【人】 遊惰 ロク 間借りしている病室にて。 ベッドに腰掛け、音が弱まった外の方へ視線を向ける。 閉め切られた儘の雨戸。 外の様子は、何一つ窺い知ることが出来ない。 手持無沙汰、右手は耳介を弄っている。 幾らも開けた穴を埋める色取り取りの耳飾り。 白く光る小さな石はそこに無く、穴が一つ、空いた儘。 (1) 2021/07/07(Wed) 22:31:33 |
ロクは、今日も死んでいない。 (a1) 2021/07/07(Wed) 22:32:10 |
【秘】 被虐 メイジ → 焦爛 フジノ「……へへ、ありがと……」 あなたの言葉がもし冗談だったとしても 素直に嬉しくなって、照れくさそうに笑った。 それから、なにか少し考えごとをするかのように沈黙する。 「──ねえフジノ、もし、」 「オレが今、ここから生きて帰るために "悪いことをしている" って聞いてもそう言ってくれる?」世間話をするような調子で尋ねるが メイジは真剣な眼差しをしていた。 (-10) 2021/07/07(Wed) 23:40:06 |
【独】 被虐 メイジ襲撃、二択なんだけど フジノちゃんは殺さないと約束したので 必然的にロクさんか、パスになるんだよな。 セナハラの死体でとらんからとりあえず セナハラ殺してから考えるか・・・・・・ セナハラ殺してから考える。こんな日本語一生つかわん (-11) 2021/07/07(Wed) 23:58:29 |
【秘】 焦爛 フジノ → 被虐 メイジ「……メイジ?」 沈黙の後告げられた言葉に、訝しげに名を呼ぶ。 何を言っているのだろう? 視線を上げ、貴方の視線を正面から受け止める。 「……もし、メイジが、悪い事を、していても。 私に、優しくしてくれたのは、変わらないよ」 けれど、 (-12) 2021/07/08(Thu) 1:05:34 |
【秘】 焦爛 フジノ → 被虐 メイジ「 『私達』も生きないといけないの 」膨らんだ腹に、手を当てて。 フジノという女はそう告げた。 「もし、『私達』にも "悪いこと" をするのなら。私はメイジにとって、 "悪い人" になる、よ」 (-14) 2021/07/08(Thu) 1:10:00 |
【人】 焦爛 フジノミロクの死体を、見つけて。 どれぐらい時間が経っただろう。 フジノは部屋でひとり、硬いベッドの上。 雨風の音はだいぶ、収まった。 ……それを差し引いてもここは、こんなにも静かだっただろうか? 昨日、あの部屋には何人集まったっけ? 腹の膨らみを撫でながら。 フジノはぼんやりと窓から外を見つめた。 (2) 2021/07/08(Thu) 1:14:10 |
フジノは、今日も生かされている。 (a2) 2021/07/08(Thu) 1:34:58 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロクこの男は、商人と取引をした事がない。 しかし金銭に拘る、というよりは等価交換に拘る様に思っていた。 そんな商人と貴方の関係など、微塵も知らなかったから。 歯に衣着せぬ言葉で問いかけた。 「……僕は今、貴方が殺したと仮定して話しています。 つまり貴方が遺体にピアスを着け、 首を縫いつけたと捉えて良いんですか?」 あの少年が人を殺すならもっと衝動的な筈だ。 もし計画するなら、自分に相談をする筈である。 あの少女が殺したにしては、手段が難しい。 首を斬るには相応の力が必要だ。 では姿の見えない人間はどうだろうか。 クレイシならばもっと上手く縫う筈である。 ……タマオはわからない。 彼なら首を斬る力があるが、動機が思い当たらなかった。 目の前の貴方を疑ったのは、ただの消去法だ。 死者を知覚できない男にとっての。 (-16) 2021/07/08(Thu) 2:06:22 |
【秘】 被虐 メイジ → 諦念 セナハラ/* むしろどうやって死にたい!!!? その墓下アイコンみたいに首ちょんぱする? そんなパワーないかも・・・・・無駄に苦しめずに殺す方法考えると思うのよね・・・・ (-22) 2021/07/08(Thu) 2:24:44 |
【墓】 商人 ミロク「……、……」 瞳を開けた。双眸は紅に染まっている。 目が醒めたのは外だった。 雨がふりしきっていて、"肩が濡れる"。 此処は、あのとき の死体を見つけた場所だ。 「死んでも、魂が残るとは言いようだ。 生者と死者の違いがこんなところにあったなんて。 体験しないとわかりませんでした、今ならわかります。 これが、 命の重さ ですねぇ?」男は肩を濡らさなくなった。 いつの間にか腕の中で眠っている黒猫を抱え、 一歩病院へと歩き出す。 「さぁ、取引を続けましょう」 (+0) 2021/07/08(Thu) 2:32:37 |
ミロクは、取引を終えていない。 (c0) 2021/07/08(Thu) 2:33:20 |
【人】 遊惰 ロク いつかの様に、空のタライを持って二階をふらつく。 弱まった雨風の合間を縫って、滴る雫の音が聞こえる。 意味も無く、雨漏る箇所を一つ一つ順に巡る。 その内の幾らかは新たに修繕されていた。 ――誰が、いつの間に。 その答えをとうに持っている様に思われて、 けれどもしかし、未だ認め切れずにいる。 伸びる廊下、フラリフラリと歩を進め乍ら、 躊躇いじみた間を置いて、それから開く扉があった。 開けようとしない扉があった。 何かを、誰かを。 避けながら、けれどもどこか探している様な足取りで。 男はタライ一つ抱えて彷徨っているのだった。 (3) 2021/07/08(Thu) 2:34:13 |
【秘】 発熱 ニエカワ → 遊惰 ロク「………、うん……大好き」 素直に気持ちを吐露した。 ニコリとほほ笑む顔は年相応のあどけなさを残していて。 「アキラも、友達なんだ。 ほかの人を殺したことはいいけど、俺を殺したことについては二人を責めたりはしないでほしい、かな」 死者からの細やかな願いだった。 「ロクもちゃんと生きてここを出てもらいたいから。 ちょっと気持ち悪いかもしれないけど、ちゃんと栄養取ってほしい」 (-23) 2021/07/08(Thu) 2:34:57 |
【秘】 被虐 メイジ → 焦爛 フジノ「そっか」 メイジは、驚かなかった。 腹が減って感覚が鈍っていたからかもしれない。 けれど、どこか納得したように笑っていた。 "そういうことだったんだ" 「しないよ」 「絶対に、しない」 片方しか見えない目が、あなたをまっすぐ見つめた。 「オレが女の子に…… ましてやお腹に子どもがいる子に そんなことするように、見える?」 心外だな〜と、冗談っぽく笑うが 瞬き一瞬、表情は、真剣なものに戻る。 (-24) 2021/07/08(Thu) 2:51:13 |
【秘】 被虐 メイジ → 焦爛 フジノ「今のはね、ただ、確かめたかったんだ。 フジノがどれくらい生きたいのかって。 ……それくらい、覚悟があるんだね」 メイジは、ほんの一瞬、遠くを見た。 「……………だから、よかった」 本当に、ただそれだけだった。 メイジは、あなたの話を聞く前から、そう決めていた。 「じゃあさ、君達が生きるために オレが悪いことするのは、…………許してくれる?」 「──いや! 許さなくていい」 「止めないでほしいんだ。これはお願い!」 メイジは、顔を逸らして、腕を突きだした。 ……泣きそうだったからだ。 (-26) 2021/07/08(Thu) 3:04:08 |
【赤】 被虐 メイジ「……あはは……なーんちゃって……」 「…………」 「…………………」 メイジは、ひとり手術室にあった椅子に座り込み 膝を抱えて蹲った。 (*1) 2021/07/08(Thu) 3:24:12 |
【独】 被虐 メイジ狼ひとりが連れ星に勝てるわけないだろが!!!! おれは今プードルなんだよ!!!!!!!! でも最初からフジノちゃんを殺す気なかったんだよ だって父親みたいになりたくないから…… (-29) 2021/07/08(Thu) 3:35:18 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ/* わかる…… 今浮かんだのはセナハラ先生による ・首絞め実習 ・刺殺実習 の2択ね ジワジワ死ぬまでメイジくんをヨシヨシするのもアリかなと思ってるわ お父さんの死因わからないけど、お父さんの死因と合わせたさあるわね (この流れで撲殺だったらあまりにも絵面がアレなので上記2択かな…?) (-30) 2021/07/08(Thu) 6:12:43 |
【秘】 遊惰 ロク → 発熱 ニエカワ「……そうかい。 ほかでもねェお前サンがそう言うんだったら、 マ、おれがとがめてもしかたねェわなァ」 毒気を抜かれた顔をして、物分かりのいい事を口にして。 その実腹の中では、一遍くらいなら恨み言の一つも 言っちまっていいかなァ、などと思っている。 それから、カラリと笑って否を返す。 こればっかりは口先ですら頷く事が難しい。 「ハハ、そいつは無理なハナシだなァ。 お前サンを食うこたできねェよ」 (-31) 2021/07/08(Thu) 9:21:40 |
【秘】 発熱 ニエカワ → 被虐 メイジ椅子の上で膝を抱える友達の傍へ近寄る。 「………」 自分とは対照的なく白く柔らかな髪を触れ、そっと撫でた。 貴方には触れられた感触など伝わらないだろう。 生きていたとしても友達の慰め方なんて知らないから、何もできないかもしれない。 けれど、自分が辛い時、こうして貰ったら嬉しかったから そんな幼稚な理由で貴方の頭を撫でていた。 (-32) 2021/07/08(Thu) 10:52:24 |
【秘】 発熱 ニエカワ → 遊惰 ロク「いじっぱり……お腹へってるくせに」 少し拗ねた様な物言いをするも、貴方の意思が曲げられないと理解をすれば無理に押し付けようとはしない。 自分だって先生の肉を食えと言われたら空腹でも無理かもしれないし 「ロクは、頑張って生きてね」 (-33) 2021/07/08(Thu) 10:57:50 |
【秘】 遊惰 ロク → 諦念 セナハラ「ハ、そいつはよかねェなァ」 直截的な問いを鼻で笑う。 男も又、同じ様な消去法で眼前の人間こそを疑っていた。 ――否、この場の疑いよりも。 「おれァ、こう見えて稀代の臆病モンで。 人様この手にかけるなンざ、 とてもじゃねェができやしねェ」 口の端を吊り上げ、見据える瞳は憎悪で満たして。 あの子の願いとまるで反する、悪意の滲む言葉を吐く。 「どこぞのお医者サンとは違ってさァ」 (-34) 2021/07/08(Thu) 12:27:30 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク「……気が滅入っている方が多いですね。 ああいや、ミロクさんから聞いたんでしょうか」 手術室で見た事に関して、あの時口止めをしなかった。 既に商人は死を決めていたし、 それに思い至る余裕さえなかったから。 霊魂を頑なに信じない男は、 貴方達が見聞きしたものを信じない。 「この病院に阿片は置いていませんし、 何より彼自身から 明日死ぬ と言われていました。自殺だと思っていたので、 まさか協力者がいるとは思いませんでしたけど」 (-35) 2021/07/08(Thu) 12:57:38 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク「まず、この病院に阿片はありません。 在庫を確認なさっても構いませんよ」 血が乾き始めたシーツに鼻を寄せる。 鉄錆の中に、覚えのある臭いがあった。 「……それに。 死体というのは、見るだけで心を病みますから。 子供達には見つからない場所で、 見つからないようにやります」 ──白々しい嘘だと、自分でも思う。 自ら協力を申し出たとはいえ、 明治明に殺人と食人を教えたのは自分なのだから。 (-36) 2021/07/08(Thu) 13:02:12 |
【秘】 被虐 メイジ → 発熱 ニエカワメイジには、霊感がない。信じてもいない。 だからあなたがいることには気づかない。 慰めようとしていることも 髪を撫でてくれていることも あなたがそうされて嬉しかったからそうしていることも 知らない。 あなたはもう死んでいるからだ。 (-39) 2021/07/08(Thu) 14:43:22 |
【赤】 被虐 メイジメイジは、ふと顔を上げた。 それは誰かがいるような気がしてそうしたのか ただなんとなく顔を上げたのか ただ何もないところを見つめている。 「…………」 (*2) 2021/07/08(Thu) 14:45:44 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ心の隙間に入り込んだ甘言が、じくじくと痛んでいる。 塞がった筈の傷が、少しずつ開いていた。 貴方が使う部屋の扉、その隙間に一枚の紙片を挟む。 『手術室に来てください』 差出人は書かなくても伝わる。 だから、書かなかった。 (-40) 2021/07/08(Thu) 14:59:19 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロクあなたの前を黒猫がよぎった。 誰かを思わせるようなその容姿を見れば前足が折れている。 驚いたか唖然としたか、はたまた。 なにか行動を移す前に音もなくその猫を拾い上げる影があった。 まごう事なくあなたの前に死体を晒した男の姿だった。 いつかあったときと変わらぬ表情で、優しく猫をなでている。 左の耳にあるピアスが妙に浮いていた。 「御機嫌よう。 見えていますよねぇ、ロクさん」 (-41) 2021/07/08(Thu) 15:28:33 |
セナハラは、走っている。 (c1) 2021/07/08(Thu) 15:49:28 |
【墓】 諦念 セナハラ霞む意識の中、何かから逃げていた。 しかしどうにも足が重く、思う様に進めない。 一歩踏み出す度に、泥中の意識が浮上していく。 逃げなければ殺される。 逃げなければ生きられない。 ────そういえば。 ──何から、逃げているのだろうか。 (+1) 2021/07/08(Thu) 15:49:48 |
【秘】 遊惰 ロク → 発熱 ニエカワ 減ってねェよ、そんな嘘を押し通すには分が悪い。 ヘラリと笑って誤魔化しかけて―― 続く言葉に、少しばかり強張った。 「……坊チャン、なンでそンなこと言うんだろ。 哀れみ情け、他力本願。はたまたヒトゴトだからかねェ」 三日月の口から軽い調子で飛び出す言葉。 しかしその響きと裏腹、男は心から問うている。 「――なァ、一足先に死んじまったお前サン。 おれァがんばってまで、生きなきゃならねェモンかなァ」 (-42) 2021/07/08(Thu) 16:44:13 |
【秘】 被虐 メイジ → 諦念 セナハラメイジは、紙片に書かれた内容を見た時から ──いや、きっとその前から、予感をしていた。 重たい足取り、幾度目かの手術室。 行かなければその時は来ないのではないか しかし、今のメイジにはそんな選択肢はなかった。 「来たよ」 予感が外れていたらいいのに、と 要件が言い渡されるその時を、待っていた。 (-43) 2021/07/08(Thu) 16:49:48 |
