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【墓】 規律 ユス>>4:+27 薬局 沢山の色が混ざった笑みを見る。 やはり自分と違うと思った。他人に寄り添える、名残さえも大切にしてくれる人。 「……。寂しいという気持ちは分かりませんが」 馬鹿正直に答えながら無色透明な硝子にも似た眼差しを向ける。痕跡に触れても、自分の心に降ってくるのはただの事実だけだった。 「全部綺麗にしてしまったらわからなくなるという点は同意します。 何もかも元通りになってしまえば、生きている者は今まで通り何事もなくその場を生きた証で上塗りし続ける。事情を知らない人間からすれば存在していないもほぼ同然。その人の人らしさなどどこにも無い。 存在していないものに何かを思うことなど、出来ませんから」 滔々と語ったのち「喋りすぎましたね」とモップの柄を握り直し、掃除を始めるべく踵を返した。 (+3) 2022/03/05(Sat) 14:01:19 |
【墓】 規律 ユス 合議の時間は裁判場の傍聴席にいた。自分にはもう投票権が無いから、静かに成り行きを見守っている。 「……そうか」 始まる前に結果を見た。一緒に生きて帰ると話した者が選ばれていた。にも拘らず、眉一つ動かさず事実を受け止める。自分で投票先を選んだ時のような動揺すら無い。 (後で印見せてもらうか) 呑気にそんな事を考えながら、話し合いに意識を向けた。 (+4) 2022/03/05(Sat) 14:11:06 |
【秘】 規律 ユス → 剣道 ツルギ『今行く』 それだけを送って貴方の元へ向かう。無理ではないので当然行くし、無理だったとしても是が非でも行くつもりだった。貴方以外に優先するものなんてないから。 「……ツルギ。俺だ。いるか?」 暫くして貴方の部屋の扉を叩くノックと共に、淡々とした様子の声が扉の向こうから飛んでくる。 (-35) 2022/03/05(Sat) 14:14:48 |
【秘】 規律 ユス → 剣道 ツルギ 動けない? 眉を僅かに顰めながら扉を開ける。 血痕の付いたシーツ。乱れた衣服。平穏さとはかけ離れた要素ばかりが転がっているのに、貴方は笑っている。 ……その笑みはあまり、心が動かない。 「……その様子だと、誰かに襲われたというわけではないんだな?」 そもそも誰かに襲われたのなら貴方のことだから返り討ちにしていそうだと場違いな感想をこぼしつつ。 「どうしてこんな状況になったのかは後で聞こう。止血が先だ」 周りを見れば貴方が出した道具が散らばっているだろうか。どちらにせよガーゼが見当たらないから、ガーゼをはじめ必要そうなものを出していく。 (-39) 2022/03/05(Sat) 15:01:38 |
【秘】 規律 ユス → 剣道 ツルギ「そうか」 女の持ち物。鮮やかなルージュ。それで書かれたような印。それはまるで、未だこの青年に母と妹が纏わり付いているようで。どこまで行っても、こんな紛い物の空間にいても、呪いはいつまでも続いていると知らしめられているような気がして。 「……」 腹の底に、何かどろりとしたものが渦巻く。 死んだ者が、俺たち生者にいつまでも纏わりつくなんて。 ……ああ、これは。W嫌だW。 「ツルギ」 淡々とした声が吐き出される。普段通りに近い。けれど、ほんの少し低い声。 「すぐに止血して手当を行う。手当するのに触れてほしくないならそれにも従う」 「だから、もし、許されるなら。嫌なら断ってくれて構わないから。 その前に一度だけ」 「傷の周りを噛みたい」 (-46) 2022/03/05(Sat) 16:03:57 |
【墓】 規律 ユス>>+5 薬局 困ったように笑う人の声を聞いた。 やはり自分と違うと思った。他人に寄り添える、名残さえも大切にしてくれる人。 ……だから、難儀な人だとも思った。痕跡に安心感を得ながら、同時に胸を痛めるなど。なんだかやめるにやめられない、中毒者のようだとも僅かながらに思ってしまった。 「……」 痕跡を消し始める前に、地面に落とした視線をもう一度だけ上げた。 「……そうですね。死人に口なし。死者に出来ることは痕跡を残すことだけ。 事実を歪めるのも、代弁だとさも当然のように死者になったつもりで何かを語るのも」 柄を握る拳に力が込められる。何故だか心臓が妙に痛い気がした。 「全て生者のエゴだ」 吐き捨てた言葉を血痕と共にモップで乱雑に拭った。それきり、青年は黙々と作業に徹するのだった。 成る程、覚えておきます。手はしっかり洗うことにします。 でも、カミクズさん。 その参考にする歌、誰が言い出したのでしょうね。皮肉だなと思いました。 死んだ人間の、僅かに残された痕跡を綺麗に片付け後なのに。 Wお誕生日おめでとうWと言うなんて。 (+6) 2022/03/05(Sat) 16:29:24 |
