【秘】 『一番星』 スピカ → 一人の少女 ブラキウム>>-71 「そう……そうね。 私がいなかった時どうなっていたかなんて、 誰にもわからないけれど。 きっと、みんながそう言ってくれるなら役に立てた。 そう思える気がするわ」 『いない』ことにされてからの数日を思い返す。 自分の行動を客観視なんてできないし、 自分が正しく働けたとも思えなかったけど、 目の前の少女と、それから彼女と語らった色々な人が、 自分を頼ってくれたということは、 そろそろ認めてもいいと思った。 「ええ……本当にね。一人で立ち回ることの困難さは、 随分と身にしみたわ。 我儘を言っても、 苦しみを吐いてもいいって言ってくれる人もいたし。 一人で戦おうなんて、思わないほうがいいみたい」 本当に欲しかったものの顔を思い浮かべた。 未だ諦めてはいない。そして、ブラキウムと話しているうちに 決心が固まった。 (-74) 2021/06/04(Fri) 19:20:27 |
スピカは、ブラキウムに感謝した。 (a26) 2021/06/04(Fri) 19:21:18 |
【独】 『一番星』 スピカ『アフターフォロー』の話が、ようやくスピカにも回ってきた。 ここ数日で起きた出来事の記憶が処理できること。 『いない』ことになったことをなかったことにできること。 治療については、そもそもただの暴力だったので、 スピカには関係なかったが…… 『いない』ことになり続ける理由はないと思ったが、 問題は記憶の処理だ。 ここ数日に起きた出来事は、酷く彼女の心を苛んだ。 今まで見えなかったものも見させられたし、 失恋もしたし、 そして、サルガスも…… そう考えると、何もかも全部忘れて、 元通りの風紀委員に戻るのも、悪くはないと思った。 むしろ、そうしたほうがいいのだろう。 彼女の心には、もうヒビが入っているのだから。 (-108) 2021/06/05(Sat) 15:39:01 |
【独】 『一番星』 スピカ>>-108 「いえ……大丈夫です。 私にも、忘れたくないことがありますから」 ルヘナへの想いは忘れたくなかった。 きっと、いや、絶対にこれは叶わないとわかっているけど。 それでも、諦めることはしたくなかった。 サルガスのことを忘れたくなかった。 彼がどうして死を選んだはかわからないが、 自分が忘れたら、もしかしたら 何もなかったことになってしまうかもしれないから。 『いなくなる』ことを忘れたくなかった。 だって、あんなに辛くて苦しいんだから。 それを知っている人間がここにいれば、 次はきっとちゃんと手を差し伸べられるから。 目標はエネルギーなのだから、 彼女がそうしても一時凌ぎにしかならないが、 彼女はそんなことは到底知り得ない。 だから、彼女は、何もかもを覚えていることを選んだ。 (-109) 2021/06/05(Sat) 15:50:38 |
『一番星』 スピカは、メモを貼った。 (a27) 2021/06/05(Sat) 15:59:50 |
【秘】 『一番星』 スピカ → 受容者 ルヘナここ数日の騒動も一応の決着を見せたころ、 スピカはルヘナの部屋を訪れた。 彼がどんな道を選んだのか、 彼は大切な人とちゃんとお話できたかとか、 ああ、色々考えてはしまうけど。 結局、自分がルヘナに逢いたいだけだな、と思いながら、 あなたの部屋をノックした。 (-111) 2021/06/05(Sat) 16:40:17 |
【秘】 『一番星』 スピカ → 受容者 ルヘナ「あー……」 何も考えず、話したいというだけで 部屋にやってきてしまったが、 これは……押しかけなんたらというやつでは!? いや、やましいこととかないし、大丈夫、 と思いながら、 「ほら、一応色々が一段落したじゃない? だから、ルヘナの様子が見たくて」 などと言いながらお邪魔することにした。 部屋を眺め回すのは失礼だな、とわかってはいても、 その所作は隠しきれなかった。 (-113) 2021/06/05(Sat) 16:55:48 |