【秘】 遊惰 ロク → 諦念 セナハラ「ア? ンなもんはじめっから滅入ってら。 あァ、商人サンから“は”なァんにも。 聞いちゃいねェよ」 言葉の繋ぎ目を少ォしだけ強調して、常の顔して笑う。 死人と口がきけた事、己の正気。 それらへの半信半疑が、僅かに信へと傾いた。 「ヘェ、死ぬ予定があったンだなァ。 ……なにがどうして今日だったンだろ」 白々しさを含んだ、心底からの疑問。 そういう風には伝わらないのかもしれぬけれども。 ――男は商人と取引をした。 ▼差し出したのはつまらない話、そのさわり。 求めたのは、命を一つ。■に餓える、その筈だった。 (-44) 2021/07/08(Thu) 16:59:30 |
【秘】 遊惰 ロク → 諦念 セナハラ「ッ、ハハ。 よく言えたモンだ、包帯のガキ巻き込んどいて。 ……熱のあった、ニエカワクン。 殺したのはお前とあの子だろ」 口から洩れたのは空笑い。笑い損ねた儘、問い質す。 咎めたって仕方の無い事と知り乍ら。 「懐いてたガキ、殺して捌いて。 腹ァ満たせりゃそれでヨシってか?」 (-46) 2021/07/08(Thu) 17:14:23 |
【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジあなたの歩む先、または部屋に座っていると。 手帳から破られた一枚の紙がおいてあった。 今までなかったものだ、いつの間にかあったのだろう。 『メイジさん。 *********(どこかの番号と住所が書かれている) 私の主人の宛先です。 ミロクの名を出すかこの手紙を見せていただければ、 なにか仕事の融通をきかせてくれると信じています。 悪い人では、ありませんから。 未録』 『追伸。 どうしても命を捨て置きたくなったとき。 パイプがある部屋で私を呼んでください。 お手伝い、いたしましょう。 私は、まだ、ここにいます 』 (-47) 2021/07/08(Thu) 17:37:43 |
ミロクは、タマオに、 を渡すように頼んだ。 (c2) 2021/07/08(Thu) 17:38:37 |
【秘】 発熱 ニエカワ → 遊惰 ロク「俺が生きられなかったから……。 殺されたからとかじゃなくてさ。 俺はずっと病院と家ばっかりの人生だったし… 健康で生きてるなら、生きて欲しいなって」 苦々しく微笑み視線を落とした。 「自分の夢、代わりに押し付けてるみたいだけど」 (-48) 2021/07/08(Thu) 18:01:02 |
【秘】 被虐 メイジ → 商人 ミロクメイジは、いつのまにか小机に置いてあった手紙を読んだ。 あなたが生前に置いたものだろうかと思っていたが 「……え」 追伸に目を通せば、思わず病室を見回した。 ……いるはずはない。 「──化けて出て、呪い殺しでもしてくれんのかな」 メイジは霊的なものを信じてはいなかった。 だから、これはほんの冗談だ。 (-49) 2021/07/08(Thu) 18:47:02 |
【赤】 被虐 メイジ「オレさあ、駄菓子屋で働いてるって言ってたじゃん?」 「あれね、ウソなんだ」 「でもねーそういう、子供が喜びそうな 店に行ってみたかったのはホント」 「ほんとは、ちっさい工場でさ、雑用してるんだ。 良いか悪いかっていったらね、悪いと思う。 人使いは荒いし、電話番とかなんて一生したくない。 親父よりはマシだからなんとかやってた もしかしてオレって親父に感謝すべきかな?」 「君はあんまり外の世界を知らないみたいだったから オレのせいで夢を壊したくなかったんだ」 「ごめんね、嘘ついて」 つらつらと、懺悔のようなただの独り言だった。 (*3) 2021/07/08(Thu) 19:46:50 |
【赤】 被虐 メイジ「あと他に嘘ついたことあったかな?」 「……癖になってんだよね。嘘つくの」 「──、──……」 ぶつぶつ、つらつら、独り言を言っている。 (*4) 2021/07/08(Thu) 19:58:44 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク空笑いと問いを、真っ黒な瞳孔が映している。 共犯者の存在が明るみになっていると知るや、 やはり遺書を書いておいて良かったと、安堵した。 あの書き方をしておいて良かったと。 しかし。 どうやら、誰かが潜み暗躍しているらしい。 「あら、そこまでご存知で? すみませんね、彼は扱い易かったもので。 少し脅せば、直ぐに頷いてくれました」 脅した事などただの一度も無い。 そして贄川を選んだのは彼であり、 贄川に致死量の麻酔を与えたのは、自分だ。 彼のかつての行いをも庇えるならば、それでいい。 (-51) 2021/07/08(Thu) 20:35:25 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク贄川が自身に懐いていたことは知っていた。 その気持ちを裏切ると知りながら、犯行に及んだのだ。 「……腹を満たせばそれで良し。 ええ、ええ。そうに決まってるでしょ。 もしかして、仲良く飢え死にをご希望でしたか? でしたら申し訳ない。 僕は集団自決ってのがね、大ッ嫌いなんです」 どうせ死ぬなら家族と。どうせ殺されるなら、大切な人に。 死ねばそれまでだ。 過去も思い出も、全て始めから存在しなかったことになる。 「誰か一人だけでも生きるべきだ。 全員で生き延びることができないなら、全員で死ねと? 未来ある子供達に、生きたいと願う彼らに、死ねと? 」敢えて返答に悩むような物言いをした。 貴方の言うことは正しい。 しかし自らの言うことも正しいと、確信している。 どちらかが間違っているのではない。 これは主義主張の問題であり、 相容れることも、両立することも不可能であるだけだ。 (-52) 2021/07/08(Thu) 20:36:04 |
【秘】 焦爛 フジノ → 被虐 メイジ「……しないと、思いたい。 でも、私、皆をよく知っている訳では、ないもの。 他の人は皆、ちょっと怖く見えるから。 誰が、何をするかなんて、わからないでしょう?」 貴方の片方だけの瞳を見つめ返す。 「うん。 覚悟はね、決めているの。そうじゃないと "悪いこと" なんてして来なかった」窓の向こうを見るように、一度視線を外し。 再び覚悟を決めた様子の貴方を。 泣き出しそうな貴方の横顔を、見つめる。 「何を、するつもりなの? 私が何を、止めようとすると、思ってるの? メイジは……生きて帰るために、悪いと思うことを、したんでしょう。 ねぇ、メイジ。 貴方は生きようと、思っているんだよね?」 (-53) 2021/07/08(Thu) 20:52:50 |
タマオは、独り言を聞いて思考した。 (t4) 2021/07/08(Thu) 21:02:11 |
【見】 流転 タマオ 己も己でどれだけ嘘をついてきただろう。この病院に来てからだけでも十指に余るほどだと思う。己を本官と指すだけでも数は増えるのだから。 舌先三寸、二枚舌。己の言葉はきっと羽根よりも軽い。 (@1) 2021/07/08(Thu) 21:03:13 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ「……ああ、良かった」 貴方の声に顔を上げる。 これから己が吐く建前を思い返し、眉を下げて笑った。 「メイジくんにね、 もうひとつ教えておきたいことがあるんです」 腰掛けていた椅子からゆっくりと立ち上がる。 生きることが億劫だとでも言うように。 「誰しもがニエカワくんのように、 薬を飲んでくれるわけではない事はわかりますよね。 嫌だと暴れる人間に麻酔を施すのは難しい」 聡い貴方なら続く言葉に察しがつくだろう。 セナハラは狡い大人だ。 しかし貴方の前でくらい、良い大人でありたいとも思っている。 「人の食べ方はもう教えましたね。 ──最期に、人の殺し方を教えましょう」 だから、はっきりと口にした。 (-59) 2021/07/08(Thu) 21:18:40 |
【独】 流転 タマオタマオはこういうことできる? 生者にそう見せることはできるけど、死者や霊感太郎たちにはできないかしらね。自分の存在を消せるわけではないので。 生者に見えないをプレイしていても死者・霊感太郎には基本的に見えます。物理的に見えない場所に隠れたりはする(かべのなかにいる (-60) 2021/07/08(Thu) 21:30:55 |
【秘】 遊惰 ロク → 発熱 ニエカワ「……そうかい」 少年の願いに是も否も返せず、曖昧に保留する。 一人分欠けた死ぬ理由は、直ぐには埋まらず覆せない。 窓を見遣る。打ちつけられた板か、雨戸か。 恐らくそういったもので、外は窺えないのだろうけれど。 ――それから、少年の顔を見て。常の笑顔で話を逸らす。 「坊チャン、せっかくこうして話ができンだ。 今度こそ東京の話でもしてやろうか。 お前サンの話、思い出バナシでも夢物語でもいいや。 そんなのを聞かせてくれるンでもいいけども」 (-61) 2021/07/08(Thu) 21:33:27 |
【人】 焦爛 フジノひたひたと足音を立てながら病院の中を回る。 初日は、人がたくさんいると、思ったのに。 いつの間にか、人はどんどん消えていた。 あの嵐の中、他に行くところなんてないはずなのに。 皆どこへ行ってしまったのだろう? 「……だれか、いないの?」 ぽつりと零した言葉は雨風の音にも消されず、静かな部屋の中に響いた。 (4) 2021/07/08(Thu) 21:55:47 |
タマオは、「あ。はい、いないです」 通り過ぎざまに言うだけ言った。 (t5) 2021/07/08(Thu) 22:07:12 |
フジノは、誰かにとても軽い返事をされた気がした。かる〜い。 (a3) 2021/07/08(Thu) 22:09:53 |
【秘】 遊惰 ロク → 諦念 セナハラ「ハハ、賢しらに言ってくれンじゃねェか。 全員では生き延びられねェ、それくらい知ってたさ。 だからおれは食わなかった。 駐在に頼み事をした。商人と話をした。看護師を唆した。 ……お前サンらのとこ行かなかったのは、 あの子らに医者が必要だと思ったからだ」 大人は建前用意して、小さな子どもから殺していく。 それを男は知っている。 然し、殺しに至るまでにはまだ時間があると思っていた。 それくらいの情はあると信じていた。 信じたおれがばかだった。 「“未来ある子供”、そうだなァ。 リッパな言葉だ、あんまり正しくって涙が出らァ。 なあ、賢くてリッパなお前サン。 ――その中に病人のガキは入らねェのか。 脅かして唆してトモダチ殺させて食わせンのが、 “未来ある子供”にすることか?」 男は、人が人を殺して食う事を嫌悪したのでは無い。 大人が子どもを殺した事、別の子どもを巻き込んだ事。 ただそれだけが、据えかねた。▼ (-62) 2021/07/08(Thu) 22:10:12 |
【秘】 遊惰 ロク → 諦念 セナハラ あの少年は“長くないってわかってた”と言った。 それが本当なのか、思い込みだったかなんて分からない。 本当に長くなかったのなら――それは、確かに。 ある意味で、“■■”だったのかもしれない。 “苦しまず、■■■■に殺され”て。 そうだとしたら、……そうだとしなくとも。 余所者の男の言う事は、子どもが描く様な絵空事だ。 大人に虐げられて生きてきた 一人の青年の我儘で、ただの子どもじみた癇癪だ。 ――――けれども、一つくらい。 この、クソッタレな人生で。 一つくらいは奇跡を願ったって、良かったろう? 「あの子らみんな生かしたかったんだ、おれは。 ――なァ、お医者サン。 ニエカワクンだって、生きたかったろうよ」 (-64) 2021/07/08(Thu) 22:16:58 |
【秘】 被虐 メイジ → 焦爛 フジノ「何って、──人殺し。……君以外の、誰かに 犠牲になってもらわないと、"足りない"だろうし」 メイジはぽつり、と呟いた。 「……さすがに、止められるかなって思って。 でも、もう隠したり、ウソつくの嫌だなって。 だから言ったんだ。やっぱ、オレのこと怖い?」 「オレは、生きようと思ってるよ。そうじゃなきゃ、さ、 ……今までしてきたことが無駄になる。 ううん……オレね、人一倍、死ぬのが怖いだけだ。 こんな話するのも怖いよ……今泣きそうだったもん」 あはは、と乾いた笑いを零して、向き直る。 メイジはおもむろに、その辺りに膝を抱えて、座り込んだ。 「でも、そっか。フジノも悪いこと、してきたんだ それって、どんなことか、聞いてもいい?」 あなたに言われた通り、お互いの事を知らないな、と感じた。 だから、少しでも話をしたいと思った。 (-65) 2021/07/08(Thu) 22:34:31 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク 己が手を伸ばすより先、猫を拾い上げた腕。 辿って見れば、動くはずのない姿がそこに居て―― あまつさえ、話し掛けてきた。 「…………どォも、商人の兄サン」 沈黙ののち、慣れた笑い顔を浮かべて。 片手を軽く挙げて死人に応える。 「死んだクセ、当たり前みてェに口ききやがって。 あの世は休業中かねェ」 (-66) 2021/07/08(Thu) 22:36:04 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク男の見てきた戦場とは。 大人が大人を殺し、大人が子供を殺し、 子供が大人を殺し、子供が子供を殺し、 醜く未来を奪う合う、そんな場所だった。 殺人はどんな経緯であれ、理由であれ、 罪の重みに変わりはない。 命は大人も子供も等しく軽い。 一歩、距離を詰める。 「賢くて立派な大人が、こんな事するわけないでしょう。 僕は、ただの生き恥曝しです。 そんな人間の言葉で良ければ言ってあげますよ」 さらに、一歩。 「ええ、 そうです 。そうでもしなければ、生きられない。 全てを選ぶことはできない。 未来とは、誰かの可能性を食らうことでしか行けない場所だ」 僅か下にある貴方の双眸を、底無しの深い黒が覗いている。 その視線は黒い雨のように冷えきっていた。 幸福とは限りある資源だ。それを知らないとは、言わせない。 「……もしもできるのであれば、」 (-67) 2021/07/08(Thu) 22:54:12 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク「──僕だってねえ、生かしたかったですよ。」 彼の未来を叶えることができたら、どれだけ良かっただろう。 誰ひとり犠牲にならなければ、どんなに良かっただろう。 選ぶことには慣れていた。 同時に、誰しもが選択できないことを知っていた。 否定と選択。難しいのは、圧倒的に後者だ。 だから選んだ。 他の誰かが、こんな苦しみを味わわないように。 (-68) 2021/07/08(Thu) 22:55:25 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「私も視える性質だったのですが、 ここまで直ぐとは思いませんでした。 あなたには、会おうか会わないかは悩んでいましたが。 死んでしまう人に、会っても、何も嬉しくないでしょう?」 ごめんなさい、と呟いて目を伏せた。 たた、やはり見えているのかと、少し満足げに笑った。 「あなたに言われたとおり、 彼らには食事と未来の足掛かりを配っておきました。 その上でお聞きしますが、まだ死んでしまうつもりですか? 飢えて死ぬのを待つのは辛いでしょう、 私、あなたに死んでほしいと思っていないんです。 あなたは死んでくれると疑っていませんが。 取引は、彼らを生かして死ぬことで何も変わりがありませんね?」 (-69) 2021/07/08(Thu) 23:00:40 |