ユスは、妹と弟の分はよく歌ったなと思いながらバースデーソングを口ずさんだ。 (c7) 2022/03/05(Sat) 17:06:05 |
【墓】 規律 ユス「アクタ。話し合う者たちの集中力が乱れたらどうする。 もう少し静かに」 一瞥し、それだけ冷静に言った。 態度が最悪なのは特に気にしなかった。傍聴席来る人間、限られてるし……スペースは自由に使うといい。 (+8) 2022/03/05(Sat) 18:22:17 |
ユスは、静かに行く末を見守っている。 (c10) 2022/03/05(Sat) 18:25:51 |
【秘】 規律 ユス → 剣道 ツルギ 自覚してしまえば止まらなかった。皮膚の破れたところからじわじわ流れ出す血のように、重く濁った何かが胸の底を濡らしていく。 「まるで呪いみたいだ。俺のような落書きじみた印であれば、何も……いや、何も思わないことなんてないな。 ただの印であっても、妙に落ち着かない」 貴方の指が摘んでも引っ掻いても取れなかった自分の鎖骨の印を思い出す。 きっと内腿に付けられた印も同じように取れないのだろう。 「悪趣味だ。反吐が出る。お前を縛る人間は死んだ。もうお前は夫でも父でも、なんでもない筈なのに、こんな形で女の残り香がお前に付くのは」 淡々と紡ぐ言葉に滲んだ感情は、もう隠し切れない。 「俺が嫌だ」 それは砕けた硝子の破片のように。刃物のような鋭さで、忌々しげに布の下にある印を見つめた。 ▼ (-62) 2022/03/05(Sat) 18:56:06 |
【秘】 規律 ユス → 剣道 ツルギ「なんで? そう言われてもな、跡を付けたくなった。だから噛みたい。俺の跡を残したい」 「……一成は俺のものなのに」 待ては出来る。断られれば噛むのをやめるつもりだ。どれだけ濁った何かが胸に溜まっていようとも。 ただ、声も、視線も、纏う空気でさえも最早隠そうとしない。隠せない。 貴方を追いかけるような呪いへの嫌悪が、もう過去のものになったはずの二人への嫉妬が、確かに積もり積もっていく。 跪いて、内腿へ視線を注いで、肌を押さえるガーゼを触れるか触れないかの加減でそっと触れた。 「……麻痺していると思ったが、こんなにもよくない感情が止まらないとは思わなかった。せめて、楽しいだとか明るいものも出てきてくれればよかったのに」 (-63) 2022/03/05(Sat) 18:58:16 |
【墓】 規律 ユス「……」 一つため息。 「W上演中はお静かにW。 ……舞台などてんで分からない俺でも知っている注意事項だが」 「脚本家は裏方にいすぎて、それも聞いたことないのか?」 人差し指を一つ立て、自分の唇に持っていった。騒ぐ子供にするような仕草をアクタに見せる。 ここでは必死に覚えた世間一般的な反応を真似てもあまり良い反応されない。開き直って取り繕わない事にしたが、それにしても妙に性格が悪かった。麻痺が薄れてきたからか、人間味が出てきたのかも。 (+10) 2022/03/05(Sat) 19:10:56 |
【墓】 規律 ユス「……。気に食わないか?」 もう一度アクタを見る。 「なら舞台に上がるといい。聞きたいことを聞いて、言いたいことを言え。脚本家ではなく、登場人物として。 少なくとも今この裁判場は、お前の出番ではないから。お前の出るべき場所でな」 「言わないのなら、存在しないのと同じだ」 (+13) 2022/03/05(Sat) 19:45:15 |
【墓】 規律 ユス「そうか。それならちゃんと見届けてやれ」 それだけ呟いた。意地を張り続ける奴だな、と呑気に思う。きっと前を歩くにはそうする必要があるんだろうなとぼんやり思いながら。 「いじめたつもりはなかったんだがな。悪いと思わないから謝らない」 最初の顔合わせでも似たようなやりとりをしたなと思いながら、それでも最初とは違う態度と答えを返して前を向いた。 「 。」 前を向いて一人の人間が一つの決断をした瞬間を見届けた。 思うところはあったが、自分は傍聴席。喝采もブーイングもする気のない、必要ないと思っている観客の一人。 だから、口を閉じて見守り続ける。 やっぱり、理解は出来そうになかった。 (+17) 2022/03/05(Sat) 20:43:51 |
