウマがあった訳でも無くて。

 ……ただ、いじめられっ子のあたしは、
 お友達が欲しかったから」

『でもさァこいつ、オレが世話焼いてやったのに
 年取ったらオレの存在忘れやがった!』

『だから、ムカついて仕方なくって、
 オレは殺人鬼になったんだ。
 人間の腹を裂いて、ウサ晴らしてた!』
 
『オレ、まだ許して無ェかんな!』

『……ま、ちょっとはマシになったけどな、アイツも。
 何か、ずっと”怒る”役目だったけど。
 役目なんかなくても、居て良いって、あのノロマが』 ⇒
(=6) 2021/10/25(Mon) 22:53:04

【鳴】 死神 ゲイザー

長い長い話を滔々と語り、少女はこう締めくくる。

「……あたし達については、これで良いでしょうか。
 えへへ、あたし達。少しだけ、大人になったんですよっ」
 
(=7) 2021/10/25(Mon) 22:55:45

【鳴】 死神 ゲイザー

「──ね、あたし知ってます。
 あなたが、ゲイザーを助けてようとしてくれたこと。
 リーパーに、為さなければならない報いを与えようとしたこと」

「ずっと、……あなたと話したかった」

「ありがとう」

『え、これオレも言った方がいいやつ?』
『ぜってー言わねー!』 ⇒
(=8) 2021/10/25(Mon) 22:58:02

【鳴】 死神 ゲイザー

「……何か、あなたにお礼がしたいんです。
 あなた、ずっとあたしのこと心配してくれたから」

「…………」

「ば、『晩酌』……。
 お付き合いしたほうが良いですか……っ?」


結局純潔のままだった少女は、
声を上ずらせて尋ねて来る。

けれどきっと、もうそれはあなたには必要ないことだ。
(=9) 2021/10/25(Mon) 22:58:45

【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ

きっとあなたの言葉を聞いたのならば、
リーパーはひとつだって頷かない。

殺そうとされたら、見殺しにするし。
どうして自分のことを知ろうとするのかも、わからない。
あなたの論理ひとつだって理解しようとしない。

魔法使いと夜空を跳ぶ。
あなたの輪郭はきらめいて、
どこか浮世離れしたうつくしさがある。

少年のリーパーは、それひとつで──
一目ぼれしてしまいそうだった。

今、ふたりは対等だ。同じ高さで夜を駆ける。

「…………、」
「……ハッ。マジで勝手だな」
「オマエが妙になってから……。
 オレの話、ぜんぜん聞きやしないし!」

それはこの殺人鬼も同じだ。 ⇒
(-103) 2021/10/26(Tue) 0:39:56

【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ

……怖さは不思議と、無くなっていた。
死の恐怖を通り過ぎて、奇妙な光景に囲まれて。
リーパーはなんだか笑えてきたのだ。

月の魔力に諭されて。理解不能を、許容する。
月の魔力に酩酊して、饒舌になる。

ああ、わかった。

心の奥底の欠落に気付いてくれたから。
手を差し伸べてくれるあなただから。
あなたのような性格だから。

──聖なる月の色と、影に生きる血の色。
そのふたつは交わらない。

……その振る舞い、言葉遣い、指先の仕草ひとつまで。
彼女が信じがたいまでの善人であるのは明白で。
だからこそ、殺人鬼のリーパーとは釣り合わない。

 ⇒
(-104) 2021/10/26(Tue) 0:40:46

【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ

だからリーパーは、べっと舌を出す。
差し伸べられた手を払い除ける。

「バーカ! オマエの言うことなんて聞いてやらねー!」
「オマエと友達になんて、なってやんねェよ!」

「知らなくたっていい。オマエがオレを知る必要はない。
 バカはバカ同士仲良くしてな!
 ゲイザーとチャンドラで!」

……それは、話の発端──
チャンドラとゲイザーが、友達になることの許容だった。

(-105) 2021/10/26(Tue) 0:42:40

【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ

あなたの柔和な笑みが少年を見つめる間際、
リーパーはふいと顔を逸らした。
僅かに、たじろぐ。頬が赤いのは、興奮のせいだ。

「オマエはなんだか気持ち悪いから……。
 殺すのはまた今度にしてやる!! 降ろせ!!」

あばれている。
(-106) 2021/10/26(Tue) 0:43:29

【秘】 夜の一族 チャンドラ → 死神 ゲイザー

こどものように、舌を出して罵るあなた。
わたしは振られてしまったらしかった。

「あら。ゲイザーとわたしのことは、認めてくれるのね」

あんなに拗ねていたくせに。
くすりと笑って、わたしはありがとうと告げる。
でもあなたに許可を取る必要、本当はないのよね。

「でも嫌われてしまったみたい。
 困ったわね。こういうときはどうすればいいのかしら」

あなたが暴れたところでわたしはあまり困らない。
どちらかというと困っているのは、嫌われているところからお友達になる方法がすぐに浮かばないから。
(-107) 2021/10/26(Tue) 1:34:39