【秘】 被虐 メイジ → 諦念 セナハラ入口付近で立ち止まったまま、押し黙っていた。 はっきりと告げられる言葉に、苦笑いをひとつ。 別に最後までズルくてもよかったのに。 「……セナさんには、いろんなこと教わったね。 オレがこんなとこで遭難しなかったら 知りもしなかったこと……」 ぼんやりと、俯く。 「でもそっか、最期なんだ」 「……じゃあ知りたくないなあ」 ふてくされた子供のように床を蹴る メイジは、ゆっくりとあなたの目の前まで歩んできた。 「ウソ」 「上手にできたら褒めてくれる?」 メイジは、笑った。 (-70) 2021/07/08(Thu) 23:56:54 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「お前サン、あとのことまで手ェ配ってくれたのか」 驚きに目を瞠ったのち、それをひどく嬉し気に細めて。 無意識のうち、幾分か柔らかな声を出す。 「……そいつはよかった。 ロクな生活してねェみてェだから どうにかならねェかと思ってたンだが。 おれァあの子ら怖がらせちまうだけだったからさ」 それから一転。あっけらかんと答える。 一人分欠けた、 漸く手にした 死ぬ理由。埋まりもせず覆りもしない儘、そこにある。 「ハハ、飢えるかその前に首括るか、 どちらにせよ死ぬのにかわりはねェかなァ。 ――そうだなァ、お前サンに頼んだのはそンだけだ。 どうしてあンな死に方したんだか、 是非にも聞きてェとこではあるんだけども」 (-71) 2021/07/09(Fri) 0:09:42 |
【秘】 発熱 ニエカワ → 遊惰 ロク「俺の話なんてきっとつまんないよ」 ゆるく顔を横に振る。 少年には、人に話せるような楽しい思い出も、波乱万丈な苦労話も何もないのだ。 「トウキョウの話、ききたいな」 もういけなくなってしまったけど、話を聞くだけで満たされるものもあるだろう。 (-72) 2021/07/09(Fri) 0:26:40 |
【独】 被虐 メイジフジノちゃんへの前のレス、めちゃくちゃオレが 自分犠牲にしそうな感じに見えるのは…… 昨日の時点で生き残らせるつもりの連れ星と 二人きりになりそうフラグ立ってたから さすがにふたりになったらオレを食え!!!(自決) ってやるでしょ やらんか? (-75) 2021/07/09(Fri) 0:56:16 |
【秘】 焦爛 フジノ → 被虐 メイジ「……食べるものなら、もう十分だよ」 それ以外が“足りない”のならば、フジノにはどうにもできない。 「まだ、ちょっとは怖いけど……優しいのもかっこいいのも、知ってるから。 前よりは、怖くない、よ」 隣にすとんと腰を下ろす。 こうやって隣に座れる程度には信用も、しているのだ。 だから、悪いことだって告白する。 「 父親を殺した 腹を、撫でた。 「ちゃんと産んで、あげたいの。でも、駄目だって言われて。 だから……殺される前に、しなきゃいけないと、思ったの」 もう少し風が収まったら。村には下りずに出て行くつもりだ。 フジノはそのために『取引』を使った。 「……メイジは、私を、怖いと思う?」 歪に笑って、貴方を見た。 (-76) 2021/07/09(Fri) 1:32:08 |
【秘】 遊惰 ロク → 発熱 ニエカワ「お前サンの話も聞かせてくれや。 ホントにつまんねェかどうか聞いてやらァ」 次ンときでもいいからさ、と、 あるかも分からぬ先の事を口にし乍ら、 冗談めかし、笑い混じりにそう前置いて。 「そンじゃ、おれから話すとするかねェ」 都会の街並み、行き交う人々。 見聞きした様々のうち、愉快で明るいことばかりを。 多少の脚色と誇張を交えながら、面白おかしく―― 少年が耳を傾ける限り、時間の許す限り。 あれこれと語って聞かせたことだろう。 (-77) 2021/07/09(Fri) 1:55:03 |
【秘】 遊惰 ロク → 諦念 セナハラ「そンなら……ッ!!!!!」 詰まった距離、胸倉に手を伸ばし。 底無しを睨め付け、絞り出す様に呪詛を吐き出す。 「――――……、 ……“できるのであれば”なンて笑わせる。 そうしなかったのは、お前だろうが」 ギチリときつく握ったシャツ越し、掌に爪が食い込む。 これは優先順位の問題だ。 男は子どもを何より優先するものだと考えるけれども、 眼前の人間はそうでは無かったのだろう。 ――医者の切り捨てた“病人”は、 男の切り捨てた“大人”に等しいのだろう。 たったそれだけの、大きな違い。 故にきっと、埋まることは無い。 胸倉を掴む手で一度、体を揺すぶる。 その手に籠った力は徐々に抜けている。 「……なァ、生かすと殺すを選んだお前サン。 あの子の未来は、命は。 おれやお前サンのよか軽かったって、そう言ってンのか」 (-78) 2021/07/09(Fri) 2:19:36 |
【秘】 被虐 メイジ → 焦爛 フジノメイジは、驚いたように片目を瞬かせた。 それはあなたが"人殺し"だったからではない。 「怖くないよ。ううん、悲しい……っていうのかな。 ……誰かを、殺すのは、いつだって、そうだよ」 メイジは、眉を下げて笑う。それはもう、嫌なほど知った。 「だって、オレも 同じ だからさ。……オレも、ここにくる前、親父のこと殺したんだ」 もしかして、メイジがあなたを気になっていたのは "似た者同士"だったからなのかもしれない。 「それに、ここにきてからも──」 ……顔を伏せる。 「……フジノ。フジノって、強いんだね オレなんて、怖くてそうしたんだから」 メイジは、なんだか、おかしくなって、肩を揺らした。 笑うところではないのはわかっているが。 「やっぱり、少しは怖いかも」 「食べ物、足りるって言ってたね。 ……なら、オレ、もうやらなくていいのかな」 メイジは、遠くを見ていた。 (-80) 2021/07/09(Fri) 5:27:29 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「理由ですか?」 どういたしまして、と、取引でしたから、と。 淡々と並べてやってきた言葉に優しく囁きかえす。 「あなたが死ぬ姿を見たくありませんでした」 幽霊になって、会話ができるようになるなんて、 生きているときは思いもしませんでしたから。 「でも、やはり、見ることになってしまいそうですね。 残念です」 (-81) 2021/07/09(Fri) 8:55:37 |
【墓】 商人 ミロクこれは、少し前。 まだ男が命を落とす前。 病院の裏手にスコップを持った男の影が一人。 スコップの影がもう一つ。 深く、深く穴を掘っていました。 少し離れたところにも、もう一つ、穴が掘られました。 一つの穴には小さな骨と薬の入った陶器の壺。 もう一つの穴には黒猫の遺体を入れました。 壺の中には、ニエカワの骨が入っていました。 もう一つ、ニエカワの夢が入っていました。 黒猫はタオルに包まれていましたが、 埋められれば次第に土にかえるでしょう。 どちらも弔う為に、作られた、お墓でした。 技師の墓は、ありませんでした。 知りませんでした、知ろうとしませんでした。 彼女はきっと、どこかに、行ってしまったんでしょう。 (+9) 2021/07/09(Fri) 9:01:48 |
【秘】 発熱 ニエカワ → 被虐 メイジ「殺したくないなら、殺さなくていい…… アキラは全部忘れていいんだよ」 隣で、一緒に話しているかの様に貴方の独り言に答える。 (-82) 2021/07/09(Fri) 9:50:07 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ知りたくないのが本音だと、わかっていた。 その上で、気付かないふりをする。 人を殺したくないというのは、誰だって持っている筈の真っ当な感情だ。 「……ええ、勿論」 壁に寄りかかり、ずるずると床へ腰を下ろす。 招くように、緩く手を広げた。 「刃物を使っても良いですが、血の片付けが大変ですから。 首の絞め方を教えます」 (-83) 2021/07/09(Fri) 10:10:12 |
【墓】 商人 ミロクまだ雨の降りしきる中、濡れない男はその地面を見下ろす。 しゃがみこんで、手を合わせて。 目を細めればどこかに"彼ら"の気配を感じた。 まだ病院のどこかで、誰かを待っているのだろう。 「ああ、結構無事ですね。 かなり深く掘りましたし、……突然掘り出す人も、 墓荒らしする不届き者も獣ぐらいで。大丈夫かな」 同時に誰の墓かかも皆にはきっとわからない。>>+9 ここに残る彼らになら知らせてもいいかもしれないが、 今だと外に出てきてしまうかもしれない。 骨があったことが知られてしまうかもしれない。 あの肉が"人"であったことが知られてしまうかもしれない。 ……しばらく秘密のお墓としよう。 この病院によくいた猫も一緒に埋めた。 多分、寂しくないだろう。 「もう二度と口を聞けないと思っていたんですけど…。 せっかくまだいられるのなら、 最期ぐらい見届けようと思います。 さて、一体人の魂の寿命はいつまででしょうか?」 (+11) 2021/07/09(Fri) 10:40:10 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロク共犯者にだけ話したことがある。 ニエカワを救助まで生かしたいなら、 全員分の食糧を掻き集めなければならないと。 薬だけで病は治らない。 それには体力が必要で、その体力を維持させるには食糧が必要だ。 「……言わせんですか、それを」 言わなければ。 肯定しなければ。 「…………そう、ですよ」 絞り出すような声で、漸く、一言呟いた。 天秤が傾いた方を優先した。 ただ、それだけ。 技師が亡き今、自分が一番年嵩だ。 たとえ大人と呼べる歳だろうと、 貴方だって男からすれば子供である。 あの少年一人の未来と命は。 貴方達全員の未来と命より、ずっと軽かった。 (-84) 2021/07/09(Fri) 11:26:02 |
タマオは、「あ、リョウクンお話出来ていて嬉しそう。よかったー」みたいなことを考えた。 (t6) 2021/07/09(Fri) 13:32:43 |
タマオは、気付かれない内にそっと去った。 (t7) 2021/07/09(Fri) 13:33:13 |
【独】 流転 タマオ死んだら先生(アユミさん)にもまた会えるんだみたいに言っていたし、くっついて歩いていたセナハラさんとも多分お話したいよなーって思っていたら現場に遭遇したので、そっとしておきました。 (-86) 2021/07/09(Fri) 13:41:22 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「あンな死に方選んだ訳を聞いてンだが―― ……。…………、―― ぇ、? 」初め、囁かれたそれこそが答えだとは思わなかった。 だから変わらぬ調子で言葉を紡いで、不意に途切れて。 沈黙の末、小さな声が口から洩れた。 半ば呆然とした様体で、死んだ男の顔を見る。 左の耳朶、光る飾りは妙に浮いていて。 ――死人ってのは、 死んだときの恰好で現れる決まりなんだろか。 そんな場違いな事を片隅で考え乍ら、 よく回る筈の口は、短く。問い掛けの形に動いていた。 こと 「……そンな理由で?」 (-87) 2021/07/09(Fri) 14:26:51 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「はい。 無駄な、足掻きでしたね、思いついた頃には。 誰かが誰かのために望む死が他にあるのならば、 あなたは残る可能性がありました。 今となっては、わかりませんが。 私は、生きるよりも大切なことはあると学びましたから。 あなたが望んだことどおりに運ぶ可能性もありました。 私は、あなたが望んだ通り、 子供たちのために死ぬ大人ができたと思っています。 取引通り、食事と一緒に。 他の荷物は渡せませんでしたから、遠くへやりました。 まだ、疑問がありますか。 生前からいっていたとおりです」 問いかけを繰り返している自覚がある。 死因に関しては、自分は一切関わっていなかったから、……それを気にしているのだろうか? 「首を切り落とされていたことに関してですか? ……、……。 あれは、痛いのも、苦しむのも嫌でしたから」 本当は、理由はたくさんある。 あえて告げていないものもある。 それを生きている目の前の青年に言うべきかを迷い、呟いた。 二度と会えないはずだったのだから。どうせならば。 ▼ (-89) 2021/07/09(Fri) 15:03:17 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「死にたく、ありませんでした。 一人で、……自分の意思で死ぬのが怖くなりました。 このままでは取引ができなくなると思い、 死に方を教わって、手伝ってもらいました。 私の飢えは空腹ではありませんでしたから。 このままでは約束を違えて、生かそうとしたでしょう。 だから、殺されました、殺してもらいました。 最後にほしかったものも、あなたから貰えましたから。 後悔は、ありません」 (-90) 2021/07/09(Fri) 15:05:07 |
【秘】 被虐 メイジ → 諦念 セナハラ「……それなら、」 あなたの前にすとん、と膝をついた。その表情は硬い。 人を殺したくないのは、そうだ。 増してや、信頼していた人ならなおさら。 「やったこと、あるよ」 両手を伸ばす。恐る恐るといった風に あなたの首に温い指が、手のひらが、触れる。 あとは力を込めればいいだけなのに、指はまだ動かない。 「…………」 それはあなたの言葉を待っているようにも 躊躇っているようにも見えた。 (-91) 2021/07/09(Fri) 16:06:29 |
【赤】 被虐 メイジ刺し殺そうと思った。 ──最初は、身を守ろうと刃物を取った。 本当は、話がしたかっただけだった。 けれど、暴力に屈するばかりだった無力な少年に 確実に、急所を狙う力なんてなかった。 逃げるのに十分な傷だったことなんて、気付ける頭脳もない。 父親 ああ、脅威がまだ動いている、息をしている。 また"狼"が牙を剥いて来る。 ──次は殺されるかもしれない! ぼろぼろの壁際に寄り掛かる男 刻まれたふたりの子の名と数字。 かつては、幸福の記憶が染みついていたであろうボロ家 恐怖の感情に支配された少年は、牙を剥いた。 ……動かなくなるまで、恐怖が、消えるまで。 この手で、首を絞めて、息の根をとめてやった。 もう誰もいない空っぽの空間。 この嵐と共に沈んでいくことを、願った。 (*7) 2021/07/09(Fri) 16:55:34 |
【秘】 被虐 メイジ → 発熱 ニエカワ「……殺したくないけどね、それ以上に死にたくないんだ」 あなたの言葉に応えているようだったが その実、独り言だった。 「生きてたら、オレにもさ、いつか、…… 幸せな未来あるかもって夢見てしまうんだ」 誰も聞いていないとわかっていながら ただの独り言をつらつらと。 (-92) 2021/07/09(Fri) 16:57:44 |