【独】 規律 ユスカミクズ好きすぎるのでめちゃくちゃなる フカワとカミクズ、どんなやりとりしたんやろな…… フカワはどうしてその選択したんやろな……ログ見るの楽しみ (-94) 2022/03/06(Sun) 4:10:04 |
【秘】 ユス → 剣道 ツルギ 生者は過去に手が出せない。生者は死者に手が出せない。それなのにあいつらは記憶の至る所に隠れ潜んで、一生こちらを追いかけて、一方的にこちらを侵し蝕んでくる。 その事に気付いて苦虫を噛み潰したような心地になる。呪いは伝染する。貴方を想い、貴方を自分のものだと主張する限り、己もまた苦しみ続ける。記憶を失わない限り、死ぬまで。 「……」 W俺 も Wと聞けば、ほんの少し溜飲が下がった。貴方が背けていた顔を戻せばそこにあるのは一人の青年の双眸。 感情も意思も無く、無色透明だった筈の瞳は。 どろりとした濁りを抱えたまま細められていた。 淡白であった人間は、確かに、誰かによって染まりつつある。それは不可逆の変質。 一度何かの色に染まってしまえば、もう── ▼ (-118) 2022/03/06(Sun) 14:11:15 |
【秘】 ユス → 剣道 ツルギ「ああ。好きにする。 ──噛むことも、よくない感情を向けることも」 己と貴方の関係は何と言うのだろう。恋というにはあまりに濁っている。向ける感情が正しいかすらも分からない。 けれど、それでいい。貴方が許してくれるから。 シーツもガーゼも、隠すものは一度全てこの手で剥ぎ取る。眼前に現れた印を改めてしっかりと目に焼き付ければ、心が酷くざわつき始めて煩かった。 もう部屋の外のことなんて何も考えられなかった。紛い物の箱庭の、狭い世界で貴方を独り占めしているよう。 ──もっと所有したい。己のものだと、伝えたい。 音もなく開かれた口腔から白い歯が覗く。間もおかずそれは貴方の内腿へ。柔らかな、けれど無駄などない青年の肉へ牙を突き立てる。 決して強い痛みは無いけれど、暫く消えない赤い跡が着くように。 鉄錆の匂いを吸い込みながら、一度。貴方を喰んだ。 (-119) 2022/03/06(Sun) 14:12:41 |
【秘】 ユス → 剣道 ツルギ 貴方が注いだ相手は貴方と同じ顔をしていない。剣城一成の面影など何処にもない。 ああ、でも、この濁りは紛れもなく自分には無かったもの。貴方から注がれて生まれたもの。 誰かが自分と貴方を似ていると思っていたらしいけれど。まさかこんな部分まで似るだなんて、いったい誰が予想できただろう。 口の中にも血の味が広がる。こくりと喉を小さく鳴らしながら貴方のいのちを飲み干して、肌に残った血とも口紅とも違う赤色が日の当たらない場所に残ったことを目に焼き付けた。少しだけ、満足した。 欲しいものすら浮かばないと少し前まで思っていたはずなのに、こんなにも自分が欲深かったなんて思わなかった。 ……それすら、貴方のせいにしてしまおうか。 「……ん、ああ」 視線を持ち上げ、寛げた場所からルージュが覗いているのを捉える。それが投票と二回目の者による選択で生まれた偶然だということは、頭では分かっている。 ……それなのに、歪み始めた頭ではW妻だけでなく娘の分まであるのかWだなんて思い始めるのだからもう手遅れだ。 「する」 許されているようで、受け入れられているようで、誘われているようで。どこか、胸の奥に仄暗い熱で炙られているような心地になる。 ▼ (-137) 2022/03/06(Sun) 17:21:14 |
【秘】 ユス → 剣道 ツルギ もっと付けたい。もっとあげたい。 内腿に噛み付く為に丸めていた背はまっすぐ伸びて膝立ちに。 両の腕で貴方の肩をそっと掴み固定して、貴方の血でてらりと濡れる唇をルージュに寄せた。 「……っ、ふ……」 口付けだなんて、キスマークだなんて生やさしいものではなくて。噛み付いて所有の印を刻む為の行為。呪いを汚泥で塗り潰すような見苦しいと言われかねない行為。 同じように一度噛み付く。引っ掻いたような形跡はあるけれど、こちらは大きな傷はないことに気付く。 貴方がもし拒まないのなら。 そのまま続けて痕を刻み続けるだろう。少し体重をかけて、逃げないように。 二度、三度、四度、五度。 何度も何度も何度も何度も。 (-138) 2022/03/06(Sun) 17:22:07 |