【秘】 夜の一族 チャンドラ → 死神 ゲイザー

わたしは別に嫌われたからと諦めるつもりはない。
でも嫌われているのだから、姿を見せると不快かしら。
不快な思いはしてほしくないのよね。

「まあ、いいわ。ええ、降ろしてあげる」

降ろさないという選択肢だって勿論ある。
友達になってもいいと、苦し紛れの言葉だろうと言質をとってしまうまでは降ろさない。
それくらい、わたしはしてもいいのだけど。

今日のところはね


お世辞にも行儀がいいとは言えない言葉をささめいた。
そしてわたしはくすくすと忍び笑い。
降ろさなくてもいいのだけど、また次がある方がずっといい。
(-108) 2021/10/26(Tue) 1:36:36

【秘】 夜の一族 チャンドラ → 死神 ゲイザー

中庭に向けて、ゆっくり少しずつと降りていく。
軌跡を描く星屑が、まるで夜空へ昇るよう。

地面までもうすぐというところで、わたしはあなたに尋ねることにする。
そんなに難しい問いじゃない。


「空の旅、楽しかったかしら?」


最後にこの答えさえ聞けば、その答えがどうであれ、わたしはあなたを地面に下ろす。
でもそれまでは、顔を逸らしたあなたの頬を見つめながら、いたずらっ子のように笑っていた。
(-109) 2021/10/26(Tue) 1:36:59

【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ

リーパーは自身に選択権があると思っている。
この夜空で、絶対はあなたにあるというのに。

そして、夜の絶対者は彼を簡単には諦めてくれないらしかった。
それでもリーパーは否定する。

「ハッ! ……いいぜ」
「何度だって、オレに『友達になりましょう』と誘えばいい」
「何度だって、オレをどこかに連れ去ろうとすれば良い」

「オレは、……その度に何度だって。
 そんなオマエの魂胆をめちゃくちゃにしてやる!」 ⇒
(-110) 2021/10/26(Tue) 21:21:45

【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ

──リーパーは、心底では、
あなたのことを決して嫌ってなどいない。

寧ろ、魅入られてしまった。一目ぼれしてしまった。

リーパーは本当に美しい花は、鑑賞に留めることこそが。
最も尊い愛し方なのだと思っている。

(-111) 2021/10/26(Tue) 21:25:00

【秘】 死神 ゲイザー → 夜の一族 チャンドラ

『ご感想は?』なんて。
……もちろん、答えはひとつ。

「サイアクだ!」

助けてくれたけれど、ありがとうのひとつだって言ってやらない。
あなたを罵倒し、否定し、距離を取る。

きっとこれは少年にとって、恋だ。
実ることのない、実らせなんかさせない片思い。

どうしたって友達になろうとする夜の魔女。
そして好きだから、近づかない。
その全てを否定し続ける殺人鬼。

歪でおかしなふたりの関係。
でも、どっちも”ヤバいヤツ”なんだから、
これくらい許されるだろう。

今日のところはね。
(-112) 2021/10/26(Tue) 21:26:48

【秘】 夜の一族 チャンドラ → 死神 ゲイザー

「まあ。それは楽しみね。
 どうやってわたしの魂胆を、めちゃくちゃにしてくれるのかしら」

楽しげに笑うわたしは、何も虚勢を張っているわけじゃない。
冒険が好きで、好奇心が強い。
だからこれから追い続けるのも、きっと楽しいと思っている。

そしてその先で、いつか分かり合える日が来ると思ってもいる。
甘いと言われたわたしは健在で、そしてわたしはやっぱり箱入り娘らしかった。

わたしはもう起きる時間だというのに夢想する。
あなたと友達になる未来を夢想する。

もちろん、ゲイザーも一緒。
きっと楽しいはずと、確信だってしていた。
(-113) 2021/10/26(Tue) 22:40:46

【秘】 夜の一族 チャンドラ → 死神 ゲイザー

「お気に召さなかったかしら。残念ね」

ありがとうなんて言葉が欲しくて助けたわけじゃないから、それはいいんだけど。
言葉とは裏腹に、わたしはやっぱり笑っていて、また夜の空にゆっくりと浮かんだ。

「それじゃあ。
 また会いに行くわね、リーパー」

月の灯りを纏い、星屑の尾を描きながら、あなたに手を振った。
あなたと踊るより、少し速度を上げて夜を駆ける。
あなたがそんなわたしを、見送ってくれたかは分からないけど。