【秘】 発熱 ニエカワ → 被虐 メイジ「……なれるよ。 アキラなら大丈夫……生きてればちゃんと幸せになれる」 病室のベッドに寝転がって二人で話をしたことを思い出す。 いまはなんだか、その時の雰囲気に似てる気がした。 あの時と違って、お互いの声は届かないけれど。 「俺……アキラには生きててほしいんだ。 俺を殺して、その肉を食べてでも。 最後に話した時……もし"食料"にしていいかっていわれたら……俺はいいよって言ったと思う。 それで好きな人と友達を助けることができるなら……こんなポンコツな体でも、生まれてきた意味あったなって思うし …………だから、できるだけ頑張って生きてほしい」 (-93) 2021/07/09(Fri) 17:38:36 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ教えるだなんて白々しい。 本当はただ死にたくて、 死ぬ勇気も無いから、殺されたいだけだ。 「じゃあ、復習になりますね」 首に触れる子供の手に、自らの手を重ねる。 喉の両側から、軽く力を与えた。 「……ここ、脈打ってるのわかりますか。 この辺りを両側から押し込んでください。 気道ではなく、脈から絞めると容易です」 微笑んだ、筈だった。 笑うのは得意な筈なのに、自信がない。 (-94) 2021/07/09(Fri) 18:00:31 |
【秘】 遊惰 ロク → 諦念 セナハラ「……そうかい」 突き飛ばす様に胸元から手を離す。 沈黙の長さ、答える語調。 何より雄弁なそれらを前にして、虚しさが胸に広がる。 これは、余談だけれども。 女の医者――技師と、話をした時のこと。 男は、薬が足りてンなら大丈夫だなァ、と思った。 食う人数を減らすことをとうに決めて、行動に移していたから。 それで足りると、愚かにも信じていた。 その間違いは正されず、今もまだ、信じた儘でいる。 ダラリと手を下ろして、独り言ちる。 熱を失ったあの子との会話。尽きぬ悔恨。 「……おれァ、あの子に。 自分の分まで生きてくれなんて、言われたくなかった。 自分のこと、……ッ、“食料”なんて、 そンなひでェこと、……言わせたかなかった」▼ (-95) 2021/07/09(Fri) 18:08:55 |
【秘】 遊惰 ロク → 諦念 セナハラ ベッドの上、シーツに包まれた死人を見下ろす。 眼前の医者を詰る言葉は―― そっくりその儘、この男自身にだって言える事だった。 手酷いエゴだ。 己が望んだ男の死体を前にして、 その死を弔うより先に、喪われた別の生を悼んでいる。 「――“仕方なかった”だってよ、お医者サン」 目を逸らす様に、雨戸の閉まった窓を見る。 雨の音が、ひどく煩い。 「仕方なかったンだと。長くはねェのわかってて、 どうせ死ぬなら、みんなが助かる方がいいってさ」 誰の言葉とも明言せず、そう告げた。 あの子は恨んじゃいない、なんて真っ直ぐには。 恨み言を吐き散らした口では到底、伝えられなかった。 (-96) 2021/07/09(Fri) 18:15:09 |
【秘】 被虐 メイジ → 発熱 ニエカワ「リョウが生きてたら、なんて言ったかな」 病室のベッドに寝転がって二人で話をしたことを思い出す。 この嵐がなければ、きっとああやって語り合う相手なんて いなかっただろう。 ほんのわずかな時だったけれど、嬉しかった。 あれが、今でなければよかったのに、と思ったこともある。 「ウソなんて、つかなくてもよかったのかな。 わかんないや……もう死んじゃったんだから」 ああしていれば、こうしていれば、一人でいるとそんな ことばかりが脳裏に駆け巡っていく。 「勝手に食料にしたからには、ちゃんと食べるからね」 なにもない空間に語り掛けながら、悲し気に、薄く笑った。 (-97) 2021/07/09(Fri) 18:20:42 |
【独】 被虐 メイジ (-98) 2021/07/09(Fri) 18:28:19 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロクその言葉に顔を歪め、強く首を振った。 まるで死者から直接聞いたかのような言葉が、心の傷口を開けていく。 「──……ぁあ、五月蝿い 五月蝿い!! 作り話なら結構だ!さっさと出て行け!!」 肯定されるのが何よりも苦しい。 自分が殺した人々が、最初から存在しなかったように思えてしまう。 否定され、人でなしと罵られる方が何倍も良かった。 男はずっとそう言われながら、これまで生きてきたのだから。 (-99) 2021/07/09(Fri) 18:50:52 |
【秘】 発熱 ニエカワ → 被虐 メイジ「……ありがとう」 食べてくれるという言葉に嬉しそうに笑った。 全部本当の事を言ってほしかったのは本音だけど、彼にも事情があったのだろう。 嘘をついたことも、殺したことも、責めるつもりはない。 もし、また言葉を交わせる時が来たら色々聞いてみたいな…… そんな事を考えながらふわりと隣にいた少年の気配は消えた。 (-100) 2021/07/09(Fri) 18:57:46 |
【独】 流転 タマオ>>ニエセナ あ〜〜〜しあわせそう〜〜〜〜〜〜〜よかった〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(※墓下差分が続くのを見ながら (-101) 2021/07/09(Fri) 20:08:36 |
【秘】 被虐 メイジ → 諦念 セナハラ教えてもらいたくなんてない。 あなたに死んでほしくだってない 殺す勇気のほうが、死ぬ勇気よりもあるなんて嫌だった。 「……こわい……?」 (……嫌だよ) ゆれる、大きな瞳があなたを見つめている。 問うたところで何になるというのか 脈打つ鼓動が、体温が、手のひらに伝わってくる。 嗚呼、これをまた、自分が生きる為に 止めなければならないのか。 「大丈夫だよ、オレちゃんとやるからさ」 (──本当に嫌だ) メイジは笑う。道化みたいに。 震える手に、指に、じわりと力を込め── 「……じゃないと、ただ苦しいだけでしょ」 (でもね、勝手に死なれるよりは、いいかなって) 腕をぐ、と強く押し込んだ。 メイジが出せる限りの力を出した。 ──でもきっと、前にやったようには、強くできなかった。 (-102) 2021/07/09(Fri) 20:09:27 |
【独】 流転 タマオ・肩書“流転” 一か所に留まらず、あちこちをうろついているので。何かに疑問を持たれて考えられてしまうと認識改変が解けるため、長居がそれほどできないのだわ。今回で言えば、“玉青”姓が他にいないのだとか。何かおかしいを考えられる前、且つなるべく長く、でちょうどいいくらいが一年程度。 (-104) 2021/07/09(Fri) 20:19:29 |
タマオは、天井の雨漏りを修繕している。85くらいの技量が必要だ。修理ロール18 (t8) 2021/07/09(Fri) 20:21:31 |
タマオは、はちゃめちゃに厳しい感じだったのでそっと床にタライを置いた・・・・・・・・・。 (t9) 2021/07/09(Fri) 20:22:28 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク 目を逸らしていたそれを正面から突き付けられて。 指の先から心の臓まで、余さず冷え切っていく心地がした。 ――そりゃァそうだろう。 、、、 好き好んで死ぬ程――文字通り、死ぬ程―― 怖い思いをしたい人間なんて、そうそう居はしまい。 「……なンで、そこまでして」 なのに眼前の男は、それでも死んだと言う。 死ぬ事より反故にする事の方が重かったとでもいうのか。 あんなの所詮はただの口約束で、 舌先三寸、幾らでもカンタンに破れたろうに。 ――おれが死ぬとこ見たくねェって、 死んでほしくねェって、なんでそんなこと言うんだろ。 ぐるぐると糖の足りない頭の中で渦巻いて、巡らして、 考えるからクラリと眩暈がする。▼ (-106) 2021/07/09(Fri) 20:36:57 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「――だれに、手伝ってもらったんだ? あの医者ではなさそうだったけども。 そンで空腹じゃねェ飢えって、なんのことかねェ。 ……生かそうとしたって、だれのことを? “だから”って、なにがどう、“だから”なんだ? そンで。まるで見当がつかねェんだけども、 ――お前サンのほしかったものって、なんだろ」 “あれナニこれナニどうなってンの”と 五月蝿い子どもみたいに、尽きない問いを幾つも重ねた。 (-107) 2021/07/09(Fri) 20:37:33 |
【赤】 被虐 メイジ「…………」 だれかが、傍にいたような気がした。 以前感じた悪寒はない。根拠もない。 ただ彼のことを思い出していたから そう思い込んだだけかもしれない。 メイジは、ふいに立ち上がって 干されていた"肉"をかき集めて、その場を後にした。 (*9) 2021/07/09(Fri) 20:44:06 |
【人】 被虐 メイジ雨風が弱まろうとも、助けがすぐ来る保証もない。 メイジは調理室でなにかを焼いている。 以前、それをやっていたセナハラの代わりをするように。 調理台に並ぶは、一夜干しの肉だった。 「……あ。焦げたかも……」 前に食べた時と同じにおいが漂う。 見様見真似。火加減はよくわからなかった。 (5) 2021/07/09(Fri) 20:53:42 |
【秘】 焦爛 フジノ → 被虐 メイジ……悲しかっただろうか? 寝こけた父の頭を酒瓶で殴り、雨風と恐怖から逃げるようにここへやってきたフジノはまだ、父の事を。 自分の行いを悲しんで、いない。 そうしなければならなかったという本能が、勝っている。 もう少し時間が経てば、そう思えるだろうか? フジノはまだ、わからない。 肯定できないまま続けられる言葉を、耳にした。 ……なぁんだ。二人とも、“似た者同士”だったんだ。 「そう。……何を、したと、しても。 私は、ここにメイジが居て、よかったと思う」 そんな言葉がこぼれた。 「私だって、怖かった、だけだもの。 怖くて……もう、それしか方法がないって、思っちゃっただけ」 笑い始めた貴方を、見て。 少し怖いと零した貴方を見て、笑みを向けた。 「……うん。 もう、やらなくて大丈夫、だよ。 メイジが怖いと思うこと。 メイジが悲しいと思うこと。 しなくて、いいんだよ」 (-108) 2021/07/09(Fri) 21:53:09 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ「怖くは、……怖かったんですけど。 何故でしょうね。今は、安心してます」 ぐ、と力が込められる。 頭がじわりと熱くなったような錯覚があった。 「……ッ。気を、失っ……ても。そのまま、……ね、」 その笑顔が、どこか泣いている気がして。 滲む視界の中、手を伸ばす。 以前の様に頭をそっと撫で、褒めようとしたのかもしれない。 「 、」 「 」 尤も。 頬に触れた直後、手から力が抜け──…… それは、叶わなかった。 (-109) 2021/07/09(Fri) 21:53:33 |
【秘】 遊惰 ロク → 諦念 セナハラ「……だよなァ」 チラリとそちらへ視線を向けて、それから又逸らす。 そのまま、淡々と語りかける。 「作りバナシじゃねェって言っても聞かねェんだろ。 お前サン、耳塞いじまってスグには無理なンだろうよ」 知った口を効きながら、右手は無意識のうちに耳を擦る。 過去、幾つも声を聞いた。 それらに耳を塞いできた。 死人は優しいことばかりを口にする。 男はそれを知っている。 だからずっと只の幻覚だと言い聞かせてきた。 愈々それじゃ片付けられなくなったのは、あの子と話をしたからだ。 「あの子、お前サンのこと嫌いじゃねェってよ。 そんくらいは覚えててやンな。 ……そうじゃねェと、浮かばれねェや」 踵を返す間際、一度だけベッドの上へ目を遣って。 そンじゃこれにて。ヒラリと手を振り部屋を出て行った。 (-111) 2021/07/09(Fri) 23:32:44 |
セナハラは、約束をした。 (c3) 2021/07/10(Sat) 0:23:26 |
【秘】 被虐 メイジ → 焦爛 フジノ「…………そ、っか……」 ぽつり。まだ実感が持てないような言葉がこぼれる。 「オレ……ずっと誰かにそう言われるの、待ってたのかも」 結局、誰かの言いなりにしかなれなかった自分。 死にたくなくて無様に縋りついていただけの自分。 あなたの言葉で、すこしだけ肩の力が抜けた。 「……フジノ……ちょっと、ごめん」 ぽすり、首を傾けて、控えめにあなたに寄り掛かった。 肩が触れるくらい、少し体温が感じれるくらいの距離。 メイジは、ちっとも強くなかった。 ……だから、誰かに寄り掛かりたかった。 ずっと、助けてほしかった。 「こうしてて、いい?」 その目はまだ、ぼんやりと遠くを見ていた。 (-112) 2021/07/10(Sat) 1:37:01 |
【秘】 被虐 メイジ → 諦念 セナハラ──頬にあなたの手が触れた。 あの時、やさしく頭を撫でてくれた大きな手だ。 緑が、瞬く。一瞬だけ緩まる指。離れゆくあなたの手。 視界が歪み、雫が頬をつたう。静かに服を濡らす。 ぽた、ぽた、ぽた、ぽた、ほろ、ほろ、ほろ。 メイジは、いつのまにか泣いていた。 「……ねえ、セナさん……オレわかるよ…… ホントはさ、自分が死にたいだけなんでしょ」 「ずるいね」 もう届くかわからない言葉だった。 その感情を、なけなしの殺意を腕に込める。 今考えていいのは、目の前の男を殺すことだけだ。 早く死んでしまえ。早く、早く── (-113) 2021/07/10(Sat) 3:31:14 |
【秘】 被虐 メイジ → 諦念 セナハラ「オレがもしやめても、勝手に死ぬんだろ」 「……なら……、オレが……」 首を、絞めて、絞めて、絞め続ける。その鼓動が止まるまで。 ……いつまでやればいいんだ。いつまでつづくんだ。 「……や、だよ……」 じっとりと冷や汗が噴き出る。呼吸が浅くなっていく。 震える声を、絞り出す。 「嫌だ、嫌だ、嫌に決まってるだろ……っ! もう、こんなの、たくさんだよ…… なんで、……どうして……」 「助けてよ、誰か、──」 この人を、みんなを、自分を── だけど、ついぞその手を止めることはない。 メイジは、あなたに抗うことはできなかった。 (-114) 2021/07/10(Sat) 3:33:18 |
【独】 諦念 セナハラア〜〜〜〜〜〜〜〜〜おしまいですおしまいです エ〜〜〜〜ンこれメイジくんやっぱり自殺ルート入ってませんか??(一端を担う人) (-115) 2021/07/10(Sat) 4:16:48 |
【秘】 焦爛 フジノ → 被虐 メイジ数日前のように怯えるような動作を取る事も、払い除ける事もなかった。 「……うん。私でよければ、いいよ」 そう言い、肩の力を抜いて受け入れた。 だって、似た者同士なのだ。 『誰か』にして欲しかった事は、わかるつもりだ。 フジノも、そうだったから。 貴方の気が済むまで。貴方の望むように。 フジノはメイジに寄り添っていただろう。 (-116) 2021/07/10(Sat) 4:18:39 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ死人は語らない。 貴方に語りかける、優しい声が返ってくる事は無かった。 「……」 いつのまにか、貴方の触れる首から脈拍が消えている。 未だ人肌の温もりがあるが、鼓動だけがどこにも無い。 ずる、と座っていた姿勢が崩れた。 「…………」 貴方が手を離せば、支えを無くした身体は横たわる。 そこにあるのは、ただの死骸だった。 (-117) 2021/07/10(Sat) 5:20:01 |