【墓】 規律 ユス 裁判場を後にするアクタを一瞥した。 死んでほしくない人がいるという気持ちは漸く分かってきた。けれど、皆の話がどうしても遠いもののように感じてしまう。何故あんなにも悩んでいるのかと。 死は取り消せない。死だけは作り物ではない。否、死だけじゃない。感情だって本物だ。 自分の胸の内にはその感情と呼べるものの死骸ばかりが転がり腐れ果てていたけれど。 「……貴方なら、どう思っていたのでしょうね」 他人に寄り添う優しすぎる青年の姿が脳裏によぎった。名残すらも大切に、心を痛める清掃員ならこの現状に何を思うのかと。 「……」 周囲を見渡す。 漸く、彼が裁判場に来ていない事に気付く。余程のことがない限り、傍聴席で参加者の話を聞いていた彼の姿がない。 そんな日もあるだろう。でも、掃除で無理をしてしまったんじゃないだろうか。 後で彼の様子を見てみようか。そんなことをぼんやりと頭の片隅で考えていた。 (+24) 2022/03/06(Sun) 18:24:57 |
【秘】 ユス → 剣道 ツルギ 皮に歯を立て肉に牙を埋めるその感覚がちりりと胸の底を焦がす。 身を強張らせても、身を引きかけても、決して拒もうとしない。人に触れることが怖いと語る貴方がここまで近づく事を許してくれたのだと実感できて、じんと脳まで痺れてくる。 ……なんだか噛むたびにくらりと眩暈にも似た気持ちよさが滲み出る。落ち着かない、けれど悪くない気分。 さて、これは何と呼ぶのだっただろうか。 「……」 ああ、これは── 「……」 ──たのしい、だ。 「……ん、ああ」 呼ばれた名前に意識が引き上げられる。どこか弱々しい指の力に気がついて、少し不思議に思いながら体を離して再び床に座り直した。 「やり過ぎたか。痛かったらすまない。 でも満足した、ありがとう」 貴方が気持ちよさに気付いたことなどつゆ知らず、濁りの引いた眼差しとどこかすっきりした表情で貴方の顔と鎖骨の周りを交互に見つめた。 そういえば、ちゃんとした止血や手当てをしなければならなかったが。 貴方の様子はどうなっているだろうか。 (-179) 2022/03/06(Sun) 21:11:36 |
【秘】 規律 ユス → 奇形 メイサイ 声をかけられて足を止める。 「ん? ああ、メイサイか」 何度も話をしてくれる貴方の姿を見つければそちらの方向へと向き直る。 投票などの結果は確認している。した上で、 「そうだな。選ばれたな」 あっさりとそう答えた。表情は何一つ変わりない。無理に取り繕ってる様子もない。 「臓器提供者の数が足りていれば、俺たちは提供しなくて済む。足りなければ俺たちのどちらかが死んで提供する羽目になるかもしれないし、二人とも死ぬかもしれない。 まだ、どうなるか分からないな?」 事実を事実として受け止めている。ただそれだけで、それ以上もそれ以下もなかった。 (-180) 2022/03/06(Sun) 21:19:19 |
【秘】 ユス → 剣道 ツルギ 愉しそうに笑う顔も、柔らかく笑う顔も、全てを晒して泣いた顔も見たことがある。 でもいたるところを赤く染めながら涙目で見下ろす表情は見たことがなかった。 自分の知らないものだ。食い入るように見つめてしまう。 炙られるような熱が胸をざわつかせる。もっと噛んでおけば、もっと知らない顔が見れたのだろうか。 「? 痛い以外に何かあるんだろうか……」 そんな独り言をぽつり。青年がどれだけ乱されても、こちらは見た目だけなら普段通り。ただ、貴方によって例えようのない熱──誰かに話していたならば、高揚感だとか興奮だとかすぐに答えはでるものなのに──が齎されているのは確かだった。 貴方と同じ気持ちも、気持ちよくなる方法も、此方も全く分かっていないけれど。 「ああ。分かった。ちゃんと見えないようにしよう」 それは過去から貴方を引き離す為だと考えている。だから、今の貴方を悩ませる理由なんてちっとも気づかない。 包帯もガーゼも問題なく取り出して、手当てを進めていくだろう。仄暗い、濁った熱い欲を伴った手つきはもうどこにも見当たらなかった。 (-185) 2022/03/06(Sun) 22:17:41 |
【秘】 ユス → 奇形 メイサイ「ああ。俺が変わるとしたら、それはツルギが実際に死んでしまった時くらいだろうな」 けろりと答える。それから、少し間を空けて。 「なあメイサイ。やはり人は、人を殺すのを躊躇うものなのだろうか。 もしお前が参加者だったとしたら、他人に票を投じる事に、他人を殺す事に迷い悩んでいたか?」 いつも通りの調子で、なんだかいつも通りではない質問をした。 (-187) 2022/03/06(Sun) 22:23:19 |