【秘】 『一番星』 スピカ → 受容者 ルヘナ>>-114 「まあ、結構へこんだりもしたけど…… いつまでもそうしてもいられないなって。 前を向くことにしたの。 いろんな人に支えてもらっちゃったけどね」 もちろんあなたの存在もある。 簡素な部屋だな……などと失礼なことを思いながら 勧められるまま椅子に座ると、 一番気になっていたことを切り出した。 「えーっと……セキレイさんとは仲良くやってる? ほら、色々変わっちゃったから、 セキレイさんもどうなってるのか私知らないし」 そもそも誰かも知らないどころか、性別すら知らない。 でも、ルヘナとセキレイの関係は応援するべきなんだろうなと 思っている。 思い込んでいる。 (-115) 2021/06/05(Sat) 17:27:22 |
【秘】 『一番星』 スピカ → 受容者 ルヘナ>>-116 「仲良く……」 まあ、そうだとは思ったが、 そこに一抹の隙がないかなと思ってしまった自分を嫌悪した。 「まあ、ルヘナがいいならいいんだけど…… ダメそうなら、というなら、多分…… 大人側についていくのが、 そもそもあんまりよくないと思うわね。 そう言われてやめるなら、そもそも突っ込んでないだろうけど」 ため息が、一つこぼれた。 いくらアフターフォローをしてもらっても、 大人のやることはやっぱり善行とは思えなかったからだ。 「……お互い難儀な身分よねぇ。 あなたは大人側であることを捨てられないし、 私もそんなあなたが好きだなんて。恋は盲目ってやつかしら」 (-117) 2021/06/05(Sat) 18:09:28 |
【秘】 『一番星』 スピカ → 受容者 ルヘナ>>-119 「本当ね?嫌よ、私。またあなたが『いなく』なるのは。 まあ、今回はきっとあなたの手を取ってみせるけど」 そんなことをすればまた目をつけられるのだが、 きっと、彼女はルヘナを救えるとすれば、 いくらでもその身を投げ出す。 「そう……そうね。 私達、きっと、何かを変えるにも、 先に歩んでいくにも、 まだ見えてないものが多いと思うの。 でも、不安じゃないわ。 前よりも色々なことを知っているし、 人間は知識を得ながら前に歩けるんだから」 何より、あなたがいるから、という呟きは耳に入るだろうか。 二人は。似たもの同士なのかもしれない。 それでも、少なくとも、つかの間の平和が崩れるまでは。 きっと、破滅に見舞われることもない。 (-121) 2021/06/05(Sat) 18:40:56 |
【秘】 『一番星』 スピカ → 受容者 ルヘナ>>-123 「もう……みんな一番星って呼ぶわね」 でも、悪い気はしなかった。 自分の想う一番星とルヘナのいう一番星は 形は違っても、 想いを込められているのは確かだと感じられる。 「うん、大丈夫。 周りにも星があることだって、今はわかるの。 一人きりで輝く星じゃないんだって。 みんなが私を支えてくれるし、 私もみんなを支えるから。 ……だから、私はみんなと歩んでいきたい」 でも、願うことならば。 ルヘナと連星として輝きたい。 その想いはもう告げることはないだろう。 ……ギムナジウムの日常は続く。 平和な日常の中に不穏な影が混ざろうとも、 もう星が昇るのを妨げるものはない。 いつでも、星を仰げば光が見えるように、 皆で歩んでいこう。 (-124) 2021/06/05(Sat) 19:47:10 |
【独】 『一番星』 スピカ―――ある朝。 今回の騒動に関係した者が、 みな特別な事情を持っていたように、 スピカもそれを持っていた。 厨房でパンを捏ねるスピカの姿。 ああ、数日『いなかった』だけで、 こんなにもパンが恋しいなんて! 彼女にとってパンを捏ねることは 日常の象徴であり、だからこそ、 今こうしている自分に、何より安堵できる。 食堂のパンは、再び美味しくなった。 毎朝、食堂にみんな『いる』ことに安堵できるように。 いや、安堵しなくても、それが当たり前になるように。 その当たり前に、美味しいパンを添えたくて、 今日もスピカはパンを捏ねた。 (-127) 2021/06/05(Sat) 19:59:54 |
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