【秘】 諦念 セナハラ → 遊惰 ロクそうして部屋に静けさが戻る。 肩で息をする男が、一人残された。 「……嫌いじゃないってねえ、言われても」 「好かれる様に笑ってるんだから、当然でしょうよ……」 吐き捨てる様に呟き、作業を再開する。 遺体をシーツで包み終えれば、毛布でさらに覆った。 火葬もできない今、腐敗臭をなるべく広めないようにするしかない。 出来る事と言えば、これくらいだ。 「結局誰に殺して貰ったんですか、貴方」 骸にひとつ問うた後、男も部屋を後にした。 (-118) 2021/07/10(Sat) 6:33:42 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「あなたが、いったんじゃないですか。 大人は、子供を守るべきだって」 きれいに見える言葉を並べて、対面を繕って相手の気持ちに寄り添うのが商人の世渡り。 いくら無愛想でも面白い人間には寄ってくる、主人はそういった。あなたはそう言ってくれましたが、私はいつまで立ってもつまらない人間でしたよ。 「誰に。タマオさんに。 ものが触れるらしかったので、そのまま頼みました。 何のこと。 話せる相手がほしかったんですよ、それだけです。 誰のこと。 約束の子どもたち以外に、あなたを考えました。 限界とはわかりつつ、です。 なにが。 だから、子供を害しそうな私は死んでしまったほうが、 彼らのためになると思いました。 欲しかったものは……、 私だけのものですよ」 一つ一つ丁寧に答えた。 あなたが納得しないのをわかりながらそれでも、答えた。 (-119) 2021/07/10(Sat) 6:51:58 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク/* やあ墓友オネエ! アンタの死体、発見された部屋でシーツ(血塗れ)やら毛布で包まれた状態になってるわ。 保管場所が無いので移動させたり、特に手は加えてないわよ! 一応報告しとくわね。 (-120) 2021/07/10(Sat) 10:11:43 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク 一つ一つ、キッチリ返された答えを聞いて。 尚も納得とは程遠くに居る。 近づく必要が、あるんだろうか。 商人の頭の左っかし。白く光るそれを見遣り乍ら、 己の右の耳介をトンと指で叩く。 「そいつのことかい。 ……ンな大層なモンやったつもりは、なかったんだが」 叩いた指の、爪の間。 黒く澱んだ赤色が僅かに残っている。 「おれが、言ったからって。 それ律儀に守って死ねるモンなのか。 商人ってのは、……ちげェよな、損が勝ちすぎてら」 堂々巡り、千日手。 ……それよかちっとはマシだと思うが。 あと幾つ重ねれば足りるのか、サッパリ分からない。 「……お前サン、どうして死んでくれたンだろ」 (-121) 2021/07/10(Sat) 12:07:46 |
【秘】 諦念 セナハラ → 被虐 メイジ/* あ、メイジオネエへ セナハラの死体ってどうする?手術室に置いとくかしら? そろそろメモに貼っとこうかと思ってるわ! (-122) 2021/07/10(Sat) 12:24:20 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「…………答えることが変わりません。 誰かから聞いてきますかね? 私の言葉は正しくないかもしれませんから」 手元の黒い毛玉を離すと、猫は廊下をかけてふっと消えてしまう。 「他に話したいことは、してほしいことはありませんか? 私先程確認しましたが、あなたの死は取引に入れてません。 あなたがそういうのでしたら、同じです。 それこそあなたも死ぬ必要なんてないんですよ。 律儀に食べないなんて、損な生き方をしていますね」 (-123) 2021/07/10(Sat) 12:25:16 |
【秘】 被虐 メイジ → 諦念 セナハラメイジは、腕の力が出せなくなるまで あなたの鼓動が止まったことに気がつかなかった。 首にかけられた手は、やがて力なく滑り落ちる。 倒れそうになった体をそのまま抱きしめるように支えた。 あなたの胸に耳を当ててみても、鼓動は聞こえない。 「死んじゃった」 ぽつり。胸に頭を預けたまま呟く。まだ、温かかった。 おもむろにあなたの腕を持ち上げて 人形遊びでもするみたいに自分の頭に手を乗せた。 「よく頑張りました」 薄く笑う。手を離すと、あなたの手は ずるりと虚しく床に落ちていった。 (-124) 2021/07/10(Sat) 12:36:40 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラとっとっ、聞き慣れない足音がしてあなたは床を見下ろした。 そこには小さな黒猫がおり、あなたの前を横切った。 この病院には猫がたまに餌にあり付きに来ていました。 看護婦や患者に可愛がられ、ちょっとしたアイドル。 クレイシがよく面倒を見ていたが、 台風の前からめっきり姿を現さなくなっていた。 もちろん今日この日まで病院内では見かけられていない。 猫がこんな台風の中? と思っていると。 後ろから声がする、あなたは、思わず振り返る。 「御機嫌よう。 ……私のことはわかりますか?」 あなたの前で亡骸を晒した男がそこに立っていた。 (-126) 2021/07/10(Sat) 12:49:07 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「……ええ、わかりますとも。 霊魂の存在を改めて思い知りましたよ」 じっと貴方の首元を見やる。 あの縫合痕は残っているだろうか。 「ねえ、貴方を殺したのってロクさんじゃないんですか? 自殺するとは思っていましたが、 まさか協力者がいるとは考えてませんでしたよ」 (-128) 2021/07/10(Sat) 13:03:44 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「ロクさんにやらせる理由がないですね? やってくれたのは、タマオさんですよ。 あの方、何でも触れるんです。 ニエカワさんを埋めるときの穴掘りも手伝ってもらって。 でも流石に血が多すぎて驚かせましたね。 痛みを伴わず楽に死にたかったので、 あんなふうになりました。縫われたのはよくわかりません」 縫われたのは本当によくわかりません。なんですかね。 見た目は生前の通り首もつながっている。 左耳のピアスがどことなく浮いている。 「遺体を片付けて下さりありがとうございます。 なにか、そうですね、あのときは急いでいましたから。 話せなかったことが多かったです。 まだ、いられる気がするので、取引ではないですが。 お礼に、私の話で良ければ聞きませんか。 あなたの死んでしまったときの話も、聞きたいのです」 順番、ということで。とゆるく笑って問いかけた。 (-129) 2021/07/10(Sat) 13:26:51 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク笑いかけられると、つい笑い返してしまう。 幼い頃、身に付いた癖だった。 「……まあ、時間はありそうですからね。 僕も、貴方には聞きたい事がありますから」 窓の外に目を向けた。 恐らく自分には、気が遠くなる程の時間がある。 逃げたくても、逃げられやしない。逃げる資格も無い。 貴方の話の中で、タマオやロクの事も少し知れるだろう。 そんな予想の元、耳を傾けた。 (-131) 2021/07/10(Sat) 13:39:01 |
【秘】 被虐 メイジ → 焦爛 フジノ「ありがとう」 メイジは、あなたに寄りかかって 静かに泣いていた。 涙は出なかったが、泣いていた。 「オレも、フジノがここにいてくれてよかった」 似た者同士は、あなたがさっき言ってくれたことを 確かめるように、同じように、返した。 (-132) 2021/07/10(Sat) 13:45:22 |
諦念 セナハラは、メモを貼った。 (c4) 2021/07/10(Sat) 13:46:02 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「少し、調理場で話したのですが。 ……私はどこで生まれたか、いつ生まれたかが分かりません。 それ自体は珍しくないと思っています。 今の主人に拾われ、芸を少々。 顔が、良かったようなので。上手く稼げました。 12の頃から商業を学び、違法なものも含め多くを売りました。 信頼と、倫理観は同じ場所にない。 ただより高いものはなく、できた信頼は次の 取引 に繋がる。そう、実践で学びました。 金銭を要求しながら、価値を求める。 相手の悩みや、必要なものを見定め、商品を提供する。 表情が乏しい私でもできました。 むしろ心地よかったです、『想像以上に優しかった』 『こんなにもらっていいのか』『あなたはいい人だ』、 そうやって言ってもらえるんです。 取引 さえできて次につながれば損なんてないんです、ただで渡す代わりにその商品を必要な理由を必ず求めます、 ……寄り添い同情し生き様に感心することが心から好きです。 誰かは、騙していると、言うのかもしれません。 ですが、これが私の 商人 としての。ミロクとしての生き方 になりました」▼ (-133) 2021/07/10(Sat) 14:34:22 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「ようやく、ここにきてからの話です。 私は取引を、"目的"と"言い値"で交換しています。 商品を渡す代わりに、 欲しい"理由"と、払おうと思える"金銭"をいただくんです。 それが、見合う見合わないか、嘘か本当か 犯罪に手を染めようと商人の私には関係がありません。 理由は、先程言ったとおりですね? 私は、偽善のつもりはありません。 商人として取引をしに来たのですから」 でも、と続け。 死んでも個人の情報は守り続けるべきだと、 細かい内容は伏せられる。 質問をされたら、答えるかもしれないが。 ▼ (-134) 2021/07/10(Sat) 14:40:10 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「私から取引をすることはあまりありません。 ひとまずの目標は患者さんや、技師のアユミさんでしたね とくに、 困っていそう でしたから。一番はじめに、ニエカワさんの 夢 を聞いて取引をしました。少しの金銭をやりとりをして、未来を夢見ました。 少し間に合わないとも、思いましたが。 次にロクさんです。取引したのは 願い でした。他にお礼にピアスを一ついただきました。 それは。取引とは関係ない物でして。 とても、嬉しく思いました。"私が"いただいた価値ですから。 次にタマオさんと 言葉 の取引をしました。この取引は、私の人生にとって目からうろこでした。 ですが、どうやら過剰に払いすぎたらしく。 その後いくつか私の手伝いをしてくれるようになりました。 それが先程の話に繋がります。 次にフジノさんと 未来 の取引をしました。村での暮らしや、有意義な会話をして。 彼女には大人になるまで生きていて欲しいと思いました。 次にメイジさんと 将来 の取引をしました。落ち込んでいましたが、生きていて欲しいとお伝えしながら、 無事に別れを言えました」 ▼ (-136) 2021/07/10(Sat) 14:44:28 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「その中で、 取引 が一つ。ありました。私が死ぬこと に、価値 を見てもらえたんです。商品にしたつもりはその方は無かったのでしょう。 ですが、生きていてもなにもなかった私は、 求められた瞬間、人生を差し出せると思いました。 理解していただけますか? できませんかね。 望まれたことなんて無かったんです、生死のどちらも。 私はなんのために生きていたのでしょう。 そんなところです、私が死んだ理由は。 私を死んで欲しい [必要] としてくれたのが嬉しかった。ただ。どうして死んだのか、と聞かれて答えたのですが。 正しい答えを返せていないようです。 あなたに生きて欲しいから、取引をしたからだと言ったのに。 どうしてわかってくれないんでしょうね」 男は酷く饒舌に語った。死んでいるのに。 (-137) 2021/07/10(Sat) 14:50:23 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「『取引だから』『約束したから』、 それがそンなに大事なことかねェ」 駆けてった猫を目で追って、 消えた辺りを見つめ乍らポツリポツリと言葉を吐く。 「……産みの親は顔も名前も分からねェ。 上のきょうだいはいたらしいが覚えちゃいねェ。 とこ クソみてェな孤児院で何遍も盗みはたらいて、 隠すのばっかりハンパに上手になっちまったから 養子にとられてあいつらおいてく羽目になって。 銭盗って逃げても、女子ひとり迎えにいけやしねェ。 ――そンで逃げ込んだ先でガキも守れず、 手ェ汚さずに人様死なせた。 こんなロクデナシ、生きてく必要もなかろうよ」 いつかの問いのやり直し。 あの子らが生き延びて満たされて、おれも生きてる未来の話。 夢物語だと思ったから、簡単に答えられた。 男の出した本当の答えは、『そんな未来はやってこない』。 ふっと顔ごと視線を動かし、琥珀を見つめる。 紫に黒を僅かに落とした様な、暗い色した瞳で問う。 「なァ、商人サン。『取引』すりゃァ、おれのこと。 お前サンが死なせてくれんのかなァ」 (-138) 2021/07/10(Sat) 14:53:32 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「ミロクとしての生き方に、それしか有りませんから」 "ミロク"は"商人としてもらった名前"だ。 「あなたが"目的"と"言い値の金銭"を払ってくれるのならば。 取引は出来ますよ? 私を、納得させられる目的ならば、ですが。 それがあなたに必要なことならば、 私は叶えてあげたいですね。 目的に、倫理を問いはしますが、 取引に信頼と倫理は関係ありませんから」 どうしてそう思ったのか、あなたに訪ねるでしょう。 隠し事をさせず出来る限り納得するまで問うでしょう。 その結果与えるものが凶器でも、罪でも、死でも。 取引として渡せる物ならば、私は、与えるのでしょう。 (-139) 2021/07/10(Sat) 15:23:53 |
【独】 被虐 メイジ自決するか・・・・・???? でもなんかさ、フジノちゃんはおるから まだ大丈夫そうだし 死ぬより生きたほうが美しいと思う・・・・・・・ (-141) 2021/07/10(Sat) 15:57:54 |
【独】 被虐 メイジただの快楽殺人鬼するのは簡単なんですけど せっかくなので、生きる為の殺人してほしかったとこ あるので暴れるのを押さえた 御手洗忍封印した (-143) 2021/07/10(Sat) 16:01:33 |