【秘】 ユス → 奇形 メイサイ「まあそうだろうな。人による。それが全てだ。 ……多数の反応としては、どちらなのだろうと思ってな。 躊躇いまくりか。よくそれで最初人を殺すなど言ったものだな」 責めているわけではなく不思議に思ったが故に最後の発言を加えたのだが、身も蓋もない。 並べられた言葉も素直に受け取る。信用しているかいないかというより、そういう者もいるかもしれないと。可能性の一つとして覚えておく。 「それは大変だな。胃以外で役に立ってもらうしかないだろうな、メイサイが選ばれたとしたら。 ……俺と、もう一人以外は皆平等だからな。平等にどうでもいい。生きるのに必要が無いし、そもそも殺されるべき人間や死んでいい人間なんていないだろう。だから俺ともう一人以外は、何も思わず切り捨てられる。これは反感を買う類の意見だと知っているから、大っぴらには話せないが」 (-192) 2022/03/06(Sun) 23:19:19 |
【秘】 ユス → の名残 カミクズ『カミクズさん。気になって連絡しました』 合議が終わった後のこと。裁判場を出て、すぐに貴方に連絡を入れる。 『座る場所が傍聴席であろうと欠かさず来ていた貴方が今日来ていなかったので、気になって連絡しました。 掃除、やはり無理させたでしょうか』 青年はよく無責任な発言をする事が多かった。己の手で責任を取れるものなど限られているから。 ただ、この間の掃除については自分も関わっている為かどうにも気になって連絡を入れたようだ。 貴方が一人の男と水族館へ行き、そのままいっとう深い眠りについたことなんて、全く知らない。 (-194) 2022/03/06(Sun) 23:26:27 |
【秘】 規律 ユス → 奇形 メイサイ「事情があるのか。それでは仕方がないな」 それ以上は追及しなかった。内緒、と初めに言われたから。無理矢理聞くつもりはない。例え何か思う事があったり、気付いたりしたとしても。 「死にたい者か。それなら確かに死んでもいいな。……こう言うと、止めようとする奴が必ずいるのだがなんでだろうな。止めた結果死にたかった者が苦しみながら生き続けても、止めようとした奴は責任を取ってくれることなんて殆どないのに」 ▼ (-205) 2022/03/07(Mon) 0:34:22 |
【秘】 規律 ユス → 奇形 メイサイ 先にお互い大っぴらにして言えないことを話した後。 「……移植による記憶転移などにわかに信じがたい話だ。好き嫌いが直接変化したなんてことも無かったからな」 思い出したように話題を遡り、呟いた。 それから貴方が引き抜いた己の左胸に手を添える。この下の中で他人の臓器が、鼓動し続けている。 「……ただ」 己の中に他人がある。 「直接変わらずとも、影響はあった。 少なくとも俺の場合は」 己の、中に。 「昔はこんな調子じゃなかったさ、メイサイ。 移植を受けてから、周りが変わった。 俺だけの命ではないらしいから、変わってしまった」 (-206) 2022/03/07(Mon) 0:35:01 |
【秘】 規律 ユス → の名残 カミクズ 貴方と話した時間は決して多くはないが、それでも大まかに反応を予想する程度には知っている。 きっと穏やかな口調で大丈夫なんて返すだろうと予想していた。 ……するだけで、Wその先が無かったW。 合議終了後、何においても優先すべき用事ができたから、きっとそれ以降のこと。 いくら待てども手帳は真っ白。人柄的に、無視をするなんてことはしない筈なのだが。 「……」 疑問に思って、端末の別の機能を使う。人数を確認する。 …………マップに表示される人の数が合わない。 それが意味するものとは、つまり。 「……あり得ることではあるな」 手帳を閉じる。 貴方に再度連絡が送られることは、なかった。 (-207) 2022/03/07(Mon) 0:39:08 |
ユスは、瞳から濁りが隠れ切った後、手帳で何かを調べた。 (c35) 2022/03/07(Mon) 0:39:59 |
ユスは、鉄の匂いが抜け切らない唇に指を当てながら思考する。……数が足りない。 (c36) 2022/03/07(Mon) 0:43:29 |
ユスは、長い時間どこかで過ごした後、寮を出た。けれど、思い当たる節は無かった。 (c37) 2022/03/07(Mon) 0:45:33 |