そのうちあなたは気付くことになるだろう。
利き手の怪我も、きれいさっぱり、なくなっていることに。

だってその手がそんなんじゃ、ゲイザーも館のお手伝いができないじゃない?
(-114) 2021/10/26(Tue) 22:41:10

【鳴】 死神 ゲイザー

その声色にゲイザーは、”まるで憑き物が落ちたみたい”と思った。
同時に、”今のあたしたちの関係のほうが、きっといい”という、
曖昧な印象も。

「あなたってひとは」
「年頃の女の子の、純潔を奪おうとして置いて」

その癖、幾らでも代わりのいる筈の下女を心底心配してしまう。
照れ隠しのような仕草に、ゲイザーはくすりと笑った。

ねえ、あたし。
あなたになら、初めてをあげてもいいと思っていたんですよ。

「ほんとう、憎み切れない、ろくでなし」 ⇒
(=12) 2021/10/27(Wed) 17:15:06

【鳴】 死神 ゲイザー

「良いですよっ。あたし、暫くこの館にいますし。
 そう、あたしっ。
 お手伝いじゃなくて、正式に雇用されたんですっ」

だからこそ、何度でも次はあるのだ。
ゲイザーは贖罪をする必要が有る。
しばらくこの夢から覚めることはできない。

……けれど、どうやら退屈はしなさそうだ。 ⇒
(=13) 2021/10/27(Wed) 17:17:51

【鳴】 死神 ゲイザー

「だから『お誘い』は、いつでも。
 あたしももっと、あなたのこと知りたいから。
 どうでもいいことをお話しましょう」

「……茶飲み友達して、ね?」

ゲイザーは大人になって、少しだけ悪戯ができるようになった。

『えっ!? オレこいつと茶飲むのなんかゼッタイイヤだぜ。
 あとジュースがいい!』

あまのじゃくの騒々しい一声と共に、ゲイザーは通信を切る。
きっと、この通信を使うのは最後になるという予感があった。
だって、普通に顔を合わせればいいのだから。 ⇒
(=14) 2021/10/27(Wed) 17:18:42

【鳴】 死神 ゲイザー

日の光が降り注ぐ、中庭に隣接した通路で、
ゲイザーとリーパーは”そのあと”の話をしていた。

『あっっっっりえねえ!!
 オマエ、けっこうアイツのこと”イイ!”って思ってたんだろ。
 知らんやつに取られて、それで良いわけ!?』

「良いわ。……だからこそ、良いの。
 あたしは、あのひとに光を掴んでほしい。

 いつも酒に溺れて、誰でもいいから女のひとに助けを求めて。
 そんなあのひとが、あんなに穏やかな声色で言ったんだもの。

 あのひとを”悲しい目”から引き揚げてくれるのは、
 きっとそのひとだわ」
(=15) 2021/10/27(Wed) 17:28:56

【鳴】 死神 ゲイザー

「相手が誰だって、あたしは祝福する」
「ああ、でも。──優しい人が良いわ!」

ゲイザーは日の光を眺めて、笑っていた。

『はーぁ。オマエ、マジで救いようのないバカだよな』
『ちょっとは分かるけどさ』

これはきっと、二人だけにしか聞こえない内緒話。
さあ、今日はどんなパイを焼こうか。
(=16) 2021/10/27(Wed) 17:29:36

【赤】 パイ焼き ゲイザー

リーパーは、館の協力者の役目を終えた。
誰かを襲う画策をすることもない。
館の魔力によるこの声も、もう届くことはない。

それにリーパーはべつに、キエのことを
特別だともなんとも思っちゃいない。
これは、刹那の繋がりだ。

だから、別れを告げなければ。 ⇒
(*0) 2021/10/28(Thu) 16:51:40

【赤】 パイ焼き ゲイザー

「ようキエ! まだこれ、聞こえてるか?
 いやあ、オマエには世話になったな。
 オマエが居なければ、あんな謎は作れなかった」

(*1) 2021/10/28(Thu) 16:52:00

【赤】 パイ焼き ゲイザー

「それに何より、オマエには恩が有る。
 あの時は、オレが”下”だったんだ。

 オレは副人格だった。
 棄てられて、なかったことにされて。
 認識すらされなくて」

「……だからひとときでも
 あいつの躰を奪ってやれたのはスカっとしたぜ! 
 それに、あのお陰で今みたいに対等になったんだし。

 
何より、ゲイザーのあの顔! あの悲鳴!

 
ギャハハハハ!!!
(*2) 2021/10/28(Thu) 16:52:46

【赤】 パイ焼き ゲイザー

「でもオマエやっぱムカつくわ」


「いつだって人を食ったようなツラしてさ。
 オレは誰のいいなりにだってなりたくない!」
(*3) 2021/10/28(Thu) 16:53:16

【赤】 パイ焼き ゲイザー

「そういやオマエ、最初は探偵だって名乗ってたよな。笑える!」

「……じゃあ、待宵館殺人事件はこれでおしまい。
 オチは探偵と犯人の結託による完全犯罪だ。
 陳腐で、趣味の悪い、最高のミステリー!」
(*4) 2021/10/28(Thu) 16:54:07

【赤】 パイ焼き ゲイザー

 
「でも、それは今回だけのこと」

「次回は敵になるな?」

 
(*5) 2021/10/28(Thu) 16:54:52

【赤】 パイ焼き ゲイザー

「捕まえてみろよ、インチキ探偵!」

さよならなんて素直な言葉、言ってやらない。
リーパーはリーパーらしく。
最後に行ってやるのは捨て台詞。

もう殺人なんてする気はないのだけれど。
統べる者に歯向かうのが愚かな殺人鬼の最後の矜持だ。

……さて、気に入ってくれただろうか、あなたは。
さあ、ご感想は?
(*6) 2021/10/28(Thu) 16:55:45