【見】 流転 タマオ「あ」 間の抜けた声がこぼれた。手術台の上のもの、置いたままでいいのかなこれ。 「本人は忙しいだろうしな」 先に見た彼らは、ずいぶんと話に花が咲いていたように思う。水を差す程の用でもないが……。 「とは言え、流石に把握しているか」 危惧をしているのは事情を知らない者に見つかることだが、その可能性を考慮していないわけがない。セナハラは抜かりない方の部類だ。当然、教えているはずだ。 その上でこの状態で置かれているのだから、彼をこの状態にした者には問題ないと判断されたのだろう。 (@2) 2021/07/10(Sat) 16:08:39 |
タマオは、手術室を去った。杞憂だったなー。 (t10) 2021/07/10(Sat) 16:09:11 |
【赤】 被虐 メイジこれは、誰かが遺体を見る少し前の手術室── メイジは壁際に座り込んだまま動かない男と 結構な時間、寄り添っていた。 悲しみに暮れていたのか、動く気力がなかったからか。 「やっぱ起きないや」 当然だ。己の手で殺したのだから。 やがてそれにも飽きたのか、気だるそうに立ち上がり ずるずると遺体を手術室の中央まで引きずっていた。 「………重い」 持ち上げて、仰向けに手術台に寝かせた。 だらりと投げ出された手を胸の前で合わせる。 「………………重たいよ」 消え入りそうな、忌々しげな声が 腐敗臭のただよう手術室にむなしく響いた。 (*10) 2021/07/10(Sat) 16:33:54 |
【独】 流転 タマオ鯖で「あー」って顔しに行くかって言ってから、赤窓の独り言に反応したな……あれ手術室ならセナハラの死体見てたかも……ってなって、少し妙な書き方になった経緯があったりするわ。 (-145) 2021/07/10(Sat) 16:58:56 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「生き方、生き方ねェ。 それ言うなら、おれァロクでもねェ生き方しか知らねェや」 上着のポケットに手を突っ込む。 体を揺すって、弾みをつけて口を開く。 「一緒に育った子らがいんだけども。 あいつら、死んでたんだ。おれがあそこを出てスグに、 火事でみィんな死んじまったんだと。 ……おれァそのこと知りもせず、他人と手紙で話してた。 二十歳になったら会いに行くって、 ハハ、そんな約束、する相手ももういなかったってのに」 空笑って、ポケットの中、見えぬそこで手を握って。 あと一年もなかったのになァ、と呟いた。▼ (-146) 2021/07/10(Sat) 17:15:54 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「たまにあいつらのことは見えてた。 おれのこと見て、心配そうな顔してんだ。 寂しくってマボロシ見てンだなァって思った。 ――あいつらが死んでたの知った日からかなァ、 これまで静かだった癖、口きく様になっちまって」 右の耳介を一度なぞる。 捨てようとした銭の代わりに色取り取りの石を選んだ理由。 “死人に強請られたから”なんて言える筈も無かろう。 「おれの頭がオカシイからだと思ってた。 ……今もちっとはそう思ってるけども」 商人の頬の辺りに伸ばした手が、空を切る。 触れられないのは本当の本当にそこに居ないからで、 全て妄想でしかない可能性だって大いにあるのだけど。▼ (-147) 2021/07/10(Sat) 17:17:16 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「でもお前サン、おれの頭ン中から 出てきたにしてはややこしいんだよなァ」 指の先、透けた耳飾りを見てヘラリと笑う。 まさかこんなものをつけて死んでいるとも、 つけた儘出てくるとも思わなかった。 「このとおり、おれには後も先もねェんだけども。 納得してくれるかねェ、お前サン」 (-148) 2021/07/10(Sat) 17:18:11 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「……、…………。………………」 途中から あっ人選間違えたな とは思ったが、最後まで相槌も打たず聞いていた。「……まあ、貴方の生い立ちは理解できるかもしれません。 価値なんて人によって違いますし、 何より恩義や信頼という感情は強い。 金銭で買える品ではありませんからね」 最初の印象通りだと思った。 取引という形に固執していたのは、ただの結論。 経緯を見れば、商人としての生き方しか知らない子供の様だった。 商業を学ぶ前から自分の芸を売っていたのだから、 恐らく、物心つく前から商人だったのだろう。 きっと人との関わり方を、取引以外に知らないまま死に絶えたのだ。 → (-149) 2021/07/10(Sat) 17:48:21 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク貴方が本当に望む物は金銭や価値などではなく、 人との交流において得られる感情そのものではないかと。 心を動かす何かではないかと。 「貴方がどんな人生を歩んで来たかは知りません。 けれども話を聞いて、納得はしました。 もし僕が同じ立場にいたら、同じ事をしたでしょうね」 そう思い至りながらも、口にはしない。 互いに死んだ身だ。 指摘した所で、何の益にもなりやしない。 「その取引をしたの、ロクさんでしょう? 彼は正しく、真っ当な倫理を持っていますから」 これまで自身の付加価値だけを求められ、 応じてきた人間“そのもの”を要求するなど──蜘蛛の糸を垂らす事に等しい。 それをあの青年は、理解できなかったのだろう。 → (-150) 2021/07/10(Sat) 17:49:40 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「さて。貴方に合わせるなら、 僕も何か話した方が良いですかね?」 自身が死んだ時の話を求められていたが、 忘れたふりをする。 この少年のような男に話すには、 あまり気が進まない経緯だからだった。 (-151) 2021/07/10(Sat) 17:50:33 |
【秘】 焦爛 フジノ → 被虐 メイジ落ちるものがなくても、貴方が泣いているのがわかった。 躊躇いがちに腕を伸ばして、貴方の手を握る。 ここにいるからねと、伝えるように。 「……私の、方こそ。 一緒にいてくれて、ありがとう」 もっと早くに。 貴方が村を出る前にこうやって話せていたら、よかったのにな、なんて。 そうしたら、もしかしたら、なんて。 『もしも』をつい、考えてしまった。 (-152) 2021/07/10(Sat) 17:55:34 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「……触れたいのなら触れますか?」 男は青年の空を切ったあとの手を掴んだ。 体温も何も感じられない。ただの手。 確かに実在し、今だけは強く握り返された。 「気狂いと言われるぐらいの思考をしていますが、 この社会に暮らして問題のない教養はつけました。 だから、信じてくださいね。世迷言ではないと。 私は死んでいて、あなたは生きています。 今までのものが幻覚だとしても、今だけは本物です。 そして、今、 一人分の命の重さ だけで、ここにいます。わかりませんよね。 私も、こうなるまで知りませんでした。 今の私は、 誰か一人を死の世界に誘うために存在しています。 同時に、連れていけばもう、口を利く事はないのでしょう」 「私が差し出せる最後の価値です、もらっていきますか?」 (-153) 2021/07/10(Sat) 17:56:32 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク 突然掴まれた手に、ビクリと肩を震わせる。 熱を失った、冷たい手。 ジッと見つめて、確かめる様に緩く握り返す。 「……お前サンきっと、 頼んだらこの手で殺してくれんだろな」 そうしてその“最後の価値”とやらを差し出して、 跡形も無く消えてしまうのだろう。 「――もらわねェよ。ちいせェガキじゃねェんだ、 手ェ引いて連れてってもらう必要はねェや」 握られた手から力を抜いて、笑いかける。 いつものカラリとした笑い顔―― ――を作ろうとして、眉の下がってしまった様な顔。 下手くそに笑った顔の儘、質問を一つ投げかける。 「……ひとつ、言ってもらいてェことがあったんだが。 “誘う”ってのに、そいつは数えられちまうのかなァ」 殺してくれと死なせてくれは、似ている様でまるで違う。 ――欲しいのは、望むのは。 少年一人分で欠けて、広がった。理由を埋めてくれる事。 (-156) 2021/07/10(Sat) 19:19:58 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「……、……。 その取引をした方は。 死にたがっているように見えていました。 一人の意志だけで生きるというのは難しいことなんですね」 男は、そう思ったようだった。生きて欲しかったと呟く。 後に学べば一人よりも二人、支え合って生きていくのが人生を豊かにすることもあるという論につながる。 今では到底出てこない意見だったりした。 「はい、なんでも。あなたのことが知りたいです。 聞かせてください。あ、聞けなかったこともあります。 夢や目指してること、困ったことはあったのかなど。 あなたは大人で、何でも自分で解決しようと見えましたから、聞けなかったんです」 男は、ミロクとしてしか生きていられませんでした。 だからこうして相槌をうってもらえるだけで満足なのでしょう。 なんせ、話をするのも聞くのも大好きなだけですから。 いろんな話を省略してくださっても、構いません。 (-157) 2021/07/10(Sat) 19:21:23 |
【人】 遊惰 ロク>>17 >>18 >>19 【調理室】 少年の言葉に、僅かに笑みを濁らせる。 この状況だ。言っている意味は直ぐに分かった。 「そうかい。せっかく焼いてくれたんだ、 “会いに”いくのはこれ食ってからにしようかねェ」 イタダキマス、と皿の上に手を合わせてから。 薄い肉を一切れ、口に放り込んで咀嚼する。 ――嚥下しづらいのは、込み上げる嘔吐感は。 久しぶりの食事に体が驚いたからかもしれないし、 肉の正体を思って心が拒絶していたからかもしれない。 ……どちらでも良いと思った。 この場で男が口にしたのはきっと、その一切れだけだ。 空腹を満たすための食事では無いから。 (20) 2021/07/10(Sat) 19:38:48 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「……意地悪をしました。 ロクさんがそう言ってくれると思ったので。 死んでほしくなくて。……伝わればいいと思いました」 今までよりも言葉に感情がこもってしまう。 取引に納得ができなくても、男は応じてきた。 だけどもしかしたら、やめてくれるかと思って魂を売った。 結果は……願ったとおりだった。 あなたが悲しそうな顔をしていなければ。 「数えませんよ。 ……私、その力がなくともあなたを殺せますから」 拗ねたように告げる言葉はあまりに物騒で。 きっと本当のことなのだろうと予測できた。 先程よりよっぽどわかりやすくあなたからそっぽを向いて、 聞きたくない言葉が訪れるのを恐れている。 もう隠す必要はない、ほしい言葉はもらってしまった。 一度でも、この問いに断られた事実が何よりも嬉しかった。 だから、彼が望むままに取引ができて、叶えられるのなら。 それはきっと自分にとって尊い想い出になると思った。 (-158) 2021/07/10(Sat) 19:48:51 |
【秘】 被虐 メイジ → 焦爛 フジノ運命は残酷だ。 今でなければ、良いと思うことはこれで何度目だったか。 でも、今でなければ、この手から感じる安心を得ることもなかったのだろうか。頭の片隅でぼんやりと思う。皮肉なものだった。 「フジノ、もしここから生きて帰ったらどうするの。 どうなるかも、わかんないけど……」 お腹の子を産んであげたいと言っていた。 取引をした商人からあなたのことは聞いている。 "生きる理由がある"と、だから手を出すなと ……もうその意味も、理解した。 彼は自分に生きて欲しいと言った。 二人なら間に合う、と。甘言を零していた。 「オレは、今トーキョーのほうにいるんだ。 もし助けになれることがあったら、言って」 殺人を犯した自分の未来はどうなるのかと思考が巡った。 まだ、わからない。なにもわからないけれど 助けになりたい、その意思だけは伝えておきたかった。 ぽつぽつと語りながら、そっと手を握り返した。 (-159) 2021/07/10(Sat) 20:02:50 |
被虐 メイジは、メモを貼った。 (a4) 2021/07/10(Sat) 21:40:37 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「……、ハ、」 端の吊りあがった口から、 笑いとも溜め息ともつかぬ吐息が洩れる。 クロスグリの瞳がグシャリと歪む。 「……、自分の分まで生きてくれってさァ、言われんだ。 恨んじゃいねェって、そればっかし、」 胸が塞がって、喉が詰まる心地がする。 らしくも無く訥々と、途切れがちに言葉を紡ぐ。 「――おれはもう、終いにしてェのに。 これ以上、生きてたって。しかたねェってのに」 死人の言葉は呪いだ。それを捻じ伏せるに足る理由も、 生きている人間が一人減る毎、薄まって―― いつの間にやら、消えてしまった。 最早これは、誰かの為の死では無くなってしまった。 ……男が死なずとも、残った子どもは生きていける。▼ (-161) 2021/07/10(Sat) 22:27:38 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク 昔々に死んだ子どもらも、ここで死んだ少年も。 優しい事ばかりを口にして、 誰一人として言ってくれはしなかった。 「 『死んじまえ』 って、言ってくれ。……頼むから、 おれのせいで死んだクセ、 “死んでほしくない”なんて、 そんな、……ッ、訳のわからねェこと、言わねェで」 たった一言で良いんだ、 楽になれる そうすりゃ全部を振り払って、漸く死ねる。 「……もう、痛いのも、苦しいのも、……いやだ……」 俯いて、左手で目元を覆う様にして。 草臥れ切った大人の様な、怯え切った子どもの様な。 消え入りそうな声で幽かに呟いた。 (-162) 2021/07/10(Sat) 22:28:33 |
【秘】 焦爛 フジノ → 被虐 メイジ「村を、出るよ。 ……父が見つかる前に、行かないと」 そして都会に出て、動ける内にお金を稼ぐのだと続ける。 働く場所の紹介は商人と取引をして得たものだ。 だから、貴方はその場所の事も知っているかもしれない。 「……ありがと。 外に知っている人、いないから。 少しね、不安だったの。 メイジがいるなら、きっと、安心だね」 お互いの“悪いこと”がバレたらどうなるか。 考えなかったわけでは、ない。 でも、どうにかバレずにいられたらいいと、思うのだ。 そうしなければきっと、二人とも生きていけなかったのだから。 手から伝わる温もりは、湧いた不安を和らげてくれた。 (-163) 2021/07/10(Sat) 22:29:29 |