【墓】 規律 ユス 寮を出てすぐ、見慣れぬ建物の方を見た。水族館だ。 合議を終えて裁判場を出た時点でなんとなく見えていたが、見慣れないものは慣れるまで異様に目を奪われるというもの。 「……」 眉一つ動かさずそちらへと足を運んだ。返ってこない連絡の代わりを探しに。 (+26) 2022/03/07(Mon) 1:03:19 |
【秘】 規律 ユス → 不運 フカワ 合議を終えてから、数時間以上経った後。水族館へ一人の青年がやって来た。 さて、その間に水族館には誰が来ていただろうか。または誰も見えない水面下で、清掃員の死体が消える以外に何か変化はあっただろうか。全ての部屋に、貴方が清掃員を殺した部屋に、部外者である青年は足を踏み入れることはできるだろうか。 何もないようであれば、後ほどログで調べられる程度には大っぴらに青年は水族館を歩き回ることだろう。 (/* 具体的には白チャで水族館を調べるロールをします) 関係者以外立ち入り禁止と書かれたところでさえも堂々と足を踏み入れる。 咎める法も人も、ここには無いのだから。 (-211) 2022/03/07(Mon) 1:08:00 |
【墓】 規律 ユス>>水族館 さりさりと床を踏みしめる足音。顔を上げれば透明な壁一枚隔てた先に紛い物の海中が広がっている。 照明が落とされた薄暗い建物の中、向こう側の水の中がまるで逃げ道のように輝いていて。けれどあの煌めく世界もまた人の手によって作られ管理された箱庭であることを知っている。 「どこに行っても、何かが誰かに管理されているばかりだな」 何の気無しに呟いた。 ふと少年に頼まれて作り出した空を泳ぐ鯨を思い出す。アレはまだ泳いでいるんだろうか。 (+27) 2022/03/07(Mon) 2:44:39 |
【墓】 規律 ユス>>水族館 水族館は過去に一度も行ったことがなかった。小学校の修学旅行は体調を崩して行けなかったし、中学や高校の旅行などにはそもそもスケジュールに組まれていなかった。 魚たちの為に作られた薄暗い空間が続く景色も、鮮やかなブルーライトの中で泳ぐ生き物たちの様子も、こうして見るのは初めてで。 「……」 それでも、心が動くことなど決してなく。 一度に色んな種類の魚が観察できて便利だな程度の感想だけを胸中に落として先へと進んだ。 「それとも、■■■■で何か変わったりしました?」 「……なんて。さすがに■■で変わるとか、 そんな胡散臭い話はないですよねえ」 誰かに言われた言葉が響いて消える。変わった訳では無い筈だが。昔は知らない景色を見るだけで楽しかった筈なのに。 無意識のうちに左胸を押さえてしまう。手を当てたところで服の下、肉の中にあるそれが何か声を上げてくれることなどないのに。 死者は貴方の中で生き続けるなど、いったい何処の誰が言い始めたのだか。 反吐が出る。……ああ、これは、恐らくW不愉快Wだ。 (+28) 2022/03/07(Mon) 3:00:41 |
【秘】 ユス → 剣道 ツルギ「?」 ツルギは色んなことを考えているなと呑気な感想を抱いた。きっと、これからも似たようなことが起きるかもしれないが此方から気付くことはあるのだろうか。 「ああ。無理だけはしてほしくないし、しっかり休んでくれ。 俺は気になる事があるから少し調べてくる。何もなければ人と合流する筈だし、危険なことはしないさ」 結局、その合流すべき人は自分たちが合議に参加している間に深い眠りについていたけれど。今この時は知る筈もなく。 整えられていく道着の襟から覗くガーゼを捉えるたびに少し気分をよくしながら、置き土産がわりの飲み物を出す。水ではなく炭酸飲料だった。 そんな調子だし、道着ともあまり縁のない生き方をしていたからか、普段の着替えより時間がかかっていることにも気付かないのだった。 ▼ (-246) 2022/03/07(Mon) 13:38:54 |
【秘】 ユス → 剣道 ツルギ「ああ、そうだツルギ。言うのを忘れていた」 部屋を出る直前、青年は思い出したように口を開く。 「お前の調子が元に戻ったようで本当によかった」 部屋に来た時に見た、治療道具を出そうとして上手くいかなかった痕跡。冷えた指先。 何より、あまり心が動かないなと思った平静さを装う為に浮かべられた笑顔。 それらだけで、貴方が本当に嫌な気分になっていたのだと推測していたから。 元に戻ったようで何よりだと青年は少し柔らかな声でそう話し、今度こそ部屋を後にした。 ……別の理由で調子が乱れているかもしれないことには、気付かないまま。 (-248) 2022/03/07(Mon) 13:39:29 |