【独】 諦念 セナハラフジノちゃんと全然話せなかったのが悔しいぜ…… 絶対家庭環境最悪だもん 父親ってやつはこれだからよ バラして食べちゃおうね (-164) 2021/07/10(Sat) 22:32:32 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク独りの人間が生きていく難しさは知っている。 つい先程、諦めた立場だった。 「何でも、って。夕飯じゃないんですから」 何か面白い話は無いのかと、 子供に強請られているような心地がした。 苦笑を零し、心中でそっと後悔する。 こんな状況でなければ、彼のことも貴方のことも、 助言くらいはできただろうから。 こうなる前に。 「夢や目標なんて大層なものはありません。 困ったことと言えば、夢見の悪さくらいですかね。 ……僕は大人で、貴方達の善性を守りたかった。 ですから、ええ。聞かれても答えませんでしたよ」 物言いは過去のものだ。 死んで失うものなど無いのだから、今は違う。 (-165) 2021/07/10(Sat) 22:40:16 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「僕の人生はあまり聞いて心地の良いものではありません。 そうですね、……医者を志した理由に関わることだけ。 以前は誤魔化してしまいましたから」 湯を沸かした調理室で問われた事だ。 貴方達が自分よりも年嵩であれば、あの場で話しただろう。 「僕が外地で生まれ育った事は話しましたね。 彩帆という場所です。 海のずっと先にある、淡い緑の海が美しい島でした」 努めて思い出す事ではない。 あの島での思い出は、全てが苦痛に満ちているから。 それは決して誰のせいでもない。時代のせいだ。 地平線に辿り着くよりも早く沈む疎開船を見て。 溺れているであろう母と姉と妹を見て。 父は“ここにいろ”と言った。 「……美しい島でしたが。戦争が始まれば、 そこは内地よりも過激な戦いが繰り広げられました。 内地からの物資も届かなくなってしまってね。 ほら、海も空もアメリカーに取られちゃいましたから」 僅かに訛りが現れた。 自覚しつつも、続けていく。 (-166) 2021/07/10(Sat) 22:42:53 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「銃も、手榴弾も、服も、水も、食べ物も、全て。 底をついたんですよ。 畑は燃えてしまったし、空爆で建物は全て、 跡形も無くなっていました。 しかしそれでも腹は減る 。食べ物と言えば、共に逃げる生き物くらいで。 ……父から食べ方を教わりました」 その生き物は二本足で歩き、言葉を扱うことができた。 共に励ましあい、笑い合うことができた。 そんな、生き物だった。 「……、問題は戦争が終わって、平和になってからです。 毎晩夢に出るんですよ、よくも食ってくれたな≠チて。 血肉の色が、味や臭いが、忘れられない。 だからね、それを日常にすることにしました。 鉄錆の臭いも、冷えた人肌も日常にしようと。 上書きしたかったんです、あの日々を」 (-167) 2021/07/10(Sat) 22:43:32 |
【秘】 被虐 メイジ → 焦爛 フジノ全部この洪水で流されてくれたらいいのに そう思う反面、メイジの心の隙間に"罪悪感"が巣食っている。 「そっか……うん。大丈夫、都会結構楽しいよ。 こんな小さな村より、なんでもあるんだ。 フジノにもそういうのたくさん、知ってもらいたいな」 あなたが紹介された場所はメイジも知っている。 「だからきっと、会いに行くよ、いつかね」 ──今は亡き友達と交わしたような 二度目のウソにならないように願った。 このあとも、しばらく話をしたかもしれない あなたのこと、自分のこと、少し先のこと まだ曇ったままの空へ期待と不安を抱きながら。 ひとときの手の温もりを感じながら。 そうして時は過ぎていった。 (-168) 2021/07/10(Sat) 23:48:01 |
【赤】 被虐 メイジメイジは、用事がある時以外は、ずっと手術室にいる。 手術台の上でずっと、突っ伏して 返事も帰ってこない抜け殻に話し続けていた。 少年は死後の世界があるなんて知るはずもない。 ……だからこそ、友達にも嘘を吐き続けた。 なにも知らないままでいてほしかった。 「セナさん、雨と風弱まってきたんだ ……もうすぐ帰れるかな。助けなんてくるのかな」 (*11) 2021/07/11(Sun) 0:26:31 |
【墓】 諦念 セナハラこれはどこかの時間。 死んだ男は、手術室で自分の死体と少年を見つめていた。 聞こえないと知りながら、返事をし続ける。 「きみは何も悪くないんですよ」 以前のように頭を撫でようとして、 己がさせたことを思い出せば、手を下ろした。 「いつか、助けがきますから」 どうせわからないのだから、撫でてもいいとわかっている。 しかし、そんな資格は無い。 「……」 いや、自らそれを捨てたのだ。 ──貴方は良い子だから。 ──自分の我儘に付き合ってくれると、信じていた。 「ありがとう、」 「ごめんなさい」 あのとき伝えたかった二つの言葉を、小さく呟いた。 (+21) 2021/07/11(Sun) 1:10:45 |
【秘】 焦爛 フジノ → 被虐 メイジ「なんでも?……そっか。 楽しみに、なってきた、な」 なにかを楽しもうと思う心が欠落していた。 何を知れるだろう?何を、楽しいと思うだろう。 「……うん。いつか、ね。 また、会えたら。嬉しい」 腹を撫で、『いつか』を夢見た。 そうなったらいいと思ったことは、嘘ではない。 それが難しい事は、よくわかっている。 願いを抱えながら、様々な話をして。 また明日と別れるまで、ゆっくりと時は過ぎていっただろう。 (-173) 2021/07/11(Sun) 2:47:40 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「"愛されて"いたんですね」 愛が呪いになる、皮肉で悲しい物語。 「『待っているだけの人達にも何かが起こるかもしれないが、それは努力した人達の残り物だけである。』 あなたがいたから彼らは生きていました」 泣き叫びそうな少年を掬うことは。 新たな呪いをかけることに繋がるだろう。 「『他人のための行いにこそ価値があり、それが人生の重要な秘訣のひとつだ。』 あなたには価値があります。 誰よりも、してきたことはあなたが知っています」 濁った感情と混ざり思考を埋め尽くして。 慰めは沈殿物のように空虚な胸の隙間に流し込まれていく。 ▼ (-174) 2021/07/11(Sun) 11:12:46 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「…… しています」 ぽつり。 瞬きをする音が聞こえるような静寂がおとずれた。 「貴方が生きた人生に納得するのなら死んでしまいなさい」 「『よく生きることは、よく死ぬことでもある。』 貴方がよく生きてきたことを私は記録しました。 人間は、愛されているうちに死ぬのが一番だと思います」 『私はあなたを愛しています』 これが導かれた善と、正しさ。 私の倫理でした。 (-175) 2021/07/11(Sun) 11:35:51 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラセナハラの人生はミロクの人生とはかけ離れたものだった。 しかし選べもしない運命と、 生きるための行動に頭が働かないほど愚かでもなく。 だからこそ、ゆるく、首を傾げ。 納得していないかのような仕草をしたあとに、その顔を見た。 「解決は、しましたか?」 ▼ (-176) 2021/07/11(Sun) 12:17:17 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「とても、辛いことだと思います。 あなたの食べた方は心が狭く、 あなたのことをいつまでも恨み、 生きていることを喜ばないそんな方々だったと、 あなたは思っているのですから。 不仲であったのならば御愁傷様でした。 あなたがそれで得ようとした日常に、 "そんなことを言わないような"方との、 良い縁が結ばれていたのならいいのですが。 いかがでしたか?」 (-177) 2021/07/11(Sun) 12:19:21 |
【赤】 被虐 メイジ「セナさんがいなかったら ……誰がオレを助けてくれるの……?」 そうして呟く背中は、ただの小さな子供のようだった。 「……あはは……もうそんな子供みたいなこと 言ってられないよな……。 もうひとりだ、オレ。家族はみんな死んじゃったり 出ていったり、いなくなっちゃったから」 「自分でやったんだ」 実の父親も、──優しい父親がいたらと夢見た人のことも。 (*12) 2021/07/11(Sun) 13:10:40 |
【赤】 被虐 メイジ「最後、なんて言おうとしたのかな」 ふいに思い出す。考えてもわかるはずもない。 メイジには何も見えない、聞こえない。 だから、ずっと目の前の遺体だけを見つめている。 「死んだら、どこにいくのかな」 「やっぱ地獄かな? 悪いことしたもんね」 「楽になれないかもね」 「オレのこと、実はどっかで見てんのかな ……それはそれで、いやだな」 「オレも死んだらおなじとこ行けるかな 悪いことしたからさ」 思い浮かんだ言葉を脈絡もなくぽつぽつ。 (*13) 2021/07/11(Sun) 13:17:44 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「――――ッ、」 胸の底を温く満たす様な、 柔らに撫ぜる様な慰めの言葉。 『聞きたくない』とばかりに力無く首を横に振る。 ――そんな大層な人間じゃ無い。 どんな行いをしたところで、何にもならなかった。 実を結んだのは、ロクでもない事ばかりで。 『 』 ゆるりと顔を上げる。 揺れる十字架の、金具の擦れる音が響く。 そう錯覚する程の静寂。 幾らか上方の琥珀色を見つめる。 齎されたそれは求めたものと近い癖、少し違っていて。 ――この兄サン、意地悪だなァ。 人生に納得するのなら、だなんて。 虐げられて、騙されて、喪って。 拾い上げる先から取り溢し続ける様な人生だった。 こんなもの、納得なんて出来ようものか。 ……けれども。 ▼ (-178) 2021/07/11(Sun) 14:52:43 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロクけれども、恐らくこれ以上は、無い。 今このとき以上の幸いは、やってこない。 それで、終いにするには十分だろうと思った。 目を細めて、酷く満足げに、 これ迄で一等嬉しげに―― 「ありがと、兄サン」 満たされ切った顔して笑う。 それが、青年の出した答えだった。 ――これはきっと“納得”とは違う。 今ここで、生を手放すことを許された。 そんな身勝手で手酷い、 の受け取り方。 ……漸く、空いた穴が満ちた。 (-179) 2021/07/11(Sun) 14:53:11 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「そうですか。 それなら、―――あなたが生涯を終えるそのときまで。 一緒におしゃべりする時間はいただいてもいいですか?」 今こうやって話せているのは奇跡なんだろう。 死者と生者が当たり前のように交わる世界を見ていた男にとって、 別れが惜しく感じるのが死んでからだなんて。 「私、みえる方にしかみえないと、やっと学びましたから。 どこにいても、問題ないですよね」 (-180) 2021/07/11(Sun) 15:40:44 |
【秘】 療育 クレイシ → 商人 ミロク「飼い猫じゃない……け、ど」 なんて言った? 「殺、した……?」 呆然としながら言葉を繰り返す様子から頭へまともに話の内容が入ってきていない事が分かるだろう。 脳が理解を拒んでいる。 けれど、時間を費やせば言葉の意味を少しずつ咀嚼してしまえるわけで。 「……っ、お前ッ、こんな時に何勝手なことをしているんだ、厄介者が……ッ!」 腹の底から無理矢理にでも出したかのような低い声。 どいつもこいつも厄介ごとを持ち込んできやがって。こっちは人を探さなければならないと言うのに。 貴方の真実を知らぬまま、男は身勝手な呪詛を連ね続ける。 ▼ (-181) 2021/07/11(Sun) 15:42:38 |
【秘】 療育 クレイシ → 商人 ミロク「誰だって外になんかいたくなんかない!けれど俺は……俺は、俺はァッ!!!」 未練を、忠告を、全てを振り切るように扉の向こう側へと飛び出した。 ほんの数秒で冷たい雨が全身を覆い尽くす。 風が体を掬おうとし、大きくよろめき歩くのを阻む。 暴風雨が決意を瞬く間に攫っていきそうだった。 それでも自分はやらなければならない。 子供を探さねばならない。 『たとえ水底、土の下。 果てまでキッチリ探してやって―― 、、、、、、、、、、、、 、、、、 あの子の手を引かぬうちは、帰らねェことだよ』 そうしなければならないと──蛇に囁かれてしまったから。 (-182) 2021/07/11(Sun) 15:43:27 |
【秘】 療育 クレイシ → 遊惰 ロク「──、」 絶句する。 声さえ聞こえぬこの現状。逃げてくる者が出ている程のこの環境。 手を引くよりも、自らがくたばる可能性の方が大いにある。 「……お前は、俺に、死ねって言ってるのか……?」 地を這う低い声が溢れて進む。 掴んだ藁は、釣針は、それはそれは極めて不安定。 「──もういい。聞こうと思った俺が馬鹿だった」 そう吐き捨てて、今度こそ奇術師に背を向けて去るだろう。ふらふら、ふらふら、まるで逃げ出すかのように。 激流に呑まれ揉まれて溺れて沈む。 脳裏に響く奇術師の声に苛まれ、もう真っ直ぐ歩くのも困難だ。 かき乱された心を押さえつけるように空いた片手で胸を押さえながら男は進む。 とある日のことだった。蛙が流されるまで──あともう少し。 (-183) 2021/07/11(Sun) 15:52:49 |
【独】 商人 ミロクロクさん。 あなたなら、きっと死を選ぶとわかっていました。 だから、ミロクに、取引をさせました。あなたの幸せを。 だから、倫理に問いました。ミロクの生き方に問いました。 だから、わがままを言い切れませんでした。 ミロクという善と正しさの気質を持った生き方に後悔はしていません。 ですが、一つ惜しい事があるとするならば。 私という個人の生き方は未発達だったことでしょう。 もし成長していたのなら、運命は変わったかもしれません。 本当の私は、あなたの死を許すことなんて出来なかったでしょうから。 我を通して苦しめることが出来たら呪われてくれましたか。 それは祝福になりましたか。死んでから幸せなことなんてあるんですか。 あなたは何があっても、苦しくても、 どんな未来でも手に入れることが出来るというのに。 死者の私が何を言っても、想いは通じないのでしょう。 生きて隣にいれば、何かが変わったかもしれませんね。 ごめんなさい。 あなたを幸せにすることが出来なくて。 生きていて善かったと思わせることが出来なくて。 ごめんなさい、私は、あなたを 。 必要としてくれた人として、守りたかったんだと、思います。 (-184) 2021/07/11(Sun) 16:02:13 |
ロクは、とある日の事。ヒラヒラ手を振り見送った。サヨウナラ、お兄サン。 (a5) 2021/07/11(Sun) 16:03:18 |
【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ「―――なんだ、おそろいでしたか」 この声は届きません。 「きっと良い取引が、出来たと思います」 この声はいつまでも届きません。 「私も子供たちを生かして死ぬことが、ミロクとして生きることです」 黒い猫の亡骸をやさしくひと撫でして目を伏せる。 まるであなたの心を見透かしたような言葉。 理由は違えど決意は似たような形で明かされるのだろう。 そして、瞬く間に暴風雨に言葉はかき消され、扉は閉じられた。 (-185) 2021/07/11(Sun) 16:18:50 |
タマオは、工具箱を片手に点検をして回っている。修理はもう要らないかもしれない。 (t11) 2021/07/11(Sun) 16:26:16 |
ミロクは、あの日、彼を黒猫を抱え見送った。『無事に帰ってきてくださいね』 (c5) 2021/07/11(Sun) 16:27:02 |
【人】 遊惰 ロク>>30 >>31 【手術室】 「まァ、そうそう信じられるモンでもないわなァ。 おれも正直、自分のアタマは信用ならねェ」 だから気の違えた男の戯言と思ってくれても構わない、 そんな風に前置いて。 「“友達”だってよ。責めないでやってくれ、だと」 少年に向かって語る合間、少女の方をチラリと見る。 知らせぬ儘、聞かせぬ儘でいた方がいいのかもしれない。 けれどもきっと、遅かれ早かれだ。 その時に、只の罪として背負うくらいならば―― 「……病気で先が長くねェこた分かってて、 どうせ死ぬならお前サンらが助かる方がいいってさ。 食ってやらねェ方が恨まれちまう勢いだったなァ」▼ (32) 2021/07/11(Sun) 16:29:13 |
焦爛 フジノは、メモを貼った。 (a6) 2021/07/11(Sun) 16:30:59 |
焦爛 フジノは、メモを貼った。 (a7) 2021/07/11(Sun) 16:31:17 |
フジノは、きっと。肉の正体がわかっていても、口にしていただろう。 (a8) 2021/07/11(Sun) 16:32:25 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「……、問題は、まァ、ねェけども」 目を逸らし、歯切れ悪く答える。 好意とやらは肌慣れず、どうにもこうにも据わりが悪い。 「……そンなら暇つぶしの相手、してくれ。 もうちっと――助けがくるまでは生きねェとだろうし。 ……あの子らほっぽり出して死んじまうのは、さすがになァ 」ぼやく様に呟いてから、ヘラリと笑いかける。 肩の荷を下ろした、年相応の緩んだ笑顔。 「――そンじゃ、なにから話すかねェ」 暫くは傍に居るらしい彼と、終わりの時まで。 好きなこと、嫌いなもの、他にも沢山。 互いのこれまでと、限りのあるこれからの事なんかも。 暇さえあれば、どこででも話しているのだろう。 (-186) 2021/07/11(Sun) 17:41:10 |
遊惰 ロクは、メモを貼った。 (a9) 2021/07/11(Sun) 18:01:59 |
遊惰 ロク(匿名)は、メモを貼った。 2021/07/11(Sun) 18:02:21 |
【見】 療育 クレイシ病院内にいた人間が知る由もない話。 静かに起きて、静かに終わった一人のお話。 嵐の中突き進む。 それは歩むというより、踊らされているようだった。 前をまともに向くこともできず、よろめいては足を止めて。 飛んでくる枝が突き刺さる光景を何度も想像しては何度も唇から呻き声が溢れて落ちる。それもまたビュウビュウと甲高く鳴く風によって跡形もなく攫われてしまうけれど。 「……ッ、チサ!チサ、いないのか!?」 叫べど叫べど返ってくるのは雨と風の声のみ。 自分よりも遥かに体格の小さな子供など分かりやしない。 ▼ (@3) 2021/07/11(Sun) 18:02:53 |
【見】 療育 クレイシどれほど歩いただろう。 かなりの距離を歩いたかもしれないし、まだ病院の目と鼻の先なのかもしれない。 お手製のパペットなどとうに捨てている。どこに転がっていったか分からない。 もう濡れていない箇所などなく、服が水を吸い上げて全身を縛る枷と化している。 『たとえ水底、土の下。 果てまでキッチリ探してやって―― 、、、、、、、、、、、、 、、、、 あの子の手を引かぬうちは、帰らねェことだよ』 「あなたも、あまり長く外にいない方が良いですよ」 煩い。 煩い煩い煩い! 余所者が好き勝手言いやがって! 台風で荒らされた周囲と同じか、或いはそれ以上か。 ぐちゃぐちゃになった心の中で蛇と猫の言葉が響き続ける。 帰れるものなら帰りたい。 逃げられるものなら逃げ出したい。 投げ出せたのなら、どんなによかったか。 お前らのせいだ。そうだ、お前らのせいなんだ! お前達が焚き付けたからり俺はこんな目にあっているんだ! だから、だから俺は悪くない! ▼ (@4) 2021/07/11(Sun) 18:03:49 |
【見】 療育 クレイシチサという小さな子供の看護は自分が担当していた。好奇心旺盛で、小さいながらに人を気遣える節のある子供だった。 嵐が本格的に酷くなり始めた頃、あの子は窓を見ながら泣いていた。 「自分の家は小さくて、こんな雨では流されてしまうかも」と。 「お母さんもびょういんに来てほしい」と。 「そうじゃないとお母さんが雨に流されてしまうかも」と。 何度も宥めた。何度も詭弁で押さえつけた。 それなのに、あの子供は。 唐突にいなくなってしまった。 ▼ (@5) 2021/07/11(Sun) 18:04:22 |
【見】 療育 クレイシ患者がいなくなってしまったら、真っ先に誰が問い詰められる? きっと自分だ。担当していた自分の責任になる。 これでもし何処かで子供の死体が発見されてみろ、自分の評判は一瞬にして地の底だ。 小さな村では人の噂など瞬く間に広がってしまう。 そうして落ちた自分に待っているのは冷めた目、声、態度だろう。村八分という名の処刑が待っているかもしれない。 どうして俺がこんな目に遭わなければならない? どうして俺かこんなに苦しまなければならない? 男は身勝手で傲慢な呪詛を吐きながら雨の中を進み続ける。 幼児への慈しみや心配など、とっくに風雨に奪いあげられてしまっていた。 ──いっそ、あの子供が死んでいたら楽だったのに! ▼ (@6) 2021/07/11(Sun) 18:04:48 |
【見】 療育 クレイシ「……ッチサ!どこだ!返事をしろ、チサ!」 川の近くまで来てしまった。土砂崩れが起きていたところも見てしまった。 ここまで来ても見つからないのなら、もう子供は手遅れじゃないか? 弱い心が言い訳をし始める。 大人だから子供は絶対に守らなければならないのか?じゃあ大人は誰が守ってくれるんだ? 大人が子供を守る為に死んでしまったら、いったい誰が責任を取ってくれるんだ? 死んだところで貰えるものなんて仏壇の前で吐き捨てられる「頑張ったね」なんて生温い言葉くらいだろう。 俺はそんなもの欲しくない、俺は自分の身を守りたいだけなのに! 「……ぁ、う?」 瞼もまともに開けられない嵐の中で、ようやく草木や土以外のものを目の当たりにする。 ──黒い塊。赤い何か。 「……ぁ、ね、猫?チサの靴?」 男はひゅっと息を呑み後退りしようとし──足を滑らせた。 ▼ (@7) 2021/07/11(Sun) 18:05:33 |
【見】 療育 クレイシ男が見たもの、それは正確には黒い上着と赤い靴だった。 後に、三途病院連続殺人事件と呼ばれる凄惨な出来事について調べに来た人間の手によってチサと呼ばれる少女のものだと分かる日が来るかもしれない。 死んだ猫と死んでほしいと願ってしまった少女。 もはや冷静な判断がつかなくなっていた。小さな命達が自分を迎えにやってきたと狼狽し、逃げようとして転落する。 「──ぁ」 頭から真っ逆さま。 天と地が揺れる感覚も一瞬のこと。叩きつけられるような衝撃と共に目も開けられない激流に飲み込まれる。 「……ッ、ぁ、ぅぶっ……た、たすっ、助け……ッ!」 必死に手を伸ばす。必死に足をばたつかせる。 けれど誰一人として助けてくれる者はいない。水をたらふく飲まされた服が水の底へと引っ張ってくる。ぐちゃぐちゃに心を掻き乱してくる言葉や幻が死の淵へと引き摺り込んでくる。 「……ッ!…………、…………………………」 走馬灯を見ることさえも許されない。 肺の中に水が満ちて、重しとなってその身は底へ。 嵐に、言葉に、虚弱な心に。 踊らされ続けた男の末路は実に呆気ないものだった。 男の遺体が発見されるのは、きっとずっとずっと後の事になるだろう。 (@8) 2021/07/11(Sun) 18:06:46 |
【人】 被虐 メイジ>>32 【手術室】 「……、……そう」 ぽつり。消え入りそうな声が零れた。 ロクの話を戯言と思うこともできた。 だけれど、どうしてもそう口にする 友達が容易に想像できてしまうのも事実だった。 「……バカじゃないの」 だから、八つ当たりのような言葉を吐く。 言い表せない感情を拳に込めて握る。 「どこまでイイコぶってるんだ、あいつ」 「じゃあなんだよ……素直に"オレのために食料になれ" って言えばよかってことかよ……」 皮肉なものだ。 自分は最後まで"すごくて、いい友達だった"という 夢を見させたまま、彼を殺そうと決めたのに。 メイジは自分勝手な人間だった。 (34) 2021/07/11(Sun) 18:48:20 |
【神】 遊惰 ロク「――……だよなァ」 「アハ、そいつは……」 「……お前サン、……――」 いつかの時間。 視線を上向けて、 商人 と話をしている。死人の姿が見えない者からすれば、 虚空へ向かって一人で相槌を打ったり、 語り掛けたりしている様にしか見えない。 (G0) 2021/07/11(Sun) 18:52:03 |
ミロクは、ロクと話をしている。結構、かなり、ながく、ずっと。 (c6) 2021/07/11(Sun) 19:12:43 |
【赤】 被虐 メイジ「頭から焼きついて離れないんだ」 バラバラになっていく手足や、開かれる胸、鮮血 赤黒い内臓、砕かれる骨──頭だけになった、人間の姿が。 人を刺して、肉を切る、感触が── この手で、脈打っていた鼓動を止める瞬間が。 忘れろ、と言われたことは覚えている。 忘れられる日なんて、来るだろうかと今は思う。 胸が痛い、頭が痛い、とうの昔に治ったはずの傷が疼く メイジは、よく怪我をする少年だった。 (*14) 2021/07/11(Sun) 19:23:13 |
【秘】 流転 タマオ → 技師 アユミ クレイシを見なくなって暫く、生者が三人になるよりも前。ふと、彼のことを思い浮かべた。彼はきっとチサチャンを探しに行ったのだろうと己は思う。彼は、こんな時でもいなくなった(と思っている)子どもの行方を捜すことを優先するような、思いやりのある人間だ。 彼がチサチャンを見つけて、避難も出来ていれば良いと思う。この天候では大よそ起こり得ないが。そんなことがあるのなら、ここに避難した人間が全員助かるだなんて奇跡も起こって良かったのではなかろうか。 きっとまた人が減る。痛ましいとは思うが、それ程ではない。些末であるとさえ言える。 「人は死ぬものだ。生きているのだから」 (-192) 2021/07/11(Sun) 19:32:37 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「当人達がどう思ってるか、なんて決まってるでしょ。 飢えてりゃ皆心が狭くなります。 親だって子供が煩わしくなる。 自分さえ助かりゃ良くなるんですよ。 それに。 遺族にとっては、終わった話じゃあない」 眉を顰めた後。 決め付けるような物言いと、 吐き捨てるような抑揚で言うのだった。 その時その場所における真実が、今もそうであるかのように話す。 男の刻は止まったまま、死に絶えたのだ。 「解決は、……しないまま終わりましたね。 縁もあったらこんな事にはなってないですよ」 人を信じない男は、 自身を求める少年の言葉も未だ嘘だと思っている。 それは戦争の後遺症であるが、気付けぬまま。 (-193) 2021/07/11(Sun) 19:49:38 |
【秘】 流転叶はず タマオ → 技師 アユミ いつか『×× 博』の生をきちんと思い出しても、『玉青 博』の在り方 -生き方- は然程変わらない。彼は生まれる前から輪廻の輪から外れてしまっていた。彼は元々、純粋な人間ではない。それを知る者はもうこの世のどこにもいなかった。彼自身も、永劫思い出さない。それでも青い目玉のちょっぴり強い幽霊は、無意識に感じている。知っている。死んだら -消えたら- 己には、次の生がないことを。 (-194) 2021/07/11(Sun) 19:51:57 |
タマオは、己は死んでいるが、生きていると言えると考えている。 (t12) 2021/07/11(Sun) 19:53:03 |
タマオは、死にたくない。 (t13) 2021/07/11(Sun) 19:55:45 |
【独】 被虐 メイジやっぱ大人みんな死んじまうんかい…… 死んじまうんかい……投票どうしようこれ…… 自殺票でいいですか? 自決したいんじゃなくて 誰も殺さないっていう意思表示です。 (-195) 2021/07/11(Sun) 20:00:35 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「そうですか、それは。 とても、残念です」 取引を持ちかけたら、何を求めたのだろう。 すぐには思いつかなかった。 「私、もう少しだけここにいられるようです。 誰かを死の世界に誘える能力があるみたいで。 この力と人の魂の重さを考えながら過ごしていくと思います。 だから、少しでも、です。 あなたの人生を許した人間がここにいることを、 覚えていてもらえたらと思います。 お話、楽しかったです、また聞きたいです。 たとえ……もし、成仏をして会えなくなったとしても。 あなたが生まれたことを空に祝うことぐらいはできます。 どんな季節に、あなたは生まれましたか?」 男はこの病院で誕生日を祝うことを覚えました。 それは、とても尊く、心が暖かくなることだと思いました。 死んでもなお、想われることは嬉しいのだと、そう感じたのです。 それを、あなたにも感じてほしいと思いました。 (-196) 2021/07/11(Sun) 20:32:45 |
ニエカワは、幸せだ。 (c7) 2021/07/11(Sun) 20:45:07 |
療育 クレイシは、メモを貼った。 (t14) 2021/07/11(Sun) 20:46:32 |
セナハラは、幸せが何よりも恐ろしい。 (c8) 2021/07/11(Sun) 20:52:02 |
【赤】 被虐 メイジ「……嫌いだよ。みんな、みんな」 「生きてって言い残して勝手に死んでくのも オレの心に付け込んで殺させるのも オレを許してくれるやつも」 「どうにもできないオレ自身も」 誰のせいではない。誰のせいにもできない。 だってそうしなければ生きられなかったのだから。 でも行き場のないこの感情は、何にむければいいのか。 「……でも……ありがとう」 (*15) 2021/07/11(Sun) 20:59:34 |