【秘】 規律 ユス → 奇形 メイサイ「ああ。臓器はただの臓器でしかない。人の心は脳にあるのだから、心臓を変えたところで何も起きやしないさ。……直接的にはな」 心が心臓にあったなら、取り上げた時点で俺はもう俺じゃなくなっている。 「ああ。ちゃんと頭で考えて周りに適応しないと──」 左胸に添えていた指を、自分のこめかみにとんと当てた。 「──こうなる。嫌になって、諦めて、楽で怠惰な道に走った末路がこの俺だ。 メイサイ。疲れるなら仕方がないが、考えるのをやめることはなるべくやめたほうがいい。何もかも色褪せて見えて、思ったより生きるのが面倒くさくなるかもしれないから」 心臓に心はない。脳髄にある。貴方の欠けた心はいったいどこにあるのだろう。 それはきっと、青年にも知る由もないことだ。 ▼ (-254) 2022/03/07(Mon) 13:55:07 |
【秘】 規律 ユス → 奇形 メイサイ「ああ。お疲れ様」 笑いながら手を振って立ち去る貴方を見送った。 こちらはいつも通り、無愛想のままだった。 (-255) 2022/03/07(Mon) 13:55:25 |
【墓】 規律 ユス>>水族館 見て回る途中でポスターが目に入った。 Wバックヤード見学ツアーW。 ……。ここは怒られない。怒る人がいない。つまりバックヤードも入り放題。 悪いことに気付いた青年はツアーに申し込まず正々堂々関係者以外立ち入り禁止と書かれた扉を開けてあちこち不法侵入し始めた。 来場した人間を楽しむ為の空間と違い、関係者にとって必要なものを詰め込み見てくれは二の次にした場所は他のエリアよりも少し眺める時間が長かった。 「……む」 一つだけからっぽの水槽がある。 否、中身はある。紫と赤の花。清掃員の帽子と黒いエプロン。 誰かが生きて、生きようとした事の、名残。 その終わりに寄り添ったものの、名残。 それを汲み取る事のできる、最後の痕跡。 人が人らしく生きたように 思える最期のメッセージ。梯子を作り出し、それを使って落ちないように水槽の中へ。 表に咲いた血は一度に流れ出たにしては少々不自然で、二回にわたって血を流したと考えるほうが自然だろうか。また、争った形跡らしきものも無い。まるで抵抗なんてする気がなかったように。 思いを馳せる。何があったのか、名残から組み立てていく…… ……が、足りない。自分では補えそうなパーツが作れなかった。何が起きたかまでは穴だらけの推測はできても、"何を思っていたか"までは分からない。それもその筈だ。他人のことなど、今まで碌に興味を持たなかったし、今も殆どそうだから。とある一人を除いて。 (+29) 2022/03/07(Mon) 14:04:49 |
【墓】 規律 ユス>>水族館 端末でいくつか操作を済ませる。とある人が水族館を一人で徘徊した後、裁判所にも向かわず外を出歩いている形跡が発見された。 返ってこない連絡。置き去りにされた帽子。表示されない現在地。 ……名残が教えてくれるものは。即ち。 「……そうか」 それだけを呟いて、更に端末を操作する。 モップ、水の入ったバケツ、それからオキシドールの入ったハンドスプレー。 清掃員が教えてくれたものをなぞるように取り出していく。 「カミクズさんは恐らく死んだのか」 最後に紙袋を取り出して、それに帽子と血のついたエプロンをしまった。 (+30) 2022/03/07(Mon) 14:29:58 |
【墓】 規律 ユス>>水族館 このまま放置してもよかった。 ただ、まだ彼が投票権を持っていた頃。立候補した際自分の事は話さないでほしいと語っていたのを思い出す。それは帰ってからの話ではあったが。 それに。 「誰かがそこに居た事を、踏み躙られないように。 それが、その人の望まない形に歪められてしまわないように。 ちゃんと…綺麗にする必要もあるんですよね」 そうも話していたから。ここに踏み躙るような者がいるか話は別だが、そう考えているのなら。歪まないうちに綺麗にしてやるべきかもしれないと判断する。 このまま放置してもよかった。 ただ、彼には世話になったから。それくらいの義理を果たしても、きっとバチは当たるまい。 (+31) 2022/03/07(Mon) 14:31:43 |
ユスは、殺害現場を荒らした。名残を全て片付けていく。 (c38) 2022/03/07(Mon) 14:36:15 |
ユスは、水槽の中を綺麗にしていく。そこで何を起こして何を思ったか正確に知れるのは、当事者二人だけ。 (c39) 2022/03/07(Mon) 14:37:55 |
【墓】 規律 ユス>>水族館 どれくらい時間が過ぎたのか定かではないが。 暫くして水槽の中は文字通りからっぽになった。橋の上から生きていた名残も死の欠片も、何もかも無くなってしまった空間を見下ろす。 「……」 お世話になりましたくらい言うべきだっただろうか。 とはいえもう清掃員はどこにもいないのだから此処で言っても仕方がない。無意味なものだと青年は切り捨てた。 帽子やエプロンを詰めた紙袋をかさりと揺らしながら、手帳型の端末に何かを書き込む。 「水槽いっぱいの水と、それから……」 書き終えて満足したのか、それを最後に青年は水族館から立ち去った。 程なくして、からっぽだった水槽は水で満たされ始める。誰かの生きた名残は、人が人らしくいた痕跡は、水の底に沈められる。 ──その場に残されたのは、生きた名残を塗りつぶしていくのは、水槽という狭い箱庭の中で泳ぐ二匹のクラゲだった。 (+32) 2022/03/07(Mon) 14:56:42 |
ユスは、紙袋を手にして水族館を出た。 (c40) 2022/03/07(Mon) 14:57:24 |
【秘】 ユス → の名残 カミクズ「無意味なものだから、言っても仕方のないものだから、此処で言うのですが」 だって、貴方は聞けないから。 だって、貴方は何も言えないから。 「本当に助かりました。ありがとうございます」 水族館を出る直前、青年は今此処にいない清掃員に向けてそう呟いた。 「貴方が人の死を片付ける仕事に就いていて本当によかった。だから学びたかったんですよ。その技術を。 俺にとっては必要なものだったから。 これから先 、ね」手向けにもならない言葉を置いて、青年は出入り口をくぐっていった。 (-264) 2022/03/07(Mon) 15:02:16 |
ユスは、残された言葉を聞かれていたら困る。だからW今W言った。 (c42) 2022/03/07(Mon) 15:47:14 |
【秘】 規律 ユス → 不運 フカワ『フカワさん。 カミクズさん知りませんか?』 たったそれだけ。それだけのメッセージが、貴方の端末に届く。 (-270) 2022/03/07(Mon) 15:48:30 |
【秘】 規律 ユス → 不運 フカワ『そうですか。 カミクズさんの帽子、水族館に残されていました』 『拾っておきましたが、返したほうがいいですか?』 (-277) 2022/03/07(Mon) 16:49:47 |
【秘】 規律 ユス → 不運 フカワ『そうですね、俺が持っていても仕方がないので返しに行きます』 『お気になさらず。特に手間ではないし、知りたかったことも知る事ができましたので』 眉ひとつ変えず入力を続ける。 『水族館は一度も入った事がないので再現度の高さなどはコメントできませんが、一度に多くの種類の魚が観察できて良い場所だと思いました』 『ところで』 『水族館とは』 『人の遺品や血痕も展示されているものなのですか?』 (-280) 2022/03/07(Mon) 17:02:38 |
ユスは、誰かと会う約束をする前に手を洗った。ちゃんと、教わったことを実行する。 (c44) 2022/03/07(Mon) 17:14:50 |
ユスは、ハッピーバースデー ディア…… (c45) 2022/03/07(Mon) 17:15:08 |
ユスは、それが最後まで歌われることは、なかった。 (c46) 2022/03/07(Mon) 17:15:24 |
【秘】 規律 ユス → 不運 フカワ『思い出。そうでしたか、成る程』 念を押され二度伝えられた文章をまじまじと見つめる。 『揚げ足を取るようですが、遺品は異例だとしても血痕はたまにあることでしょうか? ……冗談です。いや、冗談というよりどちらであっても俺は気にしないと言ったほうが正しいのですが』 今まで殆ど口にしてこなかった冗談という名目で重箱の隅をつつく。 『では、よかったら都合のいい時間を教えてください。その時にカミクズさんの帽子を渡しに行きます』 (-313) 2022/03/07(Mon) 20:01:57 |
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